ジョニーは戦場へ行ったのネタバレあらすじと感想!映画の結末を考察

ダルトン・トランボ監督の名作反戦映画『ジョニーは戦場へ行った』。悪夢のような陰鬱な結末とそこにいたるあらすじまでを徹底解説!戦争の恐ろしさを身近な恐怖に描いた『ジョニーは戦場へ行った』の考察や、感想などもご紹介していきましょう!また、ほかの戦争映画にも触れつつあらすじから結末までをネタバレありで網羅していきます。ネタバレのある項目は項目名に「ネタバレ」を含みますので未視聴の方はそちらをご参考になさってください。

ジョニーは戦場へ行ったのネタバレあらすじと感想!映画の結末を考察のイメージ

目次

  1. ジョニーは戦場へ行ったとは?
  2. ジョニーは戦場へ行ったの映画あらすじネタバレ
  3. ジョニーは戦場へ行ったの映画結末ネタバレ
  4. ジョニーは戦場へ行ったの結末考察
  5. ジョニーは戦場へ行ったの登場人物とキャスト
  6. ジョニーは戦場へ行ったに関する感想や評価
  7. ジョニーは戦場へ行ったのネタバレまとめ

ジョニーは戦場へ行ったとは?

みなさまは戦争映画というと何を思い浮かべますか?戦車や戦闘機、戦艦によるかっこいい戦闘シーンやアツい人間ドラマ、そしてスリリングな展開などが戦争映画の主流となっています。

そんな戦争映画のなかで一際異質なメッセージ性を誇っているのが、ダルトン・トランボ監督の名作反戦映画『ジョニーは戦場へ行った』です。今回はその映画『ジョニーは戦場へ行った』の結末に至るまでのあらすじ、感想をネタバレを含みつつご紹介いたします!

ジョニーは戦場へ行ったの作品情報

  • 原題『Johnny Got His Gun』
  • 監督・脚本:ダルトン・トランボ
  • 製作:ブルース・キャンベル
  • 撮影:ジュールス・ブレンナー
  • 編集:ミリー・ムーア
  • 公開年:1971年(日本公開は1973年)
  • 受賞歴:カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、国際映画評論家連盟賞、国際エヴァンジェリ映画委員会賞

ジョニーは戦場へ行ったの概要

映画『ジョニーは戦場へ行った』は第一次世界大戦の塹壕戦から主人公ジョー・ボーナムの身に襲った戦争による悲劇を112分に渡って描ききっているダルトン・トランボ監督の反戦映画です。

タイトルである「Johnny Got His Gun」は第一次世界大戦のアメリカにおける戦争志願宣伝のための軍歌『Over There』の歌詞の一節からとっており、非常に強い皮肉の篭った暗澹としたタッチは、ベトナム戦争で狂乱を極めていた1971年当時当時大反響を引き起こしました。

ジョニーは戦場へ行ったの原作小説

映画『ジョニーは戦場へ行った』の原作小説はダルトン・トランボによって1939年に発表した反戦小説であり、原作小説もまた第二次世界大戦中にカウンターのように発刊されたため、反戦的な内容が「反政府文学」と判断され1945年に絶版となるなど数奇な運命を辿った書籍にひとつになっています。非常にシニカルで明確な切り口は政府の軍部にも戦争士気の低下を危惧され、戦争の度に絶版されるという運命を辿っています。

また、原作者であるダルトン・トランボがアメリカ共産党であったということも合間って本人も逮捕されるなど社会の波に真正面から抗いつつ、戦争に対する強烈なメッセージを作品を通して発信し続けた人物です。

Tips:赤狩りとハリウッド映画

第二次世界大戦終結後の冷戦期に突入するとアメリカとソ連の溝は深まり、代理戦争という形で争い続けることになりました。そのソ連の掲げる社会構造こそが「社会主義」であり、社会主義を掲げる旗の色が「赤」であったため共産党支持者は「赤(アカ)」と呼ばれ資本主義国家における社会問題となります。

