失楽園の映画の魅力や感想は?あらすじ・ラストもネタバレ紹介【渡辺淳一原作】

失楽園は渡辺淳一の同名小説を原作とした1997年公開の日本映画。当時大きな話題を生み、「失楽園」という言葉がブームになった程の有名な作品です。不倫をテーマにした過激な描写となっていますが、葛藤する人間の感情を繊細に表現した映画です。真実の愛とは何であるかというメッセージ性を持った失楽園の本当の魅力をご紹介します。監督:森田芳光 出演者:役所広司(久木祥一郎) 黒木瞳(松原凛子)ほか

失楽園の映画の魅力や感想は?あらすじ・ラストもネタバレ紹介【渡辺淳一原作】のイメージ

目次

  1. 失楽園の映画の魅力やあらすじを徹底調査!
  2. 失楽園の映画あらすじをネタバレ!
  3. 失楽園の映画ラストをネタバレ!
  4. 失楽園の映画キャストを紹介!
  5. 失楽園の映画の魅力とは?
  6. 失楽園の映画を観た感想や評価とは?
  7. 失楽園の映画の魅力やあらすじまとめ!

失楽園の映画の魅力やあらすじを徹底調査!

映画、失楽園とは?

失楽園は恋愛小説が原作の1997年に公開された日本映画です。過激な濡れ場があり、「失楽園」という言葉が流行語になるほど、当時の大きな話題となりました。あらすじは後ほどネタバレを含んでご紹介していきますが、大人の恋愛である「不倫」がテーマですが、過激なシーンとは裏腹に揺れ動く人間の葛藤が繊細に表現されています。そんな失楽園の映画について、ラストまでネタバレや感想を交えて紹介していきます。

失楽園 | V☆パラダイス公式サイト

失楽園の映画あらすじをネタバレ!

失楽園あらすじのネタバレ(起)

出版社の編集長である久木祥一郎(役所広司)は、敏腕編集長で仕事一筋の人間です。妻である文枝(星野知子)や娘の知佳(木村佳乃)といった家族にも恵まれた人物でした。しかし、久木の年齢が50歳となる年、ある比突然、営業部と仕事上での喧嘩を原因に編集の第一線から閑職の調査室配属を命じられてしまいます。仕事が生き甲斐であった久木は時間を持て余すと共に、仕事への情熱を失ってしまいます。

そんな折、久木は大学時代の友人である衣川和記(寺尾聰)と酒を呑みに行くことになります。その際の会話の中で、衣川は「無性に恋がしたい」という話題を口にしますが、同年代のそんな会話をきっかけに久木も50歳にして恋愛をするということに魅力を感じ始めるようになります。

衣川はカルチャーセンターに勤務していますが、そこで開催されるカルチャースクールの書道教室には松原凜子(黒木瞳)という女性が講師をしています。凛子は楷書のような正確な文字を書くことから「楷書の君」というあだ名で呼ばれていました。周囲からも注目されるほどの魅力的な女性で、衣川は左遷で悲しむ久木に凛子を紹介しようと試み、ある日久木が文章の書き方を教えてもらいに凛子を訪ねたことで二人は出会います。

凛子は38歳の既婚女性で夫・晴彦は医者をしています。裕福な生活ではありましたが、子供はおらず特別な理由はないのですが、夫との関係にどこか居心地の悪さを感じていました。一方、久木も娘の知佳が結婚して家を出ており、妻との二人の生活の中で妻と不仲だというわけではなかったのですが、ふと虚しさを感じることがあり、二人は同じように夫婦関係に息苦しさを感じていた状況で面識を持つことになります。

失楽園あらすじのネタバレ(承)

久木は凛子に急速に惹かれていき、妻子がいることを顧みずに強引なアプローチを続けます。凛子は最初のうちは戸惑いを感じて断っていましたが、久木の強引でひたむきな恋の訴えに、やがて彼を受け入れます。そして、二人は週末ごとに逢瀬を重ねていき、凛子はいつの間にか夫の生活では感じたことのなかった性の歓びの底知れない深みに囚われていきます。

