2018年09月30日公開
2018年09月30日更新
ゆれる人魚のネタバレ感想とあらすじ!人食い人魚の姉妹の結末は?
ポーランドの女性監督が手掛けた映画、ゆれる人魚。「第10回したまちコメディ映画祭 in 台東」(2017年9月15~18日)の特別招待作品として上映されるなど人気を博した作品となっていますが、内容はかなり奇々怪々。肉を食べる、人をも食べる人魚が人間界へやってきて成長していくあらすじですが、その過程や方法、何より人魚たちが恋をしたことによってホラーファンタジーの要素がより一層深まるゆれる人魚。本映画のあらすじと結末のネタバレを交えてまとめていきます。
目次
妖艶かつ繊細で魅力的な映画のゆれる人魚をネタバレ!
人魚と聞くと美しい姿を想像しますが、本映画のゆれる人魚はそうではありません。感情が生々しく表現されておりファンタジーな内容ではありますがホラーがそのファンタジーを打ち消しているほどグロテスクであり、純粋に怖さを与えてきます。人魚は人魚でも「人喰い人魚」そんあ映画今まであったでしょうか?グロテスクな作品ですがごこか魅了されサクサクとみられる映画とも言われるゆれる人魚。本作のあらすじをまとめます。
ゆれる人魚の映画作品情報
共産主義下にあった1980年代のポーランドが舞台となり、肉を食べる人魚たち姉妹が大人になることを描いた「ホラーファンタジー」映画です。海から陸に、人間界にやってきた人魚たち姉妹はワルシャワの1980年代を意識したナイトクラブに迷い込みます。そこで見た妖艶且つ大胆な姿の女性たち。人魚姉妹もそこでなら不審に思われず、むしろ人気と注目を攫う魅力的な女性と昇華していくのです。これが大まかなあらすじですが…
この映画を監督したポーランドの女性監督、アグニェシュカ・スモチンスカはこのゆれる人魚が初の長編映画だと言われており、衝撃的デビューを果たしたのです。スモチンスカ監督がこの映画で最も大事にしたポイントは「ホラーと恋、醜さ、歌の歌詞、そしてリアリズムが一つになっている」と表現し、日常を過ごす人魚姉妹は常に上半身が裸なのも衝撃な点の一つと言えるでしょう。そこにも監督なりのこだわりがあったとか。
ゆれる人魚の映画あらすじをネタバレ紹介
ここからゆれる人魚の大まかなあらすじをネタバレを含んでまとめていきます。物語の始まりは人魚の姉妹、姉はシルバー、妹はゴールデンと名がついており海に打ち上げられていたところをナイトクラブのシンガーたちに見つかり連れていかれる所から始まります。そして、オーナーの元に連れていかれたシルバーとゴールデン、二人は人間の目の前で人間の足から人魚の尻尾になる過程を見せ信じてもらいます。
人魚は歌が上手いとも言われておりシルバーとゴールデンも歌声がとても綺麗であり二人で高音と低音を使いこなして歌うため、聞いた人すべてを魅了していきます。そのナイトクラブで二人デュエットを組み働き始めます。人間界のことを段々と知ってきた彼女たち、デパートでオシャレな服を買ったり、タバコなどを吸ってみたりと陸での生活に心を躍らせていました。そんなある日、シルバーは一人の男性に恋をしてしまいます。
シルバーが恋したのはバンドメンバーの一人であるミーテクでした。恋をしたシルバーの姿を見てゴールデンは応援するのではなく心配になるのでした。ミーテクに思いを寄せているシルバー、しかしそのミーテクが他の女性と万が一結婚したとなればシルバーは泡となり消えてしまうのです。それが人魚の運命なのです。そんなストレスもあってか、ゴールデンは人間界にやってきてからずっと抑えていた衝動を抑えきれなくなっていました。
元の二人は人魚、それも肉を食べる人魚なのです。人間界に来てそれは危険な事だと理解していた二人、しかし根幹の本能を抑えることにも限界があり、とうとうゴールデンが人間を食べてしまうのです。ここからネタバレになりますが、かなり衝撃的な結末を迎えることになります。シルバーとゴールデンはお互いに秘密を隠しナイトクラブに戻りましたが、シルバーは自身の思いを抑えることができずミーテクに気持ちを告白します。
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しかし、ミーテクは人間ですので人魚とは愛し合うことはできないとシルバーの恋には答えてくれません。それでも諦められなかったシルバーは人魚の下半身と人間の下半身の移植手術を受けるのです。このことに対してゴールデンは猛反対、人魚を捨てると今の美しい歌声がなくなってしまうと説得を試みますがシルバーの恋に対する意志は固く、人魚を捨てることを決意していたのです。もう何も言えないシルバーは説得を諦めます。
そして、人魚から正真正銘の人間となったシルバー。恋にかける思いは誰よりも強かったのです。そんなひたむきな姿を見たミーテクは次第にシルバーのこと見直していき、惹かれていきます。そしてシルバーの恋がついに実りミーテクと愛し合おうとした直後、さらなる悲劇がシルバーを襲います。それは人間として下半身を手に入れた部分から血が滲み滴っていたのです。それを見たミーテクはひどく怯えシルバーの元から逃げ出します。
ゆれる人魚の映画の結末はどうなる?
