カンゾー先生は麻生久美子の出世作!あらすじや感想・結末ネタバレ

1998年に制作された日本映画『カンゾー先生』。時は第二次大戦終結前の昭和20年。岡山県の小さな漁師町を舞台に、肝臓炎という診断しか下さない医者と彼を取り巻く人々の人間模様を巨匠今村昌平監督が描く喜劇映画です。若き麻生久美子の体当たりの演技など見どころも満載です。これから『カンゾー先生』のあらすじや感想、そして結末ネタバレまでまとめてお届けします、ぜひ、ご覧ください!

カンゾー先生は麻生久美子の出世作!あらすじや感想・結末ネタバレのイメージ

目次

  1. カンゾー先生とは?
  2. カンゾー先生の登場人物・キャスト
  3. カンゾー先生のあらすじネタバレ
  4. カンゾー先生の結末ネタバレ
  5. カンゾー先生のロケ地は?
  6. カンゾー先生に関する感想や評価
  7. カンゾー先生のあらすじ・結末や感想まとめ

カンゾー先生とは?

カンゾー先生の映画情報

1998年に制作された日本映画『カンゾー先生』。時は第二次大戦終結前の昭和20年。岡山県の小さな漁師町を舞台に、肝臓炎という診断しか下さない医者と彼を取り巻く人々の悲喜こもごもを描いた喜劇映画です。

原作は坂口安吾の「肝臓先生」。公開時のキャッチコピーは、「人間は美しく、たくましきバクテリアなり」。カンヌ国際映画祭特別招待作品、報知映画賞主演男優賞&助演女優賞受賞。出演は柄本明、麻生久美子、ジャック・ガンブランピートほか。

カンゾー先生の映画監督

映画「カンゾー先生」の監督は、1926年生まれで2006年79歳でこの世を去った映画監督、脚本家、映画プロデューサーの今村 昌平。カンヌ国際映画祭で2度のグランプリを受賞した日本を代表する映画監督の一人です。

1958年に「盗まれた欲情」で監督デビュー。1959年の「にあんちゃん」では文部大臣賞を受賞、今村の名を世に知らしめました。1963年の「にっぽん昆虫記」では同時録音に挑戦、大ヒットを記録します。1964年それまで温めていた企画「赤い殺意」を映画化、今村が自身のベストと評価する作品となりました。その後1968年の初カラー作品「神々の深き欲望」では2年がかりの沖縄ロケを敢行、今村前半期の集大成とされています。

1979年の「復讐するは我にあり」の成功を経て、1983年「楢山節考」を制作。日本人監督として3人目となるカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞すると1997年にも「うなぎ」で2度目のカンヌ国際映画祭パルムドールに輝きます。この頃より糖尿病の悪化と加齢で気力も減退していましたが、1998年には本作「カンゾー先生」、2001年に「赤い橋の下のぬるい水」など話題作を発表し続けました。

「カンゾー先生」は今村昌平が30年の間大切に温めていた企画。主人公の「カンゾー先生」には開業医だった彼の父への想いが込められていると言われています。坂口安吾の原作では伊豆が舞台となっていますが、映画「カンゾー先生」ではラストで原爆投下を見せるため舞台を瀬戸内に変えています。

カンゾー先生の登場人物・キャスト

万波ソノ子/麻生久美子

映画『カンゾー先生』のヒロイン、町の美少女万波ソノ子。弟や妹を養うため体を売ってお金を稼いでいます。その後、赤城の病院で看護師として働き始めると、町の人のために尽くす彼に徐々に惹かれていきます。

『カンゾー先生』で万波ソノ子を演じたのは、1978年千葉県出身の女優麻生久美子です。彼女は1995年「BAD GUY BEACH」で映画デビューすると、本作「カンゾー先生」でヒロインを演じ日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。以降、2000年映画「回路」、2001年「贅沢な骨」2007年「夕凪の街 桜の国」など主演し高く評価されました。

また、2008年にはイラン人監督アボルファズル・ジャリリの「ハーフェズ ペルシャの詩」で海外作品にも進出。さらに2006年テレビドラマ「時効警察」主演や2009年岩松了作・演出の舞台「マレーヒルの幻影」で映画ファン以外にも広く知られるようになりました。

