2018年12月18日公開
2018年12月18日更新
少年H・映画版のネタバレあらすじと結末まとめ!原作小説も紹介
2013年に映画化された『少年H』には原作小説があることを知っていますか?今回は少年Hの映画版の結末に至るまでのあらすじのネタバレはもちろん、主人公の父親役を演じた水谷豊さんをはじめとするキャスト陣についても詳しくご紹介します。『少年H』の原作小説にも触れ、作品の感想もまとめていきます。『鉄道員(ぽっぽや)』の降旗康男監督が戦時下の神戸を描いた、舞台美術家である妹尾河童さんの自伝的小説の映画化は、話題を呼び、感動した人々の声が多く聞かれました。
目次
少年H・映画版のあらすじと結末をネタバレ!原作小説についても紹介!
『少年H』の映画版についてあらすじのネタバレを紹介していきます。水谷豊さんはじめとするキャスト陣についても触れていきます。映画の元になった原作小説についても解説します。映画を鑑賞した人や小説を読んだ人の感想もご紹介します。
少年H・映画版のキャストは?水谷豊などが登場!
少年H映画版のあらすじネタバレの前に、まずは水谷豊さんはじめとするキャスト陣について紹介していきます。
妹尾盛夫役/水谷豊
大人気『相棒』シリーズでおなじみの大物俳優、水谷豊さんです。子役時代を経て『熱中時代(教師編)』の主演で大ブレイクし、人気俳優となります。現在は『相棒』などレギュラードラマ、2時間ドラマなどで活躍中です。水谷豊さんは、少年H映画版で少年Hの父親役を演じるにあたって次のようなコメントをされています。
「理不尽な戦争に対する少年Hのこの言葉は、ぼくの心にやりきれなく突き刺さった。そして、そんなHを見守る父親の姿は、同じ子供を持つ親としても強くぼくの心をゆさぶった。悲惨な戦争を健気に生き抜いた一家の姿は、ぼくに大きな感動を与えてくれた。この原作を読み、ぜひともこの映画に出演し、Hの父親を演じたいと思った」(水谷豊)
妹尾敏子役/伊藤蘭
キャンディーズのランちゃんとして愛されてきた元アイドルの女優、伊藤蘭さんです。映画『ヒポクラテスたち』で女優に復帰し、ドラマ『事件記者チャボ!』で共演した水谷豊さんと結婚しました。少年H映画版では約30年ぶりの共演で、奇跡の共演だと話題になりました。伊藤蘭さんは、少年H映画版で少年Hの母親役を演じるにあたって次のようなコメントをされています。
河童さんが「お母さんはとにかく厳しくて苦手だった」とおっしゃっていましたが、強い信仰心を核にして、厳しくとも深い愛情で家族を支え慈しんでいた方だと思います。実際原作にも、神を信じる真っすぐさに加え、完璧すぎない人間っぽい面白さやおかしみも併せ持ったかわいらしい女性としての部分も描かれていたので、演じるときは何となくですが、三歩ではなく、半歩下がるようなイメージでやらせていただきました(笑)。
妹尾肇役/吉岡竜輝
NHK連続テレビ小説「カーネーション」で子役として出演し、少年H映画版では主役に抜擢されます。2015年に歌舞伎役者の坂田藤十郎(四代目)から中村未輝という名前をもらい、部屋子となっています。
妹尾好子/花田優里音
花田優里音さんは、前述の吉岡竜輝さんと同じく、NHK連続テレビ小説「カーネーション」で子役として出演しています。その後ピアノに専念するため芸能活動を休止していましたが、女優の蒼井優さんを目標に活動されている女優です。少年H映画版では少年Hの妹役で出演しています。
うどん屋の兄ちゃん役/小栗旬
言わずと知れた大人気俳優の小栗旬さんです。子役時代を経て、ドラマ「花より男子」で人気を博したのち、ドラマ、映画、舞台などさまざまな方面で活躍されています。女優の山田優と結婚しています。少年Hの家の近くのうどん屋の二階に住む「うどん屋の兄ちゃん」を演じています。
