2018年09月24日公開
2018年09月24日更新
ザ・リング リバースのネタバレあらすじ!ハリウッドリメイク版の貞子の評価は?
鈴木光司の『リング』のハリウッドリメイク3作目にあたる『ザ・リング/リバース』のあらすじや評価をお届け。リングシリーズの展開や、原点回帰と称される「リバース」の意味などをわかりやすく解説。悪魔か不幸な少女の救いを求める叫びか、魅力あるリメイク版ならではのアレンジポイントや、『リング』シリーズの見所についてもネタバレを最小限にしつつあらすじをなぞりながらご紹介します。
目次
ザ・リング リバースのあらすじネタバレやハリウッド版貞子の評価に迫る!
「その呪いのビデオを観た者は7日後に必ず変死する」そんな聞き馴染みのあるフレーズからスタートするジャパニーズホラーの傑作『リング』のリメイクが、2018年1月に公開されたのを皆さんご存知でしょうか?
呪いのビデオを観てしまった2人の男女が7日間という短い時間をかけて謎を解き、恐怖と立ち向かい、真相に辿り着く。『リング』シリーズの王道をゆく本作は原作者の鈴木光司から「これぞ原点回帰。ハリウッドで作られたリングシリーズ史上、もっとも原作に忠実で、もっとも怖い。驚いた」と評価を受けています。
本日は2015年公開予定が伸びに伸びてついに上陸となった問題作のあらすじとネタバレを含む評価についてじっくり解説していきましょう。
リングシリーズについて
原点にしてミステリアスな世界観への1枚目の蓋『リング』
1998年、「デュアル・ホラームービー」と銘打って映画館に登場したのが、『リング』です。この作品は、鈴木光司の小説『リング』を元に中田秀夫監督のタッグで作り上げたシリーズ1作目で10億円の興行収入と高い評価を収め、ジャパニーズホラーブームの火付けとなりました。
荒れる画面に特徴的なシーンの連続が映し出されるビデオ、そして全体的に薄暗い画面には皆さんどこかで触れたことがあるのではないでしょうか?「ビデオに殺されるなんて。」そんなキャッチフレーズがつけられた本作こそ『リング』シリーズの原点にして、20年の時を経てまた『ザ・リング リバース』でオマージュされている強烈な作品です。
ホラー映画としての側面だけでなく、日付を表す硬質なテロップや絡まって簡単には先に進めない謎など、ミステリーものとしての側面も強く、「どうやったら生き残れるのか?」「貞子とは誰か?」などスリリングな展開が95分という短い時間の中で生き生きと不気味に描かれています。ラストシーンの空撮は、絶望した方も多いのではないでしょうか。是非一度はこの作品をネタバレなしでご鑑賞いただきたい作品の一つです。
リングワールドが一気に広がる2枚目の蓋『らせん』
「その謎は「リング」に始まり、その恐怖は「らせん」につながる」『リング』と同時上映という形で世界観の補正と色付けを強固にした2作目がこの『らせん』です。
主に貞子の動機部分や「どうして呪いが終わらないのか」についてのアンサーが多く含まれている重要な作品になっています。蠱惑な貞子の姿の所以や本作のあらすじなどは『ザ・リング リバース』のある部分にリンクするものがあるのですが、こちらについてはもう少々後でご説明しましょう。
2重螺旋の先にあるIF 3枚目の蓋『リング2』
「事件から1週間・・・」そのキャッチフレーズで送るパラレルワールドを描いたオリジナルストーリーがこの『リング2』です。
1作目に登場する高山竜司の助手である高野舞を主人公にして、「リングのエンディング1週間後」を描き『らせん』とは完全なパラレルワールドの世界観を持っています。カメオ出演として1作目のキャストも登場する中で全く違う道筋を辿り物語の幅を厚くするきっかけともなりました。
