映画エコールのあらすじをネタバレ!ストーリーの解釈・結末とは

『エコール』は小説を原作としたフランス映画です。フランス映画らしい絵画的な美しさと、不思議な世界感を堪能できる映画です。一方でジェットコースターのような起承転結はないながらも謎が謎を呼び、綺麗さの反面怖い部分もある内容となります。その謎もはっきりと解けるわけではありません。今回はそんな『エコール』の映画のあらすじネタバレ、内容の解釈、そして『エコール』の意味を解説していきます。美しさのあるシーンの画像も載せていきますので、ぜひご覧ください。

映画エコールのあらすじをネタバレ!ストーリーの解釈・結末とはのイメージ

目次

  1. エコールとは?
  2. エコールのあらすじネタバレ
  3. エコールの結末ネタバレ
  4. エコールは意味が分かると怖い映画?
  5. エコールの美しい画像集
  6. エコールに関する感想や評価
  7. エコールのあらすじや解釈まとめ

エコールとは?

エコールの映画情報

映画『エコール』はフランスとベルギーの合作で2004年に制作されました。同年のサン・セバスティアン国際映画祭では新人監督賞を受賞、ストックホルム国際映画祭では最優秀作品賞、最優秀撮影賞を受賞しています。また翌年にはゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞、イスタンブール国際映画祭最優秀作品賞・観客賞アムステルダムファンタスティック映画祭グランプリを受賞し、世界的に評価されている作品です。

エコールの監督情報

監督はルシール・アザリロヴィックで、ボスニア出身の両親を持ちリヨンに生まれ、モロッコで育ちました。映画業界に携わることを夢とし、フランスにある高等映画学院を無事卒業したのちに脚本などを手掛け始めます。今回ご紹介する『エコール』で長編映画監督デビューを果たしたのち、一躍その名を広めることとなりました。

また、2015年には『エヴォリューション』という映画の監督もしています。こちらは女性と少年のみが暮らしている島が舞台となっており、森の中の学校に閉じ込められている少女たちを描く『エコール』と対のようなストーリーです。『エコール』同様、ファンタジーチックな世界観かつ不気味で怖い雰囲気も漂う作品です。第40回トロント国際映画祭のヴァンガード部門にて上映された、評価の高い作品です。

エコールの登場人物

主人公はイリスという6歳のアジア系の少女で、ゾエ・オークレールが演じました。イリスと同じ寮にいる、お姉さん的立場のビアンカはベランジェール・オーブルージュ、同じく寮のアリスはリア・ブライダロリが演じます。エコールのキャストの少女たちはオーディションによって選ばれました。

そんな初々しさがリアルな少女たちに対し、学校の教師は演技派の女優さんが務めます。バレエの教師であるエヴァはティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』で知られるマリオン・コティヤールです。もう1人の教師である足の悪いエディット役はジャン=ジャック・ベネックス監督の『青い夢の女』のエレーヌ・ドゥ・フジュロールが演じました。

エコールのあらすじネタバレ

あらすじネタバレ①棺の中で目覚めるイリス

人里離れた森の中にある邸宅がありました。その邸宅は寮で、敷地内に5つ建てられています。ある日、1つの寮に棺が運び込まれていました。その中には6歳の少女が服を着ずに眠っています。そんなイリスを6人の少女が見守っていました。目を開けたイリスは驚きます。ここはどこなのか、一緒に住んでいた弟はどこなのか、不思議に思います。戸惑うイリスをよそに、少女たちはイリスを着替えさせていきます。

この寮での服装は決まっています。プリーツスカートにシャツ、色はどちらも白で髪は結われます。結うリボンは学年ごとに色が決まられていました。年少者は赤、年長者は紫です。ルール通りイリスは赤いリボンを着けますが、その色はナターシャのものだ、とセルマが怒り始めます。そんなセルマを置いて年長者のビアンカはイリスに寮の中を案内していきます。

