2018年11月18日公開
2018年11月18日更新
ユリゴコロのあらすじをネタバレ!映画のラスト・結末は?【殺人者役は吉高由里子】
『ユリゴコロ』は2011年4月に双葉社から刊行された、沼田まほかるのミステリー小説です。販売部数累計25万部を超え、大藪春彦賞受賞など、数々の賞や国内ランキングにランクインし、アメリカなど4か国で翻訳出版されるほど人気となりました。2017年に日本で映画化され、主演に吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチらが起用され話題となり、映画『ユリゴコロ』のあらすじの結末が衝撃的と注目されました。映画『ユリゴコロ』のあらすじのネタバレ、結末のネタバレを紹介していきます。
目次
ユリゴコロの映画あらすじが気になる!
『ユリゴコロ』は主人公、亮介が父の部屋の押入れで、A4サイズの茶封筒に入っている1冊のノートを発見したことろから始まります。びっしりと細かい文字で書き綴られたノート。最初は誰かが書いた小説かと思い、読み進めていきますが、「これは殺人鬼が記したノートなのでは?」と亮介は気づきはじめます。何かに憑りつかれたかのように、そのノートのことが気になって仕方がない亮介。
亮介は、末期がんで通院中の父が病院で家を留守にする間を見計らい、見てはいけないものを見ているような感覚に陥りながら、読み進めるのでした。果たして、『ユリゴコロ』とは一体何なのでしょうか?映画『ユリゴコロ』の導入部から結末までのあらすじをネタバレしていきます。
ユリゴコロの映画キャストを紹介!吉高由里子も出演?
吉高由里子/美沙子
幼少の時から、『ユリゴコロ』を求めてデパートの人形売り場で出会った人形に始まり、虫、人を痛めつけることで安らぎを得、終いには殺人まで犯してしまう、サイコパスなのでは?と思わせる行動を取ります。洋介と出会い、本当の拠り所を見つけます。映画『僕等がいた』などに出演している、吉高由里子の何をしでかすか分からない影のある怪演に、妖艶さも加わることで、観ている者を魅了し、一気に物語に引き込みます。
松坂桃李/亮介
美紗子の息子。美紗子が娼婦をしていた時に出来た子供で本当の父親は不明。頭に血が上るとスピード狂になってしまったり、婚約者の千絵が失踪した理由がわかると、相手を今すぐ殺してやりたいと怒り狂います。そう考えてしまう自分に戸惑いながら、自分が殺人者の息子であると知ると腑に落ち、良心的な父と殺人鬼の母との間で葛藤します。映画『アントキノイノチ』『ツナグ』などに出演の松坂桃李が演じています。
松山ケンイチ/洋介
美紗子の夫。塾講師。学生の時、誤って子供を殺してしまったことで処罰を受けますが、小学校教諭を目指していた洋介は、そのことを悔やみ続けます。のうのうと生きている自分を許せず、常に青酸カリを持ち歩き、いつでも命を絶てる準備をしていた洋介。美紗子の妊娠を知り、罪滅ぼしのために、美紗子と結婚し、子供を育て始めます。映画『ノルウェイの森』『デスノート』などに出演の松山ケンイチが演じています。
貴山侑哉/亮介の父
洋介の中年期を演じているのは数多くのTVドラマや映画、舞台に出演している、貴山侑哉。末期のガンを患い、残り少ない時間は自宅で過ごしたいといい、通院治療をする父・洋介。幼い亮介には母・美紗子は川で溺れ死んだと話していました。成長した亮介が、洋介の留守の間に美紗子の書記を見つけ、隠れて読んでいたことに気づいた洋介は、母親はいきているのか、本当のところはどうなのかと聞かれ、全てを亮介に語ります。
佐津川愛美/みつ子
