2019年03月25日公開
2019年03月25日更新
砂と霧の家の登場人物とあらすじをネタバレ!映画の結末と感想・評価まとめ
「砂と霧の家」は2003年公開のアメリカ映画です。主人公のキャシーは父の遺産である家で暮らしていました。夫に出ていかれ荒れ放題の家で暮らしていたキャシーは、数百ドルの税金を滞納していたことから家を差し押さえられてしまいます。一方、家族を連れアメリカに亡命してきたベラーニは、破格の値段で競売にかけられている家を購入します。ベラーニが購入したのはキャシーの家で、2人が出会った時、やがて衝撃の結末へと向かっていきます。今回は「砂と霧の家」のあらすじネタバレや結末、映画を観た人の感想をご紹介します。
砂と霧の家とは?
「砂と霧の家」の映画作品情報
映画「砂と霧の家」は、2003年11月にアメリカで公開されたヒューマンドラマを描いた映画で、日本では1年後の2004年11月に公開されました。映画「砂と霧の家」はヴァディム・パールマンが監督を務め、主演は映画「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェニファー・リン・コネリーさんです。ナディを演じたショーレ・アグダシュルーさんは今作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。
映画「砂と霧の家」はアンドレ・デビュース三世の同名小説を原作に作られており、原作小説『霧の家』はロサンゼルス・タイムズ・ブック・プライズやブックセンス・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。また全米図書賞の最終候補にも選ばれ、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにも掲載されました。
映画「砂と霧の家」の予告編動画
こちらが映画「砂と霧の家」の予告編動画です。霧に包まれた海の見える1軒の家を巡り、父との思い出を守りたいキャシーと家族のよりどころとしての家を守りたい異邦人のベラーニが出会った時に起こる悲しい運命を凝縮した予告となっています。
映画「砂と霧の家」の監督
映画「砂と霧の家」で監督・脚本を務めたのはヴァディム・パールマンさんです。1963年生まれでウクライナ出身のヴァディム・パールマンさんは「砂と霧の家」が公開された後、10代で銃乱射事件に遭遇した女性の切ない運命を描いた2009年公開の映画「ダイアナの選択」の監督を務めています。その後、2018年には欲望渦巻くセレブの世界に足を踏み入れた美女3人を描いた映画「Buy Meバイミー」も公開されました。
砂と霧の家の登場人物・キャスト
キャシー:ジェニファー・リン・コネリー
主人公のキャシーを演じたのは、ジェニファー・リン・コネリーさんです。ジェニファー・リン・コネリーさんはニューヨーク出身の1970年生まれで、1982年にドラマ「Tales of the Unexpected」で女優デビューを果たしました。1985年の映画「フェノミナ」で日本での露出が多かったことから日本でも知名度を上げました。2001年の映画「ビューティフル・マインド」でアカデミー助演女優賞など数々の賞を受賞しています。
ベラーニ:ベン・キングズレー
競売にかけられたキャシーの家を購入したベラーニを演じたのはベン・キングズレーさんです。1943年生まれでイギリス出身のベン・キングズレーさんは、19歳の時に観劇した「リチャード三世」に感銘を受け俳優を志したそうです。1982年の映画「ガンジー」でアカデミー賞主演男優賞を受賞した他、今作「砂と霧の家」でもアカデミー賞候補に選出されています。
レスター・バードン:ロン・エルダード
妻子がありながらキャシーに思いを寄せやがて暴走していくバードンを演じたのはロン・エルダードさんです。ロン・エルダードさんは1965年生まれのニューヨーク出身です。演技の世界に憧れを持っていたロン・エルダードさんは、演劇学校で演劇を学んだのち1989年に「トゥルー・ラブ」で映画デビューをします。2006年にはブロードウェイ進出も果たし、俳優として注目されるようになりました。
