永遠のこどもたちのあらすじをネタバレ解説!映画の結末はバッドエンド?

2007年に綺羅星ように現れ、ゴヤ賞の脚本賞や新人監督賞など多くの賞を受賞したフアン・アントニオ・ガルシア・バヨナ監督のホラー映画『永遠のこどもたち』。海辺の孤児院を舞台としたノスタルジックな雰囲気と少々難解な場面のキーワードを、あらすじとともに徹底解説。ネタバレを最小限にしつつも映画『永遠のこどもたち』に秘められた悲しい結末などを紹介していきます。ネタバレを含みますので、未見の方は章題の「ネタバレあり」項目を除いてご覧ください。

永遠のこどもたちのあらすじをネタバレ解説!映画の結末はバッドエンド?のイメージ

目次

  1. 永遠のこどもたちの映画とは?
  2. 永遠のこどもたちの映画あらすじをネタバレ解説
  3. 永遠のこどもたちの結末をネタバレ解説
  4. 永遠のこどもたちのキャスト・登場人物
  5. 永遠のこどもたちに関する感想や評価は?
  6. 永遠のこどもたちの映画ネタバレまとめ

永遠のこどもたちの映画とは?

海辺の孤児院に潜む子どもたちの幽霊の謎と不可思議な怪事件。そして鬱映画のひとつとして度々挙げられる暗くも切ない結末。フアン・アントニオ・ガルシア・バヨナ監督によって2007年に公開されたホラー映画『永遠のこどもたち』を皆さんご存知でしょうか?

2007年度のアカデミー外国語映画賞スペイン代表作品をはじめ、ゴヤ賞の作品賞を含む14部門にノミネートや、脚本賞や新人監督賞など7部門を受賞など輝かしい受賞歴を記録した映画『永遠のこどもたち』はなんと監督の処女作であり、かのデルトロ監督が協力をした力作でもあります。また、公開週の興行収入としてはスペイン歴代2位を記録するなど当時かなりの話題作として人々の心を魅了してきました。

今回はそんな『永遠のこどもたち』のあらすじや結末をネタバレを最小限にしつつも解説していきます。

解説Tips:El Orfanato

映画『永遠のこどもたち』のスペイン語の原題である「El Orfanato」とはスペイン語で「孤児院」を指します。邦題では「永遠のこどもたち」と訳されており「子ども」にフューチャーされているのですが、実はというと元々は「孤児院」こそが話の中心になってくるのです。この章ではネタバレを除きますが「孤児院」と「子ども」がどのように物語を面白くみせ、そして切ない結末に至るのかキーワードとして覚えておくといいでしょう。

余談ながら、孤児院が舞台になる映画もまた特にスペインなどのホラー映画では重要なジャンルになっています。『永遠のこどもたち』の間接的な前身となるギレルモ・デル・トロ監督の『デビルズ・バックボーン』(2001)や、『オーメン』(1976)、ジャウム・コレット=セラ監督の『エスター』(2009)に『サイレントヒル』(2006)など血が繋がらないからこそ起きるホラーは心を抉るものがあります。

永遠のこどもたちの映画あらすじをネタバレ解説

あらすじ:生まれ育った愛すべき孤児院へ

主人公であるラウラは孤児院で育ち、やがて外の世界で夫であるカルロスと出会って、HIVキャリアでもある養子のシモンを引き取りました。そうして歳月が過ぎ、自分の生まれ故郷であり現在は閉鎖された孤児院へと家族揃って舞い戻ってくるのです。ラウラには夢がありました。それはこの愛すべき孤児院の跡地で再び新しく孤児院を設立し、自分のように愛される「子どもたちとの家」を作ることでした。

解説Tips:スペイン映画と「母なるもの」

スペイン映画にも様々ありますが、特徴としてウェットに富んだ人間関係や、人間関係に悩みそして突き進む「母」の姿は象徴的なものとして彼女たちの感情に添うような画面の色とともに描かれています。スペイン映画における多くの母や母なるものとして成長していく女性たちはとても力強く、愚かさも当然持っていますが男性にはない決断力と意思の強さを持っているのです。

