2019年05月22日公開
2019年05月22日更新
歴史映画のおすすめ30選!おもしろくて勉強にもなる人気作を徹底解説
様々な国の歴史的人物の偉業やその時々の風土を見せてくれる「歴史映画」。今回はその「歴史映画」のなかから勉強にもなるおすすめの映画を徹底紹介!日本だけでなくヨーロッパやそのほかの地域の「歴史映画」も紹介していきます。歴史的人物に触れながら、その人物の偉業と周辺の歴史的事象も解説。人気のある「歴史映画」から時代考証など勉強になる「歴史映画」まで幅広く触れてみましょう。
目次
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP30〜26
皆さん、「歴史映画」というジャンルはお好きですか?歴史上の人物や歴史的事件を巡るのが「歴史映画」です。今回はその「歴史映画」のなかから勉強にもおすすめな歴史考証が緻密な映画を人気の作品からマニアックな作品までピックアップしてランキング形式でご紹介します。日本のみならずヨーロッパやほかの地域の映画も紹介しますので、勉強したい方も楽しみを増やしたい方も是非ご覧ください!
Tips:歴史映画とニュース
19世紀後半、リュミエール兄弟らの手で発明された「映画」は『工場の出口』(1895)など「日常を切り出してみせる映像」としての意味合いが強かったと言います。これらは「記録映画」と呼ばれ、現代でもドキュメンタリー映画として発展したジャンルです。そのなかでも、映画以前の観劇文化のなかでも愛されていた「歴史的人物の偉業を題材とした映画」が歴史映画です。
「記録映画」から「歴史映画」「ニュース映画」あるいはそのほかのジャンルへと映画が分化していった背景を勉強したい場合は2016年にティエリー・フレモー監督の『リュミエール!』を観てみれも楽しいでしょう。
「記録映画」と「歴史映画」は非常に密接したジャンルであり、映画黎明期の時代にはシアターで映される「記録映画」と「歴史映画」がニュースの代わりに人々の教養や勉強を助けていたとも言われています。また戦時中になると「ニュース映画」というジャンルが発展し、戦地に赴いたカメラマンが撮ってきた映像を脚色した上で流すという手法が各国で行われました。
30位:レッドバロン
まずご紹介するのは第一次世界大戦の航空戦の事情やエースパイロットである「マンフレート・フォン・リヒトホーフェン」について勉強できる2008年の映画作品、『レッドバロン』です。監督はニコライ・ミュラーション監督で、マイナーな映画ながら第一次世界大戦の情景を勉強したり、第一次世界大戦モチーフの映画にしては珍しい夜間飛行のシーンなどが観られます。
Tips:マンフレート・フォン・リヒトホーフェン
マンフレート・フォン・リヒトホーフェンは、ヨーロッパ全土のみならず第一次世界大戦参加国すべてのなかで最高の撃墜機記録を保持するドイツのエース・パイロットです。「レッド・バロン」や「赤い悪魔」の異名で呼ばれ、第一次世界大戦の初期の頃からその異彩を世界に知らしめ、エースパイロットを用いたプロパガンダの最初の例になった人物でもあります。激戦の最中25歳という若さで亡くなることとなりました。
ハンサムでプライドと騎士道精神にあふれ、そして戦闘に熱中すると周りが見えなくなるという非常に表情豊かな人物で、周りの人々からも敵味方問わず愛されていたとされています。映画の劇中では、『ガン・ドッグ』(2018)でもヨーロッパ圏ではおなじみのマティアス・シュヴァイクホファーがマンフレート・フォン・リヒトホーフェンを演じており、甘いマスクと若さゆえの激情を演じきっています。
29位:火天の城
田中光敏監督の『火天の城』(2008)は「長篠の戦い」で武田軍を破った織田信長が安土城を建築するにあたって活躍した宮大工の棟梁である岡部又右衛門とその一派の人々の安土城建築に至るまでの激闘を描いた日本の歴史映画です。原作は山本兼一先生の同名の小説で、安土時代の日本の建築における仕組みや分化風土も勉強出来ます。
Tips:安土城と岡部又右衛門
岡部又右衛門はもともと、熱田神宮の宮大工の一族の棟梁で尾張(現代の愛知県西部)を本距離としていたため、その地で覇権を争っていた武将の織田信長に安土城建築の命を任されることになります。『火天の城』の岡部又右衛門は西田敏行さんが演じており、そのほか大竹しのぶさんや椎名桔平さんなど豪華キャストが歴史的人物たちを演じています。