イリスは案内されながら、ずっと疑問であったこの場所と弟について問います。ビアンカはここは寮だと答え、家に帰りたいと言うイリスにここが家だと返すのでした。その後、泳ぎの時間ということで川に行きます。イリスはそこでローラという少女に出会います。もう入ったかと問うイリスに、もう出るつもりだとローラは答えます。

あらすじネタバレ②外出するビアンカ

その夜、食堂で居眠りをしてしまったイリスはビアンカが寮を出ていくところを目撃します。イリスは怖いながらもビアンカを追いかけていき引き留めるのでした。各寮の年長者は夜9時になると出ていくのが決まりでした。他の少女は10時には消灯し就寝です。眠れずに夜を明かしたイリスは、翌朝ビアンカに今日は出ていかないで一緒にいて欲しいと伝えます。ビアンカはそれには答えず、イリスを学校へと連れていきます。

学校にはエディットという足の不自由な女性教師がいました。この寮には教師・使用人も含めみんな女性なのです。エディットは森の動物について教え始めました。イリスはずっとここで暮らすのか、誰もここには来ないのかと問います。ビアンカは年に1回校長先生が見に来ると答えます。校長先生は青いリボンを着けている少女を審査しに来るのです。それ以外は来ないと言うのです。さらに外出も禁止であると伝えます。

あらすじネタバレ③外に出られない少女達

その後、バレエの授業が行われます。イリスは同じ年少組である赤いリボンの少女たちとレッスンを受けます。そんな少女たちを見ながらバレエ教師のエヴァはあなたたちは幸せだと嬉しそうに語るのでした。しかしその夜事件が起こります。出ていこうとしたビアンカをイリスはまたしても引き留めます。どこに行くのか問うイリスに、ビアンカは謎めいたそぶりをします。

秘密のかくれんぼが始まります。こっそりビアンカの後を付けたイリスはある建物の中に入ります。その建物の中では男が少女に注射を打っていました。そんな怖い場面を目撃したイリスは逃げ出します。そして彼女を捜しに来た少女たちに、森から出ていないか問われます。必死に森からは出ていないと答えるイリスに、少女たちは森から出たことがバレてしまったらその罰として一生ここで仕えなくてはならないというのでした。

あらすじネタバレ④犠牲となったローラ

なぜなのかを知りたがるイリスに、セルマはある紙を見せ、外にはおかしな人間がたくさんいるから出てはいけないと伝えます。今度はビアンカが何をしに出ていくのかを問うイリスを、あなたは知りたがり屋だと叩くのでした。翌日、バレエの時間に様子がおかしいイリスにエヴァは理由を聞きます。転んだんだと言い、ビアンカとは仲が良いと説明します。エヴァはビアンカに従えるかを聞き、服従こそが幸せだと説きます。

一方、ローラは寮から出ていこうとしていました。規則違反だと引き留めるイリスの言葉を聞かず、ローラはボートに乗りこんでしまいます。ボートを停めていた縄を外させ漕いでいくローラですが、船にはどんどん水が浸水していきます。イリスはビアンカにローラの脱走を止められなかったことを話します。安心させるビアンカですが、翌朝イリスはローラが帰らぬ人となってしまったことを聞くのでした。

あらすじネタバレ⑤選ばれなかったアリス

青いリボンのアリスは授業以外でも1人真剣にレッスンをしています。校長先生に選ばれることが外へ出る近道だと考えるアリスは審査に通るために必死でした。エヴァも外に出た方が良いと、アリスのレッスンを見守ります。そんなアリスにエディットはあなたは選ばれないと言い、エヴァのことも自分たちの二の舞にするのかと叱るのでした。ついに校長先生が来て、成果を発表する時が来ます。

アリスは最後の2人にまで残りました。しかし、脱落してしまいます。自分が選ばれると信じていたアリスは直談判しに行きますが、エヴァはそれを引き留めます。あなたが通ると言ったと主張するアリスに対し、そんなことを言った覚えはないとエヴァは返します。ショックを受けたアリスは気絶してしまいました。しばらくして目覚めたアリスは1人壁を上り外へ出ていったきり戻りませんでした。

