2019年07月14日公開
2019年07月14日更新
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の感想・評価をネタバレ!原作に衝撃の秘密が?
バイオレンス映画の鬼才ジェレミー・ソルニエ監督による「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」。2018年Netflixから一斉に配信されました。ウィリアム・ジラルディの小説「Hold the Dark」を原作とし、息子を狼に連れ去られたと言う母親が狼の生態に詳しい作家に助けを求めるところから物語は始まります。これから、ストーリーが難解と言われることも多い「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」のあらすじから感想・評価までをネタバレで解説し、本作の理解の鍵ともなる原作の秘密にも迫っていきます!
目次
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇とは?
Netflix配信の映画「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」の感想・評価や原作の秘密などの解説に入る前に、本作の作品情報を紹介します。
Netflix映画ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の作品情報
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の概要
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」(原題:Hold the Dark)は、2018年にNetflixから配信されたアメリカで制作されたスリラー映画です。ウィリアム・ジラルディの同名小説「Hold the Dark」を原作としていますが、残念ながら日本語版で読むことはできません。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の監督
Netflix配信の映画「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」を監督したのは、1976年アメリカ/バージニア州アレクサンドリア生まれのジェレミー・ソルニエです。彼は新進気鋭のバイオレンス映画の監督として知られています。
2007年ホラー・コメディ「Murder Party」で、スラムダンス映画祭最優秀劇映画賞やヴァイル映画祭最優秀作品賞を受賞するなど華々しい監督デビューを飾ったジェレミー・ソルニエ。彼の創る映像の特徴は生々しい残虐シーンの描写にあるとされます。カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞した「ブルー・リベンジ」やさらに高い評価を得た「グリーンルーム」で彼の才能は遺憾なく発揮されていると言われています。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の予告編動画
次に、Netflix配信「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」の予告編動画をご覧いただきましょう。
雪が降り積もった道に佇む一頭のバイソンが車の行く手を遮ります。助けを求める女性の声、鋭い眼をした狼の群れ、静寂な山奥の風景、すべてがこれから起きるであろう恐ろしい出来事を暗示しているかのようです…。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇のあらすじネタバレ
あらすじネタバレ①手紙
ここからは、映画「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」のあらすじをネタバレで紹介します。ある日主人公ラッセル・コアは、アラスカに住むメドラという女性からの手紙を受け取ります。彼女は手紙で、息子ベイリーが狼に連れ去られたこと、狼狩りの経験者ラッセルに狼を仕留めてもらいたい、そして戦場から戻る夫に狼が息子を殺した証拠を見せたいことなど切々と訴えていました。
数日後、ラッセルはメドラ・スローン宅を訪ねます。メドラはラッセルを連れて過去に子供たちが狼被害にあった場所を案内しました。翌日、まだ暗い早朝にラッセルは森へと向かいます。村を通っていくとある老女が「方向が違う」と声をかけてきました。「あの娘は悪を知っている」、さらには「来た道を戻れ」とラッセルに命じますが、ラッセルはその声を無視して歩き続けます。
深い森の中に入ったラッセルは、雪の上の動物の足跡を見つけます。足跡を辿って行くと、狼の群れが肉を引きちぎるようにして食べていました。ラッセルは思わず足を滑らせて斜面を滑り落ちてしまいます。慌ててライフルを拾い上げると近づいてくる狼に銃口を向けます。ところが、狼たちはラッセルには構わず離れて行ってしまいました。
あらすじネタバレ②行方不明
日が暮れてからメドラ家にたどり着いたラッセルが家主メドラの名前を呼びますが返事はありません。不吉な予感を覚えたラッセルが地下に降りていくと、ビニールに包まれた物体が横たわっているが目に入りました。ビニールを破いて包みを開けると、それは行方不明になっていたメドラの息子ベイリーの死体でした。ラッセルは地上へ上がり助けを求めます。
暫くすると村人たちが集まってきました。その中には朝ラッセルに声を掛けてきた老女もいました。ラッセルは彼女に向かって「あんた知ってたな」と言い寄ります。老女は「放っといてくれ」と呟くと去っていきました。ベイリーに死因は絞殺でした。母親メドラの消息はつかめず、家の中には急いで荷造りした形跡が残されていました。
あらすじネタバレ③チーオンの銃撃
そんな時、戦地イラクに派兵されていたベイリーの父バーノンが帰ってきました。事情を聞いたバーノンは友人のチーオンを伴い、警察署を訪れます。警察署に入ったバーノンたちは、いきなり署内にいた人々を撃ち殺してしまいます。その後バーノンはベイリーの遺体を抱えて署を後にすると、メドラの行方を追いかけます。チーオンは事情聴取のためにやって来た警察官のドナルドらに機関銃で応戦します。
逃亡したメドラと最後に接触していたラッセルは、ドナルド巡査に会いに村に向かいます。そこでチーオンの銃撃を目撃し巻き込まれてしまいます。チーオンはそこにいた警官のほとんどを射殺、しかしチーオンもドナルド巡査に撃たれ死亡します。バーノンは狼の仮面を手に入れると、行方不明のメドラを探しに出掛けます。
あらすじネタバレ④救出
メドラは、かつてバーノンと来たことのある温泉に潜んでいました。ラッセルとドナルド巡査が近づいた時、隠れていたバーノンが放ったボウガンが命中しドナルドは死亡します。ラッセルもまた温泉の手前でバーノンに襲われます。ラッセルは何とか救出されますが、メドラとバーノンは手を取り合い逃亡してしまいます。以上が映画「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」のあらすじとなります。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の原作に衝撃の秘密が?
