恋妻家宮本のあらすじ・伏線をネタバレ解説!映画の評価と感想は?

阿部寛と天海祐希が夫婦役を演じた映画『恋妻家宮本』のあらすじのネタバレや、見た人の感想・評価についてまとめました。映画『恋妻家宮本』は豪華なキャストが出演していることに加え、『女王の教室』や『家政婦のミタ』で知られる脚本家・遊川和彦が初めてメガホンを手に取ったことが話題となりました。50代夫婦の熟年離婚の危機を題材に、コミカルで温かなあらすじが展開されます。この記事では結末までのネタバレあらすじはもちろん、伏線や原作との違い、見た人の感想・評価まで網羅して紹介します。

恋妻家宮本のあらすじ・伏線をネタバレ解説!映画の評価と感想は?のイメージ

目次

  1. 恋妻家宮本のあらすじや伏線をネタバレ解説!
  2. 恋妻家宮本とは?
  3. 恋妻家宮本のあらすじをネタバレ紹介!
  4. 恋妻家宮本の伏線をネタバレ解説!
  5. 恋妻家宮本の映画の評価や感想を紹介!
  6. 恋妻家宮本の原作との違いは?
  7. 恋妻家宮本のあらすじや伏線まとめ!

恋妻家宮本のあらすじや伏線をネタバレ解説!

『恋妻家宮本』のネタバレあらすじや、感想・評価について紹介します。『恋妻家宮本』は『女王の教室』や『家政婦のミタ』といった大ヒットドラマを手掛けたことで知られる脚本家・遊川和彦が初の映画監督を務めたことで注目を集めました。そんな話題作である『恋妻家宮本』のネタバレあらすじを結末まで詳しく紹介し、遊川和彦の初監督映画にはどのような感想や評価が下されたのかも解説していきます。

恋妻家宮本とは?

公開日などの基本情報

ネタバレあらすじの紹介の前には基本的な情報をまとめて紹介します。『恋妻家宮本』は2017年1月28日に日本で公開された映画です。先述のように、脚本家の遊川和彦の初監督作品であることが話題となりました。主演を務めたのは阿部寛と天海祐希です。原作は直木賞作家である重松清の小説『ファミレス』です。『恋妻家宮本』は原作小説を大胆にアレンジしたホームコメディ映画です。

遊川和彦とは?

監督である遊川和彦は「現場に口を出す脚本家」として知られています。脚本を書くだけではなく、厳しい演技指導を行う異色の脚本家です。『女王の教室』や『家政婦のミタ』などはヒットドラマとなり、作品内容が高く評価されました。その一方、連続テレビ小説『純と愛』の脚本はかなり低い評価をされており、評価の別れる脚本家のようです。近年の作品には高畑充希主演ドラマ『過保護のカホコ』などがあります。

主題歌は吉田拓郎

映画『恋妻家宮本』の主題歌「今日までそして明日から」はこの作品を構成する重要な要素と言われています。「今日までそして明日から」は1971年7月21日にリリースされた吉田拓郎のヒット曲です。映画では主人公夫妻の思い出の曲として言及される他、エンディングではユニークな演出と共に流れるため、映画を見た後でこの楽曲を聴きたくなる人が多くいるようでした。

恋妻家宮本のあらすじをネタバレ紹介!

ここからは『恋妻家宮本』のネタバレあらすじを結末まで紹介していきます。『恋妻家宮本』の簡単なネタバレあらすじは「息子が独立してふたりきりの生活を送るようになった50代夫婦ですが、夫が離婚届を見つけたことをきっかけに、夫婦の在り方を見つめなおす」という内容です。これまでの遊川和彦作品に比べると、捻った展開はなく、わかりやすいあらすじと言われます。以下はネタバレを含みますのでご注意ください。

ファミレス

宮本陽平は50歳になる中学校の教員ですが、子供のころから非常に優柔不断な性格をしていました。ある日、妻の美代子と共にファミレスに出かけますが、なかなかメニューが決められません。美代子にリードされるようにメニューを決めました。ふたりは学生時代にファミレスの合コンで出会いましたが、当時から陽平は決断に悩む性格でした。ある時、美代子から妊娠を告げられ、陽平はプロポーズします。

プロポーズの言葉は「美代子の作った味噌汁が飲みたい」でした。しかし陽平が結婚を決断したのは「愛」よりも「責任」を感じたからです。やがて息子の正は成長し、結婚します。被災地の取材をしたいという正は、実家を出ていきました。それからは陽平と美代子のふたり暮らしです。50代になってから初めて本当にふたりきりになったのですが、陽平と美代子はそれぞれ不安を抱えていました。

離婚届を発見!

