2018年09月11日公開
2018年09月11日更新
ヒメアノ~ルの映画あらすじは?原作漫画との違いやラスト・感想をネタバレ
映画ヒメアノ~ルとは、古谷実の漫画作品ヒメアノ~ルを実写化した作品です。日常の近くにある恐怖を生々しく描きつつ、犯人をただのサイコパスではなく人間味ある描写をすることで、映画を観た人の心に深く何かを残していく傑作です。監督は吉田恵補、主演はV6の森田剛と濱田岳。そんな映画ヒメアノ~ルの内容について、原作との違いやラストの展開、感想をネタバレ含めてご紹介していきます。
目次
ヒメアノ~ルの映画あらすじとは?原作漫画との違いや感想もネタバレ紹介!
皆さん、「ヒメアノ~ル」という映画をご存知ですか?原作は「行け!稲中卓球部」や「ヒミズ」で知られる古谷実さんの漫画作品です。古谷実さん作品といえばギャグマンガからシリアスまで、様々なジャンルに渡って物語を展開していますが、「ヒメアノ~ル」はギャグ要素もシリアス要素もどちらも取り入れたあらすじになっています。まさに古谷ワールド全開なこの作品を、鬼才と呼ばれる𠮷田恵補監督が実写化した映画です。
ここでは、映画「ヒメアノ~ル」のあらすじや原作漫画との違いをネタバレを加えながらご紹介していきます。さらには鑑賞した方の様々な感想もご紹介します。このページをきっかけに「ヒメアノ~ル」に興味を持っていただけると幸いです。これから映画を観る予定があって、ネタバレされたくない人は感想も含めて閲覧にご注意ください。
ヒメアノ~ルのタイトルの意味とは?
さて、ここで「ヒメアノ~ル」という変わったタイトルについて考察します。「アノール」はトカゲという意味で、ヒメアノ~ルとはヒメトカゲを指します。ヒメトカゲとは体長10センチほどの小さなトカゲですが、作者の古谷さんはこのトカゲを「社会的弱者」に例えているのではないか、という解釈があります。古谷さんはタイトルの意味を公表していませんが、他の作品でもタイトルがキャラクターを指してるのではないかと言われています。
それでは映画「ヒメアノ~ル」における「社会的弱者」=「強いものに虐げられる弱いもの」とは一体誰なのでしょうか?あらすじを知っている方はぜひここで考えてみてほしいところです。ネタバレを見る方はネタバレを見た後に、これから映画を観るという方はそのあとに、ぜひ一度考えてみてください。きっとその答えはひとつではありませんし、考え方次第でいろんな考察が深まります。
ヒメアノ~ルの主要キャストを紹介!
では、「ヒメアノ~ル」の主要キャストをご紹介していきましょう。俳優陣はどの方も演技力に定評がある実力派を揃えており、その能力を全て発揮してくれています。ちなみに主人公は映画版だと森田になっていますが、漫画版ではどちらかというと岡田が主人公です。
森田正一役/森田剛
映画「ヒメアノ~ル」でサイコパスな殺人犯、森田と演じるのはV6の森田剛さんです。アイドルとしてだけでなく数々のテレビドラマや映画、舞台に出演する森田さん。「ヒメアノ~ル」では学生時代に凄惨ないじめに遭い、人生に絶望して見境なく殺人を繰り返すシリアルキラーを、見ているこちらが震え上がるような迫力で見事に演じています。後ほどご紹介しますが、森田さんの演技もまたこの映画の魅力のひとつと言えるでしょう。
岡田進役/濱田岳
森田の元同級生で、再会してからユカと付き合ったことがきっかけで命を狙われるようになる岡田を演じるのは濱田岳さん。9歳の頃から子役として活躍し、演技派俳優として人気です。出演作品は映画からテレビドラマ、ドキュメンタリー作品など、幅広いジャンルの作品があります。岡田のお人好しで平凡な日常に不満を感じるキャラクターが濱田さんにとても合っています。
阿部ユカ役/佐津川愛美
岡田に告白して付き合い、森田に命を狙われるユカを演じるのは佐津川愛美さん。2005年に「蝉しぐれ」で映画初主演を務めています。小柄でキュートなルックスが印象的な彼女ですが、「ヒメアノ~ル」でのユカの小悪魔的な仕草やセリフがとても魅力的で、数少ない女性の登場人物として強いインパクトを残しています。漫画版のユカは落ち着いた大人の女性らしいですが、佐津川さんをキャスティングしたのは監督の意向。
安藤勇次役/ムロツヨシ
岡田の職場の先輩で、ユカに片思いをする安藤を演じるのはムロツヨシさん。他の3人同様、数々の映画やテレビドラマに出演する個性派俳優で、出演した作品の中ではどれも強烈な印象を残しています。最近ではインスタグラムの投稿が話題になることもしばしばあるようです。安藤の常識外の言動と根は優しい人間味のあるキャラクターを上手く演じていて、思わず笑ってしまうような表情もしばしば見られます。
ヒメアノ~ルの映画あらすじをラストまでネタバレ紹介!
