パイレーツオブカリビアン・生命の泉の人魚の謎を考察！演じているキャストも紹介

パイレーツオブカリビアンシリーズはディズニーパークにある人気アトラクション「カリブの海賊」をモチーフに主人公である海賊ジャック・スパロウを中心とした冒険活劇です。「パイレーツオブカリビアン・呪われた海賊たち」「パイレーツオブカリビアン・デッドマンズ・チェスト」「パイレーツオブカリビアン・ワールド・エンド」の3部作が世界的大ヒットを記録。さらに「生命の泉」「最後の海賊」と現在まで続いています。

「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」はパイレーツオブカリビアンシリーズの4作目として制作されました。前3部作の後を受けた形となり、世界観はそのまま残してキャストを一新して新シリーズの趣きが強く、ファンの間では外伝のような印象も受けるという評価がなされています。人魚の登場によりファンタジー色が強まったとも言われています。

パイレーツオブカリビアンシリーズの中でも最も伝奇性が強くファンタジー色に富んでいるとの評価がされている「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」ですが、何故そのような評価を得ているのでしょうか?そのストーリーはどのようなものでしょうか?そして衝撃の結末は?あらすじをネタバレを含めて画像つきで解説します。

パイレーツオブカリビアン・生命の泉はタイトルにもある通り生命の泉を求めての冒険活劇です。永遠の命をもたらすと言われる生命の泉と人魚がストーリーの大きな核となっています。そこにストーリーの軸であるジャック・スパロウをはじめとする荒くれの海賊たちやイギリス軍、スペイン軍が関わり形作られていきます。

ジャック・スパロウは次の冒険を見据えて相棒のギブスとともにイギリスのロンドンに潜伏していました。そしてそこには彼らと腐れ縁のバルボッサもいました。片足が義足となったバルボッサは英国王ジョージ2世に仕える海賊としてジャック・スパロウとギブスを引き離します。イギリスは見つけた者は永遠の命を入手できる生命の泉の所在を掴み、同じくそれを入手せんとするスペインに負けじとバルボッサを船長に航海へ向かいます。

ギブスと離れ離れになってしまい途方にくれるジャック・スパロウでしたが、かつての恋人で女海賊のアンジェリカと再会します。アンジェリカはスペインの修道女でしたがジャック・スパロウと道ならぬ恋をし海賊に身を落としたのでした。彼女はスパロウの名を語り船員を集めていました。ジャック・スパロウは騙されてアンジェリカが一等航海士を務める「アン女王の復讐号」に水夫として乗り込み謎の航海へと旅立ちました。

画像つき解説の続きです。ジャック・スパロウはアンジェリカに航海の目的が何か詰め寄りました。そこに意外な人物が現れました。一般の船ばかりでなく海賊からまでその存在を恐れられている黒髭がいたのです。黒髭はアン女王の復讐号の船長で、アンジェリカの父親だったのです。驚くジャック・スパロウをよそに黒髭は航海の目的を話し始めます。

黒髭はある予言に怯えていました。それは「2週間後に義足の男に殺される」というものでした。予言を回避するべく黒髭は生命の泉の存在を知り、それを手に入れるために航海へと旅立つことになったのです。アンジェリカも父親を助けるべく同行し、生命の泉の場所を知っていると吹聴するジャック・スパロウを同船させたのです。

生命の泉で永遠の命、正確には「他の人間の寿命を手に入れる」ためにはいくつかの儀式が必要でした。それは「銀の聖杯」を2つ準備することと「人魚の涙」を得ることです。聖杯の片方に生命の泉の水を垂らし、もう片方に人魚の涙を垂らし、人魚の涙が入った水を飲んだ方がもう一方の水を飲んだ方の寿命を手に入れるのです。

黒髭は人魚が実在すると言われているホワイトキャップ湾へと舵を取りました。そこには何人もの美しい人魚が泳いでいました。一行は人魚を生け捕りにしようとしますが、人魚は鋭い牙で抵抗し次から次へと船員を犠牲にしていきます。水夫として強制労働させられていた宣教師フリップ・スウィフトがきっかけとなりついに人魚の生け捕りが成功しました。フリップは次第に人魚に愛情を抱きシレーナと名づけて見守ります。