ファミレスから帰ると、美代子はワインを飲もうと言いました。簡単なツマミを陽平が料理します。陽平は一年前から料理教室に通っており、料理が趣味となっていました。陽平の作る料理の味は美代子も認めていました。しかし、楽しそうに料理をしている陽平のことを美代子は寂し気に見つめています。その後、ワインを飲み過ぎた美代子は泥酔しました。そこで美代子は互いを名前で呼び合うルールを提案します。

美代子が「陽平」と何度も呼びながら迫ります。仕方なく陽平も美代子と呼ぶことにします。その後、美代子は酔いつぶれてしまいました。美代子の寝顔を見て、妻が老けたことを陽平は実感します。寝室に戻った陽平は昔読んでいた本、暗夜行路を手に取ります。それは付き合い始めた頃に美代子に貸したことのある小説でした。ページを捲ると一枚の紙がはらりと落ちます。それは離婚届でした。

離婚届にはすでに美代子の名前が書いてあります。ショックのあまり陽平は固まってしまいました。美代子に問い詰めようと妄想しますが、確かめるのが恐くて何も言えません。美代子は呑気にお尻をかいて寝ていました。陽平は複雑な心境でブランケットをかけてあげます。

ドンの事情

翌朝、美代子は朝食を作っていました。大事なことがあると言われて陽平は動揺しますが、美代子はリフォームの話をしました。学校に出勤した陽平はリフォームを考えているという美代子が自分を追い出そうとしているのではないかなどと勘繰ります。そんな陽平の教え子にも問題を抱えている生徒がいました。井上克也、通称ドンです。ドンの母親は不倫相手と事故を起こして入院していましたが、ドンはそれを自虐ネタにしています。

陽平はあまり深刻にドンのことを考えていませんでした。陽平は料理倶楽部の部員を募集していますが誰も興味を示しません。募集のポスターを直していると女子生徒の菊地原明美、通称メイミーが話しかけます。メイミーは陽平のことを「呑気で冷たい」と言い放ちました。メイミーはドンのことを心配しています。絶望しているとまで言われた陽平は、ドンの家庭訪問をしました。ドンの祖母が出迎えます。

ドンの祖母は厳格な人物でした。陽平はドンの母親の容態を尋ねますが、ドンの祖母は話そうとしません。陽平はドンと親し気に話しますが、馴れ馴れしく陽平に接するドンを厳しく躾けます。陽平はドンを庇いますが、祖母はドンの母親を痛烈に批判しました。家にはまだ幼いドンの妹もいるため、ドンは妹のことを気にかけています。陽平は苦笑いするしかありません。

料理教室の仲間

仕事を終えた後、陽平は楽しみにしている料理教室に向かいました。主婦の五十嵐真珠と結婚直前の門倉すみれが同じ班のメンバーです。五十嵐が離婚を考えているというので、陽平は動揺します。そして離婚届を見つけたことを明かしました。五十嵐は奥さんが不倫しているのではないかと憶測を言います。その後、帰宅した陽平は携帯を弄っている美代子が気になって仕方がありません。

何をしていたのかと陽平が尋ねますが、美代子はリフォームの話をしました。先に風呂に入るように促し、陽平は美代子の携帯を盗み見ます。しかし、携帯の中は正とのメールで一杯でした。そこへ、美代子が突然戻ってきて陽平は慌てます。携帯を盗み見たことはばれませんでしたが、「お母さん」ではなく「美代子」と呼ぶように釘を差されました。

倒れるドン

後日、授業中にドンは突然倒れてしまいます。実はドンは祖母とケンカし、食事を抜いていました。事情を聞いた陽平は、母親に相談したのか尋ねます。しかし、ドンは事故に遭ってから一度もお見舞いに行っていませんでした。どうにかしてよとメイミーに言われた陽平は、ドンに自分で料理することを提案します。授業後に陽平は特製卵かけご飯を作りました。しかし、ドンは調理室に来ませんでした。

