2018年10月21日公開
2018年10月21日更新
ユリゴコロの言葉の意味は?細谷さんの正体など傑作ミステリー映画をネタバレ解説
ユリゴコロの言葉の意味は?細谷さんの正体など傑作ミステリー映画をネタバレ解説!ユリゴコロとは何か?色々なキャストが交錯し、そして細谷さんの正体とは誰なのか?それぞれのユリゴコロ、それぞれの解釈の中展開されていくストーリー、その意味を何度も考えます。映画を観た後にまた観たくなる傑作ミステリーを映画化した「ユリゴコロ」ストーリーからキャストまで、ネタバレ解説。
目次
ユリゴコロの言葉の意味や映画ネタバレが知りたい!
吉高由里子や松坂桃李、松山ケンイチ出演で話題となった映画ユリゴコロ。この記事では、そんな映画ユリゴコロの言葉の意味や、細谷さんの正体など傑作ミステリー映画についてネタバレ解説していく。
ユリゴコロの映画作品情報
ユリゴコロのスタッフを紹介する。監督は熊澤尚人、原作者は沼田まほかる、脚本を手がけたのは熊澤尚人、製作総指揮は佐藤直樹、製作は永山雅也。製作年は2017年で製作国は日本。配給会社は東映ち日活。上映時間は128分で映倫区分はPG12となっている。
ユリゴコロの映画登場キャスト
映画「ユリゴコロ」の主要キャストは、吉高由里子が美紗子を、松坂桃李が主人公亮介を演じる。松山ケンイチがユリゴコロのノートに出てくるアナタ(洋介)を熱演。佐津川愛美が美紗子の専門学校時代の友達みつ子を。清野菜名は亮介の婚約者役千絵を演じる。清原果耶は中学生時代の美紗子を、木村多江が亮介のカフェで働く細谷さんを演じる。
ユリゴコロの言葉の意味とは?
拠り所の聞き間違い?
映画のタイトルにもなっている「ユリゴコロ」。その言葉の意味とは何か?主人公・亮介が父親の書斎で見つけた4冊のノート「ユリゴコロ」。手書きで書かれた内容は普通ではないものだった。他人の命を気に病むこことなく奪い、そのことに快楽さえ覚えており、『他人の命が消えていくときに生じる、言葉では言い表せない現象』=ユリゴコロ。ユリゴコロとは筆者が小さい頃、心の拠りどころを聞き間違えておぼえた言葉である。
ユリゴコロの映画あらすじネタバレ
ユリゴコロのノートが見つかる
ここからは映画のネタバレをしていく。以下、ネタバレ注意。主人公・亮介の人生はここ数ヶ月で激変していった。婚約者・千絵の失踪や父親の末期がん発覚。母は交通事故で亡くなり亮介が経営している喫茶店の経営も傾いている。本当は、実家に戻って父親と暮らすべきだろうが、それもできない状況であった。
そんなある日、亮介は父親の様子を見に実家に行ったが、父親は祖母のお見舞いで留守だった。何気無くのぞいた父親の書斎の使われているはずのない押入れに亮介は違和感を覚える。押入れにあった段ボールから出てきたの女物のバッグ、「美紗子」という名前が添えられた黒い髪、そして4冊のノート。確かに母の名前は美紗子だが、最近白髪も混ざり段ボールから出て来た黒髪とは違うものだった。
亮介はふと以前の不可思議な体験を思い出す。亮介は4歳の頃に肺炎で長い間入院したことがあり、退院して帰って来ると母親が別の人に入れ替わっているように感じた。亮介にはどこか違和感があったが、父や祖父母らに言っても真剣に取り合ってはもらえず、一緒に過ごすうちにこの人が母親だったかなと思うようになっていった。
ユリゴコロ①
亮介は1冊目のノートを読み始める事にした。美紗子は幼い頃から、他とは違う子供でした。母親は何度も医者のところに連れて行き、医者からは美紗子にはユリゴコロが無いと言われていた。小学2年生になった美紗子はクラスで人気者のミチルちゃんに誘われ、家に遊びに行く。ミチルちゃんの家は大きな屋敷で庭や井戸があり、美紗子は一人井戸に虫を落とすのに夢中になっていた。
そんなある雨の日、ミチルちゃんの家の庭で蛙を捕まえてるとミチルちゃんがやって来る。美紗子は捕まえた蛙を見せようと、蛙が飛び出し、驚いたミチルちゃんは井戸に落ちてしまう。手を差し伸べれば助けられる距離にいた美紗子。
