そして父になるの原作は実話!モデルとなった人物(本人)のその後や結末は?

この記事では、是枝裕和監督による「そして父になる」のあらすじ・元になった事件の概要などについて徹底調査します。2018年に公開された「万引き家族」が国際的に評価され、第71回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門でパルムドール(最高賞)に輝いた是枝監督による本作「そして父になる」。この作品は実話が元になっていますが、モデルとなった実話は一体どのようなものだったのでしょうか? 実際の話と映画との違い、家族の人々がその後どんな結末を迎えたのかなど、分かりやすく解説していきます!

そして父になるの原作は実話!モデルとなった人物(本人)のその後や結末は?のイメージ

目次

  1. そして父になるは実話が原作!モデルの家族たちのその後や結末を調査!
  2. そして父になるとは?
  3. そして父になるの実話を元にしたあらすじを紹介
  4. そして父になるは実話がモデル!本人はどんな人たち?
  5. そして父になるの原作となった実話・本人たちのその後や結末は?
  6. そして父になるのモデルになった実話の情報まとめ

そして父になるは実話が原作!モデルの家族たちのその後や結末を調査!

この記事では、是枝裕和監督による「そして父になる」という作品の概要・実際の事件の結末などについて徹底調査します。是枝裕和監督といえば、2018年に公開された「万引き家族」が国際的に評価され、第71回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門でパルムドール(最高賞)に輝きました。

その是枝監督が製作、2013年に公開されたのがこの「そして父になる」です。この作品は実話が元になっていますが、モデルとなった実話は一体どのようなものだったのか、ご存知でしょうか? 実際の話と映画との違い、家族の人々がその後どんな結末を迎えたのかなど、分かりやすく解説していきます!

映画「そして父になる」 - フジテレビ

そして父になるとは?

世界が注目する是枝裕和監督の話題作

まず本作「そして父になる」を監督された、是枝裕和さんについて解説していきましょう。是枝さんはドキュメンタリー出身の映画監督で、もともとフジテレビの「NONFIX」などでドキュメンタリーの監督をされていました。ドキュメンタリー時代に取材をされたものとしては「福祉切り捨て」といったテーマもあります。

2018年にカンヌのパルムドールに輝いた「万引き家族」は、まさに福祉制度が取りこぼしてしまった貧困層の人々の暮らしがテーマでした。このことから、ドキュメンタリー時代の経験が、「そして父になる」にまで共通するの映画監督としての問題意識にまで生きているのだろうことが伺えます。

ドキュメンタリー時代を経て、その後是枝監督は、現実に起きた実話を題材にした映画作品を次々に生み出していきます。2004年に公開された映画「誰も知らない」は、1988年の「巣鴨子供置き去り事件」をモデルにした映画。親が失踪してしまい、アパートに置き去りにされた子どもたちの過酷な状況を描いています。

この作品は国内外で高く評価され、カンヌで最年少での主演男優賞を受賞、またフランダース国際映画祭でも作品賞を獲得しました。日本人でカンヌの最年少主演男優賞を受賞したのは、主演の柳楽優弥さんが初。瞬く間に話題となりました。

そんな是枝監督が2013年に発表したのが、本作「そして父になる」です。劇場公開時のキャッチコピーは「6年間育てた息子は、他人の子でした」。赤ん坊の取り違え事件の実話をモデルにした作品で、福山雅治さんが取り違えに遭った父親役を演じています。本作「そして父になる」は、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。硬派な内容の映画としては異例の累計興収30億円を記録し、テレビでも放送されている作品です。

「そして父になる」が初の父親役となる福山さんは、本作では冷たい仕事人間で、家庭を省みないやや「嫌な父親」役を演じています。一方取り違えに遭ったもうひとりの父親役には、リリー・フランキーさんがキャスティングされています。このふたりのシリアスながらユーモラスなやりとりも、本作「そして父になる」の魅力のひとつとなっています。

リリー・フランキーさんといえば、「万引き家族」や「海街diary」などでも重要な役どころを演じられている、是枝監督作にはなくてはならない俳優。本作「そして父になる」では、福山雅治さんとは対照的に、子どもを心から愛する「よき父親」の役を演じています。

各レビューサイトで本作「そして父になる」の感想を見てみると、「親の在り方について深く考えさせられた」「泣ける」といった評価も。その一因として、リリー・フランキーさんの人情味あふれる演技が映画全体にあたたかみを与えている、ということがあるのではないでしょうか。

ヘビーな実話をモデルとした本作「そして父になる」は、シリアスなだけでなく、父と子の絆を描く丁寧に描く感動作としての評価も高い作品となっています。福山雅治さん演じる仕事一筋の男性は、取り違え事件を通じて、徐々に自分と息子・自分と妻・そして自分と自分の父親など、それぞれの家族との在り方を問い直すようになります。