ナディ:ショーレ・アグダシュルー
ベラーニの妻・ナディを演じたのはショーレ・アグダシュルーさんです。1952年生まれでイラン出身のショーレ・アグダシュルーさんは20歳で活動を始め、1977年の映画「Gozaresh」でモスクワ映画賞批評家賞を受賞しました。1978年の映画「Sooteh-Delan」で知名度を上げ1979年にイラン革命により渡英、1987年に渡米しました。今作「砂と霧の家」では中東出身の俳優で初のアカデミー賞候補となり話題になりました。
砂と霧の家のあらすじネタバレ
「砂と霧の家」のあらすじネタバレ:父の遺した家に住むキャシー
ここからは「砂と霧の家」のあらすじネタバレをご紹介していきます。「砂と霧の家」のあらすじネタバレを知りたくない方はご注意下さい。ある日の夜、主人公のキャシーは霧の立ち込める中、丘の上から呆然と自分の家を見下ろしていました。家の周りには警察や救急隊が集まり騒然としています。キャシーはそこへ通りかかった警官から、「この家はあなたの家ですか?」と話しかけられるのでした。
場面は変わり、キャシーは雑然とした家の中で目覚めます。愛する父が遺してくれた家に住んでいたキャシーでしたが、夫は8年前に家を出ていきキャシーはぼんやりと毎日を送っていました。そこへ役所の職員と警官・バードンがキャシーの家を訪ねてきます。なんとたった500ドルの税金滞納により家が差し押さえられてしまったというのです。弁護士を訪ね税金免除されていたはずだと訴えますが、家は既に競売にかけられていました。
「砂と霧の家」のあらすじネタバレ:亡命をしてきたベラーニ
イランの元大佐・ベラーニは、イラン革命により亡命し家族と共にアメリカに渡ってきました。イランでは上流階級の暮らしをしていたベラーニもアメリカでは単純な労働者として働かざるを得ず、毎日肉体労働の仕事に明け暮れていました。ベラーニは高級ホテルのトイレで作業着から着替え、泥を落とし妻・ナディと息子・イスマイルのいる部屋へ向かいます。そんなある日ベラーニは、破格の値段で売りに出されている家を見つけます。
すぐに家を購入したベラーニは、海が見えるこの家に、カスピ海を望むことのできた故郷の家の面影を重ねます。美しい海を眺めていた穏やかな暮らしを、ベラーニはもう一度ここで築き上げようと考えていました。アメリカに亡命してきてからは不安定な暮らしが続いていたため、安定した生活を送れることに妻のナディは心から安堵するのでした。ベラーニは、祖国のカスピ海が望める家のようにこの家を改築することを決めます。
「砂と霧の家」のあらすじネタバレ:家の改築
キャシーの家の差し押さえは行政の手違いだったことが判明しますが、家は既に売られた後でした。キャシーは家を失い、ベラーニに買われた家の前で一晩過ごします。翌朝キャシーは改築作業によって家が壊されていく大きな音で目覚め、慌てて業者を止めにかかります。しかしその時にキャシーは釘を踏んでしまい、ベラーニとナディは運び込まれてきたキャシーの手当をしてくれます。キャシーは帰りに、再び弁護士を訪ねます。
キャシーは弁護士に自宅が改築されていることを伝え、訴えを受けた弁護士はベラーニへ「郡の手違いで売られたこの家には正当な権利者がいるので退去するように」との通達を出します。しかし安く手に入れたこの家をベラーニは4倍の価格で転売し、お金の心配のない生活をしようと考えていました。ベラーニは怒りのまま弁護士の元を訪れ、郡がベラーニの提示した価格で買い戻さなければ自分たちは退去を拒否する旨を伝えます。
「砂と霧の家」のあらすじネタバレ:暴走を始めるバードン
なかなか家が戻ってこないキャシーは、バードンに相談をし2人は距離を縮めていきます。バードンは妻子がありながらキャシーと逢瀬を重ねており、妻とは離婚しキャシーと一緒になろうとしていました。ベラーニの元へ直談判に行くキャシーでしたが、話をするのは自分ではなく群に対してだと家から追い出されます。戻ってきたキャシーの腕にベラーニが付けた痣を見て、怒ったバードンは警官の制服を着てベラーニの家に向かいます。