美紗子が通う料理学校の生徒で、美紗子に万引きをするところを目撃され、その事をきっかけに、美紗子と友人関係になります。みつ子は元カレにひどい仕打ちを受けたことで、男性恐怖症になり、自傷行為を繰り返し、快楽を得ていました。リストカットをする間隔は日に日に狭まり、益々青白くなっていくみつ子。ついに授業中に貧血で倒れ、最後は出血多量で死んでしまいます。映画『蝉しぐれ』などに出演のが佐津川愛美演じています。
清野菜名/千絵
亮介が経営するレストランの従業員で、亮介の婚約者。ある日突然、千絵は亮介の前から部屋の荷物ごと失踪してしまいます。実は千絵は既婚者で、ヤクザの夫に連れ戻されたのでした。夫に娼婦として働かされていた千絵は、そこを逃げ出し、たどり着いたのが亮介の経営するレストランでした。映画『恋は雨上がりのように』『パーフェクト・レボリューション』などに出演の清野菜名が演じています。
清原果耶/美紗子(中学生)
中学生の美紗子を演じたのは、映画『3月のライオン』『ちはやふる -結び-』などに出演している清原果耶。大学生の洋介が少年を殺してしまったという現場に中学生の美紗子も居合わせていました。洋介は「誤って殺した」と言っていますが、実は美紗子が『ユリゴコロ』(拠り所)を求め、少年が血を流すところが見たいという衝動にかられ、事故のように見せかけ、少年を殺害します。
木村多江/細谷
亮介の婚約者・千絵から伝言を預かり、突然、亮介の前に現れる女、細谷を演じたのは、映画『ぐるりのこと。』など多数の映画やドラマに出演している、木村多江。細谷は、年の離れている千絵とは職場で仲良くなり、偶然再会した千絵に、亮介に伝言するよう頼まれ、亮介の元にやってきたのでした。千絵を心配する亮介のために、細谷は千絵の居場所を探し出し、千絵を取り戻すため、亮介に力を貸すのでした。
ユリゴコロの映画あらすじをネタバレ!
映画『ユリゴコロ』は1冊の書記から始まる(あらすじ&ネタバレ)
緑豊かな自然の中で、亮介は父・洋介に教わったレシピのオムレツを店の看板メニューにし、客がそのオムレツを目当てに訪れるほど、人気となるレストランのオーナーをしていました。亮介は、レストランに訪れた父、洋介に、恋人の千絵を婚約者として紹介します。亮介からは何も聞かされていなかった千絵は驚きますが、とても嬉しそうで、側から見た2人の関係は何の問題もなく、とても幸せそうでした。
ところが、ある日、体調が悪いといい、千絵は店を休みます。心配した亮介は、仕事帰りに千絵の家を訪ねます。しかし、呼び鈴を鳴らしても反応がありません。亮介は千絵に渡された合鍵で部屋に入ってみると、そこはもぬけの殻でした。なんの前触れもなく、亮介の前から姿を消した千絵を、四方八方探し回りますが、見つからず、亮介は動揺を隠せず、落胆します。
末期ガンで通院中の父を見舞うため、亮介は実家を尋ねていました。父の部屋の押し入れの中で、亮介はA4サイズの茶封筒に入った、1冊の書記を見つけます。隙間なく、びっちりと細かい字で埋め尽くされたノートを読み進めていくうちに、小説かと思っていた内容が、まるで殺人鬼が書き記したような、とても具体的な内容で、なぜか亮介はそのノートに魅入られてしまいます。
読んではいけないものを読んでいるような気がした亮介は、父が病院で留守にしている間に、隠れて読んでいました。「これは一体誰が書いたものなのだろうか?」亮介の中で疑問が湧き起こります。
ある時、千絵の知人だという「細谷」という女が、千絵から亮介へ伝言を頼まれたと、亮介の前に現れます。細谷が言うには、千絵は「今は訳があって亮介に会えない」と言うことでした。千絵が無事でいることがわかり安心していた亮介でしたが、千絵のことが心配だと、千絵の周辺を調べていた細谷に、実は千絵が結婚しているということ、
