白ゆき姫殺人事件のあらすじまとめ！結末や犯人をネタバレ解説【井上真央】

「告白」、「少女」、「Nのために」、「夜行観覧車」といった映画化、ドラマ化を果たした作品も多く送り出している湊かなえ。2011年から2012年にかけて「小説すばる」に連載された「白ゆき姫殺人事件」は、2014年に映画化され話題となりました。この記事では「白ゆき姫殺人事件」のあらすじ、キャスト、犯人をネタバレ紹介していきます。ネタバレ込みの記事なので未見の方はご注意ください。

「白ゆき姫殺人事件」は、2011年から2012年にかけて「小説すばる」に連載された湊かなえの小説です。2014年には中村義洋監督、井上真央主演で映画化され、公開から2日で12万4755人を動員する話題作となりました。殺人事件の犯人とされた女性がTVの報道やSNSの噂に追い詰められていく様子と、それに加担する人々を描いた「白ゆき姫殺人事件」は、ネット炎上という現代社会の闇を克明に映し出した作品となっています。

まずは白ゆき姫殺人事件に出演したキャストを紹介していきます。ここでは簡単な役どころのみを紹介しますので、詳しいあらすじや犯人のネタバレは後の項目で解説します。

白ゆき姫殺人事件の容疑者となってしまった女性・城野美姫を演じたのは井上真央です。5歳のときから子役として活躍し、1999年から2003年まで放送されたドラマ「キッズ・ウォー」の今井茜役で注目を集めました。その後も「花より男子」、「おひさま」、「花燃ゆ」といった作品で主演を務めてきましたが、「白ゆき姫殺人事件」では華やかなオーラを封じ地味なOLを演じました。

白ゆき姫殺人事件を追う映像ディレクター・赤星雄治を演じたのは綾野剛です。2003年に「仮面ライダー555」の澤田亜希（スパイダーオルフェノク）役で俳優デビューし、2007年に映画「Life」で初主演を務めました。「カーネーション」、「そこのみにて光輝く」、「怒り」といった代表作を持ち、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を受賞している実力派俳優です。

白ゆき姫殺人事件の被害者となったOL・三木典子を演じたのは菜々緒です。ラウンドガールやレースクイーンを経て、ファッション誌「PINKY」のモデルに抜擢され注目を集めました。現在では「ファーストクラス」の川島レミ役に代表される悪女役に定評のある女優として知られ、実写映画「銀魂」などにも出演していますが、「白ゆき姫殺人事件」が映画初出演となりました。

美姫の交際相手である篠山聡史を演じたのは金子ノブアキです。1994年「天国に一番近いママ」で俳優デビューし、「クローズZEROⅡ」、「ブザー・ビート　崖っぷちのヒーロー」、「おひさま」などに出演しました。ロックバンド「RIZE」のドラムとしての活動やゲーム雑誌「週刊ファミ通」で「スーパー金子BROS.」の連載も行っており、多彩な分野で活躍しています。

美姫、典子の同僚で赤星の大学時代の同級生である狩野里沙子を演じたのは蓮佛美沙子です。2005年、第1回スーパー・ヒロイン・オーディション「ミス・フェニックス」でグランプリを獲得して芸能界デビューを果たし、2007年には初主演となるドラマ「七瀬ふたたび」で火田七瀬役を演じました。「37.5℃の涙」、「ダイアリー」など数々のドラマでも主演を務めています。

美姫の幼馴染・谷村夕子を演じたのは貫地谷しほりです。2002年に「修羅の群れ」で映画デビュー、2007年に「ちりとてちん」で主演を務めました。2008年には第32回エランドール賞で新人賞を受賞し、「キミ犯人じゃないよね？」、「あんどーなつ」で2クール連続で主演を果たしました。「余命1ヶ月の花嫁」、「ガラスの仮面」など舞台女優としても活躍しています。

美姫、典子の同僚である満島栄美を演じたのは小野恵令奈です。2006年にAKB48の2期メンバーとしてデビューし、「えれぴょん」の愛称で親しまれていました。2010年にAKB48を卒業し、2012年からはソロ歌手として活動する傍ら、ドラマ「タンクトップファイター」では主演を務めました。2014年7月に事務所を退所し、現在は芸能界を引退しています。

