ピースオブケイクの意味は？タイトルと映画との繋がりについてネタバレ考察

映画「ピースオブケイク」は、20代から30代の女性に絶大な人気のある漫画原作の物語です。今回は映画「ピースオブケイク」に使われているタイトルの意味についてまとめました。また、タイトルと映画との繋がりやあらすじなどのネタバレを考察していきます。

「ピースオブケイク」は「溺れるナイフ」や「恋文日和」で知られる、水彩画タッチの美麗なイラストが特徴のイラストレーター兼漫画家のジョージ朝倉作品です。20代女性の切ない恋模様を描いた漫画作品で2003年から2008年まで「FEEL YOUNG」にて連載していました。

映画「ピースオブケイク」の主人公「梅宮志乃」役を演じるのは多部未華子さん。その恋人役「菅原京志郎」役を演じるのは綾野剛さんです。また、主人公の親友役「オカマの天ちゃん」役には松坂桃李さんや主人公と同じバイト先の「川谷」役では菅田将輝さんなど、そうそうたる人気俳優陣たちが出演されています。

映画「ピースオブケイク」の監督は、ジョージ朝倉本人が「この監督なら任せたい」と太鼓判を押した田口トモロヲさんです。田口トモロヲさんは1957年生まれの60歳(2018年現在)。俳優、ナレーター、映画監督などマルチな才能で活躍しています。

田口トモロヲさんの監​​​​​​督作品では2004年の「アイデン&ティティ」や2009年の「色即ぜねれいしょん」などがあり、「ピースオブケイク」は3本目となる監督作品です。映画「ピースオブケイク」の監督をするにあたり原作を読んだそうですが、田口トモロヲさんは内心50歳過ぎのおっさんが25歳の恋愛模様を描くなど無茶ぶりではないかと思ったそうです。

タイトルにもなっている「ピースオブケイク」は英語表記で「Piece of cake」と書きます。直訳すると一欠片や一切れのケーキになります。普段の日本もそうですが「一切れのケーキ」とはあまり単体では使わない様に、海外でもあまり使いません。海外では直訳した意味とは別の意味合いで使われているそうです。そもそも「ピースオブケイク」をどういった意味で使うのかを考察していきます。

「ピースオブケイク」とは、「とても簡単」や「楽勝」という意味合いで使われます。「簡単」と言う意味の単語と言えば「easy」がまず頭に浮かぶ人もいるのではないでしょうか。何故、海外では「It's a Very easy」ではなく「It's a piece of cake」と使うのでしょうか？

「ピースオブケイク」の意味合いとしては、「一切れのケーキを食べるぐらい簡単な事さ」という意味で使われます。日本語でも「朝飯前」という似たような言葉があります。「朝飯前」とは「朝食を食べる前の状態でも簡単な事さ」という意味で良く使われると思います。海外で使われる「ピースオブケイク」と日本で使われる「朝飯前」とは同じニュアンスであることが感じられます。

「ピースオブケイク」の成り立ちとしては、1870年代に競技の大会の景品がケーキだったそうです。ケーキが手に入る競技はそれほど頑張らなくても勝つことが可能だったので「Piece of cake」や「Cake walk」など簡単に成し遂げる事が出来るという意味合いとして使われるようになったそうです。

「ピースオブケイク」の意味や成り立ちが分かり、海外でも日本語同様に言葉の奥深さを感じます。では、漫画や映画のタイトルにもなっている「ピースオブケイク」が、ドロドロとした恋愛模様の物語に使われているのは何故でしょうか？「ピースオブケイク」の物語を知ることでジョージ朝倉さんがこの作品に込めた想いがタイトルになっている事が分かります。

「ピースオブケイク」の主人公である梅宮志乃(多部未華子)は、高圧的な性格の恋人、正樹(柄本佑)と性格の不一致などの問題を抱えながらも流されるまま交際を続けていました。また、同じバイト仲間の男性とも言い寄られるまま交際するうち、正樹との関係は泥沼化して行ったのです。

同じバイト先の男性との浮気が発覚した後、自分の置かれている現状にうんざりしてしまった志乃は無断でバイトを辞めてしまいます。その後、意外にも正樹からも別れを切り出された志乃は納得するもショックを受ける事になります。