下山幸吉(オトコ姉ちゃん)役/早乙女太一
大衆演劇の「葵劇団」劇団員の両親の元で生まれ、2代目として子どもの頃から役者となり、北野武監督の『座頭市』で抜擢されて以降、絶えることなく人気を集めている早乙女太一さんです。女形として舞台に立つことでも知られていますが、降旗監督の今回の起用は早乙女太一さんのファンであったこともあったそうで、少年H映画版では得意演目を演じています。
水谷豊さん演じる少年Hの父親役の盛夫に洋服の仕立てを頼む青年で、元女形の旅芸人で、今は映画館の映写技師をしているという「オトコ姉ちゃん」役です。
田森教官役/原田泰造
お笑いタレントで、お笑いトリオであるネプチューンのメンバーである原田泰造さんです。俳優としても大活躍されています。少年Hの中学校の教官役を演じています。
久門教官役/佐々木蔵之介
出典: https://thetv.jp
NHK連続テレビ小説『オードリー』でブレイクし、ドラマ『ハンチョウ〜神南署安積班〜』では主演を務めるなど広く知られている舞台演劇出身の俳優、佐々木蔵之介さんです。少年H映画版では少年Hの中学校の教官役を演じています。
吉村さん役/國村隼
海外作品、邦画ともに活躍をしている俳優の國村隼さんです。少年Hの近所に住む酒屋さんで、在郷軍人でもある「吉村さん」を演じています。
柴田さん役/岸部一徳
出典: https://eiga.com
「ザ・タイガース」のリーダーで元メンバーであるミュージシャンから転身した、本格派俳優の岸部一徳さんです。映画やドラマで名脇役を演じることに定評があります。少年Hの近くに住む銀行員の「柴田さん」を演じています。
少年H・映画版のあらすじをネタバレ紹介!
これまで水谷豊さん、水谷豊さんの奥さんである伊藤蘭さんをはじめとするキャスト陣について、主要キャストから脇役キャストに至るまで紹介していきました。いよいよここから『少年H』の映画版のあらすじをネタバレ紹介していきます。ストーリーを既に知っている方も、ぜひおさらいに読んでみてください。
「H」と呼ばれている少年
時は昭和初期の頃のことです。妹尾肇(せのおはじめ)という少年が、家族と一緒に神戸下町に住んでいました。その頃の神戸の下町は工場や市場、民家が入り組んだところでした。当時の日本ではまだ珍しかったセーターを着て、その胸に大きく「H」と、名前のイニシャルを編みこまれていたので、「H(エッチ)」というニックネームがつけられたのです。
少年Hは好奇心旺盛で正義感の強い子どもでした。親には内緒で、近所の優しいお兄ちゃんの家に通っては映画やレコードを楽しみ、また、戦艦や風景の絵を描くのも得意でした。
先進的な考えを持つ妹尾一家
「言葉は違っても、人間は人間や。違いはない」そういう発言ができるほど先進的な考えの持ち主なのは、主人公少年Hこと妹尾肇の父親、水谷豊さん演じる妹尾盛夫です。盛夫はフランス人、ドイツ人、アメリカ人、ユダヤ人など、さまざまな国の人を相手取って商売をする洋服の仕立て屋でした。
少年Hが、水野豊さん演じる盛夫が神戸の居留地に住む外国人のお客様を相手に、さまざまな言語で話すのを見て、父親はすごいと感心しているときも、「外国人との付き合いも人と人やからな。国や言葉はあんまり関係ないんと違うかな」と返すなど、さらっと謙遜をするような人物でした。
盛夫は「妹尾洋服店」という紳士服の仕立て屋さんを営み、盛夫の妻で少年Hの母である伊藤蘭さん演じる妹尾敏子はその手伝いをしていました。少年Hには父母の他に2歳年下の妹、好子もおり、この一家は4人家族でした。
戦争の足音