やむを得ず陽平はドンの家のポストに卵料理のレシピを入れて料理教室に行きました。料理教室では五十嵐が夫の不満を愚痴っています。離婚届を突き付けてやろうと言うので陽平は動揺します。一方の門倉はラブラブだった恋人とケンカをしていました。恋人の携帯を覗いたら、元カノと連絡を取っていたことが発覚したからです。なんのために結婚するのかわからないと憤る門倉に、陽平と五十嵐は何も言えません。

帰宅した陽平は暗夜行路を再び開きます。そこにはまだ離婚届がありました。問い詰めようと思いますが、気の弱い陽平は離婚届を暗夜行路に挟みます。そこへ顔パックをした美代子が姿を現しました。陽平はついに「離婚届」と言います。しかし、五十嵐の話に切り替えてごまかしました。美代子が正のところに行きたいと言ったので陽平は承諾します。

落ち込む陽平

翌日、陽平は学校で元気なドンと会います。ドンは陽平のレシピを参考に妹のために卵かけご飯を作りました。妹が喜んでいたと陽平にお礼を言います。そんなドンを陽平は料理倶楽部に誘いますが、ドンは逃げていきました。そこにメイミーが現れ、ドンの問題を先送りにしていると指摘します。本当は教師に向いてないかも、とメイミーは言い放って去りました。陽平は落ち込んで帰ります。

ファミレスの前を通った陽平は美代子と結婚しなかった未来を夢想しました。家に帰ると本の位置が少しズレていることに気付きます。暗夜行路を手に取ると離婚届がなくなっていました。そこへ正から電話がかかってきます。正が言うには美代子はしばらく正の元に身を寄せるつもりのようです。そして、陽平が料理を習い始めてから美代子は元気がなくなった気がすると言われるのでした。

それぞれの家庭

後日、料理教室に行くと、門倉の姿がありません。遅れてやって来た門倉は陽平と五十嵐に別れを告げました。門倉は婚約を解消し、料理教室を止めると言います。ふたりを見ていても幸せそうに見えないと言い放ち、門倉は去っていきました。その後、陽平と五十嵐はふたりで飲みに行きます。互いの事情を話すうちに、五十嵐はセックスに問題があるかもしれないと陽平をホテルに誘いました。

ふたりでホテルに赴きます。戸惑いながらも陽平は部屋を選ぶボタンを押しました。そこで五十嵐に電話が掛かってきます。五十嵐はその場から飛び出して病院に向かいました。陽平も後を追うと、病室には五十嵐の夫がいました。大したことはありませんでしたが、夫婦喧嘩が始まります。好きかって言い合うふたりの様子を見た陽平は、美代子と言い合いしたほうがいいのかもしれないと感じるのでした。

病室を辞去した陽平は病院内でドンの姿を目撃します。ドンは母親の病室を覗いていました。陽平は母親に声をあげたらどうかと勧めますが、ドンは病室に入ることができません。ドンは自分の事が好きか陽平に尋ねます。どうかなぁと答えを濁していると、ドンは自分のことが全然好きじゃないと言いました。悩みを吐露するドンを陽平は元気づけようとしますが、上手い事を言えず、ドンはカラ元気な様子を見せて去っていきました。

離婚届に署名する陽平

家に帰ると明かりがついていました。美代子が帰っています。美代子は吉田拓郎の「今日までそして明日から」をかけ、若いころの思い出を話しました。しかし、陽平は音楽を止め、暗夜行路に挟まっていた離婚届のことを話します。離婚届は美代子が持っていました。陽平は理由を尋ねますが、美代子は簡単に説明できないから言いたくないといいました。陽平は納得ができません。

問い詰めると、美代子は「不満はないけど不安はある」と言いました。陽平は怒ります。不満をぶつけると、美代子も言い返しました。そして、「本当は結婚に向いていない」と、いつかメイミーに言われたのと同じようなセリフを言われます。腹を立てた陽平は勢いで離婚届に署名をします。美代子に突きつけると、言うことはそれだけか美代子は問い、離婚届を持って家を出ていきました。

弁当を作るドン

後日、陽平はドンをファミレスに誘います。ドンは妹を連れて来ました。そこで陽平は母親のための弁当作りを提案します。ドンの母親は食事に手を付けていなかったからです。不安を感じるドンを励まし、陽平はドンの家で弁当作りをすることにしました。ドンの祖母は外出しています。メイミーも監視役として同行しました。しかし、予定を変更した祖母が帰ってきてしまいます。

