恋は雨上がりのようにの映画あらすじ！実写キャストや原作・アニメとの違いは？

2018年に公開された実写映画、「恋は雨上がりのように」は年の離れた男女の切ない恋模様を描き、人気を博した映画です。原作はコミックスで映画公開直前に完結し、同時期にはアニメが放映されていましたが、描かれ方や作中の小道具の表現などが作品ごとに違っている事で話題にもなりました。今回はそんな実写映画「恋は雨上がりのように」のあらすじ、キャストや感想をネタバレありで紹介します。

「恋は雨上がりのように」は当初、月刊誌で連載していましたが途中からビッグコミックに移籍し、2018年3月に完結した恋愛漫画です。作者は眉月じゅんという女性漫画家で、主に恋愛漫画の短編を発表していき、「恋は雨上がりのように」で一気にブレイクを果たした、これからが期待される漫画家です。単行本は全部で10冊販売されていて、大変人気が出たため実写映画とアニメ化が決定しました。

アニメ版は2018年1月から3月までの間、ノイタミナというフジテレビの深夜アニメ枠で放映されました。アニメ制作を請け負ったのはWIT STUDIOというで、進撃の巨人シリーズや魔法使いの嫁、最近では劇場版ポケットモンスターを制作した実力のある制作会社です。原作の連載がクライマックスに向かう中、同時進行で放映された事でより注目され、原作とは違う終わり方はファンから評価が高いです。

そして、原作、アニメ版に続く形で公開されたのが本記事で取り上げる実写映画版の「恋は雨上がりのように」になります。監督はCMディレクターとして活躍し、近年では菅田将暉を始めとした実力派キャストを揃えた帝一の国を作成した永井聡です。そして、メインキャストには若くして何本もの実写映画に出演している小松菜奈と、舞台からバラエティまで引っ張りだこの大泉洋が出演しています。

「恋は雨上がりのように」は、夢に破れて生活に疲れた中年男性と怪我をきっかけに好きな事から目を背けた繊細な女子高生の恋愛物だけに、実写映画化するなら誰がぴったりだろうとファンはキャストの予想を言い合っていました。小松菜奈と大泉洋の二人は、原作のイメージをそのまま再現している事からもファンから人気が高いです。また、脇を固めるキャストも豪華な顔ぶれとなっているのも特徴です。

高校二年生の橘あきらは陸上部に所属していましたが、ある時アキレス腱を切ってしまう大怪我をしてしまいます。その事がきっかけで大好きだった陸上から遠ざかると、空いた時間をファミリーレストランのバイトに当てる様になります。そのファミリーレストランの店長である近藤正巳は冴えない中年バツ一です。理不尽なクレームを付ける客にいつも頭を下げる姿に従業員からは舐められています。

バイトにすら舐められる近藤にあきらは熱い視線を向けます。なぜなら、あきらは近藤に対して片思いをしていたのです。きっかけは、彼女がアキレス腱の怪我をした頃に遡ります。部活に参加できなくなり途方に暮れていた彼女は、ふらりと入ったファミレスで、近藤から優しい言葉を掛けられ救われたような気持ちになります。それがきっかけとなり、近藤に近づくためにファミレスでバイトを始めました。

あきらの片思いに近藤は気が付く様子は無く、あきらも遠くから眺めているのに満足していたある日、ファミレスの客がスマホを忘れるという事が起きました。客は出たばかりだが、人手不足の中追いかけるのを躊躇した近藤に対していい所を見せようとしたあきらは忘れ物を持って客を追いかけます。しかし、全力で走ったせいで再び脚を故障してしまいます。

痛みで動けなくなるあきらを前に近藤は責任を感じ、彼女を担ぎ上げると自分の車で病院まで運びます。幸い、怪我事態は深刻では無かったが、こうなった事に近藤は店長としても大人としても罪悪感を抱いてしまいます。またあきらも店長に近づいた事を喜ばしく思いつつも、怪我が完治していなかった事にショックを受けて、取っておいた陸上の道具を捨てる様に母親にお願いします。

