太陽を盗んだ男のあらすじと結末をネタバレ!異色の原爆映画のラストは?

『太陽を盗んだ男』は1979年に公開された日本映画です。その衝撃的な内容と過激な撮影方法が話題となり、公開から30年以上経った現在でも映画ファンの間で名作映画の一つとして挙げられる作品とされています。『太陽を盗んだ男』は何故ここまで話題を呼ぶようになったのでしょうか?作品のあらすじと結末、議論の的となる衝撃のラストシーンについて紹介を行っていきます。なおあらすじからラストの結末までネタバレを含むため、これから映画を鑑賞される方はご注意ください。

太陽を盗んだ男のあらすじと結末をネタバレ!異色の原爆映画のラストは?のイメージ

目次

  1. 太陽を盗んだ男のあらすじと結末が気になる!
  2. 太陽を盗んだ男のキャストを紹介!
  3. 太陽を盗んだ男のあらすじをネタバレ紹介!
  4. 太陽を盗んだ男の結末をネタバレ紹介!
  5. 太陽を盗んだ男をラストまで観た人の感想とは?
  6. 太陽を盗んだ男のネタバレまとめ!

太陽を盗んだ男のあらすじと結末が気になる!

第3回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、1979年の第53回キネマ旬報ベスト・テン第2位、そしてキネマ旬報2018年8月上旬特別号で行われた「1970年代日本映画ベスト・テン」第1位という輝かしい実績を残した日本映画『太陽を盗んだ男』。その衝撃的な内容と結末は話題を呼び、30年以上経った物議をかもし続けています。

太陽を盗んだ男のビデオ版が廃版となってしまったことで長らく鑑賞することが適いませんでいたが、2001年にDVD版が制作されたことで現代においても鑑賞できる機会が増えました。これにより話題に上がることが増えたため、現代においても太陽を盗んだ男はポピュラーな存在になりつつあるようです。現代ではとても作られることの無い過激な内容が、逆に現代で注目されているようです。

このように現代でも話題となっている本作ですが『太陽を盗んだ男』というタイトルだけを見て内容を想像することは難しいと思われます。「太陽を盗んだ」という印象的なワードは何を表すのでしょうか?なぜこれほど注目される映画なのでしょうか?気になる点の多い映画です。ここでは映画『太陽を盗んだ男』のキャスト、あらすじと結末、解釈の分かれるラストのシーンについて、ネタバレを含みつつ紹介を行っていきます。

太陽を盗んだ男のキャストを紹介!

『太陽を盗んだ男』はストーリーもさることながら、キャストによる迫力の演技も語り草となっています。ここでは『太陽を盗んだ男』の世界観を確かなものとしたキャストの紹介を行っていきます。主役はもちろんですが、少ししか出番のない脇役を意外なキャストが演じていることも注目できる点の一つです。なお紹介の際、一部にあらすじネタバレを含みます。

沢田研二(城戸誠役)

太陽を盗んだ男の主人公、『太陽を盗んだ男』こと城戸誠を演じるのは沢田研二さんです。現在も歌手として活動されていますが、映画が公開された1970年代当時は『ジュリー』という愛称で親しまれるほどの人気を博していました。

長谷川和彦監督は当初、存在しない人物は無名の新人に演じさせたい、と考えていました。しかし「29~30才の俳優に無名の新人がいなかった」、「大作の主人公を無名の俳優に任せるわけにはいかない」といった理由から、役者の新人であり、かつ人気のある沢田研二さんが起用されました。

沢田研二さんの演じる城戸誠は普段は中学校で理科を教えている教師で、無気力な毎日を過ごしていました。ところが、物語が進むにつれてそれまで無気力だった人物から狂気的な行動力を見せる人物へ様変わりしていきます。一人の無気力な人間が、これまでの鬱屈を発散するかのように変貌する姿を見事に演じた沢田研二さんは1979年度報知映画賞の最優秀主演男優賞を受賞しました。

ちなみにこの「城戸誠」がモデルとなったキャラクターが、とある子供向けアニメに登場したことがあります。2013年度に放映された『ドキドキ!プリキュア』です。主人公の通う学校の教師に、城戸誠をモデルにした「城戸先生」というキャラクターが存在します。実際に脚本家の山口亮太さんがツイートされています。

『太陽を盗んだ男』が現代の作品にも影響を与えていることがよくわかります。続いてもう一人の主人公ともいえる登場人物「山下警部」についてネタバレあらすじとともに紹介していきます。