それでは、いよいよ映画「ヒメアノ~ル」のあらすじをネタバレを含めつつご紹介していきます。途中でタイトルが出るのですが、それは前半と後半でガラッと雰囲気が変わることをより強調しているのであり、ギャグ要素の強い前半と狂気的な後半とわかりやすく分かれているのが特徴的です。
恋のキューピッド役
出典: https://eiga.com
清掃会社で働く岡田は平凡な毎日に不満を抱きつつ、何もできずにいました。ある日その悩みを先輩の安藤に打ち明けますが、逆に安藤の恋のキューピッド役を頼まれてしまいます。ターゲットはカフェで働くユカ。そのカフェで偶然再会したのは高校の同級生、森田でした。安藤に頼まれユカに探りを入れる岡田ですが、今度はユカから告白され、更にはストーカー相談を受けます。そのストーカーが森田だというのです。
出典: http://jfdb.jp
安藤に隠れてユカと付き合いだした岡田。人生で初めての彼女ができ、無事に童貞も卒業できました。岡田にとって順風満帆な日々です。ところが彼らの関係を知った森田は、同じく高校時代の同級生である和草に「一緒に岡田を殺そう」と持ち掛けます。実は森田と和草は、高校時代にクラスメイトから凄惨ないじめを受け、その主犯格を殺害してしまった過去があります。
出典: https://eiga.com
過去の殺人を弱みに握られ、これまで何度も森田に脅され金を横領してきた和草は、婚約者に打ち明けたことをきっかけに森田を裏切って警察に自首しにいきますが、その婚約者に止められます。そして婚約者に提案され、2人で森田を殺しに行きます。しかし2人とも返り討ちにされてしまい、森田は自宅もろとも火をつけて焼いてしまいます。それから森田は街をさまよい、次々と人を殺していくようになります。
森田の行動はエスカレート
森田は次々に犯行を重ねます。最初に駅前を通りがかったOLのあとを尾行して家に押し入って襲います(明確に描かれてませんが、恐らくレイプ後に殺害したと思われます)。次に一戸建ての住宅に住む一般家庭の井上夫妻を殺害し、庭に埋めてそのまま家に住み込みます。
怪しんで訪れた警察官に殺害がバレてその場で殺害し、拳銃を手に入れます。ユカがバイトを辞めたことを知り、ユカの部屋のドアを蹴っていたところを注意したアパートの隣人を拳銃で殺します。そして安藤も拳銃で撃ち、重傷を負わせます。
安藤のことを知った岡田は、森田が自分を狙っていると悟ります。もともと岡田と森田は、高校に入って初めてできた友人だったのです。ところが森田がクラスメイトからいじめを受けるようになり、岡田は助けるどころか距離を置いていじめを助長させたのです。そのときの絶望したような、死んだような、人間とは思えない森田の目が忘れられないと岡田は言います。
岡田のアパートを知った森田は潜伏し、帰宅したユカを襲います。ユカの危険を感じて間一髪で岡田が帰宅し、呼んでいたパトカーも到着しますが、森田は止まっていた車の運転手を殺害して車を奪い、岡田を乗せて逃走します。しかし白い犬と老人を見て咄嗟にハンドルを切り、電柱に追突。血まみれの森田は警察に逮捕されますが、過去に意識を飛ばしながら、右膝から下を失ったまま岡田に笑いかけて「またね」と言うのです。
最後に映像は森田と岡田の高校時代に戻ります。夏のある日、庭には白い犬がいて、テレビゲームに興じる森田と岡田の後ろ姿があります。「お母さーん、麦茶持ってきてー」と母を呼ぶ無邪気な森田の声。2人の後ろでは扇風機が回っていて、まさに何でもない平和な夏の風景です。
ヒメアノ~ルの原作漫画と映画の違いとは?
原作漫画のシュールな世界観
原作者の古谷さんはギャグからシリアスまで幅広く描く漫画家です。「ヒメアノ~ル」はその中でも特にシュールな世界観で、ポップなギャグ要素もありキャラクターの強い個性で思わず笑ってしまう展開もたびたびあります。一方で森田が次々と殺人を犯す様子も描かれ、様々な要素を詰め込んだ作品であると言えます。その二面性が読む人の心を掴んで離さないのです。
結末が違う?
