トランス・ワールドはループ映画の傑作!あらすじや結末・感想まとめ

2011年の隠れた名作と名高いB級映画『トランス・ワールド』。静かな雰囲気のなかで解かれていく謎についてあらすじや結末、ループの行く先、そして気になる感想などを徹底解説!ジャック・ヘラー監督の描きたかったループする世界と伏線をネタバレを含めつつ考察しながら、映画『トランス・ワールド』の魅力をご紹介します。ネタバレを含む章には「ネタバレあり」と記載しますので用途に合わせてご覧ください。

トランス・ワールドはループ映画の傑作!あらすじや結末・感想まとめのイメージ

目次

  1. トランス・ワールドとは?
  2. トランス・ワールドの映画あらすじをネタバレ
  3. トランス・ワールドの映画結末をネタバレ
  4. トランス・ワールドをネタバレ考察
  5. トランス・ワールドに関する感想や評価は?
  6. トランス・ワールドの映画ネタバレまとめ

トランス・ワールドとは?

皆さんはこの特徴的なポスターを観たことがあるでしょうか?まるで『星の王子様』の挿絵のように球体状になった森と小屋が描かれている特徴的な映画『トランス・ワールド』は2011年にジャック・ヘラー監督によって制作された低予算のSFサスペンス映画です。

今回は、そんな映画『トランス・ワールド』の静かながら魅力的なあらすじやループの先に待つ結末と感想を、ネタバレを最小限にしつつもご紹介しましょう。感想の章ではおすすめの関連作品についても紹介させていただきます。

トランス・ワールドの映画作品情報

映画『トランス・ワールド』はジャック・ヘラー監督によって制作されました。ジャック・ヘラー監督は『トランス・ワールド』が初映画監督作品であり、それまでは製作指揮としての顔を強く持っていました。彼が指揮した作品は2012年の『ビジター』や2013年の『沈黙の監獄』、2014年の『バッド・マイロ!』などがあります。

そんなジャック・ヘラー監督のSF映画へのこだわりが観られる映画が『トランス・ワールド』なのです。ループを巡る独特のロジック感や、会話劇のなかで紐解かれていく謎などが見どころとなっています。

トランス・ワールドの予告編動画

映画『トランス・ワールド』の予告編映像では、「出会うことのなかった3人」にお話がフォーカスされていることと「空間がループしていること」、そして何か共通点があるようだということが匂わされています。また、原題は『Enter Nowhere』であることから「どこにも行けない」というクローズドなお話であることがわかります。

英語版のキャッチコピーには「Welcome to our nightmare!(ようこそ、私たちの悪夢へ!)」という言葉も見えることから虚構なのか現実なのか、ループする世界とはなんなのかなども焦点になってくるのでしょうか。本記事ではキャッチコピーなどにも絡んでくる伏線の考察も行なっていきましょう。

トランス・ワールドのキャスト

映画『トランス・ワールド』に登場するキャストは、初見では気付きづらいのですが2000年代を代表するような役者さんたちが登場しています。

  • ジョディ/サラ・パクストン
  • トム/スコット・イーストウッド
  • サマンサ/キャサリン・ウォーターストン
  • ハンス/ショーン・サイポス
  • ケヴィン/クリストファー・デナム
  • 食料品店店主/ジェシー・ペレッツ

例えば、ジョディ役のサラ・パクストンは『愛しのアクアマリン』(2006)のアクアマリンを演じた女優さんですし、スコット・イーストウッドは『ロンゲスト・ライド』(2015)、キャサリン・ウォーターストンは『エイリアン: コヴェナント』(2017)で主演を務めています。そんな新星たちが集った作品でもあるのです。

トランス・ワールド│番組一覧│映画専門チャンネル「ムービープラス」

トランス・ワールドの映画あらすじをネタバレ

あらすじ:ある強盗をはたらいた女のはなし

田舎の海辺を走るオープンカーにはガラの悪い男女のカップルが乗っていて、ある食料品店に赴きました。カップルの女性は店主を脅して金庫の中身をせしめようとしますが、これに対して店主は「中身は気に入らないだろう」と皮肉めいた言葉を返します。逆上した彼女は銃の引き金に指をかけてしまうのでした。現時点でのネタバレは避けますが、このシーンは後々の伏線に大きく関わるので、店内の物品などをよく覚えておいてください。

