映画ミストのあらすじをネタバレ解説!後味の悪い衝撃的な結末・ラストとは?

不穏なフラグが綺麗に回収され「鬱な」結末に至ることで度々話題に上がるフランク・ダラボン監督のホラー映画『ミスト』。衝撃的なラストにまつわる映画版と原作小説の比較。その結末に至るまでのあらすじをネタバレを含みつつ紹介していきます。また、映画『ミスト』を楽しむためのクリーチャーに関するネタバレやあらすじに潜む伏線も徹底解説していきますので、未見の方もそうでない方もお楽しみください。ネタバレ項目には「ネタバレあり」と記載しますので参考にしてください。

映画ミストのあらすじをネタバレ解説!後味の悪い衝撃的な結末・ラストとは?のイメージ

目次

  1. 映画ミストとは?
  2. 映画ミストのあらすじネタバレ
  3. 映画ミストの結末・ラストネタバレ
  4. 映画ミストの原作をネタバレ
  5. 映画ミストの登場人物・キャスト
  6. 映画ミストに登場した怪物
  7. 映画ミストに関する感想や評価は?
  8. 映画ミストのネタバレまとめ

映画ミストとは?

「衝撃のラスト」と称される映画のなかでも、「鬱映画」「トラウマ映画」と噂される映画に興味はあるでしょうか?今回はそんな「衝撃のラスト」をもつスティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督映画化の2007年公開映画『ミスト』についてあらすじや結末に至る伏線、クリーチャーの解説などをご紹介しましょう。

Tips:スティーブンキング

スティーブンキングはアメリカのSF界、ホラー界、ミステリー界を代表する小説家です。1974年の長編小説『キャリー』でデビューして以来、『シャイニング』、『ザ・スタンド』、『デッド・ゾーン』を次々と発表。その後も多くの作品を世に生み出し続けています。その45年近くに渡る作品数は膨大であり、長編小説は主だったもので49作、中編12篇、短編25篇と多くが翻訳され日本でも読むことが出来ます。

映画化されたタイトルも多くあり、その数は41本にも及びます。ここではそのうち代表作を10本ほど羅列しておきましょう。

  • キャリー (1976/2013年にリメイク)
  • シャイニング(1980)
  • クリスティーン(1983)
  • スタンド・バイ・ミー (1986)
  • ペット・セメタリー(1989)
  • ミザリー(1990)
  • IT (1990/2017年にリメイク)
  • ゴールデンボーイ (1998)
  • ドリームキャッチャー(2003)
  • 1408号室(2007)

Tips:フランク・ダラボン監督

フランク・ダラボン監督はスティーヴン・キングの短編小説『312号室の女』を1983年に短編映画として製作したことで映画界にデビューしたフランスの映画監督です。その後、ホラー映画の脚本を手掛けながらスティーブン・キングの小説のうち『ショーシャンクの空に』(1994)『グリーンマイル』(1999)そして『ミスト』の監督を勤めたことで一躍有名になります。

多くの映画の脚本を担当するフランク・ダラボン監督の強みは「群像劇の見せ方に対する拘り」だと言われており、カメラワークをわざと人の視線の高さに合わせたり、セリフ自体が伏線になるように組み合わせていたりとスティーブン・キング作品との相性は抜群です。スティーブンキングとフランク・ダラボンは映画『ミスト』のDVD特典のオーディオドキュメンタリーで親しげに談話する姿が確認出来ます。

Tips:予告編

重々しいナレーションが添えられている予告編ではやはり「衝撃のラスト15分」という表現がされています。実は、先に少しだけ先取りしてネタバレをしてしまうと原作小説のラストとは全く異なる結末を迎えているのです。次章から順番にその謎も紐解いていきましょう。

要所要所ネタバレを含みつつ解説をしますので、もう一度映画『ミスト』を観てみる際は是非参考にしてみてください。そしてまだ、映画『ミスト』を観ていない方は「衝撃のラスト」へ備え自分の好みと照らし合わせる心の準備として記事を観てみることをおすすめします。

