ビガイルド欲望の目覚めをネタバレ!感想や衝撃的なあらすじ・ラストを解説

『ビガイルド 欲望の目覚め』は2017年公開のアメリカ映画。監督はソフィア・コッポラ、主演はコリン・ファレルとニコール・キッドマンです。原作はトーマス・カリナンの小説『The Beguiled』ですが、少しネタバレすると同小説はすでにドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッド主演で映画化しています(日本語題名:白い肌の異常な夜)。それでは映画『ビガイルド 欲望の目覚め』ラストまでのあらすじとネタバレありの感想まで一気にご紹介します。

ビガイルド欲望の目覚めをネタバレ!感想や衝撃的なあらすじ・ラストを解説のイメージ

目次

  1. ビガイルド欲望の目覚めの感想やあらすじをネタバレ紹介!
  2. ビガイルド欲望の目覚めとは?
  3. ビガイルド欲望の目覚めの衝撃的な映画あらすじをネタバレ!
  4. ビガイルド欲望の目覚めのラストを解説!
  5. ビガイルド欲望の目覚めのネタバレ感想を紹介!
  6. ビガイルド欲望の目覚めの感想やネタバレあらすじまとめ!

ビガイルド欲望の目覚めの感想やあらすじをネタバレ紹介!

2017年のアメリカ映画『ビガイルド 欲望の目覚め』。ドン・シーゲル監督が1971年に発表した映画のリメイク版ということですが、女流監督ソフィア・コッポラがどうアレンジしたのか気になるところです。前作邦題「白い肌の異常な夜」や本作の「欲望の目覚め」という言葉から禁断の世界を想像してしまいます。この作品で女性として2人目となるカンヌ映画祭監督賞に輝いたコッポラ監督だけに、観る側の期待もふくらみます。

それでは、さっそく映画『ビガイルド 欲望の目覚め』の感想やあらすじをネタバレ紹介してまいりましょう。

ビガイルド欲望の目覚めとは?

監督はソフィア・コッポラ

『ビガイルド 欲望の目覚め』は、アメリカ本国では2017年6月23日、日本では翌2018年2月23日に公開されました。

『白い肌の異常な夜』がハードボイルドの巨匠ドン・シーゲルが監督を務めたのに対し、本作では女性監督のソフィア・コッポラがメガホンを取りました。ソフィア・コッポラは1971年アメリカ・ニューヨーク州生まれで、映画監督、プロデューサー、脚本家、女優、ファッションデザイナーと多彩な顔を持ちます。父親は『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』で知られる巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督です。

1998年に『リック・ザ・スター』で映画監督デビューを果たすと、2003年『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー脚本賞やゴールデングローブ賞脚本賞、セザール賞外国映画賞を受賞し、一躍注目されます。さらには2010年『SOMEWHERE』で第67回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞しています。

主演はコリン・ファレルとニコール・キッドマン

負傷した兵士ジョン・マクバニー役はコリン・ファレル、マーサ・ファーンズワース学園園長役はニコール・キッドマンが演じています。

コリン・ファレルは、1976年生まれのアイルランド人俳優です。2000年シュマッカー監督の「タイガーランド」で高く評価され、翌'01年「ジャスティス」や'02年「マイノリティ・リポート」に抜擢されます。'08年「ヒットマンズ・レクイエム」でゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞を受賞。その他、'16年「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、'17年本作など話題作に相次いで主演しています。

ニコール・キッドマンは1967年アメリカ・ハワイ出身、オーストラリアの女優、映画プロデューサーです。'02年の『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞を受賞しました。また、ゴールデングローブ賞に5度、テレビドラマではエミー賞に2度輝いています。また、'06年には俳優としての功績や人道支援活動が評価されオーストラリア国民の最高栄誉、勲章「Companion of the Order of Australia」を受賞しています。

ドン・シーゲル作品のリメイク版

ソフィア・コッポラ監督は本作『ビガイルド 』がリメイクであることを否定していますが、誰しも'71年のクリント・イーストウッド主演映画『白い肌の異常な夜』を思い浮かべてしまうことでしょう。ともに'66年のトーマス・カリナンの小説『The Beguiled』を原作としています。同一小説を脚色していますから、基本的なストーリー展開は同じです。基本は同じでも脚本、演出によってどのような違いが出るのか興味あるところです。