劇中でも焦点になっていますが、従来の山城とは全く別の視点での建築を織田信長は安土城に求めていたと言われています。それは、見事な石垣と威光を示すような絢爛豪華なつくりであり、劇中でも安全性の問題など信長の意向と大工としての意見が対立する場面もありました。琵琶湖に面した壮大な城の情景も見どころです。
28位:パッション
メル・ギブソン監督の描くイエス・キリストの有名な逸話をモチーフにした作品が2004年の『パッション』です。非常に宗教色が強く、キリスト教における重要なワンシーンを映画で勉強できるほか、壮大な情景や人々の立ち姿に古代ローマ期の風情を知ることも出来ます。ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世もご鑑賞され、「真実である」とコメントしたことでも有名です。
Tips:聖書と映画
聖書の有名な逸話をモチーフにした歴史映画は多く存在します。例えば、イエス・キリストの受難を背景にした『ベン・ハー』(1959年ウィリアム・ワイラー監督)はかなり宗教色が強いですし、大罪を犯した人間たちへの罰として大洪水が起き人類と生き物たちが剪定された「ノアの箱舟」は『ノア 約束の舟』(2014年ダーレン・アロノフスキー監督)などがあります。
また、聖人モーセが人間が生きる上での神との約束を記した「十戒」は『十戒』(1956年セシル・B・デミル監督)、そしてモーセが海を割ってエジプトから信徒を連れて去る「出エジプト」は『エクソダス:神と王』(2014年リドリー・スコット監督)など特にヨーロッパ圏においては、枚挙に尽きない重大なテーマになっているのです。
27位:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を変えることになった大事件のひとつに「エニグマ暗号の解読」があります。その立役者であるイギリスの暗号解読者アラン・チューリングの半生を描いた歴史映画がモルテン・ティルドゥム監督の『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)です。ヨーロッパでは非常に有名な「エニグマ暗号」の実態やその解読方法などが克明に記されています。
Tips:アラン・チューリング
アラン・チューリングはヨーロッパを代表するイギリスの科学者で、その分野は数学、論理学、暗号解読、哲学、コンピュータ科学など多岐に渡りました。日本でも後々彼の残した功績を利用したプログラムなどは使用され、「チューリングマシン」という名前でご存知の方がいるかもしれません。同性愛者であったためにその功績を奪うように告発され最期は自殺してしまうという非業の死を遂げた人物でもあります。
劇中では日本でも大人気のベネディクト・カンバーバッチがその複雑で洞察に満ちたアラン・チューリングを堂々と演じており、ヨーロッパのみならず日本でも人気の映画となりました。
26位:清洲会議
大河ドラマ『新撰組!』などでもお馴染みの日本の映画監督である三谷幸喜さんが2013年に公開した『清洲会議』は日本史のなかでも有名な大事件をコミカルにデフォルメしながら描ききっている意欲作です。織田信長が「本能寺の変」(1582)で死亡したあとに信長の家臣団と領地をどのように統括するかを議論した同年の「清洲会議」を題材にしています。喜劇として筋立てられながら人物の特徴が掴みやすいので勉強にもなります。
Tips:豊臣秀吉と柴田勝家
織田信長亡き後、実質的な後継者争いが起きたのが天正10年6月27日に行われた「清洲会議」です。羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)と柴田勝家の2人が筆頭となっており、片や農民上がりから数々の奇策と中国地方からのおお返しで次々と功績を上げてきた「サル」こと羽柴秀吉と、古くから織田家中の重鎮として家臣団を引っ張っていた「鬼柴田」「瓶割り柴田」こと柴田勝家のそれぞれが推す世継ぎのどちらを取るかが焦点になっていました。
