2019年07月21日公開
2019年07月21日更新
ザ・ウォールのあらすじと感想・評価!実在したスナイパーを描く戦争映画
ここでは映画『ザ・ウォール』のあらすじや感想・評価などを紹介していきます。『ザ・ウォール』は実話を元に作られた戦争映画で、低予算でありながらハイクオリティーな映像と、少ない出演者たちの高い演技力によって話題になりました。イラク戦争時に実在したイラクの凄腕スナイパー・ジューバと、二人のアメリカ兵との攻防を描いた、スリル満点の作品です。実話から生まれた『ザ・ウォール』について知り、戦争の厳しいリアルに触れましょう。視聴した人の感想や評価を見て、興味を持った人はぜひ見てみてください。
映画ザ・ウォールとは?
ザ・ウォールの作品情報
『ザ・ウォール』は2017年にアメリカで公開された、イラクを舞台とした戦争映画です。監督は『ボーン・アイデンティティー』や『Mr.&Mrsスミス』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を代表作に持つダグ・リーマンです。
登場人物は僅か三人、しかもその内の一人は声だけの出演という映画でした。たった二人のアメリカ人兵士とイラクの凄腕スナイパーとの息詰まる攻防が描かれた、スリル満点の映画です。『ザ・ウォール』は実話を元に制作された映画であり、そこも注目すべきポイントとなっています。
ザ・ウォールの予告編動画
『ザ・ウォール』の予告動画で、大まかなあらすじを知ることができます。予告動画だけで戦場の張り詰めた空気が伝わってくることでしょう。イラク戦争で戦った兵士たちがどれだけ過酷な環境に置かれていたのかが容易に想像できて、息を飲みます。無線から聞こえてくる敵の声がなんとも不気味で、見ている人の緊張感を煽ります。
映画ザ・ウォールのあらすじネタバレ
ここからは、映画『ザ・ウォール』のあらすじをネタバレで紹介していきます。派手なカーチェイスや爆発シーンはありませんが、実話を元に作られたゆえの緊迫感のおかげで、見ているとどんどん物語に引き込まれていく映画です。あらすじのネタバレを通して、この映画が多くの人の心を掴んだ理由をより詳しく探っていきましょう。
あらすじネタバレ①任務
映画『ザ・ウォール』は、砂漠地帯の僅かな茂みに身を潜め周囲を警戒する二人の兵士の会話から始まります。彼らはアレン・アイザック軍曹とシェイン・マシューズ2等軍曹と言い、アメリカ軍に所属する兵士で、イラク戦争に参加している真っ只中でした。二人の任務は、アメリカがイラクのインフラ整備のために造ろうとしているパイプラインの建設現場を見張り、安全かどうかを見極めることです。
二人が派遣されたのは、この場所で作業していた工事技師と護衛の兵士たちが殺害されてしまったからでした。二人は20時間以上同じ場所で、死体と崩れかけた壁を眺め続けます。もしかしたら壁の向こうに敵がいるかもしれない、そう危惧していたアイザックとマシューズでしたが、どれだけ時間が経っても変化は見られませんでした。
敵がいる可能性は低いと判断したマシューズは、アイザックをその場に残して現場へと近づきます。転がった死体を間近で確認して、マシューズは死体が全て頭部を撃ち抜かれていることに気がつきました。そこから事態が一気に動き始めます。
あらすじネタバレ②狙撃
銃声が鳴り響き、マシューズは狙撃されて倒れました。腹部を撃ち抜かれ動けないマシューズを助けるため、アイザックは彼に駆け寄ります。するとアイザックにも凶弾が降り注ぎ、アイザックは右足を負傷してしまいました。結果、マシューズの救助は失敗、アイザックは壁の向こうに身を隠すのがやっとという状況に追い込まれます。
