2018年09月21日公開
2018年09月21日更新
残穢(ざんえ)のネタバレあらすじと結末!怖すぎると話題の原作小説の感想は?
日本のホラーの中でも異色のモキュメンタリー(実話ドキュメンタリー風)の作風で話題となった残穢。こちらの映画、あまりにも怖いと公開当時から話題になっていました。今回は残穢の恐怖を余すところなくネタバレ、そして残穢の呪いについて解説します。ですが、この残穢は日本のホラー映画の中でもダントツと言えるほどのクオリティである事が話題となった映画です。ぜひともネタバレを読むことをきっかけに、残穢の映画や小説にも興味を持ってください。
残穢のあらすじや結末をネタバレ紹介!
2016年、残穢という映画が公開されました。当時、ホラー映画としては異例の大ヒットとなったこの映画は、人気女優の竹内結子さんが主人公を演じたことでも大変話題を呼びました。みなさんは、この映画ご覧になりましたか?実はこの映画、映画館では流石に怖くて見られなかったという人が少なくはありませんでした。今回は、そんな人気ホラー映画の残穢のあらすじをネタバレ、結末感想までしっかり解説していきます。
まず、この残穢のあらすじとネタバレを紹介、解説していく前に知っておいてほしいことがあります。残穢の物語は、リングの呪いのビデオや着信アリの呪いの着信などとはまた違った怖さを持っています。ホラーがとても苦手な人はおそらく映画を見ると忘れられなくなってしまう可能性があります。残穢そのものに見た後にずっと尾を引くような仕掛けがされているので怖いのがとても苦手な人は自分の心と相談して残穢に触れてください。
残穢とは?
映画、残穢-住んではいけない部屋-は元々は小説で、著者である人物と同じ経歴、名前を持つ小説家である【私】が、東京のとある場所にあるマンションで起こる怪異について調べていくうちに、自身の身の回りにも恐ろしい怪現象が怒っていく、という話です。ちなみにこの著者である小野不由美さんは、有名人気シリーズの十二国記を手がけた作家です。
元の小説は珍しいモキュメンタリー(架空の出来事を事実の出来事であるかのようにドキュメンタリー形式で追っていくシナリオ形式)構成になっており、それがより一層、読む人を引きつけて怖いという感想を持った人が多かったようです。確かに、実在するホラー作家の名前が当然のように出てきたりする作風でしたので、そういった感想を持ってしまっても仕方がないのかもしれません。映画の方も同様に同じ形式が用いられています。
結果的にその形式が残穢の魅力を最大限に引き出す事に成功し、怖いという感想や、ホラー映画としては最大限の賛辞的な感想を頂いたりしていました。モキュメンタリー形式は、見ていると映画だと解っていても今目の前で繰り広げられている恐ろしい出来事が本当にあった出来事なのでは?と錯覚させてしまう力があり、さらに作者が京都の出身とあり、その土地に近い人からすればあまりにも身近な土地名にドキリとしたことでしょう。
次項から残穢のあらすじをネタバレしつつ感想含め紹介します。ただしこの映画は完全にホラーであり、読んだあとにじっとりと残るものがあると評判です。
ホラーが極端に嫌いな人はあらすじを読んで原作に触れるのか映画を見てみるのか決定してください。リングや呪怨よりもう少し身近でより怖い印象を持たれた方が多い映画です。ですが、やはり文章でのあらすじのネタバレではまだまだ怖さが伝わらないので、映画を見ていただきたいです。
残穢のあらすじをネタバレ紹介!
