玩具修理者の小説あらすじや感想は?映画化もされた小林泰三原作をネタバレ解説

こまや凧などの玩具から死んでしまった猫まで、壊れたものなら何でも直してくれる玩具修理者。バラバラに分解、掛け声をかけ組み立てると、何事もなかったかのように再び動き出します。「彼女」は、この玩具修理者に誤って死なせてしまった弟を直してもらいますが…。日本ホラー小説大賞を受賞した小林泰三の処女作『玩具修理者』。映画化もされたこの原作小説のあらすじや感想をネタバレ解説します。興味を持ったあなた、この機会にぜひご覧ください!

玩具修理者の小説あらすじや感想は?映画化もされた小林泰三原作をネタバレ解説のイメージ

目次

  1. 玩具修理者の小説あらすじや感想が気になる!
  2. 玩具修理者は小林泰三が原作!
  3. 玩具修理者の元ネタとは?
  4. 玩具修理者の小説あらすじ
  5. 玩具修理者は映画化もされている!
  6. 玩具修理者の映画出演キャスト
  7. 玩具修理者の評価や感想は?
  8. 玩具修理者の小説あらすじや感想まとめ

玩具修理者の小説あらすじや感想が気になる!

こまや凧など玩具から何と死んでしまった猫まで、壊れたものを”何でも”直してくれる玩具修理者。バラバラに分解してから掛け声をかけ元どおりに組み立てると、何事もなかったかのように再び動き出します。ある日、誤って弟を死なせてしまった「わたし」は、玩具修理者に直してほしいとお願いしに行きます…。

日本ホラー小説大賞を受賞した小林泰三の処女作『玩具修理者』。背筋がゾッとするようなこの極上のホラー・ミステリー作品が気になる!という方もおいでのことでしょう。これから不思議で怖い小説『玩具修理者』のあらすじや感想をネタバレ解説していきます。

玩具修理者は小林泰三が原作!

短編小説『玩具修理者』の原作者は、1962年生まれの小説家、SF作家、ホラー作家、推理作家とひとつのジャンルに嵌められない作家小林泰三(こばやしやすみ)です。1995年今回紹介するデビュー小説『玩具修理者』で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞します。小説『玩具修理者』は単行本だけでも15万部を超えるベストセラーとなっています。

また、小林泰三の小説『玩具修理者』は、2002年田中麗奈主演で映画化されたほか、舞台化や漫画にもなるなど小林泰三の代表作の一つになっています。その他には、1998年S-Fマガジン読者賞国内部門受賞の「海を見る人」や2012年星雲賞日本長編部門受賞の『天獄と地国』、2014年啓文堂大賞受賞のアリス殺し』、2017年星雲賞日本長編部門受賞の『ウルトラマンF』など輝かしい受賞歴を誇っています。

玩具修理者の元ネタとは?

クトゥルフ神話が元ネタ

小林泰三の代表作のひとつ小説『玩具修理者』。小説を読み進めると、「よーとそーとーぐ」とか「ぬわいえいるれいとほうてぃーぷ」といったよくわからない不思議な名前やセリフが出てきます。それもそのはず、この小説は「クトゥルフ神話」という不可思議な神話の影響を受けているからです。

クトゥルフ神話とは?

ホラーや怪奇小説の世界ではなじみ深い「クトゥルフ神話」。しかし一般的な認知度は決して高くはありません。そこでこのクトゥルフ神話を簡単に解説します。クトゥルフ神話は、19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したアメリカの怪奇小説家ラヴクラフトが広めた、架空の神話体系のことをいいます。

ただしこの神話には明確な世界観やルールなどの設定があるわけではありません。しかも、誰でも独自に作新たな設定を追加することが可能です。同じクトゥルフ神話でも設定の矛盾点をいくつも発見することが可能です。クトルゥルフ神話では概念上の縛りが全くといってよいほどないため、統一性を保てなくなっているのです。

無秩序な文字の羅列

小林泰三の小説『玩具修理者』では、主人公が幼少のころに出会った「玩具修理者」との思い出が語られます。その玩具修理者の名前は誰も知らず、どこの国の言葉なのかわからない言語を使います。この玩具修理者こそ、クトゥルフ神話が元ネタとなっているのです。小説『玩具修理者』の一節『「ようぐそうとほうとふ」彼女はそう言った。本名だとすれば、日本人の名前ではない。アメリカ人やイギリス人の名前でもない。』

