2018年11月30日公開
2018年12月02日更新
不夜城の映画あらすじをネタバレ!金城武主演ノワール・ムービーの評価と感想は?
映画『不夜城』は台湾でデビューした金城武が、日本で主役を務め、彼を不動のものとした作品です。公開した時に大ヒットした映画で、眠らない街新宿の裏社会を描いています。今回はこの『不夜城』のあらすじや視聴者の評価・感想とともに、映画を紹介していきます。日本であって日本でない場所・歌舞伎町でうごめく裏社会の様子が描かれています。ネタバレ有のあらすじは、これから見ようとしている人は注意です。
目次
不夜城の映画あらすじや作品情報を調査!
金城武の名前を聞いて彼の顔が思い浮かぶ人は沢山いることでしょう。香港や台湾で役者として成功して日本でもブレークを起こした俳優です。そんな彼の名前が日本で広く認知された代表作と言っても過言ではない作品が『不夜城』です。彼が主演をして、作り出した『不夜城』とはいったいどんな作品なのでしょうか。今回はあらすじや作品紹介をしつつ、映画『不夜城』を紹介します。ネタバレ注意です。
不夜城の映画作品情報
まずは映画『不夜城』がどのような作品なのかを、映画の中の時代背景などを押さえつつ紹介していきます。現代と地域情勢が変化していることもあり、その時代の新宿と今の新宿が違って取られているかもしれませんが、当時の新宿を緻密に再現して撮影がなされています。公開当時の街並み、歌舞伎町を取り巻く雰囲気を味わっていただける、映画作品です。
ノワール・ムービーとは?
まずは、タイトルにも書いてあった「ノワール・ムービー」を解説します。映画好きの人でもこのジャンルを耳にすることは多くないのではないでしょうか。「ノワール・ムービー」とはフィルム・ノワールとも呼ばれて、悲観・敗退・虚無的な性質を持った犯罪系の映画を指したものです。犯罪系といってもやくざやギャング映画をすべて含むものではありません。
映画全体の色調が黒っぽいコントラストを多用していたり、影を強調する演出をなしているなどの視覚的効果を要する作品だったり、映画に登場する人物が仕事や人格などで堕落や破綻をしている状態などで役作りされている場合も多くみられます。そのような登場人物や映画の色調を演出しつつ、作品全体が閉塞感や悲観的な重い雰囲気で覆われている様が特徴です。
監督はリー·チーガイ
『不夜城』のメガホンを取ったのは香港の映画監督の李志毅(リー・チーガイ)監督です。李志毅監督はカナダの大学とイギリスのロンドンで映像について学びました。1984年に美術指導として映画の世界に身を投じることとなります。1991年公開の映画『婚姻勿語』で初めてメガホンをとり、この作品で第11回香港アカデミー賞の主演女優賞を獲得するに至っています。
金城武とは『不夜城』の前に、李志毅が監督した映画『世界の涯てに』で共に仕事をしています。日本での公開は『世界の涯てに』が1997年公開の映画で、翌年の1998年に『不夜城』が公開されています。香港映画が隆盛を極めた80年代、90年代に映画に関わったこともあり、90年代には多くの作品を残しました。最近の市場縮小に伴い、作品数は減っていますが、庶民を対象にした愛情映画には定評があり、ファンは多いです。
原作の馳星周
馳星周という名前をきいて香港のスターを思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。香港のスターは周星馳でチャウ・シンチーがその人です。とてもよく似た名前ですが、それもそのはずこの作家の名前は香港スターの周星馳を逆から書いたものです。原作の馳自身が周星馳のファンでありペンネームを彼の名前から拝借するに至りました。
映画『不夜城』は馳星周の一般小説作品のデビュー作でした。その年の直木賞にノミネートされるなど評価を受けた作品です。惜しくも受賞には至りませんでしたが、これが代表作として多くの人に名前と作品名を記憶させることになりました。彼の作品はノワール小説が多く裏社会の人物にスポットを当てた作品が多数あります。
美術は種田陽平