ドンの祖母に責められる陽平。苛立つドンの祖母は、その場でもドンの母親を痛烈に批判します。正論を振りかざす祖母に、陽平は「正しいと思います」と言いました。でも、優しくないと続けます。陽平は正しいことをするのは大切だけど、優しいことをするのはもっと大切だと言いました。陽平の必死の言葉にドンの祖母は態度を軟化させます。

その後、病院に弁当を持っていった一行でしたが、弁当を渡す役は陽平に託されます。ドンの母親と面会した陽平は、弁当を取り出しました。おかずは母親に作ってもらって、ドンが美味しいと感じたものです。ドンの母親は涙します。その後、陽平はドンを呼びに行きました。ドンは勇気を出し、妹と一緒に母親に会いに行きます。メイミーは前言撤回し、陽平のことを「教師向いているかも」と評価しました。

美代子に会いに行く陽平

ドンの家庭が一件落着したのも束の間、正から電話が掛かってきます。美代子は離婚届を正に見せ、福島に住んでボランティアをすると言っているようです。悩んだ陽平は料理をしながら考えをまとめます。そして、新幹線に乗って美代子に会いに行きました。電車の中で陽平はそれまでの美代子との生活を思い返していました。正しい選択だったか自信はないが、間違っていても美代子なら笑い飛ばしてくれると陽平は感じます。

正のもとを訪ねると、美代子はいませんでした。正の嫁は、美代子が離婚届を出しに行ったのかもしれないと言います。狼狽える陽平に嫁は、抱きしめるか手を握ってあげればいいと告げました。正に駅まで送ってもらった陽平は電車に急ぎますが、間に合いません。ホームで膝をつく陽平は美代子にメールを送ろうとします。しかし、上手く言葉を綴ることができません。そこへ電車がやって来ました。

美代子の告白

気付くと美代子が向かいのホームに立っていました。美代子は携帯を忘れて戻って来たのです。離婚届はまだ出していません。陽平は改めて理由を訪ねました。美代子は「ジョーカー」だと言います。美代子は正が独立したことで不安を感じていました。さらに陽平が料理教室に通い始めたので、自分が必要とされないと言われることが恐かったのです。

福島でボランティアをするうちに自分が必要とされる喜びを感じたという美代子は、悩むのを止めることにしました。そして、いつ陽平に別れを切り出されても綺麗に別れられるように離婚届を用意しておいたのです。美代子の想いを知った陽平は、妻に言うべき優しい言葉を探します。「俺はお前が」と言葉を絞り出す陽平ですが、ホームに電車がやってきて言葉がかき消されてしまいます。

陽平の告白

陽平の言葉を最後まで聞きたい美代子でしたが、停電が起こって辺りは真っ暗になります。駅の待合室に移動し、美代子が持っていた蝋燭に火を灯しました。陽平は美代子のために作った弁当を渡しました。その弁当には美代子の好きな物ばかりが詰まっています。「俺はお前が作った味噌汁が飲みたい」と陽平は言いました。それが陽平の伝えたかった言葉です。それはプロポーズの言葉と同じでした。

陽平は当時の気持ちを思い出し、美代子と過ごして来た時間が間違いでは無かったと気持ちを伝えます。そして、これからのふたりの生活に対して前向きな言葉を言いました。過去の自分に今でも妻に恋していると伝えたいと言います。美代子も陽平への愛情を改めて告げました。そこで、停電が復旧します。待合室の中には他にも人がいたので、その後ふたりは黙り込んでしまいました。

恋妻家宮本の結末

しばらくして、陽平と美代子はファミレスに出かけました。陽平は相変わらずメニューに迷うので、美代子は暗夜行路を取り出して読み始めます。そこへ門倉が声を掛けました。門倉は一生結婚しないと告げました。そんな門倉に、結婚して幸せだと陽平は言います。門倉は席に戻っていきました。なおもふたつのメニューで迷う陽平のため、美代子は両方注文してシェアすることにしました。

陽平は自分の選択が正しいのかわからないと言いつつも、優しい言葉ならいつか相手の心に届くと信じることにします。ファミレスの店内には4人で食事をするドンの家族や、五十嵐夫妻の姿もありました。最後は店内の全員で吉田拓郎の「今日までそして明日から」を合唱して、『恋妻家宮本』は結末を迎えます。

恋妻家宮本の伏線をネタバレ解説!

