チアダンは実話でモデルは福井商業高校「JETS」！生徒たちのその後や経歴は？

2017年3月に公開された広瀬すずさん主演の映画「チアダン」を見て、何かに全力に取り組んだ青春時代を思い出した人は多いのではないでしょうか。たった3年の高校生活、大きな夢に向かって仲間と一緒にひたむきに頑張る姿はとてもかっこいいと話題です。

実は映画「チアダン」、福井商業高校のチアガール部「JETS」をモデルにした実話だったのです！そこで今回は、「チアダン」のモデルになった「JETS」の生徒や先生、その後の経歴も含めて紹介します。「チアダン」の更なる魅力に迫っていきましょう！

福井商業高校のチアダンス部「JETS」をモデルに描かれた実話は映画だけに留まらず、ノンフィクション単行本、映画ノベライズ版や映画コミカライズ版、さらにはドラマ化まで実現しています。

映画「チアダン」は広瀬すずさん演じる天真爛漫な高校生友永ひかりが、個性豊かな仲間たちと一緒にチアダンス全米優勝を目指していく実話をもとにした物語です。実際のモデルとなった高校は福井商業高校ですが、ひかりが通う高校は福井中央高校と若干名前が変わっています。

チアダンス部入部の目的は同級生で憧れの男の子、孝介のサッカーの応援のためでした。ですがいざ入部すると予想以上の厳しさにメンバーも次々と辞めていきます。それでも残った仲間たちと切磋琢磨しながら、また時にはぶつかりながら一歩一歩前進していきます。怪我をして一時はメンバーから外されるも、懸命の努力に最後はチームをひっぱる存在にまで成長するひかり。夢の大舞台、アメリカで堂々と踊りきりました。

実は広瀬すずさん演じる友永ひかりは福井商業高校初代JETSに所属していた中川怜美さんという方がモデルになっています！ひかりと一緒に全米制覇を成し遂げたJETSの部長、玉置彩乃（たまきあやの）も福井商業高校初代JETSで部長を務めた村中文香さんがモデルになっています。

土屋太鳳さん主演のドラマ「チアダン」は2018年7月からTBS系金曜ドラマ枠で放送しています。初代「JETS」から9年後を舞台に、福井西高校チアダンス部が「打倒JETS」を掲げて全米制覇を目指す物語です。

土屋太鳳さん演じる藤谷わかばは「JETS」に憧れ福井商業高校を受験しますが結果は不合格。福井西高校に入学します。初めは全米優勝を諦めるわかばですが、東京からの転校生汐里（しおり）に感化されてチアダンス部に入部しチーム「ROKETS」を作り、「打倒JETS」を目指していく展開です。

映画「チアダン」が舞台の福井中央高校やモデルの「JETS」は実話に沿った内容ですが、ドラマ版「チアダン」が舞台の福井西高校はストーリーもオリジナルです。ですがなんと映画「チアダン」の主人公、友永ひかり役の広瀬すずさんも同役としてドラマにも出演しています！映画「チアダン」とは違った視点、違った物語が描かれてるドラマ「チアダン」も目が離せません。

映画「チアダン」は2009年にエンターテインメントの本場アメリカで福井商業高校のチアダンス部「JETS」が優勝した実話を映画化した作品です。創部わずか3年で全米優勝を果たした「JETS」。モデルになった福井商業高校の生徒や先生にスポットライトを当ててみましょう。

実話を元に作られた映画「チアダン」のモデルの「JETS」、そもそもチーム名の由来は「ジェット噴射」の勢いで急激に成長するという意味で名付けられました。その名の通り、2006年に創部してわずか3年の2009年にアメリカ、フロリダ州オーランドで開催された「全米チアダンス選手権大会」で見事、優勝を果たします。

全米優勝を成し遂げて注目を浴びた福井商業高校の「JETS」ですが、その立役者はなんといっても「JETS」を指導した福井商業高校チアダンス部顧問の五十嵐裕子（いがらしゆうこ）先生です。

映画「チアダン」では「JETS」の顧問は早乙女薫子（さおとめかおるこ）役で天野祐希さんが演じていますが、モデルとなった人物は実際にJETSの指導をした福井商業高校チアダンス部顧問の五十嵐裕子先生です。

