そして父になるのネタバレ感想!結末や是枝監督が伝えたかったことを考察

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した是枝裕和監督の2013年の映画『そして父になる』のネタバレ感想や評価をまとめて紹介しています。『そして父になる』は福山雅治が初めて父親役を演じたことや、海外での高評価が話題となり、日本でも異例のヒットを記録しました。エンターテイメント作品ではありませんが、見た人の多くは好意的な感想を寄せています。その一方で批判的な評価もゼロではありません。この記事では『そして父になる』の感想や評価をまとめ、結末のネタバレについても紹介しました。

そして父になるのネタバレ感想!結末や是枝監督が伝えたかったことを考察のイメージ

目次

  1. そして父になるの感想をネタバレ!結末の意味は?評価はどうだった?
  2. そして父になるとは?
  3. そして父になるの感想や評価は?
  4. そして父になるの結末をネタバレ!
  5. そして父になるの監督が伝えたかったこととは?
  6. そして父になるのネタバレ感想まとめ!

そして父になるの感想をネタバレ!結末の意味は?評価はどうだった?

『そして父になる』のネタバレ感想や結末の評価について紹介していきます。『そして父になる』は海外でも高く評価されたことがきっかけとなり、日本でも多くの観客を動員したヒット映画です。エンターテイメント作品ではない『そして父になる』のヒットは「異例」と評価されました。この記事では『そして父になる』に寄せられたネタバレ感想や評価をまとめてあります。

映画「そして父になる」 - フジテレビ

そして父になるとは?

『そして父になる』は2013年に公開された日本映画です。監督はドキュメンタリー番組の制作にも携わっていた是枝裕和が務めました。主演は福山雅治が演じ、初めての父親役です。『そして父になる』はカンヌ国際映画祭で好評を得て審査員賞を受賞し、受賞が報道されると、日本国内でも注目を集めました。『そして父になる』は商業的に大きな成功を狙った作品ではりませんが、異例の大ヒットとなります。

『そして父になる』は昭和40年代に頻発し、社会問題化していた「新生児の取り違え」を題材にしています。『そして父になる』のあらすじは「取り違え」が発覚したふたつの対称的な家族の憤りや苦悩が描かれています。ただし、「取り違え」は題材にはなっているものの、映画の主題はタイトルにもあるように「父になるとはどういうことなのか?」となっています。

『そして父になる』は取り違えの被害者であるふたつの家族、ふたつの夫妻の苦悩が描かれていますが、あくまでも主役は福山雅治が演じる野々宮良多です。仕事熱心なエリートサラリーマンである良多が、どのように「取り違え」問題に取り組み、子供たちと向き合っていくのかに焦点が当てられています。

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そして父になるの感想や評価は?

『そして父になる』のネタバレ感想や評価を紹介していきます。『そして父になる』は概ね高い評価を得た映画ですが、中には疑問を投げかける感想や、否定的な評価もされています。ここからは、一般的な評価はもちろん、『そして父になる』の深いところまで言及した感想などをまとめてネタバレ紹介します。

親子の絆について考えさせられた

『そして父になる』のネタバレ感想で多く寄せられているのは「親子の絆について考えされた」というネタバレ感想です。『そして父になる』は主人公である良多の考えや行動の変化が描かれています。取り違えを知った良多は「金を払えば斉木家は納得するだろう」と親子の絆を軽んじていました。斉木夫妻を怒らせてからは、一緒に過ごして来た慶多よりも、血の繋がりのある琉晴を選びます。

良多は血の繋がりが親子の絆であると信じていましたが、琉晴との暮らしは上手くいきません。なんとか琉晴に寄り添った後も、本当は斉木家に帰りたい琉晴の気持ちを知り、一緒に過ごして来た親子の絆の強さを知りました。そして、良多は慶多が撮った写真(子供の視線)に自分がいることに気付き、慶多との間に親子の絆が存在していることを実感して涙を流しました。

『そして父になる』の中で良多は親子の絆について深く考えさせられました。また、良多以外の親たちもそれぞれ親子の絆について考えを持っています。『そして父になる』の結末では両家がどのような選択をしたのかは明確に描かれませんが、だからこそ「親子の絆について考えるきっかけになった」というネタバレ感想が多くあります。

