戦慄の絆のあらすじ・結末をネタバレ!クローネンバーグ監督の名作映画

1988年にカナダで制作されたサイコ・スリラー映画『戦慄の絆』。監督は独特の世界観を持つクローネンバーグです。若き日の名優ジェレミー・アイアンズが主人公の2人を演じています。映画の舞台はカナダ最大の都市トロント。婦人科医院を開業する一卵性双生児の兄弟が主人公。ある時美人女優と出会ったことから徐々にバランスを崩していく双子に悲劇が訪れます。これから『戦慄の絆』のあらすじや結末をネタバレでお届けします。ぜひご覧ください!

戦慄の絆のあらすじ・結末をネタバレ!クローネンバーグ監督の名作映画のイメージ

目次

  1. 戦慄の絆とは?
  2. 戦慄の絆の映画あらすじをネタバレ
  3. 戦慄の絆の映画結末をネタバレ
  4. 戦慄の絆は実話映画だった?
  5. 戦慄の絆に関する感想や評価は?
  6. 戦慄の絆の映画ネタバレまとめ

戦慄の絆とは?

戦慄の絆の映画作品情報

『戦慄の絆』(Dead Ringers)は、1988年にカナダで制作されたサイコ・スリラー映画です。監督は「誘う女」などで俳優としても知られるデヴィッド・クローネンバーグ。アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭ではグランプリを受賞しました。

映画の舞台はカナダ最大の都市トロント。そして主人公は、ともに婦人科医をしている一卵性双生児の兄弟。ある時美人女優と出会ったことから、徐々にバランスを崩していく双子に悲劇が訪れます。主演ジェレミー・アイアンズ、共演ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドほか。

戦慄の絆の予告編動画

続いて映画『戦慄の絆』の予告編動画をご覧いただきます。残念ながら字幕はありませんが、ハイライトシーンが1分半ほどの短い映像にまとめられていて、全体の雰囲気を感じて頂けるのではないでしょうか。

戦慄の絆のクローネンバーグ監督

次に映画『戦慄の絆』の監督を紹介します。『戦慄の絆』の監督は、カナダの映画監督、脚本家デヴィッド・クローネンバーグが務めました。彼は俳優としても活躍しており自作映画のほか映画「誘う女」、テレビシリーズ「エイリアスなどに出演しています。

クローネンバーグは、1943年カナダ・トロントでリトアニア系ユダヤ人の両親のもとに生まれました。犯罪記事の記者をしていた父やピアニストの母の影響で、物語を書いたりクラシックギターを演奏するのが好きな少年だったと言います。

トロント大学在学中に短編小説を書いて賞を受けるなど才能を開花させますが、小説という分野での自身の限界を感じて作家の道を歩むのは断念します。友人の影響を受け映画の魅力に目覚めたクローネンバーグは、1966年短編映画「Transfer」と翌年「From the Drain」を監督します。その後クローネンバーグは実験的な映画「ステレオ/均衡の消失」や「クライム・オブ・フューチャー/未来犯罪の確立」を制作します。

大学卒業後、クローネンバーグは主にテレビ作品を手がけます。転機となったのは1975年、寄生生物が人間を操る恐怖を描いた映画「デビッド・クローネンバーグのシーバース」。この作品でクローネンバーグは映画監督デビューを飾ります。その後は「ラビッド」や「ファイヤーボール」などで着実にキャリアを重ねます。

1980年、超能力戦を描いた映画「スキャナーズ」で人気を得ると、続く「ヴィデオドローム」でクローネンバーグは一躍注目監督となります。また、同年の映画「デッドゾーン」ではアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭で3部門を制覇。

1986年には「ハエ男の恐怖(1958年制作)」をリメイクした「ザ・フライ」を監督しアカデミー賞特殊効果賞を受賞。また1988年の本作品では、アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭でグランプリ、さらにロサンゼルス映画批評家協会賞最優秀監督賞を受賞します。