画像つき解説の続きです。道中ジャック・スパロウは二手に分かれると起案した黒髭とアンジェリカに崖から突き落とされましたが無事でした。アンジェリカが魔法のかけてあるジャック人形を落として無傷であることを示したからです。別行動となったジャック・スパロウは廃船の中でバルボッサと再会します。そこでジャックはバルボッサから航海の真の目的を聞かされました。

バルボッサは黒髭に片足と自分の船を奪われていました。黒髭への復讐が彼の真の目的だったのです。そのためだけにイギリス軍へ身を投じたのでした。それを知ったジャック・スパロウはバルボッサと行動をともにすることにしました。2人はスペイン軍の野営地へと忍び込み、一度は捕らえられてしまいますが何とか脱出し、軍が手に入れていた2つの銀の聖杯の奪取にも成功します。

黒髭は生命の泉へと向かう途中でついに人魚の涙を得ました。頑なに泣くことを拒んだシレーナに対してフリップを泣かないとフリップを殺すぞと脅してシレーナの前でフリップを殺しました。これは麻酔で眠らせただけでフリップは生きていました。それを知ったシレーナは嬉し涙を流します。それを黒髭が手に入れたのです。シレーナはフリップが騙したと思い、彼は必死に否定します。全てはアンジェリカが仕組んだことだったのです。

ジャック・スパロウは再び黒髭一行と合流します。彼の案内で生命の泉があると思われる場所に着きました。ジャックは聖杯を使って生命の泉の場所にたどり着きました。そこへバルボッサ率いる英国軍とスペイン軍もたどり着き黒髭一行と三つ巴の闘いが勃発しました。

スペイン軍の目的は生命の泉の破壊でした。目的を遂げたスペイン軍は他の戦闘をよそに退却しました。バルボッサは猛毒が塗られた剣で黒髭を刺しました。予言の片足の男はバルボッサだったのです。そこに涙入りの水とそうでない水を持ったジャック・スパロウがやって来て黒髭の前に差し出しました。黒髭は躊躇うことなく涙入りの水を飲み、父を助けたいアンジェリカは別の水を飲みました。しかしそれはジャックの罠でした。

黒髭が亡くなりアンジェリカが助かりました。戦闘の最中フリップはシレーナを助けました。許しを乞う彼に対してシレーナはフリップを連れて水中へと戻って行きました。戦闘後ジャック・スパロウはアンジェリカを孤島に置き去りにし、黒髭が持っていたブラックパール号を取り戻しギブスとともに航海へ出ました。孤島には小さいジャック・スパロウ人形が漂着し、それを手にしたアンジェリカは不気味な笑みを浮かべました。

ここではパイレーツオブカリビアン・生命の泉のキャストを紹介します。おなじみのキャラクターから新しく登場したキャラクターまで画像を交えてご覧ください。

画像つきキャスト紹介です。主人公ジャック・スパロウを演じたのはジョニー・デップです。日本ではジョニデの愛称で知られており、1990年の「クライ・ベイビー」で初主演後は多くの映画で主役を務めるようになりパイレーツオブカリビアンシリーズが最大の当たり役となりました。「チャーリーとチョコレート工場」「アリス・イン・ワンダーランド」など代表作が多いことでも知られています。
 

また、ジョニー・デップはファンに対して丁寧な態度で接する芸能人としても知られておりアメリカの雑誌の「ファンにサインする際に態度が丁寧な映画俳優」ランキングにおいて3年連続1位を獲得しました。日本のことも好きだと言われており2017年までに実に13回の来日を果たしています。

ジャック・スパロウとはシリーズ通しての腐れ縁であるヘクター・バルボッサのキャストはジェフリー・ラッシュです。オーストラリア出身の俳優で1996年の映画「シャイン」でオーストラリア人としては初のアカデミー主演男優賞を受賞したことで知られています。「ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方」「英国王のスピーチ」などで重厚な演技を披露しています。

