そこのみにて光輝くをネタバレ紹介!映画のあらすじや感想は?【綾野剛主演】

映画「そこのみにて光り輝く」。それは邦画界に大きな衝撃をもたらした名作です。監督は呉美保さん、主演は綾野剛さんです。原作は佐藤泰志さんによる同名小説です。「すべての終わり、愛の始まり」というキャッチコピーのもと、「そこのみにて光り輝く」は函館を舞台に愛を捨てた男と愛を諦めた女の物語を描いています。綾野剛さん、池脇千鶴さんの名演技もあり、国内の様々な映画賞を受賞し、海外の映画祭にも日本代表作として出品されました。あらすじや感想をネタバレ紹介していきます。

そこのみにて光輝くをネタバレ紹介!映画のあらすじや感想は?【綾野剛主演】のイメージ

目次

  1. そこのみにて光り輝くをネタバレ紹介!映画のあらすじと感想は?
  2. そこのみにて光り輝くのキャストは?綾野剛が主演!
  3. そこのみにて光り輝くのあらすじをネタバレ紹介!
  4. そこのみにて光り輝くの結末をネタバレ紹介!
  5. そこのみにて光り輝くを見た人の感想は?
  6. そこのみにて光り輝くのあらすじをネタバレ紹介まとめ!

そこのみにて光り輝くをネタバレ紹介!映画のあらすじと感想は?

映画「そこのみにて光り輝く」は2014年に公開され、数々の賞を受賞した名作と言える作品です。第38回モントリオール世界映画祭ではコンペティション部門に出品され、監督の呉美保さんは最優秀監督賞を受賞しました。また、第38回日本アカデミー賞では池脇千鶴さんが優秀主演女優賞を、第88回キネマ旬報ベスト・テンでは綾野剛さんが主演男優賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

インターネットで検索をすると、あらすじから鬱映画と称されることも多い「そこのみにて光り輝く」。確かに池脇さん演じる千夏は貧困と問題のある家族と抜け出せない不倫関係にがんじがらめになっていますし、千夏がたびたびひどい目に遭うシーンもあります。観ていて目をそむけたくなるような場面もあるでしょう。ですが、最後には微かな希望の光が見えて観る人に思わずため息をつかせる、それが「そこのみにて光り輝く」です。

そこのみにて光り輝くのキャストは?綾野剛が主演!

「そこのみにて光り輝く」はあらすじもさることながら、キャスト陣の演技力の高さもそのクオリティを支えている大きな要因と言えるでしょう。観た人の感想にもその演技力の高さに圧倒されたという感想が多いです。キャスト陣の息をのむような演技は動作や言葉だけでなく、目の動きや息遣いなど細かなところも見所です。それでは、「そこのみにて光り輝く」の登場人物をご紹介しながらキャスト陣もご紹介していきましょう。

佐藤達夫役/綾野剛

「そこのみにて光り輝く」の主人公は無職でパチンコや散歩をしてダラダラと過ごす佐藤達夫。以前は石材の採掘現場の指示役として働いていましたが、爆発事故の責任を取って辞職しました。パチンコ店でライターを貸した拓児に家に招かれ、千夏と出会い、彼女に惹かれます。惹かれるうちに彼女が抱える生活や仕事、家庭の問題に触れるもそんな彼女への一途な愛は深まっていくのでした。

達夫を演じるのは綾野剛さん。いまや誰もが知っている有名俳優さんですね。出演作品は映画からテレビドラマ、舞台などに渡って多数あり、俳優としての受賞歴も数多くあります。デビューは「仮面ライダー」の怪人役です。綾野剛さん本人は人見知りで臆病な性格だと言っていますが、共演者や業界スタッフからの評判も良く、「憑依型」や「カメレオン俳優」などと評されるように役の幅も広いことで有名です。