あらすじ:ある車が故障した女のはなし

一方、白いトレンチコートを着た女性は動かなくなった車から抜け出し泣きながら途方に暮れていました。彼女はサマンサ。ガス欠で車が動かなくなり夫が助けを呼びに出て車外に行ったきり戻らず、後を追う形で外に出てきたのです。彼女は空腹に耐えきれずひとりで彷徨っていたのです。そんな彼女は小さな小屋を見つけ、中にあったバッグのなかの食料を食べてしまいます。

あらすじ:ある小屋に現れる男のはなし

そんなサマンサのいる小屋に斧を持った男が現れます。慌てたサマンサはベッドの下に隠れ、隙をみて逃げ出そうとしますが足を挫いてしまい、斧を持った男もまた殺意がないことを伝え2人は小屋に戻ることになります。男の名前はトム。彼もまたこの近くで車の車輪を溝に取られ途方に暮れていたひとりだと言います。

2人が会話しながら暖をとるために使用した物品なども謎を解く鍵になるのでよく注目しておくといいでしょう。2人はサマンサの夫であるアダムの安否や氷点下近くになってしまう夜の過ごし方などについて話しつつ、お互いの言い分に少しづつ違和感を覚えながらも打ち解けていきます。

ネタバレありあらすじ:サマンサの悪夢

サマンサはトムと出会って小屋で眠った先で悪夢を見ます。それは出産の苦しみになんとか耐えながらも電話に縋る自分自身の姿を映したものでした。サマンサは実はこの時点で身重であり、その事実もあってか本能的な恐怖を覚えながら目を覚まします。

あらすじ:ある青いダウンベストの女のはなし

そんなサマンサが目を覚ますとトムは出払っており、代わりに小屋の前には青いダウンベストを着た女性が倒れていました。彼女は実は映画の冒頭に登場した強盗の女性、ジュディです。ジュディはサマンサに助けられてやがて目を覚まします。彼女はサマンサを信用しておらず、外に出てしまいますが銃声を聞いて引き返してくるのでした。

そこに同じく銃声を聞いたトムも戻ってきて、ジュディのガラと口の悪さから2人は対立します。この時のジョディとトム、あるいはジョディとサマンサの言い争いの論点もまた伏線になっていますので軽く覚えておくといいでしょう。こうして3人の主要な登場人物たちが小屋という小さな空間に集まることになります。

ネタバレありあらすじ:ジョディの悪夢

ジョディは3人が集まった晩に悪夢を見ます。それは手術台のベッドに括られる夢でした。身に覚えのない境遇にジョディは跳ね起き、サマンサから助けを呼びに行ったトムの事情を聞くと少しだけ心を許して彼の無事を祈る旨を伝えます。

そしてまたトムは外を探索し、サマンサは小屋の中で嘆き、ジョディが外で悪夢の内容を思案していると銃声が響いてくるのです。ジョディは銃声に驚いて引き返すことになります。また探索をしていたトムも「ある事情」で戻ってきてしまうのでした。そしてお互いにここで「何処からきたのか?」を争点としてまた言い争いが起こります。

サマンサはウィスコンシンだと言い、ジョディはデトロイトからシアトルの間だと言い、そしてトムはオクラホマとサウスダコタの間だと言います。ここでそれぞれの違和感が現実味を帯びてきて「それぞれが別の場所から来てしまったこと」に気付くのです。雷雨と夜闇のなか、また悪夢を見ることになります。

ネタバレありあらすじ:トムの悪夢

トムは悪夢のなかで「あるもの」を目撃し飛び起きます。そうして残り少ない食料をどうにかするために外へと3人で探索に行くと、ジョディが偶然にも地下壕を見つけるのでした。それは1925年のポーランドのものらしい地下壕で、3人は缶詰やワインを持ち帰ることに成功し少しづつ違和感の正体に近づいていくのです。