次の日、落ち込んでいる二人は偶然にもコンビニの前で出会ってしまいます。近藤はあきらの曇った様子から励まそうとして近くのファミレスに無理やり連れて行き、そこでパフェをご馳走します。しかし、普段の頼りなさから従業員から舐められており、更には怪我をさせた事であきらに嫌われていないだろうかと不安を拭えずにいると、あきらから「店長のことが好きです」と告白されます。

あきらは、自分を慰めようとする近藤の姿に恋心を抱いた瞬間と重ね合わせ告白をしたのです。とこ露が近藤はあきらの告白を、人間的に好きであると解釈して喜んでしまいます。告白が通じていないと気づいたあきらは、さらに気持ちを伝えると流石の近藤もあきらの本心に気づき戸惑ってしまいます。二人は気まずいままその場を分かれます。

しばらくして、ある夜に怪我をしたあきらを車で送る事になった近藤は、そこで告白に対する率直な気持ちを継げます。近藤は「女子高生と45歳の自分が交際するのは周りが許さないし、あきらにはもっと夢中になれるものがあるはずだ」と諭そうとします。しかし、あきらはその答えに納得がいかず、せめて一度ぐらいはデートをしようと強引に約束を取り着けます。

強引に誘われたデートでしたが、近藤は意外にも楽しめてしまい、その反応を見たあきらは手ごたえを感じます。そのまま流れる様に次のデートを約束すると、今度は近藤が行きたい場所に連れてってほしいとおねだりします。すると、近藤が連れて行ったのは図書館でした。実は、近藤は作家になるのが夢で、若い頃から多くの本を読んでいて、あきらに自分の好きな本をオススメします。

近藤の作家になるという夢は破れ、彼は普通に就職し結婚し子供を持ちましたが、結局離婚して今に至ります。そんな近藤の友人であり、今では売れっ子作家の九条ちひろと久々に再会をします。自分と真逆の人生を歩み友人でしたが、久しぶりの再会という事もあり話は弾み、近藤は刺激を受けます。一方で、あきらの方にも意外な人物が訪れます。

あきらが働くファミリーレストランに現れたのは、倉田みずきと言う別の高校の陸上部員です。あきらがアキレス腱を切る前まではライバル関係にあり、彼女が出場しなかった大会であきらのベストタイムを叩きだした実力のある選手です。みずきは大会に出なかったあきらの怪我を知りファミレスを訪れると、彼女に陸上復帰してもらうために挑発を繰り返します。

ライバルからの挑発で、あきらの心に変化が起きます。陸上復帰と店長への恋心に悩む彼女は、夏祭りの日に一緒に出かけた親友の喜屋武はるかに相談を持ち掛けます。ところが、陸上に青春を捧げていたはるかは、あきらが恋愛にかまけて陸上から離れたと思い込んでしまい怒りを覚えてしまいます。結果、あきらとはるかは喧嘩別れしてしまい疎遠となってしまいます。

陸上復帰と店長への恋愛感情に加えて、友人との不仲と言う問題まで抱えたあきらは、ある日近藤が風邪を引いた事を知ります。お見舞いに行くと、あいにくの雨で彼女は頭からずぶ濡れとなってしまいます。病人の所におしかける状態じゃないと悩みつつ、とりあえずインターホンを鳴らすと、近藤は熱がある状態にもかかわらず、あきらの濡れた様子から何かあったと察し彼女を迎え入れます。

いつもと変わらない態度にあきらはまたしても救われていきます。普段と同じように雑談をしつつ、看病をしていると部屋が真っ暗になってしまいます。突然の停電に驚いていると、あきらは近藤に抱きつきます。押し返そうとしますが、あきらの様子と熱で思考が上手く働かずない近藤は、あきらを受け入れそうになります。しかし停電が復旧すると正気に戻り、あきらを引き剥がします。

これ以上、彼女と一緒に居るのは危ないと判断すると、タクシーを呼んで彼女を家へと帰します。ところがそこで無理をした為に風邪が悪化してしまい自室で倒れこんでしまいます。そんな時に友人の九条ちひろが風邪の事を知り尋ねてきます。倒れている近藤を見て、九条は料理を作ったりと近藤の看病を始め、体調も回復します。そして近藤はある決意を固めました。