自分ならどうするか考えた

『そして父になる』のネタバレ感想で多く寄せられているには「自分ならどうするか考えた」というネタバレ感想もあります。前述のように『そして父になる』の結末では明確な選択が描かれていません。そのため、「取り違え」の当事者になったことを想像して感想を述べる人もいれば、実際に義理の親に育てられた体験から感想を述べる人もいます。家族の在り方は人それぞれなので、感想の内容も多種多様です。

ふたりとも引き取るというアイディアが斬新

『そして父になる』で良多が提案した「ふたりとも引き取る」というアイディアが斬新というネタバレ感想があります。『そして父になる』は父親である良多の成長が描かれた作品ですが、「取り違え」に対してどう向き合うのかが視聴者の注目を集めました。「どちらの子を選ぶのか?」という疑問に対して、良多が取った「ふたりとも選ぶ」という選択には驚かされたという感想も少なくありません。

しかし、映画の中で良多が他の親たちを怒らせてしまったように、「ふたりとも引き取る」というアイディアは一般的ではないようです。仮に斉木家に問題があれば「ふたりとも保護する」というのは良いアイディアに見えるという感想もありますが、映画で弁護士が話していたように、子供を親元から引き離すというのはかなり難しい事例のようです。

子役の演技が素晴らしい

『そして父になる』に出演した子役たちの演技が素晴らしいという感想が挙げられています。『そして父になる』では慶多と琉晴の取り違えが発覚することによってふたつの家族が対面しました。それぞれ二宮慶多と黄升炫という子役が演じています。どちらの子供も、突然変えられてしまった生活環境に馴染もうとする姿が描かれており、結末の感動を盛り上げるという感想があります。

『そして父になる』の監督である是枝裕和は、子役たちにそれぞれの本当の両親の設定について教えずに演技させたそうです。台本もなく、シーンごとにセリフと登場人物の感情を伝える独自の演技指導です。こうした是枝裕和監督の演出方法が、子役の演技をより引き立てたという感想もあります。

真木よう子がミスキャスト?

『そして父になる』にはいくつかの否定的な感想も寄せられています。否定的な感想のひとつが「斉木ゆかりを演じた真木よう子が役に合っていない」というものです。斉木ゆかりは慶多の実の母親に当たる役どころですが、夫の雄大対称的な人物として描かれているのに対し、真木よう子演じるゆかりは「美人過ぎる」という感想があります。もっと素朴な女優のほうが合っているというネタバレ感想です。

「真木よう子と尾野真千子を逆にしたほうが良かったのでは?」という感想もあります。一方で、真木よう子をゆかり役に据えたことが素晴らしいという感想もありました。なぜなら、真木よう子のような美人女優が妻役を演じたことで、雄大がより人間味のある人物として印象付けられている、という感想です。このように、真木よう子のキャスティングについては対称的な感想が挙げられています。

リリー・フランキーが演じた斉木雄大の成長が描かれていない

『そして父になる』への批判的な感想には「斉木雄大の成長が描かれていない」というネタバレ感想があります。「息子を取り違えられた」という点では良多も雄大も変わりありません。しかし、「取り違え」によって大きく態度や考え方が変わった良多に対して、雄大は父親としての成長は描かれていません。「取り違えという重大な事実が発覚したのだから、雄大の心境の変化も描かれるべき」という感想がありました。

『そして父になる』では良多の悪い部分ばかりがクローズアップされていて、雄大や斉木家の悪い部分は否定的に描かれていない点も気になる人がいるようです。雄大の視点から描かれたストーリーも見てみたいという感想がありました。

子供の苦悩が描かれていない

『そして父になる』の感想には「子供の苦悩が充分に描かれていない」というネタバレ感想があります。『そして父になる』で描かれた新生児の取り違えは実社会で起こる問題です。取り違えの当時者となった家族を取材したドキュメンタリー作品もあります。『そして父になる』の参考文献でもある『ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年』もそんなドキュメンタリー作品のひとつです。

『そして父になる』は原作を持たないオリジナル脚本の映画ですが、『ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年』に記された記録と類似する部分があります。しかし、『ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年』に書かれている内容の方が『そして父になる』よりも深刻という感想があります。

『そして父になる』は「取り違え」を題材にしながらも、主題は「父親の成長や家族の絆」といったものになっています。そのため、取り違えによって起こる悲劇性については描写が不充分であるという感想があります。取り違えられた子供たちの苦悩は想像を絶するものがあると言われます。

そして父になるの結末をネタバレ!

