マルタイの女のあらすじをネタバレ!伊丹十三監督映画の結末と感想は?

伊丹十三監督が遺作として世に出した映画『マルタイの女』は今見ても面白い作品です。衝撃作を数々作り続けていた伊丹十三監督が自らの経験を元にして作り上げた映画『マルタイの女』のネタバレを含むあらすじを紹介します。ビワコ演じる宮本信子氏の演技はスクリーンの中だけでは納まらない躍動感に溢れ、見る人にインパクトを与えます。鑑賞した人達の感想も交えて、映画に迫っていきます。記事を読んで映画を見てみてください。あらすじはネタバレ注意です。

マルタイの女のあらすじをネタバレ!伊丹十三監督映画の結末と感想は?のイメージ

目次

  1. マルタイの女の映画とは?
  2. マルタイの女の映画あらすじをネタバレ
  3. マルタイの女の結末ネタバレ
  4. マルタイの女の登場人物・キャスト
  5. マルタイの女に関する感想や評価は?
  6. マルタイの女の映画ネタバレまとめ

マルタイの女の映画とは?

『マルタイの女』という映画を知っていますか?数々の映画を世に出し、見る人を魅了してきた映画監督の伊丹十三氏の遺作となった映画です。伊丹十三監督が作る映画はどっしりとした、内容の詰まった映画で、多くの人に鑑賞されています。『ひまわり』もファンが多い映画ですが、『マルタイの女』など『~の女』シリーズは伊丹作品の代名詞ともなっている作品群です。

今回取り上げる『マルタイの女』は伊丹十三監督が実際に襲われる体験をしたことから着想を得て、膨らませた上で映像作品に仕上げた映画です。残念ながらこの作品を最後に他界された監督ですが、最後まで世間を驚かせる映画を発表しました。『マルタイの女』のあらすじをネタバレも含みながら、みんなの感想ものせつつ紹介していきます。未見の人はネタバレのあらすじや感想には注意してください。

マルタイの女の映画作品情報

映画『マルタイの女』は1997年に公開された作品です。本作の監督である伊丹十三は過去に『ミンボーの女(1992年公開)』を劇場公開した時に、暴力団関係者に襲われる事件に見舞われました。ちなみに『ミンボーの女』はヤクザによる民事介入暴力を取り扱った映画で、タイトルの「ミンボー」は民事加入暴力の通称です。この監督の襲撃事件により警察は伊丹十三を保護対象者としました。保護対象者を「マルタイ」と呼びます。

マルタイの経験をヒントに伊丹十三はこの映画の製作に取り掛かりました。伊丹十三はこれまでいくつもの映画を製作していますが、この映画は初めての刑事物でした。カルト教団の殺人事件を目撃してしまった女優のビワコがマルタイとなる話です。

監督・脚本を伊丹十三が担当していますが、クレジットの企画協力に三谷幸喜の名前があります。彼も本作の初期から携わっていましたが、最終的に監督自らが脚本を書き上げたため、三谷幸喜の名前は、企画協力として連ねられています。また、キャストでは三谷幸喜作品に出演する役者も多数の人が『マルタイの女』に参加しています。

マルタイの女の映画監督

ここでは、映画『マルタイの女』の監督である伊丹十三を見ていきましょう。元々商業デザイナーとしてスタートした伊丹十三ですが、俳優・映画監督・ドキュメンタリー映像作家・エッセイスト・CMクリエイター・イラストレーターという数多くの顔をもっていました。知性派の監督で「日本のルネ・クレール」と呼ばれた伊丹万作は伊丹十三の父です。伊丹万作の代表作に『無法松の一生』『国士無双』『赤西蠣』等があります。

1960年に大映に入社したのをきっかけに俳優となり、芸名を父である監督の伊丹万作と小林一三から因んで伊丹一三(いちぞう)としていました。大映を退社した後、結婚・離婚を経て1967年に「マイナスをプラスにかえる」という意味で芸名を「伊丹十三」へ改名しました。また、この年に『マルタイの女』の主人公ビワコを演じている宮本信子と出会いました。