2016年の第89回アカデミー賞外国語映画賞で、スペイン代表に選出された作品『ジュリエッタ』もまたこの傾向を色濃く表している映画のひとつで母と娘の愛や人々との関わり方を心情に添うような色鮮やかな色合いで映し出しています。

あらすじ:愛すべきシモンと大切な友だち

ラウラとカルロスは夢に向かって孤児院の施設を整え、子どもたちを迎える準備を進めます。その一方で、シモンはどうやら近所で「お友だち」を作ったようでした。しかしそれは、集落から離れた海辺の地では現実的な話ではなく、ラウラもカルロスもイマジナリーフレンドなのだと解釈します。

灯台の整備にとラウラがシモンを連れて行った際にも、その「お友だち」…トマスはシモンには見えているらしく、ラウラに「貝殻で家の目印をわかるようにしておく」のだと伝えました。その言葉に従うように、誰も来訪客がいないはずの門前に朝になると貝殻の山が積まれ、ラウラはこれを不気味がり「本当に誰かいるのではないか?」と疑いはじめます。

解説Tips:イマジナリーフレンドとホラー映画

「子どもの想像上の友人」、すなわち「イマジナリーフレンド」がホラー演出として絡んでくる映画は多く存在し、ファンに愛されています。多くの作品では新居に移り住むなど周りの大人側も事情が全て把握しきれていない不安定な状況下で「子どもだけが知っている存在」「不可思議な事件の中心」「言語化できない悍ましい真相」を象徴するように多くの見えない子どもたちが登場します。

代表的な作品としては、『シックス・センス』(1999)や『死霊館』(2013)、日本のホラー映画だと『仄暗い水の底から』(2002)などが有名です。これらの作品における子どもたちは、恐怖的な体験をする被害者であると同時に登場する大人たちを翻弄するホラーギミックとしても作用し、映画『永遠のこどもたち』においてもシモンの幼い挙動はラウラやカルロスを狂気に駆り立てるのです。

ネタバレありあらすじ:楽しい宝探しの謎

シモンはラウラに「袋をかぶった友だち」と自分が楽しんでいる遊びについて教えます。それは宝探しのようで、順繰りにキーワードとなる物を辿っていくものでした。ラウラは半信半疑になりつつも、シモンの知性の成せるわざだろう、シモンを傷付けないためにも遊びに合わせようと一緒に遊んでみることにします。

当然この段階では、ラウラはシモンの自作自演であると信じていたのですが、なんとこの宝探しの結果、ラウラがシモンに隠していた「あるもの」を探し当ててしまうことになるのです。

ネタバレありあらすじ:お披露目の日と知らない子ども

疑念を持ちつつも、ラウラとカルロスそしてシモンは新しい孤児院として蘇った我が家のお披露目の日を迎え、多くの賛同者と子どもたちとともにパーティを開きます。しかし、シモンは大人たちの事情を気にとめることなくラウラに「シモンをみて」と訴え、ラウラはこれを多忙を理由に拒みます。そしてパーティの応対をしながらふとラウラがシモンを気にかけて部屋を訪れると、なんとシモンが忽然といなくなっていたのです。

その代わりに、シモンが話していた特徴とそっくりの「袋をかぶった子ども」が廊下でラウラと邂逅します。そして、その不可思議な子どもはラウラを浴室に閉じ込め、シモンの行方とともに姿を眩ませるのです。なんとか脱出したラウラは慌てて周りの大人たちに協力を仰ぎシモンを探しだそうとしますが見つかりません。この際の各登場人物の行動に注目してみてください。

