チャーリーとチョコレート工場の小人ウンパルンパとは？ 歌や俳優の名前まとめ

『チャーリーとチョコレート工場』は2005年公開されたティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演のファンタジー映画です。大人気のお菓子メーカーであるウィリー・ウォンカのチョコレート工場に5人の子どもたちとその家族が招待されその不思議なチョコレート工場を見学します。そのさなか、彼らは不思議な体験をすることになるのですが、中でも特に印象深く、不思議な魅力を放つのが、工場の従業員であるウンパルンパ達です。

今回はその『チャーリーとチョコレート工場』に登場するウンパルンパについて、『ウンパルンパ』とはそもそもいったい何者なのか、彼らが歌う歌について、そしてこのウンパルンパを演じる俳優はどのような人なのか。名前やその芸歴にもスポットを当てつつ、『チャーリーとチョコレート工場』の魅力を詳しく紹介していきます。

『チャーリーとチョコレート工場』は2005年アメリカで製作されたファンタジー・コメディ&ミュージカルで、監督はティム・バートン、主演はジョニー・デップです。1964年ロアルド・ダールが発表した児童小説『チョコレート工場の秘密』が原作で、この『チャーリーとチョコレート工場』のほかにも、1971年にメル・スチュワート監督によって『夢のチョコレート工場』という名前で映画化されています。

世界中で大人気のウィリー·ウォンカのお菓子が造られている工場に、ある日5人の子どもたちが招待されます。食いしん坊のオーガタスタス・グループ、お金持ちでわがままのベル―カ・ソルト、常に勝利にこだわるバイオレット・ボーレガード、テレビ好きで反抗的なマイク・ティービー、そして家は貧しいものの心優しいチャーリー・バケットです。彼らは工場の中で不思議な体験をしていきます。

しかし途中で、おデブのオーガスタス・グループはチョコレートの川を飲もうとして落ちてしまい、ガム好きのバイオレット・ボーレガードは試作品のガムの副作用でブルーベリーのような真ん丸な体に。イヤミなベル―カ・ソルトは従業員のリスにダストシュートに落とされ、生意気なマイク・ティービーは勝手に機械の中に入り体が小さくなってしまいます。

ウィリー・ウォンカ曰く「5人のうち選ばれた者には素敵な副賞を用意している」とのことだったのですが、様々なトラブルから次々と子どもたちは脱落していき、最終的に残ったのはチャーリー・バケットただ一人でした。そこでウィリー・ウォンカは、チャーリーにこのチョコレート工場を引き継ぎたいと申し出るのですが、その条件として『家族を捨てること』を提示します。

けれどもチャーリーはお父さん、お母さんはじめ家族が大好きです。その条件は飲むことができませんでした。てっきり一緒に来てくれるものと信じきっていたウィリー・ウォンカは予想外のチャーリーの回答に意気消沈し去っていきます。その後チャーリーのお父さんのバケット氏は新たな職を得て、バケット家は少しだけ明るくなりますが、ウィリー・ウォンカはあれからまったくお菓子を作る意欲がなくなってしまっていました。

実はウィリー・ウォンカは過去に父親とケンカ別れをしており、『家族』というものにトラウマがあったのです。そして家族を大切にするチャーリーを見てショックを受けたのでした。しかしその後チャーリーの助言を受け父親とのわだかまりを解消することができ、ウィリー・ウォンカは改めてチャーリーに工場の共同経営を申し出ます。今度は『家族と一緒』とのウィリー・ウォンカの提案に、チャーリーは快く応じるのでした。

『チャーリーとチョコレート工場』は魅力的なストーリーのほかに、様々な小ネタやこだわりがふんだんにちりばめらています。例えば、チョコレート工場内部の『お菓子の庭園』ではすべて本物お菓子によってつくられるとか、ほかの映画（2001年宇宙の旅、サタデー・ナイト・フィーバー、ベン・ハーなど）や有名バンド（クイーン、ビートルズ、キッスなど）へのオマージュ等が挙げられます。

その中でもとりわけ異彩を放ち、この『チャーリーとチョコレート工場』の世界観の要ともいうべき存在なのが、変なプロフィールを持っていたり、大勢で不思議なダンスを披露したりする謎の小人たちです。その名前は『ウンパルンパ』と言います。