大城千夏役/池脇千鶴

達夫が惹かれる女性で、拓児の姉。週3日は水産加工場で働きつつ夜はバーで体を売って生活しています。親の介護や世話、弟の起こした事件、貧しい家庭、弟の仕事の面倒を見てくれている中島との不倫関係といった問題を一人で抱え、あがきつつも自力ではどうすることもできずに日々を暮らしている女性です。達夫と出会ったことで彼に惹かれますが、逃れられない自分の環境に苦しみ達夫とも衝突してしまいます。

苦難の中で生きる千夏を演じるのは、池脇千鶴さん。彼女も綾野剛さん同様、高い演技力で知られています。01年にはNHKの朝の連続ドラマで主演を飾り、02年のスタジオジブリ作品「猫の恩返し」ではて声優デビューもしています。また、04年の「ジョゼと虎と魚たち」では妻夫木聡さんとの大胆な濡れ場シーンで大きな注目を浴びました。「そこのみにて光り輝く」ではアジア・フィルムアワードでの助演女優賞などを獲得しています。

大城拓児役/菅田将暉

パチンコ店で達夫と出会い、達夫と千夏を会わせる、物語の展開を回していく役割を果たす拓児。刑務所に服役していた過去を持ち、現在は仮釈放中の身です。中島のもとで働く日雇い労働者ですが、仕事がないときはパチンコをしています。病気で寝込んでいる父親を毛嫌いしているようです。社交的で誰とでもすぐ仲良くなれる性格のため、達夫ともすぐに親しくなります。

拓児を演じるのは菅田将暉さん。俳優デビューは綾野剛さん同様「仮面ライダー」ですが、こちらは怪人ではなく仮面ライダー役です。今や数々の映画やテレビドラマ、テレビCMにも出演し、若者を中心に高い人気を誇ります。幅広い役をこなすために体型や髪型など役作りに余念はなく、演技も業界人たちから「天才」と称されるほどです。最近では俳優業だけでなく歌手としても活躍しています。

中島役/高橋和也

造園業を営み拓児に仕事を与えていて、仕事熱心で親しみやすく妻子思いと評判の男性です。しかしその顔には裏があり、気に入らないことがあると凄んでみせたり、一方的に好意を寄せる千夏に無理やり不倫関係を強いたりしています。表の顔と裏の顔を併せ持ち、千夏の逃れられない苦しみの要因のひとつとなっている恐ろしい人物ですが、彼には彼なりの苦悩があることが映画を観ていくにつれてわかっていきます。

そんな中島を演じるのは高橋和也さん。元ジャニーズで男闘呼組のメンバーでした。複数のバンドで活動する一方で映画やテレビドラマ、舞台に出演する俳優や声優として幅広い分野で活躍中です。声優としては韓国の人気俳優イ・ビョンホンの吹き替え声優として数多く出演しています。映画「そこのみにて光り輝く」ではその凄みと存在感のある演技が評価され、高崎映画祭で最優秀助演男優賞を受賞しました。

そこのみにて光り輝くのあらすじをネタバレ紹介!

それではいよいよ、「そこのみにて光り輝く」のあらすじをネタバレ紹介していきましょう。もし今後、映画を観る予定があってネタバレされたくない、という方は閲覧注意です。

人生に投げやりになった達夫

舞台は北海道、函館市。鉱山で発破作業をしていた達夫は、作業中の事故で同僚を失ったことをきっかけに仕事を辞め、毎日パチンコ店や周辺を散歩しダラダラと自堕落な生活を送っていました。ある日、パチンコ店で隣に座った拓児からタバコの火を貸してくれと頼まれます。ライターを貸した達夫は、お礼に飯を奢ると言われて家に招かれますが、そこにいたのは脳梗塞で倒れた拓児の父、介護に疲れた母、そして姉の千夏でした。

達夫は千夏へ惹かれる

拓児の家は非常に貧しく、姉の千夏の稼ぎでやっと生活できている状態です。拓児は日雇いで働いていますが数年前に人を刺して服役した過去があります。千夏は拓児に仕事をくれる中島と半強制的に愛人関係にありました。バーの一室で中島に体を売り、収入を得ていたのです。達夫と千夏はお互いの身の上話をすることで徐々に心を開き、惹かれ合っていくようになります。

