2019年07月05日公開
2019年07月05日更新
ワンダーストラックの映画をネタバレ解説!原作やタイトルの意味とは?
ワンダーストラックは二つの時代を交互に見せる演出や、聾者の役者を起用したことで注目を集めた作品です。1977年はカラーで、1927年はその頃の時代にあわせたモノクロの無音映画でストーリーが展開します。ワンダーストラックとはどのような作品なのか、ここではあらすじのネタバレや、映画の感想や評価などをまとめています。また、映画の魅力やワンダーストラックのタイトルの意味なども紹介します。
目次
◆ワンダーストラックとは?
ワンダーストラックの映画作品情報
ワンダーストラックは2017年にアメリカで公開された映画です。第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されました。ワンダーストラックは、役者やストーリーに対して高評価の感想が多い作品でもあります。ここではワンダーストラックのネタバレのあらすじやタイトルの意味などを紹介する前に、ワンダーストラックの作品情報についてまとめています。
ワンダーストラックの監督
ワンダーストラックの監督はトッド・ヘインズが担当しています。トッド・ヘインズはアメリカで映画監督・脚本家として活動しています。長編デビュー作「ポイズン」で評価され、ベルリン国際映画祭テディ賞などを受賞して注目を集めます。その他にも「エデンより彼方に」や「アイム・ノット・ゼア」、「キャロル」など高評価の作品を生み出しています。
二つの時代を描く
ワンダーストラックにはベンとローズの二人の主人公がおり、ベンは1977年、ローズは1927年を描いています。互いの物語を交互に映しながらストーリーが進んでいく作品です。ローズを描く1927年は、モノクロのサイレント映画となっています。1927年代の映画を再現し、さらには聾者のローズの世界観を演出するためだといわれています。この演出は多くの人に受け入れられ、高い評価を得ています。
ワンダーストラックの予告編動画
ワンダーストラックの予告動画のあらすじでは、父を知らないベンと、母を知らないローズがニューヨークに旅に出る場面が描かれています。ワンダーストラックという一冊の本が二人を結びつけていることが分かります。ワンダーストラックの本にはどのような意味があるのか気になる予告動画となっています。
ワンダーストラックの映画あらすじネタバレ解説
あらすじネタバレ①嵐の娘
ここでは、ワンダーストラックの冒頭部分のあらすじのネタバレを紹介します。主人公のベンは伯母の家に住んでいました。従兄弟とは折り合いが悪く、居心地の悪い生活をしていました。ベンは切り抜いた新聞を取り出します。そこには図書館員が事故で死亡したということが書かれていました。その図書館員はベンの母・エレインでした。ベンは母と過ごした日を思い出します。
ベンは宇宙が好きで、エレインと一緒に暮らしていたころは自分の部屋が博物館のようになっていました。ベンはエレインに父がどんな人物なのか、自分と似た天文学者だったのか尋ねます。しかし、そのことについてエレインは何も言いませんでした。
ベンは夜中にこっそりと伯母の家を抜け出して自分の家に戻ります。するとそこには従姉がエレインの服を来てくつろいでおり、ベンは怒りました。ベンは従姉に、伯母はこの家を売ってしまうのかと聞くと従姉は伯母がそう話しているのを聞いたと言いました。ベンは父親がいれば家を売らずに済むはずだと言います。
ベンの住むミネソタ州には嵐が近づいてきていました。従姉が帰ったあと、ベンはエレインの部屋から「ワンダーストラック」という一冊の本を見つけ出します。その本にはキンケイド書店の栞が挟まっており、裏には「エレイン待ってるよ愛を込めて ダニー」というメッセージが書かれていました。
出典: about://
ベンはダニーが父親だと思い、ニューヨークにあるキンケイド書店に電話をかけようとしました。その時、雷が家に落ち、電話を伝ってベンは感電してしまいます。ベンが目を覚ますとそこは病院でした。ベンはパニックになっているところを伯母は絵を使って説明します。ベンは口が聞けないとノートに書きます。すると伯母は「話せてるわ、自分の声が聞こえないだけよ」と書きました。
場面は1927年のローズに移ります。ローズは店でとあるスターの雑誌を切り取り、お金を払わずに逃げ出しました。ローズは切り取った雑誌をスクラップブックに貼ります。そのスクラップブックには、リリアン・メイヒューというスターの雑誌の切り抜きがたくさん貼られていました。
ある日ローズはメイヒューが主演の「嵐の娘」という映画を観に行きます。ローズが映画館を出ると映画館の外装が変わっており、そこには「発音映画館」と書かれていました。ローズは自宅に戻ると父から「聾者の読心術と話し方」という本を渡され、怒鳴られてしまいます。ローズは父と上手くいっていませんでした。
あらすじネタバレ②ニューヨークへ向かう
ここからはニューヨークへ向かう二人のストーリーのあらすじのネタバレを紹介します。ローズはメイヒューに会いにニューヨークに向かう決心をつけます。ローズははじめてのニューヨークでまわりに気を取られており、馬車に轢かれそうになります。親切な男性に起こしてもらい、メイヒューの劇場への道も教えてもらえました。
