俺は、君のためにこそ死ににいくは実話がモデル?評価やあらすじまとめ

「俺は、君のためにこそ死ににいく」は、1945年太平洋戦争末期、鹿児島県知覧に陸軍指定食堂富屋を営む特攻の母・鳥濱トメさんの視点から若き特攻隊員の熱く悲しい青春を辿った真実のエピソード。出撃前の隊員たちが抱える測り知れない苦悩がここに描かれている。「(映画・邦画)俺は、君のためにこそ死ににいく」2007年5月12日公開。新城卓監督、石原慎太郎元都知事が脚本・製作総指揮を手掛け史実を題材とした感動巨編。主演:徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆、岸恵子、向井理、中村倫也など豪華キャストが多数出演。

俺は、君のためにこそ死ににいくは実話がモデル?評価やあらすじまとめのイメージ

目次

  1. 俺は、君のためにこそ死ににいくは実話だった?その真相に迫る!
  2. 俺は、君のためにこそ死ににいくの映画あらすじをネタバレ!
  3. 俺は、君のためにこそ死ににいくは実話だった?
  4. 俺は、君のためにこそ死ににいくの映画を観た感想や評価とは?
  5. 俺は、君のためにこそ死ににいくは実話を元にした映画だった!

俺は、君のためにこそ死ににいくは実話だった?その真相に迫る!

太平洋戦争(第二次世界大戦)末期の時代背景 

昭和19年太平洋戦争末期、劣勢に立たされていた日本軍は敵軍のフィリピン上陸を阻止するため戦闘機や艦上爆撃機などに爆弾を搭載して敵艦に体当たりする「神風特別攻撃隊(海軍)」を編成、陸軍は「振武隊」「特別攻撃飛行隊」を編成した。昭和20年春に敵国が沖縄へ上陸。映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の舞台となった鹿児島県知覧飛行場から振武隊493名の青年達が日の丸を背負い飛び立った。

知覧で飛行訓練を受ける青年、陸軍飛行兵から母親のように慕われた鳥濱トメの視点でストーリーが進んでいく。この記事ではそんな「俺は、君のためにこそ死ににいく」という映画のあらすじや実話、評価、映画を観た人の感想などを紹介していく。

映画(邦画)「俺は、君のためにこそ死ににいく」の原作・監督について

新城 卓(しんじょう たく)監督、沖縄県出身。1983年「OKINAWA BOYS オキナワの少年」で監督デビューした。石原慎太郎と組んだ作品は3作品ある。「秘祭(1998年)」「俺は、君のためにこそ死ににいく(2007年)」「青木ヶ原(2013年)」。

石原慎太郎(いしはら しんたろう)は作家・政治家活動を経て元東京都知事にもなった。2014年衆議院議員総選挙に出馬するも落選、これを機に政界引退。弟に石原裕次郎、次男は石原良純と政界・芸能一家でも有名。「俺は、君のためにこそ死ににいく」では、実話を元に脚本・製作総指揮を務めた。

記者からどういった方にこの作品「俺は、君のためにこそ死ににいく」を観てもらいたいですか?との質問に「戦後60年ずっと戦争を経験しなかったのは日本だけ。そんな中で今、受け継いでいかなくてはならい。生きる姿勢が希薄になり失いつつあるように感じる。私たちは反省しなくてはなりません。平和のためにどういう犠牲を払ったのか。失ってはいけないものを取り戻す為のものになればいいと思っています。」と語った。(石原慎太郎)

映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の主題歌B'z「永遠の翼」は、この映画の為に書き下ろされた作品です。戦争の為に自らの命を差し出すという重圧なテーマの依頼を受け、実際に舞台となった特攻平和会館を訪れたり色々な話を聞いたりとB'zにとっては稀な制作の仕方となった。

俺は、君のためにこそ死ににいくの映画あらすじをネタバレ!