主人公が聞いた玩具修理者の名前「ようぐそうとほうとふ」。これこそがクトゥルフ神話そのものなのです。クトゥルフ神話に出てくる邪神の言葉は、人間では発することができない言葉とされています。一般の人には、無秩序な文字の羅列に過ぎないことでしょう。以上、クトゥルフ神話について簡単に解説してみました。

玩具修理者の小説あらすじ

登場人物紹介

小説『玩具修理者』のあらすじ解説に入る前に、まずは登場人物について解説していきます。50ページほどの短編小説ということもあり登場人物はいたって少ないのですが、それぞれが強烈な個性を発揮します。

わたし:小説『玩具修理者』語り部の男性。わたしは、ある日、喫茶店でいつも疑問に思っていたことを彼女に訊いていみます。それが衝撃の真実に行きつくことになるともつゆ知らずに。彼女を質問攻めにしては、よく怒られています。

彼女:昼間は常にサングラスをかけている女性、「彼女」。夜になると見えなくなるのでさすがに外しますが、外した跡を見てもそこには醜い傷など何にもありません。本人が言うには、サングラスをかけ続けるのにはちゃんとした理由があり、それは幼少期の事故だと言いますがはたして……。

玩具修理者:小説のタイトルともなっている重要人物。「彼女」が子供の時近所に住んでいた人物で、どんなにひどく壊れた玩具でも無料で修理してくれました。戸籍上の名前は不明ですが、ある子供が言うには「ようぐそうとほうとふ」、別の子供は「くとひゅーるひゅー」、そして「彼女」は「ぬわいえいるれいとほうてぃーぷ」と呼んでいました。

これらの言葉は名前なのか、はたまた呪文なのか判然とはしませんでしたが、子供たちの間では「ようぐそうとほうとふ」という名でほぼ定着していました。「ようぐそうとほうとふ」は、特徴の無いのっぺりとした顔と、幼児用のクレヨンで画用紙に塗りたくったような髪をしていました。全身を布で覆っていましたが、見えている手足と顔はベタベタと脂まみれのようでした。

仮に別の部品が混ざっても完成すれば問題なく動き出す、という摩訶不思議な芸当でした。直す時には、お客にどう直せばよいのか具体的に聞きます。お客が壊れる前の状態を正確にもれなく言わないと、期待通りには直らないという厄介なものでした。

あらすじ解説①奇妙な思い出を話し出す女

ここからが小説『玩具修理者』のあらすじ解説になります。とある喫茶店で物語は始まります。男が彼女に訊きます。どうして昼間は常にサングラスをかけているのかと。彼女は幼い頃事故にあったからと答えますが、男はそんなこと一度も聞いたことがない、と不審そうな顔をします。彼女は弁解するように言います。「親にすら秘密でした」と。彼女は、過去について奇妙な思い出話を始めました。

かつて、彼女の家のほど近くにある小屋には「ようぐそうとほうとふ」と呼ばれる、いわゆる『玩具修理者』が住んでいました。「ようぐそうとほうとふ」は、無料で子供たちが持ち込んてきた玩具を修理してくれました。凧や水鉄砲のような簡単な玩具からゲームソフトのようなハイテクのものまであらゆる物を修理したのです。

当時7~8歳ぐらいだった彼女は、生まれてまだ10ヶ月ほどの道雄という名前の弟の世話をしていました。彼女は、今風に言えば児童虐待にあたるような、しつけという名の厳しい教育を受けていて、弟の世話も無理やりやらされていたのです。さらに玩具や人形といった遊び道具も持っていなかったので、玩具を無料で直してくれる『玩具修理者』のことも寝耳に吹く風といった感じでした。

あらすじ解説②ある少女との出会い

盛夏の暑いある日、彼女は、道雄を背負って店にお使いに行く時、死んだ猫をつれた女の子に出会います。女の子が言うには、せっかく親に買ってもらったんだけどやたらと引っ掻くから踏んづけたところ、猫は死んでしまったとのことでした。父親に知られると烈火のごとく怒りだすに違いないから、これから「ようぐそうとほうとふ」のところに連れて行って直してもらうんだ、ということでした。

彼女は、女の子が行ってしまうのを見届けると、言いつけられたお使いをかたずけようと再び歩き出します。歩道橋を渡ろうと懸命に階段を上っていく時でした。猛烈な暑さと弟の道雄の甲高い泣き声がうるさくて身体がフラフラしてきました。それでも無理してさらに一歩を踏み出そうとしたその時です。突然2人は転がり落ちてしまうのです。

あらすじ解説⓷玩具修理者の助けを借りることに!