それでは、残穢のあらすじをネタバレしつつ紹介していきます。ですが、あらすじをネタバレする前に少しだけ2人の登場人物についても触れていきます。といいますのも、この物語は登場人物達が非常に重要で、主に【私】と【久保】の2人について把握しておいてください。ともに個性的なキャラクターですから、残穢のあらすじのネタバレを読んで結末を知る前に、ぜひとも登場人物について頭の隅に置いておいてください。
残穢のあらすじをネタバレ紹介!登場人物【私】
まず登場人物のネタバレとなります。主人公は著者と同じ経歴を持った小説家。北九州出身で、京都在住です。心霊やオカルトには否定的な気持ちしか持てずに、どこか科学や直接的な原因があるとして物語の怪現象に向き合っていきます。
どちらかと言えば淡々とした性格。この物語の主人公である彼女は残穢の怪異について知るうちに謎のイタズラ電話や怪異に見舞われていくようになります。ちなみにこの残穢のストーリーが終わった後も延々と怪現象に見舞われる描写がされています。
残穢のあらすじをネタバレ紹介!登場人物【久保】
登場人物の1人である久保30代の女性。【私】が執筆する小説の昔からのファンであり、広報誌を扱う編集プロダクションに所属しています。ディレクターやカメラマンと共に現場に出向き、その場所でとった取材テープを文字におこして記事にまとめる仕事く人物として描かれました。
ことさら怪談が好きで、ホラー映画やホラー小説に目がないタイプ。不思議現象をとりあえず怪異として考える節があり、全ての現象に対して「何かがいるのでは?」と身構える性格をしています。主人公の【私】よりもだいぶんホラー的恐怖に耐性がある上に興味津々で、ホテルに泊まるととりあえず御札がないかを確認してしまいますし、暗闇で物音がすればそれは幽霊なのではと疑ってしまうキャラクターです。
しかし実際にいたらいたで怖いという難儀な性質をしており、曰く、本当にいるかいないかを確かめるまでのドキドキする緊張感がたまらないのだと言っています。まさにホラー映画ではトラブルを引き起こす最初の一人というポジションです。
残穢のあらすじネタバレ①久保さんからの手紙
ここからは作品のネタバレを含むあらすじ紹介となります。ネタバレが苦手な方は充分にご注意ください。まずは作品序盤のネタバレあらすじをご紹介します。
2012年の5月。とあるオカルト雑誌に連載を持つ作家である【私】の元に、オカルト雑誌の読者で【私】のファンである久保さんから、怪奇現象についての手紙をもらいます。内容は部屋にいると、ザーッ、ザーッ、と箒を掃くような音がする、という内容です。その後、再び手紙が届くのですがその内容は、箒の音のする部屋で、金襴緞子(とても豪華で美しい派手な柄)の帯が見えたという内容です。
その帯は天井から和装の女性が首を吊っていて、その帯が解けてどうやら床をざりざりと擦りながら揺れているのだ、と久保さんは【私】に再び手紙で伝えてきます。【私】はその手紙を受け取り、過去にも同じような内容の手紙を受け取ったことを思い出しました。それは手紙をくれた人の幼い娘が部屋の天井をじっと見つめており、ぬいぐるみの首を紐で吊るしてゆらゆらと揺らし「ブランコ」と言いながら遊んでいる、という内容です。
なんとそこは手紙をくれた久保さんと同じ住所の別の部屋に住んでいた住人から送られてきた手紙でした。その旨を【私】は久保さんに伝え、久保さんはその話を元に不動産会社へと何か事故があったのではないか、ここは事故物件ではないのかという事を問いますが、このマンションでは事故は起きていないと回答が帰ってきます。しかし、半年後のことです。久保さんから再び【私】に手紙が届きました。
その手紙には、久保さんが気になって調べた自身の住むマンションについての情報が書かれており、不動産会社に問い合わせて事故物件では無かったものの、この場所から引っ越していった人が、引越し先のアパートで首を吊って自殺をしていた、という事が書かれていました。久保さんは【私】に「このマンションが事故物件なのではなく、マンションの建っている土地自体に何か曰くがあるのではないか?」と訴えてきます。
残穢のあらすじネタバレ②小井戸家
【私】はその話を聞き、久保さんと共に調査を開始しました。結果「マンションが建つ前は小井戸という家が建っていた。そしてその小井戸家はゴミ屋敷であり、1992年にその場所で一人の老人が孤独死している」と知ります。老人は「隙間が恐ろしい」とゴミで部屋を埋めるようになったようでした。さらに話は孤独死の話だけでは済まずに小岩家が建つよりもはるか昔の話へと遡りもう一つの事件を知ることになります。
残穢のあらすじネタバレ③高野家
ここからはいよいよ作品中盤のネタバレとなります。物語の核となる要素が徐々に明らかとなってくる場面が話題となりました。
それは小井戸家の家が建つよりもはるか前、あの場所には高野という家があり、高野家では1958年、高野トシエという婦人が娘の礼子の婚礼後、黒紋付の和服を着たままに首を吊って自殺したのだと話を聞きました。【私】は久保さんが聞いた箒を掃くような音、首を吊った女性から垂れ下がる、解けた帯が床の畳をザーッ、ザーッ、と揺れて擦れるあの音の原因は、この高野家の高野トシエさんの自殺が原因なのだと思います。