映画(邦画)「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじ序盤(ネタバレ含む)

昭和19年(1944年)フィリピン・マバラカットにて「1週間でいい、敵空母の甲板を使えないようにする」と言い出す大西官長、せっかくここまで育ててきたパイロットを無下に殺す訳にはいかないと言っていたが、このままでは日本が敗れると読んだのだ。「敗れる限り、敗れた後にも国体は守らねばならんのだ。国家の名誉のために歴史に確かに記録して残す為に若者達に死んでもらうのだ。」こうして大西瀧治郎が特別攻撃隊を立ち上げた。

こうして志願という名目の命令で行われていた。海軍の関大尉は就寝中に起こされた。250㎏爆弾を搭載して敵空母の鉄艦に突っ込む神風特別攻撃隊の指揮官に任命された。苦しみ悶えしばらく考えた後決断する。『実際戦争がどうなっているのか、私達下々の人間には何も分かりませんでした。ただ、人の噂ではいよいよ沖縄に米軍が上陸するだとか。その頃、一億総特攻全国民玉砕のスローガンが叫ばれるようになりました。』

金山少尉/前川泰之との再会 あらすじ

昭和20年(1945年)特攻隊兵士達の最後の世話をする「なでしこ隊」ができた。この中にトメの娘礼子がいた。兵舎で金山少尉隊員と再会する。金山は以前「大刀洗陸軍飛行学校知覧文教所」の少年飛行兵だった。知識が豊富で人柄も良く幼い頃の礼子らに色々な話を聞かせてくれていた。

金山に再会できるのを楽しみに待っていたという。礼子に一冊の本を渡し「貰って欲しいんだ。もう読めないと思うから。」再度知覧に訪れたのは特攻志願者ということだった。

坂東勝次/窪塚洋介が遺書を託す あらすじ

一人の兵士が富屋食堂に訪れる。「お母ちゃんに頼みがあってきた」と改まって話す坂東勝次。「俺、出撃する事になった。心配いらんてお母ちゃん、俺の名前は勝次だよ、日本は必ず勝つ、その為にいく。」ただ、父親にはどうしても自分の口から報告できずトメにその仲介を頼みにに来たのだ。辛い相談だが何とか力になるべく勝次の父へ手紙を綴った。その後坂東勝次は3度の出撃に参加する事になる。

金山少尉/前川泰之 (あらすじ)

ある日富屋食堂に金山が現れる。「最後の願いを聞いていただけますか?」いつ出撃になるか分からない、時間を見つけ最後におばちゃんの作るたまご丼を食べておきたかったのだ。トメは押入れから着物を一枚取り出し娘の美阿子に卵を分けて貰ってくるよう言づける。厨房に入り下ごしらえをしているとそこへ、

金山が入ってきた。「おばちゃんみたいにイイ人、日本で会った事無かったよ。俺、ここに来ると朝鮮人だってこと忘れた。長い間親身に世話してもらって実の親も及ばない程だった。本当にありがとう。」頭を深々と下げ涙ぐむ。「そんなことない、何もしてあげれなかった」トメの目から涙が落ちる。

そこへ1人の兵士が駆け込み「隊長!命令領事で集団司令部にお願いします。」突然の集合がかかったのだ。同行していた荒木隊長は「金山はたまご丼食ってから来い、急いで平らげれば追いつくさ、金山のことありがとうございました。」トメに一言挨拶を済ませ後にする。その背中を見送った金山はトメの手を握り「行きます!」と一礼、食堂を飛び出して行った。

明朝5時出発、敵機動隊を攻撃する命令が下る。飛行団長東大佐からは「我日本の国体を保持し日本民族の栄光の為に必ず突っ込む。いいか生きて戻るな、特攻を志した限り生きようとすることは不忠である。」との言葉があった。『私達に出来る事はこんな事だけでした。止める事も出来ません。慰める事も出来ません。ただただ、あの人たちの魂の平安を祈る事しか出来ませんでした。』飛び立つ兵士に渡す為、お守りの手作り人形を作る。