バイトも辞め、正樹からもフラれた志乃は「新しい環境で心機一転、仕切りなおしたい！」と思うようになりました。そんな時、たまたま電話をかけてきた母親の紹介で叔父の経営する木造アパートへ引っ越すことになり、新しい土地での生活が始まります。

恋人と別れ新しい生活が始まった頃、専門学校時代からの友人の天ちゃん(松坂桃李)がバイトしているビデオ店を紹介してもらい働くことになります。そこで、偶然にも志乃の隣に住む店長の京志郎(綾野剛)に片思いをする事になります。

京志郎には同棲中の彼女が居たが、ある日、彼女である「あかり」は京志郎の前から姿お消し、名前や実家の所在など全てにおいて嘘であることに気付いた京志郎は寂しさのあまり志乃の部屋へと上がりそのまま付き合うことになります。

都合のいい女になっている気がしつつも、志乃と京志郎の半同棲生活が始まります。ただ、志乃の心の中には京志郎の元彼女である「あかり」の存在が気になっており、不安からか京志郎に当たる様になります。そんな中、アパートの立ち退きが決まり２人は新居を探す事になります。新たな場所で新たに劇団の衣装係のバイトを始めた志乃は、自然と不安もなくなり充実した生活を送っていました。

バイト仲間が志乃に見せた一冊の本は京志郎と別れたあかりの本でした。本の内容は、自分に起きた不幸の連続の日々についてと京志郎へのメッセージが掲載されていました。志乃は隠そうとしたが、京志郎に本の存在を知られてしまい動揺します。そんな時、あかりが京志郎の元へ帰って来てしまいます。

酷い精神状態のあかりを見た京志郎は手を差し伸べてしまうのです。一方で部屋の内見を約束していた志乃は、約束を破られてしまいます。その事について京志郎に理由を尋ねるが「田舎の友達が事故に合った」と嘘をつかれてしまいます。不安を感じながらも信じたい気持ちもあった志乃は、京志郎の言う友達に電話をしてしまいます。

電話の相手があかりだった事に気付いた志乃は、京志郎に激怒するも好きな気持ちもあり、その場は怒りを収めました。その後も京志郎があかりと合っていた事に気付いた志乃は、京志郎と別れる事を決意します。荷物を纏め家を出て行こうとした時、京志郎と鉢合わせます。互いに心にもない事を言ってしまい心がすれ違ったまま別れてしまうことになります。

京志郎と別れた志乃は、以前から志乃に行為を寄せていた川谷(菅田将輝)に電話をします。なし崩し的に川谷と関係を持つ志乃は以前の流される恋愛に逆戻りになってしまいました。それからの志乃は心の中で京志郎との想いを整理するも何処か納得のいかない複雑な心境にいました。そんな中、川谷との関係を断ち1年半過ぎた頃、渋谷ナオミの新作を見つけ「あかりと志乃と京志郎」を描いた事に気付きます。

作品の中で、京志郎は「やっぱり志乃が好きだから」と言ってあかりと別れている事に気付いた志乃は昔住んでいたアパートの前を通りかかると、そこには京志郎の姿があったのです。2人は再び再開し、お互いを許し寄り添うことを決めました。

最近多い「少女漫画の実写化映画」とは違い、映画「ピースオブケイク」は大人のリアルな恋愛模様が表現されています。タイトルにもなっている「ピースオブケイク」とは、内容は複雑であるものの始まりはとてもシンプルだと感じます。誰かを好きになる事は簡単な事という意味だったのではないでしょうか？

映画「ピースオブケイク」のキャッチコピーに「大キライなのに、大好き」というような矛盾が書かれてあります。「矛盾も多々含まれる至極面倒な行為が恋愛だが、人に恋することは容易いことである」という意味でタイトルが付けられたそうです。恋に落ちるのは容易いな事で、そこに愛を入れると複雑になる。そんな想いが「ピースオブケイク」という作品の中で感じられます。

いかがでしたか？今回は映画「ピースオブケイク」のタイトルと映画とのつながりを考察していきました。学生の甘酸っぱく綺麗な恋愛模様とは違い、大人の恋愛の苦みが表現されている映画でないでしょうか？番外編では志乃と京志郎の後日談が語られています。この記事を読んで、その後の２人の仲がどうなっているかに興味を持って頂ければ幸いです。