そしてさらに話を掘り下げていくと、1958年に自殺した高野トシエは死ぬ前に「赤ん坊が泣いている。赤ん坊の鳴き声が聞こえる。床の下から、赤ん坊が湧き上がってくる!」と言っていたという話も聞きました。その話を【私】は知人のホラー作家である平岡へと話します。すると、平岡はこの話に似た怪談が千葉にあるのだと言って仔細を【私】に話してくれました。
残穢のあらすじネタバレ④奥山家
それは高野家で高野トシエが自殺するよりも少し前、1958年に千葉の中村美佐緒という女性が生んだ赤ん坊を次々と殺して床下に埋めていたという話です。その事件を調べると美佐緒はその事件を起こす前に別の土地に住んでおりそこは高野の家が立てられる前に建っていた長屋に住んでいたというのです。【私】はその話を聞き、やはり建物ではなく土地そのものが穢れていて、高野婦人はそれに触れてしまい自殺したのではと考えます。
さらに【私】はその土地について深く調べて行きました。長屋が建つさらに前の事を調べると、1900年代、その土地には吉兼という家が建っていました。さらにその吉兼家を調べると、吉兼家は2人目の妻としてミヨシという女性が嫁いでからおかしくなっていったという事実を突き止めます。そのミヨシという女性が来てから吉兼の家にいた最初の妻の子の気が狂ってしまい、結局は座敷牢にいれなければならなくなったというのです。
その原因というのは、どうやらミヨシが実家から持ってきた嫁入り道具の中に曰く付きの掛け軸があったからだというのです。その掛け軸は美人画で、美しい女の顔が稀にぐにゃりと醜く歪む事があり、その顔が歪むと何か禍事が起こるのだといわれていたのです。息子の友三郎の発狂やその後のミヨシの死産が続いた結果、その美人画は吉兼家の菩提寺へと預けられる事になったようであるということが解りました。
そして【私】はその掛け軸のことを知り、その掛け軸が預けられている菩提寺へと足を運び住職にその掛け軸について聞くことにしました。しかし、その掛け軸は預けられた後におきた戦争の戦火によって焼けて消失してしまっていたのです。手詰まりかと思われたこの穢れの話ですが、ミヨシの実家について話を聞くことができた【私】は新たな事実を知ることになります。
それはミヨシの実家の奥山家は北九州の炭鉱王である、ということと、ミヨシが嫁ぐよりも前の1890年代、奥山家の炭坑で火災が起きて100人以上が命を落とす事故があり、その事故の後から当主であったミヨシの父は黒い人影が「殺せ!焼け!殺せ!」と叫び這うのを見るようになり、家族と使用人を20人以上殺して自分も自害したという事実でした。この話を聞いた【私】は自身のオカルト雑誌の編集長にそれを話しました。
【私】からその話を聞いた編集者は、真辺という男性を思い出します。真辺は昔、幼い頃に奥山家の跡地に建てられた親戚の屋敷で真っ黒な人影を見ていたのです。【私】は事の発端である久保、ホラー作家である平岡、そしてその話に興味を持った怪奇マニアの三澤と共に北九州にある奥山家跡地に建てられた真辺邸へと足を運びます。
既に廃屋になっている真辺邸には開かずの間がありました。開かずの間には仏壇と神棚がありその奥の部屋にも仏壇、神棚があり壁一面に御札が貼られていました。真辺邸の主は河童のミイラや奇怪な骨董品、曰く付きの妙なものを集めるのが好きな収集家であり最後は日本刀で自殺したという事がわかります。そしてその後、さらに調べていくと奥山に関係のある土地や屋敷を解体して出た健在を使った家に凶事が起こっていると判明します。
奥山家から生じた穢れ、その建材や奥山に関わるものは今は全国に広まっていてどこに何があるのかは不明であることがわかります。この話を語ることすら奥山の穢れに関わる事になり、禍事が起きてしまうのです。今この瞬間にももしかすると誰かがこの話を語っているのかもしれません。そして穢れが広がりさらに…と連鎖が起こっているかもしれないのです。【私】も、この件を調べていた誰もがは恐ろしくなり調査をやめてしまいます。
【私】は久保さんと共にこの話を調査することを辞め、夫と共に新築の家に引っ越しました。久保さんももうこの話を追うことは辞め、各々の平穏に戻っていこうとします。そうして、日常を取り戻して数日後に【私】のところに一本の電話がかかってきました。受話器からは笑い声が響きます。同じ頃、奥山の一件を記事にまとめていた編集者のパソコンが乱れ手が煤で黒く汚れ、黒い影が這い寄り足首を掴みます。
そして、吉兼家の住職が隠し持っていた掛け軸の美人画の顔はぐにゃりと歪み、それに魅入られたように住職が掛け軸を見つめ続けています。こうして、奥山の穢れは未だこの場所に残ったまま【私】も久保も編集者も穢れのある日常へと戻っていったのでした…。
以上が、残穢のあらすじのネタバレです。このネタバレあらすじで残穢の怖さが伝われば良いのですが、ぜひともこの不気味な雰囲気はやはり残穢の映画を見ることで完全補完されるものですから、残穢を映像でしっかりと見ていただきたいです。さて、この残穢の結末はあやふやな雰囲気なのですが、これからこの残穢の結末をしっかりと解説していきます。
残穢の結末は?
