2019年04月26日公開
2019年04月26日更新
007ムーンレイカーのあらすじと感想をネタバレ!シリーズ最大の異色で問題作?
1979年に公開されたイギリス・アメリカ合作のスパイアクション映画『ムーンレイカー』。シリーズ11作目となる本作で、主人公ジェームズ・ボンドは遂に宇宙へと飛び出します。また前作に続き鋼鉄の歯を持つ無敵の悪役ジョーズが登場、今回はどんなアクションを見せてくれるのでしょうか。これからムーンレイカー(007)のあらすじと感想をネタバレで紹介、さらにはシリーズ最大の異色で問題作と言われる理由にも迫っていきます。ぜひご覧ください!
目次
ムーンレイカー(007)とは?
ムーンレイカー(007)の映画情報
『ムーンレイカー(007)』は、1979年に公開されたイギリス・アメリカ合作のスパイアクション映画。シリーズ11作目となる本作は、1977年の「スター・ウォーズ」旋風による空前のSF映画ブームの最中に制作され、”遂に宇宙へ飛び出した007”として注目を集めました。
イギリスへの空輸中、アラスカ上空でハイジャックされたアメリカが誇るスペース・シャトル「ムーンレイカー」。その行方をめぐって、007ことジェームズ・ボンドがベニスやアマゾンさらには宇宙へと飛び出します。そして、事件の背後に暗躍する人類抹殺を企む謎の組織に挑むのですが…。
「私を愛したスパイ」に続き本作でも鋼鉄の歯を持つ不死身の殺し屋ジョーズが手に汗握る見せ場を作り大活躍します。主演はロジャー・ムーア、共演にロイス・チャイルズ、ミシェル・ロンダール、リチャード・キールほか。
ムーンレイカー(007)の映画監督
ムーンレイカー(007)の監督を務めたのは、1920年3月6日 イギリス/ロンドンに生まれ2018年2月23日に97歳でこの世を去ったルイス・ギルバートです。
出典: https://eiga.com
第二次世界大戦中のはイギリス軍に従軍。戦争ドキュメンタリー映画を制作しました。終戦後、映画の演出に携わるようになります。当初は「スパイ戦線」(1958年)や「ビスマルク号を撃沈せよ! 」(1960年)など戦争映画を制作していましたが、コメディ映画などにも進出。
007シリーズでは本作「ムーンレイカー」の他、「007は二度死ぬ」、「私を愛したスパイ」の3作品を監督。さらに、10代少年少女の恋愛や妊娠・出産といった厳しい現実を描いた映画「フレンズ〜ポールとミシェル」を監督。自ら原案を作成したこの映画は世界各国で大ヒットを記録し、翌年続編も制作されました。
ムーンレイカー(007)の映画予告
続いて映画『ムーンレイカー』の予告編をご覧いただきましょう。イギリスへ空輸中の「ムーンレイカー」が謎の2人組にハイジャックされるところから映画は始まります。
その後は、007ことジェームズ・ボンドがボンドガールと飛行機内でラブシーンを演じながら登場。早くも見せ場を作ります。タイトルロールと映画主題歌が流れ、映画のストーリーは本題へと入ってきます。
ムーンレイカー(007)の興行成績
次に映画『ムーンレイカー』の興行成績を見てみましょう。『ムーンレイカー』は1979年の興行収入が2億1030万ドルと007シリーズ最高額を更新、世界興行成績ランキングでも「ダイヤモンドは永遠に」以来4作ぶりに1位を獲得しました。
また日本では、公開された1980年度の外国映画部門で「スター・ウォーズ帝国の逆襲」に次いで2位となりました。
ムーンレイカー(007)のサントラ
ムーンレイカー(007)のサントラを紹介します。テーマ曲を歌っているのは、イギリス・ウェールズの歌手でエリザベス女王より大英帝国勲章(デイム・コマンダー)を授けられたシャーリー・バッシ。
007シリーズでは「007 ゴールドフィンガー」、「007 ダイヤモンドは永遠に」に次いで3度目の登場となります。007シリーズで同じ歌手が複数の作品を歌ったのは彼女唯1人です。
曲は、シャーリーの十八番であるバラードやディスコ風の味付けとなっています。暫しお楽しみください!