トランス・ワールドの映画結末をネタバレ

ネタバレあり結末:タイムスリップ

疑念のなかで3人はそれぞれに境遇を話しているうちにある結論に至ります。それは「生きている時代がそれぞれ違う」ということでした。なんと、サマンサは1962年、ジョディは1984年、トムは2011年から来たというのです。そして、外で銃声が鳴り響いたことで3人の運命は転がりだします。

外に飛び出してみるとそこにはライフルを持った男がいました。トムは斧で威嚇しますが相手はドイツ語で喋っていて内容がわかりません。そこで「父親がドイツ人だった」というサマンサが交渉に打って出ます。なんとか通じたかと思いきやトムに男が殴りかかり3人は小屋に拘束されてしまいます。

朝になりドイツ語で男は尋問をしようと試みますが、「ある持ち物」を見て浮き足立った隙に木に縛り付けたトムに反撃され形成は逆転。3人は逆に男を拘束して身元を調べることに成功します。

超ネタバレあり結末:真実

男の名前はハンス・ノイマン。彼の名前を知るとサマンサは戦死した自分の父の名前だと言います。そしてハンスが浮き足立ったものが彼の愛する女性の写真の入ったロケットであり、そのロケットをサマンサとジュディは持っているという共通点がわかります。そして、ジュディは母親が自分を産んで死んだことや、父親の両親に暴力を振るわれながら育てられたことなどを明かします。

そして、トムもまた、獄中で死亡し自分を捨てた母親の遺品のなかに同じロケットがあったことと、施設で育つ上で神父に虐待を受けたことを告げ、自分たちが血縁関係にあることを解き明かします。そして悪夢の内容がそれぞれの死に直結する直前の光景であると察した3人は家庭の崩壊の最初の一欠片になってしまったハンスの戦死を覆すために行動を起こすのです。

超ネタバレあり結末:時は巡る

実の父にあたるハンスをなんとか説得しようとするサマンサ。しかし、「任務が失敗すると空爆される」と言ってハンスは聞かず、トムとの揉み合いの末、不運にも間に割って入ったジュディは腹を撃たれてしまいます。するとトムの体が徐々に透けだし、ジュディの死がトムの消滅を意味することがわかります。トムは必死にハンスを止めようとしますがサマンサの前で消えてしまいます。

そして、サマンサは泣きながらハンスに「ある言葉」を訴えかけ、ハンスもまた「ある選択」をします。そうして、ジュディもまた消滅し、小屋は空襲によって破壊されてしまうのです。

時は巡り、映画は結末を迎えます。ジュディはハッと気付くと食料品店にいました。彼女の姿は冒頭のガラの悪さを感じさせない気品のあるもので、店内では「あるもの」が画面に映り込んでいます。「ここに来たことがあるような気がする」と話すジュディに店主は優しく微笑んで返答し、ジュディが店を去るのと入れ替わりに派手なオープンカーに乗ったガラの悪い男女が入ってきます。

そのまま海辺を車で戻ったジュディは、新聞のある記事を眺めながら、海辺で骨壷を抱いた母親…サマンサと仲良く寄り添うシーンでこの映画『トランス・ワールド』は幕を閉じるのです。

トランス・ワールドをネタバレ考察

この章では、トランス・ワールドの気になる伏線と少々独特な結末に至るロジックについて考察していきましょう。

ネタバレ考察①ループのつかさどるもの

この映画『トランス・ワールド』で明確にループしていると感じさせる要素は以下の通りです。そのなかでループの存在を自覚しているような言動を見せるのは冒頭と最後に登場する店主のみであり、彼がいわゆる物語の「デウスエクスマキナ」であり、あの食料品店が「ループの起点」なのではないかと考察することができます。

  • 食料品店に訪れるガラの悪い男女と強盗殺人
  • 店長のループするセリフ
  • 店内に置かれたオルゴール
  • 森の中に響く銃声

Tips:デウスエクスマキナ

デウスエクスマキナとは、「機械仕掛けの神」とも呼ばれる舞台装置のひとつで「複雑に絡んだ糸を解して解決に導く超自然的な存在」のことを指します。その世界の法則を曲げてしまうような助言をすることもあるためあまり好ましく思われないこともありますが、映画でも物語と観客を繋ぐ案内役としてそういった達観した存在が登場することがあるのです。

