映画『空中庭園』の小泉今日子が凄い!あらすじ結末やキャスト・感想まとめ

『空中庭園』は2005年10月に公開された小泉今日子さん主演の映画作品です。「隠し事のない家庭」を理想とする主人公の京橋絵里子は、理想に反し自身が家族に隠している秘密ごとがありました。絵里子だけでなく夫、娘、息子も家族には打ち明けていない秘密を持っています。「空中庭園」のごとき家族の形が壊れるとき、それぞれが家族と向き合い、美しい「空中庭園」の形に気づきます。今回は家族のあり方を描いた映画『空中庭園』のあらすじネタバレ解説や小泉今日子さんを始めとする出演キャストについてご紹介していきます。

映画『空中庭園』の小泉今日子が凄い!あらすじ結末やキャスト・感想まとめのイメージ

目次

  1. 映画『空中庭園』とは?
  2. 映画『空中庭園』の小泉今日子やその他の凄い点
  3. 映画『空中庭園』のあらすじネタバレ解説
  4. 映画『空中庭園』のキャスト
  5. 映画『空中庭園』に関する感想や評価
  6. 映画『空中庭園』についてまとめ

映画『空中庭園』とは?

映画『空中庭園』の基本情報

『空中庭園』は2005年10月に公開された豊田利晃監督の映画作品で、主役は4年ぶりの主演映画復帰となった小泉今日子さんです。映画『空中庭園』の原作は角田光代さんの同名小説で、映画のエンディングテーマはUAさんの「この坂道の途中で」です。『空中庭園』は公開直前の8月に豊田利晃監督が覚醒剤取締法違反で逮捕されたことで公開が危ぶまれましたが、規模を縮小し公開決定した事が賛否両論を巻き起こし話題になりました。

映画『空中庭園』の予告編

こちらが『空中庭園』の予告(冒頭)動画です。バビロンの空中庭園を思わせるランプが、絵里子が作り上げた理想の家庭のダイニングテーブルを見下ろしています。そして冒頭に、絵里子の理想の家族=京橋家のルールが告げられます。『空中庭園』の見どころとも言われている、「回転」の演出が特徴的な予告です。

映画『空中庭園』の監督は豊田利晃

『空中庭園』の監督は豊田利晃さんです。豊田さんは1969年生まれで、21歳の時に映画の世界に入り、3ヶ月後に書いた脚本が評価・採用され1991年に阪本順治監督の映画「王手」が公開されました。

1998年の千原ジュニアさん主演の映画「ポルノスター」で初監督を務め、日本映画監督協会新人賞を受賞しました。映画「火花」では『空中庭園』に出演している板尾創路さんが監督を務め豊田さんは板尾さんと共同で脚本を書いています。

原作小説『空中庭園』

映画『空中庭園』の原作は角田光代さんの同名小説「空中庭園」です。原作小説「空中庭園」は短編6編からなる小説で、京橋絵里子、夫の貴史、娘のマナ、息子のコウ、絵里子の母・さと子、貴史の愛人でコウの家庭教師・ミーナのそれぞれの視点から描かれています。原作小説「空中庭園」は2003年に婦人公論文芸賞を受賞しています。今回は映画『空中庭園』のあらすじネタバレやキャスト、解説をご紹介していきます。

映画『空中庭園』の小泉今日子やその他の凄い点

解説『空中庭園』のここが凄い①小泉今日子の迫真の演技

まず『空中庭園』が素晴らしい!と言われた点についてご紹介していきます。ひとつ目に、一番多く話題になった点は主演の小泉今日子さんの迫真の演技です。小泉今日子さんは、普段は完璧な笑顔を見せ完璧な母でありながら、序盤から少しずつ心の闇を見え隠れさせます。自分の過去を知る職場の同僚が性病を患っていることを店長にこっそり話し退職させたり、金をせびりにきた職場の元同僚をフォークで刺し殺す妄想に駆られます。

後に母親との確執が溢れ出し絵里子は自分の内に秘めていた闇を抑えられなくなり、母親に面と向かって死ねよと吐き捨てるようになります。その際に母親のバースデーケーキにろうそくを延々と刺し続けるシーンがあります。元同僚をケーキフォークで刺し殺す妄想も、母親に死ねと言いながらケーキにろうそくをぶすぶすと刺す場面も恐ろしいほど無表情で、小泉今日子さんの美しさと迫真の演技のギャップが凄いと話題になりました。

解説『空中庭園』のここが凄い②脇役のソニンらも凄い

主演の小泉今日子さんの迫真の演技と共に『空中庭園』を支えているのが脇役陣の演技です。特に夫・貴史の愛人を演じたソニンさんと永作博美さんの好演を評価する声が多かったようです。好奇心から貴史の息子・コウの家庭教師をすることになったミーナを演じたソニンさんは、京橋家の均衡を崩していく重要な役どころです。京橋家と食卓を囲む際に、テーブルの下で貴史の股間を足でまさぐる過激なシーンもあります。