ムーンレイカー(007)のあらすじネタバレ
あらすじネタバレ①ジェームズ・ボンド
主人公は勿論この人、英国秘密情報部(MI6)の007ことジェームズ・ボンド。イギリスへ向けて空輸中のアメリカが誇るスペースシャトル「ムーンレイカー」が、アラスカ上空で謎の2人組に強奪されてしまいます。
その頃ボンドはアフリカでの任務を終え専用ジェット機で帰国中。鋼鉄の歯を持つ巨人ジョーズと機内で戦っていました。パラシュート無しで飛行機から落下したボンドは、空中で敵のパラシュートを奪うと無事着地に成功。不死身のジョーズはと言うとテントに落下、何と生きていました。
あらすじネタバレ②ロスアンゼルスへ
失踪したムーンレイカーの捜査のオファーを受けMI6の幹部Mはボンドに調査を指示。ボンドはムーンレイカーを開発した科学者のサー・ヒューゴ・ドラックスのいるアメリカ・ロサンゼルスに向かいます。
あらすじネタバレ③謎の人物・ドラックス
ドラックスの秘書・コリンヌに案内され豪華なお城に着いたボンド。彼の前に謎の人物、ドラックスが現れます。ボンドはそこで女性科学者のホリー・グッドヘッド博士とも顔を合わせることになります。
その夜ドラックスの秘書のコリンヌに色仕掛けで迫ったボンドは、難なくドラックスの書斎への侵入。お目当ての設計図の撮影に成功します。ところが、ボンドを手引きしたことがばれたコリンヌは猛犬に噛み殺されることに。
あらすじネタバレ④ベニスへ向かう
設計図に記載された製品がベニスのアトリエで製作されたことを突き止めたボンドは、直ちにイタリア・ベニスに向かいます。
到着早々、ドラックス手下の殺し屋たちの襲撃を受けるボンドでしたが、何とか敵を倒してアトリエに侵入します。そこで、アトリエ奥に隠された研究室を見つけたボンドは、薬品サンプルを盗み出します。
あらすじネタバレ⑤ホリーと手を組む
ドラックスの部下・チャンの攻撃を受けたボンドでしたが、素早い身のこなしで何とか難を逃れます。すぐさまベニスに来ていたホリー博士のいるホテルに駆け込みました。そこでのやり取りで実はCIAのスパイと判明したホリー。ボンドは彼女と手を組むことにしました。
翌日ロンドンからやって来たMI6の上司Mを帯同し、ボンドは昨日見つけたアトリエに向かいます。ところが、アトリエ奥の研究所は既になくなっていました。貨物便から手がかりを得てブラジル・リオデジャネイロに向かったボンドたちは、チャンの後任、ジョーズに襲われホリーが捕まってしまいます。
あらすじネタバレ⑥薬品サンプルの正体
ボンドが入手した薬品サンプルを解析したMI6のQは、アマゾン川上流に咲く黒い蘭から生成した神経ガスの一種だと断定。ボンドはその蘭が生える場所に向かいました。アマゾン流域に建つ施設の地下には、ドラックスが運営する宇宙基地がありました。
あらすじネタバレ⑦ドラックスの目的
ドラックスは黒い蘭から作った毒ガスを使って人類を全滅させ、地球征服を企んでいました。ドラックスはボンドらを拘束した上で、毒ガスの入ったカプセルをムーンレイカーに積むと宇宙に向けて飛び立ちます。
何とか脱出したボンドとホリーも別のシャトルを奪い、ドラックスの後を追います。宇宙ステーションに到着するとボンドはNASAに連絡し現在位置を知らせます。地球ではドラックスへの攻撃部隊の派遣を決めます。
あらすじネタバレ⑧ボンドの勝利
一方ドラックスは地球に毒ガスカプセルを投下、ボンドとホリーを捉えます。ボンドはドラックスの子分・殺人鬼のジョーズに「お前もドラックスに殺される」と説得、味方につけることに成功します。
地球からの攻撃部隊と合流したボンドは、ドラックスに反撃を開始。ついにドラックスを追い詰め宇宙船の外に放り投げます。ドラックスとの戦いに勝ったボンドはホリーと共にムーンレイカーに乗り込み、毒ガスカプセルを撃ち落とすことに成功、人類を絶滅の危機から救いました。
任務を終えたボンドはムーンレイカーの中でホリーと抱き合い、無重力空間での熱いラブシーンが展開されます。しかし、その様子はMや国防大臣らが詰めかけた部屋のスクリーンに映し出されていました。
ムーンレイカー(007)の人気キャラ・ジョーズとは?
ジョーズは不死身の殺し屋
陰の主役とも言うべき悪役ジョーズ。007シリーズでは「私の愛したスパイ」に続いて2度目の登場、絶大な人気を誇る悪役なのです。身長は何と2m18㎝!何でも噛み砕く鋼鉄の歯を持つ殺し屋ジョーズは、観る者に強烈なインパクトを与えます。
映画の冒頭、ボンドとの闘いに敗れ飛行機から真っ逆さまに落下、パラシュートが不具合で開かないのですがそれでも死にません。ロープウエイが建物に激突しても、乗っていたボートが滝に呑み込まれても平気でした。
宇宙へ行ったジョーズ
宇宙に飛び立ったムーンレイカーの中にはジョーズの姿も!ジョーズは宇宙にまで行ったのです。最後はボンドに説得されドラックスに反旗を翻すことになります。
ところが崩壊した宇宙ステーションに取り残されてしまうジョーズ。不死身だったジョーズもついに最期を迎えるのでしょうか?