体調が良くなると、近藤は別れた妻と暮らす息子のために運動靴を買ってあげようとスポーツショップを訪れます。偶然、同じ店に居たのはあきらの友人のはるかです。彼女は近藤の顔を知っており、靴で悩んでいる近藤に接近します。一緒に靴を選びながら近藤の人となりを知ろうとすると、彼が決して悪い大人では無く、あきらの恋心に対して誠実に対応している人物だと知り反省します。

その日は珍しく、近藤の方からあきらに連絡を取り会えないかと誘います。あきらを呼んだのは、息子に買ったばかりの靴をプレゼントするついでに、あきらに走り方を教えて欲しいという用事でした。デートかと期待したあきらでしたが、近藤の息子に走り方を教えていくうちに笑顔が増えていき、生き生きしとした様子を見せます。そんな彼女に近藤は自分の決断は間違っていなかったと確信します。

実は走り方を教えて欲しいというのは単なる口実でした。海辺を教わったばかりのフォームで走る息子を見ながら、近藤はあきらに対してバイトを止める様に告げます。一方的な発言に驚き困惑するあきらに、近藤は自分の気持ちを正直に打ち明けます。あきらが自分の息子に走り方を教えている時が、自分の見てきた中で最も輝いている姿で、君は陸上で待っている人の所に戻るべきだと言います。

近藤の気持ちに触れたあきらは、バイトを止め陸上に戻る決断をします。そして近藤に対して切ない笑顔を浮かべて離れていきます。後日、彼女は陸上部に復帰し、はるかと仲直りする事に成功します。一方で近藤は人手不足になったファミレスで、従業員から舐められ、客の理不尽なクレームに追われるという変わらない生活に戻っていきます。

それからしばらくして、大会復帰を目指し軽めのトレーニングから再開したあきらと近藤が道端でばったりと出会ってしまいます。海での別れから会っていなかった二人の間に気まずい空気が流れますが、互いに近況報告を交わします。あきらは自分が陸上部に復帰したことを伝え、近藤もファミレスの店長から本部に呼ばれ、出世するかもしれないと話します。

つまり、あのファミレスから居なくなってしまう可能性があるのです。それを知ったあきらは別れ際に近藤を呼び止め、「店長、メッセージやってますか？　友達なら交換しましょう」と笑顔で誘い、物語は終わりを迎えます。

作中で怪我をきっかけに好きな事から離れていき、そこで出会った年上男性に恋する全力女子高生を演じたのは小松菜奈です。1996年生まれでまだ22歳と若手ながら、2014年に公開された「渇き。」で本格的に女優デビューを果たすと一気に知名度を上げました。2016年に菅田将暉と共演した「溺れるナイフ」で演技力の高さを認められると、遂にはハリウッドデビューまで果たした勢いのある若手女優です。

橘あきらというキャラクターは、感情表現に乏しく、普段から寡黙な人物です。そのせいか周りからは怒っているとか睨んでいると誤解されがちですが、根は優しく面倒見の良い人物のため後輩から慕われています。アキレス腱断裂と言う大怪我の時に出会った近藤に対して恋心を抱いてからは、彼に近づきたくアルバイトして入り、大胆な告白をするなどアクティブな面もあり、そのギャップが魅力だと言われています。

実写映画版でもベースとなる性格はそのままに、陸上に背を向けた事への後ろめたさや悔しさを感じさせつつ、恋に夢中となっているあきらを小松菜奈は演じてファンからの評価を獲得しています。恋は雨上がりのようにの後にも、主演映画の公開が決まっており、これからも益々活躍するだろうとファンから期待されている人物です。

作家になるという夢を諦め、現実に摩耗していく中年男性を演じたのは大泉洋です。北海道では知らない人物は居ないのではと言われるほどの抜群の知名度を持ち、所属する劇団TEAM NACSは現在では日本で一番チケットを取りにくい演劇集団と言われています。本人の演技力も高く、大河ドラマの真田丸ではレギュラーとして出演し、アイアムヒーロー、探偵はBARにいるシリーズでは主演を務めています。