ローズはメイヒューのいる劇場にたどり着く事ができました。ローズは楽屋口から忍び込みます。ローズはこっそりと映画の撮影所を見学していましたが、コップを割ってバレてしまいます。それに気づいたメイヒューは、ローズを連れて楽屋に行きます。メイヒューは皆の前では優しくローズの手を取りましたが、ローズと二人きりになると怒り始めました。メイヒューはローズの母親だったのです。
ローズは「会いたかった」とノートに書きましたが、メイヒューの怒りはおさまりませんでした。一方でベンもこっそりと病室から抜け出してニューヨークへ向かっていました。ベンは栞に書かれている住所を元に、キンケイド書店を探します。しかし、途中で財布をスられてしまいます。ベンはやっとのことでキンケイド書店にたどり着きますが、キンケイド書店は移転していました。
あらすじネタバレ③自然史博物館へ
ここからは自然史博物館でのあらすじのネタバレを紹介します。ローズはメイヒューの楽屋を抜け出し、今度は兄のウォルターに会いに自然史博物館へ向かいます。ローズはそこで警備員に怪しまれてしまい、追いかけられてしまいます。そんな時、博物館で勤務する兄のウォルターと再会することができました。ウォルターは驚いたもののローズを快く迎えてくれました。
ベンはキンケイド書店が移転したことを男の子に教えてもらいましたが、何を言っているのか分からず、男の子についていくことにしました。すると自然史博物館に到着します。そこでベンは財布を落としてしまうのですが、それを男の子が拾いました。男の子は財布を持ってベンを誘い出し、追いかけっこをはじめます。
男の子はやっと立ち止まり、財布をベンに返しました。男の子はジェイミーだと名乗りました。ベンが自分は耳が聞こえないのだというと、メモを使って話してくれました。ジェイミーの父は博物館に務めており、ジェイミーはこっそりと博物館の資料を見せてくれました。その資料には、ベンの母のエレインがダニエル・ロベルという博物館の調査員と親交があったことが書かれていました。
ジェイミーは博物館でベンが持っていた本に書かれていた飾り棚を見つけました。なぜここの本がうちにあったのか、なぜ調査資料にベンの家が書かれていたのか、ベンは不思議に思います。しかし、ベンとジェイミーは言い争ってしまい、ベンは博物館を出てしまいました。ベンはキンケイド書店の移転先に向かいます。そこには初老の男性と耳が聞こえない女性がいました。
初老の男性はキンケイド書店の店員です。女性はベンが持っていたワンダーストラックの本を見て、「ベン?」と問いかけました。そしてなぜキンケイド書店に来たのかと問いました。ベンは栞を渡し、父親を探しに来たと言います。女性の名前はローズといい、男性の名前はウォルターといいました。ローズはベンをクイーンズ博物館に案内します。そこには大きな町の模型がありました。
あらすじネタバレ④ニューヨーク中の停電
ここではなぜローズがベンのことを知っているのか、ネタバレのあらすじを紹介します。ローズはウォルターの元へ行ってからは母や父の元に帰らずニューヨークで生活したいといいました。ウォルターは聾学校を探してくれてそこに通うようになりました。ローズは卒業後、ビルという男性と結婚して一人息子をもうけます。
その後ローズはジオラマの制作・管理の職につきます。息子は自然史博物館のジオラマ設計主任になっていました。実はこの息子がベンの父親のダニーだったのです。ローズはベンの祖母でした。ダニーは心臓の病気を患っており、その病気が原因ですでに亡くなっていたのです。ローズはニューヨークのパノラマにダニーの思い出を残していました。
思い出に浸っていると、突然ニューヨーク中が停電になります。暗闇の中、建物の中が何度か光ります。その光を頼りに外へ出るとジェイミーがいました。ジェイミーは喧嘩別れしたあとからベンを追っていたのです。ジェイミーとベンは仲直りして、ベンはローズにジェイミーを友達だと紹介しました。
ワンダーストラックの原作やタイトルの意味
ワンダーストラックの原作小説と原作者
ワンダーストラックはブライアン・セルズニックが2011年に出版した「Wonderstruck」という児童文学を原作としています。これまでのトッド・ヘインズの作品とはまた違う傾向の作品でもあり、話題を呼びました。
ワンダーストラックのタイトルの意味
ワンダーストラックのタイトルは二つの言葉から出来ています。それぞれの意味を見ていくと、まず「wonder」の意味は「驚き」という意味があります。そして「struck」の意味は「感銘を受ける」や「印象づける」という意味があります。これを直訳すると「あっけにとられた」という意味となり、無意識に驚くようなタイトルである事がわかります。
『2001年宇宙の旅』の曲との因果関係
ワンダーストラックに使われた曲にデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」という曲がありました。これは「2001年宇宙の旅」という映画を観たデヴィットが作った曲です。ワンダーストラックはSF映画ではありませんが、あらゆる進化を散りばめた博物館がまるで星空のようにも感じられます。そういったところから、この曲が選曲されたのではないかといわれています。
ワンダーストラックの主なキャスト
オークス・フェグリー/ベン役
