誰も知らないは実話映画?あらすじやラストの結末までネタバレ解説

映画「誰も知らない」は2004年に公開された是枝裕和監督の作品です。映画「万引き家族」で一躍有名になった是枝監督ですが、この映画「誰も知らない」も主演を演じた柳楽優弥がカンヌ国際映画祭において史上最年少および日本人として初めての最優秀主演男優賞を受賞したことで大きな話題を呼んだ映画作品です。映画「誰も知らない」は実は実際に起きた事件をモチーフにしています。今回は映画「誰も知らない」のあらすじやネタバレ、ストーリーの元になっている実際の事件についてご紹介をしていきます。

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目次

  1. 誰も知らないは実話の映画だった?あらすじや結末もネタバレ!
  2. 誰も知らないの映画あらすじをネタバレ!
  3. 誰も知らないの映画結末をネタバレ!
  4. 誰も知らないの映画は実話だった?
  5. 誰も知らないを見た人の感想を紹介!
  6. 誰も知らないは見た人の胸を打つ実話映画だった!

誰も知らないは実話の映画だった?あらすじや結末もネタバレ!

映画「誰も知らない」は主演の柳楽優弥さんが最年少かつ日本人初のカンヌ国際映画祭の主演男優賞を獲得したことで話題になりました。しかしそれだけでなく実際に起きた育児放棄事件を元にした実話であることや出演している子役たちの演技が素晴らしかったところも見どころです。これから映画「誰も知らない」のあらすじや結末、そして元になった事件についてご紹介をしていきます。

誰も知らないの映画あらすじをネタバレ!

母親のついた嘘

映画「誰も知らない」は明を中心に物語が進んでいきます。あるアパートに母親の福島けい子と明という少年が引っ越してきます。けい子は大家に主人が海外赴任で母子2人暮らしだと説明しますが、部屋では持ってきたスーツケースの中から次男の茂、次女のゆきが出てきます。そして長女の京子も人目につかぬよう部屋に来ます。子供が4人いる母子家庭だとわかれば部屋を追い出されるだろうというけい子なりの考えによるものでした。

恋人ができ出ていく母親

映画「誰も知らない」に出てくる兄妹4人はそれぞれ父親も違い、出生届も提出されていないため戸籍上には存在しておらず学校にも通ってなく、正に誰も知らない子どもたちでした。外出を許されているのは明だけです。それでも4人は外で仕事をする母親の帰りを楽しみに待ち、帰ってきたあとはみんなで楽しく食卓を囲むのでした。しかし母親である前に恋に生きる奔放な女性であるけい子は、好きな人ができたのだと明に打ち明けます。

子供達だけの生活が始まる

そしてけい子は書き置きと生活費だけを残し、恋人と同棲を始めてしまいます。しかし子どもたちはけい子の不在に慣れているのか、明が食事を作り京子が洗濯をこなしそれまでとなんら変わりのない生活をしていきます。しかし1ヶ月以上母親は帰ってきません。お金も限りがあるので兄弟たちの父親かもしれない男たちに明は金の無心をしに行きますが、お小遣い程度の金額しかもらえません。

その後久しぶりにけい子が家に帰ってきます。1ヶ月以上家を空けていたとは思えない、家を出ていく前と同じの何ら変わらない明るさです。みんなにお土産を渡し、散髪をしてくれます。しかしけい子は荷造りを始め、クリスマスまでには帰ってくると言いまた家を出ます。駅まで見送りに出た明はけい子と喧嘩になりますが「私は幸せになっちゃいけないの?」とふてくされる始末です。明は駅で母と別れ、1人家に戻ります。

けい子は結局クリスマスにも家に戻らず、現金書留が送られてくるだけになります。明は母親の職場に電話をかけますが、取り次いだ職場の人間にけい子は11月末で退職をしていると告げられます。年末には子ども4人でそばを楽しく食べますが、けい子と引っ越してきた時は出前の蕎麦だったのが今回はカップそばになっており金銭的な余裕がないことが伺えます。