ここでは映画『恋妻家宮本』の設定や伏線についてネタバレ解説します。『恋妻家宮本』というタイトルは造語である「恋妻家」という言葉が使われています。その一方、原作小説のタイトルであるファミレスが重要な舞台として登場し、リアリティを出すための仕掛けがありました。そして劇中でいくつかの古典文学が取り上げられており、あらすじや主人公の心情を表現した重要な伏線でした。以下、ネタバレ解説していきます。

タイトルの由来は?

映画『恋妻家宮本』のタイトルは原作小説『ファミレス』と大きく違っています。その由来はどのようなものでしょうか?「恋妻家」は「こいさいか」と読みます。しかし、これは造語です。パンフレットにはその由来が書かれており、「妻への思いに気がついた夫のこと。言葉にすると新しいけれど、世界中の夫のなかに必ず眠っている気持ち。」と定義づけられているようです。

映画のクライマックスにも「妻に恋している」というセリフがありました。さまざまな出来事を通して陽平は美代子への気持ちを自覚することができたと解釈されています。ちなみに、「恋妻」(こいづま)という言葉が辞書に記載されていますが、こちらは「恋しい女性や妻」といった意味であり、映画の「恋妻家」という言葉よりも単純な意味として解説されています。

ファミレスはどこ?

映画『恋妻家宮本』の舞台となっているファミレスは「デニーズ」です。デニーズは制作に協力しているため、出てくるメニューも実際に提供されているものでした。また、陽平の過去の場面では、当時の制服を再現されています。雰囲気を表現するために、陽平の車も当時の流行に合わせたホンダのシティが使用されていました。

陽平が取り上げた題材

映画『恋妻家宮本』では陽平が国語教師ということもあり、いくつかの小説が題材として登場しました。映画のあらすじや登場人物の心情を示す象徴として機能しています。映画で登場したのは、志賀直哉の『暗夜行路』、高村光太郎の『道程』、夏目漱石の『真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。』です。以下、各題材がどのような内容なのか簡単に解説します。

まずは志賀直哉の『暗夜行路』です。映画の中では離婚届が隠されていました。これは若い頃に陽平が美代子に渡した本であり、最後のファミレスの場面で美代子が読んでいる小説でもあります。そのあらすじは「父と妻の不倫を知った主人公が苦悩する」というものです。付き合い始めの彼女に読ませる内容ではないと映画でも言及されていました。不倫が題材になっていることから陽平の不安の象徴のような作品と言われています。

続いて、高村光太郎の『道程』です。映画の中ではドウテイという読みから生徒たちが読むのを恥ずかしがり、道化を演じているドンが読むことになりました。しかし、食事をしていないドンは読み始めてすぐ倒れます。「僕の前に道はない」とドンが読んだように、人生の岐路が謳われています。陽平はその内容が中学生に合うと言っていましたが、陽平自身も人生の岐路に悩んでいたのが象徴的と言われています。

最後に、夏目漱石の「真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。」です。映画では美代子とケンカして離婚届に署名をした後で、この作品が紹介されました。「考えろ、語れ、行え」と省略され、陽平が力説しています。メイミーが指摘したように決断を先送りすることが癖になっていた陽平ですが、この名言を心に念じてドンと関わり、美代子と向き合い、ハッピエーエンドへ向かって行きました。

恋妻家宮本の映画の評価や感想を紹介!

ここからは映画『恋妻家宮本』を見た人のネタバレ感想・評価をまとめて紹介します。『恋妻家宮本』を見た人からは概ね好意的な感想が寄せられていました。「優しさ」や「感動」など、ポジティブな気持ちになれる映画という感想が多く挙がっています。その一方、映画として見るには違和感のあると言われる演出は、賛否両論となっているいようです。以下、見た人のネタバレ感想・評価を解説します。

優しさに溢れていた!

映画『恋妻家宮本』を見た人のネタバレ感想には「優しさに溢れていた!」といった声が挙がっていました。映画『恋妻家宮本』は劇中で陽平が言及していたように「正しい言葉よりも優しい言葉」が大切であると繰り返し語られています。

ドンの祖母を説得する時に語られた他、ドンが母親のために作った弁当のおかずや、陽平が美代子に告げたプロポーズの言葉など、優しさや温かさを感じさせるセリフが多いという感想がありました。

感動した!