水谷豊さん演じる父盛夫は、神戸の外国人の住む住宅地へと通って紳士服の仕立てをしており、少年Hは父が外国人から大切にされている様子をよく見ていたのです。しかし戦争がはじまり、フランス人のオーナーはせっかく盛況だったレストランを閉店して帰国してしまいます。盛夫はそのフランス人との別れにあたって、最後に洋服の仕立ての注文を受けました。
赤いレコード
少年Hの家の近所にあるうどん屋の二階に住んでいる青年がいました。そのうどん屋の兄ちゃんが歌う歌が、少年Hは好きだったのです。うどん屋の兄ちゃんも少年Hを気に入り、夜になるとうどん屋の二階の部屋に少年Hを入れてくれます。コーヒーを作り、手回しのレコードを聴かせてくれました。そのレコードはオペラで、藤原義江の『女ごころの唄』でした。「風の中の」「女ごころ」とかなしげに歌が流れます。
赤いラベルのレコードを見た少年Hは、うどん屋の兄ちゃんに「今度から赤盤の兄ちゃんと呼ぶ」と言います。なぜなら少年Hは赤いラベルのレコードが普通のレコードよりも高価で貴重なものだと知っていたからです。尊敬の念を込めて言ったつもりだったのですが、うどん屋の兄ちゃんは怒ってしまいます。
その後のある夜に、警察の人間が多く押し寄せて、うどん屋の兄ちゃんは逮捕されてしまいます。うどん屋の兄ちゃんの部屋にいた友人も、うどん屋の親父さんまで逮捕されてしまったのです。うどん屋の兄ちゃんは実は、通称アカと呼ばれる反政府主義者、共産主義者の人間だったので、政治犯として逮捕されたのでした。水谷豊さん演じる盛夫は、少年Hに、うどん屋の兄ちゃんと関わりがあったことは内緒でいるように言って聞かせます。
オトコ姉ちゃんの行方
元女形の旅芸人で、今は町の映画館で映写技師をしているオトコ姉ちゃんという人がいました。妹尾洋服店に洋服の仕立てを頼みに来ていた青年です。少年Hはオトコ姉ちゃんと呼んで懐いていました。少年Hに無料で映画を見せてあげる約束もしていました。
しかし1941年12月、日米の戦争がとうとうはじまりました。赤紙はオトコ姉ちゃんの元にも届きました。少年Hとの約束を果たすことのないまま、老いた母を一人きり残したまま、オトコ姉ちゃんは出征することになったのです。
オトコ姉ちゃんが召集令状をもらって出征したあとしばらくしたある夜のこと、二人の憲兵が少年Hの家を訪ねてきて、戦地に向かったはずのオトコ姉ちゃんが出征していないのだと荒々しく怒鳴り散らして、オトコ姉ちゃんを探しに来ます。
それから数日後、廃墟の中で、少年Hは入隊せずに脱走したオトコ姉ちゃんの行方に、変わり果てた姿に対面してしまいます。梁にぶら下がり首を吊っているオトコ姉ちゃんの姿を、偶然見つけて目の当りにしてしまったのです。少年Hは衝撃を受けました。
クリスチャンの信仰
出典: https://jfdb.jp
水野豊さんの妻で、今回の役柄でも水野豊さん演じる盛夫の妻を演じる敏子が熱心なクリスチャンで、妹尾家は毎週日曜日に教会に通っていました。そんな生活の中で、妹尾一家にクリスチャンになるよう勧めてくれた女性のおばさん宣教師のステープルス先生が、突然母国であるアメリカに帰国するという話が知らされたのです。
これは実は日本とアメリカの間で戦争が始まるその日が近づいて来たからだったのです。しかし、少年Hがステープルス先生に帰国のわけをたずねても、先生はその理由をとうとう話してくれることはありませんでした。
日本を離れた宣教師のステープルス先生から、少年Hのもとに絵葉書が届きました。少年Hは絵葉書を見て、アメリカの大きさというものを知ります。それはニューヨークの摩天楼、エンパイア・ステート・ビルディングでした。100階建ての大きなビルが建ち、車がたくさん走るアメリカの様子を見て、世界の広さとスケールの大きさに触れたのです。ところがこの絵葉書が、思いもよらぬ悲劇を起こしてしまうのです。
スパイ一家の疑い、父の取った行動とは?
