バスターのバラードをネタバレ!コーエン兄弟作品の感想・評価は?【Netflix】

2018年にアメリカで制作された西部劇映画『バスターのバラード』。ブラックユーモアたっぷりに描かれた6話からなるオムニバス構成が特徴のこの映画、今やアメリカを代表する巨匠となったコーエン兄弟待望の作品です。映像配信大手Netflixが独占配信したことでも話題となりました。それではこれから『バスターのバラード』のあらすじから作品裏話、観た方の感想までネタバレで紹介します。ぜひご覧ください!

バスターのバラードをネタバレ!コーエン兄弟作品の感想・評価は?【Netflix】のイメージ

目次

  1. バスターのバラードとは?
  2. バスターのバラードのあらすじネタバレ
  3. バスターのバラードに関する4つのこと
  4. バスターのバラードのネタバレ解説
  5. バスターのバラードを観た人の感想や評価は?
  6. バスターのバラードの映画ネタバレまとめ

バスターのバラードとは?

バスターのバラードの作品情報

『バスターのバラード』(原題:The Ballad of Buster Scruggs)は、2018年にアメリカで制作された西部劇映画で、ブラックユーモアやアイロニー(皮肉)にあふれた6話で構成されています。2018年11月16日に映像配信会社Netflixが独占配信しました。

監督・脚本はコーエン兄弟。出演はジェームズ・フランコ、ブレンダン・グリーソン、ゾーイ・カザン、リーアム・ニーソン、ティム・ブレイク・ネルソン、トム・ウェイツ他。

バスターのバラードの監督

映画『バスターのバラード』の監督を務めたのは、アメリカの映画監督で脚本家、映画プロデューサーのコーエン兄弟です。兄ジョエルは1954年11月29日に、弟イーサンは1957年9月21日にアメリカ/ミネソタ州ミネアポリスに生まれました。

1984年コーエン兄弟として映画「ブラッド・シンプル」を脚本・監督し、インディペンデント・スピリット・アワード監督賞やサンダンス映画祭グランプリを受賞、その後も兄弟コンビで作品を発表します。カンヌ国際映画祭の常連で、1991年「バートン・フィンク」で同映画祭初の主要3部門(パルム・ドール、監督賞、男優賞)を制覇。

さらに1996年「ファーゴ」や2001年「バーバー」で監督賞を、2013年「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」で審査員特別賞を受賞。またアカデミー賞では、1996年「ファーゴ」で脚本賞を、2007年「ノーカントリー」では作品賞や監督賞など4部門を受賞。現代アメリカ映画界を代表する監督となりました。

バスターのバラードの予告動画

Netflixで配信された映画『バスターのバラード』の予告動画をご覧いただきましょう。画面には、見渡す限り何もない大草原が現れます。ガンマンが一人佇み、その横には一頭の馬。いかにも西部劇の始まりのシーンに見えます。しかし男が小屋の扉を開けて中に入って行くのに合わせて解説が始まります。「物語が面白いのは登場人物に自分を重ねるから…」

普通の西部劇ではない展開がストーリーを盛り上げます。そして、画面には縛り首になる男たちが映ります。恐怖に顔が引きつりむせび泣く男に向かって主人公と思しき男が一言、「初めてか?」。アイロニーが効いたシナリオという評価の一端が垣間見えるシーンではないでしょうか。

Thumbビッグ・リボウスキはコーエン兄弟のコメディ映画!あらすじや感想・結末をネタバレ | 大人のためのエンターテイメントメディアBiBi[ビビ]

バスターのバラードのあらすじネタバレ

1話ネタバレ:バスターのバラード

Netflixで配信されたオムニバス第1作は、映画のタイトルともなっている『バスターのバラード』です。主人公のバスター・スクラッグスはハットから靴まで白ずくめの衣装にこれまた白いギターを抱え、陽気に歌いながら馬に乗って荒野を旅するお洒落な男。しかし、外見に似合わずバスターはギャンブルの腕も一流な凄腕ガンマンでした。バスターは自分の身を守るためにならず者たちを、電光石火の早撃ちで始末します。

道中、ある酒場に立ち寄ったバスター。そこは無法者たちの溜まり場でした。店の客と口論になったバスターは、その客と店のオーナーをあっさりと銃殺してしまいます。次に立ち寄った町の酒場は入り口で銃を預けなければなりませんでした。バスターは直前に席を立った客に代わりポーカーに参戦。