残穢のあらすじをネタバレしましたが、このネタバレを読んで皆さんはどんな感想を抱きましたか?結果的に、結末はどうなったの?穢れはあるのか、ないのか、悪い事がこれから起きるのか、そしてそれは奥山の穢れのせいなのか?様々な疑問があらすじのネタバレを読んだ後でも感想としては残ることでしょう。ここで結末についての推測をさせていただきます。
呪いとは?
つまるところ、結末的に「呪いとは一体何なのか?」という話に行き着きます。確かに奥山の家では凄惨な事件があり、奥山の娘であるミヨシの嫁入り道具の美人画は曰く付き、それに関わる事になってしまった高野トシエが何かの拍子に穢れに触れてしまったのか自殺をしてしまいます。その後、その穢れはもしかすると孤独死した老人にふりかかり今のマンションの一件へと発展したのかもしれません。ただしそれは推測でしかないのです。
さてこの結末を話す前に「呪いとは?」という話に触れましたが、呪いとは「不思議な力があることを思い込むこと」です。つまり言葉や認識を歪めることが呪いの真髄と言えるでしょう。この奥山家の呪いの恐ろしいところは全国各地に奥山家に関わる物や人がいつの間にか病が感染するように広がっているという点です。奥山家に関わる土地、建物、人、あるいはこの話そのものが穢れであるとされている点です。
残穢の映画のあらすじをネタバレしましたが、そのネタバレのどこにも【私】や久保さんが恐ろしい目にあった、とは一切書いていません。
その通り、実は【私】にも久保さんにも、何もまだ起こってはいないのです。最後の一件は本当にただのイタズラ電話かもしれません、編集者が見たものは奥山家について怖い話を調べたことで見てしまったただの悪夢なのかもしれません。ただ、残穢を見た人は心の中に恐ろしい結末を描くのではないでしょうか?
その結末とは、ここから【私】や久保さんがどんどんと悪い事に巻き込まれてしまうのではないか、呪いは彼女らにも感染してしまったのではないか?という恐怖です。ただし恐ろしい結末はそれだけではありません。奥山家の呪いは、語ることですら感染するのです。つまり、残穢の映画を見た人もそれに当てはまるのです。さらに言えばこのあらすじ、ネタバレを読んだ人も奥山家の穢れに関わってしまったことになるのです。
残穢の結末の恐ろしいところは、最後の美人画がぐにゃりと歪んでいたのは残穢の映画の中で恐ろしいことはまだ続く、ということではありません。あの歪んだ笑いかけは映画の中からスクリーン越しに、残穢を見てしまった人へと贈られたものです。このあらすじのネタバレを読んだ人へも、もちろんのことです。
さて少し話を戻して「呪いとは」の結末に至ります。このあらすじを読んでから少し後、何もない場所で転んだ人がいたとしてその人が「残穢に関わったからだ!奥山家の呪いだ!だから悪いことがあったのだ!」と思えば、それこそが呪いとなります。いつか何かの折に原因の解らない床を擦る妙な音を聞いた時に「これはもしや奥山家の」と疑心暗鬼になって恐れ、摩耗して、苦しむことこそが「呪」となります。
逆に言えば「変な音がするぞ?まあいっか!」など全てスルーする楽天的な方もいるでしょう。そんな方は呪いにかかり辛いのです。ただし、幽霊や呪いという不思議な存在を一切否定したまま、本当は存在する目に見えない恐ろしい力によって害され、結果的に酷い凶事が起こるという事はあるかもしれない、と言えるでしょう。これこそが呪いの力です。まさに不思議な力、といえる存在です。
残穢のネタバレをするにあたって、呪いの話にも触れましたが、結果的にこの残穢の結末のその先は物語を鑑賞した人全員へと受け継がれていきます。以上がこの残穢のあらすじ、ネタバレの結末です。これをどう捉えるかは残穢を実際に見た人、読んだ人の全ての感想が正解でしょう。
残穢の怖すぎると話題の原作小説の感想を紹介!