あらすじネタバレ⑥第二次性徴

季節は巡っていき、ビアンカ達年長者は卒業の準備を始めます。夜の日課も、下の世代であるナディアを連れていくようになりました。秘密の館には舞台があったのです。楽屋で羽の着いた衣装を着た少女たちは舞台へ上がります。ビアンカたちは毎夜この舞台に立っていたのでした。年長者たちが慣れた様子で着替え舞台に上がっていく一方でナディアは怖いと怯え帰ろうとします。

そんなナディアをビアンカは舞台に引っ張っていきます。ナディアは何度もミスをし転んでしまいます。その度に帰ろうとするナディアをビアンカは引き戻します。終幕後、もうやりたくない、怖いと訴えるナディアに、ビアンカはそれは許されないと答えます。翌日、バレエのレッスンの後にビアンカはエヴァから生理用品を渡されます。他の年長者たちはすでに経験済みでした。そしてビアンカは今夜の舞台で卒業だと言われます。

エコールの結末ネタバレ

エコールの結末ネタバレ①観客のいる舞台

最後の舞台、それはビアンカだけではなく年長者全員でした。前日とは違う踊りを披露する少女たちを観客は賛美します。観客の1人がビアンカに赤いバラを投げ入れました。ビアンカは素直にその賛美を受け取り、胸に差します。舞台は終わり、ビアンカとナディアはこっそりと客席側のドアから出ていきます。しかし、すぐに使用人に見つかってしまい、この舞台の意味を聞くのでした。

この寮は夜な夜な行われる少女たちの舞台を見に来る観客からのお金で成り立っていたのです。今まで自分たちが踊っていた意味を知ってしまったビアンカですが、それでも卒業して外に出たくはないと言います。慣れたこの寮を出て、仲良くなったイリスたちと離れるほうが彼女にとっては怖いのでした。その夜ビアンカは客席で拾った手袋をつけ、自分の足を撫でながら眠りにつきます。

エコールの結末ネタバレ②少女達の別れ

翌朝、ビアンカは川へ手袋とバラを投げ捨てます。うずくまったビアンカの元にこっそりと付いてきていたイリスが駆け寄ります。突き放すビアンカですが、彼女を好いており服従を誓ったイリスは出ていかないで欲しい、一緒にいたいと訴えます。本当は外に出たくないビアンカはブランコから落ちて自傷することで自分の足を傷つけようとします。そうすれば踊れなくなり、卒業の必要はないと考えたのです。しかしそれは叶いません。

ビアンカとイリスは最後の時間を惜しみながら手をつないで寮へと戻ります。その後、ビアンカが出ていく時間が来ます。寮のみんなとハグし、別れを惜しみます。自分たちのことを忘れないかと問うイリスに、ビアンカは外できっと会えると伝えます。そして自分のしていたリボンを返し、他の年長者とともにエヴァとエディットに連れられ寮を後にするのでした。

エコールの結末ネタバレ③新しい世界と続く日常

ビアンカたち卒業生は秘密の館の舞台を通って出口へと向かいます。地下道を進んでいくと、なんと地下鉄が走っていました。地下鉄に乗るよう指示され、彼女たちは乗り込んでいきます。外へ出ることが怖いビアンカは、これからどうなるのかをエヴァに問いますが、すぐに自分たちを忘れると返されます。一方、寮では最初のイリスのように棺に入れられた入学生がやってきていました。イリスたちは棺が開くのを見守っています。

ビアンカたちを乗せた電車は地上に出て、大きな駅に到着しました。そこで知らない女性に引き渡され、エヴァ達教師とも別れます。最初は戸惑う少女たちが駅を抜けると広い公園が広がっています。そこには大きな噴水がありました。噴水が珍しく、ビアンカたちははしゃいで遊びに行きます。そんなビアンカの元にボールが飛んできました。ボールを取りに来た見知らぬ少年とビアンカは笑い合うのでした。

エコールは意味が分かると怖い映画?

