2019年03月20日公開
2019年03月20日更新
ホーリー・マウンテンのあらすじと感想!伝説のカルト映画のラストをネタバレ
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の代表作である映画「ホーリー・マウンテン」は、従来のカルト映画に革新をもたらした過激で独創的な作品に数えられ、日本でも密かに人気のある映画作品です。本文では、伝説のカルト映画とも称される「ホーリー・マウンテン」のネタバレを交えたあらすじと結末ラスト、監督アレハンドロ・ホドロフスキーのプロフィールや略歴、作品に関する感想や評価を紹介します。
目次
ホーリー・マウンテンとは?
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画「ホーリー・マウンテン」は、過激すぎる映像演出や、予測不能なストーリー展開と結末で、現在でも根強い人気を誇る、伝説のカルト映画と言われています。以下では、映画「ホーリー・マウンテン」のネタバレを交えたあらすじ・結末ラスト、アレハンドロ・ホドロフスキー監督のプロフィール、映画に関する感想や評価について紹介します。
ホーリー・マウンテンの作品情報
映画「ホーリー・マウンテン」は、同作品の監督であるアレハンドロ・ホドロフスキー扮する錬金術師と、不老不死を求めて聖なる山に向かう男女9名の狂気と美に満ちた修行の旅を描いたカルト映画作品です。1973年の公開以来、奇抜で独創的な映像世界と、観る者をあ然とさせた衝撃の結末とラストシーンに、現在も根強い人気を誇っています。
ホーリー・マウンテンのキャスト・登場人物
以下は、映画「ホーリー・マウンテン」のキャスト・登場人物です。
- 錬金術師:アレハンドロ・ホドロフスキー
- 盗賊:ホラシオ・サリナス
- 娼婦:アナ・デ・サト
- 召使の女:ザミラ・サンダース
- フォン:ホアラ・フェラーラ
- イスラ:アドリアナ・ページ
- クレン:バード・クレイナー
- セル:ヴァレリー・ホドロフスキー
- バーグ:ラモナ・サンダース
- アクソン:リチャード・ルータウスキー
- ルート:アリエル・ドンバール
ホーリー・マウンテンの予告編動画
上記に挙げた予告編動画のように、映画「ホーリー・マウンテン」は、他のカルト映画には見られない過激な映像描写が特徴です。
ホーリー・マウンテンの映画あらすじをネタバレ
伝説のカルト映画と称される「ホーリー・マウンテン」は、目を背けたくなるような動物への虐待や特定の民族に対する差別の助長と人格否定のように、現代では倫理的な問題にも発展しそうな過激な描写が特徴です。以下では、映画「ホーリー・マウンテン」のあらすじをネタバレを交えて紹介します。
あらすじネタバレ:巨大な塔
中米にあるメキシコシティを思わせる街並みに、赤銅色をした巨大な塔がそびえたっていました。赤銅色の巨大な塔の内部では、1人の錬金術師(アレハンドロ・ホドロフスキー)によって謎の儀式が行われており、錬金術師は、着飾った女性2人から衣類をはぎ取ると、頭を剃り始めました。
その頃、スラム街に紛れ込んだ盗賊が、その場で行き倒れている所が発見されます。その盗賊の容姿は、イエス・キリストにとても似ており、手足の無い小人や子供達によって盗賊は十字架に磔にされてしまいます。しかし、自力で十字架から離れることができた盗賊は、その後、小人と仲良くなり、共に街に繰り出しました。
あらすじネタバレ:荒廃した街
街に繰り出した盗賊の目に映った光景は、この世とは思えないほど荒廃していました。また、街は独裁政権の支配下に置かれてしまい、軍隊の闊歩や彼らによる残虐や処刑が至るところで行われていました。そして、処刑された人々の体からは鳥が飛び出し、皮をはがされた犬の死体を十字架に掲げた奇妙なパレード等、人びとの狂った空気に、盗賊と小人も飲み込まれていきます。
そして、爬虫類を使ったメキシコ征服寸劇に参加した盗賊と小人は、金を獲ると行商人達との乱痴気騒ぎの末、泥酔してしまいます。イエス・キリストの容姿に似た盗賊が眠りについた隙を狙って、行商人達は、セメントで彼の体の型を取ると、磔刑にされたキリスト像を作って売りさばき始めました。しばらくすると、酔いから目覚めた盗賊は、自分の姿を模したキリスト磔刑像を見て、声を挙げて驚きます。
あらすじネタバレ:盗賊と娼婦
自分が眠っている隙に行商人達によって造られたことを知った盗賊は、彼らを鞭打ちにし、キリスト磔刑像は、1体だけを残して全て破壊し、キリスト像を背負って街を歩き始めました。途中、盗賊は売春婦の一団とすれ違い、猿を連れた1人の娼婦に興味を持たれます。娼婦は、盗賊のキリスト像を拭い、信仰心を示すと、盗賊の後を付いて行き始めました。