階段の下まで転がり落ちた彼女は、意識はあったものの左の額から鼻にかけて血だらけになるほどの大怪我を負ってしまいます。しかし問題は弟の方でした。弟の道雄は、口を半開きにして目はひん剥いた状態で死んでいました。ところが、そんな弟の無残な姿を見て、彼女は幸せな気分になります。なぜかというと、弟の世話をしなくてもよくなったからでした。しかし、しばらくすると親に叱られることが頭をよぎり怖くなってきました。

彼女は善後策について色々考えた挙句、さっき会った女の子のように『玩具修理者』のところに行き弟の道雄を修理してもらえばいいことに気づきます。それから『玩具修理者』のところへ歩を進めますが、その道中で例の女の子にまた偶然再会するのでした。

ようやく巡り合った女の子から「ようぐそうとほうとふ」への修理依頼のやり方を聞き出しますが、その間にも漸次弟の道雄の死体は腐り続け、彼女の大怪我も広がり続けています。それから満身創痍の体を押して何とか『玩具修理者』のところまでたどり着いた彼女でしたが、「ようぐそうとほうとふ」が姿を現したのは暫く時間が経ってからでした。

「てぃーきーらいらい。……これを、どう、する?どう、したい?」彼女は、弟を元の生きている時の状態にするために、動くようにとか、話すようにとか、ごはんが食べられるようにとか、思いつく限りのことを注文しました。

あらすじ解説⓸弟は一見、元どおりに!

それを聞いていた「ようぐそうとほうとふ」は、他の子供たちが手に抱えて持ってきたマシンガンや人形などの玩具を取り出すと、道雄と一緒にして解体作業を始めました。彼女は解体されて骨だけになっていく弟の道雄をじっと凝視していましたが、さっきの女の子が持ち込んだ猫の死骸を解体する準備に入ったとき、なぜか彼女は意識を失ってしまいます。

彼女が目を覚ました時には、「ようぐそうとほうとふ」は今度はワープロの組み立てをしていました。そして、彼女と女の子が持ち込んだ道雄と猫ですが、要望どおりに生き返っていました。彼女がよく見ると、ワープロの組み立てに猫か弟の身体の一部が使われていました。それを見て彼女は不思議なことを思いつきました。『道雄や猫には逆に電子機器の部品が組み込まれたのかも』と。

彼女はどうしても気になって、猫をさらに観察します。するとその猫の目はさきほどの玩具のマシンガンの弾でした。彼女の話しのきっかけを作った男は、ときどき質問を挟みつつも概ね黙って聞いていました。ところが男は、その時彼女の話を一方的に否定します。それは熱射病で倒れたときに見た夢なんだと決めつけました。君は女の子にも会っていないし、『玩具修理者』のところにも行っていないと言い添えます。

あらすじ解説⑤実は不備があった修理依頼

彼女は、本当にあったことなの、と男に激怒しながらも話を続けます。しばらくの間は平穏な日々が続きましたが。ところが、ある日母親が騒ぎたてます。「道雄がいっこうに成長しない」と。すぐに病院へ連れていき調べてもらったところ、弟の道雄は成長ホルモンの分泌が全くというほどなくなっていました。

最新のCTスキャンで調べようとしましたが、今度は脳に埋め込まれた電子機器がCTスキャンを妨害してしまい検査は不可能になります。こんなことになってしまった原因は、彼女が「ようぐそうとほうとふ」に弟の道雄が成長するようにお願いしなかったからなのです。