赤城風雨/柄本明

主人公の開業医・赤城風雨。診察に来た患者には必ず肝臓炎と診断することから「カンゾー先生」と呼ばれています。肝臓炎の研究に没頭、そのために失われた町人の命を前にして町医者としての使命を再確認します。

映画『カンゾー先生』で開業医・赤城風雨を演じたのは、1948年東京都出身の俳優、コメディアン柄本明です。彼は1974年「自由劇場」へ参加し、1976年にはベンガルや綾田俊樹と「劇団東京乾電池」を結成。

その後、数々の映画やテレビドラマに出演し、1998年本作『カンゾー先生』に主演、報知映画賞主演男優賞や日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。2004年「座頭市」で毎日映画コンクール男優助演賞を受賞。また、1992年には『空がこんなに青いわけがない』で映画監督デビュー。2011年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。

三吉/北村有起哉

売春をしていたソノ子にお金を払い体の関係を持つ三吉。会社の帳簿を改ざんして金を着服したり、何事もその場限りの芯の通っていない若者です。

『カンゾー先生』で「三吉」を演じたのは、1974年東京都出身の俳優北村有起哉です。父は高名な俳優の故北村和夫。

彼は俳優養成所や日本映画学校などで演技を学び、1998年舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』でデビューします。その後は舞台公演を中心に活動し、近年はテレビドラマにも数多く出演しています。2016年には映画『太陽の蓋』で初主演を務めました。

トミ子/松坂慶子

料亭の美人女将、トミ子。カンゾー先生こと赤城に好意を抱いています。また、女の武器を使って軍医部長の池田を利用するなど狡猾な面も覗かせます。

『カンゾー先生』でトミ子を演じたのは、1952年東京都出身の女優松坂 慶子です。彼女は1971年映画「夜の診察室」で初主演。1973年NHK大河ドラマ「国盗り物語」で濃姫を演じて広く知られるようになります。1978年の映画「事件」や翌年の「配達されない三通の手紙」の成功でトップ女優の仲間入りを果たします。

その後は、1981年「青春の門」や「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞、報知映画賞主演女優賞を受賞。翌1982年「蒲田行進曲」と「道頓堀川」では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞とキネマ旬報主演女優賞、毎日映画コンクール主演女優賞を受賞など多数の受賞歴を誇り第一線での活躍を続けています。

ピート/ジャック・ガンブラン

オランダ兵の捕虜、ピート。脱走を図り大怪我をしたところをソノ子に救われます。そのお礼に赤城たちの研究を手伝うことに。

『カンゾー先生』でピートを演じたのは、 1957年フランス・マンシュ県出身の俳優ジャック・ガンブランです。彼は1982年Théâtre de Caenで舞台俳優として活動を開始。1985年に映画デビューし翌年にはテレビ映画にも出演。2002年の『レセ・パセ 自由への通行許可証』でベルリン国際映画祭男優賞を受賞しています。

鳥海/世良公則

モルヒネ中毒の医者、鳥海。で赤城の友人で彼の研究に協力します。医師免許を剥奪され、モルヒネ欲しさに当局に突っ込み命を落とします。

『カンゾー先生』で医者の鳥海を演じたのは、1955年広島県福山市出身のロックミュージシャンで俳優の世良公則です。彼はロックミュージシャンです。1977年バンドメンバーと共にヤマハポピュラーソングコンテストや世界歌謡祭に出場し「あんたのバラード」でグランプリを獲得。その後「世良公則&ツイスト」を結成します。1981年末に解散するまでグループで活動を続け、解散後はソロとして音楽活動を開始しています。

俳優としても1980年以降数々のテレビドラマや映画に出演。近年では2015年の連続ドラマW 『テミスの求刑』澤登栄太郎役や下町ロケット後編貴船恒広役があります。映画でも本作『カンゾー先生』や2001年「青の瞬間」、2007年「恋するマドリ」などに出演しています。

池田/伊武雅人

トミ子に好意を抱く軍医部長、池田。権力志向が強く、強いものには阿(おもね)る嫌らしい性格の男です。

『カンゾー先生』で池田を演じたのは、1949年東京都出身の俳優の伊武 雅刀です。俳優を志し劇団で活動を開始しますが、声の良さを買われ声優としてデビュー、「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」のデスラー総統役や藤堂平九郎役などで有名になります。