達夫、千夏、拓児の各々の転機と決断

達夫は拓児に前職の話をします。すると拓児は興味を持ち、自分も連れていってほしいと頼みます。同僚を亡くしたトラウマを抱えながらも前職の上司に拓児を紹介します。また、達夫は千夏が中島の愛人であることや父親の性処理をしていることを知りますが、千夏の独特の魅力に深い愛を覚えます。そして二人は函館の海でお互いを求め合うのです。千夏の閉ざした心に達夫が入り、千夏は中島との関係に終止符を打とうと決断します。

一瞬見えた光に影が差す

水産加工場で働き始めた千夏でしたが、拓児のことで中島に弱みを握られていたため中島から暴行を受けます。それを知った拓児は鉱山で働いて人生をやり直そうと考えていたのも忘れて、怒りのままに中島を刺してしまいます。

街に逃げた拓児が向かった先は達夫のアパートの前でした。事情を知った達夫は拓児を殴り、抱き締めます。二人で函館の街を自転車で走りながら、拓児は鉱山には行けないと言い、出頭していきました。

暗闇の中にも微かな光が見えるラストシーン

拓児と別れた達夫が向かったのは愛する千夏のもとでした。しかしそんな達夫を待っていたのは、父親の首を絞めている千夏です。千夏も限界がきていたのです。千夏を止め、海へと連れ出した達夫。そんな二人を海は変わらず出迎え、眩しく光り輝く朝日が照らしていたのです。まさに「そこのみにて光り輝く」というタイトルにぴったりな結末です。

そこのみにて光り輝くの結末をネタバレ紹介!

あらすじのネタバレは前章でご紹介した通りです。救いのない話ともとれますが、「そこのみにて光り輝く」という題名にも意味があります。ラストシーンでまさに「そこ」=「底」の中でも微かな光が照らしている様子を描くことで、彼らには絶望だけではないことを表現しています。このラストシーンがこれまでの登場人物たちの闇と光すべてを語っているような気がして、かなり印象的です。

あらすじでネタバレしてきましたが、感想をご紹介する前に登場人物たちはそれぞれどんな結末を迎えたのか、もう一度整理してみます。原作に忠実と言われる映画「そこのみにて光り輝く」ですが、実は原作の小説版とは少し異なるところもあります。

達夫の結末

映画版では達夫は千夏への愛にひたむきに生き、拓児へも友人として広い心を持ちます。過去の事故でトラウマを抱えながらも千夏に恋をすることで達夫は変わることができたのです。中島を刺した拓児を見捨てることなく、千夏が殺人に手を染めるのも阻止し、彼女の今後の光になろうと達夫は静かに決心をします。

ちなみに原作の小説版では達夫は中島に殴られながらも千夏と決別させ、千夏と結婚し、子どもも授かります。前職の上司に誘いを受けていましたが家族のことで悩んでいました。しかし結局鉱山に戻ってもう一度働くことにします。映画版はそこまで描かれずに結末を迎えていることになります。

千夏の結末

千夏は自力ではどうしようもない苦難にがんじがらめにされ、逃れることもできず絶望の中で生きていました。そこを外からやってきた達夫に惹かれることで徐々に現状を打破しようという行動を起こすようになります。しかし中島から暴行を受け、自暴自棄になって父親を殺害未遂するなど再び底に沈んでいこうとする瞬間に、達夫に手を掴まれ光の届くところまで引き上げられた、という結末です。

達夫と同じく、小説版ではもう少し先まで描かれています。千夏自身は水産加工場で働き、拓児も土木作業員として何とか職を得ます。また、寝たきりで千夏の身体的・精神的な負担になっていた父親が亡くなり、それによっても彼女はまた解放されるのです。精神的な余裕が生まれ、最終的には子どもを育てる母親として、主婦として自立します。

拓児の結末

拓児は姉を襲ったのが中島だと知ると、怒りに身を任せて夏祭りを楽しんでいた中島を焼き鳥串で何度も刺してしまいます。衝動的な行動が抑えられない拓児ですが、根は人思いの優しい人間なのでしょう。達夫に会って落ち着いた拓児は自ら警察へ向かいます。そのまま拓児がどうなったかは描かれていませんが、仮釈放中だったこともあるため、何となく察しがつきます。