ところが先客の手札が悪過ぎたためゲームから抜けようとするのですが、カーリー・ジョーという男がそれを許さず隠し持っていた銃をバスターに突きつけます。バスターは瞬時にテーブルを使ってジョーを倒します。ところが、今度は死んだジョーの弟がバスターに果し状を叩き付けました。バスターはジョーの弟をいとも容易く射殺します。

最後の決闘は、ハーモニカを吹きながら登場する流れ者が相手です。お気軽で楽しくがモットーのバスターでしたが、この粋なハーモニカ男には不意を突かれてあっさりとやられてしまいます。撃ち殺されたバスターの亡霊は、流れ者とデュエットをしながら天国に召されていくのでした。

2話ネタバレ:アルゴドネス付近

若いカウボーイの男が銀行強盗に押し入ります。銀行には年老いた銀行員が一人仕事をしていました。男は銀行員の老人に銃を突きつけ金を出せと脅します。ところが銀行員は落ち着いて対処、あっさりと強盗を倒してしまいました。気絶していた男が目を覚ますとそこは処刑台。木に吊るされ正に処刑されるところでした。

ところがその時先住民コマンチ族の襲撃が!コマンチ族は保安官を皆殺しにすると疾風のごとく去って行きました。強盗をした男は処刑寸前で九死に一生を得ます。そこへ偶然商人が通りかかり若きカウボーイを救助。ところがカウボーイがホッとしたのも束の間、別の保安官が駆けつけます。

カウボーイを助けた商人は、実は家畜泥棒だったのです。保安官を目にした商人は姿をくらまします。カウボーイは家畜泥棒と間違えられ保安官に逮捕され、結局絞首刑されてしまいました。

3話ネタバレ:食事券

年老いた男は両手両足の無い若者と馬車で旅をして暮らしていました。収入源は立ち寄った先で開く見世物。手足の無い若者が詩や聖書を暗唱し、観客から見物料やおひねりを頂戴するのです。食うに困らない程度の稼ぎでしたが、2人は問題を起こすことなく役割をこなしていました。

ある時訪れた村で、男は人が群がり騒いでいる光景を目にします。近くまで行ってみると、鶏を使った見世物をしていました。人だかりの理由は、その鶏が計算の答えを解いてしまうことにありました。男は有り金をはたいて鶏を譲ってもらいます。これで大儲けができると喜ぶ男でしたが、暫くするとはたと気が付きます。四肢の無い若者が不要となったことに。

その後移動中、川に差し掛かったところで男は馬車を止めました。自分が不要となったことに気づいた若者の引きつった表情が映ります。そして若者に近づく男の顔には笑みが浮かんでいました。そして馬車は再び雪の中を動き始めます。馬車の中に両手足の無い若者の姿はありませんでした。

4話ネタバレ:金の谷

年老いた山師は、金脈を求めて砂金を掘り進める日々を送っていました。ある日、ついに山師は金鉱を掘り当てるのですが、背後から若い男に銃で撃たれていまいます。

若い男が山師の倒れた穴に入ると、死んだふりをしていた山師は若い男を返り討ちにします。山師を撃ち抜いた銃弾は急所を僅かにそれていました。山師は若い男を埋葬すると金を懐に山を降りて行きました。

5話ネタバレ:早とちりの娘

アリス・ロングバウと兄のギルバートは新天地オレゴン州へ旅をします。ところが道中ギルバートがコレラに感染し死亡してしまいます。突然、支えとなっていた人間を失い途方に暮れるアリスでしたが、護衛のビリーとそのパートナーの老ガンマン、アーサーが彼女の面倒を見るようになります。

ある日インディアンが襲ってくるのを目撃したアーサー。すぐにアリスのもとに駆け付けると、1人でインディアンを迎え撃つ準備を始めます。アーサーは彼女に「もし自分が殺されたら、奴らに手籠めにされる前に自殺するよう指示をして拳銃を渡します。

銃撃戦に勝ち目はありませんでしたが、インディアンのリーダーが落馬して死亡すると軍団は撤退していきます。勝ち名乗りを上げるアーサーでしたが、馬の陰に隠れていた戦士に斧で殴られ倒れてしまいます。その後、止めを刺される直前にアーサーは相手を撃ち殺しました。