その後、1976年ラジオ大阪の番組「スネークマンショー」に出演し、小林克也とのコントが大評判に。俳優としては、1970年以降さまざまなテレビドラマや映画に出演。悪役や腹黒い役が多いなかで、多彩な声色を生かしたコミカルな役柄にも定評があります。

カンゾー先生のあらすじネタバレ

あらすじネタバレ:医者・赤城風雨

ここからは『カンゾー先生』のあらすじをネタバレでお届けします。時は第二次大戦終結前の昭和20年。岡山の海岸を所狭しと走り回っているのは、医者の赤城風雨、人呼んで「カンゾー先生」。どんな患者にも肝臓炎としか診断を下さないことからついたあだ名です。赤城は父から聞かされた「開業医は足だ。疲れても走れ。寝ても走れ」という家訓を守り、ほとんど手弁当で住民の体を診察して回ります。

カンゾー先生の周りの人々もさまざまな問題を抱えていました。料亭の女将トミ子は、店の女中にチフスに感染した疑いが。軍医部長の池田から女中全員の検査が終わるまで店の営業は停止命令が出されてしまいます。

あらすじネタバレ:美少女・ソノ子

三吉という若者は美少女のソノ子をお金で買うことに。ソノ子は幼い弟や妹を養うため体を売っていました。赤城はソノ子の親族に頼まれ、2度と体を売らないことを条件に彼女を看護婦として雇い入れます。

また、岡山県医師会から、ブドウ糖注射を使いすぎではないかと指摘される赤城。赤城はここ数年流行っている肝臓炎の治療にブドウ糖は欠かせないと反論します。

あらすじネタバレ:愚痴を漏らす赤城

ある日赤城は医者仲間の鳥海を訪ねます。カンゾー先生と呼ばれている赤城が肝臓炎の怖さに誰も気づかないことを嘆くと、モルヒネ中毒の鳥海は嫌な世の中だがモルヒネさえあれば良いと応じます。

女将のトミ子は、休んだ芸者の代わりをソノ子に頼みます。気が乗らないソノ子でしたが、トミ子は赤城先生には内緒するといって諦めません。

あらすじネタバレ:迫られるソノ子

ソノ子が家に帰るとすでに寝てしまった弟や妹たちの伝言メモが置いてあり、そこにはお腹が空いたから体を売って稼いでくれと書かれていました。

さらに幼馴染の男子の母親がソノ子を訪ねてきます。彼女の話は、赤紙を受け取った童貞の息子のために相手をしてくれというもの。ソノ子は、そういうことは止めたと言って一旦は断ります。しかし、しつこく頼まれたソノ子は応じざるを得ませんでした。

あらすじネタバレ:恋するソノ子

医師会に加えて軍医の池田からもブドウ糖の件で警告を受けた赤城。しかし赤城はブドウ糖の重要性については一歩も譲りませんでした。

その後、赤城は顕微鏡を手に入れ肝臓炎の研究に着手します。寝食を忘れて研究に没頭する赤城を見て、ソノ子は淡い恋心を抱くのでした。

あらすじネタバレ:息子の死

ある時赤城は、最前線に赴いていた息子の戦死を知らされます。息子が最後に書いた手紙には、肝臓炎の研究についてしたためられていました。赤城は肝臓炎撲滅のために人生を捧げようと誓いを立てました。

あらすじネタバレ:外国人・ピート

ある日赤城が家に帰ると、看護婦のソノ子が敵兵の捕虜を入院させたいと泣きつきます。彼女が助けた捕虜は名前をピートといい重傷を負っていました。赤城は、医者仲間の鳥海と共にピートの治療を始めます。

三吉がソノ子のもとにやって来ます。取引先の金の着服がバレてしまったので一緒に死のうと言い出します。ソノ子は関係ないと言い突き放すのでした。

カンゾー先生の結末ネタバレ

結末ネタバレ:秘密のお願い

ここからは『カンゾー先生』結末のネタバレとなります。赤城は顕微鏡用に強いライトを入手しますが効果的に使えません。先生が困っている様子を見ていたピートが顕微鏡を調整し助けます。