小説版だと拓児は中島から仕事をもらうのをやめて、一度は土木作業員として就職します。自立しなければ、という思いは拓児の中に常にあったようです。達夫や千夏も含めて幸せな日々を送れていましたが、二人の子どもの父親は達夫ではないと馬鹿にされたことに腹を立てて人を刺してしまいます。結果、警察に捕まるという結末自体は映画版も小説版も変わりません。

そこのみにて光り輝くを見た人の感想は?

様々な受賞を受けたことからもわかる通り、またネタバレをご覧頂けばわかる通り、「そこのみにて光り輝く」は単純な映画ではありません。展開的にも苦手だと感じる方もいらっしゃるでしょう。ではここで、実際に「そこのみにて光り輝く」を観た人たちの感想をまとめてみました。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とは2000年のデンマーク映画。手持ち撮影にスピーディーな画面展開、不遇な主人公の空想をミュージカル調に表現するといった奇抜な作品です。カンヌ国際映画祭では最高賞、パルム・ドールを受賞しました。観た人すべての心にどしんと大きな衝撃を残す名作です。

「そこのみにて光り輝く」は紛れもない愛の物語ですが、単純明快な恋愛の物語ではないことはネタバレを見ていただければわかるはずです。千夏の壮絶な苦難を知ってもなお、彼女を愛し支えたい、救いたいと思った達夫は本物の純粋な愛を知ることができたのです。そしてそれは達夫だけではなく、千夏も、自分で人生を変えようとした拓児も、それぞれが強い覚悟を持っていたことがわかる映画です。

池脇千鶴さんの演技力は他作品を観ていただければわかる通り、出演作品は全て一見の余地ありというほどです。ですが「そこのみにて光り輝く」では主演の綾野剛さんの演技も素晴らしいです。達夫の絶望感と千夏に対する静かで確かな愛情、守りたいという決意が綾野剛さんの動作や言葉、仕草、表情などの全てから伝わってきます。綾野剛さんのこの演技は彼の出演作品の中でも最高峰です。

他にも様々な感想がありますが、ご紹介した感想のように観た後に何か心に大きな衝撃を残していくような感覚を味わっている方が多いようです。言葉を多用しすぎず、役者の演技と画面のクオリティで観ているこちら側に訴えかけてくる、そんなことができる作品はそう多くありません。「そこのみにて光り輝く」を初めて観た人がどんな感想を胸に抱くのか、人それぞれではありますがきっと何かが響くことに間違いはないでしょう。

そこのみにて光り輝くのあらすじをネタバレ紹介まとめ!

さて、これまで「そこのみにて光り輝く」のあらすじをネタバレを含みながらご紹介してきたり、感想をご紹介してきました。「そこのみにて光り輝く」が何故そこまで評価されるのか、文字だけでも伝わるといいのですが、実際に観ていただいたらきっとその衝撃は予想以上のものでしょう。

先ほどまとめた登場人物ごとの結末ですが、焦点の合わせ方次第ではバッドエンドとも言える作品です。小説版を知っていると余計にハッピーエンドとは言い難いかもしれません。しかし、ラストシーンの眩しいほどの朝日は達夫と千夏を照らしています。このラストシーンは「そこのみにて光り輝く」というタイトルに繋がります。

千夏は微かに見えた希望を一度は消されてしまいます。でも、「そこのみにて光り輝く」というタイトルにも込められた意図は、「そこ」=「底」であっても光り輝くものがある、というものだと言えるでしょう。達夫はまだ千夏の隣にいます。千夏にとって達夫は最後まで希望の光であり続けるのです。そしてまた、達夫にとっても千夏は光の存在と言えるのです。

あらすじに相まって俳優陣の演技力もかなりの見どころと言える「そこのみにて光り輝く」、ぜひ一度ご鑑賞ください。

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