監督としては1962年に当時妻であった川喜多和子と共に自主短編作品の『ゴムデッポウ』を制作し、勅使河原監督の『砂の女』と同時上映を果たしています。その後1984年に伊丹十三が51歳の時に『お葬式』で監督デビューをして、その年の日本アカデミー賞をはじめとして30を超える映画賞を受賞しました。『お葬式』を含めて以降10作品を世に送り出し、作品ごとに非常にインパクトの強い印象を観客に与えました。

『マルタイの女』は伊丹十三の遺作となった作品で、9月に劇場公開された後、約3か月後の12月20日に遺体となって発見されました。警察の発表では自殺となっていますが、数多くの謎が残っています。他殺を疑わせる状況もありましたが、監視カメラなど現在ほどなかった時代なので、はっきりとしませんでした。

マルタイの女の映画予告編動画

映画を見るきっかけとして欠かせないのが、予告や特報です。短い中で映画の雰囲気や内容を伝えて、見た人の興味をひかなければなりません。予告の印象が映画本編と同様でないこともありますが、それは宣伝の妙として一つの方法です。『マルタイの女』の予告も観る人によって受け取り方や感想は違います。

マルタイの女の編集技師

日本映画ではスタッフが一つのグループをなし、それぞれの監督が作品を作る場合同じスタッフが参加することが多いです。そのため「伊丹組」などと呼ばれて毎度監督の下には常連のスタッフが招集されます。キャメラなどは特に同じ人が務めることが多く、のちにその助手が後を継いで技師を務めることもあります。伊丹組の編集技師も常連スタッフの一人です。

伊丹組の編集技師は鈴木晄です。鈴木晄は伊丹十三の『お葬式』以降10作品すべてを担当していました。それだけでなく1954年に日活撮影所で編集技師となってから430本以上の映画を担当しています。石原裕次郎主演の『嵐を呼ぶ男』や相米信二の『セーラー服と機関銃』など今でもリメイクされたり、名作と呼ばれる作品にも数々携わりました。編集として日本映画を支え、後年は並行して学生を教えるなど育成にも尽力しました。

撮影された素材を見て、監督が演出した各ショットに冷静に向きあい、客観的に対峙する。監督が意図したことをどのように編集すればその意図が観客に伝わるのか、シーンやショットを通して判断する。

鈴木晄は編集者はその映画の第一の観客であると考えて仕事に臨んでいました。カットのつながりの良しあしが、その映画全体の出来を左右させてしまう役割が編集という部門にあるということです。作品は監督や現場の思い出を編集するのではく、映画にとって本当に必要な物を選んでつなげないと観客が置いて行かれてしまうことにもなりかねません。編集者の必要性は上の言葉に集約されています。

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マルタイの女の映画あらすじをネタバレ

映画『マルタイの女』のあらすじを紹介します。ネタバレを含みますが、伊丹十三の遺作となった作品を詳しくみていきましょう。『マルタイの女』をまだ見ていない人はこれを読んで映画を見るためのガイドラインにしてみてください。ネタバレを含んでいますが、その分ストーリー以外の監督の演出や思いにも焦点を当てて作品を鑑賞することができて、映画をさらに楽しんでいただけます。

あらすじネタバレ:射殺事件

磯野ビワコはプライドの高い大物女優で、共演する俳優や付き人に対して厳しくする傾向がありました。しかし、芸に関しては人一倍真摯に向き合い、その日も舞台稽古あとに発声練習をしていました。近くのマンションで殺人事件がおこり、そこから逃げてきた大山がビワコの目の前で射殺されました。不運にも殺害現場を目の当たりにしたビワコは大声で叫んでしまったことで、殺人犯に襲われます。