その余波はハリウッド映画の世界にもおよび、ハーバート・ビーバーマン監督やダルトン・トランボ監督をはじめとする「ハリウッド・テン」と呼ばれる人々がマッカーシズムのもとに有罪判決を受けてスクリーンから引き摺り下ろされることになりました。この模様はコーエン兄弟の映画『ヘイル、シーザー!』(2016)などで見ることができます。

ジョニーは戦場へ行ったの予告編動画

「腕があれば自殺できる」という強烈なメッセージからはじまる映画『ジョニーは戦場へ行った』の予告映像は予告編だけでも主人公であるジョー・ボーナムに襲った戦争の悲劇的な一面を克明に示しています。なぜ彼がそこに至ったのか、どうなったのかといった結末に至るあらすじを次章からネタバレを含みつつご紹介していきましょう!

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ジョニーは戦場へ行ったの映画あらすじネタバレ

この章ではネタバレを恐れずに映画『ジョニーは戦場へ行った』の結末に至るあらすじについてご紹介しています。ネタバレを気にする場合は視聴にご注意ください。

あらすじネタバレ①負傷兵

1917年の第一次世界大戦の最中、パリの戦場にコロラド生まれのパン屋の若き青年「ジョー・ボーナム」はいました。降りしきる雨や過酷な環境のなかでも恋人の「カリーン」との甘い思い出を胸に奮起していたジョー・ボーナムですが、ある日不運にも敵の砲撃を受けて意識を失ってしまいます。

ジョー・ボーナムが目を覚ますとそこはどうやら真っ暗な空間のようでした。手足も動かず、ロクに言葉を発せない状況下に困惑し恐怖しますが、なんとジョー・ボーナムが実は野戦病院にいて、手足だけでなく目や鼻、耳、口などの顔の大半を失いそれでも奇跡的に生き残ってしまったため延命措置を施されているということが視聴者には発覚します。

本人は何が起きているのか徐々に勘付いていきますが、それでも認めがたい現実に意識の喪失と混乱を繰り返していきます。一方、延命にあたる医者たちはこの名もわからないほど損壊し奇跡的に生き残ってしまった青年を「47番」と名称し、医療技術とプライドをもって、研究対象とすることになるのです。

あらすじネタバレ②夢の中

全ての感覚を失ったに思われたジョー・ボーナムは、身動げば床ずれに苦しみ、ネズミに齧られる感触や鎮痛剤による意識の混濁など、うっすらと振動や触覚だけが残り手足もなにも残っていない絶望に直面することになりました。極限状態に追い込まれながらただ生き残ってしまっていることを実感するジョー・ボーナムはやがて、夢の中へと逃げ場を探していくことになります。

夢の中には戦争に巻き込まれる前の父やカリーンとの記憶や、イエスキリストのような希望ある存在など、現実と虚構の隙間を行ったり来たりするように楽しかった思い出や辛かったこと、そしてこれから起きる悲劇を暗示するようなものがジョーの頭のなかで踊ります。

あらすじネタバレ③こんな姿で生きたくない

だんだんと自分の状況を理解し自問自答を繰り返しながら、その問答の途中であっても医師たちのルーチンによって鎮痛剤が投与され意識が混濁させられるジョー・ボーナム。彼は自分の身が手足もなく、顔の大半も失っていることを現実として受け止めてしまい、唯一の逃げ場であった夢の中にも見世物や幻滅する周囲の人々など暗い影が忍び寄りはじめます。

また、医師の命令で看護師たちも感情的にジョーに接することを禁じられ、人としての尊厳を守ってもらえないという苦難が彼を襲うのでした。そうして、苦しさに耐えきれなくなったジョー・ボーナムはただひたすらに「生きたくない!」と首を捩ることで伝えようとするのです。