ミーナも笑顔の裏に思惑を見え隠れさせ、天真爛漫なソニンさんの演技が評価されました。また貴史のもう1人の愛人・飯塚を演じた永作博美さんも、哲学的な話し方・満面の笑み・貴史を追い詰める激しいプレイスタイルのギャップが激しく、変人と言われてもおかしくない飯塚を見事に演じきっていると話題になりました。

解説『空中庭園』のここが凄い③予想外すぎるラスト

『空中庭園』のラストでは、絵里子は妄想の世界の中で自分の空中庭園(ベランダの庭園)で血まみれの雨を浴びながら絶叫します。自分が考えていた母親との確執に思い込みがあり、実は母親から愛されていたらしいと気付かされた絵里子は戸惑い、泣き叫び、自分自身を再構築していきます。絵里子が精神崩壊し家族はバラバラになるだろうと感じた人が多かったようですが、ラストは意外な展開を見せ凄い!と言われたようです。

解説『空中庭園』のここが凄い④芸術的演出効果も凄い

『空中庭園』の中には、様々な芸術的演出が施されています。特に印象的だと言われたのが、幸せな家族の朝食を映し出した後に家族がそれぞれ登校・出社しばらばらに行動し始めたところで画面が揺れ始めるシーンです。始めはゆりかごのように左右に揺れていた画面の揺れが段々と激しくなっていき、家族の存在の危うさ=空中庭園のゆらぎを表現しています。その揺れはついに一回転をし、『空中庭園』のタイトルが表示されます。

劇場で『空中庭園』を観た人の中には、揺れで酔ってしまった方もいたようです。しかしこの演出で一気に映画に引き込まれたという意見もありました。その他にも絵里子が現実から妄想の世界へ引き込まれる際の演出や、ホテルの回転ベッドを使ったカメラワークも見どころです。絵里子が妄想から現実へ戻ってくるときも回る演出が使われており、随所に「回る」「揺れる」演出がちりばめられています。

映画『空中庭園』のあらすじネタバレ解説

『空中庭園』のあらすじネタバレ解説①理想の家族像

ここから『空中庭園』のあらすじをご紹介していきます。ネタバレを知りたくない方はご注意下さい。都内の「ダンチ」に住む京橋家は、絵里子の掲げた「何事も包み隠さず、タブーを作らず、できるだけ全ての事を分かち合う」というルールのもと、幸せな生活を送っているように見えました。優しい夫・貴史と娘・マナ、息子・コウに完璧な笑顔を向ける絵里子は理想の母親そのものです。しかし家を出た家族は皆どこか不安げな表情です。

『空中庭園』のあらすじネタバレ解説②家族の持つ秘密

隠し事はしないというルールとは裏腹に、家族はそれぞれ秘密を抱えていました。貴史は複数の愛人と関係を持ち、マナは学校をサボり彼氏とデートをしたりナンパをしてきた男とホテルに入ります。コウはゲーム作りに熱中し、部屋に引きこもりがちでした。そして絵里子の秘密は、京橋家は絵里子の計画のもとに仕立て上げられた家庭だということです。いじめられ母親から愛されずに育った絵里子は、理想の家族を作り上げたのでした。

『空中庭園』のあらすじネタバレ解説③崩壊を始める家族

しかし貴史の愛人・ミーナをコウが家庭教師として京橋家に連れてきたことから家族の均衡が崩れ始めます。絵里子は戸惑いながらも、引っ込み思案のコウが自分から行動したことからミーナを受け入れます。しかし次第に貴史の浮気相手だと勘付き始め、ミーナと絵里子の母親・さと子の誕生日パーティーで絵里子の心の闇が噴出します。自分を隠さなくなった絵里子は、さと子に無表情で「死ね」と繰り返し悪意を全てぶつけます。

『空中庭園』のあらすじネタバレ解説④本当の家族へと再生

家族はバラバラになったように見え、さと子は患っていた肺がんが悪化し誕生日パーティーで倒れ入院してしまいます。さと子の見舞いに訪れた絵里子は、兄から「お袋は口を開けば『絵里子がこんなことをしてくれた、あんなものをくれた』と絵里子の話ばかりしている」と言われ戸惑います。絵里子は初めて自分が母親に愛されていたことに気づき、愛されていないという思い込みでさと子を憎み、生きてきたのだと気づきます。

絵里子は今まで信じていたものが崩れ精神的に追い詰められ、妄想の中で血の雨に打たれながら絶叫します。しかし絵里子は思い込みという事実を受け止め、やがて現実に戻ってきます。そして家のインターホンが鳴ります。扉の向こうには、絵里子の誕生日を祝うためにプレゼントを抱える家族の姿がありました。『空中庭園』のあらすじネタバレをご紹介しました。ここからは『空中庭園』のキャストについてご紹介していきます。

映画『空中庭園』のキャスト

キャスト①京橋絵里子:小泉今日子

京橋絵里子を演じた小泉今日子さんは1966年に生まれ、1981年にオーディション番組「スター誕生!」で合格し1982年に「私の16才」でアイドル歌手としてデビューしました。「花の82年組」と言われるトップアイドルの同期のうちの1人です。1983年放送の主演ドラマ「あんみつ姫」で小泉今日子さんは女優としても注目を浴びました。現在は独立し、制作会社明後日を立ち上げ舞台のプロデュース業を中心に活動しています。

