暗黒女子のネタバレあらすじと感想!衝撃の結末・犯人と原作小説との違いは?

2017年4月1日に公開された映画「暗黒女子」。「全員悪女」、「裏切りエンターテイメント」というキャッチコピーに表される衝撃的なストーリーはもちろん、公開直前に主演の一人・清水富美加の出家騒動が報道されたこともあり、大きな注目を集めました。この記事では、「暗黒女子」のネタバレあらすじやキャスト、映画と原作の違いなどを解説していきます。映画、原作ともにネタバレに触れていますので未見の方はご注意ください。

暗黒女子のネタバレあらすじと感想!衝撃の結末・犯人と原作小説との違いは?のイメージ

目次

  1. 暗黒女子のネタバレや感想が知りたい!
  2. 暗黒女子の映画作品情報
  3. 暗黒女子の映画登場キャスト
  4. 暗黒女子の映画あらすじネタバレ
  5. 暗黒女子の衝撃のラストと犯人は?
  6. 暗黒女子の映画版は原作小説と違う?
  7. 暗黒女子を観た感想は?
  8. 暗黒女子のネタバレや感想まとめ

暗黒女子のネタバレや感想が知りたい!

イヤミス(嫌な気分になるミステリー)の傑作として高い評価を受けた秋吉理香子の原作を映画化した「暗黒女子」。お嬢様ばかりが通う名門女子校を舞台に、学園のカリスマ的存在だった少女の死を巡って繰り広げられる物語とその結末は、イヤミスに相応しい後味の悪さで見た人に大きな衝撃を与えたようです。この記事では「暗黒女子」のネタバレあらすじ、キャスト、原作と映画の違い、見た人の感想などを紹介していきます。

暗黒女子 | 株式会社双葉社

暗黒女子の映画作品情報

2017年4月1日公開

映画「暗黒女子」は2017年4月1日に公開されました。W主演を務めた白石いつみ役の飯豊まりえ、澄川小百合役の清水富美加をはじめ、注目の若手女優が多数出演することで話題になりましたが、公開を控えた2017年2月11日に清水富美加の芸能界引退と出家が報道され、公開が危ぶまれる騒動もありました。「暗黒女子」に出演したキャストについては、次の項目で1人ずつ詳しく紹介していきます。

監督は耶雲哉治

映画「暗黒女子」の監督は耶雲哉治が務めました。2000年から株式会社ROBOTに所属し、CMやミュージックビデオの演出を手掛けてきました。2007年から全国の映画館で上映前に流されている「NO MORE 映画泥棒」の監督としても知られています。2014年からは「百瀬、こっちを向いて。」、「MARS~ただ、君を愛してる~」といった長編映画監督も務めています。2019年には実写映画「刀剣乱舞」の公開も予定されています。

脚本は岡田磨里

映画「暗黒女子」の脚本は岡田磨里が担当しました。1998年に「DTエイトロン」で脚本家デビューして以来「とらドラ!」、「黒執事」のシリーズ構成や「ローゼンメイデン」の脚本を手掛け多くのアニメに関わってきました。原作も担当した「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、「心が叫びたがっているんだ。」(長井龍雪、田中将賀とのユニットである「超平和バスターズ」名義)といった代表作で知られている脚本家です。

映画『暗黒女子』オフィシャルサイト

暗黒女子の映画登場キャスト

白石いつみ:飯豊まりえ

死んだ学園のカリスマ・白石いつみを演じたのは飯豊まりえです。2008年に「avex kids×ニコ☆プチ公開モデルオーディション」でグランプリを獲得し、「ニコ☆プチ」、「nicola」、「Seventeen」の専属モデルを務めました。2012年には「世にも奇妙な物語 ’12春の特別編」でドラマ初出演を果たし、翌年「獣電戦隊キョウリュウジャー」の2代目キョウリュウバイオレット(弥生ウルシェード)役で注目を集めました。