1991年ウィリアム・S・バロウズ原作の映画「裸のランチ」で全米映画批評家協会賞最優秀監督賞・脚本賞受賞。1996年にはJ・G・バラード原作の「クラッシュ」でカンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。1999年「イグジステンズ」でベルリン国際映画祭銀熊賞、アムステルダムファンタスティック映画祭銀賞を受賞と受賞歴が続きます。

1999年「カナダ名声の歩道」(Canada's Walk of Fame)にクローネンバーグの名前が刻まれます。2002年に長年の功績を称えてカナダ最高の勲章であるオーダー・オブ・カナダオフィサーを受勲。その後もクローネンバーグは数々の映画賞に輝き、名実ともにカナダを代表する映画監督となりました。

戦慄の絆のキャスト

  • ジェレミー・アイアンズ(エリオット・マントル/ビヴァリー・マントル…二役)
1948年イギリス・ワイト島生まれの俳優。舞台「ゴッドスペル」でデビュー後の1971年にロンドンに移り、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに入団。1984年にはブロードウェイで認められ「Real Thing」でトニー賞を受賞。

1980年「ニジンスキー」で映画デビュー。「戦慄の絆」で高く評価されハリウッドに進出。1990年「運命の逆転」でアカデミー主演男優賞受賞。その時の受賞スピーチで、本作のクローネンバーグ監督にチャンスを与えてくれたと感謝を述べています。1996年ドキュメンタリー番組「The Great War and the Shaping of the 20th Century」と2005年の「エリザベス1世〜愛と陰謀の王宮」でエミー賞を受賞しました。

  • ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド(クレア・ニヴォー)
1942年カナダ/ケベック州モントリオール生まれの女優。演劇学校卒業後、劇団に入団。フランス巡業中の1966年、映画監督アラン・レネの目に留まりイヴ・モンタン主演の「戦争は終った」で映画デビューし、シュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞。

以後、カナダを拠点にアメリカやフランスで活躍。1969年映画「1000日のアン」ではアカデミー主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。その後もさまざまな映画に出演しています。

『戦慄の絆』その他の共演者を紹介します。

  • ハイディ・フォン・パレスク(ケイリー)
  • バーバラ・ゴードン(ダヌータ)
  • シャーリー・ダグラス(ローラ)
  • スティーヴン・ラック(アンダース)
  • ジル・ヘネシー(ミムジー)
  • ジャクリーン・ヘネシー(コラル)
ジル・ヘネシーとジャクリーン・ヘネシーは実際に双子の姉妹です。

戦慄の絆の映画あらすじをネタバレ

あらすじネタバレ:発明

発明のイメージ

ここからは『戦慄の絆』のあらすじをネタバレで紹介します。映画の舞台は1954年カナダ最大の都市トロント。一卵性双生児のマントル兄弟は生まれた時からいつも一緒に過ごし何でも分けあっていました。同じ大学の医学部に進学、ともに産婦人科医への道を歩み始めます。兄のエリオットは社交的、それに対して弟のビバリーは内向的ですが研究熱心、マントル開口器という医療器具を発明します。

時は過ぎて1988年、カナダのトロント。マントル兄弟は共同で不妊治療専門のクリニックを開業します。優れた経営能力を発揮する兄エリオットと高い技術力を持つ弟ビバリーの総合力で、クリニックはたちまち大評判に。ある日、有名女優クレアが極秘でクリニックに受診に訪れます。

あらすじネタバレ:兄弟の温度差

クレアを診察したのは弟ビバリー。彼はクレアが極めて珍しい子宮を持っていることに気づきます。彼女の子宮には入り口が3つあり別々の小部屋に通じていました。そのことを知った兄エリオットはクレアに関心を寄せます。エリオットはすぐに彼女と親しくなると夜を共にする関係になります。その後、弟ビバリーにも彼女を紹介、ビバリーもクレアと関係を持つに至ります。ところが当のクレアは、2人を同一人物と思っていました。