12年の時を経て語られる過去編 4枚目の蓋『リング0 バースデー』
「リングは今世紀最悪の0で終わる」そう語られたリングシリーズの完結編として鶴田法男監督の『リング0 バースデー』が2000年に公開されています。
こちらでは貞子の過去、つまり呪いの連鎖の始まる1番最初の物語について語られリングシリーズの世界観を裏付ける形で存在しているのです。今回ご紹介する『ザ・リング リバース』とは違ったバックボーンの上に成り立っていますが、語られる根本は同じ「暗い過去」と「非凡な子ども」から始まる悲劇にあります。
海を越えた恐怖の幕開け 『ザ・リング』『ザ・リング2』
2002年に低予算ながら爆発的に世界へと『リング』の名と世界観を共有させていった作品がありました。それが今回ご紹介する『ザ・リング リバース』のもうひとつの原点にあたる『ザ・リング』です。
『ザ・リング』では舞台をシアトルとし、大筋は1998年の『リング』に則りつつも貞子は「サマラ」という少女へ転じて節々を変えながら物語が練り直されています。ハリウッド版の『ザ・リング』シリーズの世界観やルールを構成しこの流れは『ザ・リング2』、『ザ・リング リバース』へと引き継がれていくのです。
『ザ・リング2』では事件の半年後を描く形で、『リング』に対する『リング2』に近い形の世界観拡張を行なっていました。直接的には繋がりませんが、蓄積されていく恐怖が本日お届けする『ザ・リング リバース』の世界観を確固たるものにしているとも言えます。
まだまだ続く3Dの世界 『貞子3D』『貞子3D2』
2010年代の新技術に対応した作品として『貞子3D』『貞子3D2』も登場し、前3作とはまた異なった不気味さや奥深さが演出されたのも印象深いのがこのシリーズです。時系列としては『らせん』と繋がる形になっています。
そして違う形の「リバース」へ 『貞子vs伽倻子』
2016年に『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』などでお馴染みの白石晃士の手で「リバース」した貞子の登場する『貞子vs伽倻子』も放映されています。こちらでは同じくジャパニーズホラーの金字塔『呪怨』(2000)に登場する伽倻子と血肉を争う頂上決戦を繰り広げるという大胆な作品です。「ミーム」というワードをうまく使った違う方向性での世界観の広がりを感じさせます。
ザ・リング リバースのキャストは?
恐怖に打ち勝つ強いヒロインのジュリア
恋人のために自己犠牲としてビデオを視聴し謎に挑むことになるヒロインにはコレリー・ファルジャ監督の『REVENGE リベンジ』でも主演をつとめたマティルダ・アンナ・イングリッド・ラッツが挑戦しています。
優しく誠実な恋人、ホルト
危険からジュリアを遠ざけようと必死に奔走する恋人役として、『フィフス・ウェイブ』で謎のイケメンを演じたアレックス・ローがスクリーンを彩ります。劇中で語られる「オルフェウスとエウリュディケー」の逸話のようにすれ違う2人の時間軸にも注目ください。
他にも『フルメタルジャケット』で"ほほえみのデブ"ことレナードを演じたヴィンセント・ドノフリオや『ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション』のジョニー・ガレッキなど魅力的なキャストが恐怖的世界観を一心不乱に駆け巡ります。
ザ・リング リバースのあらすじネタバレ!