『そして父になる』にはさまざまな感想や評価が寄せられていますが、結末に明確な答えはありません。『そして父になる』の結末ではすれ違っていた良多と慶多が向き合って一緒に斉木家に帰るところで終わります。その後、野々宮家と斉木家がどのように付き合っていくのかは語られず、視聴者の想像に委ねられています。以下、詳しく『そして父になる』の結末のネタバレを紹介します。

実の子である琉晴を引き取った良多と妻・みどりは、徐々に琉晴と打ち解けていきました。ある日、3人で流れ星を見た時、みどりは琉晴に何を願ったのか尋ねます。琉晴は生まれ過ごして来た斉木家に帰りたいと言いました。良多とみどりはショックを受けながらも琉晴を優しくなだめます。

翌朝、琉晴の寝顔をカメラに収めた良多は撮りためた写真を見返していました。デジカメのディスプレイには琉晴の顔に続いて、慶多の顔が映されます。そして、次に映されたのは良多の自身の姿でした。良多の後ろ姿が寝ている姿がたくさん撮られていました。それは慶多がこっそり撮影していたものに間違いありません。良多は慶多からの愛情を感じ取って涙を流しました。

斉木家に訪れた野々宮家一行。琉晴は育ての親との再会を喜びます。一方、良多が声を掛けると、慶多は逃げ出してしまいました。慶多を追い駆ける良多ですが、慶多は良多の顔を見ようとしません。良多は約束を破って会いに来たことを詫びます。しかし、慶多は「パパなんかパパじゃない」と良多を拒絶しました。

良多は慶多に対して声を掛け続けます。父の日のプレゼントを失くしたことを詫び、慶多がこっそりカメラを使っていたことに気付いたことを伝えます。そして、慶多が練習しても上手くならなかったピアノは、良多も昔諦めていたことを告げました。「もうミッションなんて終わりだ」と言った良多は分かれ道の先で慶多と向き合い、息子のことを抱きしめました。

慶多と一緒に帰った良多を妻のみどりや斉木家一同が迎えます。雄大の誘いで両家は斉木家の中に入っていきます。慶多は良多に尋ねます。「スパイダーマンって蜘蛛だって知ってた?」それは雄大が慶多に尋ねた言葉と同じでした。「ううん、初めて知った」そう良多は答えて『そして父になる』は結末となります。

そして父になるの監督が伝えたかったこととは?

『そして父になる』の是枝裕和監督が伝えたかったことを紹介します。是枝裕和監督は家族の在り方を描こうとしていたと言われています。これまで、2004年の『誰も知らない』や、2008年の『歩いても 歩いても』など、家族の姿を描く作品を多く制作してきました。そして、2015年の『海街diary』でも腹違いの姉妹の物語を映画化しています。2018年の『万引き家族』も、とある事情を抱えた家族の物語でした。

このようなさまざまな家族の有り様を描いてきた是枝裕和監督は、一般的な家族像に捉われない家族の幸せの形を伝えたかったのではないかと考える人がいます。『そして父になる』のラストシーン以降も、野々宮家と斉木家の子供たちは「どちらの家にとっても子供である」と捉える人もいました。

一方、インタビューで是枝裕和監督は、子供が生まれた時から、父親と母親には大きな差があると発言しています。約10か月お腹に赤ん坊を抱えていた母親と、生まれてから父親としての実感が湧いてくる母親と父親は違うのだと言います。母親は子を産んだ瞬間から別人になるという旨の発言をしていました。対して、父親は子供が生まれた瞬間に父になるわけではないと持論を述べています。

『そして父になる』では、父親としての役目を果たしているつもりの良多が、慶多の視線に気づいて初めて父性に目覚めたと解釈されることもあります。子供から愛されていることに気付いた時に初めて親になるという意見もありました。是枝裕和監督は表面的な家族の形ではなく、家族になるとはどういうことなのか、という内容を伝えたかったのだとも考えられています。

そして父になるのネタバレ感想まとめ!

『そして父になる』のネタバレ感想をまとめました。『そして父になる』の感想には映画で描かれた内容を自分に置き換えて感想を述べる人が多くいます。老若男女問わず高い評価を得ている一方、「取り違え」の描かれ方については否定的な評価もありました。『そして父になる』をまだ視聴していないという方は、ぜひ一度ご覧になってください。

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