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ジョニーは戦場へ行ったの映画結末ネタバレ

ここからは映画『ジョニーは戦場へ行った』の結末部分のあらすじをネタバレを含みつつ紹介しましょう!ジョーの願いは叶うのか、希望は存在するのか?鬱映画としても感想が挙げられる映画『ジョニーは戦場へ行った』はどのような結末をしてそう呼ばれるのか?ネタバレが過分に含まれますので注意しながらお楽しみください。

結末ネタバレ①モールス信号

暗く不快な感覚のみが目を覚ますと待っている現実に、「殺してもらう」ことか「見世物として売ってもらう」ことしか考えられなくなったジョー・ボーナムのもとに一筋の光が差し込みます。それは新人の看護師によってもたらされた窓際への移動であり、ジョー・ボーナムは僅かな皮膚感覚のなかで「お日様にあたっている!」ということを感じ取り歓喜します。

また、この経験から皮膚ならば何かを感じ昼夜や日付を認識出来ることと、何かを伝えることができるということを知り、ジョー・ボーナムは看護師の指がなぞる文字を理解し代わりに首を振る仕草でモールス信号を送ることを試みるのです。

結末ネタバレ②願い

ジョー・ボーナムが優しい看護師に対してモールス信号でコンタクトを取ろうとすると、看護師は医師たちに彼が自由意志をまだ持っていることを伝えます。そして、高官たちや医師、神父の見守るなかでジョー・ボーナムは「死にたいこと」や「ありのままの姿を日に晒してほしい」こと、そして「外に出たい」ことを必死にモールス信号で伝え周りの人々を驚愕させます。

しかし、軍部はこれに対して箝口令を敷きジョーをより暗くて密閉された空間へと追いやろうとするのでした。その非人道的な行いに看護師は生命維持をしている酸素吸入管をピッチで挟んで殺してやろうとしますが、これもまた封じられジョー・ボーナムの「助けてくれ」という心の声だけが虚しく響くなか結末を迎えるのです。クライマックスシーンが視聴者に与える衝撃は凄まじく多岐にわたる感想が挙げられる名シーンでもあります。

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ジョニーは戦場へ行ったの結末考察

考察①「尊厳死」のテーマ

『ジョニーは戦場へ行った』の下地になっているテーマとして反戦はもちろんのことですが、社会から与えられたペルソナを演じ続けなければいけないという苦渋に対する「尊厳死」もまた込められているのではないかと考察されています。

とくに、原作の小説が生み出された年代や映画が撮られた年代を鑑みると「親や国を守るために否応がなく戦場に送られていった子ども達」への尊厳死という非常にシャープな切り口が描かれていると考える感想も多く散見しています。大人達の都合で青春と安全な生活を奪われ、個人の意思を搾取され生き続けさせられるという構図はジョーほど極端でないにせよ戦場に蔓延っている事実だったのです。

考察②邦題の破壊力

直訳すると原題のタイトルである『Johnny Got His Gun』は早川書房版の通り『ジョニーは銃をとった』になります。また原曲である『Over There』の歌詞の日本訳もまた「ジョニーよ銃を執れ」となっています。

しかし、角川書店版の翻訳をおこなった信太英男さんの手による『ジョニーは戦場へ行った』という意訳は日本語の語感もさることながらテーマ性を非常に色濃く押し出されているとして映画版の邦題としても使用され日本人である私たちにも強烈な作品として記憶されているのです。

また、『Johnny Got His Gun』は『Over There』の歌詞の大元になっている南北戦争の軍歌『ジョニーが凱旋するとき』(When Johnny Comes Marching Home)や、反戦歌である『あのジョニーはもういない』(Johnny I Hardly Knew Ye)も踏襲する非常に巧妙な意訳であり、感想でもピックアップいたしますがとても強い意味を含んでいるのです。