マシューズはまだ生きていますが、腹部を撃たれ大量に血が流れているため、それも時間の問題です。周囲にアイザックたち以外のアメリカ軍兵士はいません。アイザックは救助を求めるため、無線機で味方に連絡を取ろうと試みます。
あらすじネタバレ③会話
アイザックは無線で味方と連絡を取り、救助を要請しました。しかしやり取りをしているうちに、アイザックは無線の相手に違和感を覚えます。相手の英語には訛りがありました。どうやらアメリカ人ではないようなのです。アイザックは味方だと思っていた無線の相手こそが、自分たちを追い詰めた狙撃手であることに気づきます。
無線の相手はアメリカ兵たちの間で噂になっていたイラクの名狙撃手、ジューバでした。ジューバは追い詰められたアイザックを嘲笑うように、アイザックに語りかけます。彼はアイザックの家族の話や、死んだ戦友の話を執拗に聞きたがりました。アイザックはジューバの態度に苛立ちながらも会話を続け、ジューバの声の向こうに聞こえる音を頼りに、ジューバの隠れている場所の見当をつけていきます。
あらすじネタバレ④マシューズの死
アイザックがジューバと会話しながら、何とか状況を打開しようと考え行動している間、マシューズはピクリとも動きませんでした。アイザックはマシューズは死んだと思っていましたが、実はマシューズはまだ生きていました。マシューズに息があることに気づいたアイザックは、彼と協力してジューバを倒そうとします。
アイザックが無線でジューバと会話して意識を逸らし、その間にマシューズがジューバに気づかれないよう銃を構えて、ジューバを狙撃しようとしたのです。しかしジューバはマシューズを見逃しませんでした。ジューバはアイザックの目の前でマシューズの頭を撃ち抜き、殺してしまいます。アイザックは絶望に打ちひしがれました。
あらすじネタバレ⑤作戦
出典: https://eiga.com
戦友の死を前にしてアイザックが打ちひしがれていたその時、無線に反応がありました。アイザックの耳に上官の声が飛び込んできます。アイザックは嬉々として無線に呼びかけました。しかしアイザックではない声がアイザックを名乗り、アイザックの上官と会話し始めたのです。
アイザックの上官にアイザックの名を使って語りかけているのは、ジューバでした。ジューバは「夜になるまでに迎えに来てくれ」と、アイザックの上官に要請します。無線の内容を聞いていたアイザックは愕然としました。無線を使ってアメリカ兵をおびき寄せて始末する、これがジューバがいつも使っている作戦であると気がついたからです。
やがてアメリカ軍のヘリコプターの音が、アイザックの耳に聞こえてきました。アイザックはヘリコプターが狙撃されるのを阻止するために、自身の身を守っていた壁を自らの手で壊します。ジューバから丸見えの状態になったアイザックは、狙撃されながらも怯むことなくジューバのいる方向へ撃ち返しました。するとジューバの狙撃が止まりました。
アイザックはその場で立ち上がってみましたが、狙撃される様子はありません。そうこうしているうちに、アイザックの背後にヘリコプターが着陸しました。アイザックは味方の手によってヘリコプターに乗せられ、バグダッドにある本部まで運ばれることになります。しかし、アイザックがバグダッド本部に戻ることは叶いませんでした。アイザックを乗せて飛び立ったヘリコプターは狙撃され、墜落してしまったのです。
ザ・ウォールは実話の戦争映画?