何もせずミチルちゃんがもがき苦しんでいる姿をじっと見つめていた。やがて、ミチルちゃんは動かなくなる。このなんとも言えない満たされて行く感覚、命消える瞬間に立ち会うこの感覚こそが、「ユリゴコロ」だと美紗子は気づいた。
ユリゴコロ②
中学生になった美紗子は、いつもユリゴコロを求めていた。中学3年生の夏休み前、公園で歩いている兄妹らしき2人を見かけた。妹の帽子が風で飛ばされてしまい、鉄板で塞がれた公園と道路の間の溝に落ちてしまう。
すると、その様子を見ていた青年が一緒にとってあげようと近づき、青年が鉄板の重い蓋を持ち上げ、兄が隙間に上半身を入れ、帽子を取ろうとした。美紗子は青年に手を貸すフリをして、反対側の鉄板を押した。兄は下半身だけ地上に出ている状態で、絶命した。この時、美紗子の心はユリゴコロでいっぱいであった。
美紗子は高校を卒業し専門学校に入学した頃には、何と無く他人に溶け込んで生活していた。この頃には「ユリゴコロ」というものがないことは気づいていた。しかし、幼い頃の聞き間違いだったとしても、美紗子の心には、「誰かの命が消えていくときに生じる、言葉では言い表せない感情」が「ユリゴコロ」になっていた。
やがて、美紗子はみつ子という同級生に出会う。みつ子は拒食症でリストカット常習犯。厚化粧でいつも一人でいて不思議な行動をとるみつ子に美紗子は自分と同じようなものがあると感じる。美紗子はそんなみつ子と友達になる。
亮介①
ノートに夢中になっていた亮介だが、父が変えて来た為慌ててノートを戻す亮介。自宅を出た亮介は大学生で弟である洋平と会う約束をする。亮介が経営するカフェで働く細谷さんに連絡を入れ、閉店までかえれないことを告げ店を任せた。
千絵がいなくなってから、おとなしいが頼もしく母と同じくらいの年の細谷さんを亮介はなにかと頼りにしていた。洋平と会った亮介はユリゴコロのことを話すが、洋平は真剣に考えていない様子。亮介は最後までノートを見るのに洋平に協力してもらうようお願いした。
明日は実家にノートの続きを見に行く。亮介は自身が経営するにカフェいたが、顔色が悪く、休憩室で休んでいた。横になり意識が朦朧とする中、千絵との出会いを思い出していた。2年前、オープン予定と書いていた看板を見つけ、働きたいと突然やって来た。千絵の熱意に押され、採用し様々なアイディアを出してもらえ、開店までこぎつけた。やがて恋人同士となり、将来の店の展望を話し合うまでになっていた。
こうして1年が過ぎた頃、改まったプロポーズはせず千絵に指輪を送った。しかしその後、突然千絵が姿を消した。アパートももぬけの殻で、どこを探してもおらず、亮介は自分が千絵のことを何も知らなかった事に気づく。千絵の事を娘のように可愛がっていた細谷さんも一緒に探し回ってくれたが見つからず、ひどく落ち込んでいた。そんなことを思い出していた。翌日、父が実家を出た事を確認して、ノートを読み始めた。
ユリゴコロ③
みつ子にはリストカットの跡があり、血を出すと頭がスッキリしてやめられないと楽しそうに説明する。美紗子はいつしかこれを辞めさせられないかと思う一方、どうやって絶命させるかと矛盾した考えを抱くようになっていた。
その頃、美紗子やみつ子に言い寄って来た男を1人手にかけたが、美紗子の「ユリゴコロ」は満たされなかった。美紗子は手を尽くしてリストカットを辞めさせようとしましたが、辞めさせられなかった。美紗子はいつもしてあげてたように、手首を切った。確実に逝けるように、深く。美紗子もみつ子も満たされた気持ちでいっぱいであった。
亮介②
文中から筆者が女だとわかった亮介だが、この筆者が母なのか?ということは以前の母はこの筆者に絶命させられたのか?…一体何があったのか。亮介は3冊目のノートを読み始める。
ユリゴコロ④
