映画アルバート氏の人生のあらすじや結末をネタバレ!性別を偽って生きた女性の物語

2011年アイルランドで制作されたグレン・クローズ主演の映画『アルバート氏の人生』。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ともに3部門でノミネートされました。『アルバート氏の人生』の舞台は19世紀のアイルランド。女性が自立して生きていくのが困難だったこの時代、人との付き合いを避けて一人静かに暮らす執事アルバートは、女性であることを隠して今は男性として生きていました…。これから『アルバート氏の人生』のあらすじや結末、さらには感想までネタバレでお届けします。ぜひご覧ください!

映画アルバート氏の人生のあらすじや結末をネタバレ!性別を偽って生きた女性の物語のイメージ

目次

  1. アルバート氏の人生とは?
  2. アルバート氏の人生のあらすじネタバレ
  3. アルバート氏の人生の結末ネタバレ
  4. アルバート氏の人生の原作小説
  5. アルバート氏の人生の感想や評価
  6. アルバート氏の人生のあらすじ・結末や感想まとめ

アルバート氏の人生とは?

アルバート氏の人生の映画情報

2011年アイルランドで制作された映画『アルバート氏の人生』。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ともに主演女優賞など3部門でノミネート。主演の女優グレン・クローズが製作・脚色および主題歌作詞まで務めました。

映画『アルバート氏の人生』の舞台は、独身女性が自立して生きていくことが難しかった19世紀アイルランドの首都ダブリン。人との付き合いを避けて一人静かに暮らす執事アルバートは、女性であることを隠して今は男性として生きていました。ある日、ペンキ職人のヒューバートと出会います。互いに女性でありながら男性として生きていることを知った2人は親しくなるのですが…。

監督は「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア。共演は「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ、「キック・アス」のアーロン・ジョンソンほか。

アルバート氏の人生の監督情報

映画『アルバート氏の人生』の監督は、1959年コロンビアの首都ボゴタ出身のロドリゴ・ガルシアです。

父親のカブリエルはノーベル文学賞受賞作家。名門ハーバード大学とアメリカン・フィルム・インスティチュートで学び、卒業後は撮影監督としてキャリアを磨きます。2000年に『彼女を見ればわかること』で映画監督デビュー。カンヌ国際映画祭「ある視点部門」でグランプリを受賞し世界中から注目されます。またテレビシリーズでは、『シックス・フィート・アンダー』(2001年~2005年)などで監督を務めています。

2011年今回取り上げている映画『アルバート氏の人生』では、主演のグレン・クローズとペンキ職人役のジャネット・マクティアがアカデミー主演女優賞・助演女優賞にノミネートされました。

アルバート氏の人生のあらすじネタバレ

あらすじネタバレ:ホテルで働くアルバート

ここからは映画『アルバート氏の人生』のネタバレあらすじをお届けします。映画の舞台は19世紀のアイルランド、多くの失業者で溢れかえっている首都ダブリン。その一角に立つホテルで住み込みウェイターとして働くアルバート・ノッブスが、映画『アルバート氏の人生』主人公です。真面目で細やかな気配りのある彼の仕事ぶりは、顧客から高い評価を得ていました。

あらすじネタバレ:謎に包まれた私生活

アルバートは仕事ができ人望もある初老の紳士でしたが、なぜか私生活では人と関わる事を極力避けていました。終業後部屋に一人で籠り、客にもらったチップの額を帳簿に記入するとマットの下にしまう毎日でした。少しずつ貯めた小銭は、”塵も積もれば”でもうすぐ600ポンドにもなろうとしていました。

あらすじネタバレ:性別を偽るアルバート

ある日アルバートは、泊まり込みで仕事に来たペンキ職人ヒューバート・ペイジと相部屋になります。何とか断ろうとするアルバートでしたが、女主人ベイカー夫人の命令とあらば逆らうことはきません。やむなく、既にベッドで寝ていたヒューバートの横にそっと入り込むアルバート。