見分けのつかない2人でしたが、クレアに対する思いには温度差がありました。世慣れたエリオットはクレアを単なる遊び相手と見ていました。しかし初心(うぶ)なビバリーは本気でクレアに心を奪われてしまいます。

その後ビバリーの診断結果を聞き自分が妊娠できないことを知ったクレアは、深く傷心しビバリーを頼るようになります。エリオットはビバリーにクレアとのことを詳しく聞こうとします。いままで兄弟で情報を共有してきたビバリーでしたが、今回ばかりは気乗りがしませんでした。

あらすじネタバレ:破局

クレアは時に不安定な精神状態になることがあり、抗うつ剤や睡眠薬に頼ることもありました。エリオットはクレアのそうした一面を知り、ビバリーに別れるよう忠告します。しかしいつもは従うビバリーが、クレアのことでは言うことを聞こうとしません。

一方、人づてにビバリーの双子の兄のことを聞いたクレアは、日によってビバリーが別人のようになる理由を理解しました。自分が2人の男に抱かれていたことに気づき、クレアは激怒してマントル兄弟のもとを去りました。

あらすじネタバレ:復縁

エリオットは面白がっていましたが、クレアを失ったビバリーは落ち込んでしまい、薬に頼るようになります。そんな中、エリオットは大学助教授に招聘され益々多忙な日々を送るようになります。ビバリーは街でクレアと偶然再会し復縁します。ビバリーはこの際兄エリオットとの関係を断ち切りたいと思い始めます。

ビバリーはクレアのアパートに転がり込み一緒に暮らすようになります。同時に薬物依存がさらに酷くなっていきました。クレアはそんなビバリー目にして彼の身体を心配します。一方、エリオットはクレアが現れたために兄弟の絆が断ち切られたと考えていました。

あらすじネタバレ:薬物依存

クレアは後ろ髪引かれる思いでビバリーを残して映画のロケ地へ旅立ちます。孤独に耐えられなくなったビバリーは、クレアの泊まっているホテルに電話をかけます。その時たまたま電話に出た男性秘書をクレアの浮気相手だと勘違いしてしまいます。

裏切られたと思ったビバリーはエリオットを頼り家に戻ると発作を起こして倒れてしまいました。何とか一命は取り留めたものの、エリオットは弟を失うのではないかと恐れるようになります。薬物中毒に陥っているビバリーを救うため、エリオットはビバリーの”解毒”を始めました。

あらすじネタバレ:限界

ビバリーは相変わらず薬の禁断症状と幻覚に苦しみます。自分でデザインした医療器具をウォレックという芸術家に作らせ、それを実際に手術で使います。ところが患者は大量出血を起こし手術室は一時騒然とします。

何とかビバリーの薬物依存を隠そうとしたエリオットでしたが、この異常事態を目にして限界だと感じます。自分たち兄弟は結合双生児のように一心同体だと信じているエリオットは、ビバリーの薬を同量・同時間に飲み始めるようになりました。

戦慄の絆の映画結末をネタバレ

結末ネタバレ:誤解

ここからは、いよいよ『戦慄の絆』結末のネタバレあらすじになります。映画ロケから戻ったクレアからビバリーに電話が入ります。ビバリーは彼女の浮気が全くの誤解だったことを知ります。自宅アパートに監禁されていたビバリーは、アパートの管理人を抱き込んで鍵を開けてもらいクレアに会いに出掛けます。

クレアはビバリーの状態がロケに出かける前よりもさらに悪化していることを知り胸を痛めます。ビバリーは先日特注した医療器具をクレアに見せ、これは結合した双生児を分離するための器具と説明します。

結末ネタバレ:惨状

『戦慄の絆』続いての結末ネタバレはビバリーが目にする惨状についてです。自宅アパートを飛び出して一週間になるのにエリオットから一向に連絡がないことをビバリーは訝(いぶか)ります。クレアの顔を見て少し落ち着いたビバリーは、エリオット心配になり一旦アパートへ戻ることにしました。