ある時老人が肝臓炎を患い重篤な状態に陥ってしまいます。赤城はその老人に埋葬は土葬にするよう記した遺言を書いてもらいます。肝臓炎の研究のために人の肝臓が必要だったのです。老人の死後、赤城と鳥海はその老人の遺体を掘り返して肝臓を取り出します。

結末ネタバレ:ピートと鳥海の不幸

次の結末ネタバレはピートと鳥海を襲う悲劇について。人の肝臓を入手した赤城は研究を開始。赤城が顕微鏡を覗いたちょうどその時、軍当局が家に押し入って来ました。赤城は捕虜隠匿の罪で逮捕されてしまいます。トミ子たちが掛け合った甲斐あり、赤城たちは釈放されます。しかし研究道具の顕微鏡は没収。ピートは、軍に抑留され拷問を受けます。そして、最後には撲殺されてしまいました。

医師免許を剥奪されモルヒネを入手できなくなった鳥海。モルヒネ欲しさに当局へ忍び込みます。その挙句当局に見つかり追いかけられ鳥海は自滅。

結末ネタバレ:誤診

続いての結末ネタバレは、赤城先生の誤診です。別の顕微鏡を手に入れた赤城は益々研究に没頭していきます。それ以外に何も見えなくなった赤城の診察はしだいに疎かに。ある時誤診された町の老人が死んでしまいます。

結末ネタバレ:町医者の自覚

赤城は町医者の本分を諭した家訓を思い出し責任を痛感します。そして、改めて町医者として生きていこうと決意するのでした。

そんな赤城のもとにソノ子が現れます。聞けば小さな離れ小島にいる娘が病気との事。赤城とソノ子はすぐにその島へと向かいます。往診を終え帰りの小舟に乗り込むと、ソノ子は赤城に愛の告白をします。赤城は海の向こう側を眺めていました。そして遠く離れた空に大きなキノコ雲を発見するのでした。

カンゾー先生のロケ地は?

映画のロケ地は瀬戸内市牛窓

映画の舞台は岡山県玉野市日比ですが、現在では戦後の面影は見られなくなっています。そこで撮影場所に選ばれたのが、今もなお古い町並みが残る瀬戸内市の牛窓でした。

映画に出てくる町並みは現在もほぼそのまま残っています。撮影に使われた看板が掛かっている商店もあるようです。

瀬戸内市に行く機会があれば、映画『カンゾー先生』のロケ地でもある、この趣ある街を散策してみるのもいいかも知れません。

カンゾー先生に関する感想や評価

感想や評価:奥行きのある人間ドラマ

最後に『カンゾー先生』を観た方の感想や評価を紹介します。まずは、俳優陣の優れた演技力が奥行きのある人間ドラマを構築していたというものです。主演の柄本明をはじめ、新人の麻生久美子、脇を固める松坂慶子、世良公則、唐十郎らがそれぞれの役を演じきっていたという感想でした。

感想や評価:これぞ今村昌平の重喜劇!

おもしろかったぁ!!!笑いどころ満載!これぞ今村昌平の重喜劇!細かい伏線がきっちりハマっていく脚本が素晴らしい!

続いては、今村昌平監督の真骨頂が観れたという感想です。カンゾー先生はじめソノ子や鳥海などキャラ設定と伏線を回収する脚本の巧みさに感服したという感想でした。

感想や評価:信念を貫けるのは魅力的!

自分の信念を貫くことができるということは、それだけで魅力的だ。それは頑固とは違い、素敵で人を寄せ付ける。

最後の方は、カンゾー先生やソノ子を見て、自分の信念を貫くことができるということは、それだけで魅力的たとの感想を抱いたといいます。終戦間近の異常な時代に翻弄されながらも、自分を見失わずに突き進むさまに衝撃を受けたそうです。最後に全編通して流れる山下洋輔の音楽が素敵!と結んでいました。

カンゾー先生のあらすじ・結末や感想まとめ

ここまで「映画カンゾー先生は麻生久美子の出世作」と題してあらすじや結末ネタバレ、観た方の感想までお届けしてきました。若き麻生久美子の体当たりの演技や今村昌平監督独特の語り口など見どころ満載との評価もあります。この機会に皆さんもDVDなどで鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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