そうてい二人の関係はエスカレートしていきました。ある日凛子の養父がなくなり、通夜が執り行われた際もひさぎの強引さに駆られて、夫や親族の目を盗んで喪服姿のまま密会します。そんな非日常な出来事がより一層二人の気持ちを燃え上がらせました。やがて、久木は密かに都内にマンションを借り、凛子との愛の巣を作り上げます。

失楽園あらすじのネタバレ(転)

凛子は養父を失った母から、「晴彦さんを大事におし」と言われませんが、すでに久木を愛していた凛子の心はとうに冷めきっていました。夫である晴彦にも身体を許さないようになっており、求められても拒むようになり、そんな凛子に夫・晴彦は苛立ち、不快感を覚えます。妻に対して不信感を持ってしまった夫・晴彦は、興信所へ調査を依頼し、妻の不倫を事実を知ることとなります。

スクープ

当然晴彦は調査報告書を凛子へ突きつけますが、凛子を精神的に苦しめるために離婚はしないと告げ、凛子は夫の思惑通り、愛せなくなった人間と一緒にいなくてはならない苦しさと他の人を純粋に好きになることを不倫と罵られる悲しさを嘆きます。それと同じくして久木の家庭でも頻繁に家を留守にしていたことをきっかけとして妻・文枝に浮気を勘付かれてしまいます。

久木の妻・文枝は離婚してほしいと要求しますが、久木は承諾しませんでした。そうして二人は家庭から孤立し、不安定な生活を強いられることになりますが、それでも二人は逢うことをやめようとせず、普通の日常が失われていく分、二人の間の欲求や愛情は増していくことになります。

失楽園の映画ラストをネタバレ!

失楽園の驚きのラストをネタバレ!

こうして物語のあらすじはラストを迎えます。そうした葛藤する人間関係の中、久木の会社に彼の行状を暴く告発文が送られてきます。これを見た上司である常務には子会社の共栄社に行けと命じられ、また、その日帰宅すると妻・文枝が離婚届を置いていることに気づきます。久木はこの状況をきっかけに辞職を決意し、文枝との離婚も承諾します。凛子もまた夫・晴彦や実母との縁を切る結果となり、久木の元へと向かいます。

二人は身体を重ねながら、「最高の愛の瞬間のまま死ねたら」という凛子の願いに久木は共感し、誰にも告げず、二人でこの世を去るために心中を決意します。久木と凛子は雪深い温泉旅館へ向かい、生命を絞るように激しく求め合いながら、互いに毒の入ったワインを口にします。後日発見された二人の心中死体は、局所が結合したままの愛の絶頂の瞬間の姿でした。

失楽園の映画キャストを紹介!

失楽園の久木祥一郎役は役所広司

出版社の元編集長で、根っからの仕事人間です。売上目標のために数字を伸ばしたい営業との喧嘩で左遷された後は暇な調査室配属となり、仕事への熱意を失います。その後、松原凛子と出会い不倫関係となった末、映画のラストシーンでは凛子と心中することを決意します。

失楽園の松原凛子役は黒木瞳

久木の不倫相手で書道教室の講師をしています。25歳の頃、お見合いをきっかけに夫・晴彦と結婚しますが、夫婦の中に不満を持ち、やがて久木との不倫関係に囚われていきます。久木と同じく映画のラストシーンで最高の愛の形として、久木と心中することを心に決めます。

失楽園の久木文枝役は星野知子

久木の妻で、自宅でタイルのデザインを描く仕事をしています。真面目で控えめな性格の持ち主であるが、内心では結婚当初から仕事を重視してきた久木に対して不満を持ち続けています。