『ビガイルド』あらすじ概要

時は南北戦争3年目の1864年。南部バージニア州の人里離れた森の中、ファーンズワース女子学園が舞台です。ここには帰省できない少女5人と教師エドウィナ、校長マーサの7人がに暮らしていました。ある日、足を負傷した北軍伍長ジョン・マクバニーが担ぎこまれます。彼女たちはキリストの教えに従い、敵軍の兵士を手厚く看護します。ここから男子禁制の「秘密の園」に迷い込んだ男の、身の毛もよだつ恐ろしい物語の始まりです。

ビガイルド欲望の目覚めの衝撃的な映画あらすじをネタバレ!

ネタバレあらすじ①マーサ・ファーンズワース女子学園!

それでは、映画『ビガイルド 欲望の目覚め』の衝撃的なあらすじのネタバレ解説に移ってまいります。

最初の『ビガイルド』のネタバレは「マーサ・ファーンズワース女子学園」の実態です。時は、4年間続いた南北戦争3年目の1864年、物語の舞台マーサ・ファーンズワース女子学園では、絶えず砲弾の飛び交う音が聞こえてきます。この学園には、園長マーサ、教師のエドウィナと事情により家に帰ることのできないエイミーやアリシア、ジェーンなど5人の女生徒が暮らしていました。

ある日、森でキノコを狩る女生徒エイミーは、左足を負傷して動けなくなった兵士を見つけます。男は北軍伍長ジョン・マクバニーと名乗ります。エイミーは彼の手当を行うため自分が通う女子学園へ連れて帰ります。園長マーサは戸惑いながらも、生徒たちに慈愛を学ばせる機会になると考えジョンをかくまって治療することに決めました。まず気を失っているマクバニーを音楽室へと運び、教師エドウィナと2人で治療を始めます。

ネタバレあらすじ②女の花園に迷い込んだ兵士!

次の『ビガイルド』のネタバレは傷ついた男の物語です。園長マーサは手際よく手当をしますが、兵士ジョンの傷はかなりの重症でした。まずハサミでズボンを切って左足から銃弾を摘出した後、傷口を縫い合わせて消毒します。マーサは騒々しい女生徒たちを外に出すと、部屋の扉を閉めジョンの身体を濡れたタオルできれいに拭いてあげます。しかしマーサ自身も久しぶりの異性との接触で心臓の鼓動が早まるのを感じ、動揺します。

何とか傷の処置が終わり、ジョンが回復するまで看護を続けることにしました。ところが、学園では女性教師や女生徒たちの間に変化が現れ始めます。おませなアリシアはジョンに色目を使い、教師エドウィナは普段しないブローチを身につけて着飾るなど、学園内にはいつもと違う空気が漂っていました。この時ばかりはジョンも紳士的にふるまい、双方にあった警戒心はやわらぎ信頼感のようなものが芽生えていきました。

ネタバレあらすじ⓷学園に表れる変化

続いて『ビガイルド』のネタバレは、女の花園に訪れた変化についてです。最初は敵軍の兵士であるジョンに対して警戒心を抱いていた園長マーサも、次第に心を許していきます。やがてジョンの足の傷は快方に向かい、学園では彼の歓迎パーティを開くことになりました。

パーティでは、女生徒たちが作ったアップルパイが振舞われます。彼女たちは口々に、「アップルパイは私が作ったの」とか「私のレシピよ」、「リンゴは私が拾ってきたの」と、「私が…」「私が…」と止めどなく続く始末。女生徒7人は思い思いのおしゃれを決め込み、ジェーンが弾く伴奏に合わせて歌やダンスを楽しみます。戦争が始まってから途絶えていた、なごやかな時をジョン過ごすことができ皆満足感で恍惚としています。