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映画ミストのあらすじネタバレ

この章ではネタバレは最小限にしつつも、映画『ミスト』に隠された伏線と原作との比較のための情報をなぞりながらあらすじをご紹介します。決定的なネタバレのある部分は章題に「ネタバレあり」と表記しますのでご参考になさってください。

あらすじ:災厄を予言し、走り去ぬ

画家のデヴィッド・ドレイトンとその妻のステファニー、そしてビリーはアメリカの田舎町ポートランドに住む仲の良い家族でした。そんな一家はある嵐の過ぎ去った朝に、家の窓ガラスとボート小屋を突き破る倒木をみてため息を漏らします。また、隣の家に住むニューヨーク帰りの弁護士のノートンとは敷地を巡って過去に諍いがありましたが、ノートンも痛み分けで高級車を潰され街のスーパーにデヴィッドの車で行くことにします。

窓ガラスの修理の依頼と補修素材を買いに行くデヴィッドとビリー。ノートンを乗せた車内で、様々な車両とすれ違います。それらは実は後々の伏線になりますのでよく見ておくといいでしょう。そして短い会話ですがノートンとデヴィッドの会話のなかでこのポートランドの街が「ゴシップを信じる人々もいること」「街の外から来た人との間に溝があること」などが示唆されるのも注目ポイントです。

あらすじ:霧のなかに何かいる…!

スーパーマーケットについたデヴィッドたちは、店内の状態を知ることになります。冷蔵庫以外が停電した店内。公衆電話も繋がらず雷雨に対する憶測が飛び交っています。顔見知りのレジ員のサリーや、副店長のオリーと会話をしつつ、彼らの苦労を労いながらレジに並んでいるとパトカーと消防車が通り過ぎるのがガラス張りの窓の向こうに見えます。

そして、遠くでサイレンの音が聞こえてくるのです。そうしてそれを追うように霧が徐々に街を覆っていき、霧のなかからある初老の男性が店内に駆け込んできます。普段は冷静で穏やかなダンです。彼は鼻血を流しながら店内に走りこむとこう叫びます。

「霧のなかに何かいる…攫われるぞ、ドアを閉めろ!」

直後、店は大きく揺れ出します。方々で「自然災害だ」という声や「工場の爆発事故と毒ガス」だという声が上がります。そしてここである女性が声高に「審判の日が来たのだ」と訴えます。ミセスカーモディ…街で普段は「不気味だ」「頭がイかれている」と除け者にされていた信仰に厚い女性です。ここからの個々人のセリフは結末に繋がってゆくのでよく注目していると良いでしょう。

伏線あらすじ:みんな地獄に落ちたらいいわ

そのなかでももっともラストに向けての最初の伏線を作り出していくのは「最初の脱出希望者」である「幼い子どもたちを家に置いてきてしまった母親」です。

彼女は怯える人々を押し切って帰宅する旨を表明します。当然周りは止めますが、子どもが幼く心配であることと「(日常だったら)帰るでしょう?」と周りを説得しようとするのです。しかし、誰も協力しようとはせず、彼女は「みんな地獄に落ちたらいいわ」と恨み言を吐きながらひとりで外に繰り出してしまうのです。

あらすじ:スーパーマーケットの人々

危険を感じたスーパーマーケット内の人々は、思い思いの場所で座って休みはじめます。ノーマンが教養人たちと話し合うなかで、デヴィッドとビリーはベテラン教師のレプラー先生と新任教師のアマンダ、そしてベビーシッターを頼んだこともあるサリーたちと共に休みます。

こ時点で「孤立したカーモディ」や「ノーマンのグループ」など既に群像のまとまりがいくつか出来ており、デヴィッドたちのグループが最初は中庸であることも注目ポイントです。ここから物語が動いていき、この群像も動いていってそれぞれの結末に向かって伏線を張り巡らせます。