キャスト②京橋貴史:板尾創路

京橋貴史を演じた板尾創路さんは1963年生まれのお笑いタレントで、お笑いコンビ130Rのボケ担当です。吉本興業のNSCに入学後、1987年にほんこんさんとコンビを組みます。1991年に「ダウンタウンのごっつええ感じ」にレギュラー出演したことで知名度を上げました。2005年頃からは俳優としてテレビドラマや映画で活躍し、2017年公開の映画「火花」では監督・脚本を務めたことも注目を浴びました。

キャスト③京橋マナ:鈴木杏

京橋マナを演じた鈴木杏さんは1987年生まれで、1995年頃から子役として活動していました。1996年のドラマ「金田一少年の事件簿」での子役出演や1997年のドラマ「青い鳥」の出演で知名度を上げ、元々出演していたCMに加えドラマや映画での出演が増えました。2003年の日本アカデミー賞ではVFXを多用したSFアクション映画「リターナー」で新人俳優賞・話題賞を受賞しています。

キャスト④京橋コウ:広田雅裕

京橋コウを演じた広田雅裕さんは1988年生まれで、母は女優の広田レオナさんです。広田レオナさんが広田雅裕さんの父と離婚後に吹越満さんと再婚したことから、両親が俳優という仕事に打ち込む姿をずっと近くで見て育ったため演技への興味が湧き、俳優への道へと進むことに決めたのだそうです。「空中庭園」の他にも映画「DRUG GARDEN」やテレビドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」にも出演しています。

キャスト⑤木ノ崎さと子:大楠道代

木ノ崎さと子を演じた大楠道代さんは1946年生まれで、1964年公開の吉永小百合主演の映画「風と樹と空と」で大学在学中に俳優デビューをしました。勝新太郎さんと知り合ったことをきっかけに大映と契約します。1967年に映画「痴人の愛」で主人公を振り回す小悪魔的で妖艶な女性・ナオミを役が話題になりました。1980年の日本アカデミー賞では映画「ツィゴイネルワイゼン」で最優秀助演女優賞を受賞しています。

キャスト⑥ミーナ:ソニン

ミーナを演じたソニンさんは1983年生まれで、2000年にEE JUMPのボーカルとしてデビューしました。3枚目のシングル「おっとっと夏だぜ!」がヒットするも、4枚目のシングル発売直前にメンバーが失踪事件を起こしたことにより翌年までソロで活動します。メンバーが復帰したものの不祥事がありEE JUMPは解散となりました。2003年頃から俳優としても活躍し、ザテレビジョンドラマアカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。

小泉今日子さんを始め、脇役のキャストの演技も素晴らしいと話題なった『空中庭園』の主要キャストをご紹介しました。次では『空中庭園』を観た人の感想や評価をネタバレありでご紹介していきます。

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映画『空中庭園』に関する感想や評価

『空中庭園』は人間が怖すぎる

『空中庭園』に登場する人間が闇が深くグロテスクだという感想がありました。『空中庭園』に登場する京橋家の家族は、それぞれが秘密を抱えていながらも絵里子の掲げた「隠し事はしない」というルールに基づき幸せな家族を演じているような面もありました。ミーナとさと子の誕生日会でその均衡が崩れ、胸の内の悪意を撒き散らす絵里子を始め人間の内面の怖さが出た後に、再び元に戻る様子が怖すぎると感じた方もいたようです。

思い込みは自分たちにも言えること

『空中庭園』の京橋家は、絵里子が幼い頃から母親から愛されていないと感じていたことから、その反面教師として作り上げた家庭でした。しかし兄からのひとことで、絵里子は自分が母親から愛されていたことを知り、自分の記憶が思い込みによる憎悪なのだと気づきます。京橋家の他の家族もどこか家族の中での自分の役割を演じているような部分があり、それは自分たちにも言えることだという意見もありました。

家族ごっこをしていても結局は家族である

『空中庭園』に登場する京橋家は、「隠し事はしない」幸せな家庭から一転して崩壊の危機に面します。自分の内面の闇が溢れ出した絵里子は精神的に追い込まれていき京橋家は崩壊していくかと思われましたが、物語のラストでは夫と子どもたちがプレゼントを持って帰宅し、絵里子の誕生日サプライズをしようとする場面で終わります。どんなに家族ごっこをしていても結局は家族なのだと感じたという感想もあったようです。

映画『空中庭園』についてまとめ

映画『空中庭園』のあらすじネタバレとネタバレ解説をご紹介しました。家族という存在の危うさと再生をテーマに描いた『空中庭園』には小泉今日子さんや脇役のキャストの方の好演、素晴らしい演出が数多く登場するということがおわかり頂けたでしょうか?あらすじネタバレを読んだだけではわからない映像演出がありますので、是非いちど『空中庭園』をご覧になってはいかがでしょうか。

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