映像美術の世界では日本のみならず世界の作品で活躍をしている人物です。岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』で造り込まれたオープンセットは、移民や流民といった彼らの置かれた状況に合わせるように暗くていびつに作られていました。当時は映画の特集を組んでテレビで番組宣伝をするなど力を入れて放送していた折に種田陽平美術監督の名前も取り上げられました。最近ではジョン・ウー監督作品にも参加しています。
彼がこだわるのはリアルです。美術の技術のひとつで「エイジング(汚し)」があります。セットを建てる際は経年の風化などを表現してその映画のテイストに合わせるようにします。わざと汚すことで深みと厚みと時間を演出して年月を積み重ねていくのです。地味な作業ですが、この作業はとても重要でリアルに馴染むセットを作ることができます。美術は映画の大切な要素の一つで、視覚として観客は無意識に情報を収集します。
映画『不夜城』では新宿での撮影を実際に行いましたが、別の場所に新宿の靖国通りをオープンセットを造り、銃撃戦の撮影をしました。映像を見ていると、スクリーンの中の新宿が本物なのかそれともセットなのかわかりません。また、「ニューセンター街」は架空の場所ですが、あたかも新宿のどこかにひっそりと息づく感覚を与えます。種田陽平はこの映画で魅力的な新宿を作り上げました。
不夜城の映画主演は金城武!
ここでは主演である金城武についてみていきましょう。日本で金城武の名前が浸透するキッカケとなったのはウォン・カーウェイ監督の『恋する惑星』でした。彼が『不夜城』で見せた魅力はどのように培われたのでしょうか。
金城武とは?
金城武は日本人の父親と台湾人の母親を持つ台湾生まれの俳優です。1973年生まれで台湾で成長をしました。彼が育った台北市の天母は日本人を含む外国人の多く住む地区で各国の大使館も軒を並べています。ここは高級住宅街で中学生まではこの地区にある日本人学校に通い、高校からはアメリカンスクールに通うことでグローバルな感性が研ぎ澄まされていきました。
彼が芸能の世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは高校生の時でした。スカウトがきっかけでCMへの出演が決まり、彼の人生の舵が大きく切られました。その後高校を卒業すると歌手としても活躍の場を広げます。アイドルとしての立場を確立して、ジミー・リン、アレック・スー、ニッキー・ウーと並んで台湾四小天王と称されました。
映画への出演は1993年の『ワンダー・ガールズ 東方三侠2』でしたが、出番から間もなくして生首になるというものでした。しかし、彼の人生を大きく変えることとなる『恋する惑星』への出演はその翌年におとずれます。ウォン・カーウェイ監督との出会いは神様のいたずらとも言える偶然でした。仕事で香港に居た金城武をホテルのロビーで偶然居合わせたウォン・カーウェイが興味を持って大抜擢しました。
『恋する惑星』が日本でも公開されて高い評価を得るとともに、彼の活躍の場も台湾のみならず、香港・日本・中国・アメリカなどへも広がっていきます。彼はアジアに広くマーケットを広げて多くの人の記憶に残る役者として成長を遂げました。
金城武フィルモグラフィー
映画の初出演作は1993年の『ワンダー・ガールズ 東方三侠2』でした。続いて出演した作品が『恋する惑星』で金城武を語る上では欠かせない起点となる作品です。同年に『金城武 ソルジャー・ボーイズ』『人魚伝説』があります。以降有名なものに1995年『天使の涙』、96年『世界の涯てに』、97年『MISTY』、98年『不夜城』、2000年『スペース・トラベラーズ』と続き、08年の『レッドクリフ』も欠かせません。
不夜城の映画出演キャスト
主役の金城武以外にも映画『不夜城』の出演キャストを紹介します。とても個性のある役者がそろい、厚みのある作品になっています。過去に『不夜城』を鑑賞した人も、こんな人も出演していたのかと改めて気づく役者がいるのではないでしょうか。
山本未來