菅原文太/山下満洲男

太陽を盗んだ男で事件解決のためにテロリストを追い詰めていく山下警部の役を菅原文太さんが演じました。菅原文太さんといえば「仁義なき戦い」や「トラック野郎」シリーズで見られる荒々しい存在感ですが、今作においては荒々しさに冷静沈着さが加わり、どっしりとした存在感を醸し出しています。第3回日本アカデミー賞では最優秀助演男優賞を受賞しました。

菅原文太さんはそれまで激しい性格のキャラクターを演じてきたため、冷静な性格である山下警部を演じることに苦労したそうです。本来はどっしりと構えていなければならない場面でも、徐々に貧乏ゆすりをするようになってしまい、長谷川監督はそのたびにNGをかけていたそうです。しかし中盤でのカーアクションや、終盤での取っ組み合いのシーンではその猛々しさを存分に発揮し、映像に確かな迫力を生み出しました。

そのほかに、現在でも活躍している俳優が短い出番ながらも出演している点も見どころの一つです。サラ金の男を西田敏行さん、交番の警察官を水谷豊さんが演じています。次の項目では映画のあらすじのネタバレ紹介を行います。

太陽を盗んだ男のあらすじをネタバレ紹介!

いよいよ『太陽を盗んだ男』のあらすじをネタバレ紹介していきます。無気力で鬱屈とした毎日を送る中学校の理科教師城戸誠(演:沢田研二)はある夜、催眠剤を用いて警察官を襲い、拳銃を強奪します。別の日、社会見学の最中に城戸と生徒の乗ったバスがバスジャックに巻き込まれました。実行犯の老人の要求は天皇と面会すること。

老人は皇居にバスを向かわせるも、すぐに警察にバスを包囲されることとなりました。生徒を人質にたてこもる老人に対し、山下警部(演:菅原文太)は解放された城戸と共に交渉に向います。ちなみに真の目的は隙を作って犯人を狙撃する事です。

駆け引きの末に老人に隙を作り、警官隊は狙撃に成功します。老人はその後亡くなったようです。事件後、城戸はある目的の為に東海村原子力発電所へ侵入します。綿密な下調べと盗んだ拳銃を用いて城戸はプルトニウムの強奪に成功します。城戸の目的はあの「原子爆弾」を自らの手で作りだすことでした。プルトニウムによる被ばくに注意しつつ、地道な工程を繰り返していよいよ城戸は原爆を完成させました。

その後城戸はお腹に原子爆弾を隠した妊婦に変装し、国会議事堂の個室トイレに原子爆弾を設置します。そのまま城戸は警察庁に電話をかけ、自分がプルトニウムを盗んだ犯人だと述べた後、形を変えてトイレにおいたと伝えました。警察が調べるとそこにはプルトニウムの代わりに梅干しの入った原子爆弾の構造を持つ物が置いてありました。これは犯人(=城戸)が原子爆弾を持っていることを意味します。

城戸は通話相手としてバスジャックの際に出会った山下警部を「有名人だから」という後付けの理由で指名し、要求を述べます。その要求とは「野球のナイターを最後まで放送すること」でした。警察側は突飛な理由に困惑しますが、しかたなく要求を飲み込み実際にナイターを最後まで放送させることにしました。要求が通り、テレビの前で歓喜した城戸はその後も様々な要求を行います。

しかし山下警部も大人しくし続ける相手ではありません。要求を続けるうちに城戸は徐々に追い詰められていることに気が付きます。ここまでがあらすじのネタバレ紹介です。その後の城戸と山下警部の壮絶な戦いとラストの結末は次の項目で紹介します。

太陽を盗んだ男の結末をネタバレ紹介!

『太陽を盗んだ男』の結末のネタバレ紹介を行っていきます。見事ナイターを最後まで放送させることに成功した城戸ですが、その後の要求を考えていませんでした。完璧に原爆を持て余しています。そこで城戸は沢井零子(演:池上季実子)がDJを務めるラジオ番組に「プルトニウムを盗んだ犯人」として電話を掛けます。原子爆弾を作ったものの政府への要求が思いつかないので、沢井に何がいいかを尋ねることにしたためです。

真偽のほどはともかく、犯人を自称する城戸からの電話を面白がった沢井はリスナーの投稿の中から「ローリングストーンズを来日させたい」という要望を提案しました。その後実際に城戸は政府へ「ローリングストーンズを3週間以内に来日させろ」という第二の要求を行います。

すると実際にローリングストーンズが来日するという報道がなされたため、沢井は原子爆弾を作った犯人の存在を確信しました。犯人に憧れを抱いた沢井は城戸が犯人であることをつきとめ、協力関係になります。「城戸の行動が夢を与えてくれた。」そう述べる彼女のような人間は社会に大勢いるのかもしれません。