ジャック・スパロウの良き相棒ジョシャミー・ギブスはケヴィン・マクナリーが演じました。イギリス在住で「007私を愛したスパイ」でデビュー、その後多くの映画・テレビ作品で助演しています。パイレーツオブカリビアンシリーズのギブスがケヴィンの当たり役となりましたが「オペラ座の怪人」でのジョゼフ役などでも知られています。

ジャック・スパロウの父にして伝説の海賊であるエドワード・ティーグを演じたのはザ・ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズです。第3作目「パイレーツオブカリビアン・ワールド・エンド」に引き続き「生命の泉」にもジャックを導く存在としてカメオ出演していますが、俳優でないのに強烈な印象を観る者に与えていると評価を得ています。

ジョニー・デップはロック好きとして知られていますが、とりわけストーンズ、そしてキースの大ファンでありジャック・スパロウはキースを意識して演じているというエピソードはあまりにも有名です。俳優ではないので最初は出演を断ったキースですが、デップの熱意に折れて競演を果たすこととなりました。74歳という高齢ですがミュージシャンとしても現役です。

「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」で初登場となったジャック・スパロウの元恋人アンジェリカを演じたのはペネロペ・クルスです。スペイン出身で1992年にスペイン映画「ハモンハモン」でデビューしました。1998年の「オール・アバウト・マイ・マザー」で世界的に知られるところとなり、2008年の「それでも恋するバルセロナ」でアカデミー助演女優賞を受賞しました。

「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」で人魚を生け捕りにするなど冷酷な海賊黒髭のキャストはイアン・マクシェーンです。イギリス在住の俳優でイギリスの映画・テレビを中心に活躍しています。「ドーバー海峡殺人事件」「魔法使いの弟子」「スノーホワイト」などで渋い演技を披露し、得がたいバイプレイヤーとの評価を得ています。

人魚に恋をして、人魚に魅入られていく宣教師フリップ・スウィフトのキャストはサム・クラフリンです。2010年にテレビ映画でデビューしたばかりの彼をパイレーツ・オブ・カリビアンスタッフが大抜擢して、見事に応える名演を見せたと評価されています。フリップ役を足がかりにして「スノーホワイト」シリーズではウイリアム王子を演じてさらに注目され「ハンガー・ゲーム」シリーズにも出演しています。

悲劇にも人間に生け捕られてしまい、その後フリップと心を通わせる人魚シレーナを演じたのはアストリッド・ベルジュ=フリスペです。フランス在住の女優で2008年デビュー。「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」が本格的英語圏でのデビューとなりました。人魚というきわめて難しい役所を文字通り体当たりで演じており、その美しさと演技力が高く評価されました。2017年の「キング・アーサー」にも出演しています。

「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」には多くの謎や伏線が張られていると評されています。なかでも最大の謎は人魚の存在とそれを取り巻く人間の状況が挙げられると言われています。ここでは画像つきで人魚の謎を考察していきます。

人魚は想像上の生き物でありもちろんこの世の中には存在しません。一説にはジュゴンを人魚と見間違えたというものがありますが、上半身が人間で下半身が魚といういわゆる人魚のイメージが定着したのは16世紀から17世紀頃のイングランド民話であると言われています。そこから数多くの創作物語が生まれていきました。日本でも古くから人魚の言い伝えがあり「日本書紀」に人魚と思われる生物の記述があります。

西洋ではとりわけ人魚に関する物語特に悲劇が多いです。ライン川に伝わる「ローレライ」では人魚の歌声に聞き惚れた者が舵を取り損ねて川に沈んでしまいます。ギリシア神話を下敷きにした「セイレーン」では航海している船を美しい歌声で難破させる魔物として人魚が描かれています。ローレライやセイレーンの要素はパイレーツオブカリビアン・生命の泉にも反映されています。因みにセイレーンのイタリア語読みがシレーナです。