荒木隊長が率いる第47振武隊、金山少尉、田端少尉の姿があった。礼子と美阿子は見送りに来ていた。花とお守りを渡す。「ありがとう」と涙ぐみ精一杯の敬礼を見せる。隊員は勇者として空高く飛び立って行った。町中の人が戦闘機を見上げ「お願いします!」と成功祈る。

まだ何も知らない若者が、お国の為に二十歳にもならん命を散らしに行きなさる。無事を。」と地面に頭をこすり付け見送る鶴田正造の姿があった。娘一枝に立派な人達の世話をする仕事をしてみないかと勧める。『こうして次々と立派な若者が知覧に来ては飛んで行かれました。ある人は迷い、ある人は恐れもし、ある人達は怖いほど一途に何かを信じてただひたすら急いで散っていかれました。』「俺は、君のためにこそ死ににいく」鳥濱トメ語り

知覧飛行場へ向かう中西隊長とその隊員

「懐かしいな2年ぶりかな」「大島、ここの教育隊の出身か?」「はい、実家もこの隣町にあります芋飴屋です、お陰で小さい頃から虫歯だらけであります。」楽しく長旅を満喫している。中西隊長は歌が好きだ「よし、歌うぞ!おい久野」と呼びかけると久野が胸ポケットからハーモニカを取り出す。隊員は周りのお客様にしばらくのご辛抱をと言葉添え、通路に一列に並び元気よく軍歌を歌い始める。(2列目向井理)

出撃前日の田端紘一/筒井道隆 (あらすじ)

富屋食堂へ一人の女性が訪ねて来た。ここへ来れば分かるだろうと聞き田端少尉に会いに来たのだ。田端の妻(婚約者)だという。「田端さんは出撃なさいました。」こればかりは真実を伝える他ないが、女性はその場に崩れ込んでしまう。

その頃、悪天候に見舞われた戦闘機、荒木隊長が指示を出す「全員引き返す、爆弾を投下せよ。田端、金山この状況では無理だ引き返すぞ。」川口少佐は荒木隊長を見るなり「貴様なんで帰ってきた」荒木隊長が悪天候を説明するが聞く耳を持たない。明朝5時出発をその場で言い渡される。

中西振武隊が兵舎に到着、荒木振武隊に合流する。荒木と中西は教育隊の同期だった。久々の再会となった。中西は今朝荒木が出撃した事を知りわが身に迫るものを感じた。それは他の隊員も同じだ。「次はいつだ?」「明朝5時だ」何とも短い再会に中西は至って明るく振る舞った「そうか、じゃ今日はパーッとやるか!」若い隊員も釣られてその場は明るさを取り戻した。

引き返してきた事で再会する良子と田端紘一、明日また出撃する事を聞いた良子は「死なないで」となきじゃくる。「おい泣くな、女は泣けるが男は泣く訳にはいかんのだ」と良子の顔を見て決意が揺らぐ。二人は強く抱きしめ合い二度と訪れぬ夜を共に過ごした。その後、田端紘一は3度出撃し3度ともエンジン不良等の理由で帰ってくる。田端はトメに「おばちゃん日本は負けるよ」と言い残した。

翌日エンジンのテスト飛行で機体を急上昇させた後エンジンが止まり地面に墜落、炎に包まれた。先に飛び立ったはずの坂東勝次が命からがら帰ってきていた。坂東は中西隊隊員となり次の出撃に備える。そんな時だった、トメは田端紘一が残した遺書を郵便局に届けていたが巡回中の憲兵隊に目を付けられ連行されてしまう。この知らせをきいた坂東勝次が憲兵大尉の元へ乗り込み身柄を拘束させられる。

トメは何人もの青年特攻隊が飛び立つのを見送ってきた。どうしても我慢ならなかった。憲兵大尉に詰め寄る「明日死にゆく若者に門限だの検閲だの何で必要ですか?」と発言し殴られるもこれを私の勲章といってみせた。