他人に冷たく家族を顧みなかった人物が、徐々に周囲の愛に気づいていく過程・結末には、誰もがつい涙してしまうでしょう。「そして父になる」は、親や子との関係に悩んだことのある誰もが心揺さぶられる内容となっています。

Thumbそして父になるのあらすじ・結末をネタバレ!最後はどちらを選択した? | 大人のためのエンターテイメントメディアBiBi[ビビ]

そして父になるの実話を元にしたあらすじを紹介

妻や息子を省みない父、良多(福山雅治)

それでは、実話をモデルにした映画「そして父になる」はどんなストーリーなのか、実際にあらすじを追ってご紹介していきましょう。物語の結末部分までに触れていますので、結末のネタバレが気になる!という方はご注意ください。

エリート建築家の野々宮良多(福山雅治)は、妻のみどり(尾野真千子)と6歳になる息子の慶多とともに高級マンションで暮らしています。エリート志向の良多は、基本的には仕事一筋で家庭のことは省みず、休日にも息子との時間を取ろうとしません。一方で、息子に私立小学校を受験させたり、毎日必ずピアノの練習をするよう教育したり、息子には自分以上に優秀になってほしいという期待をかけています。

突如知らされる「取り違え」の事実

そんなある日、慶多が生まれた前橋市の病院から「話がある」と電話が入りました。駆けつけた野々宮夫妻に知らされたのは、出産時に取り違いがあり、慶多はふたりの血が繋がった子どもではないという事実でした。良多とみどりの血が繋がった息子は、群馬でちいさな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)・ゆかり(真木よう子)夫妻に育てられていました。名前は琉晴。

斎木一家と面会をした良多は、みすぼらしいようすの相手家族を見て思わず顔を顰めます。慶多を斎木夫妻にゆだねることに抵抗を覚える良多は、慶多と琉晴ふたりとも自分が引き取ることはできないかと画策します。そしてその後、ふたつの家族の交流が始まるのでした。

「父親」としての自分は、果たして正しかったのか?

良多が感じる抵抗感とはうらはらに、斎木夫妻と交流を重ねる内、妻のみどりはぶっきらぼうながらも愛情深いゆかりに心をゆるしていきます。一方良太は雄大から息子との接し方に苦言を呈されます。

良多は会社で自分にしかできない仕事を抱えている。けれど、父親だって「取りかえのきかない仕事」ではないのか。子どもとの関係は「血」じゃない、父親としてどれだけの「時間」を過ごしたかが重要なのだと。頭に血が上った良多は衝動的に、金は払うから慶多と琉晴ふたりとも引き取らせてほしいと口にしてしまいます。良多の冷たい言動に、斎木夫妻のみならず、みどりも良太から心が離れていくことになります。

良多の「血」への強いこだわりは、良多自身の父(夏八木勲)の言動に影響されたものでした。久しぶりに帰省した実家で、良多は父から「いずれ実の父親に似てくるようになる」のだから、早いうちに交換してしまえとそそのかされます。真に受けた良多はその後、慶多を手放し、琉晴を自分の元に引き取ることを決めます。

育ての親子がともに過ごす最後の時間に、ふたつの家族がいっしょに訪れた河原のキャンプ場で、雄大は良多に「自分の親の真似をしなくてもいいんじゃないか」と語りかけます。せめて琉晴には、父親として接してやってほしい、とも。自分が雄大のように息子のことを愛せていないと薄々自覚していた良多は、その言葉に頷き、慶多に対して「自分よりも雄大の方が慶多を愛している」のだと打ち明けます。

「血」か「時間」か、父が出した結論とは?

琉晴のことを引き取った良多ですが、斎木雄大の元で6年間育ってきた血の繋がった息子は、思うとおりに良多の言うことを聞きません。そしてみどりが目を離した隙に家出をして、斎木家に戻ってしまいます。今までの自分を反省した良多は琉晴に対して精いっぱい父親として接しますが、琉晴が願うことはやはり「パパとママの場所に帰りたい」ということでした。

「父」としてのふるまいを考えなおす内、良多は徐々に、慶多から見た自分はどんな存在だったのかということに気づきはじめます。ふと気づくと、リビングのソファの隙間には慶多からもらった折り紙の花が折れて、挟まっていました。慶多からもらったプレゼントを、良多はいつの間にか失くしてしまっていたのです。

また、カメラの記録を覗くとそこには、慶多が撮影した自分自身の姿が、何枚も何枚も保存されていました。不意に想いを抑えきれなくなった良多は、息子とした「会わない」という約束を自ら破り、車を走らせ、慶多に会いに斎木家へ向かったのでした。

そして父になるは実話がモデル!本人はどんな人たち?