その夫はヤクザで、千絵の両親がヤクザから多額の借金をしていたため、夫の元に戻らざるを得なくなったこと、千絵が夫に娼婦として働かされ、今はどこかに監禁されていることを聞くと、頭に血が上った亮介は、「相手を殺してやりたい」と怒り狂います。ボロボロな状態になった千絵でも取り戻したいという亮介の強い気持ちを汲んだ細谷は、怒る亮介をなだめ、千絵の居場所を突き止める約束を亮介とするのでした。
本の中の美紗子は、幼少の頃は言葉が話せず、「ちゃんと言葉で話しなさい」と怒る母に連れられ、精神科医に見てもらいます。医師からは「心の『ヨリドコロ』がないため、不安定で言葉が話せない」と母に話しているのを別室で耳にします。その時、美紗子はヨリドコロを『ユリゴコロ』と聞き間違えて以来、ずっと『ユリゴコロ』を求めていました。
常に安心できる居場所がなく、外に出るのも恐怖だった美紗子は、デパートで出会った人形に惹かれたことで、それを自分の『ユリゴコロ』だと思っていました。人形の服を脱がせたり、人形に悪戯することで、少しずつ言葉が話せるようになった美紗子は、普通に小学校に通い、同級生のみちるの家に遊びに行くと、皆が一緒に遊んでいる中、美紗子は1人で遊んでいました。
みちるの家の広い庭にある、蓋のされた井戸を見つけると、その井戸に近づいていきます。井戸の蓋には小さな穴が空いており、その穴から井戸の中に虫を落とし入れることに「ユリゴコロ」を感じ、雨が降り始めても夢中になって遊んでいました。すると、帽子を探しに来たみちるに「まだいたの?もう皆帰ったよ」と声を掛けられます。
美紗子はみちるが探していた帽子の中にカエルを仕込み、それを渡すと、驚いたみちるは誤って足を滑らせ池に落ちてしまいました。美紗子は溺れているみちるを、ただ黙って眺め「ユリゴコロ」を感じていました。
中学生になった美紗子は、『ユリゴコロ』と言う言葉はこの世に存在せず、幼少の頃に聞いた『ヨリドコロ』を『ユリゴコロ』と聞き間違えていただけな事に気づいていました。それでも『ユリゴコロ』を探していた美紗子は、目の前を通る仲の良さそうな2人兄妹に目が止まります。
少年が、風で飛ばされて溝に入ってしまった妹の帽子を、一生懸命取ろうとしていると、そこに、通りがかりの大学生が少年を手助けしようと、重い鉄板の蓋を持ち上げます。少年は、大学生が鉄板を持ち上げている間に、鉄板と溝の間に体を潜り込ませ、帽子に手を伸ばします。
その様子を見ていた美紗子はふと、少年の上に鉄板を落としたい衝動に駆られます。助けるフリをして彼らに近づき鉄板を持ち上げ、少年が出てくる頃合いを見計らって、少年の上に鉄板を叩き落とします。少年の流す大量の血をみた美紗子は「ユリゴコロ」を感じるのでした。
中学を卒業し、料理学校に通い出した美紗子は、コンビニで万引きをしている、みつ子と出会います。みつ子は、元彼から酷い仕打ちを受けたことで男性恐怖症となり、自傷行為をすることで快楽を得ていました。料理実習で自分で料理を作って食べてもトイレで戻してしまうみつ子に、美紗子は握り飯やうどんを作ります。「どうせ食べても吐いてしまう」というみつ子に美紗子は、「吐いてもいいから食べて」というのです。
しぶしぶ口にするみつ子でしたが、「不思議、あんたが作ったものなら食べられるよ」と箸が進みます。美紗子はそんなみつ子に、「ユリゴコロ」を感じていました。美紗子はみつ子に「リストカットをするのは気持ちいいか」と尋ねます。「気持ちいい」と答えるみつ子に「自分のことも切ってほしい」と美紗子は言います。
嫌がるみつ子でしたが、「友情の証」と美紗子に言われると、引き受け、美紗子もみつ子の腕を切り、お互いの血が混じり合っていくのを2人で眺めていました。美紗子は「『ユリゴコロ』のみつ子を失いたくない」と、みつ子の自傷行為を止めさせようとします。みつ子に、「自傷行為を我慢することができたら、2人でどこか遠く、北海道でも行って飲食店を開こう」と話し、2人でその夢について語り合います。