起こさないようにゆっくりと体を横にしましたが、ヒューバートの体に潜んでいたノミに耐えられず飛び起きて服をまくります。その様子を、寝ぼけまなこのヒューバートに見られてしまいます。ヒューバートが目にしたのは、何と女性の体でした。

アルバートはこのことは秘密にして欲しいとヒューバートに頼みます。日が明けてからも、ヒューバートが秘密をしゃべってしまうのではないかと気が気ではないアルバート。しつこく付きまとうアルバートに音を上げ、ヒューバートも自身の秘密を明かします。

あらすじネタバレ:ヒューバードの正体

実は彼もまた女性だったのです。ヒューバートの場合はアルバートとは少し事情が異なっていました。結婚したまでは良かったものの相手の暴力に耐えられず、ある時商売道具を奪うと着の身着のまま家を飛び出したのです。そして奪ってきた夫の作業着を身につけ男として生計を立てるようになりました。同じように悲惨な身の上を持つ同居人を見つけると、男性として結婚します。相手はもちろん女性、名前をキャサリンと言いました。

ヒューバートが明かした話はアルバートに勇気を与えます。今まで一人で誰にも言えずに悶々としてきたことが一気に解き放たれたかに思われました。自分と同じような境遇の者でも結婚することができた、アルバートは想像します。こつこつと貯めたお金でタバコ屋を買い取り商売を始める、そして女性と結婚するという素敵な未来を。

アルバートはヒューバートが部屋に落としたボタンを届けるという名目で彼の家を訪ねます。応対に出てきた妻のキャサリンはとても明るい女性でした。初対面のアルバートにも気さくに接してくれます。ヒューバート夫妻が築いた家は、アルバートの目には温かく理想的な家庭に映りました。

あらすじネタバレ:アルバートの生い立ち

ヒューバートから促されたこともあり、アルバートは自らの生い立ちについて語り始めました。アルバートは裕福な家の娘が産んだ私生児でした。幼少時代は実母が生活費を出し、養母と共に修道院で暮らしていました。しかし実母に先立たれると、資金援助が途絶えた2人はスラム街で暮らすことを余儀なくされます。さらに14歳の時、たった1人の家族だった養母が亡くなりアルバートは天涯孤独の身となります。

悪いことは重なるもので、ある日彼女は荒くれの男たちに強姦されます。そんな時、ホテルでウェイターを募集していました。事件のトラウマに悩まされていたアルバートでしたが、このチャンスは逃さずウェイターに応募、男として生きる道を手に入れるのでした。

あらすじネタバレ:アルバートに訪れた恋

ヒューバートの家を訪ねたことで、アルバートの夢は現実味を帯びてくるようになります。彼が頭に思い浮かべた、ともに理想の家庭を築く妻は、同じホテルに勤務するメイドのヘレンでした。しかし彼女には問題がありました。ヘレンには既に付き合っている男性がいたのです。それはヒューバートと一緒に雇われたジョーという男でした。

ジョーは前の職場で問題を起こし解雇されていましたが、そのことは伏せてこのホテルに採用されていました。アルバートは意を決してヘレンをデートに誘います。ヘレンは職場の先輩であるアルバートを恋愛対象として見たことはありませんでした。彼女はジョーと付き合っていると言ってアルバート誘いを断ります。ところが、思いもかけずヘレンはジョーからデートへ行くように促されます。

あらすじネタバレ:騙されるアルバート

ジョーは、アメリカに渡り一旗揚げたいと考えていました。そのために読み書きの勉強も厭わずやりました。さらには、ヘレンにアルバートとのデートに応じさせ、渡航費用をアルバートから巻き上げようと考えていました。ジョーの狙い通りアルバートはデートのたびに高級チョコレートや帽子、高級酒などを買い与えます。

そんなことが度重なるとアルバートはデート費用捻出に頭を悩ませるようになります。一方、ヘレンも善良なアルバートを騙すことに負い目を感じるようになり始めていました。また、アルバートに購入予定の店舗を見せられるとさすがに辟易してきました。