オルフェウスとエウリュディケー すれ違い始めるふたり
乱気流の飛行機での「7日後に必ず死ぬビデオテープ」の噂話にまつわる"狂った"会話と不気味な液体。蠅の群れの飛び交うなか座席モニターに一斉に映り出すノイズまみれの井戸の映像。そんな不穏なシーンからスタートする本作は恋人たちが主人公です。
大学に通うため遠距離恋愛をすることとなったジュリアとホルトは「死んでしまった彼女を助けるために彼はある約束をしてしまうんだ」と自分たちをかのオルフェウスとその恋人に喩えるのでした。まさか、この時は「あんな目に」遭うとは思わなかったであろうふたりの日常シーンが流れていきます。
ネタバレあり:呪いのビデオを見てしまったジュリア
そんなふたりを引き裂く最初の不穏な音として、Skypeを介した謎のメッセージが流れます。「彼女からはもう逃れられない」そう錯乱した様子で語る謎の女性スカイ(エイミー・ティーガーデン)。ホルトを心配に思い彼の元に訪れたジュリアは大学教授ガブリエルのとある計画を耳にします。
「呪いのテープをコピーをし、誰かに見せれば死の運命から助かる」その言葉と「テール」と呼ばれる人為的に呪いのテープの媒介を行い被害者の死の運命を肩代わりする被験者たちの存在。そんな危険な問題にホルトが巻き込まれていると知ったジュリアは、恋人のため自主的に呪いのビデオテープの複製品を視聴し物語に深く関わっていくことになります。
ネタバレあり:複製不可能 増え続ける呪いの映像
ジュリアも同じようにデータの複製を行い、まずは生き残る手段を確保するようにとホルトとガブリエルに説得され実行しようとしますがここで重要な問題が発生します。
なんと、複製前のデータにそれ以前までに存在しなかった画像データが転写されデータが変質してしまったのです。この展開は、『リング』のビデオテープを念写した貞子を思わせる重要なシーンになります。まさにここでひとつめの「リバース(裏面)」がはじまるのです。
以降、リングシリーズおなじみの過去視のような幻覚に見舞われることになるジュリアはコピーという方法以外での生き残り方法として「ビデオに登場するシーンの真相解明」に向かうことになります。鳥の死体。教会。妊婦。墓場。洪水。井戸など様々な情景がいったい何処に繋がるのか?物語の謎がここで提示されるのです。
ネタバレあり:第一の女性「エブリン」
ガブリエルから研究レポートを託されたジュリアとホルトは、サクラメントに向かい幻視や現地の人々の言葉から車道を歩く妊婦「エブリン」がすでに行方不明になって30年近く経ってしまっているという事実を知ります。また、ビデオに登場する女性とエブリンがなんらかの関係を持っていることに気付いたジュリアは更に調査を進め、空白の墓地へと至ります。
墓地から引き摺り込まれる幻覚を目撃し、井戸に埋められた人物がエブリンではなく「サマラ」だと知るジュリア。生き残る方法は「サマラの迷える魂を救済すること」だと断片的なメッセージを解釈し、教会の神父の素性や地下で起きた凄惨な物語の真相へと一歩一歩踏み込んでゆきます。その道中で不可解な死を遂げるガブリエル教授の姿もまた、その謎には絡まってきます。まさにシリーズのあらすじを踏襲する流れです。
ネタバレあり:第二の女性「サマラ」
教会の地下を探索することで「エブリンが監禁されそこで子を"産んだ"らしいこと」を知るジュリア。行方不明にして井戸に落とされて7日後に最期を迎えたというサマラの存在と重ね合わせ、「最初から不遇だった可哀想なサマラ」という印象をもちより深く救済への道に踏み込んでゆきます。またここで、墓場であった盲目の人物が神父であることにも気付いたジュリアは大胆な行動に出るのです。
ネタバレあり:救済と地獄への門
弔いもされず、ただただ疎まれ殺されたサマラを救うべく、盲目の元神父と対面し真相に至ると、ここで発生するのは『ドントブリーズ』をなぞるような視覚外から襲いくるヒューマンスリラーの姿です。攫ったエブリンに娘を産ませ、そして捨て子にした神父の姿は外道そのものに見えますが、ここで「悪魔の子」「開いてはいけない地獄をもたらすもの」としてのサマラへの非難と、「今まで同じ真相に至った人々を殺して止めた」という真相もまた語られるのです。