後日、城戸は原子爆弾製造時に借金をしたサラ金から取り立てに会います。そこで第三の要求として政府に五億円を要求しました。デパートの屋上で警察に指示を出し五億円を受け取ろうとしますが、山下警部の作戦によって場所が特定されてしまいます。絶体絶命に陥った城戸は「屋上から五億円をばらまけば原子爆弾の隠し場所を教える」といった内容の取引を行いました。

山下警部は部下に五億円をばらまかせ、城戸から原子爆弾のありかと解除方法を聞き出し、原子爆弾を回収することに成功します。城戸は札束が降り注いだことによる騒ぎに紛れて逃亡しました。警察に原子爆弾を奪われた城戸は沢井と協力して警察署を強襲し、原子爆弾を取り返すことに成功します。山下との壮絶なカーチェイスの結果、車は転倒し、重傷を負った沢井は息絶えました。

数日後、ローリングストーンズの公演日に城戸は武道館を訪れ、山下警部に近づきます。顔見知りだと油断した山下警部は拳銃を突き付けられ、ビルの屋上へ連れていかれました。そこで初めて城戸は自身が犯人であることを告白します。さらに山下を手錠で拘束させた城戸は、所持している原子爆弾を見せつけました。

「この街はとっくに死んでいる。すでに死んだ者を殺して何の罪になるというんだ。」という城戸の主張を山下は真っ向から否定し、隙を見せた城戸と取っ組み合いになります。銃撃を何発も受けながらも城戸にしがみつく山下は城戸と原子爆弾もろとも屋上から飛び降ります。2人とも死亡したかと思いきや、なんと城戸だけが電線に引っかかり無事でした。

城戸はあと数分で爆発するよう仕掛けた原子爆弾を抱え東京の街をうつろに歩きます。秒針が刻む音がしばらく流れると突然画面は暗転。爆発音とともに映画は幕を閉じます。はたして原子爆弾は爆発したのか、解釈が分かれるラストシーンは現在においても議論の的でありつづけています。

太陽を盗んだ男をラストまで観た人の感想とは?

ここでは『太陽を盗んだ男』をラストまで鑑賞した方々の感想を紹介していきます。俳優から結末の話題まで内容は様々です。是非ご覧ください。

太陽を盗んだ男の「ジュリー」こと沢田研二さんの魅力について熱く語られています。気だるげに授業を行う姿、原子爆弾を完成させて喜ぶ姿、山下警部との死闘で見せる鬼気迫る姿など様々な表情を披露する当時の沢田研二さんは現代の観客をも魅了しているようです。また「日本映画史に残る」という文から満足度の高さもうかがえます。次に内容の過激さについて述べた感想を紹介します。

「今だったらこのテーマと内容では映画は作れない」と述べられています。実際太陽を盗んだ男公開当時も原爆を題材にしたこの映画は異色かつ衝撃的であったようです。映画の興行収入はよくなかったものの、評論家の間では議論の的とされていました。規制の厳しい現代では確かに作れないかもしれませんが、核の話題の多い現代だからこそ注目されなおしているのかもしれません。

「ツッコミどころ満載」という意見も存在します。確かに警察からいとも簡単に原子爆弾を奪い返すシーンや、ラストで山下警部と落下した際城戸だけが助かるというシーンなどの「城戸に都合のいい不条理なシーン」も多く見られます。物語のつじつまが気になる人にとっては引っかかる点の多い映画である、という一面が存在する事がわかります。

「ラストの解釈は多分人それぞれ」という点に注目です。『太陽を盗んだ男』のラストシーンは「秒針の響く原子爆弾を抱えた城戸が街を歩き続け、その後爆発音とともに暗転する」というものでした。一見原子爆弾が全てを吹き飛ばした結末にも見えますが、直接の描写が為されていないことから「実は爆発しなかった」という結末とも解釈できるのです。

このように太陽を盗んだ男のラストシーンやほかのシーンで様々な解釈が出来る事も『太陽を盗んだ男』が注目される理由の一つです。ここではラストまで観た方々の様々な感想を紹介しましたが、自身で解釈をつくる事も映画を観る醍醐味の一つです。実際に映画を鑑賞し、ご自身の解釈を持たれることをお勧めします。

太陽を盗んだ男のネタバレまとめ!

ここまで『太陽を盗んだ男』のあらすじから結末までネタバレ紹介を行いましたがいかがだったでしょうか?公開から30年以上たった今も語り継がれる映画『太陽を盗んだ男』。核という強大な力を手にしてしまった一人の男の物語は、現代を生きる人々にも通用するところがあるのかもしれません。この記事を読んで気になられた方は是非ご自身の目で映画を鑑賞し衝撃的な物語と演出を体験してください。

関連するまとめ

新着一覧

最近公開されたまとめ