ネタバレありあらすじ:シャッターを押し上げるようだった…

デヴィッドは幼いビリーのための寝床に使える物資の置き場をオリーに訪ね、バックヤードの倉庫へと向かいます。すると発電機から異臭がし、なんと煙が上がっていたのです。咄嗟に発電機を止めるとあたりは停電で暗くなり、そのなかでデヴィッドは背後の運搬用シャッターが何か巨大なものに押し上げられるような怪音を聞きます。

慌てて引き返したデヴィッドは停電を直しにきたジムとバイロン、そしてオリーと若い店員であるノームが逆に倉庫に向かっていくところに遭遇し、彼らは押し止めようとします。しかし、オリーは同意してくれますが、都会でも活躍しているデヴィッドへのやっかみもあってジムとバイロン、ノームは話を聞こうとしません。そうしてノームの提案でシャッターを開けて外から発電機を直すという無謀な作戦は決行されてしまいます。

ネタバレありあらすじ:腰抜けが…

発電機を再起動しシャッターを開くバイロン。そしてノームが霧のなかに入ろうとした瞬間にシャッターの隙間から恐ろしい触手の群れが入り込みノームの胴体をその太い腕で締め上げてしまいます。それだけでなく、触手には牙のようなものが多数ついており、ノームを助けようとデヴィッドが咄嗟にノームの腕をとりますが触手に皮膚を抉られて場は凍り付くのです。

続いてオリーが消火斧を使って助けようとし、デヴィッドはジムとバイロンにも助けを求めますが、2人は恐怖に竦んでいて動けませんでした。その間にもノームはシャッターの向こうへと引き摺り込まれてゆき、止む無くシャッターを下ろして残った触手をデヴィッドは切り落とすことに成功したのです。

ジムとバイロンはデヴィッドを信用しなかったがために起きた悲劇に反省しますが、ここでも「都会者へのやっかみ」という歪んだ伏線がセリフで張られていきます。

ネタバレありあらすじ:イナゴの群れが天より現れ…

倉庫での一件をもとに危険意識をどうにか全員に持ってもらい犠牲者を増やさないようにしようとするデヴィッドとオリー。最初にノートンを説得しようとしますが、ノートン側も抱いていた「余所者への差別による被害者意識」を煽られてしまい喧嘩別れの末、ノートンは支持者を集めて外に出ていってしまいます。

このシーンですでに派閥はいくつかにくっきりと分かれ出しており、外に出ようとするノートン一派と、ガラス張りの前面にペットフードや土嚢を積む人々や、終末論を語るカーモディ、そして無関係を装う人々などが描かれています。

夜に備えて、武器を蓄えようとするなかでアマンダの護身用の銃が要になることがわかりました。銃は「ある特技を持っていた」オリーが所持することになり、松明を準備するなどして夜に備えます。そうして夜になると、カーモディが語った通りに「恐ろしい怪物たち」がスーパーマーケットのガラスを突き破ってくるのでした。各々は応戦しますが、1人また1人と犠牲になっていきます。

なかには恋人の腕の中で死んでしまったサリーや、松明で大火傷を負って瀕死の重傷を負った者、化け物に食いちぎられた者など様々おり、ガラスを突き破られた恐怖から徐々に室内の人々に変化が起こっていきます。注目していると面白くなるポイントはこのシーンのなかでの人々の思惑と、アマンダの銃の残弾数で、細やかながらこのシーンには結末に繋がる重要な断片が多く含まれているのです。

ネタバレありあらすじ:俺たちのせいだ

火傷を負ったジョーや恐慌状態の緩和のために隣の薬局へ行って抗生物質などを入手しようと立案するデヴィッドたち。この際異常な人々の精神状態についても話し合われるのですが、「解決策を示す人物に見境なく従ってしまう」という言葉の通りここから物語の歯車はどんどんと狂いだすのです。

翌朝、薬局にデヴィッドが向かう旨を伝えると、これにはデヴィッド以外にレプラー先生やジム、バイロン、オリー、そしてアローヘッド基地の二等兵でもあるジェサップたちが参加することになりました。

しかし、薬局は扉が開け放たれており、薬を手に入れられたものの、柱に蜘蛛の糸のようなもので括り付けられていたMP(軍警察)の男が「俺たちのせいだ」という断末魔と共に「あるもの」を吐き出し、一同は犠牲を出しながらも命辛々逃げ帰ることになるのです。