自宅アパートに戻ったビバリーは、室内の惨状に茫然とします。彼が部屋に入ったとき、エリオットは風呂場でずぶ濡れになっていました。今度はエリオットが重度の薬物中毒に陥り正気を失っていました。そしてマントル兄弟の精神は完全に壊れていました。

結末ネタバレ:分離手術

『戦慄の絆』結末ネタバレも大詰めを迎えました。ビバリーはエリオットを手術台に乗せると、特注の医療器具を使ってシャム双生児の分離手術を行うと言い出します。エリオットはビバリーをエンと、ビバリーはエリオットをチャンと呼びます。

器具をエリオットのお腹に突き立てたビバリーは恐ろしさに震え涙を流しました。そんなビバリーを見てエリオットは「僕たちはいつも、いつも一緒だよ」と優しく語りかけました。ビバリーはエリオットの腹に突き立てていた器具をエリオットの体に深く突き刺しました。

結末ネタバレ:死体

翌日ビバリーが目を覚ました時、エリオットは診察台の上で既に死んでいました。荷造りを終えたビバリーは外へ出てクレアに電話をかけます。しかし何も言わずに受話器を置くとアパートに戻っていきました。その後、ビバリーもエリオットの死体に寄り添うように死んでいるのが発見されました。以上が映画『戦慄の絆』結末のあらすじとなります。

戦慄の絆は実話映画だった?

戦慄の絆は実際の事件をもとにした映画

映画『戦慄の絆』の原作はバリ・ウッドの小説「Twins」。この小説は一卵性双生児の産婦人科医がマンションで謎の死を遂げていたという実話を基にしています。

映画「戦慄の絆」は人間の深層心理や疎外感、孤独感などを描いたサイコ・スリラーに仕上がっています。真っ赤な背景に怪しげな人体解体図に実験器具、バックに流れるハワード・ショアの音楽が恐怖を掻き立てます。

オープニングから展開する狂気に満ちた美しい世界。マントル兄弟が身につけるのも真っ赤な手術着という徹底ぶり。それに対して彼らの家の深く暗い青い色が見事なコントラストをなしています。『戦慄の絆』の魅力の1つは、こうしたクローネンバーグ監督の独特の世界観にあるとも言われているのです。

戦慄の絆に関する感想や評価は?

感想や評価:ハッピーエンドともいえる結末!

最後に『戦慄の絆』を観た方の感想や評価を紹介します。まずは結末をハッピーエンドと捉えた方の感想から。哀しい結末にも感じられますが、映画全体の流れを考えるとこうした感想になるのかも知れません。

感想や評価:サイコ・スリラーに昇華!

続いてのは、原作では色濃く描写されていた同性愛の表現がなくなり、サイコ・スリラーに置き換わっていたというもの。クローネンバーグ監督の真骨頂と言うところではないでしょうか。

感想や評価:兄弟の演じ分けは戦慄もの!

次の感想・評価は、俳優ジェレミー・アイアンズの演技を称賛するものです。おどろおどろしいサイコ・スリラー、『戦慄の絆』ですが、何より彼の演技が鳥肌ものだったと言うことでした。

感想や評価:美しく不穏なオープニングに惹かれる!

最後の感想・評価は、『戦慄の絆』原作のところでも触れたように独特のオープニングに引き込まれたというものです。美しく不穏な世界観を展開するクローネンバーグ監督の為せる技と言えるでしょう。

戦慄の絆の映画ネタバレまとめ

ここまで映画『戦慄の絆』のあらすじ・結末をネタバレでお届けしてきました。この映画の魅力はひとえにクローネンバーグ監督の世界にあると言っても差し支えないのではないでしょうか。皆さんもこの記事を機会にDVDなどで鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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