劇中では大泉洋さん演じるおとぼけ顔の羽柴秀吉や役所広司さん演じる不器用な柴田勝家などそれぞれの歴史人物の逸話などをデフォルメ化したような配役と演技でとてもわかりやすく話が展開しているため万人におすすめ出来る作品になっています。また、愛知県重要無形民俗文化財に指定されている「くつわ踊」が踊られたことでも有名です。
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP25〜21
25位:アラモ
アメリカの愛国心にまつわる名言のなかに「アラモを忘れるな」という言葉があります。この「アラモ」とはテキサス独立戦争の「アラモの戦い」(1836年)にまつわる名言で、この「アラモの戦い」は何度も映画化されているアメリカ人にとっては重要なテーマのひとつです。今回ご紹介するのはそのなかでも1960年に西部劇のスターであるジョン・ウェインが主演・監督をつとめた『アラモ』です。
時代考証には少々難があるものの、テキサス独立戦争の様子や「アラモを忘れるな」という名言が生まれる地盤を知ることができるため、アメリカの開拓史を勉強したい方にはおすすめ出来るでしょう。
Tips:デイビー・クロケットとアラモの戦い
デイビー・クロケットはテキサス独立を支持し、アラモの戦いで戦死した軍人ないしは政治家で日本ではあまり有名ではないかもしれませんがアメリカではとても有名な英雄の1人になっています。テキサスやテネシーを中心にインディアンとの闘いや野獣狩りで活躍した「アメリカ開拓史」の代表的な人物で、毛皮の帽子をトレードマークにしていたことから「クロケット帽」の語源にもなっています。
アラモの戦いでは圧倒的劣勢のなかでテキサスのカウボーイたちとともに最後の最後まで闘い抜いた様が映画中でも堂々と語り継がれています。特にメキシコ軍の鼓笛隊による演奏シーンは壮大で現代でも人気の高い場面になっています。
24位:300
古代ギリシアの歴史的な事件のひとつに紀元前480年の「テルモピュライの戦い」があります。「テルモピュライの戦い」はペルシア戦争のギリシア軍麾下の都市国家「スパルタ」とアケメネス朝ペルシアの戦争の一幕で、300人のスパルタ兵がレオニダス1世のもとクセルクセス1世のペルシア軍の大軍と拮抗した驚くべき戦争です。ザック・スナイダー監督の『300』では主人公のレオニダス1世と愛する精鋭の部下たちの活躍が描かれています。
Tips:レオニダス1世
レオニダス1世は都市国家スパルタを治めていた屈強な王であり、ペルシア戦争の英雄のひとりです。スパルタはその兵士の練度の高さや勇敢さから「テルモピュライの戦い」の戦没者たちを英雄として碑文が建てられました。古代ギリシア世界で最強の重装歩兵軍を持っており、「ファランクス」という大盾で護り合いながら槍衾のように敵を討つ戦法や類稀なる肉体能力、そして地の利を利用した戦術でペルシア軍と拮抗するという偉業をなしました。
23位:アビエイター
第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦間期に一気に航空技術を押し上げたアメリカの実業家ハワード・ヒューズの生涯と航空機の発達、そして映画産業事情を知ることが出来る映画がマーティン・スコセッシ監督の2004年の作品『アビエイター』です。レオナルド・ディカプリオ主演でアカデミー賞など多くの賞を受賞しました。
Tips:ハワード・ヒューズ
アメリカを代表する資産家であり、映画監督、飛行家、発明家でもあった「地球上の富の半分を持つ男」と言われる偉人がハワード・ヒューズです。映画監督として第一次世界大戦のパイロットたちを描いた『地獄の天使』(1930年)などを撮ったのちにそのままヒューズ・エアクラフトという航空会社をつくり、レース用の飛行機からジェット機まで多くの航空機を作り出しました。また強迫性障害を持った苛烈な人物としても知られています。
22位:カストラート
バロック時代の音楽史を知る上で非常に役に立つ映画は、ジェラール・コルビオ監督の『カストラート』です。男性を去勢することにより人為的な声域を生み出した「カストラート」という歌手たちのうちでも最も有名なファリネッリ(カルロ・ブロスキ)の生涯を美しくも切なく描いています。ソプラノ歌手とカウンターテーナーの2人の歌手の声を合成して再現した歌声は非常に高度な音響技術で支えられています。
