2018年10月19日公開
2018年10月19日更新
8年越しの花嫁の病気・病名はなに?卵巣奇形腫を伴う抗NMDA受容体脳炎とは?
奇跡の実話『8年越しの花嫁』で花嫁の麻衣さんが患った病気について解説します。病名は「抗NMDA受容体脳炎」言いますが、あまり聞きなれない病名なので初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?こちらの記事ではどのようにして病気が発覚が発覚したのかや、この病気の症状などについて詳しく調査していきます。また、2016年に佐藤健さんと土屋太鳳さんのW主演で公開された8年越しの花嫁の映画や麻衣さんの現在についても解説します。
目次
8年越しの花嫁の病気や病名が気になる!
奇跡の実話と呼ばれる『8年越しの花嫁』が誕生するきっかけともなった卵巣奇形腫を伴う「抗NMDA受容体脳炎」はいったいどんな病気なのでしょうか?1年半もの間、昏睡状態が続いたというこの恐ろしい病気について徹底解説していきます。また、『8年越しの花嫁』がどういった話なのかについても解説していきます。
8年越しの花嫁の主要キャストを紹介!
病気や病名についての解説の前に、ここからは映画『8年越しの花嫁』に出演したキャストを紹介していきます。主演の2人の他にも、主要キャストの経歴や代表作といった基本情報を調査しました。
佐藤健/中原尚志
『8年越しの花嫁』で病に倒れた花嫁を8年間待ち続けた中原尚志を演じたのが佐藤健さんです。高校2年生の頃、原宿でスカウトされ、芸能界入りしました。2006年にデビューし、『仮面ライダー電王』で人気に火がつきました。その後も次々に人気作品に出演し、2018年はNHKの連続テレビ小説『半分、青い。』や『義母と娘のブルース』への出演が話題となりました。
土屋太鳳/中原麻衣
『8年越しの花嫁』で結婚式の直前に病気のため昏睡状態になってしまう中原麻衣を演じたのは土屋太鳳さんです。日本舞踊など踊ることが得意で、日本女子体育大学の体育学部運動科学科舞踊学専攻に入学しました。NHKの連続テレビ小説『まれ』で主演を務め、知名度は一気に全国区になりました。現在も映画『累-かさね-』やテレビドラマの『チア☆ダン』などで主演を務めるなど活躍を続けています。
薬師丸ひろ子/中原初美
『8年越しの花嫁』で麻衣の母親を演じたのが薬師丸ひろ子さんです。主演した『セーラー服と機関銃』が大ヒットし角川映画の中心的存在として人気を博しました。1985年に角川春樹事務所から独立した後も多くの作品に出演し、様々な役柄をこなすベテラン女優として活躍しています。また、現在でもコンサートを開催するなど歌手としての一面もあります。
杉本哲太/中原浩
『8年越しの花嫁』で麻衣の父親を演じたのが杉本哲太さんです。1981年に横浜銀蠅ファミリーのロックバンド、紅麗威甦(グリース)で左手に包帯をし、リーゼントの出で立ちでデビューしました。近年では『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』や『ハゲタカ』、『アウトレイジ』に出演していますがそれ以外にも数多くの作品に出演し、現在も日本のドラマや映画に欠かせない名バイプレイヤーとして活躍しています。
北村一輝/柴田
『8年越しの花嫁』で尚志の職場の社長を演じたのが北村一輝さんです。1990年デビューで、代表作には『テルマエ・ロマエ』やドラマ『昼顔』などがあります。徹底的な役作りをすることで有名で、チンピラ役で出演するため、役作りで前歯数本を抜こうと歯科医に頼んで困惑されたこともあります。現在も『シグナル』や『億男』に出演するなど、幅広い役柄を演じています。
浜野謙太/室田浩輔
『8年越しの花嫁』で尚志の職場の先輩を演じたのが浜野謙太さんです。元々は星野源さんがリーダーをしていたSAKEROCK(2015年解散)でフロントマンとして活動していましたが、そのキャラクターを買われ俳優としても活動するようになりました。現在も「在日ファンク」で活動している他、俳優としても『グッド・ドクター』やNHKの連続テレビ小説『まんぷく』に出演するなど二足のわらじで活躍を続けています。
中村ゆり/島尾真美子
麻衣と尚志に起きた奇跡を見届けるウエディングプランナーを演じたのは中村ゆりさんです。歌手としてデビュー後、3年間の活動休止期間を経て2003年に女優としての活動を始めました。2007年に『パッチギ! LOVE&PEACE』に抜擢され、現在も『BG〜身辺警護人〜』や『グッド・ドクター』といった話題作に出演しています。
堀部圭亮/和田医師
出典: https://miima.jp
『8年越しの花嫁』で麻衣の主治医を演じたのが堀部圭亮さんです。1986年、お笑いコンビ「パワーズ」で中デビューしました。勝俣州和さんと「K2」というコンビを組んでいたこともあります。2000年代からは役者と放送作家を中心として活動しています。現在も『ハゲタカ』など様々なドラマに脇役として出演しています。
8年越しの花嫁とは?