超ネタバレありあらすじ:アローヘッド

そうして戻った先で、ジョーが生き絶えたことと、そしてジェサップの同僚2人が自殺をしたことがわかってしまいより一層人々は恐怖で狂っていきます。その怒りの矛先はカーモディの「神は生贄を求めている」という言葉によってジェイサップに向けられ、デヴィッドたちが制止するのを押し切って、カーモディの言葉を盲信しだした人々はジェイサップを詰問。

「アローヘッド基地で行われていたある実験」について耳にするのです。それは異界の門を観測するという内容であり、当然ジェイサップの関与する話ではなかったのですが、その上層部の実験に対する責任をまだ若い青年に負わせるべく腹部を何度も肉切り包丁で刺して外に生きたまま放り出すという凶行に人々は駆り立てられたのでした。

超ネタバレありあらすじ:僕を怪物に殺させないで

デヴィッドたちはこれに恐怖し、脱出を決意します。そして、怯えるビリーはデヴィッドに対して「僕を怪物に殺させないで」という重要な伏線にあたるセリフをデヴィッドに伝え、この一言がデヴィッドの結末へと繋がっていきます。次章では映画『ミスト』の伏線の終着点であるそれぞれの人物のラストシーンについて紹介していきましょう。

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映画ミストの結末・ラストネタバレ

いよいよ、「衝撃のラスト」と名高い映画『ミスト』の結末について伏線の終着点を確認しながらご紹介しましょう。ネタバレが過分に含まれますので、映画『ミスト』を未見の方はご注意ください。

ネタバレあり結末:神は血を見たがっている

朝になり、オリーの手引きもあって食料を手にデヴィッドたちはついにスーパーマーケットからの脱出を実行に移そうとします。しかし、そんなデヴィッドたちの行く手を阻んだのは、過半数以上を信徒として従えたミセスカーモディでした。カーモディは食料を盗んで逃げようとしていることを罪として幼いビリーを生贄にしようと暴徒と化した人々を嗾しかけます。

双方手に凶器を構えデヴィッドたちはあわやビリーを抱えたアマンダごと捕まりそうになりますが、ここでオリーが残っていた銃弾を2発使用してカーモディを殺害してしまうのです。カーモディに狂信してしまっていた人々はここで「解決策を示す人物」を失い、武器を下ろしてデヴィッドたちに呪詛を吐きつつも脱出を咎めることはもう出来ませんでした。
 

この際にカーモディが仰向けに腕を伸ばして倒れたまま後頭部を中心に円形状に血が広がってゆく様はイコンのようでもあり、映画版の『ミスト』におけるアンチテーゼにもなっているのです。カーモディ派の人々の結末は、頭を失ったことで罪悪感と恐怖、不安のみを遺して幕を閉じます。

ネタバレあり結末:いきましょうか

スーパーマーケットをデイヴィッドと共に脱出したのはパド、マイロン、アンブローズ、そしてマイヤー先生とダン、オリー、アマンダとビリーの9名でした。霧のなかをデヴィッドの車に向かって走り抜けるなかでマイロンが足を挫き、パドとアンブローズが支えながら走ったためこの3人は孤立してしまいます。そして、車に辿り着いたオリーもまた怪物に襲われ死んでしまいます。

そして一度は閉じた車のドアを、デヴィッドはあるものをボンネットの上に見つけて開けようとします。それはオリーの持っていた拳銃でした。アマンダは「やめて」と制止しますが、デヴィッドは「ビリーを化け物から守るために」その銃を手に取り、そして改めて車を妻が待つであろう南へと走らせるのです。

スーパーマーケットの人々が虚ろに見送るなか車は走り出します。結局車に乗り込めたのはマイヤー先生とダン、アマンダとデヴィッドそしてビリーだけでした。老いた男女と成人男女、子どもという組み合わせは世界そのものの縮図のようでもあり、背後で流れ出す映画『ミスト』のテーマ曲でもある「 The Host of Seraphim」が流れだすのと合間って独特の印象を与えます。