彼女の父親はファッションデザイナーの山本寛斎です。1992年に女優デビュー後は数多くの作品に参加しました。ジャッキー・チェンの『WHO AM I』でヒロインを務めたこともあります。2003年には本作で共演している椎名桔平と結婚をしています。本作では彼女の登場が健一を大きくうねる渦に導く事になります。キーパーソンであり、気持ちの揺れ動きを上手に演技されています。
椎名桔平
演技派として定評があり、演じ分ける役で作品ごとに存在感を残す役者です。主役から脇役までをこなして、多くの監督と仕事をしています。本編では山本未來演じる夏美の元彼氏で、残留孤児2世を演じています。この映画を見た人には、強く印象を残す演技をしているので、これから見る人は彼の演技を楽しみにしてみてください。
谷原章介
デビューはモデルとして芸能の世界に入ったが、1995年の23歳の時に映画に出演したことを皮切りに、役者としての道を歩み始めました。爽やかなルックスと声は若い人のみならず、年配の人のファンも多く、幅広い層から支持をうけています。本編では金城武演じる健一を兄のように慕う役を演じています。
鈴木清順
日本が誇る奇才の映画監督です。すでに他界してしまって、新しい作品を見ることはできませんが、鈴木清順が残した作品は、日本映画の中で大きな足跡を残しています。代表作に『殺しの烙印』や大正三部作である『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』がある。本作『不夜城』では歌舞伎町でバチンコ店を数店舗経営する台湾人を演じています。
不夜城の映画あらすじネタバレ
映画『不夜城』のあらすじを紹介します。未鑑賞の方はこれを読んで映画のガイドラインとしてみてください。本編全体のあらすじを紹介しますので、ネタバレの部分が含まれています。予備知識なしで映画を鑑賞したいと思っている方は、このネタバレありのあらすじは注意が必要です。
ネオンにさまよう一人の男
新宿歌舞伎町はアジア屈指の繁華街です。そこに渦巻く覇権争いは私たち日本人の想像を遥かに超えた世界が広がっていました。冒頭の金城武演じる健一が歌舞伎町を徘徊します。4分間の長回しのカットには、煌々と光るネオンに健一の孤独を浮き上がらせています。健一は子供の臓器以外は何でも扱うというスタンスで商売をしており、新宿のダークサイドに身をゆだねて生業を立てている一人です。
中国人が日夜勢力争いを繰り広げる歌舞伎町
日本人と台湾人のハーフである健一が身を置く新宿は、上海人の元成貴が実権を握っています。しかし、安定した世界ではなく、いつその覇権が覆るともわからぬ状況下で台湾人、福建人、北京人など中華系のグループや韓国、日本などの闇組織が跋扈しています。そんな折、昔の相棒の呉富春が名古屋から戻ってきたという連絡が入りました。富春はかつて元成貴の兄弟分を殺しており、命を狙われる存在になっていました。
富春が新宿に戻ったのならば健一を頼るであろうと考えた成貴は、健一に富春を連れてくるように命じます。健一を目にかける台湾人の楊偉民が困る健一の間に入り、元成貴と取引をしました。そんな時、山本未來演じる夏美から健一のもとに電話がかかってきます。彼女は健一に売りたいものがあるという事を告げますが、それは富春その人でした。
名古屋から来た夏美は、富春を売りたいというが、富春からも健一にコンタクトがありました。富春が戻った理由は夏美からのSOSであったにもかかわらず、彼を売ろうとする夏美という女に戸惑う。自らの身の安全も脅かされる状況に、健一は協力して新宿のボスである元成貴の殺害計画を立てます。それと同時に健一は夏美の魅力惹かれ、おぼれていきました。夏美を知るにしたがって、彼女が富春の妹であることがわかりました。
そのうえ、夏美は健一の情報を楊偉民に流しているという事に気が付きます。何が信じられるもので、誰が裏切るのかなど錯綜する人の思いが物事を複雑に絡めていきます。3日という短い期間の企てにうまくいかないことが重なり、健一は翻弄されます。健一、夏美、富春それらを取りまく人々の運命は思いがけない結末へと向けて動いてゆきます。ネタバレの個所もありますが、結末は自らの目で確認してみてください。
不夜城の映画を観た感想や評価は?