Tips:ファリネッリ
ファリネッリことカルロ・ブロスキはスペイン・ブルボン朝のフェリペ5世が寵愛したイタリア人の王室歌手で、3オクターブの声域と強靭な肺活量をもつヨーロッパ1のカストラートだったと言われています。
イタリア・オペラの隆盛の立役者でもあり、映画劇中でも聴いたものを魅了し失神させるほどの美声であったと描かれています。ミュージカル映画などにも通じるものがあるのでそういった映画が好きな方におすすめ出来ます。
21位:ジャンヌ・ダルク
15世紀のフランスとイギリスの関係性がわかりやすく描かれている映画がリュック・ベッソン監督による1999年の『ジャンヌ・ダルク』です。「百年戦争」と呼ばれる大規模な中世の戦争とそのなかで英雄から魔女まで歴史に翻弄されることになるジャンヌ・ダルクをミラ・ジョボヴィッチが演じきっています。泥臭い戦争風景や過激な表現なども特徴です。
Tips:ジャンヌ・ダルクと百年戦争
ジャンヌ・ダルクは「オルレアンの乙女」とも呼ばれるヨーロッパでも有名な中世のキリスト教聖人で、バル公領の村ドンレミの出身である日神の天啓を受けたとして百年戦争に疲弊する民や兵たちを率いるようにして「オルレアン包囲戦」(1428年〜1429年)に参戦し、フランスに勝利を齎しました。
しかし、「コンピエーニュ包囲戦」(1430年)でジャンヌが捕縛されると異例の処理として異端裁判にかけられ魔女として火炙りにされるという悲劇が彼女の身を焼くことになったのです。ヨーロッパの様々な国で評価がされ半ば神格化されている聖人のひとりでもあります。
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP20〜16
20位:のぼうの城
豊臣秀吉の「小田原城攻め」のうちの一戦線である「忍城の戦い」を舞台にしているのが、犬童一心監督と樋口真嗣監督のタッグによる日本の歴史映画『のぼうの城』(2010)です。非常にわかりやすいストーリーラインと時代考証で歴史映画慣れしていない方にもおすすめ出来ます。
Tips:成田長親
劇中では野村萬斎さんが演じていた成田長親は埼玉県行田市に存在した「忍城(おしじょう)」を治めることになってしまった城代です。際立った人物ではありませんが、史実上でも周辺に住んでいる農民たちとも仲が良かったであろう解釈がされており、500人余りの兵と民たちとともに2万以上の石田三成率いる兵と拮抗したと言われています。
19位:ブレイブハート
スコットランドの歴史を学べるドラマティックな映画はメル・ギブソン主演・監督の『ブレイブハート』(1995)です。13世紀のスコットランド独立戦争の英雄であるウィリアム・ウォレスを主人公とし、イングランドとの確執の理由やスコットランドの文化などを雄然と描いています。
ヨーロッパのみならず日本でも評価が高い作品のひとつです。ロマンス要素などの脚色を加えつつ細やかな描写など歴史考証を出来るだけ史実に近く描いているためダイナミックな作品が好きな方におすすめです。
Tips:ウィリアム・ウォレス
ウィリアム・ウォレスはスコットランド独立戦争の英雄で、1297年の「スターリング・ブリッジの戦い」でイングランド軍に勝利を収めるなど、イングランド王であるエドワード1世に対し毅然と向かっていった人物です。「スコットランド愛国精神の発明者」とも呼ばれヨーロッパでも人気の高い偉人のひとりになっています。
18位:アマデウス
18世紀末の音楽史や風俗史などを知る上で欠かせないダイナミックな映画はブロードウェイの舞台『アマデウス』をミロス・フォアマン監督が映画化した1984年の『アマデウス』です。音楽映画が好きな方に特におすすめしたい作品で、18世紀のウィーンの宮廷音楽やお馴染みの曲目が壮大な画面のなかで流れる様は圧巻です。
Tips:アントニオ・サリエリ
アントニオ・サリエリはヨーロッパを代表する音楽家のひとりで本人自体も宮廷音楽家のなかでもずば抜けて優秀でしたが、ベートーヴェン、シューベルト、リストらを育てた名教育家としての顔も有名です。なかでもモーツァルトと宮廷音楽家同士の確執で激しく対立していたことからモーツァルト死亡の容疑者として名前があがることになりました。