ネタバレあらすじ⓸女たちの争奪戦

さらに『ビガイルド』のネタバレ解説は続きます。彼女たちの中でジョンに最も積極的にアプローチするのが、早熟な美少女アリシアでした。アリシアはジョンが寝ているところに押しかけ、キスをして彼を誘惑します。ジョンの方もまんざらではなさそうに応じました。

ジョンと打ちとけていくにしたがい、少しずつ女性たちにジョンの存在が大きくのしかかるようになってきます。女性たちは他人を蹴落とすように貶めることを言い合ったり、こっそりジョンの部屋を訪れるなどジョンの気を引くようになっていきます。これは、女生徒たちに限らず教師エドウィナにとっても同じでした。彼女のジョンを求める気持ちは日に日に強まり、まさに一線を越えようとしていました。

ネタバレあらすじ⑤兵士にも変化が!

次の『ビガイルド』ネタバレあらすじは、兵士ジョンの変化についてです。ジョンの方もまんざらではない様子で、彼女たちが次第に自分を恋焦がれる目で見てくれることに快感を覚え始めていきます。こうして今まで固く秩序を保ってきた女性たちの「秘密の園」は、砂上の楼閣のようにもろくも崩れていくのでした。

一方、ジョンもある事情を抱えていました。今は休んでいますが、ケガが治ったらまた戦争に行かなければなりません。そこで、ジョンは黙々と女子学園の庭の手入れをはじめます。園長マーサが「足が治ってきたから、そろそろこの学園から出ていって」と言うと、彼はこう答えます。「ここで庭師として雇ってほしい。もう戦争には行きたくないんだ」。園長マーサは突き放すように言います、「数日以内に出て行って」。

ネタバレあらすじ⑥中年教師の危険な冒険

あせったジョンは、自分の処遇に決定権のありそうな中年教師エドウィナをターゲットに猛アタックを開始。彼女の耳元で甘くささやきます、「君を愛しているよ」。そしてキスの嵐。ついに2人は男女の関係になってしまいます。

ある晩、部屋でジョンを待つエドウィナは、ジョンの部屋から聞こえるうめき声に気づきます。エドウィナが彼の部屋にそうっと入ると、何と生徒アリシアとジョンがベッドで愛を交わしているところでした。エドウィナはしばらくの間、放心状態になります。気づいたジョンは彼女に必死で言い訳をします。「勘違いだ。これは違うんだ…」

エドウィナは、「触らないで!」とジョンを振り払います。そのはずみでジョンは平衡を失い、階段から転落してしまいます。気を失うジョン。大怪我を負ってしまいます。騒ぎで目を覚ました園長マーサが駆けつけ、ケガの具合を確認します。回復しかけていた足は複雑骨折を負い、すでに壊死が始まっていました。

ネタバレあらすじ⑦園長マーサの決断

次の『ビガイルド』ネタバレは、マーサがジョンの命を救うために下した足を切断する決断です。「治りかけていた足が大変なことになっているわ。もう切るしか無い。ノコギリを持ってきて!」すぐに大手術が始まりました。手術は成功。しばらくして目を覚ましたジョンは激痛に顔をゆがめると、知らない間に足を切断されたことに怒り狂います。「あなたの命を救うためだったのよ」という園長マーサの言葉にも耳を貸しません。

女性たちに銃を突きつけ脅すと、ジョンは罵詈雑言の限りを尽くします。「お前たちのせいでこんな目にあった。足が無いなんて人間じゃないみたいだ。このビッチ野郎!」こうして敵軍兵士と彼を助けた女たちの信頼は崩れ去り、そこには恐怖におののく女生徒たちが取り残されました。教師エドウィナは何とかしようとジョンの部屋へ駆け込むと、自身の身体を差し出して彼を慰めます。「大丈夫?わたしのせいね。でも…愛しているから」

ネタバレあらすじ⑧衝撃的なの結末

『ビガイルド』ネタバレあらすじもいよいよ結末、女性たちの会議からです。「ジョンが怖い」「どうすればいいの?」「私もう無理よ」と口々に訴えます。「そういえば、猛毒キノコが森にあったわ」と1人が言うと、マーサがエミリーに採ってくるよう命じます。エミリーが森で猛毒キノコを採ってくると、それを使いジョンの好物キノコ料理を作ります。そして、落ち着きを取り戻したジョンを食事会に誘い、料理を勧めました。