ウンパルンパとはウィリー・ウォンカのお菓子工場の従業員で、総勢150人以上働いています。皆一様に同じ顔ですがそれぞれ陽気な性格で、事業主であるウィリー・ウォンカには忠実、仕事ぶりもまじめです。働く場所によって服装は様々ですが、どの服装も奇抜で未来的です。そして何と言っても、彼らの一番の魅力は場面場面で披露される不思議な歌とダンスです。残念ながら、個別の名前はついていないようです。

チョコレート工場に招待された5人の子どもたちのうち4人は、それぞれ自らの強欲さや傲慢さ、あるいは反抗的な行動から様々なトラブルを起こしてしまいますが、そのたびにこのウンパルンパたちが登場し、音楽に合わせて歌い、踊りだします。その子どもそれぞれの（そしてその親たちの）欠点を皮肉るようなシニカルな歌詞に、登場人物は引きつった表情を浮かべてしまいます。

『チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパはもともとジャングルの奥深く、ルンパランドという名前の場所にて陽気に暮らしています。そんなウンパルンパはどうやってウィリー・ウォンカの工場に来たのでしょうか。

『チャーリーとチョコレート工場』の世界では、ウィリー・ウォンカのお菓子は世界中で大人気でした。しかしスパイによってレシピを盗まれてしまい、世界中で大人気のお菓子のコピーがたくさん出回ってしまいます。結果工場閉鎖に追い込まれてしまったウィリー・ウォンカは、ジャングルの奥深くのルンパランドへ、新しいフレーバーを求めて冒険します。その時に出会ったのがウンパルンパたちです。

ウンパルンパたちはカカオ豆に飢えていました。それを知ったウィリー・ウォンカは、カカオ豆を報酬として提供する代わりに自分の工場で働くことを提案します。ウンパルンパたちはその提案を飲み、結果ウィリー・ウォンカの工場で雇用されることとなります。

すべてがお菓子でできた庭園にて、食いしん坊のオーガスタ・グループがお菓子でできた草や木などをがつがつと食べていき、ついにはチョコレートの川にも手を伸ばします。しかし体が重すぎて、バランスを崩しチョコレートの川に転落してしまうのです。

チョコレートは鮮度が命です。異物であるオーガスタを排除するためにバキュームパイプが降りてきて彼を吸い取ってしまうのですが、お腹がつかえて途中でつまってしまいます。そんな時、ウンパルンパが登場し、歌を歌います。

「おデブで意地悪いオーガスタス・グループ！」「そうブタさ、いやしくてブサイク」オーガスタスのことをあえて名前で呼ばず、ひどい罵詈雑言が並びます。また、「機械の歯車に砕かれつぶされる」「食い意地張った嫌なヤツ」「世界中の人に愛されるチョコになれ」と何ともひどい歌詞が続きます。結局オーガスタスは助け出されます。彼のお母さんは大変心配していましたが、本人は自分についたチョコをなめておいしそうでした。

ウンパルンパが漕いできた大きな船で工場内のチョコレートの川を下り、お菓子の発明室にたどり着きます。そこで開発中である新製品のガムを見たバイオレット・ボーレガードは、ウィリー・ウォンカの制止も聞かずそのガムを食べてしまいます。噛むごとに味が変わるそのガムに夢中になったバイオレットはいつの間にか、ブルベリーのように真ん丸になってしまうのです。

母親に「どうやって元に戻せるの？」と聞かれたウィリー・ウォンカは、ジュース室に連れて行って果汁を絞り出すよう、ウンパルンパに指示を出します。ウンパルンパはバイオレットの歌を歌いながら、彼女をジュース室に連れて行きます。

「耳をかたむけて」「危険に気付かず、ガム噛みガム噛み噛み続けてる」と、今の状況を的確に表しています。ただオーガスタス・グループほどにはひどくは言われていないようです。「何年も噛んで顎のパワーがついて、最後の一噛みで彼女のベロまっぷたつ」とにかくガムを噛み続ける彼女の態度を皮肉っています。