つい自分の身に置き換えてしまうような、実話を元にした本作「そして父になる」ですが、物語のモデルとなった人たちは一体どんな人たちなのでしょうか? 現実の事件のその後の結末など、詳しく見ていきましょう。

現実にある赤ちゃん取り違え事件

とある情報誌によると、1957年から1971年までに起きた取り違え事件は32件。取り違えが起こる原因としては、赤ちゃんにつけられたネームバンドを、入浴の際に外すなどの場合にうっかり間違えてしまう、などのケースもあるそう。つい最近も、東京の順天堂医院で起きた取り違え事件に関して、当事者男性が「実の親に会いたい」と病院側に対処を求めたことがありました。

取り違えの被害を受けた男性は子どもの頃、「親に似ていない」と言われて深く傷ついてきました。しかし実の親に会いたいと願っても、病院側は相手家族の平穏を壊すことはできないという理由で、その後も訴えを退けつづけています。取り違えが起こった時期は半世紀ほども前に遡りますが、中にはこのように、今だに問題が解決していないケースもあります。

「そして父になる」実話で取り違えられたのは女の子だった

今回ご紹介している映画「そして父になる」では、慶多と琉晴というふたりの男の子が取り違えられた子どもたちとして登場します。しかしモデルとなった実話では、取り違えられたのはふたりの女の赤ちゃんでした。モデルとなった実際の事件は、1971年8月、沖縄県で起きた事件です。島袋美由紀さんと稲福真奈美さんという、同じ病院で生まれたふたりが取り違えられ、違う両親の元で育てられるようになりました。

そして父になるの原作となった実話・本人たちのその後や結末は?

取り違え事件、血液検査により発覚

映画「そして父になる」のモデルとなった実話も映画と同じく、島袋美由紀さんと稲福真奈美さん(当時「初美」さん)のふたりが6歳になった時に取り違えが発覚しました。小学校入学前の血液検査を受けたことがきっかけでした。事件が明らかになって間もなく、ふたりとも育ての親の元を離れ、産みの親の元に引き取られます。

実の父と母に引き取られた女の子ふたり

元の名前から改名した真奈美さんは、無事稲福家に馴染むことができました。一方、「自分には母親がふたりいる」ことが自慢だったと、当時の心境を語ったのは島袋美由紀さん。そう語りつつも、育ての親の元を離れて島袋家の子どもとなった美由紀さんはその家に馴染むことができず、実母のきみこさんも悩み、外で飲酒を繰り返すことが多くなったと言います。

その後、美由紀さんは稲福家に戻り、島袋家と稲福家は隣同士で暮らすようになります。美由紀さんは高校卒業後上京して、独立して暮らすように。沖縄にいる限り、どこへ行っても取り違え事件のことを話題に出され、うんざりしていた美由紀さん。東京に出てきた時は、自分の過去を知る人は誰もいなかったのでほっとしたと語っています。

しかし、その後東京で出てしばらくして、実の父が病を患います。育ての母・スミ子さんによりそのことを知らされ、地元に戻った美由紀さんは、実家の重機リース会社の敷地内でマッサージ店を開業し、介護と仕事に勤しみます。

長年の時を経て、姉妹のような関係に

育ての親スミ子さんの実の子・真奈美さんは、実家に留まり、結婚後に育児をしながら家業を手伝っていました。地元に戻った美由紀さんはその後、忙しく働く真奈美さんを手伝うようになりました。子どもの頃は、他人には計り知れない複雑なものを抱えていたふたりですが、長い年月をかけて互いに助けあえるようにまでなったのです。それが、実際の結末でした。

映画では語られなかった実話の結末

ただ、映画「そして父になる」では、取り違えられたふたりが子どもの時のエピソードしか語られていません。その後、モデルとなったふたりの子どもや家族がどんな人生を歩み、どんな結末を迎えたかについてはノータッチなのです。

そのため、当事者の苦しみをほんとうに理解して作られたのか?という疑問の声も中にはあります。モデルとなった実話の背景・結末を踏まえた上で映画「そして父になる」を見ると、さらに違った見方ができそうです。

そして父になるのモデルになった実話の情報まとめ

さてここまで、映画「そして父になる」のストーリーやそのモデルとなった実話について、詳細に見てきました。是枝監督は緻密な取材を重ねて作品作りに活かすことで知られていますが、それでも限られた時間の中に全てを収めることは難しいです。その後の結末については、入れる余裕がなかったのでしょう。

しかしながら、実際にこんな大変な事件や結末が存在したことを知るきっかけにはなるのではないでしょうか。映画「そして父になる」をご覧になって、実話の結末に興味を持たれた方は、事件についてさらに調べてみると、新たな発見があるに違いありません。

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