そんな実力派俳優である大泉が演じた近藤は、ファミリーレストランガーデンで店長を務めている冴えない中年男性です。読書好きがこうじ、大学時代は文芸誌を出したりしており作家を目指していました。しかし、現在ではその夢は破れ、生活の為に漫然と働く日々を繰り返しオジサン化が進んでいます。そのため、あきらからも嫌われているのではと思いこんでいました。

あきらの大胆な告白をきっかけに彼女と向き合い本気だと知っていきます。ですが、彼女との間にある年齢差や、それによる周囲からの視線、なにより自分が傷つくことへの恐れもあり中々勇気を持てずにいます。そんな臆病であり、それでいて大人として振舞おうとする近藤を大泉は完璧に演じたと話題になりました。ちょうど、近藤も大泉も45歳のため、役に入りやすかったのではとファンは推測しています。

大学生の頃にテレビデビューを果たし、いまでは超人気俳優となった大泉洋は恋は雨上がりのようにの後にも、出演したスペシャルドラマが二本に放映され、映画が四本公開されるのが決定しています。他にもテレビ番組にも数多く出演しており、多忙な俳優です。

怪我をして陸上部を去ったあきらの事を心配し、中年男性に誑かされているのではと心配する親友を演じたのは、ファッションモデルとしても活躍した清野菜名です。高校入学を機に上京し、バイオハザードのミラ・ジョヴォヴィッチのアクションに影響されアクション女優を目指します。桜蘭高校ホスト部で女優デビューをしますが、その後しばらくは女優としての活動は無くアルバイトの日々が続きます。

転機となったのは2014年公開されたTOKYO TRIBEのアクションメンバーのオーディションで、そのアクションを見た監督から次回作の主役に抜擢され一気に知名度を上げます。特に2017年に実在の、そして存命している黒柳徹子の半生を描いたトット゚ちゃん！で黒柳徹子の若かりし頃を演じた事で話題にもなりました。

アクション女優としてキャリアを積む清野菜名が演じたはるかは、友達思いですがその思いが空回ってしまうタイプの女の子です。近藤に恋して陸上を離れたあきらに怒ったり、近藤に対しても女子高生を誑かそうとする悪い大人だと思い込んで暴走します。しかし、あきらのことを考えているのは間違っておらず、物語終盤で陸上に復帰しあきらと和解したシーンはファンの間でも良かったと言われています。

あきらのバイト仲間で、年上の立場から全体を見守っている加瀬を演じたのは、仮面ライダーゴーストにレギュラー出演した磯村勇斗です。ゾンビ映画が好きで、中学生の頃に自主制作した映画がきっかけで役者を目指します。高校生の頃には地元劇団に所属し、卒業後は単身上京し、仮面ライダーゴーストの出演をきっかけに連続テレビ小説や映画などに出演するようになってきた若手俳優です。

加瀬と言うキャラクターはファミレスのキッチンで料理を担当している大学生です。ちょっと斜に構えた所があり、あきらの恋心を知ると報われない恋だと言ってしまいます。というのも彼自身、血のつながっていない姉に対して恋心を抱いており、それを抱えて生きていたからです。実写映画では描き切れなかった部分は原作やアニメなどできちんと描かれ、あきらとのエピソードもしっかりとあります。

あきらのクラスメイトで、彼女に片思いするあまりファミレスにアルバイトで入るアクティブな男子高校生を演じたのは、22歳の葉山奨之です。小栗旬にあこがれて同じ事務所のオーディションに中学三年生にして合格すると、それ以来数々の映画やドラマに出演しています。22歳と若手ながら出演作品が大量にあり、最近ではレギュラーとして出演が増えてきたことで、ブレイク間近の俳優と言われています。

そんな葉山奨之が演じたタカシはあきらのクラスメイトで、彼女に恋心を抱いています。ですが、彼女は異性に対して近藤以外眼中にないという態度なため、いくらアプローチをしても手ごたえはありません。そんな中、同じアルバイト仲間のユイから告白されるなど、実写映画では尺の都合泣く泣くカットされましたが、彼にスポットライトが当たる回がいくつかあります。

あきらのバイト仲間で、怪我をした彼女を心配する友人のユイを演じたのは松本穂香です。事務所の先輩であり女優と活躍している有村架純とはマネージャーが同じなため、「有村架純の妹分」というキャッチコピーが付いていました。しかし、ひよっこでの演技が評価され、2018年7月から放送されたこの世界の片隅にでは3000人の応募者の中から主人公役を射止めるなど、今注目されている女優です。