しかし、自傷行為をすることで精神の安定を図っていたみつ子は、我慢することができず、ついに学校の授業中に貧血で倒れてしまいます。リストカットをする間隔が日に日に狭まり、益々青白くなって自宅のベッドで横になっているみつ子に「我慢できない?今も切りたい?」と美紗子が尋ねるとみつ子は「切りたい」といいます。
美紗子は仕方なく、彼女の引き出しから小型ナイフを取り出し、みつ子の腕を何度も切ります。だんだんと意識が遠のいていくみつ子の部屋の床は、一面、真っ赤に染まっていました。
美紗子は帰り道、しつこくナンパしてくる近所のラーメン屋の店員に、自宅まで送ってもらうことにしました。その男に名前を聞かれ、「みつ子」と偽名を名乗ります。男はまだ家につかないのかと尋ねてくるので、「もう少し、今日は家に誰もいないから」と話すと浮足立つ男。
美紗子は「この階段を下ったところが家だから」と下り階段まで来ると、足を挫いたフリをし、おぶってくれるという男を後ろから階段に突き落として殺害します。美紗子は、みつ子のいた部屋を借り一人暮らしを始めました。料理屋で皿洗いから始め、ソースのついた鍋を洗おうとする美紗子に先輩コックは、「ソースをもったいないことするな!料理の味は、舌で覚えるんだよ!」と叱ります。
店ではこき使われ馴染めず、料理屋の野菜卸業者の男に言い寄られるのがうっとうしく、結局、疲れてしまった美紗子は、1年で店を退職します。辞めてからは夜の街で風俗の仕事をしていました。「今、何時ですか」と声をかけ、男たちを誘います。美紗子はいつものように男に声をかけ、その声をかけた相手の男が、前職の飲食店のコックなことに気づき動揺します。
男は「お金が必要だ」という美紗子を待たせ、どこかに電話をかけると、美紗子を飲食店に連れていき、「ここで一度してみたかった」と調理台の上に美紗子を乗せます。美紗子は、はじめは無抵抗でしたが、側にあった鍋が手に触れると、その鍋で何度も何度も男の頭を打ちつけます。男はぴくりとも動かなくなり、美紗子はその場を後にします。美紗子は常に『ユリゴコロ』を求めていました。
そんな時、美紗子は通りで1人佇んでいる洋介に出会います。美紗子はいつものように「今、何時ですか?」と声を掛けます。洋介は「今、9時30分です」と普通に答えます。拍子抜けした美紗子は「お金が必要なんです」と洋介に言うと、彼は「今はこれしかない」といい、美紗子にお金を渡し去っていきます。呆然とする美紗子に洋介は振り返り「お腹空いてない?」と笑顔で聞くのでした。
ただ一緒にご飯を食べるだけで、美紗子に何も求めてこない洋介、美紗子がいつも、通りに行く時間帯には、必ず洋介がいてくれるようになり、美紗子にご飯を奢ってくれるのです。そろそろお金が必要になりそうな時には、洋介は美紗子にお金を渡します。してもらってばかりの美紗子は、洋介に「自分にも何かできることはないか」と尋ねます。
すると、あることが理由でまともに眠ることが出来ていない洋介は「ただ側にいて自分が眠るのをみていて欲しい、そして出来たら、自分の額に手を当てて欲しい」と美紗子に頼みます。洋介は額から美紗子を感じると「悪いこと全て、吸い取ってくれているのような気がする」と、眠りにつくのでした。そういう関係が暫く続き、洋介は、美紗子がどこか自分と同じ、罪人なのではないかと感じ始めていました。
洋介は自分が犯した罪について美紗子に語り始めます。洋介が大学生の時、帽子を取ろうとする少年を手伝おうと、鉄板の蓋を持ち上げたが、その蓋の重さに耐えられなくなり、誤って少年の上に鉄板を落としてしまい、少年を殺してしまったこと。そして、そのことで、小学校教諭になろうとしていた夢も終わってしまったこと。眠りにつけない原因、深い罪の意識からいつでも命が絶てるように、洋介はいつも青酸カリを持ち歩くのです。