九死に一生を得たアーサーは、直ちにアリスの元へと駆けつけます。ところが、アーサーが死んだと早とちりをしたアリスは、銃で自らの頭を撃ちぬき死亡していました。

6話ネタバレ:遺骸

フォートモーガンに向かう馬車は乗客乗せると出発します。乗客はアイルランド人とイギリス人、フランス人、そして狩人の男性4人と年配の女性、合わせて5人でした。狩人はインディアンの女と生活していたことを話します。続いて年配の女性が別居している大学教授の夫に会いに行くと言うと、「亭主はたぶん他の女性とよろしくやってるよ」とフランス人の男が応じたので社内は不穏な雰囲気に。

すると前の席に座っていたイギリス人がアイルランド人を指さし言いました。「私たちは賞金稼ぎで、馬車には死体を積んでいます」。暫くして馬車はホテルに到着。賞金稼ぎの2人は馬車から死体を下ろし部屋に運びます。動揺を隠せない残りの3人は押し黙ってホテルに入っていきました。

バスターのバラードに関する4つのこと

コーエン兄弟がNetflixに登場

2018年ネット配信の歴史に新たな1ページが…。少々大袈裟かもしれませんが、『バスターのバラード』でのコーエン兄弟のNetflixへの登場は衝撃的な出来事でした。過去にもNetflixは、デヴィッド・フィンチャー制作総指揮のドラマ「ハウス・オブ・カード野望の階段」などを独占配信し話題を集めました。そんなNetflixであってもハリウッドを代表する監督、コーエン兄弟は特別の存在と言えるのではないでしょうか。

Netflix初登場のコーエン兄弟は「ファーゴ」や「ノーカントリー」などで知られるのヒットメーカー監督です。批評家からの評価も高く、世界3大映画祭の1つカンヌ国際映画祭の常連になっています。「バートン・フィンク」がカンヌ国際映画祭史上初の主要3部門を制覇。監督賞には3度輝いています。

また2007年の「ノーカントリー」ではアカデミー賞4部門を受賞。名実ともに現代アメリカを代表する巨匠コーエン兄弟作品の独占配信は、Netflixのネット配信事業での地位を確実に引き上げたのではないでしょうか。

バスターのバラードのテーマ

映画『バスターのバラード』の6つの物語には共通したテーマがあります。映画冒頭の本の表紙にそのヒントが隠されていました。そこに描かれているには枯れ木と動物の頭蓋骨。絵画ではしばしば頭蓋骨を”死”の象徴として使われます。

さらにページをめくると墓場で夕日を受けるカウボーイの挿絵が出てきます。これはカウボーイに象徴される西部劇の死を意味します。以上のことから『バスターのバラード』はアメリカ開拓時代を生きた人々の死をテーマにしていると考えられます。

第91回アカデミー賞にノミネート

映画『バスターのバラード』は第91回アカデミー賞脚色賞と主題歌賞、衣装デザイン賞の3部門でノミネートされました。残念ながら受賞は逃しましたが、ヴェネツィア国際映画祭では脚本賞を受賞しています。

バスターのバラードの裏話

最後に映画『バスターのバラード』にまつわる裏話をいくつか紹介します。裏話1つ目は、当初テレビシリーズとして企画されていたことです。2つ目は、コーエン兄弟が過去25年間に書き溜めた短編小説が原作になっていること。

さらに撮影監督がいつものロジャー・ディーキンスではなく、コーエン兄弟作品2度目となるフランス人、ブリュノ・デルボネルがつとめていること。最後は上演時間133分はコーエン兄弟作品では最長記録であること。いずれも興味深い話しです。

バスターのバラードのネタバレ解説

解説:バスターのバラード

ここからは6つの物語を1話ずつ解説していきます。まずは映画の題名ともなっている『バスターのバラード』から。主人公は、全身真っ白な衣装をまとい白馬に乗って現れるバスター・スクラッグス。彼はコーエン作品のキャラに見られる2つの特徴を備えています。

1つは、普遍的な昔ながらのヒーローというキャラクター。もう1つは冷徹なまでの殺し屋としてのキャラクターです。歯向かう者には容赦なく銃弾を浴びせて、いとも簡単に殺してしまうバスター・スクラッグス。最強のヒーローであり最悪の殺し屋でもある バスターこそコーエン兄弟が思い描く「カウボーイ」の象徴なのかも知れません。

解説:アルゴドネス付近

2つ目の物語「アルゴドネス付近」のテーマは、過去のコーエン兄弟作品にも見られた「この世の不条理」です。例えば「バーバー」では、主人公の男が妻の浮気相手の男を殺害すると妻が容疑者として逮捕されてしまい、逆に犯していない殺人の罪によって主人公は電気椅子で処刑されてしまうのです。