そんな彼女が演じたユイというキャラは性格が明るく朗らかで、仕事中に怪我をしたあきらを真っ先に心配する女の子です。一方で今どきの子らしく、冴えない中年男性の近藤に対してはちょっと舐めた態度を取っています。作中では同僚のタカシに対して恋心を抱いており、あきらと近藤のストーリーに並行して少しずつ進展していましたが、実写映画ではバッサリと切られてしまいました。

あきらのライバルで、怪我を理由に陸上から去った彼女を引き戻そうとする倉田みずきを演じたのは、タレントとしても活躍する山本舞香です。長澤まさみを目標としており、小学校の頃からやっている空手は黒帯というアクションも出来る女優です。暗殺教室では重要なキャラクターを演じて話題となり、現在では王様のブランチにレギュラーで出演するなどマルチな活躍をしています。

倉田みずきというキャラクターは、あきらの事を憧れつつライバル視しています。それがアキレス腱断裂と言う怪我で陸上を去ったという事に納得いかず、アルバイト先まで押しかける熱い性格をしています。実は彼女もアキレス腱断裂を経験しており、そこか復活したという過去があります。それを知った事であきらは陸上に戻れるかもと思うようになるため、非常に重要なキャラクターなのです。

近藤の友人にして、売れっ子作家の九条ちひろを演じたのは、大泉洋と同じTEAM NACSに所属する戸次重幸です。大泉とは大学時代からの付き合いであり、当初から役者を志していたこともあり多くの映画やテレビドラマに出演していました。しかし、30代の頃は仕事がぱったりと止まってしまうなどの苦労人で、それをバネに近年では主演ドラマを勝ち取るなど目覚ましい活躍をしています。

戸次が演じた九条ちひろと言うキャラクターは、一時期疎遠になったが再び会うと一気に意気投合できる友人と言う立ち位置です。実写映画ではあまり掘り下げられませんでしたが、九条の一言が近藤に対して強い影響を与えたり、彼を悩ませる橘あきらが17歳の女子高生だと知り驚き、自分の周りにも彗星のように現れた17歳の作家などに頭を悩ませるというシーンなどがあります。

実写映画では近藤の古い友人と言う側面が強調されており、そのために大泉洋との呼吸があうTEAM　NACSのメンバーが選ばれたのではないかとファンの間では推測されています。事実、大泉と共演するシーンでは二人とも古い付き合いのある友人同士にしかみえない演技をしており、SNSであれは演技だったのだろうかと言う疑問の声も上がっています。

近藤に対しても口やかましく文句を言えるパート従業員の久保を演じたのは歌手としても活躍する濱田マリです。多くのテレビドラマや映画に出演しており、本作でも短い登場シーンながら近藤が従業員から舐められているというのを印象付ける役どころを見事に演じ切っており、ファンからもはまり役だと言われるほどです。

上述したように、「恋は雨上がりのように」は原作が完結して2か月後に、実写映画が公開されています。そのため実写映画と原作には幾つかの違いがあるのも特徴です。例えば、原作があきらと近藤の二人にフォーカスが当たっているのに対して、実写映画ではあきらに物語の主軸が置かれています。そのため、近藤の元嫁や離れて暮らす息子とのエピソードは殆どカットされています。

また登場人物それぞれの背景や心情なども大幅にカットされています。あきらの恋心を主軸に置いているためか、タカシとユイの恋の行方や、加瀬と彼の姉、九条ちひろともう一人のあきらなどのファンから人気のあったエピソードも同様にカットされており、残念だったという声が上がっています。もっとも、映画の尺から考えて全てをやっては時間が足りないだろうという意見も上がっています。

他にも小道具の使い方が原作とは違っているとファンは指摘します。それは図書館デートの時に近藤があきらに勧めた本の数です。原作ではRUNと坊ちゃんの二冊をあきらに勧めますが、実写映画ではRUNのみになっています。RUNはタイトル通り走る事がメインの本で、坊ちゃんは作家を志した近藤の思い出の本で、二人の軸となる気持ちを象徴するシーンだとファンは語ります。