澄川小百合:清水富美加

いつみの親友・澄川さゆりを演じ、飯豊まりえと共にW主演を務めたのは清水富美加です。2008年に「レプロガールズオーディション2008」でグッドキャラクター賞を獲得し、2012年まで「ラブベリー」の専属モデルを務めました。女優としては「仮面ライダーフォーゼ」の城島ユウキ役、「まれ」の蔵本一子役などで知られています。2017年2月の出家、引退騒動を経て、現在は千眼美子として復帰し芸能活動を行っています。

二谷美礼:平祐奈

文芸サークルのメンバーで学園一の秀才・二谷美礼を演じたのは平祐奈です。2011年、母と祖母が応募したオーディションに合格し、映画「奇跡」でデビューを果たしました。2012年4月から2013年3月までは「おはスタ」のアイドルグループ「おはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!」のメンバーとして活動していました。「きょうのキラ君」、「未成年だけどコドモじゃない」、「honey」など、少女マンガ原作の映画に多く出演しています。

小南あかね:小島梨里杏

文学サークルのメンバーで老舗料亭の娘・小南あかねを演じたのは小島梨里杏です。子役活動を経て2011年に「グラビアJAPAN2011」ミス週刊プレイボーイを受賞し、2013年「列車戦隊トッキュウジャー」でトッキュウ3号(ミオ)を演じ話題になりました。2016年には「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」で映画初主演を果たしました。2017年からは子役時代からの夢だったという「天才てれびくんYOU」のMCも担当しています。

ディアナ・デチュヴァ:玉城ティナ

文学サークルのメンバーでブルガリアからの留学生・ディアナ・デチェヴァを演じたのは玉城ティナです。事務所社長のスカウトを受け、2012年に「ミスiD2013」でグランプリを獲得、「ViVi」専属モデルとなりました。2014年には「ダークシステム 恋の王座決定戦」で女優デビューしました。「貞子VS伽椰子」、「サクラダリセット」などにも出演し、2019年には主役・閻魔あいを演じた「地獄少女」の公開が予定されています。

高岡志夜:清野菜名

文学サークルのメンバーで現役作家でもある高岡志夜を演じたのは清野菜名です。2007年に「ピチレモン」の第15回ピチモオーディションでグランプリ・ペンティーズ賞を受賞し、2011年まで専属モデルを務めました。ピチモ卒業後、「桜蘭高校ホスト部」でドラマに初出演し、2014年には「TOKYO TRIBE」のヒロイン・スンミ役に抜擢されました。現在放送中のドラマ「今日から俺は!!」でもヒロイン・赤坂理子を演じています。

北条先生:千葉雄大

文芸サークルの顧問であり、いつみの恋人でもある北条を演じたのは千葉雄大です。「CHOKi CHOKi」の専属モデルを経て、2010年から2011年まで「天装戦隊ゴセイジャー」のゴセイレッド(アラタ)役で俳優デビューを果たしました。「アオハライド」、「家売るオンナ」、「黒崎くんの言いなりにはならない」など多くの映画やドラマに出演し、現在は放送中のドラマ「プリティが多すぎる」で新見佳孝役を演じています。

いつみの父:升毅

聖母マリア女子高等学院の経営者でもあるいつみの父を演じたのは升毅です。1975年からNHK大阪放送劇団、劇団五期会、売名行為、劇団MOTHERといった関西の劇団で活躍し、1995年にドラマ「沙粧妙子-最後の事件-」で関東圏にも進出しました。大河ドラマ、朝の連続テレビ小説にも複数の作品にわたって出演し、現在に至るまで数多くのドラマや映画で活躍しています。