恋人の存在が発覚する
不死身の殺し屋でありながら絶大な人気を誇る不思議なキャラのジョーズ。そんな彼にも映画後半で恋人ができてしまいます。金髪おさげ、童顔のこちらもインパクトがありました。上述の通り彼女と共に宇宙ステーションに取り残されてしまいます。
しかしラストシーンで彼らの生死が明らかにされます。地球の観測局からジョーズ思しき人物の生存を確認したとのアナウンスが入るのです。ホッと胸を撫で下ろしたファンも多かったことでしょう。
ムーンレイカー(007)のキャストは?
ジェームズ・ボンド/ロジャー・ムーア
007ことジェイムズ・ボンドを演じたのは、1927年10月14日イギリス/ロンドンに生まれ、2017年5月23日89歳でこの世を去った俳優ロジャー・ムーアです。彼の名前を聞いて誰しも最初に思い浮かべるのは、今回お届けしている人気スパイ映画「007」シリーズでしょう。1973年から1985年までの7作にわたりボンドを演じています。
ムーアは、1944年映画「シーザーとクレオパトラ」へのエキストラ出演をきっかけとして俳優として活動を開始。1953年にアメリカへ渡りテレビドラマ「マーベリック」などに出演。1962年イギリスのテレビドラマ「セイント天国野郎」に主演し、国際的にも目されます。
1973年に「007」シリーズ第8作「死ぬのは奴らだ」で3代目ジェームズ・ボンド役に抜擢されたことは前述の通り。その他には1981年「キャノンボール」や1996年「クエスト」など。2003年には長年の功績を称え英国王室よりナイトの称号を授与されました。
サー・ヒューゴ・ドラックス/マイケル・ロンズデール
人類滅亡を企てる科学者サー・ヒューゴ・ドラックスを演じたのは、1931年5月24日フランス・パリに生まれた俳優で舞台演出家のマイケル・ロンズデイルです。
彼は1955年オデッツ作「喝采」のフランス初演に際しポール・アンガーを演じて舞台デビュー、翌1956年「C'est arrivé à Aden」で映画デビューを果たします。また、1974年から舞台演出家としても活躍する一方、ラジオ劇や物語の朗読CDも多数残しています。なお、1995年「とまどい」と2007年「La question humaine」でセザール賞助演男優賞にノミネートされ、2010年の「神々と男たち」で同賞を受賞しました。
ホリー・グッドヘッド博士/ロイス・チャイルズ
スペースシャトルの研究員で実はCIAスパイだったホリー・グッドヘッドを演じたのは、1947年4月15日アメリカ/テキサス州出身の女優ロイス・チャイルズです。
彼女はファッション・モデルとして活躍した後、1972年「Together for Days」で映画デビューを飾ります。翌1973年にはロバート・レッドフォード主演の大ヒット映画「追憶」や1978年アガサ・クリスティ原作の映画「ナイル殺人事件」などへの出演が有名です。また1982年には人気テレビドラマ「ダラス」シーズン6にレギュラー出演しました。
コリン・ダフォー/コリンヌ・クレリー
ドラックスの秘書・コリン・ダフォーを演じたのは、1950年3月23日フランス/パリ出身の女優コリンヌ・クレリーです。
1967年「Les Poneyttes」で映画デビュー。1975年「O嬢の物語」で主役に抜擢され話題となります。1979年の本作出演後はイタリアに活動の場を移し、映画やテレビドラマに出演しています。
ジョーズ/リチャード・キール
本作で、悪役としては「007」初となる2度目の登場を果たしたジョーズ。演じたのは1939年9月13日アメリカ/デトロイトに生まれ、2014年9月10日74歳でこの世を去った俳優リチャード・キールです。
身長2m18cm、体重140kg超という巨漢で、何といっても本作など「007」シリーズの殺し屋・ジョーズ役で人気者となりました。12歳で既に後の体格に達したとされ、学校ではバスケットボールのエースとして活躍しました。
1959年20歳のときテレビドラマ「風雲クロンダイク」でデビュー。1961年には「幻の惑星」で映画にも進出。1977年「007 私を愛したスパイ」にジョーズ役として出演すると人気に火が点き、本作にも起用されたのは前述の通りです。その後は数々の映画やCMで引っ張りダコとなりました。
マネーペニー/ロイス・マクスウェル
MI6でMの秘書を務めるMissマネーペニーを演じたのは、1927年2月14日カナダに生まれ2007年9月29日80歳でこの世を去った女優ロイス・マクスウェルです。