美紗子は中学生の時の出来事を思い出し、その時の大学生が今、自分の目の前にいることに驚き青ざめ、吐気を催します。暫くして、美紗子が妊娠していることが発覚します。「誰の子かもわからない、自分が母親になんて無理」という美紗子に、洋介は「自分たちの罪滅ぼしのために一緒に育てよう」というのです。洋介は、緑豊かな自然に囲まれた家を見つけ、無事に出産を終えた美紗子と、その息子・亮介と3人で暮らし始めます。
彼の為にご飯を作り、子供をあやし、美紗子は「ヨリゴコロ」を感じ始めていました。塾講師の仕事を見つけ、数学を子供たちに教えることになった洋介は、美紗子の作ったオムレツを美味しいと頬張るのでした。
自分が本当は死刑になったほうがいい人間だと考えていた美紗子は、洋介に打ち明けられずにいたこと、本当のこと、全てをノートに書き記すことにします。本物の「ユリゴコロ」を見つけた美紗子は、3人でのこの幸せな生活が、いつか終わるのではないかという不安を拭い去ることができませんでした。
ノートを閉じると、亮介は自分の母親が殺人鬼であることにショックを受けたと同時に、時々自分の中に沸き起こる「殺してやりたい」などの衝動は、自分の体の中に殺人鬼の血が流れているからだと納得します。「千絵の夫を殺してでも、千絵のことを助けたい」その思いは増すばかりです。
亮介は千絵の居場所を聞き出すため、細谷に連絡します。「千絵はどこだ!」という亮介のあまりの剣幕に驚いた細谷は、もう少し待つようにと亮介を宥(なだ)めます。細谷には何か考えがあるようでした。
ノートの中の美紗子の不安は突然やってきます。大きくなった亮介と話ながら、庭で洗濯物を干していると、以前に働いていた料理屋の野菜卸業者、当時、美紗子に気があった男が、「みつ子ちゃん」と美紗子を訪ねて来たのです。「みつ子」とは、美紗子がよく使う偽名でした。男の視線が幼い亮介に向けられ、美紗子は亮介を庇います。
美紗子が料理屋のコックを殺害したことを知っていた男は、そのネタを警察に言うと美紗子を脅し、関係を迫ってきました。今の『ユリゴコロ』を守りたい美紗子は、男の要求に応じ、男に連れていかれたその場所で、洋介が持っていた青酸カリを持ち出すと、男の飲み物にそれを混ぜて飲ませ、男を毒殺します。
あくる日の夜、警察が「青酸カリで毒殺された男のメモ帳に、美紗子の名前と住所が書かれていた」と、美紗子と男の関係を聞きに訪ねてきました。美紗子は洋介に、自分は事件とは何も関係ないと嘘をついてしまいます。
嘘をついたことで居たたまれなくなった美紗子は、皆が寝静まった頃、流れが速く、底の深い川に入り、自殺を図ります。美紗子の後を追った亮介が、川に飛び込み流されていくのを見た美紗子は、必死に泳いで亮介のもとに向かい、亮介を岸に上げると、自ら川に流されるのでした。
美紗子が目覚めたのは病院のベッドの上でした。必死な思いで美紗子を助けた洋介は、美紗子のベッドの側で、美紗子の半生が書かれたノートを読んでいました。美紗子が洋介に読んだことを聞くと、洋介は「君なんか助けなければ良かった」と苦しみの涙を見せます。裏切られた思いの洋介は、車で美紗子をダム湖へ連れて行きました。
美紗子に重りをつけ、ダム湖に飛び込むよう、美紗子に言います。美紗子は泣きながら、「こうなるのは仕方がない」と飛び込もうとしますが、良心が咎めた洋介は再び美紗子を助けるのです。そして、「自分と亮介の前に二度と現れるな」と言い、いくらかのお金を美紗子に握らせると、その場に美紗子を置き去りにし、車で去っていきます。美紗子は去っていく車の後ろ姿を泣きながら見送るのでした。
ユリゴコロの映画の結末をネタバレ!