ですが、実写映画ではRUNだけとなっており、あきらがRUNを読んで走る事への未練を思わせるシーンに繋がっていきます。この辺りも尺の決まっている実写映画と、作者がプロットを組んで描ける原作との違いとなっています。そして、「恋は雨上がりのように」の実写映画と原作の最大の違いは、ラストシーンにあります。

原作ではラストシーンに至るまでに近藤が「もしもあきらと同い年だったら」という妄想を抱きます。その中であきらに対して、彼女は自分と色々な意味で違う世界に居るんだという結論を得て、あきらに陸上に戻るように促します。あきら自身も、自分の中に陸上に戻る事への未練が燻っているのに気づき、近藤との思い出を胸に陸上へと戻って行きます。

それから一年の時が過ぎ二人は会う事も無く、見事陸上の世界に復活したあきらはライバルとの対決を制し、大会で見事優勝を勝ち取ります。一方で近藤はあきらとの思い出をときどき思い出しては、あんな風に彼女を突き放した事で恨まれているだろうなとネガティブな感情を抱きます。ところが、あきらは練習の休憩中に取り出した、近藤から貰った日傘を嬉しそうに使っている所で原作は終わります。

原作ではあきらの思いに答えられないとした近藤に対して、あきらは陸上を優先し二人は会わなくなります。しかし、あきらはまだ近藤への思いを捨てきれていないかのように匂わせる描かれ方をしています。一方で実写映画では、陸上に復帰してすぐに二人は再会しており、あきらの方から連絡先を交換しようとするシーンで終わります。この違いが原作と実写映画の最大の違いとなっています。

実写映画版と原作が違うように、同時期に放映されたアニメ版も違いが沢山あります。特に原作の連載と同時進行だった最終回とその前の回では、オリジナルシーンを多くしてあり、ラストシーンは原作・実写映画とも違う終わり方をします。原作・実写映画ではあきらの恋心に対して近藤は夢破れた大人として、前を向いていきなさいと諭すようにして背中を向けます。

ところがアニメ版では、あきらが持つ恋心に近藤の方が勇気を貰い、あきらの恋に答える事は出来ないけど、もう一度自分の夢に向かって頑張ろうと前向きになります。あきらの初恋は実る事は無かったですが、二人とも自分の中にある軸に対して正直な気持ちになり、また笑って会えるのを約束して別々の道を進みます。

原作・実写映画では、あきらがまだ近藤に対して恋心を抱いているかのような描写で終わりますが、アニメ版はあきらの恋は実らなかったときちんと描いているのが特徴です。原作、実写映画、アニメと同じ作品ながらそれぞれ別々のラストを描いていることもあり、ファンの中ではどれが一番良かったのかという議論が絶えません。

「恋は雨上がりのように」の実写映画は評価が分かれています。特に原作では近藤の心情を妄想と言う形で掘り下げているのに対して、映画はあきらの目線を中心に置いているために近藤の気持ちが伝わっていません。また、原作では一年の時が過ぎても再会していない二人の距離感が良かったのに、実写映画ではすぐに再会するラストに、SNSでは不満の声が上がっています。

また、尺の都合からかストーリー展開もスピーディーになってしまい、偶然に助けられるようなシーンがいくつかあるのも不満の一つに上げられています。

一方で実写映画も、原作とは違う終わり方をしたアニメ版も含めて良かったという評価もあります。こちらの感想では邦画で一番とまで言っています。

また、キャストの演技も光っている作品です。実力のある大泉洋と、初恋に揺れるヒロインを演じた小松菜奈の二人は高い評価を受けており、感想でも好意的に書かれています。

こちらの感想でも二人の演技が素晴らしかったと述べられており、また観たいとまで言わせています。

「恋は雨上がりのように」は、中年男性に恋した女子高生という恋愛物語を軸に原作、実写映画、アニメ版とそれぞれ違った演出やストーリー展開をしています。今回は実写映画のあらすじやキャスト、感想などを中心にまとめましたが、もし今回の記事を読んで興味を持たれたのなら、実写映画のみならず原作やアニメ版も合わせてご覧ください。