ラブレター（Love Letter）の映画あらすじをネタバレ！中山美穂主演

テレビドラマやCMなどで活躍していた岩井俊二映画監督の初の長編映画デビュー作となった映画「ラブレター」。間違えて送られた一通の手紙から始まる恋愛ミステリーです。ミステリー仕立てのストーリーが、最後まで観客を飽きさせない構成になっています。今回は映画「ラブレター」のあらすじやネタバレ、結末などを紹介していきます。

映画「ラブレター」の監督は岩井俊二さんです。岩井さんといえば、映画だけでなくテレビやアニメ、ミュージックビデオなども制作されている多彩な才能をお持ちの人物であり、映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 」や「花とアリス」などが有名ですが、映画「ラブレター」は岩井さんにとって長編映画の第一号ともなる作品であり、彼の代表作の一つです。

映画「ラブレター」の舞台となるのは、北海道小樽市です。小樽市は北海道の北西に位置しており、ガラス工芸やオルゴール、酒蔵が有名です。とても美しい町並みが広がっており、映画でもその美しい風景を垣間見ることができます。ここでは、映画の舞台となった小樽市の魅力をご紹介していきます。

北海道の観光名所として有名な小樽運河は多くの日本人、外国人が訪れています。小樽運河は大正12年に完成し、北海道の開拓に欠かせない存在でした。水路に沿ってレトロな倉庫が立ち並ぶ風景が特徴です。昭和61年に一部埋め立てられ、現在のように運河沿いを散歩出来るようになりました。

小樽はかつて商都として栄えた街で、大正時代には小樽市内で銀行が20箇所以上あり、道内最大であったことから、ニューヨークの金融地区ウォール街をなぞってきたのウォール街と呼ばれていました。現在も当時の歴史的建築物が残っており、「旧北海道拓殖銀行小樽支店」「旧三菱銀行小樽支店」「日本銀行旧小樽支店金融資料館」といった建物が小樽の風景を飾ります。夜にはライトアップされ、その姿は圧巻です。

中山美穂といえば80年代アイドル黄金時代に活躍した一人。1985年にTBS系ドラマ『毎度おさわがせします』で女優としてデビューし、ヤンキー少女役でベッドシーンもある過激な役でしたが、当時14歳の中山美穂は体当たりの演技で見事にこなし、一気にスターの道を駆け上りました。その後も映画やドラマでヒット作を飛ばした上に、歌手デビューも果たし、『世界中の誰よりきっと』は183万枚の売り上げを記録しました。

そんな中山美穂さんが映画ラブレターで演じたのは主人公の渡辺博子という役です。彼女は山で遭難した婚約者の藤井が忘れられず、彼が中学時代に住んでいたという小樽に届くはずの無い手紙を送るところから物語は始まります。どこか陰のある雰囲気の女性ですが、亡くなった婚約者のことになると時に大胆な行動を見せ周囲を戸惑わせます。最後は藤井への想いを断ち切り、前に進もうとします。

中山美穂さんは、映画『ラブレター』で一人二役という大役を務めました。それがもう一人の主人公、藤井樹役です。樹は、博子の婚約者の元同級生で同姓同名の女性です。博子とは正反対の性格で、その手紙の内容や話口調からもはっきりとした性格の女性であることが伺えます。藤井が死んだことも知らなかった彼女ですが、博子との手紙のやりとりの中で、次第に彼のことを思い出し、お互いに想いあっていたことに気づきます。

映画『ラブレター』を彩る脇の俳優人も豪華です。一人は豊川悦司さん。1989年にデビューし、1993年フジテレビ系ドラマ『NIGHT HEAD』に武田真治とダブル主演を果たし一躍注目を浴びます。1995年に『愛していると言ってくれ』で耳が不自由な青年画家という難しい役に挑戦し、最高視聴率28.1％を記録しました。そして今回紹介する映画『ラブレター』では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞しています。

そんな豊川悦司さんが映画『ラブレター』で演じたのは秋葉茂という役です。茂は博子に想いを寄せており、婚約者の死後も彼女を支えていました。藤井は茂の友人でもありましたが、亡くなった恋人に執着する彼女に、その想いを断ち切ってもらうため翻弄します。どんな時でも彼女を見捨てることなく、まっすぐに想いを伝えるその姿に、博子も徐々に心を開いていきます。