映画『ユリゴコロ』衝撃の結末とは?(あらすじ結末&ネタバレ)
千絵の監禁場所を細谷から聞いた亮介は、自分が始末すると息巻き、包丁片手に向かった先のヤクザの事務所内が、血の海となっていることに愕然とします。亮介は千絵の声がする方へ向かい、縛られている千絵を見つけると千絵を抱きしめます。千絵に、「なぜ、ここにいるの?」と聞かれると、細谷に聞いたことを話します。
「みつ子さんから?」という千絵の言葉に、亮介の頭の中でノートの中の美紗子と細谷が同一人物であり、自分の母親であることに気づきます。亮介は病院から帰宅した洋介に「母さんはまだ、生きてるんだろう!?」と問い詰めます。亮介が美紗子に会ったことを確認した洋介は、美紗子は川で溺れ死んだのではないと、ことの真相を語るのです。全てを話し終えると、末期がんに侵された洋介の容態は急変し、救急車で運ばれて行きます。
亮介は、細田を自分が経営するレストランに呼び出します。整形し「細谷みつ子」として生きていた美紗子に、なぜ今頃現れたのか、なぜ自分が殺すはずだった千絵の夫やその仲間たちを殺したのか聞くと、細谷は「あなたに人殺しはできない。職場で、唯一仲良くなった千絵の婚約者があなたと知り、とても驚いた」と語ります。
自分には殺人鬼の血が流れているのだから、自分にも出来たという亮介に「血は関係ない、あなたには洋介の優しさがちゃんと備わっている」と諭す美紗子。「もうすぐ自分は捕まる、昔の警察とは違うから」とこの場を去ろうとする美紗子に、亮介は父・洋介が入院している病室を教えます。美紗子は亮介に教えられた病室にいました。ベッドで横になる洋介と穏やかに微笑み合う2人。それは、美紗子の「ユリゴコロ」との再会でした。
ユリゴコロの意味とは?
ユリゴコロ=ヨリドコロ?(あらすじ&ネタバレ)
『ユリゴコロ』とは主人公、美紗子が幼少の頃、言葉が話せないことで精神科医の先生に診てもらった時、先生が母に「心のよりどころがない不安から、言葉が発せられない」と言う説明をしているのを別室で聞いており、ヨリドコロを『ユリゴコロ』と聞き間違ったようです。美紗子が中学生の頃には『ユリゴコロ』という言葉は無いと気づいていたと劇中で語っています。
『ユリゴコロ』の解釈は、観ている人の数の分だけ色々ありますが、『ユリゴコロ」=『ヨリドコロ』=『愛』なのではないかと、物語の結末からも想像している方もいるようです。
ユリゴコロの原作小説を紹介!映画との違いはある?
映画には出てこない登場人物がいた!(あらすじ結末&ネタバレ)
原作『ユリゴコロ』では映画版とは違う設定がいくつかあります。まず、亮介を育てたのは映画では美紗子でしたが、原作では美紗子の妹・英実子で、亮介には弟・洋平がいます。また、美紗子の両親たちが登場し、美紗子が殺人鬼だと知り、美紗子を亡き者にしようとします。ダム湖で洋介に水死させられようとしていた美紗子を助けたのは美紗子の父親でした。
映画とは異なる登場人物の設定(あらすじ結末&ネタバレ)
原作では、亮介は4歳のころ長期入院をした経験があります。亮介の婚約者・千絵の元夫・塩見の設定が、映画ではヤクザの幹部ですが、原作ではただのDVクズ男になっています。他にも細谷(美紗子の偽名)は、亮介の経営するお店で従業員として働いているなど、細かい設定の違いがみられます。
映画ではミステリー要素ゼロ?(あらすじ結末&ネタバレ)
原作『ユリゴコロ』はミステリー要素が多く、映像化するにあたり難しいところがあったようで、企画段階から物語の改変をする方向で話が進み、原作者の沼田まほかるの許可のもと、今回の映画『ユリゴコロ』は制作されたようです。映画ではミステリー要素は少ないですが、代わりに登場人物たちの苦悩や葛藤を描くヒューマンドラマの要素が多い内容になっています。
映画の結末と原作の結末(あらすじ結末&ネタバレ)
映画の結末では、家族と一緒にいたくてもいられなかった美紗子が、亮介から入院している洋介の病室を聞き、長い間離れていた「ユリゴコロ」(=洋介)に再会を果たすラストになっており、お互いの愛を感じられる人間ドラマで終わっていますが、
原作の結末では父・洋介が亮介と洋平にすべての真相を打ち明けると、息子たちを残し、実は生きていた母・美紗子と一緒に、車で遠い見知らぬ土地へ旅立っていくというラストで、一体、2人はどこに向かったのかと謎が残る、読み手の想像に委ねられたラストになっています。
ユリゴコロの映画を観た人の感想や評価とは?