次はナッツの皮をむく工場で、訓練されたリスたちがクルミの皮をむいている部屋です。リスたちは大変利口で、こんこんとクルミを叩くだけで、食べれるクルミと食べれないクルミを分けることができるのです。それを見たベル―カ・ソルトは自分の気に入ったリスを捕まえるべく近づき、結果ほかのリスたちに襲われ、ダストシュートに捨てられてしまいます。その落ちるさなか、ウンパルンパがやってきて歌を歌うのです。

ベル―カが落ちそうになっている中、お父さんが助けに行くのですが、結局一緒に落ちてしまいます。その日はちょうど、たまたま焼却炉が壊れていたため、ベル―カの親子たちは燃やされずに済みましたが、ごみまみれになってしまいます。

「イヤミな小娘ベルーカ落ちてった」と、割ときつめな歌詞から始まります。しかも「今ダストシュートの途中で誰かに出会うさ、今朝切り落とされた魚の頭とか」とベル―カが落ちてしまった穴にわざわざ何度も残飯を投げ入れます。更に「甘やかしたのは誰？」「悲しいけれどもママとパパだよ」と彼女をそのように育てた両親にも言及します。相当ベル―カが気に食わなかったようです。

今度はテレビ室にやってきます。そこではテレビから本物のチョコが飛び出す装置『テレビジョンチョコ』の研究がなされていました。実際に転送機械からテレビにチョコを転送するところを見たマイクは「人間でも転送できるのでは？」とその転送機械に自ら入っていきます。「人間なんて転送したって面白くない」と話すウィリー・ウォンカをバカにして転送されたマイクは、テレビのサイズまで小さくなってしまうのです。

テレビに転送されて小さくなってしまったマイクをつまみ上げ、「どうやったら元に戻るのか？」と聞くお父さんに、ウィリー・ウォンカはキャンディー伸ばし機で体を伸ばす提案をします。かくして、マイク・ティービーという名前のごとく、まるで二次元のようにペラペラとなってしまうのです。

ウンパルンパたちは「子どもたちのことで大切なことは、テレビを絶対に近づけちゃダメ」と、少し極端ではありますが、はじめまともなことを歌います。しかしだんだん「心は空っぽで目はうつろになる」「脳みそとろけチーズ」とマイクを罵ってきます。また最後には「元の大きさに戻れるか」「だめなら・・・いい気味だ！」と締めくくるのでした。

さて、不思議なダンスとともに面白い歌を届けてくれる総勢165人にもなるウンパルンパたちですが、実はただ一人の俳優が演じています。彼の名前はディープ・ロイといい、芸歴30年以上にもなるベテラン俳優で、その132センチメートルという身長を活かし、数多くの映画で様々なキャラクターを演じてきました。今は俳優ですが、もともとはインド人の両親の間に生まれ、インドで26代続くマハラジャの出身でもあります。

ウンパルンパ役の俳優ディープ・ロイの身長は、公式では132センチメートルとされています。現実では多少の誤差はあるとはいえ、130センチメートル前後であることは間違いないでしょう。ちなみに132センチメートルというとだいたい小学校中学年～高学年（9～12歳）ころの身長になります。

小人症の定義ですが、「症状として低身長をきたす様々な疾患」であり、「身長が著しい低身長（通常、標準身長-2SD）」かつ「本人か家族の希望がある」もしくは「重大な疾患を合併している」ことで病名が付くとされています。そもそも海外の俳優では小人症の人が珍しくないと言われています。そしてその体格をあえてうまく活用し、その人にしかできない演技をしているのです。

ウンパルンパ役の俳優ディープ・ロイは、1976年のデビュー以来、非常に数多くの映画に出演しています。ここではそのうちのいくつかを紹介していきます。

『スターウォーズ　エピソード6／ジェダイの帰還』で、犯罪王ジャバ・ザ・ハットの宮殿にてバックバンドを務めるエイリアンを演じています。名前はドルーピー・マックールといい、『ジェダイ・ロック』という曲をノリノリで演奏します。

『ネバーエンディング・ストーリー』では、主人公バスチアンが迷い込む森に住みつくティニー・ウィニーの役を演じています。真っ赤な帽子と服に身を包み、大きなカタツムリに乗って登場します。