17位:男たちの大和/YAMATO
日本の戦争映画のなかでも大掛かりで興行収入面でもかなり成功した歴史映画が佐藤純彌監督の『男たちの大和/YAMATO』(2005)です。アメリカやヨーロッパの人々にもその名が知れ渡っている「戦艦大和」の建造から沈没までの記録を描いています。
戦争映画としての側面が非常に強いためそういったものが苦手な方にはおすすめしづらいですが、太平洋戦争当時の実写映像が随所に挿入されるなど記録映画としても緻密なのでそういったものを勉強してみたい方にはおすすめの一本です。
Tips:戦艦大和
戦艦大和は大日本帝国の海軍によって第二次世界大戦期に建造された大和型戦艦の1番艦です。世界一巨大な戦艦であり、唯一46センチ砲を装備していた排水量64,000トンの巨大戦艦です。太平洋戦争開戦直後の1941年(昭和16年)12月16日に就役し、1945年(昭和20年)4月7日、「天一号作戦」において坊ノ岬沖で撃沈されました。日本だけでなくその名は世界中に知られている歴史的な船の一隻です。
16位:キングダム・オブ・ヘブン
十字軍戦争を描いた映画のなかで最も大規模で有名なのはリドリー・スコット監督の『キングダム・オブ・ヘブン』でしょう。エルサレムのボードゥアン4世とサラディンの平和交渉からエルサレム陥落までの群像劇を描いており、主人公のバリアン・オブ・イベリン(オーランド・ブルーム)によるダイナミックな籠城戦などが見どころです。
Tips:エルサレムの平和と陥落
キリスト教を信仰するエルサレム王国のボードゥアン4世とサラセン(イスラム教徒)のサラーフ・アッ=ディーン(サラディン)による、お互いの聖地「エルサレム」の攻防はヨーロッパにとってもアラブにとっても重要な歴史的事件です。第1回十字軍が1099年に占領して以来エルサレム王国が統治していたエルサレムを劇中では「少しの悪意」やすれ違いによって内部分裂を起こしサラディンに対して宣戦を切ってしまう様が描かれています。
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP15〜11
15位:恋に落ちたシェイクスピア
ジョン・マッデン監督の『恋に落ちたシェイクスピア』(1998)は、ヨーロッパを代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピアの若き日の姿と貴族令嬢との恋愛を描くロマンス歴史映画です。有名なシェイクスピアの演目のセリフが多用されドラマティックに織り交ぜられているので戯曲や劇が好きな方にはとてもおすすめが出来ます。また、小道具や美術面での歴史考証がしっかりしているため服飾関係などが好きな方にもおすすめです。
Tips:ウィリアム・シェイクスピア
ウィリアム・シェイクスピアはイギリスが誇る16世紀の世界的な劇作家・詩人であり、『ハムレット』や『ロミオとジュリエット』『リア王』など数多くの作品を世に残しています。ヨーロッパだけでなく日本でも愛されている劇作家ですがその人生は謎が多く、様々な考察がいまだになされています。また彼自身も歴史劇をいくつも書いており、前述のジャンヌ・ダルクなどについても彼は劇の題材にしました。
14位:それでも夜は明ける
19世紀のアメリカにおける黒人奴隷の歴史を勉強できる映画のなかで有名な作品がスティーヴ・マックイーン監督の2013年の作品『それでも夜は明ける』です。過酷な黒人としての運命を描きつつドラマティックな構成とセンセーショナルな表現で多くの賞を受賞しました。エンディングのシビアさも含めて社会派な映画が観たい方におすすめの一本です。
Tips:ソロモン・ノーサップ
ソロモン・ノーサップは19世紀の黒人奴隷制度廃止を求め続けた活動家のひとりで、本人もニューヨーク滞在中に突然拉致され奴隷売買にかけられてしまうという苦渋の生活を送ってきました。12年に渡る奴隷としての生活を経て解放後はカナダなどで多くの講演を行い、自由黒人たちを支援し続けました。
13位:ヒトラー〜最期の12日間〜