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の原作情報
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」の原作はウィリアム・ジラルディの「Hold the Dark」です。2015年にアメリカで出版された小説ですが、残念ながら日本では刊行されておらず日本語訳も存在しません。
バーノンとメドラの秘密が原作で判明
原作本には映画では明らかにされていない衝撃の秘密がありました。それはバーノンとメドラ夫婦間の隠された事実です。映画の冒頭で、村を訪れたラッセルが「ご主人とは村で出会ったのか?」と尋ねます。それに対してメドラは「出会ったんじゃなくて子供の頃から知ってるの。」と答えます。
また、バーノンに殺された漁師が「ここに来た女性はバーノンと同じ髪色で同じ目をしていた」と証言していました。最後に種明かしをしますと、バーノンとメドラは何と双子の兄妹だったのです。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の登場人物とキャスト
ラッセル・コア役/ジェフリー・ライト
本作「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」の主人公で作家のラッセル・コア。狼と一緒に暮らしたことがあり、その時の経験を「彼らとの一年」という本にまとめています。
そんなラッセルを演じたのは、 1965年12月7日アメリカ/ワシントンD.C.生まれの俳優ジェフリー・ライトです。舞台出身のジェフリーは、1990年「推定無罪」で映画デビューしますがその後も舞台出演を続け、1994年には「エンジェルス・イン・アメリカ」でトニー賞助演男優賞を受賞しました。その後も映画「ハムレット」や「007」シリーズなど幅広く活躍しています。
バーノン・スローン役/アレクサンダー・スカルスガルド
アラスカの村に住まいがあるものの、イラクとの戦争に派遣された兵士バーノン・スローン。戦地で負傷したことからアラスカに戻ってきます。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇でバーノンを演じたのは、1976年8月25日スウェーデンに生まれた俳優アレクサンダー・スカルスガルドです。俳優一家にい生まれた彼は、2000年「White Water Fury」で弟と共演し映画デビューします。その後アメリカに進出、2017年にはドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」でプライムタイム・エミー賞、ゴールデングローブ賞の共に助演男優賞を受賞しました。
メドラ・スローン役/ライリー・キーオ
バーノン・スローンの妻メドラ。息子ベイリーが狼に連れ去られたと主張し、ラッセルに息子の捜索を依頼します。
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」でメドラを演じたのは、1989年5月29日アメリカ/ロサンジェルスに生まれた女優ライリー・キーオです。祖父はあのエルヴィス・プレスリー、芸能一家に育った彼女は14歳でモデルとしてデビューします。2010年青春伝記映画「ランナウェイズ」で俳優デビューすると、スリラー映画「グッド・ドクター」やコメディ映画「マジック・マイク」など話題作に相次いで出演しています。
ドナルド・マリウム役/ジェームズ・バッジ・デール
村の警察官ドナルド・マリウム。メドラと彼女の息子の事件を担当します。「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」でドナルドを演じたのは、1978年5月1日ニューヨーク生まれの俳優ジェームズ・バッジ・デールです。1990年「蝿の王」で映画デビュー。彼の名を一躍有名にしたのは2003年の「24 -TWENTY FOUR-」3シーズンへの出演でした。ジャック・バウアーの相棒チェイス・エドモンズを演じました。
チーオン役/ジュリアン・ブラック・アンテロープ
村の住人でバーノンの友人チーオン。バーノンの息子の行方不明の件で警察に同行します。彼自身も娘が狼にさらわれて行方不明になっています。
チーオンを演じたのはカナダ人俳優ジュリアン・ブラック・アンテロープです。彼は2009年カナダの先住民を描いたテレビシリーズ「ブラックストーン」で名を馳せ、その後2014年の「Penny Dreadful」や2015年「An Klondike」そして2018年の「Condor」などに出演しています。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇をネタバレ考察
ネタバレ考察①子供を救おうとした?