暗黒女子の映画あらすじネタバレ

暗黒女子 あらすじネタバレ①白石いつみの死

お嬢様ばかりが集う名門女子校・聖母マリア女子高等学院。その経営者の娘である3年生の白石いつみは、学院中の生徒の憧れの的でした。ところが、ある日いつみは屋上から転落し亡くなってしまいます。いつみの手には一輪のすずらんが握られていました。事故か事件か、それとも自殺なのか、事件の真相は誰にもわかりません。やがて、校内ではいつみは会長を務めていた文学サークルの誰かに殺されたのだという噂が流れ始めます。

暗黒女子 あらすじネタバレ②定例会

1学期最後の日、文学サークルの定例会が開催され、新会長の澄川小百合、2年生の小南あかね、高岡志夜、1年生の二谷美礼、留学生のディアナ・デチェヴァが集まりました。定例会では闇鍋をつつきながら自作小説の朗読を行うのがお決まりになっています。いつみの親友だった小百合は、小説にすることで真相が見えてくるかもしれないと、「いつみの死」をテーマに選びました。鍋奉行兼司会の小百合の進行で、定例会が始まります。

暗黒女子 あらすじネタバレ③二谷美礼「太陽のような人」

幼い頃から聖母マリア女子高等学院への憧れを抱いていた美礼は、猛勉強の末に特待生として入学を果たしました。しかし、裕福とは言えない家庭で育った美礼は、お嬢様ばかりの学院に馴染むことができません。そんな美礼に声を掛けてきたのがいつみでした。読書好きの美礼はいつみの誘いで文学サークルに入ることになります。美礼は華やかないつみと、いつみに常に寄り添う小百合を見て、まるで太陽と月のようだと感じました。

聖母マリア女子高等学院ではアルバイトは禁止されていましたが、美礼は学費のために働かなければなりません。そこでいつみに相談すると、いつみは妹の家庭教師として家に招いてくれました。白石家からの報酬は破格のもので、美礼は多すぎると言って辞退しようとしますが、いつみの「もっと恵まれない人にお返ししてあげて」という言葉を受けて、病院で老人の話し相手のボランティアをすることにしました。

ある日、美礼は父にどこかに連れて行かれるいつみの姿を目撃しました。数日後、肺炎で入院していたといういつみに話しかけると、いつみは志夜のことを殺したいと言い出します。現役作家である志夜は、著作の翻訳のため白石家に出入りしていましたが、いつみは志夜が父を誘惑していると疑っているのでした。いつみが父の書斎で見つけたという学園指定のハンカチには、志夜が愛用しているすずらんの香水の匂いが染みついていました。

イースター&ペンテコステ祭(キリスト教の祝祭日)の日、いつみの父に親し気に振るまう志夜とそれを睨みつけるいつみの姿を目撃した美礼は、苦しんでいるいつみを見ていられないと泣き崩れます。いつみは友情の記念として愛用していたバレッタを贈り、これを自分だと思ってずっと持っていて欲しいと言いました。美礼はいつみの手に握られていたすずらんは自分へのメッセージで、その香りをまとう志夜こそが犯人だと告発します。

暗黒女子 あらすじネタバレ④小南あかね「マカロナージュ」

あかねは当初はいつみのことを嫌っていました。老舗の料亭で生まれ育ったあかねの目には、華やかないつみは下品に映ったのでした。ある日、あかねは校内新聞に載った感想文を見たいつみに声を掛けられ、文学サークルのサロンに招かれます。あかねはろくに包丁を握ったこともない兄に料亭を継がせようとする両親に反発し、将来は洋食屋を開きたいと考えていました。そんな話を真剣に聞いてくれるいつみに、あかねは好感を持ちます。

その日、あかねの実家の料亭が全焼する事件が起こります。定休日だったため幸い死傷者は出ませんでしたが、出火は厨房ではなく放火の疑いが強いとのことでした。何かできることはないかといういつみに、あかねはサークルへの入会を希望します。サロンには立派なキッチンがあり、あかねはそこでお菓子作りの腕を振るいます。それは洋食屋の夢を失ったあかねの心の慰めになり、部員たちもあかねの作るお菓子を喜んでくれました。