解釈:フランス語の「エコール(École)」の意味

ここからは映画『エコール』の意味、隠された大人の怖い部分について解釈をしていきます。まずタイトルのエコールとは、フランス語で学校という意味です。実はこのタイトルは日本版でのタイトルとなります。製作者の了承の元、変更されたのですが少女たちが囚われていた空間である館自体を表しています。

解釈:ラストに「innocence」の文字の意味

映画のラスト、innocenceという文字が出ますが、こちらが原題なのです。無垢という意味の単語で、6歳から12歳で閉鎖的な空間で育てられた彼女たちの性質を表しています。実はこの原題から変更されたのは、押井守監督のアニメーション映画である『イノセンス』と混ざることを危惧してのことでした。原題、日本での題、どちらも映画の内容に沿った意味であると解釈できます。

解釈:エコール(学校)の目的とは?

この寮は、映画内で言われているように少女たちの舞台でお金を集めて維持しているという怖い裏がありました。しかし何のためにこの学校があるのか、その理由はさまざまな解釈がされています。一番多い解釈として、少女が大人になっていくまでの過程をより綿密に効果的に表すために作られたというものです。少女たちからすればただ日常として過ごしていますが、視聴者を含めた周りの大人から見ると成長は凄まじいものでした。

6歳のイリスはただただ新しい世界が不安で、頼れる年上を見つけて懐きついて回ります。年中者であるセルカは生活に慣れてきて、まだ戸惑う年少者を世話しながらも時には感情的になる難しい年頃です。ビアンカのような年長者はもう落ち着いており、年少者にもただただ優しくできます。しかしまだ見ぬ新しい世界に自分がどうなってしまうのかという不安もあります。この物語は、少女たちが孵化するまでの物語なのです。

他にも、連れてこられた少女たちが棺に入れられていたり、観客への見世物となっていることで人身売買をしているという怖い解釈や、綺麗な世界でのみ育てたいという両家の令嬢のための寮、などという解釈もあります。答えを提示されていない結末ですので、見る人によってストーリーの意味合いが変わってくる映画となっています。

エコールの美しい画像集

エコールの画像:美しい森で遊ぶ少女達

エコールは終始絵画のような美しさ、儚さのある映像美となっています。こちらの画像は少女たちが森で遊ぶシーンです。白い制服を着た少女たちはまるで森の妖精が舞っているかのように純粋さのある画像です。

エコールの画像:森林の道を歩く少女達

こちらはイリスとビアンカが森を歩いているシーンの画像です。森を歩く2人は静物画のように静かな情景となっています。暗い森の中で2人の純粋さが際立つ画像となっています。

エコールの画像:舞い踊る少女たち

最後は舞台で踊る少女たちのシーンの画像です。真っ暗な舞台の中で、少女たちの衣装の羽の光が印象的な画像です。孵化した少女たちが蝶となって舞い踊るかのような今までの純粋。無垢さだけでなく成熟した要素も持ち合わせたシーンです。画像の1つ目の森の中とは対照的な美しさもあります。

エコールに関する感想や評価

エコールの評価:世界観・映像美が素晴らしい

エコールの評価として、その映像美や世界観に酔いしれている声があります。起承転結はなだらかでジェットコースター的展開はありませんが、繊細な美しさや世界観の虜になる人が多くいます。

エコールの評価:登場人物が美しい

またその映像美は登場人物の美しさも大きく貢献しています。登場する少女たちが総じて美しく、まさに美少女映画と言われても顕色ないものとなっています。

エコールのあらすじや解釈まとめ

エコールのあらすじネタバレ、隠された意味について考察していきましたがいかがでしょうか。純粋無垢な少女たちが成長していく姿は、美しさに目を奪われながらも見てはいけないものを見てしまったかのような気持ちになる内容です。この映画は原作や、より原作に近い内容の映画もありますので合わせてご覧ください。

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