美姫の大学時代の友人である前谷みのりを演じたのは谷村美月です。2002年に「まんてん」で女優デビューを果たし、2005年に初主演を務めた「カナリア」で第20回高崎映画祭最優秀新人賞を受賞しました。代表作として「檸檬のころ」、「神様のパズル」、「14歳の母」、「キャットストリート」、「べっぴんさん」で知られている女優です。

上記キャスト以外にも赤星の同僚・長谷川役に染谷将太、美姫、典子の先輩・間山役に宮地真緒、美姫の両親役にダンカンと秋野暢子、情報番組の司会者役に生瀬勝久など、「白ゆき姫殺人事件」には豪華キャストがそろい踏みしています。

ここでは「白ゆき姫殺人事件」のあらすじをネタバレ解説していきます。犯人については次の項目で詳しく解説しますが、ネタバレを含みますので未見の方はご注意ください。

3月7日早朝、しぐれ谷で女性の焼死体が発見されました。被害者は三木典子。大ヒット商品「白ゆき石鹸」を発売する日の出化粧品の社員でした。典子が美人だったことから事件は世間の注目を集め、「白ゆき姫殺人事件」と囁かれるようになります。TV局の契約ディレクターである赤星雄治は普段はグルメ情報番組の制作を手掛けていましたが、大学の同級生・狩野里沙子から事情聴取を受けたと聞かされ、里沙子に会うことにしました。

里沙子は日の出化粧品に勤めており、典子は2つ上の先輩でした。日の出化粧品には先輩社員が1年間新人の面倒を見る「パートナー制度」があり、そのパートナーだったこともあって里沙子は典子のことをよく知っていました。里沙子の話から典子は美人で仕事もできる社員の憧れの的だったこと、事件後出勤してこない女子社員がいることを知った赤星は、これはネタになると考え取材に乗り出します。

その女子社員は城野美姫といい、典子の同期でした。里沙子は美姫が交際相手の係長の篠山を典子に奪われてしまったこと、里沙子が誤ってSというイニシャルの入ったマグカップを割ってしまったときにはひどく落ち込んでいたことを教えてくれました。さらに事件の夜のことを聞くと、その日は先輩の送別会で2人とも一次会で帰ったけれど、典子が美姫の車に乗り込むところを取引先の人が見ていたと言いました。

赤星は美姫が犯人だという方向で取材を進め、他の同僚にも話を聞くことにします。満島栄美は里沙子の同期で、美姫がパートナーでした。栄美によれば、美姫は地味で目立たない女性だったそうです。栄美の話からは、美姫と篠山の弁当の中身が同じだったこと、職場で盗難が相次いでおり、典子も芹沢ブラザースというミュージシャンのクッズのボールペンを盗まれたこと、そのとき美姫はニヤリと笑みを浮かべていたことが分かりました。

係長の篠山聡史は美姫に弁当を作ってもらったことは認めましたが、仕事が忙しく立ち眩みを起こしたときの1回きりだと話しました。ところが、美姫は毎日のように弁当を作ってくるようになった上に、休みの日には自宅の郵便受けにも届けに来て迷惑していたと言います。典子とは交際していたものの3ヶ月で振られ、典子はその後芹沢ブラザーズのメンバー・雅也と付き合い始めたそうです。

また、他の同僚からは、事件の夜大きなカバンを抱えた美姫が猛ダッシュで駅に駆け込んでいく美姫の姿を見たという証言を得られました。美姫が嫉妬の末に典子を殺したのだと断定した赤星は、美姫が犯人であるかのように取材映像を編集しワイドショーで流しました。美姫は「Sさん」として報道され、赤星が作った映像は大きな反響を呼びました。

ネット上では美姫の本名や学歴が特定され、拡散される騒ぎになっていました。そんな折、赤星に一通の手紙が届きます。それは前谷みのりという女性からでした。美姫の大学の同級生で親友だと名乗るみのりの手紙には、美姫は奥手で天然だが優しい性格だったこと、料理が得意で寮の仲間たちにも差し入れをしていたこと、篠山のことで相談を受け料理を食べさせるようアドバイスしたことなどが書かれていました。

赤星は美姫の同級生にまで取材の範囲を広げます。高校時代の同級生である島田彩と尾崎真知子は、卒業文集の「犯罪を起こしそうな人ランキング」の2位に美姫が入っていたこと、中学時代は「呪いの城野」と呼ばれていたことを話します。そのきっかけになったのは、ある男子生徒との一件でした。