もう一人映画『ラブレター』に欠かせない人物が柏原崇さんです。柏原崇さんは1993年にジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞し、翌年に俳優デビューします。映画『ラブレター』は柏原崇さんの映画デビュー作で、日本アカデミー賞新人賞を受賞しました。しかしその後、本人の病気療養や傷害事件による謹慎処分などを受け、やがて表舞台から姿を消します。現在は中国に拠点を移し、俳優として活躍されています。

そんな柏原崇さんが演じたのは藤井樹の中学生時代です。博子の元婚約者であり樹の元同級生だった藤井は、映画『ラブレター』では成人した姿は作中に現れず、樹の回想シーンで中学生の姿でしか登場しません。藤井は博子に「一目ぼれをした」と言って交際をしますが、彼の死後、博子と樹のやり取りから、中学時代の同級生である樹のことがずっと好きで、樹にそっくりな博子に恋をしたのではないかという描写が映画で描かれています。

1991年にバラエティ番組デビューした酒井美紀さんは、1993年の歌手デビューを経て1995年にフジテレビ系の単発ドラマ『東京的聖誕祭』で女優デビューし、映画『ラブレター』では日本アカデミー賞で新人賞を受賞します。その後もフジテレビ系ドラマ『白線流し』や1997年に映画『誘拐』で日本アカデミー賞助演女優賞を受賞するなど活躍され、現在はNGOの親善大使を務めながら、二人のお子さんを育てています。

そんな酒井美紀さんが演じたのは中山美穂さんが演じた藤井樹の中学生時代です。成人した樹の回想シーンで登場し、この作品で博子の元婚約者である藤井樹と唯一接点がある人物です。中学生時代の樹は、柏原崇演じる藤井から好意を寄せられていることも、自分が彼に好意を寄せていることも気付かず、ある日突然、彼の転校により離れ離れになります。そしてそれから再会することなく、成人して初めて恋心に気付きます。

ここではいよいよ映画「ラブレター」のあらすじをネタバレしていきます。主演を演じる中山美穂が、亡くなった恋人に宛てたはずのラブレターに返事が来たところから物語は動き出します。果たしてラブレターに返事をした人物は一体誰なのでしょうか、そしてどんな結末を迎えるのでしょうか？具体的にご紹介していきます。

物語は主人公・渡辺博子の恋人だった藤井樹の三回忌のシーンから始まります。山の遭難事故で亡くなった恋人が忘れられない博子は、式の後に彼の母親に見せられた中学時代の卒業アルバムから、かつて彼が中学時代を過ごした北海道・小樽の住所を見つけます。その住所は既に国道になっており存在しないものだと知った博子は、そこに彼に当てたつもりで「お元気ですか？私は元気です」と書いた手紙を送ります。

当然返事が返ってくるはずがないと思っていた博子ですが、数日後、博子のもとへ返事が届きます。しかも手紙には「藤井樹より」の文字が入っており、おかしいと思いながらも博子は返事を出します。博子は元恋人の親友・茂にも手紙のことを相談し、藤井樹と名乗るこの人物は誰なのかと考えます。国道になっている住所に送っても、近くに同名の人物がいなければ手紙が届くことはありません。

手紙を受け取った人物は、死んだ恋人ではなく、彼と同姓同名の藤井樹という女性でした。彼女は中学時代、博子の婚約者とクラスメートで図書委員を一緒にしていました。彼女は単なる好奇心で、博子に返事を返していました。茂が樹宛に「藤井樹だと証明できるものを送れ」と書いた手紙を見て怒り、「これっきりだ」と免許証のコピーを送りつけます。その手紙を見た博子は、樹を怒らせてしまったとショックを受けます。

茂を責めた博子でしたが、茂は一緒に小樽へ行ってみようと提案します。茂と二人で手紙を送った住所を尋ねると、そこには一軒家がありました。しかし、樹は不在で会うことが出来ませんでした。博子はポストに直接手紙を入れその場を去ります。博子は恋人であった藤井樹のこと、最初は彼に宛てて手紙を書いたことを伝えます。博子は藤井が亡くなったことは告げず、彼が今はどこにいるかわからないと手紙に書きます。