偶然車が通りかかったことで、襲ってきた犯人は仲間の車で逃走し、ビワコは難を逃れました。救急車で搬送される大山につきそうビワコでしたが、祈りの甲斐なく搬送中に大山は息絶えました。警視庁の波多野管理官に付き添われて現場検証に立ち会いますが、ビワコが女優ということもありマスコミへ事件の事を話さぬよう注意を受けました。しかし、大々的に記者会見を開き、法廷での証言を明言してしまいました。

あらすじネタバレ:マルタイ

犯人の大木はカルト教団「真理の羊」の信者で、ビワコの会見をテレビで見ていた教団がビワコを脅すようにとナカムラとエイジに命令をしました。警視庁はビワコの身を案じ、教団から守るために「マルタイ」にして立花と近松2人の刑事に身辺警護を担当させることにしました。2人の刑事はビワコの自由奔放な行動に振り回されつつも職務を全うし、ビワコとの隔たりも少しづつ縮まっていきました。

ビワコが警察に協力して作成された犯人のモンタージュ写真が完成し、全国各地に配布されました。犯人の大木は田舎町に逃走していましたが、モンタージュ写真を見た地元の刑事のトロにカラオケクラブで気づかれてしまいます。逃げる大木でしたがトロとの格闘の末に逮捕されてしまいます。東京に護送された大木でしたが、すっかり教団に洗脳されており、捕まってからもなお抵抗をつづけました。

あらすじネタバレ:ビワコの不倫

事件に巻き込まれ、ただでさえ多忙を極めているビワコですが、常に刑事2人に護衛されている状況でした。安全の確保は最優先されるものの台詞を覚える必要があり、ホテルの部屋でこもって覚えると2二人の刑事に伝え帰宅をうながします。しかしそのホテルの部屋はテレビ局の編成局長をしている真行寺との逢引に利用されました。不倫関係の2人はこのことが外に漏れることは許されないので、細心の注意を怠りませんでした。

マルタイの女の結末ネタバレ

ここまでのあらすじは映画の導入から山場を迎える手前までを紹介しました。監督の練られたプロットにストーリーの濃厚さが表れています。映画は山場に向かうまでの引込が非常に大事です。開始20分は説明を兼ねた導入であり、ここで観客の興味を惹きつける出来事を必要とします。その後は伏線を張りつつ山場へ向かうのです。さて、ビワコをめぐる話は佳境へ迫っていきます。結末ネタバレ注意です。

結末ネタバレ:失意のビワコ

殺人犯の大木は警察の取り調べの中で徐々にカルト教団から受けていた洗脳を解かれていきます。そしてしまいには自ら罪を認め、自供をはじめました。しかし、教団側は大木の裁判での自供を阻止するために、大木の母親と妻子の身柄を拘束して強硬手段にでました。物的証拠がない現状では大木の自供を止め、ビワコの証言を辞めさせることができれば裁判で無罪に持ち込むことができると教団は考えていました。

そこで教団側のナカムラとエイジは電気工事の業者を装い、ビワコの部屋に侵入します。そこでビワコに飼われていた犬を殺して冷蔵庫に入れておくという非道な作戦をとり、ビワコに恐怖心を植え付けさせて辞退をさせようと試みました。ビワコはわが子同然のように可愛がっていた愛犬の変わり果てた姿にショックを受け、失意の底に落ちました。

結末ネタバレ:公判

さらに追討ちをかけるように、公演の舞台中に客席から突如駆け寄る若者が現れました。若者は警官に取り押さえられますが、ビワコは控室に退きます。しかしそこに待っていたのは教団の二本松でした。二本松は口止め料の300万円と不倫のネタをちらつかせて証言の中止を求めました。この男の卑劣極まりない行為に怒りがこみ上げたビワコは大声を出して立花たちを呼びました。

