映画メトロポリス(1927年)を徹底解説!SF映画の傑作のあらすじを紹介

フリッツ・ラングが監督を務めて1927年に公開された映画「メトロポリス」を徹底解説していきます。未来都市を描いている作品であり、フレーダーとマリアという階級の違う2人の恋愛も見所となっている映画「メトロポリス」ですが、気になるあらすじも詳しくまとめていきます。また映画「メトロポリス」は1984年にリメイクされた際にクイーンが曲を提供した事でも話題になったので、今回は音楽についても解説していきます。

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目次

  1. 映画メトロポリスとは?
  2. 映画メトロポリスのあらすじをネタバレ解説
  3. 映画メトロポリスの結末をネタバレ解説
  4. 映画メトロポリスの音楽が凄い?
  5. 映画メトロポリスに関する感想や評価は?
  6. 映画メトロポリスのネタバレまとめ

映画メトロポリスとは?

1927年に公開された映画「メトロポリス」ですが、あらすじやクイーンによる音楽を紹介していく前に映画の作品情報や、監督を務めたフリッツ・ラングについて紹介していきます。1927年に公開されてから長い年月大作と言われ続けた「メトロポリス」とはどんな映画だったのでしょうか?

映画メトロポリスの作品情報

映画「メトロポリス」はフリッツ・ラング監督によって1927年に公開されたドイツ映画で、当時から100年後の世界を描いている作品です。物語の世界は理想郷であるユートピアとは正反対のディストピアとなっており、徹底的な階級社会となってしまっています。SF映画に必要な要素がすべて凝縮されているという事で評価されており、作家のフォレスト・J・アッカーマンは「SF映画の原点にして頂点」と称しています。

劇中に登場するアンドロイドは、途中でヒロインであるマリアの姿に変わりますが、変わる前のアンドロイドは映画「メトロポリス」を代表する顔とも言うべきものとなっており、「映画史上最も美しいアンドロイド」と称されています。このアンドロイドは以降のSF映画作品にも大きな影響を与えており、「スター・ウォーズ」シリーズに登場する「C-3PO」のヴィジュアルのモチーフにもなっています。

フリッツ・ラングは初めてニューヨークの圧倒的な街並みを見た時に感動し、「メトロポリス」の構想を思い浮かんだという事で、1927年に公開された時は2部に分けてそれぞれ3時間半という長さを誇る大長編出会ったという事です。しかしその後、第二次世界大戦などがあった事で「メトロポリス」のフィルムは世界各地に散らばってしまい、すべてを集める事は不可能となってしまった事で、オリジナルの復旧は不可能となっています。

そのため観る事が出来るのは集められるだけのフィルムを使用して制作し、音楽なども加えて1984年に公開されたリメイク版の「メトロポリス」だけとなっていましたが、新たにいくつかのフィルムが見つかった事で2002年に新たに再編集した123分バージョンが公開されました。さらに2008年には映画博物館にてフィルムが発見され、150分バージョンとして再編集されてソフト化もされました。

映画「メトロポリス」には未来を予測したアイテムがいくつか登場しており、1つはもちろんアンドロイドです。アンドロイドは、映画「メトロポリス」の公開以前にも漫画作品などで見られましたが、動くという概念はそれまでは全く無く、今作で初めてとなっています。しかし未来でロボットが人間に代わって労働をするという考えは無かったようで、未来都市「メトロポリス」ではすべて人間が過酷な労働をしています。

また、映画「メトロポリス」が公開された1927年はテレビが製作されてから2年ほどしか経っていないにもかかわらず、劇中にはテレビ電話のようなものも登場しています。このように映画「メトロポリス」には、ほとんど「オーパーツ」とも言うべきアイテムが多く登場する事も魅力となっており、2019年となった現在でも作品が支持され続けている大きな理由の1つとなっています。

メトロポリスの監督・フリッツ・ラング

映画「メトロポリス」を手掛けたフリッツ・ラングはドイツで活躍した映画監督で、常にかけている方メガネがトレードマークとなっています。1819年に映画監督としてデビューしたフリッツ・ラングは、「メトロポリス」のようなSF作品だけではなく、1922年公開の犯罪映画「ドクトル・マブゼ」や、1931年公開のサスペンス映画「M」など、様々なジャンルの映画を制作しました。