Tips:The Host of Seraphim

映画『ミスト』の角度を変えたネタバレとしてテーマ曲の「The Host of Seraphim」を紐解くとまた違った味が感じられます。「The Host of Seraphim」とは日本語で「熾天使(してんし)たちの巣」という意味です。

歌詞は「異言」(グロッソラリア)という意味を持たない音節で編まれているのも特徴で、聖歌のような曲調から何かの訓戒というよりは「意味を必要としない祈り(神の慈悲とは別の顔を見せる異次元のモンスターたち)」「意味をなせなかった祈り(カーモディをはじめ「言葉」を信仰したが故に実らなかった人々の思い)」などを仄めかしているようです。

ラストシーンに登場しデヴィッドたちの結末を決定付ける「あるクリーチャー」と「スーパーマーケットのなかの人々」を重ねているのではないかと考察出来ます。ネタバレは避けますが、ほぼ無音で進む映画『ミスト』のなかでこのBGMが流れるシーンは「ある共通点」を持っています。そういったポイントにも注目してみると面白いかもしれません。

ネタバレあり結末:やれるだけの努力はした

霧のなかをゆっくりとポートランドのデヴィッドの家に向かって走る車。彼らを待っていたのは「ある残酷な風景」でした。それは妻ステファニーの眠るようにして死んでいる姿でした。そしてそのまま南下を続ける一向は地響きとともに巨大な化け物に遭遇し、彼らの心はどんどんと追い詰められていくのです。そして運命の時はきてしまいます。

自由と安寧を求めた末のガソリン切れ。それはこの霧のなかにおいては未知の生物による死を意味していました。そして遠くから聞こえる風のような怪音。この音にもよく耳をそばだてていて下さい。誰かしらが、日常のまま判断をしていたら、ありえなかったであろう最後の決断を、デヴィッドたちはしてしまいます。

「怪物に殺されたくない」「せめて人間のまま死にたい」そして、「愛するビリーとの約束を父として果たしたい」そんな人らしい願いを叶えられるのは、皮肉にもアマンダが止め切れなかった自衛用の拳銃でした。弾の数はしかして4発しか残っておらず、デヴィッドは「自分はどうにかする」と言って銃をここまで連れ添った善良な人々に向け、発射するのです。
 

ネタバレあり結末:そんな…

映画版の『ミスト』にしか存在しない最後のネタバレをしましょう。それは、想像しうる最悪のバッドエンドでもあり「鬱映画」と称する所以となっているラストの結末です。

愛する人々を撃ってしまったデヴィッドは失意と怒りをもって車の外へ出て、化け物に殺されるのを待ちます。しかし、待てどもあの怪音は近付いていくるのに死は訪れません。霧のなかに何かいる。その予感だけを残しつつ、やっと姿を見せたのは…

防護服に身を包んだ軍の兵士たちと避難民を乗せたジープでした。彼らは怪異を焼き払いながらこちらに進んできます。そしてその避難民のなかには、「ある人物」もまた見受けられるのでした。デヴィッドの絶望的な叫びに応えるものはなく、ただ虚しくヘリのローター音だけが響き渡り映画版の『ミスト』は原作とは全く違うラストを迎えるのです。

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映画ミストの原作をネタバレ

原作小説『霧』

ここでは、映画『ミスト』とは全く別の結末を辿ることになった原作小説についてご紹介しましょう。原作小説は1980年にスティーブンキングによって執筆された『霧』という中編小説で、現在日本ではハヤカワ文庫の『闇の展覧会』でのみ内容を読むことが出来ます。

原作はところどころセリフなどが変わっていますし、カーモディの信仰対象も「この世に存在しない神」という異質なものであるなど差異はありますが大筋は同じです。その原作のラストをネタバレすると、映画の導入シーンでも流れていたラジオがキーになっており、「ホープ」という名前の街に人々が避難しているというアナウンスを聞いて「Hope(希望)」だと解釈するという結末になっています。