あらすじネタバレ:ドレス姿で歩く砂浜

ある時、突然ダブリン市に恐ろしい感染症のチフスが流行します。ホテルでも従業員に死者が出て、アルバートも感染し伏せてしまいます。アルバートは何とか回復しますがホテルは当分の間営業停止に追い込まれます。アルバートがヒューバート家を訪ねると、妻のキャサリンが亡くなっていました。悲嘆にくれるヒューバートを慰めるアルバート。彼に一緒に暮らすことを提案します。

砂浜のイメージ

しかし、他に代えられない存在だったキャサリンを失った今のヒューバートには、それは到底考えられないことでした。彼はキャサリンが縫製したドレスを身に着けるとアルバートにも着るよう言います。久ぶりに女装した2人は、砂浜を散歩します。まるで少女のように瞳を輝かせて走り出すアルバートに、ヒューバートはこれからは自分らしく生きるよう声を掛けます。

アルバート氏の人生の結末ネタバレ

結末ネタバレ:プロポーズ

ここからは、いよいよ『アルバート氏の人生』結末のあらすじです。アルバートがヘレンに寄せる想いは、今やホテル従業員なら知らないものはいないまでになっていました。そしてその話を聞いた誰もが、ゴロツキのジョーに取り入るようなヘレンはアルバートにはふさわしくないと助言するのを忘れませんでいた。しかし当のアルバートは自分の気持ちに素直になろうと、ヘレンにプロポーズをします。

新生活の基盤となる店舗購入の手付金も払い込みました。アルバートがそこまでしたのに、結局ヘレンはジョーを選びます。その時ヘレンのお腹にはジョーの子供がいたのです。ジョーに捨てられるという恐れを抱くヘレンでしたが、既に引き返すことはできませんでした。

結末ネタバレ:ヘレンとジョーの口論

皆が想像した通り、ジョーは父親になれる男ではありませんでした。父親に殴られて育った彼は、自身が嫌悪感しか抱いたことのない父と同じようになってしまうことを恐れていました。ヘレンとの喧嘩が絶えなくなります。その日も2人は言い争っていました。

結末ネタバレ:ジョーとの決闘

ちょうどそこへ、アルバートが乗り込んできます。ジョーのいる前で再度ヘレンにプロポーズします。ジョーと格闘が始まります。しかし、華奢で非力なアルバートはジョーの敵ではありません。アルバートの体はいとも簡単に壁にすっ飛んでいきました。

結末ネタバレ:アルバートの死

重傷を負ったアルバートは、耳から血を流しながらも自室にまでたどり着き中に入ります。ベッドに身を横たえると、体の痛みは感じず気分が落ち着いてきました。温かい理想の家庭を頭に思い浮かべ、満足そうにほほ笑むとアルバート眠りに落ちていきました。

翌朝、ヘレンがアルバートの部屋を訪れると、そこには変わり果てた彼の姿がありました。すぐに医者を呼びます。遺体を検査していた医師はその体に驚きます。長年性別を偽ってきたアルバートの訃報は、町中を駆け巡り人々の話題となりました。ホテルの女主人ベイカー夫人は、アルバートの部屋で彼の蓄財を見つけポッケに入れてしまいます。ジョーはヘレンと生まれた赤ん坊を捨ると、1人アメリカへ旅立っていきました。

結末ネタバレ:生まれた子供

ベイカー夫人は、ペンキ職人のヒューバートを再び雇います。なぜなら臨時収入があったから内装のペンキを塗り替えることにしたのです。再び泊まることになった亡き友人アルバートの部屋で、哀しい彼の人生に涙するヒューバート。すると、どこからともなく赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。

赤ちゃんのイラスト

それはヘレンの子でした。アルバート=ジョーと名づけられた子供を取り上げられ自分も追い出されるだろうとヘレンは怯えていました。そんなヘレンにヒューバートは、一緒にこの状況を打開できないか考えようと声を掛けるのでした。以上映画『アルバート氏の人生』の結末でした。

アルバート氏の人生の原作小説

原作者のジョージ・ムーアとは?