残穢の映画のあらすじをネタバレし、結末まで紹介しきってからにはなりますが、残穢の小説について紹介しておきます。内容は冒頭にも述べたようにモキュメンタリーになっていまして、まるで実話を語るように綴られた文章は随分と不気味な様相になっています。ただし、利点と言いますか非常に読みやすい文章で、ネットなどで読める怖い話を更に不気味にクオリティを上げたようになっています。
小説版の残穢の感想ですが、普段は小説を読まないけどネットを介して怖い話を読むのが好きだ、という人にはとても入りやすい小説になっていて高評価を得ています。ただし、呪いの概念的に「は?床を擦る音なんて気のせいでしょ!」と思う人にはあまり怖さは感じられないようで低評価されていて感想は両極端なものです。このあらすじを読んで、怖い!でも面白そう!と思った人にはドンピシャで楽しんでいただけるでしょう。
つまるところこの残穢の小説は、怖いもの見たさで不思議なものがあるのかないか、確かめたいと思ってしまう好奇心を持っているか否かにかかってくると指摘する声があります。この物語にも出てくる久保さんは、まさにそのタイプでした。自分の部屋で箒をはいているような音がする、というところから帯を擦っているようなイメージだ、と、自ら恐ろしいものに対して向き合い、真相を解明しようとしています。
小説版の残穢でも、久保さんは映画と同じように怪異について怖いながらも興味津々で、どうしてこんな事が起きているのか?と不思議な出来事を究明すべく躍起になっています。
この小説版の残穢は、感想を聞くと解るのですが物語に振り回されてワッ!と驚かされるのが好きで物語から迫ってくるのが好きな人からはあまりいい感想が聞こえてきません。逆に、自分も一緒に物語を解明した、没頭して考える人からは良い感想が聞こえます。
残穢の映画と小説との違いは?
残穢の小説と映画のストーリーと結末について解説していきます。小説の結末のネタバレとなってしまいますが、両方ともほとんど同じ流れで進みます。ただし、映画の方は解りやすくするためでしょう、エピソードががっつり削られている箇所もあり、残念だという感想も伺えます。
映画では約2年かけ奥山家の事を調べていくのですが、小説ですと8年ほど時が流れていて完全に呪いから逃れられないような、さらに陰鬱印象を与えるようです。登場人物にも多少の脚色があるものの、映画に落とし込むには素晴らしい改変と評価する方もいらっしゃいます。
残穢の小説と映画の違い①ストーリー
それでは、残穢の小説版と映画とで明確に違った部分を紹介していきます。まずは、ストーリーに関してです。実は映画では、小説版の中に出てくる鈴木さんという人物のエピソードが丸々全て削られてしまっています。思うに鈴木さんのエピソードこそがホラー映画には必要なポイントだと指摘する声もありますが省かれてしまいました。鈴木さんというのは霊感が強い女性で、物語中で唯一怪異をしっかりの自分の目で確認した人物です。
鈴木さんの体験した恐怖というのは、例えば実際にしっかりと蛇口の映り込みに女が見えたことや、他にも首吊りの霊をしっかりと見てしまったりしているのです。このシーンがまるまる映画では削られてしまっていて、せっかくのホラーポイントが無くなってしまったと悔やむ声もありました。これはおそらく残穢そのものの雰囲気を守るためで、目に見えないあやふやな恐怖を強調する作風ではやむを得ないのかもしれません。
どうにも残穢の映画を作るにあたって、本当にホラーチックで怖いところというのはがっつり削ってしまっているのかな、というのが原作の小説とを比べた時のファンの感想です。
ただし、もしもこのエピソードを実際に視覚化してしまった場合は残穢のじわじわと来る怖さが急にパニック系のドカンと来るホラーに一変してしまいうと指摘する方もいます。そうなった場合には、もしかすると、今よりもこの残穢という映画は話題にはなっていなかったかもしれません。