つまり、あの映画版『ミスト』の群像のもつ柵をシニカルに表現した「衝撃のラスト」とは真反対に、原作小説ではデヴィッドたちの選択を神が祝福するような人間賛歌なエンディングとなっているのです。

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映画ミストの登場人物・キャスト

デヴィッド・ドレイトン/トーマス・ジェーン

画家でもあり勇敢に息子を守るために行動し続けた主人公「デヴィッド・ドレイトン」を演じたのはトーマス・ジェーンです。1992年の『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』でスクリーンデビューを果たし、代表作には『ディープ・ブルー』(1999)や『パニッシャー』(2004)などがあります。

また、スティーブンキング原作の映画ですと『ミスト』以外に2003年の『ドリームキャッチャー』でもヘンリー・デブリン博士役で登場しています。

アマンダ・ダンフリー/ローリー・ホールデン

人間の善性を最後まで信じ続けたリベラルな女性教師「アマンダ・ダンフリー」を演じたのはローリー・ホールデンです。1979年の『火星年代記』で子役として登場して以来、『マジェスティック』(2001)や『サイレントヒル』(2006)などのSF映画やホラー映画で活躍しています。

ビリー・ドレイトン/ネイサン・ギャンブル

無垢な少年「ビリー・ドレイトン」を演じたのはネイサン・ギャンブルです。2006年の『バベル』でスクリーンデビューを果たして以来、『ダークナイト』のジェームズ・ゴードン・Jrや『イルカと少年』シリーズのソーヤー・ネルソンなど精力的に活動しています。

オリー・ウィークス/トビー・ジョーンズ

頼れる副店長「オリー・ウィークス」を演じたのは『ハリー・ポッター』シリーズのドビーの声優としてもおなじみのトビー・ジョーンズです。顔を見るだけでハッと気付けるような特徴的な俳優さんで1992年の『オルランド』から始まり『ジャンヌ・ダルク』(1999)や『裏切りのサーカス』(2011)、『キャプテンアメリカ』シリーズなど毎年のように映画を彩っています。

ミセス・カーモディ/マーシャ・ゲイ・ハーデン

狂気的なまでの敬虔さをもつ狂女「ミセス・カーモディ」を演じたのは、2000年公開の映画『ポロック 2人だけのアトリエ』でアカデミー助演女優賞を受賞したことでも有名なマーシャ・ゲイ・ハーデンです。

1990年の『ミラーズ・クロッシング』以来、40本以上の映画に出演しているベテラン女優でもあり、『ジョー・ブラックをよろしく』(1998)のアリソンや『アメリカン・ドリームズ』(2006)の大統領夫人などハリウッドには欠かせない名脇役となっています。

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映画ミストに登場した怪物

この章では映画『ミスト』に登場したおぞましいクリーチャーたちを画像付きで紹介していきましょう。

怪物①惑星Xの触手

映画『ミスト』の序盤にして霧のなかの圧倒的な脅威を示したのがこの「惑星Xの触手(Tentacles from Planet X)」です。その名の通り、触手状の謎の生物で嗅覚器官を先端に持ち、牙のようなものをそれぞれが備えるなど食虫植物のような特性を持ったクリーチャーでした。また、惑星Xとは海王星よりも遠い軌道を公転している星のことで「未確認の星」というニュアンスもあります。

怪物②アラキニロブスター

「アラキニロブスター(Arachni-Lobster)」は中盤から暗躍していた巨大なザリガニのような生物で、「Arachni」はアラクネー(ギリシア神話に登場する蜘蛛の化身)であると考えられています。劇中では全貌は確認できませんが、アートワークスなどではカマキリのように起き上がった胴の先の一対の鎌に加えて胴体部分には3対の甲殻類のような脚を備えていることがわかります。

怪物③スコーピオン・フライズ

ミセスカーモディの運命を左右することになった凶悪なクリーチャーは「スコーピオン・フライズ(Scorpion-Flies)」です。劇中でも語られる通りイナゴともサソリともつかない不気味な生物であり光によってくる習性があります。また、「Scorpionfly」は現実にも存在する呼び名でマダラシリアゲムシのことをそう呼びます。

