ピーターパンとフック船長の関係は？本当は仲良し？左手やワニ嫌いの理由も考察

イギリスはスコットランド出身の作家ジェームス・マシュー・バリーの作品からスタートしたピーターパン。ネバーランドに住み自由に空を飛ぶ決して大人にならない陽気な少年の姿は誰もが思い浮かべることができるでしょう。今回はピーターパンとその最大の宿敵、フック船長との意外な関係やその過去を掘り下げ、彼がワニ嫌いに至った理由も含め解説していきます。

ピーターパンのオリジンは1902年にまで遡ります。スコットランド出身の作家バリーが小説「小さな白い鳥」で初めてピーターパンの名前が登場し、その後ピーターパンが主人公の作品を複数書き、現在私たちの知るピーターパンの原作となっています。

原作者の死後、ピーターパンはアメリカでサイレント映画化され、1953年にディズニー映画として上映され現在でも名作として知られています。その後もスピルバーグ氏が監督を務め描いた映画「フック」、ディズニーが続編「ピーターパン2」、ジョニーデップ主演の「ネバーランド」、そして2015年公開された「PAN〜ネバーランド、夢の始まり〜」など、多くの関連作品が生まれています。

ディズニー版ピーターパンは公式設定では12歳。パートナーの妖精ティンカーベルと隠れ家に住むロストボーイズのリーダーです。現実世界で影を取られてしまい、それを取り返す際に影を持っていたウェンディと出会い冒険へと旅立ちます。正義感は強いですが、いたずら好きは度を超えていてフック船長の左腕を切り落としてワニの餌にしたことがある程です！

続編のピーターパン2ではウェンディの娘ジェーンがフック船長に誘拐され、ネバーランドに連れて行かれます。ジェーンと共に再びネバーランドのスリリングな冒険が描かれています。この作品では一作品目のワニが去り、代わりに大ダコがフック船長を食べようと狙っています。

スピルバーグ版ピーターパンではピーターパンが記憶を失い40歳の中年になり弁護士としてバリバリ働いている設定になっています。息子をフック船長に誘拐され、ピーターはティンカーベルによって半ば強引にネバーランドに連れて行かれます。そこで再開するロストボーイズらと共にフック船長と再び相交えることになります。

映画「PAN」ではピーターパンがネバーランドに行き永遠の少年になるまでの経緯が描かれています。この作品の敵はフック船長ではなく別の海賊、黒ひげ。妖精狩りをしている黒ひげを止めるべく、まだ鉤手（かぎて）になっていない、若かりし頃のフック船長と仲良し関係という設定です。どの作品もバリーの原作を基に作られていますが、オリジナル設定も垣間見えます。

ピーターパンの宿敵として描かれることの多いフック船長ですが、実は本当は仲良しだという人もいます。その際たるシーンが映画「PAN」で見ることができます。二人の関係に迫って行きますが、先にディズニー映画版のピーターパンをおさらいします。

幾度となく剣を交える関係の二人ですが、最も有名な戦いはネバーランドで囚われたウェンディとロストボーイズを助けに現れたピーターパンが海賊船の上でフック船長と戦うシーンです。

ピーターパンを騙して爆弾を送りつけ、結果死んだものと思っていたフック船長。ピーターパンの仲間たちも次々と海に落としてワニの餌にしようとします。しかし妖精ティンカーベルの助けにより爆発に巻き込まれるのを免れたピーターパンがウェンディとロストボーイズを助け出します。

船上で激しく戦うピーターパンとフック船長。一方ロストボーイズも果敢にフック船長の仲間のクルー達を撃退して行きます。その間、空飛ぶピーターパンを腰抜け呼ばわりして挑発するフック船長。その挑発を受けて飛ばずにピーターパンは戦います。

一時は追いやられるも、フック船長の剣を奪い逆に追い詰めます。慈悲を請うフック船長に情けをかけ剣を下ろすピーターパン。卑怯なフック船長はピーターパンの油断してる隙に左の鈎手でピーターパンの背後を狙います。