例えば映画『天使のくれた時間』(2000)に登場するキャッシュ・マネーや、『ドニー・ダーコ』(2001)の銀色のウサギが主人公たちにタイムリミットや初見では奇妙奇天烈なセリフを囁かなければそもそもどういったロジックで回っているのかわからないこともあります。特にループものではそういった役割をおった登場人物を置くことでループの視点をわかりやすくしてくれることがあります。

ネタバレ考察②小屋に集められた理由

結末の章でもお話しした通り、ループからの脱出方法は3人の先祖であり家庭崩壊の間接的な原因になった「ハンスの死を覆すこと」でした。また、ハンスに撃たれたジュディが死亡した段階でトムも消滅し、空爆にあってハンスが最後の行動に出た際にサマンサも消滅しました。

これは、おそらく「バタフライエフェクトによってループから脱却した=存在そのものも消滅した」のではないかと考察されます。つまり、食料品店をジュディが襲ったことで、各々不幸な生い立ちを持った一族が次元の門の先に集められてタイムパラドックスを自ら起こさざるを得なくなったのではないかと考えられているのです。

そうであるからこそ、「存在の消滅を伴う運命を覆すチャンス」が金庫の中身であり、店主がメタな発言としてジュディに金庫の中身がジュディにとって好ましくないものだと忠告したという流れが成立するのではないでしょうか。

ネタバレ考察③Enter Nowhere

その上で改めて原題である『Enter Nowhere』に注目すると驚くべきポイントを考察することが出来ます。それは「どこにも行けない」という意味そのものが、「物理的な脱出が不可能」という意味ではなく、「存在が消滅し、別の世界線に運命を託すことでしか別の運命は得られない」という意味を含んだ皮肉的なねーみんぐであるという考察です。

初見ではハッピーエンドにみえる結末も見方によっては自身の消滅からしかはじまらない物語であるという点や、同じように強盗を働く男女がいることから「誰かもまた消滅し別の世界線で生まれ変わる」ことを指しているとも言えるのです。とてもSFサスペンスらしいネーミングとも言えます。

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トランス・ワールドに関する感想や評価は?

トランス・ワールドの感想①静かなSFサスペンス

奇妙なSF設定があるので取っ付きにくい部分はありますが、サスペンスものとして観られる謎がループのなかにたくさん潜んでいて楽しいという感想が多く挙がっています。『トランス・ワールド』は謎を解く楽しみがある映画なのだと言えるでしょう。

トランス・ワールドの感想②結末への伏線回収がすごい!

伏線の回収の凄まじさとわかった時の爽快感をあげる感想も存在しています。感想を述べようとするとネタバレになってしまうから言えない!という声が出るほどに綿密に伏線が組まれているようです。

トランス・ワールドの感想③良質な結末の用意された隠れ名作

静かな雰囲気のなか会話劇を中心として展開する映画であるため何処かホラーのような風情がありますが、最後まで根気よく観ていると伏線の回収とともに謎が解けて良質な結末を楽しむことができるという感想も挙がっています。前知識が要らないSFループモノというのも特徴のひとつです。

トランス・ワールドの感想おまけ:この映画も観たい!

ここでは映画『トランス・ワールド』といっしょに観たい映画たちに関する感想ツイートをご紹介します。

この方のおすすめテーマは「タイムトラベル映画」のくくり。『トランス・ワールド』も「ループする物語」「タイムトラベルする物語」の要素を持っているので、このテーマにフォーカスしてSF映画を楽しんでみるのもとても面白いでしょう。

この方のおすすめの括りは「おすすめのB級映画」。B級映画とは低予算で作られた映画のことで、なんと映画『トランス・ワールド』は500,000ドルという極めて低予算で制作されています。これは話のほとんどが山小屋で展開されることに起因するのですが、そのなかでも堂々と90分を描ききる力があることから多くの人に愛されているのです。

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トランス・ワールドの映画ネタバレまとめ

映画『トランス・ワールド』のあらすじ紹介やループにまつわる考察はいかがでしたか?難解なループものの映画に潜むサスペンス性の楽しさに味をしめていろんな作品を鑑賞してみると面白いかもしれません。今後にも期待が高まる監督さんなのでこれからも同行をチェックしてみましょう!

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