ベイリーを殺したのは狼ではなく母親のメドラでした。この件についてラッセルは警官のドナルドに自分の見解を語っています。メドラはベイリーに殺意を持って事に及んだのではなく彼を救おうとしたのではないか?という事でした。では何から救おうとしたのか?それは闇から、メドラの中に巣くう闇、ベイリーの中にある闇いろいろ考えられます。
ネタバレ考察②バーノンの謎
映画の中盤、バーノンが狩りで仕留めた獲物をベイリーに見せて「どう感じた?」と尋ねるシーンがありバーノンがそんなこと誰が言っていたのかと尋ねるとベイリーは「ママが言ってた」と答えました。
序盤で村の老婆が「メドラは悪を知っている」とラッセルに語りましたが、この悪とはバーノンを指しているものと考えられます。また、あるインディアンは、バーノンの父親がバーノンを異様だと言っていたと証言しています。父親に異様と感じさせたバーノンを覆う闇はメドラの中に入り込んでいったのかも知れません。
ネタバレ考察③メドラの心境
メドラはなぜ息子ベイリーに手をかけてしまったのでしょうか?原作でも息子を殺した動機は明らかにされていません。一つ明かされているのはメドラとバーノンが夫婦ではなく兄妹だったということ。禁断の愛で結ばれたメドラとバーノン、そして彼らの間に生まれたベイリー。メドラはそのことに強い罪悪感を感じていたのではないでしょうか?
バーノンが仕留めた獲物を見て「気持ちよかった」と応じる息子を見て、メドラの心の中で何かが音を立てて崩れ去ってしまったのかも知れません。人を平気で殺してしまうバーノンの持つ異様な闇の部分が息子ベイリーに受け継がれていることを感じ、メドラは恐ろしくなったに違いありません。そして、兄と自分の闇を受け継いでしまった息子ベイリーを助けようとして、彼女は首を絞めたのかも知れません。
ネタバレ考察④チーオンの行動
この映画で謎とされるのがチーオンの行動です。警官らが事情聴取に訪れると銃を乱射して友人バーノンを逃がします。友人のためとは言え、命がけの行動に出るというのはやり過ぎでしょう。
映画でも原作でも触れていませんが、その謎を解く鍵は彼の出自にあるのでは?と言う人もいます。チーオンは見た目どおりアメリカ先住民の出身です。未だに残る先住民に対する差別や偏見に対する鬱積した怒りが一気に噴出したということは十分に考えられるでしょう。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇に関する感想や評価
感想・評価:脳が混乱!
Netflixで「#ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」を鑑賞。グリーンルームのジェレミー・ソルニエ監督最新作。極寒のアラスカを舞台に狼研究家の作家が謎めいた事件に巻き込まれる話。静けさと超絶バイオレンスが入り乱れ、理解できないストーリーに脳が混乱する。コーエン兄弟の作品みたいだった。 pic.twitter.com/goHmxXrY5u
— Husky (@Mamulu) January 11, 2019
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」特集の最後に映画を観た方の感想や評価を紹介します。最初の感想・評価は、ストーリーが理解できず頭が混乱すると言う方です。同じNetflixに作品を提供しているコーエン兄弟を引き合いに出していました。
感想・評価:見ごたえのある美しい作品!
Netflixでおもしろい映画を発見。人間と野生、ネイティブアメリカンの復讐、親子の関係がダークに描かれた非常に見ごたえのある美しい作品!#ホールド・ザ・ダーク pic.twitter.com/0gmgtg0gdK
— 此花さくや Sakuya Konohana (@sakuya_kono) October 1, 2018
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」に関する感想・評価、続いては見ごたえのある美しい作品と評価する声です。人間と野生、ネイティブアメリカンの復讐、そして親子関係までがダークに描かれていて面白かったようです。
感想・評価:結局よくわからない!
『ホールド・ザ・ダーク そこにある闇』
— コネ (@takaminokone) March 27, 2019
ある母親から息子が狼にさらわれたから敵を打ってと依頼された作家がアラスカまで出かけて行って色々巻き込まれる話。
ずっと面白くて最後どうなるのかとワクワクしてたんだけど…結局よくわからん!
アレクサンダー・スカルスガルドかっこよかったからヨシ! pic.twitter.com/4euPQvAbil
「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」に関する感想や評価、最後は観終わって結局よくわからなかったという方です。最初の方も同様でしたが、こうした感想を抱く方は多いようです。本記事を読んだ後で鑑賞すれば理解が進むのかも知れません。
ホールド・ザ・ダーク そこにある闇の感想や評価まとめ
ここまで、「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」のあらすじから感想・評価までネタバレで解説し、原作に隠された秘密についても紹介してきました。
感想や評価欄で紹介したように、美しい自然に魅せられる反面ストーリーの難解さに困惑する方も多いようです。そのような方は、本作ストーリーの謎を解き明かすヒントを紹介した本記事を読んでから再度チャレンジされてはいかがでしょうか?