映画『不夜城』を見た人たちのネタバレ有の感想や評価を紹介します。映画に対して純粋な気持ちが表れているコメントもありました。あらすじと照らし合わせて皆さんのコメントを読んでみてください。核心を突くようなネタバレも含まれますので、映画をこれから鑑賞しようと思っている人は注意です。
みんなの感想は?
映画「不夜城」を久々に観た。原作も読んで、何回も見た映画だった。
— でこっぱち金魚 (@odecoDELUXE) January 13, 2018
この映画をみて絶対、歌舞伎町には近寄らないって当時思っていた事や、人間って姑息な生き物で、ゴキブリと大して変わらないじゃないかと感じた事を思い返したりして…まぁ、私も人間で更にクズですけどネ
映画が人に与えるイメージは小さくありません。『不夜城』の感想として歌舞伎町を知らない人が持つ感想としては、狙いどりと言えます。公開当時の実際の歌舞伎町は表の顔はここまでではありません。個人が遊びに行くくらいでしたら、猥雑さが目につきましたが、場所をわきまえれば楽しい街でした。
上海小吃 @新宿歌舞伎町
— Biwako (@nefle30) February 21, 2017
ディープな上海家庭料理の店。路地裏に入ると、急にカオスな独特の雰囲気。映画『不夜城』のロケでも使われた有名なお店みたいです。上海の国家特級厨師の資格を持つシェフの料理はどれもしっかりとした味付けで美味しかったです。 pic.twitter.com/QMIb7kwzUo
このお店は新宿で有名なお店です。映画『不夜城』を追体験するにはもってこいのシチュエーションをそろえていて、料理の味も本格的です。ただし、人が一人通れるような路地に店を構えているので入る勇気がある人のみが味わうことのできる、ディープエリアです。
テレビで映画「不夜城」を観ている。公開当時、ツマらない!って思った作品だけど、雑~っに流し観すると「画」のチカラがあって面白い。オープニングの長廻しも秀逸。シナリオが弱いんだろうなぁ…。シナリオは映画の柱。人間で言えば性格。いかに見た目が綺麗でも性格が悪くちゃ付き合えない。
— 横山雄二 (@yokonandes) January 5, 2013
一つの作品に対して、鑑賞した人が複数いればそれだけの数の感想があります。これはシナリオが減点材料だったという個人意見です。あらすじは公開当時配給会社から宣伝の一つとして各媒体で事前に知ることができました。しかし、あらすじは外郭でしかありません。映画の根幹のシナリオの大切さを切につぶやいたコメントです。でも、時を経て見直すと又違った印象を受けることがわかります。
椎名桔平は昔から割と好きで、映画「不夜城」なんかも観にいきました。パンフに「桔平、怪演!」なんて書かれていて楽しみにしていたのですが、結局終わり5分くらいにルンペンみたいな格好での登場でした。あの頃からですかね、ルンペンに興味を持ち始めたのは。なに言ってるか分からん所が好きです。
— たみ子 (@bll_dn) January 29, 2011
椎名桔平は日本の俳優の中でもとても演技力の高い一人に数えられます。役者としての作品への真摯な取り組みはスタッフからも定評があり、役作りの為に自らの体に負荷をかけて近づけることもあるほどです。『不夜城』での彼の演技も圧倒されるものがあります。ネタバレにもなってしまっていますが、役者・椎名桔平を楽しめる作品です。
不夜城の映画あらすじや作品情報まとめ
鑑賞した人の心に残る映画である『不夜城』はあらすじだけでは、映画の魅力を伝えきれません。ネタバレしている個所も多くありましたが、本編はそんなネタバレ以上の面白さを含んでいます。日本公開当時の大ヒットは今も色あせることなく映像の中で生きています。金城武の脂ののった演技を、今回のあらすじを読んだうえで改めて見てみると、違った一面を発見できるかもしれません。