ビワコは不倫相手の真行寺を呼び、教団に秘密を握られていることを説明しました。証言を辞めればこのネタは握りつぶされるのですが、ビワコは証言を辞めるつもりはないと伝えます。真行寺はビワコの意志を尊重し、二人は仲を分かつこととなります。そして教団が情報をリークすると舞台の来場客は減り、その責任として降板を言い渡されました。模擬裁判でも辛辣な言葉を投げかけられて心底疲弊したビワコは逃亡します。

思い出の場所でもある事件現場に足を向けたビワコを教団が襲います。ビワコを殺害しようとしますが、駆け付けた立花が身を挺して守り抜きました。彼の姿に勇気を得て、当日を迎えます。しかし裁判所への道すがらビワコを乗せた車を教団側が強襲をかけました。火炎瓶を投げられ炎に包まれながらも敵を仕留めた立花のおかげでビワコは無事に到着します。「これは私の花道です」と囲むマスコミに告げ、裁判所に入りました。

マルタイの女の登場人物・キャスト

映画『マルタイの女』には個性豊かな登場人物が多く登場します。その中でも主演のビワコをはじめとした主要キャストを演じた人がどんな役者なのかみていきましょう。味のある役者は映画に深みを与えてくれる存在です。

磯野ビワコ/宮本信子

磯野ビワコを演じる宮本信子は監督である伊丹十三の妻です。伊丹作品の多くに出演しており、「○○の女」シリーズでは主役を多く務めています。美人や不細工な女性、また様々な役を演じることができるマルチな役者で、『お葬式』の主役を皮切りに改めて評価されて、『マルサの女』では多数の映画賞を受賞しています。

立花/西村まさ彦

2017年に芸名を「西村雅彦」から「西村まさ彦」へ改名しています。バイプレーヤーとして多くの作品に出演しています。三谷幸喜が脚本をかいた『古畑任三郎』で今泉慎太郎役で人気に火が付き、深夜枠には『今泉慎太郎』というスピンオフも放送されていました。その他『王様のレストラン』など個性的な役で見る人に強い印象を与えています。映像のみならず舞台などでも活躍されている俳優です。

近松/村田雄浩

映画の中では立花の部下であり、立花と共にビワコを警護する近松を演じているのは村田雄浩です。個性的な役者で一度見ると忘れないインパクトがあります。伊丹作品にも複数作出演しており『ミンボーの女』ではその演技力が発揮されています。ハスキーボイスではありますが、あどけなさも含む破顔一笑に親しみを持つ人は多いです。

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マルタイの女に関する感想や評価は?

ここでは鑑賞したひとの感想や評価を紹介します。見る人によって感じ方は様々です。紹介する感想には内容を含み、ネタバレしている個所もあります。みんなはどのような感想を持ったのでしょうか。

伊丹作品は数多くの映画で「死」の場面を取り扱っています。監督の信条ともいえる死生観に対する思いを映像化することで、非常に受け手にとって考えさせられるものとなっています。ビワコの愛犬の死も、このようにショッキングな映像として印象付けられています。

伊丹十三の実際の死は未だに謎が残っています。彼の生き様は非常に凛としたものであったようで、本作の最後、ビワコが裁判所へ行く姿に伊丹十三を重ねる人もいるようです。作品が与えたメッセージはとても強いもので、それを素直に受け止めた感想です。

役者である津川雅彦を回想する時に、『マルタイの女』を思い出しています。劇中の役で津川雅彦をとてもうまく演出していたことが感想からわかります。公私ともに親交のあった2人ですが、その期待にお互いが答えたかたちです。あのシーンが気になる人はぜひ見てください。

マルタイの女の映画ネタバレまとめ

『マルタイの女』についてあらすじをネタバレしつつ紹介してきました。見た人が非常に印象的な作品であるという感想もあるほどです。映画の作品に定評がある伊丹十三監督ですが、遺作となった本作はまた、違った意味合いを含んでしまいました。彼の意図を味わいながら映画『マルタイの女』を鑑賞してみてください。

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