『ザ・ウォール』はイラク戦争時の実話を元に作られています。アメリカ人を次々と殺害したジューバという狙撃手の存在は、作り話ではなく実話なのです。ここでは、映画の元になったジューバに関する実話を紹介していきます。
ジューバは実在の人物
『ザ・ウォール』で二人のアメリカ兵を追い詰めたイラクの狙撃手・ジューバは、イラク戦争時に実在した人物です。彼はイラクのスンニ派武装グループ「Islamic Army in Iraq」の狙撃手でした。ジューバが世に知られることになったきっかけは、2005年にネット上にアップされたある動画です。
そこには、ジューバがアメリカ兵を狙撃するショッキングなシーンが映し出されていました。この映像により、ジューバはイラクの若者のヒーロー、そしてアメリカ兵の恐怖の対象となったのです。ジューバはアメリカ兵を37名殺害したと言われています。その数が正しいのかどうかは定かでないですが、複数人のアメリカ兵を殺したことは間違いなく実話です。
ジューバは2013年から2014年頃に、ISISによって殺害されたと言われていますが、実際のところどうなのかはわかりません。そもそも、ジューバが一人なのか、複数人なのかすらわかっていないのです。これらの実話を頭に入れたうえで『ザ・ウォール』を見ると、映画の見方がまた変わってきます。
ジューバの殺しの手口を描く
『ザ・ウォール』は、ジューバが多くのアメリカ兵を殺害するために用いた殺しの手口を生々しく描いた作品です。ここももちろん、実話を元に作られています。無線で敵をおびき寄せ、やって来たところを仕留めるというのがジューバの作戦でした。それを踏まえたうえで映画の冒頭を思い出すと、ゾッとすることでしょう。
アイザックとマシューズは、パイプライン建設現場からの連絡を受けて見張りの任務に就きました。連絡を行ったのはもちろんジューバであり、軽口を叩き合いながら見張りをしていた時点で、すでにアイザックとマシューズの未来は決まっていたのです。ジューバが考えたのは、アメリカ兵を一人でも多く殺すための作戦でした。これがフィクションではなく、実話を元に作られているというところが恐ろしいです。
映画ザ・ウォールの登場人物とキャスト
アレン・アイザック軍曹役/アーロン・テイラー=ジョンソン
『ザ・ウォール』でジューバと無線でやり取りをするアメリカ軍兵士、アレン・アイザック軍曹を演じたのは、イングランド出身の俳優であるアーロン・テイラー=ジョンソンです。主な出演作品に『アンナ・カレーリナ』『キック・アス』『GODZILLA ゴジラ』『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』などがあります。
『ザ・ウォール』で、アーロンは見えない敵に追い込まれていく焦燥と恐怖を見事に演じきり、高い評価を受けています。登場人物が僅か三人、その内一人は声だけの出演で、もう一人は映画開始直後に狙撃され動けなくなってしまいました。そのため映画はほとんどアーロンの一人芝居で進みます。彼の素晴らしい演技力があったからこそ、観客を物語に引き込む強い緊迫感が生まれたのでしょう。
シェイン・マシューズ2等軍曹役/ジョン・シナ
『ザ・ウォール』でアイザック軍曹とともに任務についていたアメリカ軍兵士、シェイン・マシューズ2等軍曹を演じたのは、アメリカ出身のプロレスラーであり俳優であるジョン・シナです。ニックネームはチャンプで、リングの上では過激なマイクパフォーマンスを行い問題児のように振る舞っていますが、リングの外ではかなり真面目な優等生として知られています。主な出演作に『12ラウンド』『バンブルビー』などがあります。
『ザ・ウォール』でジョンに求められた演技は、撃たれた痛みに苦しみながらも、敵と戦うべく必死に銃へと手を伸ばすというものです。映画序盤でジョン演じるマシューズは重傷を負い動けなくなってしまうので、かなりピンポイントでハードルの高い演技が要求されました。ジョンは見事にマシューズを演じきり『ザ・ウォール』という物語に重みを与えています。
ジューバ役/ライト・ナクリ
『ザ・ウォール』でイラク最強の狙撃手、ジューバを演じたのは、イギリスの俳優兼プロデューサーのライト・ナクリです。『24:Legacy』や『12Strong』という作品に出演していることで知られています。彼は『12Strong』でアフガニスタンの司令官を演じました。両親がシリア出身のため、訛りのある英語を話すキャラクターを演じるのに重宝されているようです。
『ザ・ウォール』の最初から最後まで、ジューバは顔を見せません。そのためライトは主要キャラクターを演じていながら、声だけの出演となっています。ライトは声だけでジューバのアメリカ人に対する憎悪と嘲りを見事に表現し、高い評価を受けました。無線から聞こえるジューバの不気味な声が『ザ・ウォール』をスリラー映画たらしめています。
映画ザ・ウォールに関する感想や評価
昨日、DVDで映画『#ザ・ウォール』を見た。
— 井上裕介 (@inoueyusuke) January 19, 2019
90分と短い作品時間と思えないくらい、見応えたっぷりの作品。
こんなに登場人物が出てこない映画は初めて見たし、その中で俳優さんの演技力、会話劇、戦争の緊迫感が、まざまざと伝わって来る。
しかも、ラストの終わり方〜!!