失楽園の知佳は木村佳乃

久木夫婦の娘。夫である徹と結婚し、久木夫婦の元から離れて暮らしています。実感に帰った際の久木夫婦のやり取りから夫婦仲が変化していることを感じ取り、思い悩む。

失楽園の徹役は村上淳

知佳の夫。知佳と2人暮らしをしており、正月に知佳と共に久木家を訪れ、4人で近くの神社に訪れます。メガネをかけて髪の毛を後ろで縛った風貌をしています。

失楽園の松原晴彦役は柴俊夫

凛子の夫。医学大学の職員をしており、研究室で仕事をしたり、学会に参加したりしている。凛子の養父が心臓発作で倒れた時は、病院で色々と手を尽くすなど医療に関して頼りになる存在として描かれている。

失楽園の三浦節子役は岩崎加根子

凛子の母。凛子が幼いころに最初の夫と離婚し、その後再婚となった二番目の夫は優しい性格で、凛子を我が子のようにかわいがっています。映画の中盤で二番目の夫を亡くした際に、葬儀後に凛子に対して夫を大事にするようにと助言します。

失楽園の衣川和記役は寺尾聰

久木の友人。カルチャーセンター勤務で、久木に凛子と出会うきっかけを作った人物です。久木とは時々会って食事をしながら近況を報告し合う仲。現在お目当ての女性はいないが、映画の中で最近無性に恋がしたくなったと久木に打ち明けるシーンが出てきます。

失楽園の小畑常務役は中村敦夫

出版社で働く久木の上司。久木と凛子に関して一方的な好意を強引に押し付けているなどと記された身上書の手紙が会社に届いたことを見て、久木に事実確認のため面談をする。

失楽園の映画の魅力とは?

人間の感情を見事に描写

寄り添う男女

主人公である久木祥一朗と松原凛子が不倫をするというあらすじですが、物語のラストまで不倫を美化することや批判するようなことはなく、不倫をする男女の感情やその周りの人間の苦悩がしっかりと表現されています。そのため映画を見た感想として、不倫に揺れ動いていく人間の葛藤が強く描かれているイメージを受けます。

「失楽園」を表現するにあたり見事なキャスティング

久木を演じるのは当時41歳の役所広司、不倫相手の凛子を演じたのは当時37歳の黒木瞳です。どちらも日本を代表する俳優ですが、不貞とは無縁に思えるイメージの両者。不倫をしそうにない堅実な人間が不倫により今ある生活を崩壊させる「人間の弱さや危うさ」が物語のあらすじの中によく表われているのは、そんな二人が演じるから意外性があるからこそという感想を受けます。

愛とはなにか?について色々と考えさせられる映画

「失楽園」はタイトルからどうしても不倫が大きなテーマという感じを受けますが、映画を見た感想は、久木と凛子の愛の深さとその反面に両者とも既婚者であるパラドックスに対する苦悩が強く表れているようです。好きでもない人といる日常の生活の場である家庭と愛している人と過ごせるが社会的には否定される不倫の関係、その天秤から2人は不倫を選択します。

愛の形

しかし葛藤の末、ラストシーンでネタバレをした通り、2人は決断した死を至上の愛という形で解釈します。愛として本当は何が正しいのかということを考えさせられ、久木と凛子が見出したラストの死という答えは人それぞれの違った感想が生まれる程の深みを映画に与えています。

失楽園の映画を観た感想や評価とは?

繊細な感情の描写と大人の恋愛の表現が秀逸

この映画の話題中心は「失楽園」というタイトルと大胆な性愛描写ですが、映画から受ける感想としては様々に揺れ動く人間の感情が繊細に描写されていることが印象的であるという点です。また不倫がテーマになっていますので、不倫を正当化したり批判したりしそうなものですが、主人公側の視点や周囲の視点に偏ることがなく、物語のはじまりからラストまでバランスの良い視点で大人の恋愛を描いている点もこの映画の大きな魅力です。

不倫は果たしてハッピーエンドとなるか?