第二次世界大戦中の1945年4月、「ベルリン市街戦」を背景としてドイツのアドルフ・ヒトラー最後の12日間という限定的なシーン構成でオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督は哀愁漂う群像劇を描いています。センセーショナルな題材ながら2010年にはイギリスの映画誌である「エンパイア」誌による「国際映画100選」で48位に選ばれるなど有名な作品の一作として数えられているのです。
Tips:アドルフ・ヒトラー
アドルフ・ヒトラーはドイツの政治家から国家社会主義ドイツ労働者党の指導者へと進んでいってしまった人物で、第一次世界大戦の塹壕戦での経験と戦後のドイツという国の貧困から尖った選民思想をもち、第二次世界大戦へと祖国ドイツを導いてしまいました。
12位:ガンジー
1982年に公開されたリチャード・アッテンボロー監督の『ガンジー』は、イギリス領インド帝国の「インド独立の父」マハトマ・ガンディーの一生を描いた歴史映画です。インドとイギリスの関係性が仔細に描かれており、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけてのインドの風景を知ることが出来る人気の歴史映画です。
Tips:マハトマ・ガンディー
マハトマ・ガンディーはイギリス領インド帝国に生まれたグジャラート出身の人物で、南アフリカで弁護士を勤めていましたが公民権運動に参加し、帰国後はヒンドゥー教の宗教家としてイギリスに対して不買運動を行うなど独立に向けた動きを先導し続けました。1930年の「塩の行進」が特に有名で、「インド独立の父」として日本でも広く知られています。
11位:タイタニック
世界的に不朽の名作として語り継がれる歴史映画のひとつがジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』(1997)です。1912年の英国客船「タイタニック号沈没事故」を題材として煌びやかな船内での群像劇や身分違いの恋などダイナミックな作品として現代まで多くの人々を魅了しています。史実とは少しづつ違うものの非常に再現率の高い船内の様子などは高い評価を得ています。
Tips:タイタニック号
20世紀初頭にホワイト・スター・ライン社によって建造されたオリンピック級の豪華客船で、非常に豪華な船内の装飾とジムやダンスフロアも備えた充実の設備から多くの人々に幸せを届けました。しかし、1912年4月14日深夜、北大西洋上で氷山に接触し1500人近くの犠牲者を出して一夜にして船上を地獄へと変えました。
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP10〜4
10位:ボヘミアンラプソディ
2018年の映画のなかでも日本海外問わずに社会現象を巻き起こした映画がブライアン・シンガー監督の『ボヘミアン・ラプソディ』です。20世紀を代表する伝説的ロックバンド「Queen」のリードボーカルであるフレディ・マーキュリーを主人公とした映画で1985年7月13日に行われた「ライヴエイド」までの軌跡を描いています。第76回ゴールデングローブ賞をはじめアカデミー賞など多くの賞を受賞しました。
Tips:フレディ・マーキュリー
フレディ・マーキュリーは日本でも根強い人気をもつロックバンド「Queen」のリードボーカルで、イギリスはロンドンから全国へとその歌声を轟かせ、2001年にはロックの殿堂入りをしています。フレディ・マーキュリー自身は他のメンバーと違いザンジバル保護国の出身で、出身国や両親の信じる宗教観や性的な趣向から多くの葛藤を抱え最後はHIVによる併発症状によって命を奪われました。
9位:ラストエンペラー
ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『ラストエンペラー』は1987年を代表する歴史映画の名作です。清朝最後の皇帝にして満州国皇帝となった愛新覚羅溥儀(あいしんかくら ふぎ)の生涯を壮大なスケールで描いており、20世紀初頭から満州国設立、そして第二次世界大戦後の「文化大革命」までの中国を創作的ながら知ることができる人気の映画です。坂本龍一が音楽を担当したことでも日本では有名なポイントのひとつになっています。