こうして、まんまとジョンは毒キノコで殺害されてしまいます。何も知らされていなかったエドウィナは深く傷心してしまいます。しかし、みんながジョンの遺体を丁寧に布で包み門の外へ横たえると、それに逆らうことはできませんでした。門には敵軍兵士の存在を知らせる青い布をたらします。1人残されたエドウィナは遠くに目を向け呆然としています。そしてその他の女たちは、エントランスからジョンの遺体を見つめていました。

ビガイルド欲望の目覚めのラストを解説!

ラストのネタバレ①女性の献身的な看護

ここからは、この映画の肝ともなる衝撃のラストシーンに焦点をあて、ネタバレあらすじを解説していきます。

『ビガイルド』ラストネタバレ、最初は「献身的な看護」です。マーサ・ファーンズワース女子学園の女性たちの献身な看病の甲斐あり、ジョンのキズは癒え歩けるまでに回復します。敵軍兵士であるジョンに警戒心を抱いていた園長マーサも、次第に彼に心を許すようになります。ある日ジョンを歓迎する夕食の宴に彼を招きます。女性たちは競うようにオシャレをして、一時戦争を忘れて楽しい時間を過ごしました。

ジョンはこっそりエドウィナに近づき、「今夜きみの部屋に行きたい」と耳打ちします。うぶな教師エドウィナは舞い上がってしまい、新品のネグリジェを着てジョンが来るのを待ちます。ところが、いつまで待っても一向にジョンがやって来る気配はありませんでした。彼が向かった先はエドウィナの部屋ではなく、何と教え子アリシアの部屋でした。

ラストのネタバレ②男の裏切りに中年教師は!

次の『ビガイルド』ラストネタバレです。アリシアの部屋から声が聞こえたので、エドウィナは恐る恐る彼女の部屋に入っていきます。そこで目にしたのは、恋する男ジョンと教え子アリシアの抱き合っている姿でした。エドウィナは悲鳴を上げパニックに!慌てて部屋から出てきたジョンと揉み合いになります。「これは違うんだ…」というジョンの声も耳に入りません。「触らないで!」とエドウィナはジョンを振り払います。

ジョンは平衡を失い螺旋階段から転がり落ちてしまいます。騒ぎに気づいた園長マーサが駆けつけると、回復しかけていたジョンの左足は傷口が大きく開き粉々に砕けている状態でした。もはや手の施しようがなくこのまま放っておいたら出血多量で命を落としてしまいます。マーサは左足を切断することを決意、エドウィナにノコギリや麻酔薬を準備させ、解剖の本を見ながら切断手術を行いました。

ラストのネタバレ⓷怒り狂う兵士の男

『ビガイルド』ラストのネタバレは続きます。翌朝、麻酔から覚めたジョンは、激しい痛みと左足が切断されていることに驚きます。部屋中の物を破壊し狂ったように大声で暴言を吐きます。「よくもこんな体にしてくれたな。足がないなんてもう人間として終わってる。このクソビッチども!」マーサは外から鍵をかけジョンが部屋から出られないようにしています。怯える生徒たちを見て、マーサは善後策に思いをめぐらします。

マーサが思いついた策略は、門に敵がいることを示す青い布を吊るして南軍に助けてもらうというものでした。しかし、ジョンは生徒のひとりを銃で脅して部屋から出ていきます。青い布を使った作戦も、結局ジョンに見つかってしまい失敗に終わります。さらにジョンは、マーサが護身用に隠していた拳銃を奪って女性たちに向け脅します。その後ですぐに謝罪しましたが、女性たちの恐怖心はピークに達していました。

ラストのネタバレ⓸エドウィナだけは男の元へ

続いての『ビガイルド』ラストネタバレは、エドウィナの行動についてです。部屋に戻ったジョンの後を追うようにエドウィナも彼の部屋へ入っていきます。「大丈夫?わたしのせいだわ。愛しているの」。エドウィナは左足切断のことをジョンに謝ります。そのあと、2人は勢いにまかせて愛し合うのでした。