明は思い切って現金書留に書かれていた住所から電話番号を調べかけてみますが、「山本です」と愛人の苗字を明るい甘い声で名乗る母親にショックを受け何も言わずに電話を切ってしまいます。結局誰の援助も受けられないまま4人は年明けを迎えます。明は兄弟たちに母親からだと嘘をつきお年玉を配ってやります。しかし今年もらったお年玉の名前の書き方が去年と違い、京子だけはもう母親が帰ってこないのではと薄々察します。

やがて限界が訪れる

春になり、ライフラインの督促状が大量に届きます。仕送りが途切れお金はもう底を尽きようとしていました。部屋は荒れ放題になり、明はコンビニの女性店員にアルバイトをしたいと伝えますが16歳からでないと働くことはできません。警察や福祉事務所を頼るよう助言されますが、明は以前にも似たようなことがあってそうなると兄弟がバラバラになるから嫌なのだと拒否します。そして、ついに電気が止められてしまいます。

続いて水道、電話、ガスの供給も止まり、坂道を転がり落ちるように4人の生活は限界を迎え結末に向かって行きます。飲み水の確保や洗濯、トイレは全て公園でまかなって生活をしています。道端で拾った植物の種をベランダで育て、食料は顔なじみになっていたコンビニの男性店員にお店の廃棄食材をこっそり店の裏口でもらっていました。服装も明らかにボロボロになり、臭いを放っているであろうことが映像からわかります。

紗希との出会い

明が街中で見かけていたいじめにあっている少女・紗希に茂が話しかけたことから4人は紗希と仲良くなります。紗希を家に招く子どもたちですが、荒れた部屋、大人が不在らしいこと、ライフラインの供給停止の紙と机に散らばる小銭を見て、紗希はその追い詰められた生活に驚きます。紗希に好意を抱いていた明は少しでも臭わない服を着て会おうとしますが、好意で援助交際で得たお金を渡そうとした紗希の手を払いのけてしまいます。

誰も知らないの映画結末をネタバレ!

言うことをきかない茂、まだ1人では何もできないゆき、そして母との思い出にすがっている京子。兄妹たちの面倒を見るのは当然のことのようにこなし文句ひとつ言わず優しく見守っていた明でしたが、夏の暑さも相まってついに鬱憤が爆発し家を飛び出してしまいます。その先で偶然、少年野球の試合に出るよう頼まれ明は一時辛い毎日を忘れて楽しむことができたのですが、家に帰るとそこには動かなくなったゆきの姿がありました。

ベランダの植物を取ろうと椅子から誤って転落したゆきは動かなくなり、傍には呆然とそれを見ている京子と茂の姿がありました。生活費はとっくに底を尽きており病院に連れていくことも薬を与えてやることもできません。明は薬を万引きしゆきの看病をしますが、翌日ゆきは亡くなってしまいます。以前紗希からお金を受け取ることを拒否した明でしたが、自らお金を貸してほしいと紗希に頼み、ゆきの好物であるアポロチョコを買います。

そして引っ越してきたときに茂が入っていたスーツケースにゆきの遺体とたくさんのアポロチョコを入れ、明は紗希と共に飛行機の離発着が見えるところに遺体を埋めるために2人で向かいました。以前けい子に会いたいとぐずるゆきを連れて外出した明は、結局会えず夜の街を帰宅している途中に走っているモノレールを見て、いつかあれに乗って飛行機を見に行こうとゆきに約束をしていたのでした。

埋葬に夜明けまでかかり泥だらけで来た道を戻ると頭上にはゆきと見ようと約束した飛行機が飛んでいます。ゆきとの約束を果たした明は今日もコンビニで廃棄の食材をもらいます。そこには誰も知らない子どもたちの、いつもと変わらない日常がありました。変わっていることと言えばそこに紗希の姿が加わったことと、ゆきがいないことです。そんな4人がいつも通り笑って歩いている後ろ姿が映り、映画はエンドロールを迎えます。

映画「誰も知らない」のあらすじと結末をご紹介しました。戸籍もなく正に誰も知らない兄弟4人の物語でした。しかしコンビニの女性店員、男性店員、店長、大家、泥だらけで乗ったモノレールに乗り合わせていた乗客。周りにいたにも関わらず見て見ぬふりをした大人たちが結果として誰も知らない子どもたちを知らないままにしてしまったのではないでしょうか?次では映画「誰も知らない」の元になった実話をご紹介していきます。

誰も知らないの映画は実話だった?