しかしそのことに気がつきピーターパンはフック船長の攻撃をかわし、結果的にフック船長は船の下に落下。待ち構えていたワニに追われる形となりました。海賊船のクルーも皆逃走し、ピーターパンの勝利で幕を閉じました。

2015年に公開した作品、「PAN〜ネバーランド、夢のはじまり〜」ではピーターパンと若き日のフック船長が共闘するシーンが描かれています。仲良し関係だった二人にはどのような過去があったのでしょうか？

ネバーランドの島を支配する海賊黒ひげ。不老不死の力を得るとされる妖精の粉を求め、島の妖精を狩り尽くしていました。その上に孤児を集め妖精の粉が宿る石を採掘させ、その場にピーターパンも連れて来られフック船長と出会います。

過酷な環境に二人は脱走を図り妖精の王国を目指します。途中フック船長は自分の生まれた世界に帰る、と離脱します。妖精の王国にたどり着いたピーターパンですが、同時に後を付けられていた黒ひげの侵入もゆるしてしまいます。

圧倒的な力で妖精を狩り、追い詰められるピーターパンを助け出すのがなんとフック船長！妖精のティンカーベル、ピーターパンとフック船長が協力し強敵黒ひげの撃破に成功します。

ピーターパンは捕まっていた孤児を連れ出しフック船長と一緒にネバーランドに舵を切ります。「これからも僕たちは友達？」「もちろんだ」物語は仲良し二人の会話で幕を閉じます。

映画「PAN」とディズニー版のピーターパンでは設定にも少々ズレがあり、また両作品とも原作と設定が異なる部分があります。ただしフック船長のワニ嫌い設定は原作もその後作られた関連作品も大きく違いません。

「PAN」では仲良しの関係だった二人がどのような経緯でその後の関係が変わるかは残念ながら作品の中では描かれていませんでした。しかし、ディズニー版ピーターパンでは鈎てとなった左手の復讐に燃えてたフック船長。左手が二人の関係を握っている様子です。

フック船長はかつて左手をピーターパンに切り落とされて、そのをワニに食べさせられた経験があります。ワニはそれ以後フック船長の味をしめ、彼を狙っているのです。また、フック船長はこの経験からワニがトラウマになってしまいました。

実はフック船長の鉤手、原作や実写版では右手となっていますがディズニー版だけは左手の設定になっています。

フック船長の左手を食べたワニ。このワニの最大の特徴はチクタクチクタクと時計が体内で時を打ってることです。「ティンカーベルとネバーランドの海賊船」という2014年アメリカで制作されたOVAではワニの体内にある時計はフック船長の部下のもの、となっていますがその他の作品では時計の持ち主は描かれていません。

ワニの体内にある時計の針の音を耳にしただけで青ざめるフック船長ですが、実はあることを象徴しています。原作者のバリーはワニを時間の象徴と捉え、フック船長がワニに追い回されるのは時間に追い回される大人の姿をモチーフに描いているのです。子どもで居続けるピーターパンとの対局の関係を示す作者の意図が感じられます。

このようなワニ嫌いのフック船長の様子はディズニーランドでも確認できます。ディズニーランドでフック船長は耳元で「チクタクチクタク」と囁くと逃げ出す演出をします。もし遭遇した際は是非試してみてください。

これまで多くの作品がピーターパンをモチーフに描かれましたが、フック船長のフック（鉤手）となった左手はピーターパンに切り落とされた、という事実はどの作品も変わらないようです。たとえ仲良し関係の時代があったにせよ、今はいがみ合いながらお互いに嫌がらせを続けいてく関係で落ち着いています。

ピーターパンはフック船長の左手に関して罪悪感を持っていません。でも同様にフック船長も自身の鉤手を気に入ってる節があります。ですから切り落とした左手を巡って、と言うよりは単純にお互いをライバル視している宿敵関係という説明の方が適切かもしれません。

今回の記事では主にピーターパンとフック船長にスポットを当てていますがいかがだったでしょうか？、ピーターパンの作品には彼ら以外にも魅力的なキャラクターはたくさん登場します。それぞれの個性がどう関わり合っているのか、もう一度見返してみてはいかがでしょうか？