ちょうどその頃、園長マーサと生徒たちは会議の真っ最中でした。「ジョンが怖いわ」「これからどうすればいいの?」「私、もう無理よ」と口々に訴えます。「そういえば、猛毒キノコが森にあったわ」と1人が言うと、園長マーサが女生徒エミリーに命じます、「今すぐそれを取ってきて」。こうして毒キノコによる男の殺害計画が実行されることになりました。

ラストのネタバレ⑤恐怖の策略実行

次の『ビガイルド』ラストのネタバレは、策略実行です。エミリーが森で猛毒キノコを採ってくると、それを使ってジョンの好きなキノコ料理を作ります。その夜、遅ればせながらジョンの歓送会と称して夕食会が開催されます。エドウィナは何とか落ち着きを取り戻した主賓のジョンを連れてきます。食卓には沢山のご馳走が用意されますが、その中にはもちろん毒キノコ料理もありました。

ジョンは、マーサに勧められるまま大好物のキノコ料理をほおばり、しばらくすると痙攣を起こします。そして床に倒れるとあっけなく死んでしまいました。何も聞いていなかったエドウィナはひどくショックを受け茫然自失してしまいます。確かにジョンは危険極まりない男でしたが、色男で紳士的、エドウィナの容姿や人格を認めてくれた唯一の男性でした。仲間の陰謀により愛する人は死に、といって仲間を責めることもできません。

ラストのネタバレ⑥何事もなかったように

ラストのネタバレ解説も終焉に向かいます。皆はそんなエドウィナをよそに、最後の作業に取り掛かります。ジョンの遺体を丁寧に布で包み門の外へ横たえると、門には敵軍兵士の存在を知らせる青い布をたらします。1人エドウィナは唇を噛み締め、哀しい表情でいつまでも立ちすくんでいました。

ビガイルド欲望の目覚めのネタバレ感想を紹介!

ネタバレ感想①映像が美しい!

ここまで映画『ビガイルド 欲望の目覚め』のネタバレあらすじをラストまで順に追ってきましたが、最後にネタバレ感想を紹介します。

『ビガイルド』ネタバレ感想、最初は「映像の美しさ」です。映画『ビガイルド』を観てまず感じるのは映像の美しさです。撮影ディレクターはフィリップ・ル・スール。彼は撮影準備に1年をかけ、当時の時代考証に基づいて南北戦争時代の映像の忠実な再現をめざしました。撮影カメラにはヴィンテージレンズを使用し、女優たちの体形が美しく見えるよう画面サイズは横長のビスタサイズを採用しています。

また、電灯照明のない時代設定のため、基本的に照明機器は使わず太陽の自然光を活用しています。明るさが必要な場面でもロウソクの灯りを使うことで19世紀的雰囲気の再現に成功しています。そのため薄暗いシーンが多く女優たちの顔が見えにくいこともありますが、それが映像全体のリアリティを引き出していることも事実で、両者はトレードオフの関係と言えるでしょう。

ネタバレ感想②前半はダークな昼ドラ、後半は怒涛の展開

つぎのネタバレ感想です。『ビガイルド』前半は昼ドラのような女のドロドロした世界を描いています。遠くからそっと目で想いを伝える女、お酒を飲ませて2人の距離を縮める女、夜中に部屋に入り突然キスする女、というように、女性らしくギリギリのアプローチをしていくシーンは、観ていて思わず微笑ましく思う人も多いのではないでしょうか。同時に女は好きな人ができると平気で仲間を裏切るんだと怖くなる人もいるでしょう。

この映画『ビガイルド』ではそうした女性の醜さを巧みに表現していて、あるあると頷きながら鑑賞した人もいたことでしょう。その他、園長マーサがジョンのたくましい体をみて戸惑い興奮するシーンもあり、男性では思いつかない女性ならではのリアリティあふれる描写がありました。繊細かつリアルな恋愛描写が印象に残りました。