怪物④プテロ・バザード

スーパーマーケットの一夜目を地獄に陥れたクリーチャーは「プテロ・バザード(Pterobuzzard)」という名前を持ちます。直訳すると「飛翼を持った猛禽」ですが、その姿はプテラノドンや怪獣めいたものも含み凶悪さから視聴者にとってかなり印象深い怪異になっています。

怪物⑤グレイ・ウィドワー

薬局以降、その恐ろしさと群れる絶望感で視聴者を圧倒したのは「グレイ・ウィドワー(Gray Widower)」です。恐ろしいことに名前は「灰色の寡夫」という意味であり、子を増やすためだけの残忍で正確な行いはどこか隠喩であるようにすら感じられます。

怪物⑥ベヒーモス

映画『ミスト』の最終盤に登場し、完膚なきまでに視聴者と登場人物の心を折っていった巨大なクリーチャーの名前は「ベヒーモス(Behemoth)」です。6本の脚を持ち、悠々と歩くその様はまさにその名の通り旧約聖書の『ヨブ記』で言及されている強大な怪異であり、背中が他のヘビーモスに比べれば小さい怪異たちの住処になっていることが最後の最後にわかります。

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映画ミストに関する感想や評価は?

ここでは映画『ミスト』の初見の方向けの感想とネタバレも含む感想を両方ともピックアップしてご紹介いたします。併せてみたい映画に関する感想もこちらはネタバレなしで紹介しますので、関連作品を観ながらまだ観ていない方は次の一本を決めてみると良いかもしれません。

初見の方向けの感想:モンスター映画かと思ったら…

まだSFX技術やCGがそこまで発達していなかった2007年において霧という要素を上手く隠れ蓑にしつつ「見えないからこそ登場人物の言葉の節々に感じられるSF感」が映画『ミスト』では評価されていました。ネタバレなしの感想のなかでは「SF」「鬱映画」「群像劇」などのキーワードとともに勧められることが多いのです。

また映画『ミスト』はラストシーンの強烈さから「勧めたいけど、勧めた相手も叫んでしまう」というジレンマがあるようです。鬱な結末がどういったものなのか、気になる方はチャレンジしてみると良いでしょう!

初見の方向けの感想:ミストと併せて観たいあの映画たち

この感想では、ホラー映画のおすすめを挙げていただいています。ホラー描写やスリリングな展開もそうですが、最強に数えられてしまうほどに強烈なラストシーンを持っているのが映画『ミスト』の強みだと言えるでしょう。

時として、映画『ミスト』は「ハートフル」だという羊の皮を被って忍び寄ってくることがあります。この感想でのラインナップはまさにその類であり、逆に言えば『ミスト』のラストが病みつきになった方ならきっと楽しめる映画ラインナップだと言えるはずです。

この感想でも、方向性が明確に明示されています。「人間の汚い部分」が極限状態で滲み出す臨場感が映画『ミスト』にはあるようです。

ネタバレあり感想:モンスターよりも恐ろしいものは…

映画『ミスト』の感想で多くみられる観点のひとつとして「モンスターより怖いのは人間の集団心理」というキーワードがよく挙げられます。特にラストに向かってどんどんと転がり落ちてゆくニンゲンの理性は雁字搦め感もあり心臓を抉られると称する方も多いようです。

ネタバレあり感想:ラストのセリフに集約される狂気

こちらは極限状態でのニンゲンの脆さがよく出ているという感想です。「宗教ババァ」はスティーブンキング作品ではお馴染みのモチーフでもあり、映画『キャリー』などでも登場し人間の醜さをこれでもかと描き出しています。

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映画ミストのネタバレまとめ

映画『ミスト』の魅力あるあらすじや、原作とのラストの比較解説、そしてクリーチャーのネタバレ解説などはいかがでしたか?スティーブンキングの原作もフランク・ダラボン監督の映画もどちらも人間の真を突いた作品になっていますのでラストまでじっくりと浸ってみると良いかもしれません。

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