しかしフリッツ・ラングはユダヤ教であったため、ヒトラーによる政権が成立するとドイツからアメリカに亡命しました。その後はハリウッドにて映画作品を撮り続け、「激怒」や「死刑執行人もまた死す」などの名作を世に送り出した事で、フリッツ・ラングの名前を知らない人がいなくなるほどに世間に知られるようになっていきました。フリッツ・ラングが最後に制作した映画「怪人マブゼ博士」で、その後85歳で亡くなりました。

映画メトロポリスのあらすじをネタバレ解説

映画「メトロポリス」のあらすじを紹介していきます。階級社会によって労働を強いられており24時間のシフト制で働き続ける地下労働者に比べ、地上に住んでいる富裕層は毎日ダンスやスポーツをするなどして楽しく生活しています。この完全な格差社会と、この事実に葛藤していく人間の心の動きが見どころとなっています。また、現代から100年後の未来都市を想定して作られたという登場人物達の衣装も注目すべき点となっています。

あらすじネタバレ:未来都市

未来都市「メトロポリス」は高度な科学力によって発展した平和な都市でした。しかしそれは表向きで、実際に豊かな生活を送っているのは地上に住んでいる富裕層だけで、地下では労働者が過酷な労働を強いられているという完全な階級社会となっていました。そんな「メトロポリス」の中でも支配者として君臨しているフレーダーセンの息子であるフレーダーは、街中で美しい女性・マリアに出会い一目惚れします。

フレーダーがマリアを追って行くとそこは地下で、地上とはあまりにかけ離れた過酷な生活をしている地下の労働者の現状を目の当たりにして驚愕します。マリアは地下の労働者達に向かって「メトロポリス」の現状を説き、「脳」となっている地上の富裕層、「手」となっている地下の労働者を調停する救世主の存在がきっと現れるという予言をしていました。地下の労働者達はマリアの言葉を聞いた事でストライキの考えが生まれます。

フレーダーは地上と地下のあまりに違い過ぎる生活に怒りを覚え、父のフレーダーセンに「メトロポリス」の社会の改正を必死で訴えかけます。しかしフレーダーセンは「メトロポリス」のシステムの現状の維持に忙しく、息子の言う事に構っていられません。そして息子に「メトロポリス」の支配者として君臨するための苦労を述べたうえで、忙しそうに何処かへと去って行ってしまいました。

あらすじネタバレ:救世主

フレーダーはマリアの考えに共感し、地下の労働者と一緒に働き始めます。そんなフレーダーの姿を見たマリアはフレーダーこそが救世主となって「メトロポリス」の階級社会を変えてくれる存在であると信じるようになります。フレーダーも地下の過酷な労働をこのままにしておけないという考えから、自分が救世主となるべく地上と地下の調停を考えます。そして2人は地下で関わり続けていく事によって惹かれあうようになっていきます。

あらすじネタバレ:ニセモノのマリア

一方で、フレーダーの父であるフレーダーセンは息子の必死の訴えによって地下の不穏な動きを察知した事で、「メトロポリス」の中でも屈指の大発明家ロトワングの元を訪れます。2人は話し合ったうえで、地下の労働者の様子をこっそりと見に行きます。するとマリアによる救世主が現れるという演説の最中であったため、フレーダーセンは労働者のストライキを危惧し始めます。

フレーダーセンは考えた末、ロドワングにマリアそっくりのアンドロイドを作り、地下労働者の統率を乱すように命じます。ロドワングはすぐにマリアを連れ去り、彼女とアンドロイドの脳を機械で繋ぐことによって全く同じ容姿をしたニセモノのマリアを作り出しました。ニセモノのマリアは地下に降りて行き本物のマリアのように演説をしましたが、内容はフレーダーセンの意志とは裏腹に、地上に出て機械を破壊しようというものでした。

実はニセモノのマリアは「メトロポリス」を混乱に陥れようとしているロドワングの陰謀によってそのような言葉を言うように製作されていたのでした。そしてニセモノのマリアの言葉によって地下の労働者達は「メトロポリス」の機械を破壊し尽くすために地上へと押し寄せ、すべての機械という機械を破壊してしまいました。しかし「メトロポリス」の機械をすべて破壊してしまったという事は地下が水没してしまうという事だったのです。

地下には大量の水が押し寄せ、労働者達の子供達が多く残っていたため大混乱となってしまいます。狂ったように地上の「メトロポリス」を破壊していた労働者達はやがて地下の異変に気付き、自分の愛する子供達が大量の水によって溺れ死んでしまったと思い込んだ事から激怒して、このような事態を招いた原因であるニセモノのマリアを貼り付けにし、火で焼き殺してしまいました。