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ジョニーは戦場へ行ったの登場人物とキャスト

ジョー・ボーナム役/ティモシー・ボトムズ

『ジョニーは戦場へ行った』で主演を演じたのは本作でスクリーンデビューをはたしたティモシー・ボトムズです。同年の『ラスト・ショー』では兄弟ともに出演を果たし、その後も『暁の7人』(1975)の「ジョン」や『ラスト・ショー2』(1990)の「サニー・クロフォード」などを演じています。近年だと2003年の『エレファント』の「ミスター・マクファーランド」役などでも知られています。

カリーン役/キャシー・フィールズ

映画『ジョニーは戦場へ行った』でジョーを案じるコロラドの恋人「カリーン」を演じたのはキャシー・フィールズです。キャシー・フィールズは『ジョニーは戦場へ行った』への出演後、写真家としての道を歩んでいます。

キリストと呼ばれる男役/ドナルド・サザーランド

映画『ジョニーは戦場へ行った』でジョーに知恵と希望と最後には絶望を与えたキリストと目される男を演じたのは若き日のドナルド・サザーランドです。1964年の『生ける屍の城』でスクリーンデビューを果たして以来、『駆逐艦ベッドフォード作戦』(1965)や『特攻大作戦』(1967)、『戦略大作戦』(1970)などの戦争映画を支えてきた彼が反戦映画に出演したのは皮肉といっていいでしょう。

息子のキーファー・サザーランドもカナダを代表する俳優で、近年では『第九軍団のワシ』(2011)の「伯父アクイラ」や『ハンガー・ゲーム』シリーズ(2012~)の「コリオラヌス・スノー大統領」役などもこなしています。

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ジョニーは戦場へ行ったに関する感想や評価

この章では映画『ジョニーは戦場へ行った』に関する感想やおすすめの関連映画の情報をご紹介しましょう。部分的にネタバレが含まれますのでご注意ください!

ネタバレあり感想①娯楽皆無の社会派作品

娯楽の一切を許さないシビアな構成であるという感想が映画『ジョニーは戦場へ行った』には寄せられています。ネタバレになりますが、特にラストシーンのやりとりが人間の業の深さなどを表しているという感想は多くあります。

感想②エンディングの鳥肌

エンディングのジョーの声と暗くなる画面はとても映画『ジョニーは戦場へ行った』を象徴するシーンであり視聴したものの心を鷲掴みにしているようです。

感想③鬱映画!

おすすめの鬱映画として映画『ジョニーは戦場へ行った』を挙げる人は少なくありません。救いの入る余地のない展開は胸糞の悪さと戦争の虚しさを強烈なまでに語っています。

感想④おすすめの戦争映画

おすすめの戦争映画としても映画『ジョニーは戦場へ行った』は人気です。特に、スタンリー・キューブリック監督の『フルメタルジャケット』や若松監督の『キャタピラー』などが頭に浮かぶことがあるようです。

感想⑤おすすめの医療系映画

医療映画として見ても映画『ジョニーは戦場へ行った』はかなり目立つ「尊厳死」をあつかった映画として人気を得ています。ネタバレでも触れたように死のうという自由意志すらも奪う医療の業の深さもまた浮き彫りになっているのです。

感想⑥ネタバレ記事だけで気が滅入る鬱映画

映画『ジョニーは戦場へ行った』を直接観る勇気がないという方やあらすじが気になるという方がネタバレ紹介記事だけでも十分すぎるぐらいに鬱になるという事態が『ジョニーは戦場へ行った』でも起きているようです。ネタバレは初見の楽しみを奪ってしまう恐れもありますが、苦手ジャンルなど映画を観るまでは出来なくてもネタバレ記事で楽しむという方法もあるのです。

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ジョニーは戦場へ行ったのネタバレまとめ

映画『ジョニーは戦場へ行った』のあらすじ紹介はいかがだったでしょうか?ダルトン・トランボ監督の名作反戦映画に触れることで戦争についてだけでなく自由意志や尊厳について思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

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