美紗子は1度は就職したものの、社会的振る舞いができずに1年でクビになる。生活に困った美紗子は体を売るようになり、突発的に何人かの客を手にかけましたが、ユリゴコロは満たされない。そんな時美紗子はアナタ(洋介)に出会う。
洋介は美紗子を抱くこともなく、何度も洋食店に連れて行き、いつしか特別な人になっていた。ある夜洋介は「子供のいのちを奪ったことがある」と告白する。なんということだろう。美紗子が中学生時代に鉄板の蓋を持っていた青年こそが洋介であった。
洋介はそのトラウマにより性的不能者になってしまった。美紗子もまたある意味で「不能者」になっていたのだろう。洋介の言った通り、波長の会う同士なのかもしれない。洋介とであってからも美紗子は客をとり続け、誰の子かもわからない子を妊娠した。
「結婚しよう。結婚して、一緒にお腹の子を育てよう」洋介のその言葉に美紗子はビックリする。洋介は一人の子供の命を奪った罪滅ぼしに、新しい子供の父親になろうとしているようだ。2人は結婚し、新しい家に住み、洋介は今までの生活を捨てて就職する。そして、ある雨の日に子供が生まれた。
亮介③
父が帰ってくると弟から連絡が入る。ノートはまだ3冊目の途中。亮介はノートを持ち帰ることにした。ここまで確信したことが1つある。筆者がアナタと書いているのは自分の父親だと。父は簿記関係の資格を色々もていたり、本文中にあるように、早くに両親を亡くしている。そんな様々な出来事が「アナタ」と重なる。問題は筆者がだれかということ。母か、もしくは以前の母なのか。亮介は3冊めのノートを読み始めた。
ユリゴコロ⑤
洋介は赤ちゃんを大変可愛がり、美紗子も赤ちゃんを見ているうちに「楽しい」と言う感情が芽生えて来る。美紗子にとっては分不相応な幸せな家庭である。そのうちに洋介は美紗子を抱くようになる。今までに感じたことのない、ユリゴコロと同じくらいの幸福感を得た。
洋介の強い要望により、両親の家に挨拶に行くことになる。美紗子は嫌がっていましたが、洋介の楽しそうな表情を見てそれほど苦ではなくなる。そのうち、月に2度ほど実家に止まるようになり、そこから数年が経つ。ここから崩れ始めて行く。
亮介④
3冊目のノートを読み終わり、この子供とは自分ではないのかと感じ始めていた。幼い頃に両親を亡くしていること、そして母の両親と強い絆で結ばれていると感じている所は父と一致している。しかし、筆者には妹がいると書かれているが、母には妹がいない。そんな中、細谷さんから話があるといわれ辞められるのではとヒヤッとする。閉店後、細谷さんの話は予想外のものであった。
「落ち着いて聞いてください。千絵ちゃんのことです。だいたいの事情が分かりました」千絵の事を娘のように可愛がっていた細谷さんは、千絵の失踪後は休みを使って行方を探していたのだと言う。「あの子、夫のところへ戻ったようです」千絵は既婚者だったのだ。
相手の男は結婚後に豹変し、ギャンブルにのめり込み、千絵に暴力を振るう毎日が続いた。そんな男から逃げ出した千絵がたどり着いた先が、亮介のカフェだったのだ。今はまだ千絵の居場所がわからないですが必ず突き止めると言い、亮介は感謝の気持ちでいっぱいだった。
一方で、協力を頼んでいた洋平から戸籍謄本が取れたと連絡があった。実は母には英実子という妹がいたという。しかし妹は失踪届けが出され、死亡と見なされたと記されていた。この人が母なのか?そして、1週間が過ぎ実家へ行き、ノートが消えていた。亮介は父にノートの在処を聞いた。父は顔色変えることなく、亮介に最後のノートを手渡した。そして、亮介はゆっくりと最後のノートを読み始めた。
ユリゴコロ⑥
ある日、昔の職場に出入りしていた男に出会う。男は何度もお茶に誘って来て、振り切ろうとするが、美紗子が手にかけた事件を話し始める。美紗子は青くなって逃げ帰って来るが、男は不振に思う。それからしばらくした後、警察が家に尋ねて来る。