映画『アルバート氏の人生』の原作は、アイルランドの小説家ジョージ・ムーアの同名小説(The Life of Albert Nobbs「アルバート氏の人生」)です。それでは、これから原作者のジョージ・ムーアについて紹介します。

1852年2月24日アイルランドのメイヨー州の裕福な家に生まれました。父親は議員を務めた町の名士。家庭教師から教育を受け、バーミンガムのセント・メアリーズ大学( St. Mary's College)で学びます。1870年画家になることを決意し、パリの官立美術学校、エコール・デ・ボザールや私立学校アカデミー・ジュリアンで絵画を学びます。3年後に画家になる夢を諦め、一転作家を志します。

パリで絵を学んでいたころ、小説「居酒屋」や「ゾラ」などで有名な自然主義の作家エミール・ゾラとも出会い影響を受けました。1880年イギリス/ロンドンに移住すると、最初の詩を発表。その後、1883年小説「A Modern Lover」を上梓します。ところがこの小説は当時の社会では受け入れられず、不道徳な書物として発禁処分を下されます。

1885年ムーアにとって最初の自然主義小説となる「役者の妻」を執筆。その後は、売春やレズビアンなどをテーマとした小説を相次いで発表。一方1891年の「Impressions and Opinions」や1983年の「Modern Painting(近代絵画)」などでイギリスに印象派絵画を紹介、美術評論家として成功を収めます。1901年イェイツと共同執筆した戯曲「ジアルムイドとグラニア」では、劇付随音楽をエルガーが作曲しています。

その後ムーアはヨーロッパ各地を転々とします。1911年にロンドンに住み、たびたびパリに赴き、またキリストを題材とした小説「ケリス川」執筆にあたってはエルサレムを訪れました。そして1933年1月21日ロンドンでその一生を終えました。

小説「アルバート氏の人生」は1918年ムーア62歳の時に書き上げられ、今回紹介している映画のほか、フランスの劇作家シモーネ・ベンムッサ(Simone Benmussa)が脚色、舞台劇として1977年に初演されています。

アルバート氏の人生の感想や評価

感想や評価:今は自由でいい時代!

最後に映画『アルバート氏の人生』を観た方の感想や評価をお届けします。『アルバート氏の人生』の舞台は19世紀、女性が自立して生きていくのが困難だった時代です。映画でその社会情勢を疑似体験してしまったので、改めて今の時代の良さを実感したという感想でした。

感想や評価:幸せになって欲しかった!

次は、映画『アルバート氏の人生』の展開に引き込まれて見てしまったという方です。アルバートの最期が胸に迫り、出来れば幸せになってもらいたかったと結んでいます。

感想や評価:素晴らしい演技、他に何もいらない!

主演のグレン・グローズをはじめとして演技派俳優が脇を固めている映画『アルバート氏の人生』。素晴らしい演技に接し、他には何もいらないとまで言い切る方の感想でした。

感想や評価:最後のセリフが陽だまりのよう!

『アルバート氏の人生』の主人公アルバートに同化してしまい、やりきれなさで胸が押し潰されそうになったという方です。でも最後のセリフが陽だまりのように温かくて救いになったという感想でした。

感想や評価:哀しい、でも暗くならない!

『アルバート氏の人生』最後の感想・評価も先ほどの方と同様、アルバートの人生が孤独で哀しすぎるという方です。しかし最後のシーンが救いとなり、暗い気持ちのまま映画が終わらなかったのが良かったという感想でした。

アルバート氏の人生のあらすじ・結末や感想まとめ

ここまで、映画『アルバート氏の人生』のあらすじや結末、さらには観た方の感想までネタバレで紹介してきました。

女性が自立して生きていくのが難しかった時代の話です。主人公アルバートの最期は哀しいものでしたが、結末で希望を感じさせる演出があったり、途中ユーモラスなシーンが用意されていたり決して暗い気持ちで終わってしまう作品ではないというのが一般的な評価のようです。皆さんもこの機会にDVDなどで鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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