狂い咲きサンダーロードのあらすじは?名作映画の感想や泉谷しげるの曲・音楽も紹介

石井岳龍監督のデビューはセンセーショナルでした。学生の卒業制作で『狂い咲きサンダーロード』を撮り、当時無名の山田辰夫を主演に迎えて放った映画は1980年の話題になりました。近未来という世界設定の中で暴走族の生き様をはちゃめちゃに描いた作品はその年のキネマ旬報ベストテンにもランクインしました。映画を支える音楽には泉谷しげるの楽曲が多数用いられて、映画に厚みを持たせています。今回はあらすじを含めて『狂い咲きサンダーロード』を紹介していきます。

狂い咲きサンダーロードのあらすじは?名作映画の感想や泉谷しげるの曲・音楽も紹介のイメージ

目次

  1. 狂い咲きサンダーロードのあらすじ・感想は?泉谷しげるが手がけた音楽・曲も紹介
  2. 狂い咲きサンダーロードとは?
  3. 狂い咲きサンダーロードのあらすじを解説!
  4. 狂い咲きサンダーロードの音楽を手がけた泉谷しげるとは?
  5. 狂い咲きサンダーロードの音楽・曲を紹介!
  6. 狂い咲きサンダーロードを見た人の感想は?
  7. 狂い咲きサンダーロードを是非ご覧あれ!

狂い咲きサンダーロードのあらすじ・感想は?泉谷しげるが手がけた音楽・曲も紹介

日本アカデミー賞をはじめ、年間を通して受賞を伴うコンペティションや映画祭が日本の国内にはたくさんあります。しかし、その選考の候補になるには日本で公開される新作映画の作品数はあまりにも多いことでしょう。今回紹介する『狂い咲きサンダーロード』は卒業制作というカテゴリ-ながら長年に渡り見た人の心にあり続けています。この作品のあらすじから、泉谷しげるの劇中音楽などを見ていきましょう。

狂い咲きサンダーロードとは?

ここでは映画『狂い咲きサンダーロード』を知らない人に、どのような映画なのかを紹介していきます。『狂い咲きサンダーロード』の特異性は多く、映画単体の作品の評価と共に注目されるポイントでもあります。あらすじや挿入曲は後段に譲りますが、『狂い咲きサンダーロード』を未見の人は映画の豆知識として頭の片隅おいて、鑑賞のガイドラインにしてみてください。

映画『狂い咲きサンダーロード』の予告です。あらすじではわからない雰囲気を映像と曲から感じてください。過去に鑑賞済みのひとはその当時を彷彿とさせられることでしょう。

監督は石井岳龍

最近の単館映画などを鑑賞する人には石井岳龍監督は有名でしょう。少し前まで「石井聰亙(そうご)」という名前で作品を世に送り出していました。2010年をもってそれまで名乗っていた石井聰亙から現在の石井岳龍へ改名をしました。2000年に公開された、武蔵坊弁慶と源義経の五条大橋の対決を拡大解釈を伴ってSFとして描いた映画『五条霊戦記』は有名です。

映画『狂い咲きサンダーロード』は石井岳龍監督が日本大学在学中に卒業制作作品として制作した映画です。1980年に公開した、ロックンロール・ウルトラバイオレンス・ダイナマイト・ヘビーメタル・スーパームービーを公式のキャッチコピーとして世に放ちました。当時22歳の監督は暴走族をテーマとした近未来映画で爆発した感性の下、熱くたぎる思いを映像化しました。

無名の監督でありながらのキネマ旬報ランクイン

皆さんは映画雑誌の「キネマ旬報」が毎年2月に、前年に公開された映画を対象として評価を行い10位までのランキングを発表するキネマ旬報ベストテンを知っていますか。この賞の審査員は映画評論家を中心として、総勢100名を超える選者によって評価をしている映画賞です。数多く鑑賞する専門家などの鋭い眼光で精査された作品群の中の1作品として『狂い咲きサンダーロード』は1980年にランクインしました。

ここでわかることは、映画会社のしがらみが無い作品であり、且つ学生であった監督がメガホンをとった作品がランクインしたという快挙です。この年のランク1位は鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』であり、次いで黒澤明監督の『影武者』、大森一樹監督の『ヒポクラテスたち』という顔ぶれが続き、その9位に『狂い咲きサンダーロード』は位置しました。

主演は山田辰夫

キネマ旬報の映画賞のランキングに名前を刻むことができたことは、映画そのものの評価が高かったのは、主演をみてもわかります。『狂い咲きサンダーロード』の主演は山田辰夫です。劇団GAYAに所属していた時に石井岳龍監督から声がかかり出演をしますが、『狂い咲きサンダーロード』でスクリーンデビューをすることになりました。この映画が上映された時は、山田辰夫は素人と変わりがありませんでした。

山田辰夫は『狂い咲きサンダーロード』を皮切りに数々の作品に参加して映画を彩る役者の一人となっていきました。しかし、その足跡もこの映画で日本アカデミー賞、ヨコハマ映画祭、報知映画賞の新人賞を獲得したことで開かれた道でもありました。声高で活舌がわるく独特の存在感は鑑賞者の記憶に残りました。2010年に他界するまでに『沈まぬ太陽』など多くの作品に出演しています。