そんなラウラにカルロスは「ラウラが精神的に不安定になっている」と察し自分が持っていたロザリオを渡して落ち着くようにとなだめるのでした。

超ネタバレありあらすじ:「トマス」

常備薬を必要とするシモンは、1人では生きられません。ラウラはシモンの身を案じて、警察官のピラールを頼ることになりました。そのなかで不審人物だと感じたベニグナを捜索しますが、彼女はラウラのすぐ目の前で車に轢かれて死んでしまいます。ショックを受けつつも身辺捜査をピラールに続けてもらい、ついにベニグナの過去の写真からあの「袋をかぶった子ども」、トマスの存在に行き当るのです。

なんと、ベニグナがラウラの育った孤児院の従業員であり、トマスとは実の親子関係であったこと、そしてトマス自身もすでに孤児院の子どもたちのいたずらによって死亡していることが判明するのです。現実にすでに存在しない過去の子どもの霊に翻弄され、我が子を連れ去られたことを知り、ラウラは困惑し恐怖します。

ネタバレありあらすじ:過去視でもたらされるもの

当惑したラウラとカルロスは藁にもすがる思いで霊媒師のアウローラとサイコロジストのピラール、そして彼女たちの助手たちにシモン救出に関する解決策を求めます。そうして提案されたのがアウローラによる「催眠術による意識のタイムスリップ」であり、彼女の過去視によってこの孤児院に起きた「ある悲しい事件」が明らかになると共に霊障が発生し中断を余儀なくされます。

脅しや小細工だと憤慨するカルロスにアウローラたちは追い出されますが、ラウラはアウローラの伝えた事件の真相についてシモンに繋がると信じカルロスと意見を分かつことになってしまうのです。こうして、自分自身の勘とアウローラたちの言葉を盲信するラウラは結末に向けて「ある選択」をすることになります。

解説Tips:サイコメトリーと映画

過去視を題材にする映画やゲームは国内外問わず人気が高く、19世紀末にサイコメトリーという単語が登場して以来、メディアにも取り上げられるようになりました。また、千里眼とも呼ばれるこの超自然的な能力は歴史上の逸話や現代の超能力者の間でも比較的ポピュラーな事象として語られます。

特に、前述でも消化した『シックス・センス』などを皮切りに、「不気味な家屋に起きるポルターガイストと霊媒者」の関係性は強固になり、『アザーズ』(2001)や『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』(2005)、『シャッターアイランド』(2010)など2000年代には多くの映画が登場しました。

永遠のこどもたちの結末をネタバレ解説

この章では、ラウラのとった「ある選択」をもとに映画『永遠のこどもたち』がどのような結末を迎えたのかネタバレは最小限にしつつもキーワードとともに見所をご紹介しましょう。ラウラは何を選んだのか、どんな真相をみてしまったのか?あえて結末の直接的な表現や重要なあらすじのネタバレは避けますので、気になる方は是非本編を観てみてください。

結末ネタバレあり:ひとりっきりの2日間

現実を見据え、シモンを行方不明としつつもこの不気味な場所を去ってやり直そうと提案するカルロスと、まだ見ぬ真相を想い、シモンの無事を祈ってこの場に止まろうと決意するラウラ。2人の意見の折衷案として、カルロスはラウラに2日間の猶予を与えこの孤児院への未練を断ち切るように告げます。

こうしてひとりで孤児院と向き合う機会を得たラウラは、かつて自分たちが無視してしまっていたシモンの言葉を辿るように再度この孤児院とその周辺を探索し始めるのです。そのなかでラウラは「あるもの」を見つけ、シモンの身に迫る危険を察して「降霊術の真似事をする」ことを決意してしまうのです。
 

結末ネタバレあり:永遠のこどもたち

降霊術の真似事として、「ある遊戯」で子どもたちの霊との接触を図るラウラ。呼び出された子どもたちを追うことで「真実」に行き着いてしまいます。それは、彼女自体の行動や大人たちの行動によってもたらされた紛れもない自身の罪とも繋がるものであり、そしてあまりにも些細で悪意とは程遠いが故にラウラの精神を蝕む「真実」でした。