奇跡の実話『8年越しの花嫁』のあらすじや概要について紹介していきます。麻衣さんと尚志さんがどのように出会ったのか、病気発覚の経緯や長い昏睡期間についてなど、奇跡の実話について詳しく解説していきます。
8年越しの花嫁の概要
8年越しの花嫁は麻衣さんと尚志さんの結婚式を式場スタッフが撮影し、その様子をYoutubeにアップしたことで多くの感動を呼び、話題になりました。現在までに190万回以上再生されています。その後、フジテレビで放送されている『奇跡体験!アンビリバボー』で2015年4月に紹介され、同年7月には『8年越しの花嫁 君の目が覚めたなら』というタイトルで書籍化されました。
映画は2017年12月16日に『8年越しの花嫁 奇跡の実話』というタイトルで全国公開されました。ぴあ映画初日満足度は92.5を記録し、2017年12月15日、16日公開作品の中で1位となりました。週末興行収入ランキングの実写邦画で3週連続1位となり、澤穂希やブルゾンちえみなど様々な業界の著名人から感動の声が寄せられるなど、映画は大ヒットしました。
主演を務めた佐藤さんと土屋さんは「第41回日本アカデミー賞」で優秀主演男優賞と優秀主演女優賞をW受賞しました。また、薬師丸さんは優秀助演女優賞、村松崇継さんが優秀音楽賞を受賞し、映画業界でも8年越しの花嫁は評価の高い作品となりました。
2人の出会い
2人は友人同士の飲み会で2005年に出会いました。寡黙な性格の尚志さんと明るい麻衣さんという正反対の性格の2人でしたが、麻衣さんの明るい笑顔に惹かれた尚志さんは交際してから1年の記念日にプロポーズしました。結婚式は「アーヴェリール迎賓館 岡山」で2007年3月11日にすることに決めていましたが、その2ヶ月半前に麻衣さんは身体に異変を感じるようになります。
病気の発症と病名発覚
麻衣さんは「今日あったことの記憶がない」とを尚志さんに打ち明けるとその日の晩に奇声を発して苦しみ始めました。原因不明のまま入院し、3日後には心肺停止となってしまいました。人工呼吸器で命を繋いでいましたが、医師より総合的に判断して意識回復の見込みは薄いと診断されます。そのため結婚式も中止となります。後に病名は卵巣奇形腫を伴う「抗NMDA受容体脳炎」と判明しました。
1年半の昏睡状態
尚志さんは奇跡が起きることを信じ、平日は出勤前に1時間、休日は1日3度麻衣さんの病室に足を運びました。麻衣さんが大好きな音楽をかけたり、枕の下に2人の写真と婚約指輪を入れ、毎日のように「みんな待ってるよ。早く元気になって結婚式しよう」と声をかけました。しかし、そんな生活を1年続けたある日、尚志さんは麻衣さんの両親に「新しい子を見つけて新しい人生を歩んで欲しい」と思いもかけない言葉をかけられます。
麻衣さんの両親の言葉の真意
「新しい子を見つけて欲しい」というのは、いつ目覚めるか分からない娘のために人生を犠牲にして欲しくないという切ない思いからくるものでした。しかし、尚志さんはそれでも麻衣さんの笑顔がもう一度見たいとそばにいることを選びます。そんな尚志さんの思いが奇跡を起こし、結婚式の予定日から1年3ヶ月後に麻衣さんが目を覚ましたのです。
目覚めたものの
徐々に意識が回復し、尚志さんが大好きだった笑顔も見せるようになった麻衣さんでしたが、またしても2人は大きな壁にぶつかります。それは、麻衣さんが「尚志さんのことを覚えていない」ということでした。それでも尚志さんは麻衣さんに寄り添い、辛いリハビリも一緒に乗り越えました。2人はもう一度、一歩ずつ愛を育んでいったのです。
2人の間に起きた奇跡
そして、あの日から8年。2人はついに結婚式を迎えます。ウエディングドレスに身を包んだ麻衣さんに母親は「頑張ったね。これからよ、あなた」と声をかけ、8年分の思いが溢れ出した麻衣さんと母親は涙を流します。麻衣さんはヴァージンロードを歩けるようになるまで回復し、無事に結婚式を挙げた麻衣さんと尚志さんは夫婦として新たな一歩を踏み出し、奇跡の実話が出来たのでした。
8年越しの花嫁は実話だった!中原麻衣さんの病気・病名はなに?