ロンドンの王立演劇学校で学んだ後、アメリカに渡り俳優として活動を開始。1947年のレーガン(元大統領)、シャーリー・テンプル主演の「That Hagen Girl」に出演しゴールデングローブ賞新人賞を受賞。1962年「007 ドクター・ノオ」で初代マネーペニー役に抜擢。以降14作に出演しています。(シリーズ歴代2位の記録)。
Q/デスモンド・リュウェリン
MI6の武器開発係・Qを演じたのは、1914年9月12日イギリスに生まれ1999年12月19日85歳で亡くなった俳優デスモンド・リュウェリンです。
007シリーズの初代Q役で「007 ロシアより愛をこめて」より17作品出演はシリーズ歴代1位。「本物の科学者に見える」と言われるなどその演技は高く評価されています。
M/バーナード・リー
MI6幹部でボンドの上司Mを演じたのは、1908年1月10日イギリス/ロンドンに生まれ、1981年1月16日73歳でこの世を去った俳優バーナード・リー。本作「007シリーズ」初代M役として特に有名です
彼は6歳のときに初舞台を踏み、王立演劇学校で学んだ後1930年代までは舞台で活躍。1934年に「The Double Event」でスクリーンデビューを飾ります。その後1948年「落ちた偶像」や1948年「第三の男」など話題作に出演。007シリーズのM役としては12作品に出演しています。
ムーンレイカー(007)に日本人が登場?
敵キャラとして登場
ムーンレイカー強奪の捜査で訪れたボンドを出迎えるドラックス。その時ボンドにお茶を出したのが日本人男性でした。ところが男は剣道の防具を身に着けると、突然竹刀を構えてボンドを襲います。
しかし竹刀で天下のジェームズ・ボンドを殺害できるとは考えられません。これによりボンドはドラックスの会社が怪しいという確信を抱くのでした。
ムーンレイカー(007)に関する感想や評価は?
細かいところは気にしない!
最後に『ムーンレイカー』を観た方の感想や評価を紹介します。最初は「細かいところは気にしない」という方の感想です。
「ムーンレイカー」④批難されることが多いジョーズと恋人ホリーちゃんの件もホリーちゃんが一言も話さないこともあって、「シェイプ・オブ・ウォーター」の先取りじゃないかと思えたり。 pic.twitter.com/YCVnXiT08e
— 小玉大輔 (@eigaoh2) April 9, 2018
映画には突っ込みたくなるところも多々あるものの、何となく許せてしまう細かいことに拘らない大らかさが良いという感想でした。
天国で再会!
次の感想は、「天国で再会を喜びあってる」というもの。これはボンドを演じたロジャー・ムーアが亡くなったときのツイートです。
敵だったジョーズ男と共闘して難局を乗り切るエピソードも楽しかったなあ。
— うさふー (@Grahoo) May 23, 2017
天国で再会を喜びあってるかな#ロジャームーア #リチャードキール pic.twitter.com/nDpYq6EUHH
2014年にこの世を去ったジョーズことリチャード・キールと親交のあったムーアが、天国でまた再会してくれたら、という希望を表わした感想でした。
ロジャーの「ボンド」は紳士的!
最後の感想は、ロジャー・ムーアが演じる「ボンドは紳士的」です。男性的で精悍さが魅力のショーン・コネリーに対し、ソフトな雰囲気で”英国紳士”を感じさせるロジャー・ムーアのボンド像にはまた違った魅力があるのでしょう。
映画「007 ムーンレイカー」鑑賞。広川太一郎吹替もいいけど今回は字幕で。ロケもセットも超豪華。小学生から何回も観ているけど、ラストの宇宙空間での戦いだけほとんど記憶無し。クライマックスがごちゃごちゃしてる感。コネリーボンドの後に観るとロジャーは紳士で女性にも優しくてステキだな。 pic.twitter.com/kQ7kEyBAew
— Tomo (@hontoeiga) April 7, 2018
ムーンレイカー(007)あらすじや感想まとめ
ここまで「007ムーンレイカーのあらすじと感想をネタバレ!シリーズ最大の異色で問題作?」と題してお届けしてきました。
「シリーズ最大の異色で問題作」とは、興行収入が007シリーズ最高額を更新したこと、空前のSFブームに乗って無理やり宇宙を舞台にした感が否めないこと、ボンド相手に竹刀で襲い掛かる日本人に象徴される荒唐無稽さなどが理由になっているようです。
これを機に007シリーズ全作を制覇して、今昔の作品を比較しシリーズの変遷を追ってみるのも面白いかも知れません。