やがて1年生の美礼がサークルに加わりますが、いつみは浮かない顔をしていました。あかねが話を聞くと、いつみは家のものが次々となくなっていること、それは美礼が家庭教師の名目で白石家に押しかけるようになってからであることを話します。可哀想な子だから美礼を疑いたくないと塞ぎ込むいつみを元気づけるため、あかねは腕によりをかけてお菓子を作るのでした。

しかし、今度はいつみの亡き祖母が特注してくれたすずらんのバレッタが盗まれてしまいました。あかねは警察に行くように勧めますが、いつみは美礼と話し合うために屋上に呼び出す手紙を書いたと言います。いつみの転落死はその翌日のことでした。いつみの手に握られたすずらんは美礼が犯人だと告げ、最後まで美礼を許そうとしたいつみの高貴な魂が込められていた、とあかねは朗読を締めくくりました。

暗黒女子 あらすじネタバレ⑤ディアナ・デチェヴァ「女神の祈り」

ブルガリアの小さな村で生まれ育ったディアナがいつみと出会ったのは、いつみがホームステイに来たことがきっかけでした。亡くなった母が日本人だったため日本語を話すことができたディアナは、いつみとすぐに打ち解けました。帰国したいつみは父に掛け合い、留学生を招くことになりました。最初は双子の姉・エマが留学するはずでしたが、エマが遺跡の階段から転落する事故に遭ったため、ディアナが日本に来ることになったのです。

ディアナはいつみに文学サークルに誘われ、サロンを訪れます。ディアナがキッチンでお菓子を作っていたあかねに声を掛けると、あかねは咄嗟に何かを隠しました。あかねの腕には、実家の火事で負った火傷跡がありました。いつみはすずらんみたいで可愛いとフォローしますが、あかねはその場を走り去ってしまいます。その頃からいつみは体調を崩しがちになり、イースター&ペンテコステ祭の日もサロンで休んでいました。

いつみは売り上げは全て寄付し、卒業後はサロンも移築し孤児院として役立ててもらいたいと語ります。それに反発したのはあかねでした。洋食屋の夢を失ったあかねにとって、サロンのキッチンは聖域だったのです。打ち上げであかねの焼いたお菓子を食べながら、美礼がいつみの分のマドレーヌを食べて吐いてしまったことがあるという話を聞いたディアナは、あかねが毒を盛っているのだと確信し、絶対に許さないと呟くのでした。

暗黒女子 あらすじネタバレ⑥高岡志夜「紅い花」

中等部3年生の時に書いた小説「君影草」が新人賞を獲得した志夜は、いつみに誘われ文学サークルへの入部を果たします。いつみは志夜の作家活動をパトロンのように支援し、白石家への出入りも許してくれました。ただ一つ困ったのは、いつみがしきりに「君影草」の翻訳を勧めてくることでしたが、志夜は日本語であることにこだわっている、翻訳よりも次回作に集中したいと言って断り続けていました。

そんな折、留学生のディアナが文学サークルに加わりました。本で見たラミアー(吸血鬼)にそっくりなディアナを恐れる志夜でしたが、ある日ディアナが花壇にすずらんを植えている姿を見て、本当はいい子なのかもしれないと考えを改めます。ディアナは自分が学院の生徒にいい刺激を与えれば、来年からも故郷から留学生を招いて貰えると語りました。しかし、いつみからもう留学生は呼ばないと聞いていた志夜は不思議に思います。

ある日、志夜は人形にナイフを突き立てるディアナの姿を目撃します。その頃から体調を崩していたいつみは聖書や聖堂が怖いと言い、精神的に追い詰められている様子でした。イースター&ペンテコステ祭の日、ディアナに介抱されるいつみを見た志夜は、まるで悪魔に運ばれていくようだと感じました。死んだいつみの手にはディアナの故郷の花であるすずらん、首筋には吸血鬼に噛まれたような赤い跡があった、と志夜は語るのでした。