映画(邦画)「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじ中盤(ネタバレ含む)

庭の外に人影があった。河合惣一19歳が子犬のシロを抱え立っていた。「なんかね、ずっと見てたらおばちゃんがお袋に見えた」そう言いながらスケッチブックを差し出す。絵が得意な河合はトメの姿を丁寧に描いていた。「明朝出撃します。色々ありがとうございました。」深々と頭を下げる。

「おばちゃん、ここってホタルはいるの?俺のふる里はホタルが有名でさ季節が来てホタルがかえると川一面渦になって沢山飛ぶんだよ、だから俺ホタルになってまたここに戻って来るよ。ホタルならどこにだって行けるだろ。」まだ幼さが抜けない顔で何とも切ない表情を浮かべる。「おばちゃん、死ぬってどうゆう事かな、俺が死んでしまったら皆誰も俺の事は忘れてしまうんだろ?」

「何言ってるの、誰も忘れたりするもんか!絶対に忘れないよ私だってシロだって」河合の頬に涙がつたう「本当?それならおばちゃん、俺まだ19だからあとの30年の寿命おばちゃんにあげるよ。だから長生きしてな。」明日の夜ウラ戸を少し開けホタルが入れるように開けておくと約束するトメ。(戦後富屋旅館ホタル館と名付けられた、モデル宮川三郎)

坂東勝次と家族

特攻前日、勝次の家族が知覧基地に到着した。父親、妹、幼い弟。父親は勝次の気持ちをよく理解していた。「今回の事は名誉な事、お国の為によろしく頼みます。」と深々頭を下げる。「許してな父さん、あいつら皆、靖国神社の鳥居の前で待っとるんや俺が行かんと中に入れんのや。」父「うんうん、はよ行ってやり。ウチの事は心配せんでもええ。」勝次は地元の夏祭りを思い出していた。

「揃いの浴衣着てもっぺん踊りたかったな。」最後の夜を迎えていた。幼い秀次が兵舎から飛び出した、後を追いかける勝次。「どうしたんだヒデ」秀次「兄ちゃん死ぬんか?なんで死ななあかんの?僕の為か?父ちゃんの為か?」「ほうじゃ」「誰の為でもイヤじゃ!絶体にイヤじゃ!」「ヒデ!」勝次は抱きしめた。

誰もが当然に抱く悲しみを真っすぐに投げているのだ。「お前も男やろ。ワイが守らんでどないするんじゃ」「ほな兄ちゃんが死んだら日本は勝つんか?」「ほうじゃ、お姉ちゃんとお父ちゃん頼むで。」「イヤじゃ!イヤじゃ!」泣き叫ぶ弟秀次を勝次は抱きしめ続けた。

中西正也隊長と鶴田一枝

中西隊長と大島伍長は鶴田家を訪問していた。腕に巻く血書は一枝が書いたものだ、その礼に参ったと言う。一枝の父親鶴田正造は中へ招き入れるが大島は辞退しその場を後にした。家の中では御膳が運ばれ敬われた。

中西が鶴田家を出て挨拶を交わす、一枝はこみ上げる気持ちを抑えられなくなり家の中へ駆け込む。母が一枝の肩にそっとショールをかけた。中西は道端の地蔵に手を合わせていた、足音に振り返ると一枝が後を追いかけてきていた。二人は見つめ合い抱き合った

大島茂雄伍長/古畑勝隆

隣町にある芋飴屋の前に大島茂雄伍長は居た。仕込みをする祖父と母の姿を涙をこらえ覗う。「おじいちゃん、かあちゃん」こらえ切れず涙が流れ嗚咽がもれる。深々と頭を下げそっと立ち去る。祖父はふと、懐かしい気配を感じ外に目をやるが、そこにはもう誰もいなかった。(「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじ)

映画(邦画)「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじ終盤(ネタバレ含む)