ワンダーストラックでベン役を演じたのはオークス・フェグリーです。オークス・フェグリーはアメリカの子役で、ディズニー映画の「ピートと秘密の友達」で主演のピート役を演じたことでも知られています。
その他の出演作品には、「あなたを見送る7日間」の少年時代のジャッド役、「アイアン・ソルジャー」のポールスワン役、「PERSON of INTEREST犯罪予知ユニット」のガブリエル・ヘイワード役などがあります。
ジュリアン・ムーア/リリアン・メイヒュー役
ワンダーストラックでリリアン・メイヒュー役を演じたのはジュリアン・ムーアです。ジュリアン・ムーアはアメリカの女優で、「ヴェネツィア国際映画祭」では女優賞、「アカデミー賞」では主演女優賞を獲得するなど実力のある女優です。出演作品には、「アリスのままで」のアリス・ハウランド役、「理想の結婚」のローラ・チーヴリー夫人役、「エデンより彼方に」のキャシー・ウィテカー役などがあります。
ミシェル・ウィリアムズ/エレイン・ウィルソン役
ワンダーストラックでエレイン・ウィルソン役を演じたのは、ミシェル・ウィリアムズです。ミシェル・ウィリアムズはアメリカの女優で子役時代から活躍しています。出演作品には、「ブロークバック・マウンテン」のアルマ役、「ブルーバレンタイン」のシンディ・ペリエラ役、「マリリン7日間の恋」のマリリン・モンロー役、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のランディ・チャンドラー役などがあります。
ワンダーストラックの映画に関する感想や評価
【ワンダーストラック】(’17)
— マクナイト中佐 (@zebra6_537onn) November 14, 2018
心地良い秀作だった。
’27年の聾唖の少女、’77年の事故で聴覚を失った少年、2人の”探し物”を見付ける旅が並行して描かれる。ある女優に想いを馳せる少女のパートを無声映画の様に演出したのは見事。博物館を巡って2人の探し物が交差していく様は静かに胸を打つ。 pic.twitter.com/VjcJMkY7qn
こちらの方はワンダーストラックを観た感想に、「心地よい秀作」という評価をされています。探しものをする二人の物語に、思わず見入ってしまったという感想を寄せている方もいました。
”ワンダーストラック”シネマクレール。白黒サイレントの時代に生きる少女と、70年代を生きる少年。50年の時を隔てた、二人の物語を、混沌と活気に充ちた70年代ニューヨークを舞台に描く作品は、半端じゃなく美しい。一つの出会いが切っ掛けで変わる人生を、子供達の視線で描く物語に、魅了される pic.twitter.com/y4IEn1mbo0
— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) May 13, 2018
白黒のサイレント映画と組み合わせた演出には高評価がたくさんありました。こちらの方はワンダーストラックの世界観を「美しい」と表現し、魅了されたと感想を綴っています。
『ワンダーストラック』過去と現在の主役の違いによる演出方法の違いやQPのミリセントシモンズの演技力、NYの模型と見所いっぱい🤩ですがお話が物足りなかったです🙊スルメ映画かもしれません🦑
— miyajiri shotarrow (@miyalol) October 12, 2018
故人を偲ぶのに大仰な出来事はいらないよ。ちょっとの勇気と冒険心で日常と地続きの所に足跡を見いだせる pic.twitter.com/Zq0ddo0rtg
ワンダーストラックはそれぞれの時代の演出の違い、役者の演技など様々な面で評価されている映画です。特に実際に聾者である子役のミリセント・シモンズの演技は評価されています。ワンダーストラックについてはどれだけ語っても物足りないという感想もありました。その他の感想や評価の中には、「映像美に癒やされた」「もっと観ていたい」という感想を持っている方もいました。
トッド・ヘインズ監督、ブライアン・セルズニック原作脚本「ワンダーストラック」を有楽町で。1927年の少女・ローズと1977年の少年・ベンがひとりだけで旅するニューヨーク。自然史博物館“驚異の飾り棚”登場からエンドロールまでぽろぽろ泣いていた。繊細な映像と無音を聴く。https://t.co/hBuDdTL89d
— Fragment兎影館|柳川貴代 (@Fantas_magorie) April 22, 2018
あらすじのネタバレでもあったように、飾り棚を発見してからはあらゆる伏線が回収され、ベンの父親のことも明らかになります。そのシーンからラストまで涙が止まらなかったという感想もありました。
ワンダーストラックの映画ネタバレまとめ
ワンダーストラックのタイトルには、驚きや感銘を受けるといった意味がありました。ワンダーストラックを鑑賞した方の中にはそのタイトル通り、感銘を受けたという感想を持っている方もいました。その他の感想や評価をまとめると、美しい映像やストーリーに何度も観たくなるというような感想がたくさんありました。
また、ワンダーストラックはストーリーや演出、子役の演技力まで高い評価を得ている作品です。まだ観たことがないという方は、ぜひワンダーストラックの世界観を楽しんでみてください。