暗黒女子 あらすじネタバレ⑦白石いつみ「死者のつぶやき」

4人の朗読を聞き終えた小百合が取り出したのは、死んだはずのいつみが書いたという小説でした。驚く4人を制止し、小百合の朗読が始まります。いつみは聖母マリア女子高等学院の国語教師・北条と交際していました。2人の関係を知っているのは、いつみの親友である小百合だけです。留学先のブルガリアでもいつみはたびたびホームステイ先を抜け出し、北条と濃密な時間を過ごしていました。

自分が主人公でない小説なんてつまらない、輝くなら美しく生命力に溢れる今がいいと考えるいつみにとって、教師と生徒という禁断の恋は最高にドラマチックなもののはずでしたが、いつみは物足りなさを感じ始めていました。いつみは文学青年だった北条のために文学サークルを創設し、サロンを密会の場にしました。そして、自分の物語に足りないのは「脇役」だと気付き、目を付けた生徒の弱みを握ってサークルに引き入れるのでした。

志夜の小説はフランスの古い小説からの盗作、あかねは実家を継げないコンプレックスから料亭に放火、美礼のボランティアの実態は老人相手の援助交際、ディアナの留学の権利は姉を遺跡から突き落として得たもの。4人はいつみに従う他ありませんでした。優秀な脇役を得たことでいつみと北条の恋は燃え上がり、やがていつみの妊娠が発覚します。北条はいつみにプロポーズし、お腹の子の名前はすずらんにしようと語り合いました。

いつみは中絶できなくなる時期を待ち、父に結婚の許可をもらうつもりでした。ところが、それを待たずいつみの妊娠を知った父は、北条とは二度と合わせないと激怒し経営している病院で強制的に堕胎手術を受けさせます。脇役たちに裏切られたことを察し、死にたいと絶叫するいつみに、小百合は北条の連絡先を渡しました。そして、愚かな脇役たちへの復讐として、4人の目の前ですずらんを手にして屋上から飛び降りるのでした。

いつみには死ぬつもりは欠片もありませんでした。着地点にあらかじめ細工をしておき、小百合が噂を流すことで表向きは死んだことにしたのです。そして、自分は病院を抜け出して北条と駆け落ちする、というのがいつみの計画でした。いつみの小説は、これを書き終えたらサロンに忍び込んで闇鍋にすずらんの毒を混入する、4人はここに自主的に集い、集団自殺を遂げたことになるのだ、と結ばれていました。

暗黒女子 あらすじネタバレ⑧閉会

小百合の朗読を聞いた4人はパニックに陥ります。小百合はそんな4人を鼻で笑い、さらなる真実を語り始めます。いつみは確かにサロンに来ていました。計画を小百合に伝えたいつみは、全て終わったらもうここには来ない、北条のためだけに生きていくと語りました。しかし、小百合の入れたお茶を飲んだいつみは突然苦しみだし、倒れてしまいます。平凡な幸せを語る今のいつみに失望した小百合は、お茶にすずらんの毒を混ぜたのです。

真相を知って震える4人の目の前で、小百合は食器の中から指輪を拾い上げます。それは北条がいつみに贈った婚約指輪でした。闇鍋の中身はいつみの死体だったのです。あなたたちは今日から新しい秘密を共有するのだと笑った小百合は、主役の交代を宣言します。2学期の初め、聖母マリア女子高等学院には4人を従えた小百合の姿がありました。そして、ある女子生徒に目を付けた小百合は、文学サークルに入らないかと誘うのでした。

暗黒女子の衝撃のラストと犯人は?