いよいよ出撃の日を迎える。水杯を交わし東飛行団長から「諸君の成功を祈る」と言葉があった。中西隊隊員は円になり集まる。「いいか何があっても戦体を崩すな。確認の為に言っておくが、死んだら集合する場所は靖国神社の拝殿の門をくぐったら右から2本目の桜の下だ。誰が先に行っても必ず待っていろ。靖国神社に入るのは一緒だぞ。もう何も言うことはない、今までありがとう。」と締めくくる。

中西隊長の見送りに一枝が来ていた。中西は一枝の目の前で一旦立ち止まったが言葉交わさず前に進む。坂東勝次の見送りに家族が来ていた。弟の頭を撫で最後の別れをした。弟の呼ぶ声が聞こえる「兄ちゃん!兄ちゃん!」振り返る余裕は無かった。決意が揺らいでしまう。振り向かず呼び声に答えるように阿波踊りを踊ってみせた。(切なく感動的なシーンとして沢山の評価が上がっている。「俺は、君のためにこそ死ににいく」)

中西隊長が戦闘機に乗り込み、車輪止めを外す合図を送る。坂東勝次が戦闘機へ乗り込もうとすると父親が近づき土下座する「どうかしっかりやって下さい、お願いします。」勝次は持っていた刀を渡す。勝次の戦闘機が滑走路を走り出した。「兄ちゃーん!兄ちゃーん!」戦闘機を追いかけ走る弟の姿を横目で捉えた。喉につっかえる物を飲み込むようにグッとこらえる。戦闘機は更に加速し大空へ飛び立っていった。

沖縄周辺に到達。敵国の攻撃を受けながら一旦雲に逃げようと中西は他の隊員を誘導するも直前で大島が打たれ墜落。大島を打った敵戦闘機に攻撃、一機撃ち落とすが中西も打たれ墜落していく。中西隊長の後ろに続く河合惣一が「隊長、いきます!」と覚悟を決め鉄艦に突っ込む。その頃、坂東は雲から抜け出し上空を旋回、狙いを定める。攻撃の弾をすり抜け敵空母を目指し一直線に飛び込む。

『翌日の夜9時に一匹のホタルが庭に入って来ました。河合惣一さんが沖縄の海からホタルとなって戻ってきたのです。居合わせた兵士に「皆さん河合惣一さんがホタルになって帰って来ましたよ。」と言ったらね皆で肩を組み同期の桜を歌ったんですよ。』語り鳥濱トメ(「俺は、君のためにこそ死ににいく」)

昭和20年(1945年)8月15日終戦。大西瀧治郎が自決。中西隊長は地元の方に助けられ鹿児島に船で戻った。知覧の兵舎へ到着するが迎える者はいなかった。「みんなに会いたい、なぜ俺だけが。」その想いを抱きながら生きていく事になる。

『世の中の変わり様は、それはもう恐ろしいほどでした。戦争中は軍神と崇められた特攻隊の方々も生き残った方は特攻崩れとさげすまれ、亡くなった方は犬死とさえ呼ばれるようになりました。』語り鳥濱トメ(「俺は、君のためにこそ死ににいく」)戦後15年が経ったある日、坂東勝次の家族が訪れる。沖縄の無人島に一人の男が住み着いているという知らせだった。

トメは中西にも坂東が生きていることを伝えた。「生き残ったあなた達は若く散っていったあの人達の分もしっかり長く生きて下さい、辛いのは後に残されたあんた達とみんな知っているよ。」夜桜が咲き乱れる夜、前方にホタルの光が見えた。『思い返せば返すほど、みんな素晴らしく美しい若者達でございました。』語り鳥濱トメ(「俺は、君のためにこそ死ににいく」)

俺は、君のためにこそ死ににいくは実話だった?

鳥濱トメさんは実在していた!