もう、素晴らしかった。
ここからは、『ザ・ウォール』の評価・感想を紹介していきます。90分という映画として短い時間の中に、質の高い要素が詰まっていることを評価する声や感想が多く見受けられました。また、少ない登場人物とシンプルな設定だからこそ、リアリティのある戦場の空気感や俳優たちの演技力の高さが際立っており、そこが高く評価されています。
映画「ザ・ウォール」字幕版をみました。劇中の音楽はなく、舞台もひとつ。派手なアクションはないけれど、銃撃というアクションは集約されていました。鼓動の音がきこえてきそうだった……。狙撃手を探すときのカメラワークがね、こう。ドキドキしちゃう。
— 峰あこる(湿度と悪戦苦闘) (@akoru_mine) March 26, 2019
BGMがないため、砂埃を舞わせる乾いた風の音と、鳴り響く銃声がよく聞こえます。そのおかげで、見ている人が実際に戦場にいるかのような臨場感を味わうことができるのです。派手なアクションシーンはありませんが、スコープを覗いて敵を探すカットは、派手なアクションシーンを見た時と同じくらいドキドキします。そのため、カメラワークを絶賛する感想が多く見受けられました。
映画『ザ・ウォール』を観たYO!イラク人の凄腕スナイパーから執拗に狙われるアメリカ兵を描いた戦争アクション。
— ぽたろう (@navetunes) January 27, 2019
足を撃たれ身動きが取りにくい状態で、スナイパーの狙撃スコープから身を隠しつつサバイバルするアメリカ兵。スリリングな設定は面白いけど、少し物足りなさが残る。連投する。
絶賛の声がある一方で、物足りなく感じるという感想も上がっています。リアルを追求した結果、映画だからこそできる派手なガンアクションやチェイスシーンは入っていません。ほとんどがアイザックとジューバの会話でできている作品のため、銃弾が飛び交う派手な戦争映画を想像して見た人は、がっかりした感想を抱いてしまうようです。
ザ・ウォールって映画面白かったけどあれ凄い低予算だよね...あんな低予算で面白い戦争映画いいね
— どら (@dorariko333) July 8, 2019
低予算ながらもしっかりとしたクオリティーに驚愕する感想がいくつか見受けられました。お金をかけずに面白い映画を作り出すことは、簡単ではありません。制作陣と魅力的な俳優たちに対する評価は高いです。
スナイパー映画ならザ・ウォールも私は好きです。スナイパーの頭脳戦と心理戦が堪能できます。あとメンタルとフィジカルもとてもタフです。
— トリ (@ofumi_to_ogin) July 3, 2019
派手なドンパチではなく、静かな頭脳戦と心理戦が描かれているところが高評価の理由の一つです。派手な演出で誤魔化さず、丁寧なカメラワークと俳優の演技で作品のクオリティーを上げているのです。
映画ザ・ウォールのネタバレまとめ
『ザ・ウォール』のあらすじや見た人の感想・評価などを紹介してきましたが、いかがでしか?感想にもありましたが『ザ・ウォール』は派手さこそないものの、鼓動の音が聞こえそうなほどの臨場感と緊迫感を感じることができる作品でした。
『ザ・ウォール』は、イラクの狙撃手・ジューバを通して戦争の悲惨さと、救いのなさを訴える戦争映画です。この映画はスクリーンの中だけのフィクションではありません。映画はよりドラマチックに作られていますが『ザ・ウォール』の物語と同じことが現実に起こり、幾人ものアメリカ兵が殺害されているのです。『ザ・ウォール』を見て、現在の日本では感じることのない戦場の恐ろしさを知りましょう。