翌年の1942年の4月のことです。戦争の熱はますます過熱し、少年Hの学校に置いてあった二宮金次郎の銅像ですら、砲弾作りの材料になるべく万歳三唱で送り出されて「出征」していったのです。そんな折です。少年Hの父で水谷豊さん演じる盛夫が、特別高等警察、通称特高にスパイの嫌疑をかけられたために、突然スパイ容疑で連行されてしまいます。
クリスチャンであるということ、仕事が「洋」服を仕立てる仕事であること、仕事上の関係で外国人と関わりがあることに加えて、少年Hの宣教師のステープルス先生からもらったアメリカからの絵葉書が、外国と連絡を取っているとされて疑われてしまったのです。
それは一晩をかけた大変な拷問でした。水谷豊さん演じる盛夫の職業が仕立て屋だと知っている特高は、尋問をして責め立てた上に、盛夫の手の指を拷問に掛けて仕事ができなくなるように痛めつけたのです。盛夫はそんな過酷な状況の中でも「私は洋服の仕立てをしているだけです。スパイではありません」と主張して耐え抜きました。拘留が終わり解放された時には、盛夫の指はぼろぼろになっていました。
息子である少年Hだけが、水谷豊さん演じる盛夫が指に鉛筆を挟まれて締め上げられるという卑劣な拷問を受けて、なおそれに耐え抜いたことを知っていました。少年Hは友人のいっちゃんがアメリカからの手紙のことを言いふらしたのだと主張します。
しかし盛夫は友人だけが悪いのではない、拷問のことは母や妹に言わないようにと言い含めます。「犯人捜ししたら、あんたまでつまらん人間になってしまうよ」「戦争はいつか終わる。その時に恥ずかしい人間になっとったらアカンよ」と諭しました。
しかし、盛夫は一晩特高に連行されるほど疑わしい身の上、そして妹尾一家はクリスチャン一家です。このような事件が重なった末に、妹尾一家はスパイ一家だと噂が広まってしまいます。近所の人たちから疎まれ遠ざけられるようになった盛夫の妻でクリスチャンの敏子は、隣組の班長を引き受けて信頼を取り戻そうと、地域に貢献します。
おかしくなっていく世の中
少年Hは中学生になりました。その時分、少年Hの周りでは日本は必ずこの戦争に勝利するのだと、大人も子どもたちも信じて疑わず、決めつけていたのでした。1942年4月18日のドゥーリトル空襲の報せがあったにも関わらず、周囲の様子は相変わらずだったので、少年Hは世間や学校の友達の言動に反発を覚えるのでした。
軍事統制下で、軍事教練のために送りこまれた軍事教官が、戦争に向けての軍事教練を行う毎日でした。友人たちに心配されながらも、間違っていることは間違っていると言わずにはいられない、正義感の強い少年Hなのでした。先生からは当然目をつけられて、殴られることもありました。
「みんな、聞いてほしい。大島さんが爆撃で亡くなった。二中生では始めての犠牲者にったんや。苦しいときこそ、国民が一つになることが大事なんやと思う」「国を守るために命を捧げることは日本男児の本懐や。勝つか負けるかやない。自分がどれだけ、日本のために尽くせるかや。そうやろ」「オレは、いざとなったら、生きるより、敵を一人でも、二人でも刺し殺してから玉砕する。二中生の大和魂を見せてやろやないか」
クラスの生徒全員が盛り上がる中で、少年Hは因縁をつけられます。「何か言いたいことあるか?」少年Hが「別に」と答えると、「オマエ、玉砕できるのか?」とさらに問い詰められます。少年Hが「玉砕するのは、日本の作戦が悪いからやないか?」と言い、生徒が「なんやと?」と問い返すと、少年Hも「新聞もラジオも、ウソばっかりやて。ボクら本当のこと知らされんでドンドン人が死んで行っているやろ?」と返します。
いよいよ敗戦の雰囲気が漂い始めてきた中でしたから、図星をつく言葉でした。「非国民!精神をタタキ直してやる!」と、取っ組み合いになります。しかし、そんな横暴が横行する一方で、少年Hの絵を上手だと優しく褒めてくれる先生もいたのでした。
大空襲が神戸の街を襲う
暮らしが貧しくなっていく中で、人々は食べものにありつくことすら覚束なくなっていきます。水谷豊さん演じる少年Hの父親である盛夫は、洋服を仕立てる仕事が減ったために消防団員として消防署で働きます。水谷豊さんの奥さんである伊藤蘭さんが演じる少年Hの母親の敏子は、町内で隣組の班長を務めます。小学生の、少年Hの妹である好子は、学童疎開に赴くことになります。そんな中で大空襲という惨事が起こるのです。