博子の手紙を読み、藤井への想いを知った樹は、それから中学時代の藤井に関することを思い出しては博子に手紙を送りました。博子は樹に藤井の中学時代の様子を聞いたり、中学校の校庭の写真を撮って送ってほしいとお願いします。博子はその中で、藤井は同姓同名だった樹のことが好きだったのではないかと思い始めます。そして、自分は彼女と顔が似ていたから付き合うことにしたのではないか思い苦しむようになります。

樹は博子との文通の中で藤井のことを思い出していきます。博子に頼まれた写真を撮りに母校を訪れると、中学時代の恩師から藤井が2年前に亡くなったことを聞きます。また現役の図書委員から「藤井樹ゲーム」が流行っていたと知らされ、貸出カードに藤井が残したの名前を見つけては楽しんでいるといいます。「あの名前は私が書いたんじゃない」と説明すると、女学生は「その人は先輩のことが好きだったんですね」と告げます。

ここまで映画「ラブレター」のあらすじをご紹介してきましたが、次はいよいよ結末をネタバレしていきます。映画「ラブレター」の結末に関しては、渡辺博子と藤井樹、この二人の女性それぞれに違う結末が訪れます。ここでは、博子の場合と樹の場合、それぞれが迎える結末についてネタバレしていきます。

博子は茂に誘われ、藤井が遭難した山を訪れます。最初は気乗りがしませんでしたが、藤井が遭難した山を目の前にした時、茂は博子に「あいつに言いたいことあるんやったら全部言ってやれ」と背中を押します。すると博子は聳える山に向かい、何度も「お元気ですか？私は元気です。」と山に向かって叫び続け、最後には泣き崩れてしまいます。博子の叫びは山彦となって、あたりに響き渡りました。これが博子の結末です。

樹は中3の正月に父親が風邪をこじらせて亡くなっており、新学期になっても登校出来ませんでした。そこへ藤井が訪ねて来て「借りていた本を返しておいて欲しい」と一方的に頼まれます。それが藤井との最後の思い出となりました。樹が博子への手紙でそのことに触れます。博子は「貸出カードに書かれていた名前は、あなたの名前だった気がしてならない」と返事がきますが、樹にはピンと来ませんでした。

ある日、母校で会った図書委員達が樹の元を訪ねてきます。樹が現れたことで「藤井樹ゲーム」を再会した彼女達は「面白いものを見つけた」と言って樹に一冊の本を渡します。それは藤井が樹に返しておいて欲しいと頼んだ本で、その貸出カードの裏側には、樹の似顔絵が描かれていました。樹はこの出来事を博子に伝えようとしますが、途中で照れくさくなり心の中にとどめておくことに決めます。これが樹の結末です。

ここでは映画「ラブレター」をご覧になった方の感想をご紹介していきます。映画「ラブレター」の感想が気になる、という方は是非チェックしてみてください！

映画「ラブレター」の感想として、「ストーリーが切ない」という声が多くみられました。主人公の婚約者が既に亡くなっているシーンから始まり、博子と樹が手紙のやりとりを続けていくうちに明らかになっていく展開は見ていて胸が締め付けられるものがあります。感動ものの映画が好きな方は、是非一度ご覧ください。

岩井俊二監督の作品として映画「ラブレター」を認識している方も多くみられました。岩井作品の中でも特に好きな作品の一つ、という感想もいくつかあり、映画「ラブレター」は岩井俊二監督ファンの中でも根強い人気があることがわかります。

今回は映画「ラブレター」のあらすじ、キャスト、結末のネタバレをご紹介しました。単なる恋愛映画ではなく、恋愛ミステリーとなっているため、最後まで観客の心を掴み飽きさせない構成が魅力です。20年以上前の作品ですが、そのストーリーは現在も色あせることなく楽しめます。また結末も切なく心に残る作品です。まだこの映画を観たことがない方は、この機会に是非ご覧になってみてはいかかでしょうか。