「シモン」を発見し、再会の喜びと暗い希望が灯ってしまったラウラの心は愚かにも「ある願い」を口にしてしまいます。これに応えるように壊れきったラウラの耳に「シモン」からの「願い」が伝えられ、彼女は最後の選択をしてしまい、シモンとラウラの望みを叶えるために彼ら「永遠のこどもたち」と共に孤児院に残ることになってしまうのです。

永遠のこどもたちのキャスト・登場人物

この章では、魅力ある映画『永遠のこどもたち』のキャストについて解説していきます。多くがスペインローカルな俳優さんですが他の出演作も紹介しますので関連作品として是非チェックしてみてください。

ベレン・ルエダ/ラウラ

子どもたちの視座と大人の視座を併せもつ主人公として「ラウラ」を演じているのは、『海を飛ぶ夢』(2004)でシアターデビューを果たしたスペインの女優ベレン・ルエダです。『永遠のこどもたち』を経て、ギレルモ・デル・トロ製作の『ロスト・アイズ』では堂々の主演を飾りスペインのみならず多くのファンを獲得しました。

2019年1月より開催の「未体験ゾーンの映画たち2019」にて上映されている新作『108時間』でも主演としてスクリーンを彩るなどスペインのホラー界で注目を集めている女優さんでもあります。

解説Tips:未体験ゾーンの映画たち

「未体験ゾーンの映画たち」とは2012年からテアトルシネマズ系列の劇場が主に開催している映画祭で、「知名度のあるスターが登場しない映画」や「広告費が少なく日本で配給されない映画」などを掘り出して日本での劇場での公開に漕ぎ着けさせる企画でもあります。大手の製作会社ではない独特の新星を発掘しファンに伝えることで映画業界を賑わせています。

フェルナンド・カヨ/カルロス

現実と向き合いつつもラウラの行動を信じ連れ添う夫「カルロス」を演じるのは映画『永遠のこどもたち』でデビューを果たした新星フェルナンド・カヨです。『スペイン一家監禁事件』(2010)や『暴走車 ランナウェイ・カー』(2015)などスペイン映画で徐々に人気を獲得しており、期待度も十分な俳優さんです。

ロジェール・プリンセプ/シモン

まだ見ぬもう一つの新星といえば、映画『永遠のこどもたち』で不気味ながら可愛げもみせる「シモン」役のロジェール・プリンセプです。彼は前述のフェルナンド・カヨと2010年の『ペーパーバード 幸せは翼にのって』で再演を果たしています。2019年現在、まだ11歳という若さなのでこれからスペイン映画界にどのような影響を与えるのかが期待されています。

未体験ゾーンの映画たち - YouTube

永遠のこどもたちに関する感想や評価は?

この章では映画『永遠のこどもたち』の感想についてSNSから抜粋してご紹介いたします。『永遠のこどもたち』と併せて観ると面白い組み合わせなども紹介していますので未視聴の方も肩の力を抜いてお楽しみください。

真相が精神を抉るホラー映画のなかでも確実にファンを得ている映画『永遠のこどもたち』は、ファンの間では「精神的に怖い」映画としてじわじわくる切なさなどを評価し解説しているツイートもあります。

「幸せなバッドエンド」(メリーバッドエンド)と結末を称されることの多い映画『永遠のこどもたち』は併せて観るオススメの映画として『ピーターパン』シリーズなどが挙げられています。「子どもの視座と大人の視座」「変わってはいけないもの」など題材として共通項をもつためホラーファン以外にも楽しめるテーマを持っているのです。

スペイン映画が好んで描く「子どもたち」に対する注目度や信頼度は堅いものがあるようです。スペイン映画特有のウェットさや、家族の絆への信仰に近い清さや些細な事象から起きる葛藤など、国土と考え方を象徴するような題材として「子どもたち」は多く描かれているのです。『永遠のこどもたち』も例外ではありません。

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永遠のこどもたちの映画ネタバレまとめ

映画『永遠のこどもたち』のあらすじ紹介や解説はいかがでしたか?スペイン映画の独特な魅力についてなど『永遠のこどもたち』を通じて興味を持ってみるのも楽しいかもしれません。

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