鳥濱トメさん[明治35年(1902年)-平成4年(1992年)4月22日]は、鹿児島県坊津町生まれ。家は貧しく小学校に通うことが出来ず、ある時期まで読み書きが出来なかった。そんなトメに字を教えたのが夫の義勇。とても仲のいい夫婦だった。

昭和4年「富屋食堂」を開き、昭和17年陸軍省指定の食堂となり少年飛行兵と交流を深めていった。兵士らは「おかあちゃん」と慕い、最後の願いで家族へ宛てた遺書や形見の品を託すようになる。(映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじに続く)戦後は特攻隊を称えるだけで「軍事主義者」のレッテルを貼られる時代だった。昭和25年昔なじみの知覧町長のもとに通っては特攻隊員達のための観音像建立請願を続けた。

昭和30年9月28日知覧飛行場の一角に観音像が完成し、その除幕式にトメは像の前の手水鉢を寄進した。昭和62年には知覧特攻平和会館が開設された。平成13年(2001年)富屋食堂が「ほたる館」として復元され特攻隊員の記念館となった。映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」は実話に基づいた作品である。

トメさんが亡くなられた時に「国民栄誉賞」に推薦するも、受賞には至らなかった。

製作発表会の席で石原慎太郎は、生前交流のあった鳥濱トメさんについて語る。制作発表会では鳥濱トメさんの娘、礼子さんも会場にいらしており、特攻隊員達が残した言葉「俺たちは国の為に死ぬんじゃない。父や母、大切な人の為に体当たりする。後世に伝えてくれ。」と語られた。まさに「俺は、君のためにこそ死ににいく」タイトル通りだと話された。実話が元になった作品である。

俺は、君のためにこそ死ににいくの映画を観た感想や評価とは?

「自分が経験していない時代だからこそ真実を受け止めるために観た。面白い、面白くないの基準で測れるものではないと思う。この時代にこういう若者たちがいてこういう最期を遂げたんだなと思いながら観た。」「今の何でもある時代とは真逆の世の中の厳しい時代に精一杯生きた若者達の物語、二度と繰り返してはならない。」「悲しい苦しい気持ちになったのは特攻隊ということで特に。」戦争は日本の反省とし深く受け止める評価が圧倒的だ。

「窪塚洋介が家族との別れの時、後ろ姿のまま阿波おどりで呼びかけに返したシーンがたまらなく切ない。」「キツイなぁ、昔の青年達を見るといかに自分が甘ったれてるか思い知らされる。男気溢れてる所には鳥肌が立つ、戦争の経験を聞けるのは大切な事だと思う。」と感動的だったと感想・評価をする人が多数いる中で、「劇中のセリフが聞き取りにくかった」と方言の強さや音質についての評価もあった。

俺は、君のためにこそ死ににいくは実話を元にした映画だった!

俺は、君のためにこそ死ににいくの登場人物とキャストを紹介

関行男は実在した人物。昭和19年(1944年)5月31日、関は結婚式を水交社で執り行ったばかりだった。フィリピン・マバラカット10月17日就寝中の関は起こされ体当たり特攻隊の指揮官として指名された。即答は避け一旦自室へ戻り遺書を書き、翌朝になって承諾したという。

出撃前日10月20日海軍報道班員の小野田に「日本もおしまいだよ。僕のような優秀なパイロットを殺すなんて。僕なら体当たりせずとも、敵空母の飛行甲板に50番(500キロ爆弾)を命中させる自信がある。僕は天皇陛下のためとか、日本帝国のためとかで行くんじゃない。

最愛のKA(海軍の隠語で妻)のために行くんだ。命令とあらば止むを得まい。日本が負けたらKAがアメ公に強姦されるかもしれない。僕は彼女を護るために死ぬんだ。最愛の者のために死ぬ。どうだ素晴らしいだろう。」と語った。

大西瀧治郎海軍中将/伊武雅刀

大西瀧治郎は実在した人物。[明治24年(1891年)6月2日-昭和20年(1945年)8月16日]、海軍中将。神風特別攻撃隊の創始者の一人。8月16日午前2時から腹を十字に切り顎と胸を刺し割腹自決。最後の言葉は「介錯無用」と言い同日夕刻まで苦しみ続け死去。亨年55歳。