バードンは偽名を使い、情報開示条例を盾にベラーニの家に押し入り、家を正当な権利者に返還するよう求めます。そして移民局に知り合いがいると脅すのでした。イランに引き戻されれば殺されてしまうためナディはひどくうろたえます。ベラーニはバッジと顔写真からバードンを特定し、警察署に激しく抗議します。「砂と霧の家」のあらすじネタバレをご紹介しました。次では「砂と霧の家」の結末までネタバレでご紹介していきます。
砂と霧の家の結末ネタバレ
「砂と霧の家」の結末ネタバレ:自殺未遂を起こすキャシー
ここから「砂と霧の家」の結末をご紹介します。結末のネタバレを知りたくない方はご注意下さい。離れて暮らす母が家を訪ねてくる予定があったことからキャシーはそれまでに家を取り戻したいと考えていましたが、間に合いそうにないうえ、兄に相談しても全く協力してくれません。キャシーは親密になったバードンから、妻子にきちんと話をしてくると言われますが、もうきっと彼は二度と自分の元には戻ってこないだろうと直感します。
家を失い、夫、家族、バードンもいなくなったことに絶望したキャシーは、家の前に停めた車の中で酒を飲み拳銃自殺を図ります。しかしそれに気づいたベラーニが号泣するキャシーを家の中に入れてやり、拳銃を取り上げナディにキャシーの世話を頼みます。ベラーニは息子・イスマイルと相談し、キャシーに家を返すことを決めます。風呂を勧められたキャシーは、1人になった隙に洗面所にあった薬を大量に飲み再び自殺を図ります。
「砂と霧の家」の結末ネタバレ:バードンの蛮行
キャシーが大量の薬を飲んだことに気づき吐かせ、ベラーニはキャシーをベッドに運んでやろうとします。しかしそこへ、キャシーを探しに来たバードンが家に押し入ってきてベラーニに銃を向けます。キャシーをベッドにおろしたベラーニやナディに銃を向け、バードンはベラーニたち家族を浴室に閉じ込めます。騒動を知らず翌朝に目を覚ましたキャシーは、バードンの蛮行に驚き、なんてことをしたのだと非難します。
浴室に閉じ込められていたベラーニはバードンを呼び、解決法が見つかったと言い出します。ベラーニはバードンと共に庁舎へ行き、返還手続きに応じると話します。そして返還されたお金はキャシーに譲るというのです。キャシーはそれを止めようとしますが、バードンはベラーニの申し出を聞き入れることにします。バードンは息子のイスマイルを人質にしようと考えましたが、ベラーニはイスマイルを連れて行くという条件を付けます。
「砂と霧の家」の結末ネタバレ:やがて訪れる悲劇
バードンは仕方なくベラーニの要求を飲み、ベラーニ・イスマイル・バードンの3人で庁舎に向かいます。庁舎の入口の前で、イスマイルは隙をつきバードンの銃を奪い構えます。その瞬間にベラーニはバードンを拘束し警官を呼びますが、駆けつけた警官は銃を持っていたイスマイルに銃口を向けます。バードンが大声で止めますがイスマイルが銃を持ったまま体の向きを変えたため、駆けつけた警官がイスマイルを撃ってしまいます。
イスマイルは病院に搬送されたものの、亡くなってしまいます。失意のどん底に陥ったベラーニは自宅に戻り、薬を入れた飲み物をナディに飲ませます。ベッドの上で息を引き取ったナディの横で、正装したベラーニも頭にビニールをかぶりテープで密閉します。ベラーニは砂浜で笑うナディを思い浮かべながら、ナディの手を握り息を引き取ります。キャシーが駆けつけた時に見つけたのは、ベッドに並んで手を握っている2人の死体でした。
部屋を出て丘の上から呆然と家を見下ろすキャシーに、通りかかった警官が「ここはあなたの家ですか?」と声をかけます。キャシーは小さく「いいえ」とだけ答え、物語はエンドロールを迎えます。以上が「砂と霧の家」のあらすじと結末ネタバレです。「砂と霧の家」のラストが切なく痛いと言われた理由がおわかり頂けたでしょうか?次では「砂と霧の家」の映画を観た人の感想をご紹介していきます。
砂と霧の家に関する感想や評価は?