愛するミーテクから拒絶されたシルバー、その後ミーテクは他の女性と普通に結婚してしまいます。その結婚式のパーティに出席した二人。シルバーはミーテクに恋をしたことは後悔してはいませんですが、まだ未練がある様子。ゴールデンはこのままでは姉が泡となり消えてしまうことを酷く心配していました。そしてミーテクが他の女性と結婚したのを機に、シルバーに恋したことを忘れミーテクを食べることを勧めたのです。
ゴールデンに決死の説得により一度はシルバーに理解させます。このままでは消えてなくなるのはシルバーとしても望まない展開なのでしょう。シルバーはミーテクの元へ赴き、抱きしめ一度は食い殺そうとしますがミーテクへの思いや自身の恋を否定することになることを感じ、ミーテクも殺されるのも分かっていましたが何もしないシルバーが気がかりになり見つめ合います。シルバーは儚げにミーテクを見つめ泡となり消えていきました。
その様子を近くで見ていたゴールデン。姉が泡となって消えてしまったことを目撃したため悲しみのあまりにミーテクに襲い掛かり食い殺してしまうのです。シルバーの思いやミーテクの思い、そして姉が大切だったゴールデンの思いが交差し行き違ったために起きた誰も座れない結末でゆれる人魚の結末は幕を閉じました。グロテスクではありますが、どこか儚げでわくわくするストーリー展開を見せてくれるゆれる人魚。
ゆれる人魚の映画の感想と評価
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ゆれる人魚のあらすじと結末をネタバレを含んでまとめましたが、この映画を見た人はどのような感想をもったのでしょうか?ホラーファンタジーという題材で映画が進んでいきましたがグロテスクな描写が見た人の度肝を抜いたと言われています。そして何よりゆれる人魚の結末が悲しく衝撃的であったことから話題になっていました。実際にどのような感想が多く寄せられているのか、見どころなどをまとめていきます。
ゆれる人魚、本作の軸はミュージカル映画となっています。監督であるスモチンスカを始め、スタッフ全員の思いが込められた作品となっているそうです。スタッフたちのほとんどが1970年生まれであり子供時代に体験した旧東欧文化への郷愁が込められた作品に仕上がったそうです。ゆれる人魚の冒頭を見た人はどこか懐かしさを感じる、思い出がよみがえったなど主にその年代が楽しめる作品ともなっているゆれる人魚。
注目すべき点は、このゆれる人魚は「人魚姫」をベースに制作された映画となっているのです。絶世の美女と言われている人魚姫、そのオマージュとして二人の美しい人魚が登場しています。ブロンドの髪が印象的で優しさが感じ取れる姉のシルバー、黒髪でクールアンドセクシーが特徴的で姉のことをとても慕っている妹のゴールデン。一見対照的な二人ですがお互いが支えあって過ごしていく姿は魅力的であり見どころでもあるのです。
このゆれる人魚の映画のあらすじは海で生活していた人魚の少女姉妹が人間界で大人の世界を知っていき成長するという流れで物語が展開していきます。その過程を生々しく表現することで見ている人をその世界に引き込ませようとしていると言われています。とても美しい人魚たちですがその内面は肉を食う狂暴な一面を持ち合わせています。そんなギャップが少女たちの成長を模しているのではないかと言われ、純粋に奥深く見られます。
人魚の狂暴さ?