「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」では宣教師フリップ・スウィフトと人魚シレーナの美しくも悲劇的な関わり合いがストーリーのもうひとつの主軸として展開されています。画像を交えて2人の関係を紹介します。シレーナは黒髭たちに生け捕りにされてしまいますが、その中で唯一シレーナを心から気遣っているのがフリップでした。最初はかわいそうな人魚に同情していました。しかし、次第に同情は愛情へと変わっていくのです。

人魚の涙をどうしても手に入れたい黒髭でしたが、シレーナは断固として拒否します。アンジェリカの策略でシレーナは涙を流しますが、それはフリップが無事であったという嬉し涙であったためにシレーナはフリップに疑いの目を向けます。不本意な状況に陥ってしまったフリップは必死にシレーナに謝罪を続けますが、彼女の心は元通りには戻りませんでした。

黒髭一行、イギリス軍、スペイン軍の三つ巴の闘いが続いている中に隙ができました。シレーナに注意を払う者がいなくなったのです。フリップは闘いの中で致命傷を負ってしまいますが、最後の力を振り絞ってシレーナの救出に向かいます。そして彼は目的を遂げました。セレーナを逃がすことに成功したのです。

セレーナを逃がす際にもフリップは謝罪を続けました。「許してほしい」とそして信仰ではなくセレーナのために生きたいと身を投げ出す宣言をしたのです。フリップの気持ちが本気であると察したセレーナはフリップとキスを交わし、自分が還る水中へとフリップを連れて行ったのです。

ここでフリップが最終的に生き延びたのか死んでしまったのかが映画公開後に大きな議論の的となりました。制作スタッフはあえて生きたのか死んだのかをぼかすことによって観る者にその後を委ねる意図があったと言われていますが、映画の中で「人魚にキスされた男は溺れない身体になる」という説明があったことと、フリップとシレーナが明らかに恋愛関係になったと思われることからフリップは生き延びたと考える人が多くいます。

先にも述べましたが「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」はシリーズ中最もファンタジー性の強い作品であると言われています。それ故にホラー的要素が溢れているとの評価も多いです。ホラー要素の強い原因は人魚の存在が大きいと考えられています。牙を剥いて船員を襲う描写やフリップを水中に引きずり込む描写はホラー映画さながらであると言われています。

宣教師フリップ・スウィフトは捕らえられた「アン女王の復讐号」の中でどんなにひどい目に遭わされても宣教師らしく信仰に殉じる態度を見せていました。しかし、シレーナと出会い人魚に惹かれていくうちに信仰に迷いが出ている様子が見られます。そして致命傷を負いながらもシレーナを逃がす際に「今は信仰よりも許しがほしい」と言いました。

許しを乞うた相手はもちろんシレーナです。しかし「信仰よりも許しがほしい」というセリフは宣教師であるフリップにとって非常に重要な方向転換を意味しています。彼は人シレーナの許しを得られたら人間をやめて人魚とともに生きたいと思っているのではないかと言われており、そこにこの映画の怖さが出ているとの評価をする人も多いです。

様々な謎や伏線が渦巻いて大きなストーリーを形成している「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」ですが、ラストシーンにも非常に重要で怖い描写がなされています。ジャック・スパロウによってひとり孤島に取り残されてしまったアンジェリカの元にジャックの小さい人形が漂着し、それを拾ったアンジェリカが不気味な笑みを浮かべるというものです。

このジャック人形はブードゥー教の秘術を体得した黒髭が作ったものらしく、魔法がかけられていて人形にしたことが本人に返ってくるというものです。ジャックが崖から突き落とされた時にも先にこの人形が落とされていて無傷でした。その人形が偶然にも自分の元に来たのです。この後アンジェリカは人形にどのような仕打ちをしたのでしょうか?そしてそれはジャックにどのような影響をもたらすのでしょうか?

2003年に第1作目「パイレーツオブカリビアン・呪われた海賊たち」が公開されて以降パイレーツオブカリビアンシリーズは老若男女を問わず多くのファンを獲得し続けています。その理由がたくさん内包されている「パイレーツオブカリビアン・生命の泉」はDVDやネット配信などで容易に鑑賞することが可能です。学生さんは夏休みの終盤に、社会人の皆様は週末に是非一度ご覧ください。