あの男が通報したのだ。昔の事件っていうこともあり、事件が明るみに出ることはなかったが、洋介に嘘をついてしまった事によって、何かがくづれていく感じがした。いっそこの子を手にかけてしまおうか。そうすればきっと洋介は美紗子の命を絶ってくれるだろう。それは美紗子にとって救いのように思えた。
亮介⑤
ノートはそこで終わっていた。父に筆者が本当の母かと尋ねると、そうだと言い、母が入れ替わっていた事も認めた。英実子が実の母親か尋ねると、父はお前を産んだのは「美紗子」で、あのノートを書いたのも美紗子だと告げる。動揺する涼介に、父が真実を語り出す。先日亡くなった母が英実子で、涼介を産んだ美紗子の実の妹だという。そして、命を奪われたのが美紗子だと父は言い、ユリゴコロの続きを話し始めた。
父の話①
亮介が幼い頃、3人で両親の家に泊まりに来た。夜中目がさめると、美紗子と亮介の姿が見えない。家族で探し回り、近くに住んでいた英実子に、年の為自分たちが住んでいるアパートを見に行って欲しいとお願いする。そこで遺書のように置かれたユリゴコロを発見する。
美紗子のこれまでの事実を知り、とんでもない罪人である事を知った家族はある決断をする。美紗子に睡眠薬を飲ませ眠らせ、ダムの底に沈めたのである。その後英実子が、亮介の母親として、美紗子の代わりとして生きるようになった。
亮介⑤
数日後、細谷さんがボロボロになった千絵を連れて戻って来た。千絵の夫、塩見は裏社会からお金をかり、千絵のいかがわしい写真で脅し、無理矢理働かせていたのだ。夫はいよいよ金に困っているらしく、ここもすぐに嗅ぎ付けられるだろう。そんな時、細谷さんの携帯に塩見から連絡が入り、写真のネガと引き換えに金を要求して来た。亮介は待ち合わせ場所に行き、ある計画を決行しようとしていた。
待合せ当日、指定された場所に向かった。腰にはナイフを忍ばせていた。しかし、そこには塩見の姿はなくを血痕だけが残っていた。亮介は意味がわからなかったが、その後も塩見からの連絡もなくどこかのヤクザにでもやられたのだろうと考えていた。千絵も少しずつ元気を取り戻し、平穏な日々を過ごしていた。しばらくして、父から連絡があり最後に話しておきたい事があると呼び出される。
父の話②
「美紗子は生きている」父と美紗子は何年も前に1度会っていると言う。美紗子は自分たち家族の事を聞き涙しながら笑顔を浮かべていた。義両親は美紗子をダムから落とそうとしたが、すんでのところで救出し、家族の事を思うならば、関わらずに別人として生きろと美紗子を逃がした。
最後に美紗子に会ったのは数ヶ月前。命が長くない事を知り、一緒に旅に出ることを考えていた。そして実は、美紗子はすぐそこまで来ている。亮介は玄関に向かい母と対面した。荷物はなくもう帰ることはないといているかのようだった。こうして父と母は二人幸せそうに車に乗り出発した。ここで映画は終了。以上がネタバレ。
ユリゴコロの細谷さんの正体は?
細谷さんの行動の意味とは?ネタバレ注意
この物語の後半のキーとなる細谷さんだが、なんと亮介の母こそが細谷さん=美紗子だったのである。塩見のネガを奪い返し襲ったのも細谷さん(美紗子)。父と会うようになっていってから、亮介の事もきき、そこで名前を変えスタッフとして働き見守って来た美紗子。細谷さん=美紗子というネタバレをした後に映画を見直してみると色々な行動が結びついて来る。ネタバレした後にも2度楽しめる映画。
ユリゴコロの言葉の意味やネタバレまとめ
ユリゴコロの意味とは、もともと心の拠り所の聞き間違いからできた言葉だが、結局それは、それぞれの心の中にある安らかになる心、落ち着く気持ちを表した言葉と言える。美紗子の場合は人を殺める事が心の拠り所になり、そのままユリゴコロになった。
亮介がノートを見つけてから展開していくこの映画は、過去と現在を行き来し、話が展開されていく。最初はノートに書かれた言葉の意味がわからなかった涼介が、話が進むにつれて考えが錯綜し、真実に近づくにつれこの映画の意味が明らかになっていく。最後まで観て全ての意味がわかった時、また観たくなる映画である。