江藤慎吾は美姫の中学時代の同級生で、当時はサッカー部に所属していました。ある日、教室でふざけて雑巾を蹴っていた江藤は、美姫の頭にそれを乗せてしまいます。江藤はすぐ謝りましたが、美姫は「許さない」と言い続けます。その1週間後、江藤は交通事故で足を骨折してしまいました。江藤は呪いの話は否定しましたが、美姫が自転車に細工をしたのだろう、自分が美姫の闇を作ってしまったのかもしれないと語りました。

美姫の実家の近所に住む八塚絹子は、美姫が小学生の頃友人と呪いの儀式を行い、明神様の祠を全焼させた事件の話をします。美姫とその事件を起こした谷村夕子は、現在は実家に引きこもっていました。夕子は当時から町一番の美人と評判でしたが、それを妬んだ女子に名前が「タコ」と読めると揶揄われ、他の同級生も一緒になって夕子を馬鹿にするようになりました。そんな中で唯一夕子と仲良くしてくれたのが美姫だったと言います。

「赤毛のアン」が好きな美姫は、夕子と自宅の窓でろうそくを灯して信号を送り合う遊びをしていました。ある日、同級生のいじめに耐え兼ねて「死にたい」と漏らした夕子に、美姫は占い雑誌に載っていた「いじめっ子を改心させるおまじない」を提案します。夕子は「ちょっと引いた」とは言うものの、美姫が自分のことを本気で心配してくれたのが嬉しく、明神様の祠でそれを実行しました。

ところが、おまじないに使った火の不始末が原因で明神様の祠が全焼する騒ぎになってしまい、町の人々からは2人が呪いの儀式を行ったと誤解されてしまいます。怒った両親たちは2人を遊ばせないようにし、夕子はもう10年以上も美姫とは会っていないと話しました。美姫が犯人であるかのような報道に怒る夕子は「人は自分の都合のいいようにしか記憶を語らねぇ。大切なことを見逃すな」と忠告しますが、赤星は気に留めませんでした。

美姫は母が危篤だと言って会社を休んでいました。母の皐月は娘がそんなことをするはずがないと庇いますが、父の光三郎は謝罪し土下座します。赤星は同級生や近所の住人の話を編集した映像を放送し、ネット上は美姫への糾弾一色に染まります。その頃、美姫はホテルの一室で報道を見ていました。自分の知らないところで犯人に仕立て上げられ、自分のことが分からなくなった美姫は遺書を書き始めました。

「赤毛のアン」が大好きな美姫は、親友の夕子と「アン」「ダイアナ」と呼び合い、辛い時は空想の世界でやりすごしていました。中学生になった美姫は、江藤に恋心を抱きます。江藤が頭に雑巾を乗せてしまったことを謝ってきたときに「許さない」と言ったのは、江藤をギルバートに見立ててのことでした。江藤が毎日のように話しかけてくれるのが嬉しかった美姫は、江藤が謝るたびに「許さない」と言い続けました。

江藤が事故に遭ったとき、美姫はお見舞いに行くところを空想し、つい笑みを浮かべます。それは美姫が「呪いの城野」と呼ばれる原因になってしまいました。やがて大学に入学した美姫は同じ寮の女子たちと仲良くなり、料理を振るまったり、恋愛話に興じたりしていました。奥手で天然な美姫は「テンちゃん」というあだ名で呼ばれるようになります。中でもみのりとは仲が良く、卒業後も連絡を取り合っていました。

卒業後、日の出化粧品に入社した美姫は典子と出会います。典子は美人には違いありませんが、美貌を鼻にかけた嫌味な女性でした。美姫も初日から当て擦りを言われましたが、みのりのアドバイスで篠山と親しくなれたので幸せでした。同僚たちとバーベキューをした日、男性社員は眠ってしまった典子を見て「性格は別として三木さんほど綺麗な人はいない」と言いましたが、美姫はつい幼馴染の夕子の方が綺麗だと答えてしまいます。

しかし、典子は実は起きていました。自分が一番でないと気が済まない典子は美姫に嫌がらせをするようになり、篠山に言い寄って奪ってしまいます。美姫は平静を装い、長年のファンだったミュージシャン・芹沢ブラザーズのことだけは知られないようにしていましたが、里沙子がマグカップを割ってしまったことで感づかれてしまいました。