五十嵐先生はなにも初めから指導者として成功を収めてきたわけではありませんでした。周りの生徒に絶大な影響力を与えて、やる気のに生徒に火をつける、そんな先生を目指していたそうですが初めは空回りしていました。福井商業高校赴任前は坂井農業高校で剣道やバレーボールの顧問を歴任してきましたが生徒たちからの人気はありませんでした。

そんな時に目にしたのが神奈川県厚木高校のダンスドリル部「IMPHISH」の全米チアダンス大会優勝ビデオです。映画「チアダン」でも様々なジャンルのダンスのスペシャリストがいましたが、五十嵐先生もまさにこの多種多様なダンスを組み合わせて踊るチアダンスの特徴に魅せられました。福井商業高校に赴任することになって心機一転、チアダンス部を作ることを決心します。

もともと福井商業高校には50年という長年の歴史があったバトン部が存在していましたが、五十嵐先生は周囲の反対を押し切って3年の年月をかけ、バトン部をチアダンス部に変革していきます。

映画「チアダン」でも描かれていましたが、生徒たちに大きな目標をもたせたい。その想いから「ジェット噴射」のように成長するようにと願いを込められて「JETS」が誕生します。初めから全米優勝という大きな夢を実現するべく五十嵐先生の指導はとても厳しい規律が立てられました。

映画「チアダン」でも広瀬すずさん演じる友永ひかりが前髪禁止、ネイル禁止を強制されて不貞腐れてるシーンがありましたが、実際の「JETS」でもおでこを見せなくてはいけなかったり、爪をいじるのが禁止されたり、映画「チアダン」のように恋愛禁止というアイドルを彷彿させるようなルールも課せられていました。

映画「チアダン」でも描かれていたようにあまりの厳しい環境に退部していく生徒も続出しました。初代「JETS」に関しては当初18人いたメンバーも9人にまで半減したとのこと。五十嵐先生にとっても苦悩の連続、でもそれを救ったのも生徒たちでした。

残った生徒たちは自主的に朝練に取り組み、積極的に土日練習や合宿を提案するように。五十嵐先生はチアダンスの専門家ではなかったので、全体のプロデューサーとしての役回りに徹し、ダンスの練習は一流の指導者として名高かった前田千代さんに月1回の指導をお願いし、自らも指導方法を「JETS」を生むきっかけにのもなった厚木高校「IMPHISH」の伊藤早苗先生から学びました。

実は前田千代さん、映画「チアダン」でも広瀬すずさんをはじめとしたキャストの方々のダンス技術指導も担当し、メインキャストには個別指導も行い、映画「チアダン」のダンス風景をなるべく当時の福井商業高校「JETS」本来の姿に合わせられるよう務めたと言っています。

当時を振り返って前田千代さんも五十嵐先生の熱血ぶりに感化され、高い目標を貪欲に目指す姿勢に「洗脳」されていったと言っています。厳しい指導の下でも、その情熱ぶりに生徒も周りの指導者も影響されてチーム全員で一丸となって成し遂げた全米優勝でした。

実話を元に描かれた映画「チアダン」は創部わずか3年のチアダンス部が全米優勝を果たすまでの軌跡が濃縮されていますが、その後のことは触れていません。実際では、この優勝後から強豪校の常連として名を上げていきますし、何度もアメリカへの切符を手にすることとなります。また、卒業した「JETS」のメンバーの中には芸能界に進出している人もいます！福井商業高校「JETS」のメンバー達のその後に迫ってみます。

2009年にフロリダ州オーランドで開催された「全米チアダンス選手権大会」で初優勝を飾った福井商業高校「JETS」ですが、その後も華々しい活躍を全米中に轟かせています。初優勝から同選手権で計7回の優勝を果たしています！そのうち2013年から2017年に至るまで5連覇という前人未到の結果を歴史に刻んでいます。

実は全米選手権初優勝をした次の年は五十嵐先生も生徒達も燃え尽き症候群で目標無くチアダンスをしていたそうです。夢を叶えてしまった後のモチベーションの下り様は凄まじく、2代目「JETS」は国内大会でも結果が振るわなかったそうです。しかし3代目からは優勝を再び意識する様になり全米選手権5連覇を含む計７回の優勝を経験しています。