ここからは奇跡の実話が誕生するきっかけともなった8年越しの花嫁の麻衣さんの病気について解説していきます。病名は「抗NMDA受容体脳炎」といいますがいったいどんな病気なのでしょうか?また、この病気の引き金となった「卵巣奇形腫」についても説明します。
卵巣奇形腫を伴う抗NMDA受容体脳炎という病気・病名について解説!
卵巣奇形腫を伴う抗NMDA受容体脳炎は、卵巣奇形腫が出来たことによって、身体を守るはずの抗体が誤って脳を攻撃し、意識障害などの症状を引き起こす脳炎です。抗NMDA受容体脳炎は、卵巣奇形腫を伴うことが多いこともあり、主に若い女性が発症します。
卵巣奇形腫とはどんな病気なのか?病名についても解説!
ここからは卵巣奇形腫について説明していきます。卵巣奇形腫は胚細胞(卵子の元になる細胞)を含む特殊なタイプの腫瘍です。この胚細胞が受精していないのにもかかわらず発生分化(人の身体になるための分裂)することによって内部に皮膚組織、髮、軟骨、骨などの成分を含みます。卵巣は沈黙の臓器とも言われているため、自覚症状が少ないことも特徴の一つです。
抗NMDA受容体脳炎とはどんな病気なのか?病名についても解説!
続いて抗NMDA受容体脳炎について詳しく説明していきます。そもそも病名にもついているNMDA受容体はNMDA型グルタミン酸受容体の略称です。脳内の神経細胞の繋ぎ目で神経伝達物質を受け取って情報を伝える働きをしており、記憶や学習に深く関係する受容体だと考えられています。抗体は本来は異物を攻撃する免疫物質ですが、何らかの原因でNMDA受容体にくっつく抗体ができて、受容体の機能を低下させ、脳炎を起こします。
抗NMDA受容体脳炎の歴史
抗NMDA受容体脳炎は持病等がない人が突然発症して奇声をあげたり意識障害を起こすことが多かったため、長らく海外では「悪魔祓いの対象」とされてきました。脳波やCT、MRIにも異常が出ないこともあり、簡単に診断できなかったことも理由の一つです。しかし、スペイン人の医師、ダルマウ教授が原因を突き止めたこともあり、悪魔がついたなどと言って見逃されてきた歴史は終わりに向かうことになりました。
症状は?
では抗NMDA受容体脳炎になるとどのような症状が出るのでしょうか?まず発熱や頭痛などインフルエンザの症状が出ることから始まります。続いて幻覚や自殺念慮といった精神障害が出るようになります。そして、麻衣さんも訴えていた記憶障害や緊張病(興奮と昏迷を特徴とする)、意識障害、最後には人工呼吸器が必要な呼吸抑制といった症状が現れます。また、これらの症状が数週間から数ヶ月という早いスピードで進んでいきます。
治療法は?
麻衣さんのように卵巣奇形腫が引き金となっている場合、一般的に腫瘍を摘出することで長期予後は良好であると言われています。他にも副腎皮質ステロイドで炎症を抑制する、血しょう交換で抗体を除去するなどの治療も併せて行われます。症状が進んだ急性期からの治療となると完全に回復するには数年必要だと言われています。
8年越しの花嫁の実話モデルの現在とは?
病気の発症から8年の時を経て、「8年越しの花嫁」となり2014年に無事に結婚式を挙げた麻衣さんと尚志さんですが、奇跡の実話後はどのような生活をしているのでしょうか?その後の2人の現在について調査しました!
息子の誕生
8年越しの花嫁の奇跡の実話後の2015年、お二人の間には碧和(あいと)くんという男の子が誕生しています。人間の卵巣は通常2つありますが、麻衣さんの場合は卵巣奇形腫の治療のため片方の卵巣は摘出しています。また、卵巣に関係する病気だったこともあり、2人は子供は難しいかもしれないと考えていました。しかし、奇跡は続き碧和くんが誕生し、現在も元気に成長しています。
映画の舞台挨拶に参加!
息子の碧和くん出産後も順調に回復し、リハビリを続けていた麻衣さんは2017年に公開された映画『8年越しの花嫁』の地元である岡山先行上映の舞台挨拶に夫の尚志さんと共に参加しました。夫妻からサプライズで手紙が読まれると、土屋さんは感動し涙を流しました。麻衣さんは現在も碧和くんと手をつないで歩くのを目標に、日々リハビリに励んでいます。
8年越しの花嫁の病気や病名まとめ!
ここまで奇跡の実話と呼ばれた8年越しの花嫁の病気・病名や映画のあらすじ、さらには現在の姿についてなどを解説してきましたがいかがだったでしょうか?麻衣さんがかかった「抗NMDA受容体脳炎」はとても怖い病気ですが、現在の麻衣さんからも分かるように、適切な治療をすれば長期的な予後は良好な病気です。この記事を読んで奇跡の実話『8年越しの花嫁』に興味を持った方は映画もぜひご覧ください!