盗賊は歩き続けた先で、ホモセクシュアルのダンスパーティーに遭遇し、パーティー会場の傍にある祭壇にキリスト像を飾ろうとします。しかし、パーティー参加者によって追い出された盗賊は、キリスト像を半壊すると、風船をくくり付けて空へ飛ばしてしまいます。そして、再び歩き始めた盗賊は、街にそびえ立つ赤銅色の巨大な塔を見つけます。
あらすじネタバレ:錬金術師
赤銅色の塔の内部には、錬金術師が住んでおり、塔の中から民衆に向けて定期的に金が施されていました。街の人々に崇拝されている塔の外壁をよじ登って内部に侵入した盗賊を、例の錬金術師が待ち構えていました。錬金術師は、極彩色の祭壇に座りながら、全身に紋章をかき込まれた召使の女を侍らせていました。
盗賊は、懐からナイフを取り出すと、錬金術師に襲いかかりました。しかし、錬金術師の術によって盗賊の身動きは止められ、召使の女とともに盗賊の体にできた腫瘍を切り開き、中から腐った魚を取りだしました。そして、お金が欲しいことを素直に認めた盗賊は、不思議な装置に入れて蒸されると、錬金術師は、盗賊の分泌物から金を精製して見せました。
あらすじネタバレ:ホーリー・マウンテン
錬金術師との出会いを経て、自身の欲深さと愚かさを知った盗賊は、錬金術師に弟子入りを志願し、錬金術師は、盗賊の意識を高め、魂の錬成方法を説きます。錬金術師には、長年に渡って不老不死を求め続けており、聖なる山と呼ばれる「ホーリー・マウンテン」に居る世界を司る9人の賢者から、不老不死の秘術を奪おうと計画を立てていました。
そして、錬金術師は、野心を叶えるために国中から名だたる7名の男女を選んで召集し、ホーリー・マウンテンを目指す旅に誘います。錬金術師によって召集された男女7名は、皆揃って欲が深く、目的のためなら手段を択ばない残虐な一面をのぞかせていました。彼ら7名に盗賊・召使の女を加えた男女9名は、錬金術師の指導のもと、欲を捨てる修行を始めます。
あらすじネタバレ:修行の内容
盗賊を含めた9名に課せられた欲を捨てる修行は、まず自身の持参金を燃やすところから始まります。そして、自分を模した蝋人形も火にくべて、人形が恐ろしい形相になる様子を目にすることで、精神の鍛錬を行ないます。また、錬金術師と共に、国内各地の霊能者や呪術師の元を訪れては、超自然的な現象を体験するなど、過酷な旅を強いられました。しかし、街で出会った猿を連れた娼婦は、懲りずに盗賊の後を追い続けていました。
ホーリー・マウンテンの映画ラストをネタバレ
不老不死を得るために、錬金術師による厳しい修行に耐える男女9人の動向と、盗賊を追い続ける猿を連れた娼婦の行方、衝撃的なラストまで目が離せない映画「ホーリー・マウンテン」の結末ラストをネタバレを交えて紹介します。
結末ネタバレ:盗賊を追う娼婦
過酷な旅の末、トランス状態になり、神秘的な体験を重ねてきた9人の修行の終わりが見えてきました。そして、修行を終えた一行は、聖なる山・ホーリー・マウンテンがあるロータス島に向かうべく出航の準備を始めました。すると、そこへ盗賊の後を追い続ける猿を連れた娼婦が、盗賊の目の前に表れました。盗賊に追い払われれも懲りない娼婦は、小舟で盗賊の後を追い続けました。
ロータス島へ向かう船の中で、錬金術師は、盗賊の心の中には、いまだ俗世への執着があることに気が付きます。そこで、錬金術は盗賊に術を施して邪念を取り除こうとします。術をかけられた盗賊は、幻覚の中で、自分の体から飛び出した手足のない小人を海へ投げ捨ててしまいます。
結末ネタバレ:ロータス島
ロータス島に到着した一行は、全員髪を剃りました。雪に包まれた島の中心に一件の建物がたたずんでいました。建物の内部では、ホーリー・マウンテンを目指す旅に失敗した者達が享楽的に暮らす様子が見られ、島の案内人に導かれるまま、一行は、夢破れた者達の末路を目にします。
いよいよ錬金術師一行は、ホーリーマウンテンの頂上を目指して、命がけの登山を始めました。断崖をよじ登り、雪山を越えた先には、平坦な荒野が広がっていました。前へ歩みを進めるにつれて、錬金術師一行は、捨てはずの執着や欲からくる悪魔に襲われ、苦しみ始めました。一方、盗賊を追い続ける娼婦も、彼らと同じ道を辿りながら、ホーリー・マウンテンの頂上を目指していました。
結末ネタバレ:9人の賢者
荒野を抜けた錬金術師一行は、その先で円卓に座る9人の賢者を発見します。錬金術師は、全ての修行が終わったことを告げると、盗賊に自分の首を切り落とすように命じました。錬金術師の言い付け通り、彼の首を切り落とした盗賊の足元には、山羊の死体が転がっていました。実は、錬金術師は生きており、盗賊に彼を追いかけてきた娼婦を会わせ、頂上を目指さずに下山して幸せに暮らすことを勧めました。
一方、残された8人は、頂上の賢者9人に襲いかかるも、8人は賢者の姿をした人形で、残り1人は賢者の姿をした錬金術師本人で、一同は笑い始めました。そして、錬金術師は、一行に対して「旅を通じて不老不死より大切な現実を知った」と説き、急に錬金術師がカメラに向かって合図を送りました。