彼女は、母親には内緒にして道雄を「ようぐそうとほうとふ」のところに連れて行き、弟が成長できるように頼み込みます。「ようぐそうとほうとふ」は、案外素直に依頼を聞いてくれ、彼女の弟の道雄を再び解体し始めました。しかし、今回は道雄は意識があったので痛みをこらえ切れずに泣き叫びます。姉の彼女は、弟の苦しむ姿を見るに忍びなく思い、家路に向かいました。

その後も彼女は、髪や爪が伸びないとか騒ぎが起きるたびに弟の道雄を『玩具修理者』のところに連れて行きました。そこまで聞いた男は、言い知れぬ恐怖を感じました。生きたまま解剖してもし死んだりしたら、『玩具修理者』は殺人罪に問われる、と言います。それに対して彼女は「これはあくまで修理、医療行為と一緒にしないでよ」と反論します。

あらすじ解説⑥生命とは何か?

男は、彼女が言うことを鵜呑みにはできなかったため、「どうして死者が生き返るんだ?」ともっともな質問を投げかけます。そこから2人は、生命とは何か? という結論の見えない議論を延々と始めるのでした。

彼女は、生物か生物でないかの違いなど、あくまであらかじめ誰かに教え込まれ定着した認識の問題でしかないこと、それは地球が生きているか生きていないかと考えることと同じで、勝手に正しい答えだと一方的に思い込んでいるだけであるとを熱っぽく語ります。

あらすじ解説⑦彼女のヒミツ

男はこの議論には結論などないと踏んで、話題を変えようと君はそのサングラスを何故かけているんだい? と尋ねました。彼女は、実は昔弟と一緒に歩道橋から落ちた時、顔の4分の1を失っていたと秘密にしておいたことを語り始めます。弟の道雄と一緒に『玩具修理者』に修理してもらい、偽造コンタクトも作って貰っていたのですが、数年前に壊れてしまったため、今はサングラスをかけているのだ、と言いました。

玩具修理者は映画化もされている!

ドリンク付き低料金で話題に!

小林泰三の小説『玩具修理者』は、2002年に監督・はくぶん、製作総指揮・奥山和由、脚本・相良敦子らで映画化されています。渋谷QFRONTで公開され、ドリンク付き低料金上映という新しい方式を取り入れた上映形態でも話題になりました。原作の血なまぐさい描写は控えめに、ファンタジー的な映像にあふれています。俳優陣は、主演・田中麗奈のほか姿月あさと、美輪明宏といった一癖も二癖もある性格俳優が脇を固めています。

原作と映画の違いは?

小林泰三の原作と映画の違いですが、上でも述べたように、原作の血なまぐさい描写は抑えてファンタジーテイストな映像で彩られています。小林泰三の世界を期待したり、小説を呼んでその独特のカオス感を期待して見ると肩透かしになるかも知れません。短編映画で47分という制約がこの小説『玩具修理者』を描き切るのには難しかったのかも知れません。ただ、玩具修理者の声を三輪明宏が担当しており、一聴の価値ありとの評価もあります。

玩具修理者の映画出演キャスト

彼女/田中麗奈

主演の田中麗奈は1980年福岡県久留米市出身の女優。2006年主演映画『暗いところで待ち合わせ』で盲目の女性を演じました。さらに同年、広島の原爆をテーマとするこうの史代作の漫画『夕凪の街 桜の国』の映画化に際し、自ら出演を希望、ヒロインを演じます。

2007年には、『ゲゲゲの鬼太郎』初の実写映画で妖怪・猫娘を演じました。2008年『犬と私の10の約束』など3本の映画に主演をはたします。同年4月からは連続ドラマ初となる『猟奇的な彼女』(TBS)に出演しました。10月には、向田邦子の小説を原作に劇団ONEOR8がプロデュースした『思い出トランプ』で舞台デビューを飾りました。

男/忍成修吾

忍成修吾(おしなりしゅうご)は、1981年千葉県生まれの俳優です。高校時代から雑誌『Popteen』など高校生向け雑誌の読者モデルとして人気を博します。1999年テレビドラマ『天国に一番近い男』で俳優デビューを飾ると、2001年岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』で元優等生でいじめの主導者を演じ注目を集めます。

2010年、瀬々敬久監督の4時間を超える巨編映画『ヘヴンズ ストーリー』に出演。2014年には『幽霊』で舞台デビューします。代表作としては、上記の他に映画では『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』『Life』、テレビドラマでは『有閑倶楽部』『山田太郎ものがたり』『魔王』などがあります。