吉高由里子の怪演に称賛多数!(あらすじ結末&ネタバレ)
この映画は吉高さんの魅力と相まって、独特の世界観が生まれてる。
見ちゃいけないものを覗き見てしまうような、怖さと妖艶さ、いろんなものが交じり合って・・・・。
私にとっては結構衝撃的な内容でした。
「蛇にピアス」の時の吉高由里子の芝居もすごかったですが、『ユリゴコロ』でも吉高由里子の陰のある芝居は観ているものを魅了し、また、美紗子の心理描写にあったカメラワークや音響効果でシーンをより際立たせ、導入部から結末まで、独特の世界観を演出されているのが好きという方が多いようです。
期待せずに見始めたら、思いもかけず面白かった。
前半はホラーミステリー、後半は家族愛。
断然、前半の毒々しい雰囲気が好み!
美しい映像にヒロインの壊れた心がシンクロする。
吉高由里子と松山ケンイチのシーンが切なくて、突出して良い!
罪の意識に対して、洋介(松山ケンイチ)はもともと、小学校教諭になりたいという夢があり、善人で罪を感じる気持ちが強く、一方、美紗子(吉高由里子)は、悪人かというとそうではなく、どちらかというと無垢で愛というものを知ないがために、殺人という狂気に出てしまい、悪意を持ってするよりも、ある意味残酷で、そんな2人が同じような十字架を背負い、その中で愛を見出していくストーリー展開と結末が印象的なようです。
「ユリゴコロ」観たけどダメだ。トータルでは面白かったけど、前半の子供の殺害とリストカットのシーンが繰り返されるのが耐えられない。映像として見ていられない。本で読むと面白かったのかも。#ユリゴコロ
— オモカチ (@cold_romeo) October 21, 2018
導入部分から前半はホラー要素が強く、赤肉のミンチをつくるなどのグロテスクな場面や殺害方法などが続き、食欲が落ちるような場面も多々あるので、グロテスクなものが苦手な方には耐えがたいところがあるようですが、物語の結末はきれいに終わるので、後味の悪さが残るような映画ではないようです。
ユリゴコロのあらすじネタバレまとめ!
導入部から結末まで目が離せない、映画『ユリゴコロ』
映画『ユリゴコロ』のあらすじを導入部から結末まで、ネタバレしながら紹介してきました。吉高由里子をはじめ、実力派俳優が出演し、特に美紗子演じる吉高由里子の怪演には鳥肌が立ち、また、木村多江は美紗子の整形後を演じ、吉高由里子との芝居の差異を感じさせない言い回しや、振舞い方などが見事でした。
ホラーのような導入部から始まり、井戸が出てくるところから映画『リング』を想像させ、ホラーが苦手な方は「見なければよかった」と一瞬感じてしまった方もいたかもしれませんが、中盤、洋介が登場してくるところからは人間ドラマ性が高く、『ユリゴコロ』=『拠り所』=『愛』という物語の結末に心打たれた方も多いのではないでしょうか?
ストーリーはシンプルで分かりやすく、原作を読まれていた方は、原作に比べるとミステリー要素が少ない為、少し物足りなさを感じた方もいたようですが、独特の世界観を演出するための登場人物の心理描写を助長するかのようなカメラワークや音響効果で、導入部から結末まで観る者を引きつけ、観た後も後悔はしない、映画『ユリゴコロ』はそんな作品と言えるようです。