神父の狂言だと捨ててかかるジュリアはやっとの思いで彼を退け、壁に埋められたサマラの遺骨をホルトと共に火葬することにします。ここまで語ると、シリーズのファンの方々はここでゾッとすることでしょう。そう、まさに『リング』シリーズのあらすじをなぞったあの出来事が起きてしまうのです。この先、かなり衝撃的なネタバレがありますのでご注意ください。
最大のネタバレあり:"リバース"
遺骨は葬りました。サマラのメッセージも解き明かしました。それでもなお、あの音は止むことはありません。7日のタイムリミットを無事に越え、安堵しふたりの時間を取り戻すジュリアとホルト。
ジュリアは落ち着いてシャワーを浴び、そしてホルトは自分の携帯に目をやります。そこにあったのはガブリエル教授からのボイスメッセージ。開いてみるとそこには、「ジュリアの手の痣を確認してみろ」という遺言めいた言葉が。ホルトはハッとしたようにインターネットで検索をはじめ、これが点字であると気付きます。
ジュリアの掌に残った痣を元に点字表を参照していくホルト。彼が、「reber」という言葉にまで至ると同時にホルトのパソコンに残っていた呪いのビデオの映像データは彼の友人たちへと一斉送信され、ホルトの焦りと絶望に満ちた叫びの裏で、ジュリアはえずきながら"あるもの"を吐き出し(リバース)ます。
それは、「長い黒髪の絡んだ卵状の物体」でした。その髪を掻き分けるように這い出す大きな蠅と不気味な液体、そして剥けてゆくジュリアの皮膚はまさに冥府のエウリュディケーを思わせる姿であり、湯気に曇る鏡のなかにぼんやりと輪郭を残すジュリアの姿は"あれ"を想起させます。
「Re Berth(リバース=再誕)」。その言葉の到来と共に、ジュリアとホルトは自分たちの考えの浅さを思い知るのです。「死した魂が新しい家を探す」というガブリエル教授の言葉や混乱する思考の中で、サマラは優しく微笑み迎え入れるようにジュリアを見つめるというシリーズへと回帰するシーンでこの映画はエンディングを迎えます。
ザ・リング リバースの評価は?
リメイクの「リバース」?
サマラの呪いは同じでビデオの内容も始めは同じ。 しかし新たな呪いで内容が少し変わる。 あまり怖くなかったですが、どうしようもなくなるラストのオチは良かった。 ringが複数のringsになってるからね。
『リング』のハリウッドリメイクを行った『ザ・リング』の更にリバース。そんな形になった本作は「焼き増し」という評価を挙げる方も多かったようです。実際に「踏襲されているからこその面白さ」を感じると共に、「冗長さ」を感じたという意見も多く挙がっています。もしかすると、『リング』を観ずに初見で『ザ・リング リバース』を楽しむという方法はお得なのかもしれません。
リメイクだからこその「リバース」!
一方でさすが20年の道のり。往年のファンは1作目を彷彿させる演出やシリーズを意識したあらすじに満足する評価も数多くありました。「懐かしい」と「怖い」が合わさるからこその、恐怖の刷り込みとしての楽しみとその上でのリバースへの納得感もあると言えるでしょう。
いい感じで、現代風等のアレンジがされてる。 ただサマラちゃんを含め登場人物のほとんどがサイコパスである。 ホラーというより謎解き要素が多い。 チェックポイントとに行くと幻覚をみて 次のステージに行けるっていうゲームみたい。 ただ呪いを解くと言うより死体を探す方に重点をおいているのは 初めてリングを見た時を思いだして良かった。
原作者の鈴木光司さんの評価を見てもやはり、記憶に鮮烈に残っているシリーズとしての評価がそのまま反映されやすいのが今作の特徴かもしれません。
ザ・リング リバースのあらすじネタバレまとめ
『ザ・リング リバース』のあらすじや評価、楽しんでいただけたでしょうか?積み上げ、絡み合い、拡散され続けることで広がってゆく「恐怖の伝染」。お家芸のような繰り返される恐怖と少しづつ変わって広がってゆく呪い。これぞ『ザ・リング リバース』の真骨頂であり20年の長きを経てリメイクされる『リング』シリーズの楽しさとなっています。もちろん初見での『リング』シリーズへの登竜門としても楽しむことが出来るので、是非是非これを機に作品に触れてみるといいのではないでしょうか?