1988年に起こった実際の事件を元にした映画

ここまで映画「誰も知らない」のあらすじとその結末をご紹介しましたが、実は映画「誰も知らない」にはモチーフとなった実話が存在します。それは1988年に発覚した巣鴨子供置き去り事件です。母親は子どもが煩わしくなり4人の子どもを自宅マンションに置き去りにし愛人のもとへ去ってしまいます。映画「誰も知らない」のあらすじや結末と実話の同じ点や違う点なども一緒に詳しくご紹介していきます。

巣鴨子供置き去り事件とは?

巣鴨子供置き去り事件は1988年7月に発覚した保護責任者遺棄事件です。家賃の滞納があったことと子どもだけが部屋に何人もいたことで大家から巣鴨署に通報があったことから事件が明るみに出ました。署員が部屋を訪れた時にはがりがりにやせ細り台所で毛布にくるまっていた長女7歳と次女3歳、長男14歳がいました。その後部屋から次男の白骨死体、秩父市内から三女の死体が発見され、のちに母親が出頭します。

この実話の発端は1973年にさかのぼります。1973年の秋に長男を生んだ母親はパートナーに出生届を出すように頼みますが、出生届はおろか婚姻届けも出されていなかったことが後に発覚します。このパートナーは抱えた借金を母親の両親に肩代わりさせ蒸発し、行方不明になってしまいます。母親は次々と出会った男性との子どもを産みますが、全員出生届は出されておらず映画「誰も知らない」と同様に無戸籍児となっていました。

母親は長男の小学校入学を楽しみにしていましたが、出生届が出されていないため就学通知が届くはずもありません。何かおかしいと思い役所に問い合わせそこで婚姻届も出生届も出されていなかったことに気づく母親でしたが、その場で行政に相談することはなかったためその事実はそのまま誰も知らないものとなってしまいます。

1973年に長男、1981年に長女、1984に次男、1985年に次女、1986年に三女が生まれました。出生届は全員出されておらず、長男以外は自宅で出産していました。1984年秋に生まれた次男は生後約3ヵ月の時(1985年)に母親が仕事から帰宅すると既に死亡していました。出生届を出していないため死亡届を出せず火葬もできないことに困った母親は、次男の遺体を消臭剤と共にスーツケースごと押し入れにしまい込んでしまいます。

映画「誰も守ってくれない」のあらすじでご紹介した内容と同じく、1987年の秋、母親は愛人と同棲するために長男に兄弟の世話を任せ子どもたちを置いて家を出て行ってしまいます。時折送金をし家の様子も見に帰ってきていました。しかしそれも途絶えがちになり長男は少ない送金でなんとかコンビニで食材を買ってきて兄弟に与えます。1988年の2月以降は家賃も不払いが続き、この頃にはライフラインも止まってしまっています。

1988年の春、家を出入りしていた長男の友人A、Bと長男が、三女を暴行し死なせてしまいます。Bの買い置きをしていたカップラーメン食べてしまったという理由でBが暴行を加えAと長男もそれに加勢させられます。途中で長男が止めますが結局Bの執拗な暴行により三女は死亡してしまします。母親が家を出て行かなければ起こらなかった事件で、映画「誰も知らない」では実話に配慮しゆきの死は不慮の事故に変更されています。

三女の遺体が腐敗してきたため、長男はAと共に秩父市内に遺棄をします。三女の死亡に深く関わったBは途中で帰ってしまったのでした。そして7月、家賃が滞納されていたことやどうやら子どもしかいないことに気づいた大家が通報します。その後ニュースを見た母親が出頭し、三女がいないことに気づきます。やがて三女の遺体が見つかり、母親が保護責任者遺棄致死で逮捕、長男が三女の傷害致死および死体遺棄で送致されました。

ネグレクトとは?