シルバーやゴールデンの人魚の尻尾はとても綺麗とは言えず、むしろ不気味さを感じさせる造りをしています。人魚姫から感じ取れる美しい尾とは対照的に、まるで蛇のようなヌメヌメとした、少々グロテスクさをまとった尾となっています。これはギリシャ神話の「セイレーン」をイメージしたのではないかと考察されています。セイレーンとは、半身が人であり鳥であり、また後世には鳥ではなく魚の身体を持っていたと言われています。
何より特徴的なのが、セイレーンの歌声の美しさと言われています。その歌声を用いて船乗りたちを誘惑し沈没に追い込むと言われている神話にもなっているほどの伝説が残っています。船乗りたちはその歌声に騙され、魅了され、最後には食べられてしまうという悲惨な結末を迎えますが、このゆれる人魚はそのセイレーンを彷彿させる映画となっています。人を食べる人魚はかなり斬新な設定ですがそれがはまりヒットしたのでしょう。
人魚の良さを活かした映画
このゆれる人魚の良さは歌だけに留まりません。妙にリアルな人魚の姿にも注目が集まっています。人魚と言えば可愛らしいイメージが沸くと思いますが、この人魚姉妹は違います。歌声は確かに本物ですが尻尾の部分が妙に生々しかったり、鮫のように強靭な歯やイルカが使う超音波のようなもので会話したりと、人間離れしている部分が多々見受けられました。リアリティに関しては賛否両論ありますが見ごたえはかなりあると言われます。
冒頭はファンタジー…?
ゆれる人魚の始まりはシルバーとゴールデンが人魚たちの死骸を分けて泳いでいるシーンから始まります。この時点でもう怖さが漂っていると感想が多く見受けられました。そして、水辺で音楽を奏でている男女に遭遇し人魚の歌声を披露するのです。その歌に魅了される男性ですが、女性は衝撃を受けたのか悲鳴をあげます。それほどまでに人魚の歌声とは称賛に値するものだったのでしょう。歌声に関する感想が多いのも道理でしょう。
海の世界で厳しい生活をしてきた反動で陸の世界ではかなり大胆に振舞っていたのでしょう。ナイトクラブという異色な世界に触れ、さらに世界は広いと実感した人魚姉妹。人間界に行くとき、その尾はどうするのか?と疑問の声も多かったですが陸に上がると人間のような足に変化したのです。これは人魚が水にに触れなければ尾が乾き人間のような足になるという設定が取り入れられているためでしょう。人魚を感じさせない美人な姉妹。
しかし、そのナイトクラブのオーナーはシルバーとゴールデンから人ではない匂いをかぎ分けられます。そう、どんなに姿を偽っていても彼女たちは人魚なのです。そして根底にある肉を食べるという衝動には勝てないのです。ですがオーナーはお金儲けのために彼女たちを利用しナイトクラブで雇ったのです。人の醜さなどもかなり過激に描写されており、ゴールデンが耐え切れず指を噛みちぎる場面は見た人の記憶に残ったでしょう。
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人々は人魚見たさにナイトクラブを訪れます。歌声もさることながら、人の足から人魚になっていく過程を観客に見せる場面など常軌を逸している感じが漂っています。しかし、観客はその変化を珍しくは感じていますが「大発見」とまでの認識ではなかったのです。ナイトクラブという盛り上がる場所で正常な考えが出来ないのかもしれませんし、それが見たいがために訪れているのではと考察されています。
そしてこの映画の一番の鍵となる、人魚の「恋」この恋からポップな雰囲気から一転、どろどろのファンタジー作品へと変貌していきます。シルバーとゴールデンと一緒にナイトクラブを盛り上げていたバンド。その一人ミーテクにシルバーが惚れてしまうのです。しかし、このミーテクが結構な悪い人であり見た人は「ひどすぎる」などとミーテクを罵倒する声が多いですが、かっこいいとの声もありシルバーとの関係の変化は必見です。
上記のあらすじに沿って感想をネタバレを交えてまとめましたがかなり衝撃を受けた方は多いと言われているゆれる人魚。このゆれる人魚のネタバレを見ると誰しもが驚き、人魚とのギャップもあってか見たいという声がたくさんあり期待通り面白かったという評価も受けています。
ゆれる人魚は大人のおとぎ話だった!
ここまでゆれる人魚のあらすじ、結末をネタバレしましたが、ネタバレだけではこのゆれる人魚の衝撃は感じられないでしょう。あらすじを読み気になった方はぜひ一度この映画の結末を見てみてください。あらすじのネタバレでもグロテスクな場面やホラー要素など衝撃を受ける部分は多々ありますが見ると結末と共に納得できると言われています。人魚と肉を食うという独創的なテーマをぜひ肌で感じて下さい。