「アルゴドネス付近」では、主人公のカウボーイは銀行強盗では絞首刑を免れ、無関係な家畜泥棒の罪で絞首刑になってしまいます。ここでのコーエン兄弟ならではのこの世の不条理が示されているのです。

解説:食事券

3つ目の物語「食事券」では、美しい文章や歌、さらには人間性までもが金の前では無力になってしまうという現実の悲しさが描かれています。

コーエン兄弟の過去の作品、例えば「バートン・フィンク」では美しい脚本を書こうと高い志を持った脚本家が、映画制作会社の社長から金になる筋書きを書くように命じられ妥協を余儀なくされます。

「食事券」でも、美しい人間性の象徴である両手足の無い青年の身の回りの世話を行ってきた興行師が金に困るようになると手っ取り早く儲かりそうな鶏を購入し青年を殺してしまうのです。

解説:金の谷

大自然の中で穴を掘り続けている山師の姿は、1996年のコーエン兄弟作品「ファーゴ」に通じるものがあると言われています。「ファーゴ」に、どこまでも続く大雪原の一角に奪った金を隠し目印にスコップを立てるシーンがあります。

「金の谷」でも山師が金を掘り終えて立ち去ると、掘った穴には目印の旗が立てられていました。どちらも大自然の中に人間の欲望の痕跡が残されているのです。「金の谷」はコーエン兄弟自身の作品「ファーゴ」のオマージュと言えるのかも知れません。

解説:早とちりの娘

5つ目の物語は、主人公アリスとキャラバンの護衛・ビリーやアーサーとの関係を描いた「早とちりの娘」です。アリスが旅の費用捻出に困っていると、ビリーはお金の工面をする代わりに彼女に結婚を申し込みます。

ビリーが結婚したいと思った理由には、時代の変化によりこの先カウボーイを続けるのが難しくなったので農家として安定した生活を送りたいという事情がありました。1つ目の「バスターのバラード」同様、この物語はカウボーイ時代最期の栄光が表れている物語になっているのです。

解説:遺骸

最期の物語は、フォートモーガンへ向かう馬車に5人が偶然乗り合わせるところから始まる「遺骸」です。5人のうちアイルランド人とイギリス人は実は賞金稼ぎでした。、賞金首を捕まえる方法は、まずイギリス人がとターゲットと話している隙にアイルランド人が後ろから撃つというものでした。

1話に登場した昔ながらのカウボーイの象徴、バスターは、後ろから撃つような卑怯なマネはしないと公言していましたが、この話ではすでにそんな価値観が通用しない時代になってしまったことを示しています。

目的地のフォートモーガンのホテルに着いたころには、辺りはすっかり暗くなっていました。それは、映画冒頭の本の挿絵にあった西部劇の黄昏の風景は完全に過ぎ去ってしまったことを暗示しているのでしょうか。

バスターのバラードを観た人の感想や評価は?

感想や評価:ずっと観ていたい!

最後に映画『バスターのバラード』を観た方の感想や評価を紹介します。最初の感想・評価は映画が素晴らしすぎて永遠に続いて欲しい、ずっと観ていたいとの感想を寄せた方です。とりわけコーエン兄弟作品2度目となる撮影監督ブリュノ・デルボネルの映像が最高だったそうです。

感想や評価:心に刺さるブラックジョーク!

コーエン兄弟と言えば、アイロニーに富んだブラックジョークが有名です。続いての感想・評価はこのブラックジョークに心を射とめられてしまった方です。

多くの方が物悲しくなると訴えている、四肢のない青年の話を「美しく儚く冷たくヒンヤリと」快く感じたと言うことでした。

感想や評価:コーエン兄弟のいいとこ取り!

最後の感想・評価は、オムニバス形式のこの映画を「コーエン兄弟のいいとこ取り」と評価する方です。

全くもって酷い話しだとしながらも、こういう映画でしか救われない人に確実に効く処方箋とも評しています。独自の視点を持つこの映画の価値を認める感想でした。

バスターのバラードの映画ネタバレまとめ

ここまで「バスターのバラードをネタバレ!コーエン兄弟作品の感想・評価は?【Netflix】」と題してお届けしてきました。観た方の感想にもあるように、オムニバス6話からなる本作『バスターのバラード』は、話題のコーエン兄弟の”いいとこ取り”とも言うべき作品に仕上がっていると評判です。

まだ観ていない方は、この機会にNetflixの「1カ月無料体験」を利用してご覧になってはいかがでしょうか。

関連するまとめ

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