Tips:愛新覚羅溥儀
愛新覚羅溥儀とは大清国第12代皇帝という重責を1908年に2歳という幼さで背負い、そのあと1930年代の日本の満州国占領やイギリスとの関係、そして果てには第二次世界大戦後のソ連からの介入など人生を翻弄され続けた悲劇の皇帝です。最期には皇帝としての地位も剥奪され文化革命のなかで死を迎えることになります。
8位:この世界の片隅に
2016年に片渕須直監督によって公開されたアニメーション映画『この世界の片隅に』は日本だけでなくフランスなどを中心に世界でも愛されることになった第二次世界大戦中の広島県呉市を舞台とした人気映画です。柔らかなタッチながら歴史考証が行き渡っており、多くの賞を受賞しました。また、人気を受けて『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が2019年12月20日に公開予定です。
Tips:呉市と太平洋戦争
広島市が原爆によって1945年8月6日に焼き払われたのは、呉市に大日本帝国海軍の造船施設などが多く存在したことも大きな要因になったと言われています。そんな呉の軍事的な面だけでなく、ただの一般市民の日常を描いているのが『この世界の片隅に』の特徴で、呉市周辺の風景が緻密に描かれていると特に日本国内で評価が高くなっています。
7位:父親たちの星条旗&硫黄島からの手紙
クリント・イーストウッド監督の歴史映画のなかでも非常に大規模で人気が高いのが2006年の『父親たちの星条旗』です。第二次世界大戦の「硫黄島の戦い」(1945年2月19日〜3月26日)を日米両面から描いた「硫黄島プロジェクト」の1作目です。
同監督の『硫黄島からの手紙』と併せて非常に人気が高い映画で、歴史考証やダイナミックな構成から日本で特に有名な歴史映画のひとつになっています。『硫黄島からの手紙』は特にアカデミー賞音響編集賞をはじめ多くの賞を受賞するなど高評価を得ています。
Tips:硫黄島の戦い
太平洋戦争のなかでも苛烈を極めたのが、小笠原諸島の硫黄島における「硫黄島の戦い」(アメリカ軍側の作戦名はデタッチメント作戦)です。本土への攻撃を行うために進軍したアメリカ軍と防衛線を形成し硫黄島の摺鉢山などに壕を作り徹底抗戦をした大日本帝国陸軍の戦力が1ヶ月近い泥沼戦を行い最後はたった2人だけの帰還兵を残してほぼ全ての日本兵が死亡する悲劇的な戦いとなりました。
6位:グラディエーター
帝政ローマ時代の歴史映画のなかでもっとも輝かしい映画として人々を魅了しているのがリドリー・スコット監督の『グラディエーター』(2000)です。ローマ軍将軍マキシマス・デシマス・メレディウスが剣闘士として身を窶し皇太子コモドゥスの暗躍に復讐していくと物語で美術面での創作と歴史考証の釣り合いが非常に緻密であり、アカデミー賞などを受賞しています。
Tips:コロッセウムと剣闘士
共和政ローマやローマ帝国の大規模な娯楽産業として「奴隷」をコロッセウムで闘わせる「剣闘士(グラディエーター)」の存在がありました。紀元前4世紀頃からキリスト教が浸透するまでローマの市民たちのごく日常的な娯楽として愛され、紀元前2世紀頃から特に戦争捕虜の多くがこの剣闘士としてサバンナなど異国の野獣たちやほかの剣闘士たちとの殺し合いを課せられました。
5位:アラビアのロレンス
アラブ史のなかでもオスマン帝国からの「アラブ独立闘争」(アラブ反乱)を先導したイギリス陸軍将校のトマス・エドワード・ロレンスが主人公の映画『アラビアのロレンス』は現代でも人気のある長編歴史映画のひとつです。207分という長い時間の尺いっぱいにアラブとイギリスの近代における関係性やトマス・エドワード・ロレンスの葛藤が描かれており、日本でも人気の高い名作です。
Tips:トマス・エドワード・ロレンス
トマス・エドワード・ロレンスはイギリス陸軍将校で1916年から18年まで続いた「アラブ独立闘争」をイギリスの軍人としての立場と個人としての立場に揺れながらも支援し血を血で洗う大混戦を生み出してしまった人物でもあります。
4位:ダンケルク