終戦の直前、神戸は大空襲に襲われます。少年Hは降り注ぐナパーム弾を見て「綺麗やなぁ」と見ています。水谷豊さん演じる少年Hの父である盛夫は、消防隊員として消防署に駆けつけますが、その間に焼夷弾の火が少年Hの家に移り、少年Hの家は全焼してしまいます。水谷豊さんの妻の伊藤蘭さん演じる少年Hの母親敏子と、少年Hは降ってくる焼夷弾の火に水をかけて火を消そうと試みるのですが、だめでした。
せめて父親の商売道具のミシンだけでも救出したいと、少年Hは家の二階からミシンを下ろそうとします。少年Hと母親の敏子は一緒に重いミシンを道路まで持っていったのですが、周りを火に取り囲まれてとても隙がありません。ミシンをそこに置いて逃げて、自分たちの命を守りました。
空襲の翌日の朝のことです。神戸の街はすっかり焼け野原になってしまっていました。そこに消防活動から帰ってきた水谷豊さん演じる少年Hの父、盛夫が帰ってきて少年Hと再開します。黒焦げになり、壊れてしまった変わり果てたミシンを見つけて呆ける盛夫の姿がありました。
少年H・映画版の結末は?映画の感想も紹介!
これまでは少年Hの映画版の水谷豊さんはじめとするキャスト陣や、映画の内容のあらすじネタバレを詳しくまとめていきました。ここからはあらすじの最後の部分のネタバレを紹介していきます。映画の感想についても意見が多く出ているので、一部をご紹介していきます。
戦争の後
1945年8月、戦争が終わりました。すると少年Hの周りの世界は驚くべき変化をします。軍国主義をさかんに唱えていた大人たちが、米兵に下手に出て、資本主義、民主主義の時代だなどと、今までとは180度違う主張をするようになったのです。心優しい少年Hはそんな大人たちを許しはしますが、世の中の移り変わりを受け入れることができないでいました。「みんなワカメだ」「この戦争、なんやったんや」と思います。
終戦後、「戦争が終わってよかった」と言う少年Hに、同級生はいきなり殴りかかります。実はこの同級生の父親は出征したきり戻らず、母親は空襲の被害を受けて重体だったのです。この同級生は少年Hを殴ったことを謝り涙し、少年Hもまた同級生を抱きしめて泣いたのでした。
理不尽の果てに
平和な日々が戻りつつある一方で、家が空襲で燃えてなくなった妹尾一家は、学校で生活をすることになります。春には疎開先から少年Hの妹の好子も無事に帰ってきました。周囲の人たちは食べ物がない一方で、妹尾一家は白米を手元に持っていました。
クリスチャンの母敏子は、おにぎりを他の人々に分け与えてしまい、少年Hは「クセになるぞ」などと反発します。いつも頼りにしている父盛夫も何も言いません。少年Hは「なんでお母ちゃんを止めんへんのや!、なんで黙ってるんや!父親らしいことゆうてくれよ!」と盛夫をなじります。そして、自殺を図ることを決意するのです。
遺書を家に残して、線路の上に寝転がり自殺を図る少年Hでしたが、結局死ぬことができずに家に戻りました。焼け焦げて壊れたはずのミシンを修理して笑顔を取り戻す盛夫に、希望を見出します。そして少年Hもやがて家を離れて独り立ちをすることになり、ペンキ屋に就職しました。もともと絵が得意だった少年Hが楽しそうに仕事をしている姿と共に、映画は幕を閉じます。
映画の感想
ここまで、少年H映画版のあらすじのネタバレを結末までをまとめて紹介していきました。次は、映画を見た人からたくさんの反響があった中で、寄せられている感想を紹介していきます。
10年以上前に原作既読「少年H」観ました。原作の方がだいぶ良いかな。この映画は少年の成長物語としての面が強すぎて、時代の空気が実はこれでもそれほどは描かれてはいない。キャストが「相棒」とかぶりまくりなのも気になって仕方がない。長い話をまとめた点はそれなりに評価したい。
— 黒凪bee (@Kulonagi) February 7, 2014
『少年H』原作小説を先に読まれている方の感想です。原作の方が良いという意見、キャストがテレビドラマシリーズの『相棒』とかぶっているという意見が寄せられています。一方で、少年の成長物語として長い話をまとめられていることは評価されています。