その為、やっぱり映画と小説は別物であるとして割り切って、映画は映画として、小説は小説として楽しむというのが一番いいと考える方が多いようです。基本的には映画と小説がまるまる同じである、という事はほとんどの場合はなく、どこかしらで改変が行われたり、ストーリーの誤差が出てくるものですからその点をしっかりと理解した方がいいのかもしれません。小説のあのシーンがないから見ない!と決めてしまうと勿体無いです。
残穢の小説と映画の違い②人物
それでは、この残穢に出てきた人々の映画と小説の違いですが、エピソードが削られる他にも登場人物にも少しばかり改変が行われています。特に一番の変化が見られたのが久保さんです。久保さんは残穢の中でもとても重要な役割を担っているキャラクターなのですが、彼女は元々、30代の女性ライターでした。しかし、映画では少し好奇心旺盛な大学生になり、活発な印象を物語の中では与えるキャラクターとして描かれています。
ですが、彼女が大学生になったことで理性的で怪異や恐怖に関してどこか冷めて淡々としている【私】と、オカルトや超常現象のような出来事に対して怖いと思いながらも少しワクワクしながら怪異に対して向き合う久保さんとのキャラクターの対比がとてもよくできていると評価されています。
これは映画の中ではとても解りやすく、見ている人は【私】の気持ちにも久保さんの気持ちにもどちらにも感情移入できて、物語により入り込みやすくなったからだと指摘するファンもいます。
以上のことから、残穢の映画と小説版のストーリーや登場人物に多少の改変はあったものの、残穢の映画を、小説の長いストーリーを2時間というコンパクトな時間の中にスッキリと綺麗に収め、かつ、残穢の一番の魅力である恐怖を最大限に伝えるためには必要な改変だった評価する声が多いです。それに、小説版と映画版の違いについて知るのも楽しいので、ぜひとも残穢に興味を持ったら、その2つを手にとって両方共楽しんでください。
残穢は実話なのか?
そして、この残穢という話を知ってしまうと、ファンからは少し気になることが出てくるようです。それはこの残穢という物語が本当の話なのか、果たして全ては作り話なのか、という点です。
この残穢という物語が現実に繋がり、みなさんに向かって穢を振りまいているとすると、そんな話が実話だなんて冗談ではないと思う人が少なからずともいるようです。残穢の物語は果たして実話なのか否か。この点については、明確に、ないとは言い切れない状態であるというのが正直なところです。
残穢の物語をまるまる一つの物語として存在するか、というとそれは作り話なのですが、残穢に使われているエピソードのいくつかは実際に起った出来事であり、事実に起こった出来事なのです。ただし、それはこの物語の中で出てきた地域とはまた別の場所であったり、バラバラの時系列で起こったことです。例えば、戦後の炭坑事故などは実際に日本でも多く見られた事例です。
炭坑で働く人々は常に、いつ自分の身体がその場所に埋まってしまい二度と戻れないかの恐怖に向き合いながらずっと働いてきました。そんな中で実際に事故に巻き込まれて亡くなられた人も多数います。そして、昭和の頃には100人以上の赤ちゃんを殺して床下に埋めた女性の事件も、事実として存在しています。以上のことからこの物語はさまざまな恐怖と実話をマッシュアップして、一つにした作品となっていると言えます。
結局この話の怖いところはその本物の話のどれかが、穢れを振りまいているかもしれない…というところです。映画の中でも結局は何が穢れの原因なのか解らず自分から気をつける事ができない、忌避できないのです。もしかすると何気ない日常の一つに穢れが紛れているかもしれない、というのがこの作品のおもしろさなのかもしれません。
ネタバレを読んで映画を見よう
さて、ここまで残穢のあらすじをネタバレあり、結末あり、感想ありで紹介しましたが、いかがでしたか?今回はネタバレを含みながらあらすじを紹介しましたが、映画から滲み出る不気味さを少しでも感じ取っていただければ幸いです。ですが、映画の魅力は、やはり今回のネタバレ紹介の文章では伝えきれません。
ぜひとも小説版、映画ともに手にとってみてください。きっと、ホラー映画が好きな人はこの映画の魅力に取り憑かれてしまうはずです。