また「JETS」は2017年11月、東京で開催された「第17回全日本チアダンス選手権大会」のチアダンス部門高校生編成で2大会連続6度目の優勝を飾りました。本来ならば同大会を主催する「日本チアダンス協会」の推薦でアメリカで開催される全米選手権への切符を手に入れることができたのですが、2018年からチームパフォーマンス部門での日本からの推薦枠がなくなり、6連覇の夢は潰えてしまいました。

しかしここで簡単に諦めないのが「JETS」の素晴らしいところ。なんとこれまでの実績が認められ、エンターテイメントの本場、アメリカネバダ州ラスベガスで開かれるチアダンス大会「JAMZ ALL STAR DANCE NATIONALS」の「バラエティー部門」への挑戦権を得ました。なんとその大会でも優勝を勝ち取り、新たな大会でもその実力が示される結果になりました！

「JETS」を卒業したメンバーのその後のキャリアは実に多種多様。映画「チアダン」でも描かれていた様にチアダンス部顧問の先生が生徒に書かせた「夢ノート」。このノートに大きな目標から小さな目標まで筋道立てて夢を掲げ、一つ一つの小さな夢を実現させて大きな目標を叶える、と言った具合に本編では重要なキーポイントだった「夢ノート」。これも福井商業高校の五十嵐先生が考案した実話です。

この「夢ノート」が生徒達の夢達成への大きな原動力となったのは間違いないでしょう。この「夢ノート」を使って夢を実現させたメンバーは様々な業界でその後も活躍しています。

4期「JETS」で部長を務めた久保美佳さん。現在はモデルとして活動をしています。自身の姉も2期「JETS」で部長を務め、初期の「JETS」を強豪校の常連に押し上げるためにチームを引っ張っていきました。久保さんは卒業後USJでダンサーとして活躍していましたが、現在はモデルに転身して新たな夢を追いかけ頑張っています。

初代「JETS」で優勝を経験したMayaさん阪神タイガースのオフィシャルファンサービスメンバー「タイガーガールズ」の一員として活躍しています。持ち前のダンスの実力でオーディションで180名以上の中からタイガーズガールズの座を勝ち取り、今は日本全国を飛び回り野球ファンにダンスを通じて笑顔を届けています。

初代「JETS」のメンバーでもある三田村真帆さんは卒業後、部のコーチとして後輩の育成に尽力されています。また、チアダンス協会のインストラクターとしても活躍し、映画「チアダン」でもJETSの外部コーチだった前田千代さんとともに演者のダンス指導に携わり、またドラマ「チアダン」でもダンスの振り付けを担当しました。

また、意外な形で映画「チアダン」に関わった卒業生もいます。酒井麗奈さん、藤井利帆さんは主演の広瀬すずさん含む8人の初代部員役として映画に抜擢されています。共にアメリカで優勝経験のある2人は100人以上が望んだオーディションを見事勝ち抜き初代部員役として映画に出演しています。

このような仕事以外でも卒業生は看護師、栄養士、美容師、CAなどなど、様々な業界の第一線で活躍しています。今後も更なる活躍を見せる「JETS」卒業生が現れるかもしれません。

創部わずか3年で全米優勝を勝ち取り、その後も連覇を重ねる偉業を成し遂げる「奇跡の実話」として語られる福井商業高校の「JETS」。広瀬すずさん主演の映画「チアダン」は多くの人に感動を与えましたが、実在する本物の「JETS」は映画を超えるような感動と勇気を与えてくれています。

映画「チアダン」のモデルとなった福井商業高校チアダンス部顧問の五十嵐先生は新たな「夢」を掲げています。それは「福井をチアの街にすること」！アメリカラスベガスやニューヨークのように福井でチアダンスのショーを行い、観客や街全体がチアダンスを通じて元気をもらえるような、そんな街にしたいという夢です。

映画「チアダン」も小説の様な実話を描いた作品です。五十嵐先生の壮大な「夢物語」もいつか「実話」となって現実のものとなっていくでしょう！