典子は昔からのファンであるかのようなアピールをし、ついには芹沢ブラザースのメンバー・雅也との交際をほのめかします。さらに入手困難なコンサートのチケットを譲ると言いながら反故にするという仕打ちを受け、美姫は落ち込みます。それを見ていた里沙子は、美姫にチケットを奪ってしまえばいいと言い出しました。里沙子は体調が悪いという典子に強い眠気の副作用が出る薬を勧め、先輩の送別会の席でお酒を飲ませます。

美姫は自分がコンサートに行くつもりで買った特急券を渡すと言い、典子を車に乗せます。そしてチケットをバッグから抜き取り、車はコインパーキングに放置して特急に乗り込みました。ところが、会場入りする芹沢ブラザーズを見つめていた美姫は背後の人波に押され、図らずも雅也を階段から突き落としてしまう形になってしまいました。ショックを受けた美姫はその場から逃げ出し、ホテルに引きこもっていたのです。

雅也を突き落としたのは自分だと疑われているのではないかという不安と罪悪感に加え、眠り込む典子を置き去りにした罪悪感、ネット上で自分の個人情報が拡散され糾弾される恐ろしさに追い詰められた美姫は、ホテルの一室で自殺を図ります。そのとき、テレビから「白ゆき姫殺人事件」の犯人が逮捕されたというニュースが流れました。

疑いが晴れた美姫は、祖母の葬儀のため実家に帰ります。ワイドショーは事件の顛末と誤った情報を流したことを謝罪しましたが、美姫が犯人だと信じ切っていた近所の人々とは気まずいままでした。自室に閉じこもった美姫が窓の外を見ると、ろうそくの明かりが灯りました。それは夕子が昔のように送った信号でした。美姫もろうそくを灯し、夕子に信号を送ります。

ネットではこれまでと一転して赤星を責める空気になり、赤星の個人情報が拡散されます。赤星は美姫の実家に謝罪に赴きますが、門前払いを食らい、その帰り道に車に轢かれかけます。車から降りてきた女性は、憔悴しきった赤星に「いいことありますよ」と声をかけて去っていきました。それが美姫であることに、赤星は最後まで気が付きませんでした。

赤星の作った映像によって犯人に仕立て上げられ、世間から糾弾されることになった城野美姫ですが、美姫が犯人でなかったことはあらすじネタバレで解説した通りです。それでは、いったい誰が三木典子を殺したのでしょうか？ここでは真犯人の正体と動機をネタバレ解説します。

白ゆき姫殺人事件の真犯人は狩野里沙子でした。里沙子は典子のことを仕事のできる優しい先輩だと話しましたが、それは全くの嘘で典子から嫌がらせをされていました。里沙子はストレスから職場で盗みを繰り返すようになり、やがて会社の商品である「白ゆき石鹸」にも手を出します。それを典子に知られ、発覚を恐れて殺害したのです。赤星に連絡してきたのは、自分への疑いを反らし美姫を犯人に仕立て上げるためでした。

ここでは、「白ゆき姫殺人事件」観た人の感想を紹介します。ネタバレに触れる感想もありますので、未見の方はご注意ください。

無実の女性が無責任なTVの報道やSNSの噂によって犯人に仕立て上げられていく姿を描いた「白ゆき姫殺人事件」は、テーマがテーマだけに胸糞が悪いという感想が目立ちます。また、Twitterの画面を映像に組み込むなどの演出の細かさが高い評価を得ています。

「白ゆき姫殺人事件」の感想には、「教訓になる」、「考えさせられる」といったものも目立ちます。Twitterが日常の一部となった現代だからこそ、他人事ではないという人も多いようです。

「告白」、「少女」、「Nのために」、「夜行観覧車」など多くの作品が映像化されているため、湊かなえ感が強すぎて途中で飽きてしまったという感想も見られます。逆に言えば湊かなえらしさがよく表れた作品なので、入門には良いのかもしれません。

また、里沙子の動機や行動の不自然さへの疑問の声も上がっています。美姫が欠勤を続け疑われる原因になった芹沢ブラザーズの事件は予想でし得ないことのはずなので、里沙子の犯行の無計画さを指摘する人も多いようです。

「白ゆき姫殺人事件」はSNSが重要な位置を占めた作品で、原作小説でも架空のSNSやブログの画面が資料として収録されているくらいです。映画はそれが映像に組み込まれた演出も評価が高く、あらすじのネタバレだけでは味わえない面白さがあるので、一度視聴してみるのはいかがでしょうか。