1985年公開で、あの有名な『OZの魔法使い』の続編としての扱いとなる『OZ（Return To OZ）』では、ブリキの木こりの役を演じています。

ティムバートン監督の『ビッグ・フィッシュ』では、主人公の父の創作話に登場するエージェントの役です。

『スター・トレック』と、それに続く2013年の『スター・トレック　イントゥ・ダークネス』、2016年の『スター・トレック　ビヨンド』という、アメリカで大人気のテレビドラマシリーズの映画化作品にて宇宙艦隊士を演じています。名前はキーンザーと言います。

2000年にはジム・キャリー主演のファンタジー映画、クリスマス映画としてもおなじみ『グリンチ』にて、小さな郵便局員として出演しています。また2001年には、1968年の映画『猿の惑星』のリ・イマジネーション作品である、ティム・バートン監督の『PLANET OF THE APES／猿の惑星』にも出演しています。

他に名前だけ挙げていきますと、「ピンク・パンサー3（1976年） – イタリア人の暗殺者」「ダーククリスタル（1982年）「ホーンテッドマンション（2003年）」「ティム・バートンのコープスブライド（2005年）-　ちび将軍（ナポレオン・ボナパルト）※声の出演」「トランスフォーマー: リベンジ（2009年） – エジプトの検問」など、むしろ知らない映画がないほどです。

他にもスタントとして、「ポルターガイスト2（1986年）」「フック（1991年）」「ヴァン・ヘルシング（2004年）」に出演していますし、ドラマでは「ドクター・フー（1977年～1986年）」「X-ファイル（1993年-2002年）なども挙げられます。

俳優ディープ・ロイの代表作の一つは間違いなく『チャーリーとチョコレート工場』ですが、『チャーリーとチョコレート工場』のほかに、名前もない役も含めれば、彼にしかできない役として非常に多くの作品に出演しているのです。

『チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパは総勢で165人以上も出演しています。一回のダンスにあたっても約20～30人がそろってダンスしています。皆同じ俳優ディープ・ロイの顔をし、同じ振り付けのダンスをする彼らの撮影は、実際にどのようにして行われていたのでしょうか？

『チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパの身長は75センチメートルとされています。それに対してディープ・ロイの身長は132センチメートルと、倍近く開きがあります。ウンパルンパの映像について、特に他のキャストと一緒にいる場面では、必ず縮小のCGをかけているのです。その時点で、まずはひと手間かかっていると言えます。

『チャーリーとチョコレート工場』に登場するウンパルンパは総勢165人にもなりますが、その一人ひとりをたった一人の俳優ディープ・ロイがすべて演じています。一人として同じ動きをする者はいません。すべて別撮りで撮影し、それを合成しているのです。例えばこの『チャーリーとチョコレート工場』ではウンパルンパたちの不思議なダンスが魅力の一つですが、そのダンスもまた、彼が一人ひとり別々に踊っているのです。

身長の補正にCGを駆使していると述べましたが、だったらダンスを一回撮ってしまい、それを使いまわしして合成してあってもまったくおかしくはないのですが、そんなことは行ってません。映像をよく観てみると、もちろん同じ人が演じていますので顔も姿も一緒なのですが、その表情や小さな動きのは一人ひとり微妙に違うことが分かるでしょう。

ダンスはそろっているし、それは見ていて非常に壮観なのですが、単に動きをコピーしているだけではなく、その165人のウンパルンパ一人ひとりにそれぞれの命を吹き込んだのです。そんなこだわりから、あのような素晴らしい場面が出来上がるのです。しかし165人をすべて演じるというのは本当に大変であったでしょう。ディープ・ロイはこの撮影の功績で、約100万ドルの報酬を得たと言われています。

いかがでしたでしょうか。『チャーリーとチョコレート工場』のあらすじ、その最大の魅力であるウンパルンパの生態や歌について紹介してまいりました。そしてなによりウンパルンパに命を吹き込んだ俳優ディープ・ロイ。彼が非常によい味を出して、『チャーリーとチョコレート工場』を名作に押し上げていることはもはや間違いありません。

身長135センチメートルであるその特徴はもはや俳優としての彼の一番の強みであり、それによって数々の名作において名演技を見せてきました。ぜひ皆さまも『チャーリーとチョコレート工場』はじめ、俳優『ディープ・ロイ』の活躍をチェックしてみてはいかがでしょうか。