玩具修理者/姿月あさと

姿月あさと(しづきあさと)は、1970年大阪市都島区出身の歌手、元宝塚歌劇団宙組初代トップスター。1987年3月宝塚歌劇団入団。初舞台は雪組公演『宝塚をどり讃歌/サマルカンドの赤いばら』。入団から5年後の1992年8月新人公演『心の旅路』で2番手役に抜擢されます。1993年6月月組に組替えされると、新進男役スターとして活躍します。1997年5月には、トップスター真琴つばさに次ぐ2番手スターになりました。

1998年1月、宙組の立ち上げメンバーに選ばれ、『エクスカリバー/シトラスの風』で初代トップスターに就任。『エリザベート』など数々の名作で主演を務めました。1999年、『激情-ホセとカルメン-/ザ・レビュー'99』にホセ役で主演し、芸術祭賞演劇部門優秀賞を受賞しています。2000年5月退団公演『砂漠の黒薔薇/GLORIOUS!』では、チケット購入競争率や観客動員数で当時の記録を更新しています。

玩具修理者の声/美輪明宏

美輪明宏は、1935年長崎県長崎市出身のシンガーソングライター、俳優、演出家、タレント。小学校の頃から声楽に強く惹かれ、国立音大付属高校に進みますが中退。16歳でプロの歌手として活動を始めます。クラシック・シャンソン・タンゴ・ラテン・ジャズとジャンルにこだわらず歌い、銀巴里やテレビに出演するようになりました。

1957年「メケメケ」が大ヒットし、アバンギャルドなファッションと美貌で世に衝撃を与えます。日本におけるシンガーソングライターの草分けとして知られ、「ヨイトマケの唄」ほか多数の歌曲を作曲しました。1984年フランス、1987年再度フランス・スペイン・ドイツに招聘されコンサート・ツアーを行います。ル・モンド、リベラシオンをはじめとする数々の有名新聞・雑誌で絶賛されました。

玩具修理者の評価や感想は?

常識も通用しない世界

小林泰三の小説『玩具修理者』には、人間が生きていく上での基盤となるような基本的な事柄、それを当たり前とすることに対する純粋な問いかけがあります。50ページに満たない短編小説ですが、常識を根底からひっくり返してしまうような倒錯の世界が詰まっています。

血なまぐさいシーンばかりに興味が向かいがちですが、たとえば、生物と無生物の違いについて論拠となる「常識」が問われる一節があり、とても考えさせられるという感想も多くありました。気持ち悪い描写がありますが、それさえクリアすれば一読の価値大いにありです。(ただし、生々しいグロシーンが苦手な方は、注意した方がよいでしょう)。

ミステリーの醍醐味あり!

小林泰三の小説『玩具修理者』に、ホラーというよりもミステリーの要素に惹かれたという感想がありました。この小説『玩具修理者』の最後のオチに推理小説の種明かしのような趣向があり、それがこの小説を鮮やかに印象づけていました。

読んでいる間は秘密と意識しなかったことが、最後の最後で明かされる、いわゆるミステリーの醍醐味が味わえる作品です。

異常性に恐怖!

また姉が親から虐待を受けているのか、弟を殺してしまった罪悪感よりも親に怒られない様、修理の方法を知った上でも修理を繰り返し頼む様子が姉の異常性を引き立て、この話の恐ろしさに繋がっていると感じた。 

小林泰三の小説『玩具修理者』。人体をバラバラに分解する生々しい表現の怖さもさることながら、弟の命よりも親との関係性を重視する姉の冷徹な異常性により怖さを感じたという感想です。また、私たちが心のよすがとしている常識が崩れていくのを見る時の不安感が、怖さを増幅させているという声もありました。

玩具修理者の小説あらすじや感想まとめ

ここまで小林泰三の小説『玩具修理者』のあらすじや感想をネタバレ解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。わずか50ページという短いストーリーの中に、ホラー要素から本格的ミステリーの醍醐味までギュッと詰め込んだ読み応え満点の小説と評判です。血なまぐさい表現に過敏でなければぜひ一読をおすすめします。

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