「少年H」感想
— ノザキ・ハイウェイ (@kimurahikaru) August 16, 2013
神戸の平凡な家族の少年の目線から戦前・戦中・戦後を描いた映画なので、戦場の描写は一切無く、暴力描写も抑え目。あと原爆にも一切触れなかったのは原作通りなのかな?どちらかといえば戦争の悲惨さよりもその中での家族のがんばりに重きを置いていた。
こちらの感想も、やはり戦争の悲惨さはあまり描かれていないということに注目されています。家族の姿に重きをおいた作品だと捉えられています。
私の一番は『少年H』かな。ずっと戦争に懐疑的だったHくんが、敗戦後の手のひら返しに耐えられなくて、もうこれ以上「生きていられない」って思うところがね。あの絶望を仮想体験することが、映画に出来る「反戦の強化」だと思ってる。
— acacia (@freie_Herz) November 24, 2016
映画版『少年H』に感情移入できるという感想も寄せられています。少年Hが敗戦後に「生きていられない」と思う絶望に共感することで、反戦につながる映画だと評価されています。
「少年H」、面白かった。この映画に賞を与えたモスクワ映画祭は大したものだ。4人とも無事でよかった。あんな具合に、生き延びられればいいのだけれど、と、そう思う。原田泰造とか、國村隼とか、岸部一徳は、今もいるし、きっと、次の戦争が終わったときも同じように振る舞うだろう。池田信夫とか。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) August 17, 2014
面白かったという感想も寄せられています。敗戦後の人々のふるまいについて、リアリティを感じるという意見です。
少年Hの原作は小説!原作を読んだ人の感想は?
ここまで映画版少年Hのあらすじネタバレと感想について紹介してきましたが、舞台美術家でもある妹尾河童さんの小説、『少年H』は、上下巻合わせて340万部を超えるヒットを起こしたミリオンセラー作品です。映画版少年Hのあらすじネタバレと感想のご紹介だけでなく、原作小説を読んだ人の感想もあわせてご紹介します。
妹尾河童さんの少年H完読。11歳〜15歳の少年期に感じた少年の眼でみた戦争体験記。読んでみて、日本の政治がいかに愚かしいかが、よく解る。あれから67年。
— てんちゃん (@noritama1118) August 15, 2012
原作小説の『少年H』を読んで、日本の政治について考え、戦争からどれだけの時間がたったのか思いを馳せる感想が寄せられています。
『少年H・下巻』完読。時代の流れ、変化は仕方がないことだし、事柄によっては必要だが、忘れてはならないことがたくさんあると思う。
— kazu_k (@numberillust) July 29, 2011
『少年H』の原作小説を上下巻とも読んだ人の感想です。戦前と戦後で変化する時代の流れについて、忘れてはならないことがたくさんある、と少年Hの周りで起こったことについて触れられています。
『少年H』上・下巻完読。面白かった。現在の日本と通じるものを強く感じた・・・けど、決定的に違うもの・・・それは今を生きるわたしたち人間なんじゃないかと思った。
— Hiromi S (@hiromiflora) May 11, 2011
『少年H』の原作小説が面白かったという感想も寄せられています。現在の日本と通じるものを感じ、一方で当時と決定的に違うものは今を生きている人間であるかどうかだと感想が述べられています。
少年H・映画版のあらすじと結末をネタバレ紹介まとめ!
戦前から戦後の神戸で試練を乗り越えて生き抜いた家族の歴史を描いた映画版少年Hについてここまでまとめてきました。実際の夫婦である水谷豊と伊藤蘭が少年Hの父親と母親役を演じている話題作です。高倉健主演の『あなたへ』などもてがける名監督の降旗康男氏が感動を呼ぶ演出と韓国の土地で神戸の町並みを再現したことも高く評価されています。
映画版少年Hのあらすじのネタバレと結末、映画を観た人の感想、原作小説を読んだ人の感想を詳しく紹介していきました。ここまでお読みいただきありがとうございました。