ネグレクトとは子供に対するもので言えば育児放棄や監護怠慢のことを指します。暴行を加える虐待とは違い、衣食住などを定期的に与えないこと、排泄物の始末を適切に行わない、長時間の保護放棄などが当たります。その結果子供は健全な心身の成長を妨げられます。また親側の状況として経済力がなかったり知的障害があることを原因とする消極的ネグレクトと、それがないのに育児放棄をしている積極的ネグレクトとに分けられます。

映画「誰も知らない」のように家に置き去りにしてしまうケースから、長時間パチンコに興じ車の中に子供を放置すること、真冬に暖をとれない状態でベランダなど外に放置すること、学校に通わせずに教育の機会を奪うこと、単純に食事を与えなかったり必要な医療を受けさせないこともネグレクトに当たります。

誰も知らないを見た人の感想を紹介!

リアルな過酷さが胸を打つ

映画「誰も知らない」の結末は元になった実話より少しマイルドに表現されているとはいえ、子どもたちだけの生活は想像を絶する過酷さです。お金が尽きライフラインの供給が止まってしまってからは子どもたちは毎日ただ生き延びるだけで精一杯になっていきます。映画「誰も知らない」の結末を見た方の感想をご紹介していきます。

あらすじと結末のネタバレでご紹介したように、映画「誰も知らない」では物語全体の中で子どもたちは過酷な状況にいるにも関わらず、それに対してエンドロールでは普段通りの生活をしている様子が描かれます。音楽も美しく、それが逆に4人が置かれている過酷な生活をよりくっきりと浮かびあがらせています。

映画「誰も知らない」では、当たり前の生活が当たり前ではない子どもたちがいることを描いています。生きていくということは決して簡単なことではなく、それが子どもたちだけとなればなおさら過酷です。その生活が映画「誰も知らない」を見ている人間の心を抉ります。結末でゆきの死が不慮の事故に変更されていたのはせめてもの配慮ではないでしょうか?

子供達の演技が素晴らしい

映画「誰も知らない」では、あらすじでご紹介した過酷な生活を淡々と乗り越えようとする子役たちの演技も注目を浴びました。茂とゆきは幼いためまだ状況がよくわからず、作中を通し無邪気で明るい演技が特徴です。一方明と京子は妹や弟の面倒を見ているからか年齢よりも落ち着いた印象です。状況が悪化していくことをなんとなく受け入れていく演技が特徴です。子役の演技についての感想をご紹介していきます。

主演の柳楽優弥さんは映画「誰も知らない」で2004年度のカンヌ国際映画祭で史上最年少および日本人として初めての最優秀主演男優賞を受賞しました。映画の中での台詞自体はあまり多くなく、表情や目での演技が中心でした。兄弟の世話を投げ出すことなく当然のこととしてこなしていく明ですが、ライフラインが止まってからは次第に目に絶望が浮かんでいくのも演技のポイントです。

映画「誰も知らない」の子役たちは台本を渡されず、場面ごとに内容や演技指導を聞きながら撮影を行ったのだそうです。それによりそのつど新鮮な演技が表現されています。作品を通し無邪気で元気な茂とゆきでしたが、結末に向かうにつれてじっと明の目をみつめてくるようになる演技が見どころです。

誰も知らないは見た人の胸を打つ実話映画だった!

映画「誰も知らない」のあらすじと結末、元になった実話をご紹介しました。生活に困窮していく兄弟4人に関わっていた大人たちが手を差し伸べなかったことで無戸籍の子どもたちは生活の悲惨さを誰にも知られないままになりついには幼い命すら奪われてしまいます。内容の過酷さと美しい映像と音楽が生み出すもの悲しさが考えさせられる映画です。ぜひ1度ご覧になってはいかかでしょうか?

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