合図を送った錬金術師は、この映画作品の監督であり、カメラがバックすると同時に、撮影の様子が顕わにされました。そして、錬金術師こと本作品の監督はカメラに向かって、「全ては映画という虚構」だと言い放ち、本編は終了します。
ホーリー・マウンテンの監督について
伝説のカルト映画「ホーリー・マウンテン」は、他に類を見ない独創的な映像世界で、日本でも根強いファンに愛されている名作です。以下では、映画「ホーリー・マウンテン」の監督アレハンドロ・ホドロフスキーのプロフィールや略歴、監督作品について紹介します。
アレハンドロ・ホドロフスキーのプロフィール
映画「ホーリー・マウンテン」の監督及び、脚本・美術・衣装まで手掛けたアレハンドロ・ホドロフスキーは、チリ出身の映画監督・演出家・俳優です。1929年にチリとボリビアとの国境近くの町トコビシャで生まれ、12歳の時にアメリカ・サンディエゴに移住します。大学中退後の放浪生活を経て、1957年に映画監督デューを果たします。
アレハンドロ・ホドロフスキーの略歴
カルト映画の著名な監督として知られるアレハンドロ・ホドロフスキーは、映画監督以外のジャンルでもマルチに活躍しており、詩人や作家としても活動しています。また、ベルギーやフランスなどを中心にした地域漫画バンド・デシネ作家や、タロット占いの専門家としての顔も持っています。タロット占い分野では、マリアンヌ・コスタとの共著「タロットの宇宙」が2016年に発表されており、日本でも発刊されました。
アレハンドロ・ホドロフスキーの監督作品
以下は、アレハンドロ・ホドロフスキーの監督作品です。
- エル・トポ(1969年):兼脚本・音楽・出演
- サンタ・サングレ/聖なる血(1989年):兼脚本
- リアリティのダンス(2013年):兼原作・脚本・製作・出演
- ホドロフスキーのDUNE(2013年、ホドロフスキー監督の関連作品)
ホーリー・マウンテンに関する感想や評価は?
一度見始めたら、ラストまで目が離せない予測不能なストーリー展開や、他の映画では見られない過激な映像描写で、高い人気を誇る映画「ホーリー・マウンテン」に関する感想や評価について紹介します。
感想1:あっけない結末ラストに高評価
究極の登山体験からの怒涛の下山映画でした(オチ的な意味で)。 #ホーリーマウンテン
— くわい (@sh_quai0304) April 5, 2015
映画「ホーリー・マウンテン」では、不老不死を目指す錬金術師と男女9名が繰り広げる過酷な修行の旅を始めとする過激なストーリー展開や映像が特徴ですが、結末ラストで見せたホドロフスキー監督によるラストシーンの演出は、一見あっけないように思えますが、映画を観た多くの視聴者から、最後に相応しい演出だったとの感想が寄せられています。
感想2:結末ラストまで予測不能なストーリー展開
色々予想外過ぎて眠いの忘れた映画 #ホーリーマウンテン https://t.co/qhOLxxcPy2
— 井坂 壮男 (@Morio_Isaka) April 11, 2016
「ホーリー・マウンテン」が伝説のカルト映画と呼ばれる理由には、結末ラストまで予測不可能なストーリー展開が挙げられます。良い意味で視聴者の期待を裏切るストーリー展開や、これまでの過激な描写とかけ離れたラストシーンまで、眠気が覚めるほど夢中になって見てしまう面白い映画との感想が多く見られます。
感想3:映画史上もっとも過激な作品とも
#エンドレス・ポエトリー ホドロフスキーのピークは何と言っても #ホーリー・マウンテン で、あれ以上狂った映画は映画史上でも稀であろう。観た方がおかしくなるような映画だった。以後はこれでも、ずいぶん大人しくなってるんですよ、奴の映画は…
— 柴田和巳 (@show1900) February 16, 2018
なので、最近は結構余裕で観ている。
独創的な世界観に、予測不能なストーリー展開が面白いとの感想が多く見られる映画「ホーリー・マウンテン」は、他の映画作品には見られない過激な描写から危険な作品を匂わせる感想も多く寄せられています。それは、映画序盤で見られた動物虐待や人種差別を思わせる演出のように、現代では、倫理的問題が指摘されかねない映像演出が至るところに使用されています。
ホーリー・マウンテンの映画ネタバレまとめ
ここまで、映画「ホーリー・マウンテン」のネタバレを交えたあらすじと結末ラスト、カルト映画に革命をもたらした伝説の監督アレハンドロ・ホドロフスキーのプロフィール、映画に関する感想や評価について紹介しました。カルト映画好きだけでなく、新しいジャンルの映画を楽しみたい方も、「ホーリー・マウンテン」の奇抜で独創的な世界観を一度体感してみませんか。