映画『恋妻家宮本』を見た人のネタバレ感想・評価には「感動した!」という声が多く挙がっていました。映画『恋妻家宮本』はドンの家庭のように家庭の不和も描かれましたが、主人公である陽平は熟年夫婦の離婚危機が描かれています。

夫婦の離婚危機は五十嵐夫妻のあらすじでも語られました。熟年夫婦の不安に共感を覚える方も多く、最終的には大団円となったことで感動したという感想・評価が多くありました。

演出に難あり?

映画『恋妻家宮本』を見た人のネタバレ感想・評価には「演出に難があって好みが別れる」という意見が少なくありません。『恋妻家宮本』はテレビドラマを多く手掛けてきた遊川和彦が監督を務めたためか、テレビドラマ的な演出が多いと言われています。良く言及されているのは「登場人物がカメラ目線で話しかける」、「テロップが使われる」、「エンドロールの合唱」という演出です。

登場人物がカメラ目線で話しかけるとう演出は陽平が料理をする場面で使われてました。突然料理番組のように食材を紹介しながら調理方法の解説が始まるため、コミカルな反面、「映画らしさが損なわれてチープな印象」といった感想・評価を抱く方もいたようです。

また、テロップが使われたことにはより否定的な感想・評価を持った方が多くいたようです。バラエティ番組やドラマではテロップを使うのは珍しくありませんが、映画で見るのは違和感あるようでした。脚本自体への不満はあまり見かけないため、演出で損をしているという感想・評価も挙がっています。

一方で、エンドロールで主題歌である    吉田拓郎の「今日までそして明日から」を合唱する演出は、映画らしくない演出と言われていますが、見た人からは好意的な感想・評価が多く寄せられていました。現代の陽平だけでなく、過去の陽平たちも同じファミレスの中で歌う、「キャスト勢揃いの合唱シーンが大好き」という感想・評価もありました。このように、『恋妻家宮本』で用いられた特徴的な演出は賛否両論のようです。

恋妻家宮本の原作との違いは?

映画『恋妻家宮本』は大胆に原作をアレンジしていると言われています。原作小説は重松清の『ファミレス』ですが、大幅に変更されているのはタイトルだけでありません。登場人物の設定や、ファミレスという場の捉え方も大きく違っていました。この項目ではそれぞれどのような部分が原作小説と違っているのか、詳しくネタバレ解説します。

登場人物

まずは登場人物の違いについて紹介します。映画『恋妻家宮本』では料理教室の仲間が主婦の五十嵐と、結婚直前の門倉というふたりの女性になっていました。しかし、原作小説では、陽平の仲間はふたりとも陽平と同世代の男性です。一方は、一博という名前で、こちらは卒婚に向かうあらすじが展開され、もうひとりの康平は15歳以上年下の妻と再婚しているという設定でした。

映画『恋妻家宮本』でも五十嵐と門倉はそれぞれパートナーとの付き合い方に苦悩している姿が描かれましたが、あくまで脇役です。それに比べて原作小説の一博と康平は準主役と言われるほどの重要人物であり、それぞれのあらすじと、ドンのあらすじが絡んでくるという作品でした。さらに、映画では登場しない料理教室の先生が絡んでくるなど、あらすじは映画よりもずっと複雑に展開されるようになっています。

ファミレス

映画と原作ではファミレスの意味も違ってきます。なぜなら、原作小説ではファミレスが否定的なものとして捉えられているからです。原作小説でのファミレスは、陽平にとって面白くない出来事が起こる場所として描かれています。ファミレスとはすなわち、「Family less」の略であるという捉え方です。ファミレスの料理が否定的に捉えられ、手料理がより肯定的に描かれています。このため、陽平の料理も重要な意味があります。

こうした原作での描かれ方に比べると、映画『恋妻家宮本』でのファミレスはポジティブに捉えられています。プロポーズや息子との別れなど、陽平は人生のターニングポイントをファミレスで迎え、ドンが弁当を作ることにしたのもファミレスでの会話がきっかけでした。最終的にはファミレスに登場人物が全員集まって歌う演出があることからも、原作小説とは明らかに違った描かれ方だと言われています。

恋妻家宮本のあらすじや伏線まとめ!

『恋妻家宮本』の結末までのネタバレあらすじや、伏線、見た人の感想・評価、原作小説との違いについてまとめました。『恋妻家宮本』は原作小説を大胆にアレンジしながらも、見た人が優しい気持ちになれるような、感動的なあらすじの映画となったようです。演出については賛否両論ですが、概ね好意的な感想が挙がっていました。まだ見ていないという方は、ぜひ一度ごらんください。

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