4人の裏切りといつみの復讐

あらすじでも紹介したように、いつみの妊娠は中絶できない時期に差し掛かる前に父に知られてしまいます。この時いつみの父が持っていたブルガリアでの密会写真を撮ることができたのはディアナ、エコー写真を手に入れることができたのは美礼です。また、あかねはいつみの食の好みの変化から妊娠を察することができ、志夜は親しくしていたいつみの父に密告するチャンスがありました。つまり、4人が結託していつみを裏切ったのです。

いつみは裏切りに対する復讐として、4人の目の前で屋上から飛び降ります。すずらんを手にしていたのは、秘密が公になることを怖れた4人がその意味をでっちあげた小説を書き、お互いに罪を擦り付け合うように仕向けるためでした。小百合の細工と誘導により、4人はいつみの思惑通りに小説を書きますが、サロンに現れたいつみが小百合によって殺されてしまったのはあらすじでも紹介した通りです。

いつみ殺しの犯人は澄川小百合

あらすじでも紹介した通り、いつみを殺した犯人は小百合です。いつみの親友である小百合は、美しく冷酷でしたたかないつみを愛していました。ところが、サロンに現れたいつみは北条とのありふれた幸せを語る、つまらない女になり果てていました。そんないつみに幻滅した小百合は、鏡に映った自分の姿を見て「今のいつみよりも自分の方が主人公にふさわしい」と思い、いつみのお茶にすずらんの毒を混ぜたのです。

暗黒女子の映画版は原作小説と違う?

原作は秋吉理香子の小説

映画「暗黒女子」の原作は秋吉理香子の同名の小説で、「小説推理」2012年12月号から2013年3月号まで連載されました。原作者の秋吉理香子は2008年に「雪の花」で第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞し、2009年に同作品を含む短編集「雪の花」でデビューを果たしました。「暗黒女子」はデビュー2作目の小説で、その後も「放課後に死者は戻る」、「聖母」、「自殺予定日」、「ジゼル」といった作品を発表しています。

映画版には古賀園子が登場しない

映画「暗黒女子」のあらすじは概ね原作通りですが、一つ大きな変更点があります。それは映画には古賀園子という部員が登場しないことです。園子はいつみのクラスメイトで、いつみの父のパソコンから学校のネットワークに侵入し、自分の成績を書き換えていたという弱味を握られて文学サークルに入部させられます。定例会ではディアナを犯人だと告発する「ラミアーの宴」という小説を朗読します。

古賀園子の小説「ラミアーの宴」のあらすじ

いつみのクラスメイトであり、良きライバルでもあった園子は、いつみに誘われるままに文学サークルに入部しました。理系コースを専攻する園子は文学は苦手としていましたが、あかねの作るお菓子や闇鍋に惹かれたこともあって、次第にサークルに馴染んでいきます。サークル活動の中にはイースター&ペンテコステ祭でのバザーもあり、園子はその実行委員長を引き受けることにしました。

医師を志す園子は、勉強のモチベーションを保つため時折病院見学に訪れていました。しかし、解剖の現場に立ち会いたいという希望は簡単には叶えられません。そこで、病院の経営も手掛けるいつみの父に相談すると、その希望を叶えてくれました。園子は実行委員長としてイースター&ペンテコステ祭を盛り上げることで、いつみの父への恩返しをしたいと考えたのでした。

実行委員長の仕事のため白石家に出入りするうちに、園子はいつみの父と親しくなりました。動かなくなったパソコンを修理したことでさらなる信頼を得た園子は、いつみの父からすずらんの香水を贈られました。ある日、園子は見学に行った病院で真っ青な顔をしたいつみを見かけます。この頃いつみの様子がおかしいことに園子は気付いていました。そして、それはディアナがやってきた時期と一致していたのです。

早朝、いつみにそっくりな人形にナイフを突き立てるディアナの姿を目撃した園子は、ディアナへの疑惑を深めていきます。事情を調べてみると、いつみは来年からは他の国から留学生を呼ぶよう父に進言していました。ディアナはそれが原因でいつみを恨んでいるのだと確信した園子は、ディアナが呪術でいつみを操って自殺させたのだと告発するのでした。