しかし、映画『ビガイルド』の後半では甘く妖艶な恋愛劇から一転、生死をかけた戦いへとさま変わりします。最初こそ紳士的にふるまっていたジョンは、一皮むけば根っからの女たらし。エドウィナだけでは飽き足らず、学園中の女性たちと関係を持とうとします。その結果、嫉妬に狂った中年教師エドウィナに階段から突き落とされてしまいます。その際左足を複雑骨折し、切断を余儀なくされます。

足を切断されたジョンは怒り狂い、拳銃片手に暴れ回ります。エドウィナ以外の学園内の女性たちは、ジョンの暴力に怯え、食事に毒キノコをまぜ彼を殺害、こうして物語の幕は閉じるのです。ジョンについては自業自得という見方もあるでしょう。

一方、彼を死に追いやるきっかけを作ったエドウィナについてはどうでしょうか。色男で紳士的で優しいジョンは、エドウィナの容姿や性格を褒め優しい言葉をかけてくれます。純粋なエドウィナは本気で彼を恋してしまいます。しかし、仲間の企てにより愛する人は死に、彼の方に非があるので仲間を責めることもできません。ラストのエドウィナの哀しい表情を見て「かわいそう」との感想を寄せる女性も多いのではないでしょうか。

ネタバレ感想⓷映像が綺麗で素敵だが、物足りない

『ビガイルド』について、こうしたネガなネタバレ感想もありました。人によって賛否両論、評価が大きく変わるのも興味深いところです。

『ビガイルド』がカンヌ監督賞受賞にふさわしい映画であるというところは共通した感想のようです。コッポラ監督は、雰囲気を演出することにかけてはピカイチの監督です。清らかな水が流れるように、素敵な場面からまた美しい場面へ次々にシーンはうつりかわっていきます。自然な太陽光が埃の舞う室内を映し出せば、観客にもそのぬくもりが伝わってくるし、絹のように柔らかく繊細な女の子たちの声も聞こえてきます。

この映画にはほとんどBGMが使われていません。その場の自然な音が聞こえてくるのみです。それが不気味な雰囲気を出すのに一役買っています。また、俳優陣の演技も秀逸です。ニコール・キッドマンは穏やかな口調でささやき、コリン・ファレルも魅力的な中年男性を好演し心に巣くう闇を暗示しています。キルステン・ダンストも中年にさしかかった独身教師の孤独と欲望を自然に表現しています。

女性ばかりの閉ざされた空間に男性が一人入ってきて…という話なのですが、初めから女性たちがいろいろな形でこの男性と接触しようとするのがかなりあからさまで、もう少し微妙なニュアンスがあったらいい作品になったのではと思いました。特に彼を交えて初めてみんなで食事をするとき、やり過ぎにみえるぐらいドレスアップするのですが、当時はこうだったのでしょうか。最後の展開は緊迫感があってよかったですが、それだけにニュアンスに欠ける前半が惜しかった。美しい映像にかなり助けられた作品と思います。

けれどムードさえたっぷりあればいいの?という疑問も浮かんできます。ソフィア・コッポラの映画は大抵そうだけど、美しさがすべて。視覚的にはうっとりさせるけれど、物語には力が入ってない。コッポラは原作に登場した黒人の奴隷女性を映画の脚本では削除しています。そんなわけで、美しい夕日とか、ドレスとか絵のような綺麗なシーンについてはほぼパーフェクト。ただそういう美しさだけでは…。

ビガイルド欲望の目覚めの感想やネタバレあらすじまとめ!

ここまで映画『ビガイルド 欲望の目覚め』のネタバレあらすじやネタバレ感想を順を追って紹介してきました。いかがでしたでしょうか。’71年のドン・シーゲル監督版をご覧になった方は、無意識に頭の中で比較されたのではないでしょうか。本文でもふれたように、ソフィア・コッポラ版の本作は、ハードボイルド色は影をひそめ、あくまで女性の美しい映像、女の性(さが)や本性にこだわった映画作りが特徴です。

シーゲル、イーストウッド版の『ビガイルド』を観るもよし、また、ソフィア・コッポラの他の作品に手を伸ばすもよし、この記事を読んで少しでも興味の幅をひろげていただけたら幸いです。

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