撮影は笠松則通

映画作品のスタッフを見ると同じ監督の作品には、同じスタッフが参加していることに気がつきます。そのスタッフたちは○○組と呼ばれ団結した一つの集団として撮影に臨みます。石井岳龍監督の作品の多くを撮影監督として参加しているスタッフが笠松則通キャメラマンです。日本アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を持ちます。映画は撮影による部分も大きく、作品の根幹をなすポジションです。

石井岳龍監督をはじめ、阪本順治監督や豊田利晃監督、李相日監督など作品に定評のある人と共に仕事をしています。どっしりとした構図は安定感があり、社会派のドラマを撮影しても説得力のある画で観客をスクリーンの中に引き込みます。

笠松キャメラマンが2010年に職歴30年を記念して行われたイベントでは、彼の過去の作品上映を執り行いました。7本の映画をスクリーンで上映しましたが、その1本が『狂い咲きサンダーロード』でした。現役の第一線でファインダーを覗く活動屋は多くの監督から信用を得ています。

狂い咲きサンダーロードのあらすじを解説!

1980年公開してからすでに40年近く時間が経つ『狂い咲きサンダーロード』ですが、熱狂的なファンを持ち、今見ても楽しめる作品です。この映画のあらすじはハチャメチャと称されることが多いですが、どのようなストーリーになっているのでしょう。あらすじを追いながら『狂い咲きサンダーロード』に迫っていきます。ネタバレも含みますので、あらすじを読む人は注意してください。

幻の街「サンダーロード」とは?

舞台は近未来の日本です。日本のどこかにある幻の街「サンダーロード」にはいくつもの暴走族が互いに鎬を削っていました。対立と抗争を繰り返していた彼らですが、道路交通法の改正によって警察の取り締まりが厳しくなり、走りにくさを実感していました。そこで暴走族のトップたちが会合を持ち、道交法を順守して愛される暴走族を目指し、個々のチームではなく連合を組むことで話をまとめ始めた。

平和協定を行っている最中のトップ会合に、仮面を被った数人が武装して殴り込んできた。会合にも参加していた魔墓呂死(まぼろし)の一部がこの連合化に反対していたのだ。元々魔墓呂死は武闘派暴走族でしられていて、その中でも魔墓呂死特攻隊のメンバーが手に手をつないだ仲良しごっこが気に食わず、トップのメンツも構わずに行動を起こしました。

魔墓呂死特攻隊の独立、そして抗争へ

魔墓呂死のトップである健は特攻隊の仁たちの行動と主張を認めず、自らの暴走族の旗を降ろすことを決めました。仁は魔墓呂死本体と決別をして自らのグループは連合には加入せずに自由に行動する道を選択しました。魔墓呂死特攻隊と連合の抗争は続き、ある日連合の傘下にある怒苦郎の幹部と出くわした折に小競り合いを起こし勝利しました。この報復として怒苦郎が特攻隊の一人、幸男を拉致する出来事が引き起こされます。

魔墓呂死特攻隊の仁は拉致された仲間を助けるために、暴走族が組んだエルボー連合が待つデスマッチ工場跡へと乗り込んでいきました。しかし、相手が怒苦郎だけはなくエルボー連合だと知ると、メンバーの離反がおこり3人で乗り込む無謀を慣行します。多勢に無勢、押される仁たちの下へ助けを呼びに行った茂が健とスーパー右翼の剛らを連れて駆け付けます。剛の仲裁の下、この抗争は沈静化します。

スーパー右翼に加入

今回の抗争を収める条件として、魔墓呂死特攻隊の残りメンバーである仁、忠、英二、茂の4人がスーパー右翼への加入を呑むこととなります。同性愛者の剛が率いるスーパー右翼での毎日は思想教育と訓練の連続でした。血の気の多い仁は退屈な毎日に嫌気がさし、街宣活動中に暴走族と乱闘事件を起こしました。このことでスーパー右翼から下された処分を不服として仁、忠、英二は脱退することになります。

脱退をしたことでスーパー右翼のメンツがつぶれ、その報復として3人を粛正することになります。かれらの残虐さは想像を絶しており、仁は右手首と右足首を切断されます。英二に至っては植物人間にされるほどの報復を味わうこととなり、彼らは大きな痛手を負うことになりました。忠は恐怖を覚え、その後にサンダーロードを去っていきました。

スープレックス広場からの逆襲

とうとう一人になってしまった仁は麻薬におぼれながらも、エルボー連合やスーパー右翼への恨みを消すことはできなかった。流れ着いたドヤ街のスープレックス広場で2人のキーマンと出会う。1人はヤク中の小学生小太郎、もう1人がマッドボンバーのおっさんでした。マッドボンバーのおっさんに武器弾薬を用意してもらい仁は最終決戦に臨みます。

「街中のやつらみんな、ぶっ殺してやる」という仁は全身黒づくめのバトルスーツに身を包み、ショットガンやバズーカ砲を携え、いざ戦闘に向かいます。小太郎のダイナマイトやピストルでの援護、マッドボンバーのおっさんのバズーカによる助けを受けながらも基本1人で仁は立ち向かいます。エルボー連合・スーパー右翼に加え警察にも牙をむいた仁の戦闘は激しさを極めました。

狂い咲きサンダーロードの音楽を手がけた泉谷しげるとは?