「砂と霧の家」の感想①あまりにやるせない
砂と霧の家
— じゃがいも@ (@Ayumi26sa) March 9, 2019
役所の不手際で住んでいた家を競売にかけられてしまい家がなくなってしまった者と競売にかけられた家を購入し、新しい住まいを手に入れた者とのお家トラブル。
暖かい住まい。そこには思い出があり強い思い入れがある。
本当に大事なものが何か気づいたとき最後に残ったもの…やるせない。 pic.twitter.com/ILxbjdqllr
「砂と霧の家」の映画を観た人の感想や評価をご紹介します。まず多かった評価は、最後に残ったものがやるせなさすぎるという感想です。「砂と霧の家」のポスターには「失って初めて気づいた。求めていたのは、家(ハウス)ではなく家庭(ホーム)だったと」というキャッチコピーも描かれています。心の拠り所を求めた結果、ベラーニたち家族は死に、キャシーは心を通わせた人々も家も失うという結果が悲しいと言われています。
「砂と霧の家」の感想②鬱映画の名に恥じぬヒューマンドラマ
「砂と霧の家」
— レク (@m_o_v_i_e_) June 10, 2018
歯車の齟齬により次第に大きくなる軋轢は不幸を招く。
人の欲とは、砂のように形に囚われれば脆く崩れ去り、霧のように近づくほどにその全容が見えないもの。
鑑賞後は虚無感を引きずる鬱映画の名に恥じぬ負の連鎖と救われない悲劇を描いたヒューマン・ドラマ。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/EZMGEWAlSU
あまりに救いのないラストから、「砂と霧の家」は鬱映画の代表作のひとつとも言われているようです。序盤ではキャシーとベラーニの欲が衝突し合いますが、それぞれの主張は自分たちの家庭(ホーム)としての心の拠り所を見つけたいだけなのだとお互いに理解し合うようになります。しかし2人を待ち受けていたのは、あまりに悲しい運命でした。ラストの悲劇は鬱映画の名に恥じないヒューマンドラマだという感想がありました。
「砂と霧の家」の感想③誰も悪くないのに悲劇が訪れる
「砂と霧の家」
— ༄ I-K༄ (@kokoronotobira9) August 14, 2018
負の連鎖と救いの無い終幕が待っているので重い余韻やバッドエンドを好まれる方は是非。誰一人として悪人はいないのに、誰も望まない方へと物語が動いて行きやがて悲劇が訪れる見応えのあるドラマ。ハッピーエンドとは無縁の鬱映画なので気になった方は覚悟して観よう。 pic.twitter.com/PePNXJumio
「砂と霧の家」の登場人物は、衝突するもののそれぞれ守りたいものがあります。相手を攻撃したいわけではなく守りたいだけであったはずなのに、キャシー、ベラーニ、バードンが交差した時に悲しいラストが訪れます。だれも悪くないのに最悪の方向に向かっていってしまう内容が悲しく救いがないという評価もあったようです。
「砂と霧の家」の感想④主人公の最後の台詞が印象的
砂と霧の家
— rumrum (@rumrum1031) June 25, 2018
だんだんと忍びよる不穏な空気。
避けれなかった悲劇。
最後の主人公の台詞。
面白かった。 pic.twitter.com/7jfm5LztZ4
「砂と霧の家」のラストでは、息子を失ったベラーニ夫妻が心中し既に息を引き取ったところをキャシーが発見します。やがて警察や救急隊が訪れ、キャシーは霧に包まれた家を丘の上から呆然と見守っていました。通りかかった警官から、キャシーは「ここはあなたの家ですか?」と質問をされ「いいえ」と答えます。ずっと権利を主張していたキャシーが、小さく「いいえ」と答えた悲しいラストが印象的だったという感想もありました。
砂と霧の家の映画ネタバレまとめ
今回は映画「砂と霧の家」のあらすじや結末のネタバレ、映画を観た人の感想をご紹介しました。映画を観た人からはあまりにもラストが切なすぎるという感想が多く挙がった理由がおわかり頂けたでしょうか?美しく切ない悲劇が見どころの映画「砂と霧の家」を一度ご覧になってはいかがでしょうか。