第二次世界大戦の「ダンケルクの戦い」を舞台とした群像劇映画『ダンケルク』はクリストファー・ノーラン監督によって2017年に公開されたユニークな作品です。3つの視点から同時並行的に群像を描き出しおおよそ史実考証に沿った描写をしているため歴史映画が好きな人には堪らない作品になっています。アカデミー賞でも8部門ノミネート3部門受賞という高評価を得ています。
Tips:ダンケルクの戦い
「ダンケルクの戦い」とは9140年のドイツ軍フランス侵攻を受けて軍事介入したイギリス軍とフランス軍の共同戦線であり、ドイツ軍優勢の状態でダンケルク港に追い詰められ40万人の将兵を脱出させる作戦を実行したことでも有名です。なんとこのダイナモ作戦では民間船が自主的に何艘も救助に駆けつけイギリス人の愛国精神を表すエピソードのひとつとして語り継がれています。
歴史映画・人物の勉強になるおすすめ人気作TOP3
3位:エリザベス
16世紀は華のテューダー朝の最後の君主にあたるエリザベス1世の生涯を描いた名作が『エリザベス』です。
Tips:エリザベス1世
「処女王」や「善き女王ベス」ともあだ名されるエリザベス1世はイギリスのテューダー朝最後の女王であり、1588年の「アルマダの海戦」でスペインの無敵艦隊を破らせるなど大胆な政治手腕でイギリスの地位を守り続けました。スペインとの戦争で国内に貧困をもたらしましたがその苛烈ながら堂々とした為政は死後に再評価され偉大な女王としてイギリス史に名前を残しているのです。
2位:英国王のスピーチ
イギリスだけでなく世界的に愛されることになった歴史映画の名作が2010年のトム・フーパー監督による『英国王のスピーチ』です。20世紀のグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)の国王であるジョージ六世が主人公で、吃音症に苦しみ続けながら公務を全うしまたエリザベス女王の夫としても葛藤しながら前に進む様が多くの人の心を捉えました。
Tips:ジョージ六世
ジョージ六世はエリザベス・ボーズ=ライアン王妃を妻にもちエリザベス2世の父でもあるイギリスの王です。幼少期から吃音症やX脚に見舞われ政治的にもあまり表には出なかった彼が兄王であった国王ジョージ5世の死去に続いて即位することになり、彼の人生は一変してしまうのです。
1位:シンドラーのリスト
歴史映画を語る上で欠かせない名作が第二次世界大戦のユダヤ人虐殺とこれに対抗して収容所送りを阻み続けたドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を描くスティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』があります。1993年に公開された本作はホロコーストにまつわる映画のなかでも代表的なタイトルであり、一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
舞台は1939年の9月からはじまり、ポーランドの都市クラクフで琺瑯容器工場の経営をはじめたオスカー・シンドラーがユダヤ人の強制収容に対して自分の社員であると主張し述べ1000人近くの人々を救ったその逸話を映画化しています。自分や家族への危険や救いきれない人々の姿など葛藤に苦しみながらも己の選択に誇りを持って最後まで成し遂げる姿は現代においても多くの人々に愛され続けているのです。
Tips:オスカー・シンドラー
オスカー・シンドラーは清廉な聖人ではなく、小悪党的商売を続けるなかでユダヤ人たちを救ったという点が多くの人々に愛される理由のひとつになっています。シンドラーのリストでも散見される通り、困窮する戦時下のドイツで生き延びるために琺瑯(ホーロー)容器工場を買い取り闇商売で工場の社員と家族を養っていきそしてドイツ軍の厨房用品の需要を受けて急成長させていったナチ党員の人物でもあります。
その上で、最初は会計士のイツァーク・シュテルンや従業員たちを守るため、そして祖国の政策に対して倫理的疑問を抱き見ず知らずのユダヤ人たちを助けるために行動を起こしていく様は映画を名作とした根底的な部分にも関わっている勇敢な選択だったのです。
歴史映画の日本ヨーロッパまとめ
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