久木と凛子は互いに既婚の身です。そんな二人が日々の葛藤からついには不倫の関係となります。確かに2人の愛は深く、純粋に互いのことを愛していますが、ネタバレの後半で記載した通り最終的には全てが明るみになり、二人は自らの命を絶つという選択をしました。これは失楽園というタイトルが示すところの結末なのかもしれませんが、結局は不倫によって幸せになることはなかなか難しいのではないかと感想を受けました。

映画の意味する「失楽園」とは?

落ち込んでいる中年男性

失楽園の映画の中で出てくる男性陣はみなどこか無力で途方に暮れているように描写されています。ネタバレの冒頭でも出てきますが、主人公である久木も映画冒頭から、栄光ある編集長の座から閑職の研究室配属に左遷されてしまいます。仕事一筋であった人間が左遷されるという無気力にならざるを得ないイベントから物語が始まるのです。

落ち込む

そんな背景から受ける感想は、高度成長期後の日本で多忙で収入の多かった時代から衰退し、男性の地位がどんどん下がっていく、そんな中高年男性が多かった時代の影響があるという点です。かつての栄光が堕落し、居所が失われる男性、そんな無気力な男性を愛さないといけない女性の落胆、そうした男女双方の失楽園が最後の希望としたのが不倫であった。そういった現代社会の傷の深さを表した映画だったのだという感想を持ちます。

純粋な愛とはなにか?

愛

役所広司と黒木瞳の演技力があってこそ感じることができるのかもしれませんが、過激な描写の裏で久木と凛子の愛の深さを感じることが出来ます。家庭崩壊を避けて好きでもない相手と一緒にいることよりも久木と凛子は不倫という選択肢を選んで一緒にいることを望んでいます。映画中「本当に貴方が好きなのに、これを何故、不倫と呼ぶの?」という凛子の印象的なセリフにも真実の愛が描写されていて、深く胸に突き刺さるシーンです。

失楽園の映画の魅力やあらすじまとめ!

今回は失楽園の魅力やあらすじを紹介しましたがいかがだったでしょうか?役所広司と黒木瞳の魅力的な演技が多くの人を魅了した作品だったようです。

本映画の魅力は不倫にまつわる愛や欲望、苦悩や弱さといった人間感情の表現をストレートにかつ繊細に描いている点です。あらすじのネタバレでも書きましたが、久木と凛子は互いの今の生活に落胆し、不倫の中で純粋な愛に没頭します。最終的にはラストシーンで至高の愛として死を選択しますが、このラストの結末に至る部分で不倫が社会的な倫理観から否定される行為であるが、それでも愛に生きたいという感情がよく表れています。

また、役所広司と黒木瞳というベストキャスティングにより、不倫をしそうにない人間が不倫に堕ち、今までの生活を崩壊させていく人間の弱さと危うさを見事に表現しています。久木は仕事一筋な人間、凛子はしとやかな女性。双方とも堅実な人物であるが、そんな人物が不倫へと向かっていくからこそ、「失楽園」という言葉に対する感想が様々に生まれる程の深みのある作品に仕上がっています。

夜の繁華街

1997年ごろの中高年男性は、過去多忙な社会人としての激務に耐え、収入もそれだけに大きく華やかな地位であったようです。その経験から、その後の衰退期に訪れる左遷などの社会的な地位の転落に対して意気消沈する人が多かったでしょう。そうした時代背景は2018年の今、本映画を見るにあたって重要なイメージです。そのイメージを意識すればこそ、タイトルである失楽園の意味が様々な深みを持ちます。

最後に、この映画で描かれている愛とは、ただ単純に人を好きであるということだけでは収まりません。愛することはきれいごとだけではなく、立場や状況次第では周囲の人間や生活を犠牲にしてしまうことがあります。「恋愛は聖なるものだけではなく、痛みや罪悪を伴ったもの」とも取れる愛の難しさを語り、不倫だけではなく、恋愛全般に対して愛とは何か?を見る側に考えさせるメッセージ性を持っています。是非ご覧ください。

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