映画メトロポリスの結末をネタバレ解説

映画「メトロポリス」のあらすじをネタバレしてきましたが、フレーダーとマリアの恋愛やロドワングによる陰謀、地下労働者達の怒りやニセモノのマリアへの責任転換などを感じる事が出来るストーリーとなっている事が分かります。映像でしか見る事は出来ませんが、特にアンドロイドがマリアの姿へと少しずつ変わっていく演出は圧巻で、1927年に作られた物とは信じられないものとなっています。

ちなみにロドワングがニセモノのマリアを使って「メトロポリス」を混乱に陥れようとしたのは、過去にフレーダーセンと好きな女性を巡って争った事があり、結局は愛する女性をフレーダーセンに奪われてしまった事で今でも恨んでおり、現在のフレーダーセンが支配する「メトロポリス」の世界を潰そうと考えたからでした。それではこれから映画「メトロポリス」の結末を紹介していきます。

結末ネタバレ:本物のマリア

その頃、フレーダーと本物のマリアは地下で必死に警報を鳴らしながら子供達を救出していました。すべての子供達が無事だと分かったところで、ほっとする2人でしたが、そこにロドワングが現れてまたもやマリアをさらって行ってしまいます。ロドワングは予想以上の以上での大混乱を見た事で、ニセモノのマリアを作った自分にも火の粉が飛び移るのでは無いのかという危険を感じた事からマリアを殺して事態を紛らわそうとしたのです。

結末ネタバレ:心で繋がる

フレーダーはすぐにマリアを助けに行き、屋上にてロドワングとの格闘になります。激しい戦いの末にロドワングは足を滑らせて屋上から転げ落ちて行った事で絶命します。フレーダーセンはこの一件により自分の考えを改める事にしました。そしてフレーダーセンはフレーダーの仲介によって労働者の代表と握手をし、これからは階級の無い新しい「メトロポリス」が作られていく事になります。以上が映画「メトロポリス」のあらすじです。

映画メトロポリスの音楽が凄い?

映画メトロポリスのクイーンの曲が話題に

1984年に映画「メトロポリス」を復元するに当たって、音楽にロックバンド「クイーン」の人気ボーカリストとなっていたフレディ・マーキュリーの初のソロ曲・「Love Kills(ラヴ・キルズ)」が使用されました。1927年に公開された「メトロポリス」は音楽の無いの映画作品でしたが、リメイクでは音楽が多く使用されており、「クイーン」のフレディによる「ラヴ・キルズ」が流れるシーンがあります。

「クイーン」のフレディによる「ラヴ・キルズ」は全米音楽チャートで10位にランクインするという大ヒットとなり、フレディの「クイーン」としての活動以外での初のヒット曲となっています。「ラヴ・キルズ」は「クイーン」の音楽コンサートでも演奏され、コラボ音楽バンド「クイーン+アダム・ランバート」によってバラードバージョンアレンジとなっていました。

また「クイーン」が2014年に発売した音楽アルバム「クイーン・フォーエバー」には80年代の「クイーン」のメンバー全員が参加したバージョンも収録されています。ちなみに「ラヴ・キルズ」のB面には「クイーン」とは関係ありませんが、ジョルジョ・モロダーの「Rotwangs Party」が収録されています。

映画メトロポリスに関する感想や評価は?

メトロポリスのアンドロイドがかっこいい!

映画「メトロポリス」に登場するアンドロイドは、あらすじで前述しましたが物語の核となるロボットです。1927年に映画が公開されてからこのアンドロイドは「スター・ウォーズ」などの有名な作品に大きな影響を与えてきただけあって、現在でも美しさを感じさせるヴィジュアルとなっており、視聴者からは「かっこいい」という感想が多く上がっています。監督であるフリッツ・ラングの異才さがうかがえます。

映画メトロポリスのネタバレまとめ

フリッツ・ラングが監督を務めて1927年に公開された映画「メトロポリス」について詳しく解説し、あらすじや使用された音楽なども紹介してきましたが、2019年となった現在でも新しさを感じさせてくれる素晴らしい作品である事が分かります。当時画期的となったストーリー構成と演出によって話題となり、SF映画の原点となっている「メトロポリス」はこれからも映画界に影響を与え続けていくでしょう。

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