「暗黒女子」映画版と原作版の違い

すずらんの香水、いつみの父との不倫疑惑、ディアナを疑い美礼に疑われるといった原作における園子の役割は、映画では志夜のものになっています。原作での志夜は、サロンの閉鎖に反発したあかねがいつみを殺した犯人だと疑っています。その一方で、著作の「君影草」がすずらんの別名であることを根拠とし、いつみとの文学論の対立から作家としてのプライドを傷つけられ犯行に及んだとディアナから疑いをかけられます。

つまり、原作では美礼→園子→ディアナ→志夜→あかね→美礼となっている疑惑の構図が、映画では美礼→志夜→ディアナ→あかね→美礼という構図になっているのです。それに伴って部員の小説もあらすじの一部が変更されており、そのタイトルも原作では「居場所」(美礼)、「春のバルカン」(ディアナ)、「天空神の去勢」(志夜)というものです。

あかねの小説「マカロナージュ」だけはタイトル、あらすじともに原作通りですが、一部省略されたエピソードがあります。原作でのあかねは父が師匠から譲り受けた店を任されることになり、夢だった洋食屋の開店に向けて準備を重ねていました。しかし、父がその約束を反故にしたことから実家の料亭に放火する凶行に走り、その現場を目撃していたいつみに脅され文学サークルに加わることになります。

これ以外にも、あらすじに影響しない程度の原作と映画の違いとして、美礼が家庭教師を務める相手がいつみの妹になっている、ディアナがいつみのために猛勉強して日本語を話せるようになったとされている、小百合が闇鍋の中から取り出すいつみのアクセサリーが腕時計であるといったものがあります。

暗黒女子を観た感想は?

暗黒女子 感想①趣向が面白い

「暗黒女子」は1つの事件について複数の人間が語るという構成になっています。黒澤明監督の映画「羅生門」に代表されるこの手法には、誰が本当のことを言っているのかわからないという面白さがあります。「暗黒女子」も部員たちの食い違う証言にドキドキしながら見た人が多かったようです。

暗黒女子 感想②薄暗さと繊細さが美しい

お嬢様ばかりが通うミッションスクールという舞台設定、異世界のようなサロンの空間と、そこで繰り広げられるおどろおどろしい物語は「暗黒女子」独特の魅力なのかもしれません。また、思春期特有の少女同士の関係性に百合的な要素を見出す人もいました。

暗黒女子 感想③美少女揃い

学園の女王様的存在のいつみ、しっとりした雰囲気の小百合、理知的な美礼、西洋の童話から抜け出てきたようなあかね、東欧の妖精と称されるディアナ、明るいムードメーカーの志夜と、原作からして美少女揃いの「暗黒女子」ですが、映画版でも見事にタイプの違う美少女を揃えていると評判でした。

暗黒女子 感想④千葉雄大がかっこいい

女性陣だけではなく、北条を演じた千葉雄大もかっこよかったと好評でした。可愛い系の俳優として知られる千葉雄大ですが、「暗黒女子」以降はセクシーなシーンを演じる機会も増え、ますますファンを惹きつけているようです。

暗黒女子 感想⑤結末が予想できてしまった

耽美さと薄暗さを併せ持つ世界観と「羅生門」式の構成が好評な「暗黒女子」ですが、ミステリ慣れしている人には結末が予想できてしまい、物足りなく感じた人もいたようです。しかし、いつみ殺しの犯人以外は誰の言っていることが本当なのか明らかになっていないところもあり、考察を楽しむファンの姿も見られます。

暗黒女子のネタバレや感想まとめ

美少女たちの薄暗い一面を描き出し、見た人に大きなショックを与えた映画「暗黒女子」。決して気持ちのいい結末ではありませんが、それこそがイヤミスの醍醐味でもあります。未見の方もこれを機に「暗黒女子」の世界を覗いてみるのはいかがでしょうか?

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