名作と言われる『狂い咲きサンダーロード』はストーリー、映像と共に音楽の存在も多く評価されています。3つの柱が素敵に融合してパンク感を醸し出し、見るものを魅了しています。その音楽は泉谷しげる、PANTA&HAL、THE MODSの楽曲が全編にわたって使われています。その中でも泉谷しげるの曲は映画内で使用されている音楽の半数を占めます。

『狂い咲きサンダーロード』で使用されている泉谷しげるの楽曲の中で、一番有名な曲が「電光石火に銀の靴」です。本編のタイトルバック及び最終決戦のバックミュージックとして用いられています。また、予告編の音楽にも使われています。予告の映像は泉谷しげるの熱いシャウトと共にアップテンポにカット割りがなされていて、1980年という時間を感じさせない作りとなっています。

映画内で使われている泉谷しげるの曲は他にもいくつかあります。「都会のランナー」「俺の女」「王の闇」「ハーレム・バレンタインデー」「眠れない夜」「火の鳥」「テストドライバー」「君の心を眠らせないで」「国旗はためく下に」「翼なき野郎ども」です。これらの音楽を本編と共にお楽しみください。

泉谷しげるのプロフィール

泉谷しげるのプロフィールを簡単に紹介します。泉谷しげるは1948年生まれの日本で活躍するシンガーソングライターです。1971年にデビューをしてから数多くの楽曲を発表しています。代表曲に「春夏秋冬」「イムジン河」などがあります。『狂い咲きサンダーロード』では多くの楽曲提供の他に美術として参加をして、ブルーリボン美術デザイン賞を受賞しています。役者としても有名で多芸を発揮しています。

狂い咲きサンダーロードの音楽・曲を紹介!

『狂い咲きサンダーロード』を語る上で、重要なポジションを担っているのが音楽です。泉谷しげるの音楽が多いとすでに書きましたが、それ以外もこの映画のファンからは熱視線が注がれています。どのような曲があったのかいくつか紹介していきます。

「電光石火に銀の靴」

泉谷しげるが歌う「電光石火に銀の靴」は映画『狂い咲きサンダーロード』の代表曲です。発表当時の日本においてこの曲のテイストは多くはなく、聞く人にインパクトを与えた曲でもありました。『狂い咲きサンダーロード』のファンからは、本編と対をなして評価されています。歌詞も「君を君をとじこめる奴の気が知れないぜ 君を君をとじこめる奴は君に気づかない」と主人公の生き方をなぞっているようにも聞こえます。

PANTA&HAL 「ルイーズ」

PANTA&HALはボーカリストのPANTAこと中村治雄を中心として組まれたロックグループです。この映画では「ルイーズ」の他に「トゥシューズ」「臨時ニュース」「オートバイ」など数曲を提供しています。グループとしては2枚のアルバムと1枚のライブアルバムがあるのみです。「ルイーズ」はPANTA&HAL唯一のシングル曲です。熱狂的なファンを持つバンドでした。

THE MODS「熱いのを一発」

デビュー前のTHE MODSの曲も使用されています。1980年の4月にたった2日間で12曲を録音するという忙しさで制作されました。他に「気絶しそうだ」「小便」「う・る・さ・い」「Bbのウソ」など他にも数曲映画で使用されています。これを機に雑誌で取り上げられて、1981年6月にメジャーデビューを果たしました。

狂い咲きサンダーロードを見た人の感想は?

『狂い咲きサンダーロード』を見た人はどのような感想をもったのでしょうか。1980年の公開当時とブルーレイディスクの発売に合わせてリバイバル上映された時に見た人達が、子の作品を評価しています。『狂い咲きサンダーロード』の率直な感想を紹介します。

余韻がのこりすぎる

映画をみて音楽が印象に残ることは多くありません。主題歌などは曲をメインに聞くことができますが、劇中歌など映像のバックグラウンドで流れている曲に関心がなかなか向かないためです。しかし、音楽は映画を盛り上げる効果的なアイテムです。この映画はそんな音楽に魅せられる人が多いです。

気持ちがあふれだす

映画に触発されてバイクでの疾走を渇望してしまうほどになっています。スピード感のある映画はとても総会で気持ちがふっとびます。しかし、暴走行為は他者に迷惑なので気を付けましょう。

狂い咲きサンダーロードを是非ご覧あれ!

いかがでしたでしょうか。『狂い咲きサンダーロード』の狂いっぷりはあらすじだけでなく音楽や映像の総合美で演出されています。卒業制作作品としての枠を大きく超えて作られた本編は30年以上経った今でも衝撃を与えてくれます。泉谷しげるをはじめとする曲のリードと共に『狂い咲きサンダーロード』の世界に浸かってみてください。今回のあらすじだけでは描き切れない素敵な映像が待っています。

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