陸軍 中西隊隊員の登場人物

「中西正也少尉/徳重聡」第71振武隊隊長は、真面目で面倒見が良く明るい性格、歌が好きだが音痴。そんな中西隊長を慕う若い兵士達、本編でホタルの感動的なシーンで爪あとを残したのが「河合惣一軍曹/中村倫也」特攻により19歳で戦死する実在の宮川三郎がモデルや「大島茂雄伍長/古畑勝隆」実家は知覧の隣町で芋飴屋を営むうら若き青年も記憶に残るキャストの一人。「久野軍曹/松尾諭」はハーモニカが得意で場の盛り上げ役だ。

陸軍 荒木隊隊員の登場人物

「荒木隊長/田中伸一」は第47振武隊隊長、中西正也隊長とは学校の同期、兵舎で再会する。「田端紘一少尉/筒井道隆」は実在の川崎渉がモデルとなっている。こちらも同じく「金山少尉/前川泰之」朝鮮人の特攻隊員。実在の卓庚鉉(たく ぎょんひる)日本名は光山文博がモデルとなっている。

坂東勝次陸軍少尉/窪塚洋介

家族を日本に残し出撃する。弟想いの優しさと日本を護る強さを持ち合わせる立派な青年。3度の出撃に参加。片足を失くし無人島で暮らしていたが戦後家族と再会を果たす。坂東勝次の父親「坂東真太次/寺田農」は勝次の想いを理解し決して泣き言を漏らさずに旅立たせる。「坂東寿子/桜井幸子」は母親代わりに弟の面倒をよく見る。その甲斐あって弟の「坂東秀次/大嶋捷捻」は、のびやかに真っすぐ育っていく。

陸軍関係者

「憲兵大尉/中原丈雄」憲兵(けんぺい)とは軍事警察のようなもので陸軍の軍人が犯した違警罪は憲兵部で処分できたこともあり何かとやかましい事を言う存在だった。「川口少佐/遠藤憲一」少年飛行兵を厳しくながらも大切に育ててきた中間管理職、飛行団長の指示には相違あるが現場の立場として遂行させる。

「東大佐/勝野洋」飛行団長である。日本軍の負けを理解していながら沖縄へ兵士を送る。「お前たちが生きることは不忠だ」と言えるのはこの時代さながら。

その他登場人物

「鳥濱トメ/岸恵子」この映画は富屋食堂を営む特攻の母と呼ばれたトメの視点から描かれている。娘の「美阿子/勝野雅奈恵」と「礼子/多部未華子」、礼子はなでしこ隊の一員として兵士と関わり、その後著書「ホタル帰る」を出版した。

「田端良子/戸田菜穂」はこの時代はまだ珍しい相思相愛カップル。だが「田端由蔵/江守徹」紘一の父は結婚を認めてくれない。「息子は明日散りゆくが良子さんには明日がある」という理由だった。もうひとカップルを紹介するなら「鶴田一枝/中越典子」女子挺身隊の一員だった一枝は中西隊長と結ばれるが戦後は夫婦仲が上手くいかなかった。

俺は、君のためにこそ死ににいくのまとめ

忘れてはいけない歴史。この作品「俺は、君のためにこそ死ににいく」を観て戦争が生んだ悲しみと反省を受け継いでいくことが、今我々に出来ることと石原慎太郎は言う。近年のニュースでは靖国神社と出せば多方面から色々な評価が下される事が多い中、あえて靖国神社を出しているという。

また、本編「俺は、君のためにこそ死ににいく」では人気俳優の向井理が、この頃は役名もセリフもない一兵士として出演(汽車で歌う兵士達の写真2番目に注目)している他、ホタルで爪あと残す河合惣一役を中村倫也が演じている。そんな「俺は、君のためにこそ死ににいく」という映画をまだ観ていない人は要チェックだ。

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