映画版「ヒメアノ~ル」のあらすじは先ほどご紹介した通りですが、実は漫画版「ヒメアノ~ル」は結末が違います。漫画版のあらすじをご紹介しましょう。ユカとターゲットにした森田は邪魔な岡田を殺そうとしますが、気づいた岡田はユカと共に横浜へ引っ越します。咎めた漫画家の高橋を殺し、映画版と同じ犯行を重ねます。警察から話を聞いたユカはショックで病院に運ばれ、岡田は犯人は森田だと証言します。
警察に追われ、あとがなくなった森田は公園のベンチで眠り、悪夢を見ます。そして中学の頃に自分が普通じゃないことに気づいて悔しくなったことを思い出し、涙を流します。警察に起こされ、「なんだお前、泣いてんのか?」と警官が言って漫画版は結末を迎えるのです。結局岡田とユカは直接森田に危害を加えられることはないのですし、森田も脚を失うこともないのです。
また、漫画版では森田は生まれつきのサイコパスであるように描かれていますが、映画版ではもともとは普通の少年だった様子がラストシーンで描かれています。これは監督の考えで、生まれつきの犯罪者なんていない、でも誰もが犯罪者になってしまう可能性はあるということを伝えるための改変です。ちなみにこうした漫画版と映画版の違いについて、原作者の古谷さんは「これはこれでいいと思う」と寛大な様子です。
ヒメアノ~ルの映画を観た人の感想や評価を紹介!
映画版「ヒメアノ~ル」のあらすじネタバレ、漫画版との相違点をご紹介してきました。R15制限がつけられた「ヒメアノ~ル」ですが、実際に映画を観た人の感想はどうなのでしょうか?感想もネタバレになりかねないので、ご注意ください。よかったという感想も悪かったという感想も、どちらもご紹介します。
不評な感想を紹介!
今ヒメアノ〜ル観たんですケド
— カワラバタシホ (@takaimamiko) September 8, 2018
辛すぎませんか。辛い。
まずはこのように、単純に物語のあらすじに対して辛いという意見が目立ちます。森田が人を次々に殺めていくところは言うまでもなく、森田が受けたいじめのシーンも動物のフンを食べさせられたり女子生徒の前で辱めを受けたりと、見るに堪えない場面は確かに多いです。そのような残酷な描写が苦手な人にはオススメできません。
おススメ邦画のヒメアノ〜ルですが、アイドルぶいしっくすの剛くんファンとしてはまったくおススメしませんよ! 人によってはトラウマになるレベルです。一人暮らしや、一人になりがちの女性はとくに怖くなります。
— 🐸ゆうき🐸 (@yukiazma) September 8, 2018
正直いって剛くん好きになって欲しかったら、絶対ススメない(^◇^;
不評な感想の中で目立ったのは、V6の森田さんファンの方の意見。アイドルとして輝く姿を好きでいる人からしたら、死んだような目で人を殺しまくる森田さんの姿を見るのは辛いものかもしれません。劇場で観たファンの中には耐えられずに途中退席してしまう方もいたそうです。また、一人暮らしの女性が家に押し入られて襲われるシーンやレイプを想像させるシーンがあり、女性向けではないと言えるでしょう。
好評な感想を紹介!
#ヒメアノ~ル
— 猫派 (@butterflycomic) August 1, 2018
この漫画で実写版にジャニーズかと敬遠してたけど森田剛半端なかった
気に止めるほどでもない不自然な挙動や会話、感情が見えない表情、不安感を煽られて目が離せない
中盤の表題とR指定で雰囲気を反転する演出も期待が膨らんでゾクゾクさせられました
森田剛はもっと評価されるべき pic.twitter.com/kGVZv3geiK
不評な感想だけではせっかく映画を観る気になってきた方々の気を引けさせてしまうので、次は好評な感想もご紹介しましょう。
「ヒメアノ~ル」が頭から離れない。
— ®️Deck (@DeckKkp) July 17, 2017
観た人の心の奥の奥の方に、深い傷を残して去っていく。そんな映画。
いやぁ、森田剛くん凄かったなぁ。
でも人にはなかなか勧められない。
特に女性には。
グロいのが苦手な人は避けた方が無難。
ただ、本当に素晴らしかった。#ヒメアノ~ル pic.twitter.com/yYSW7z3uOK
先ほど不評な感想の紹介で、森田さんのファンの方にはオススメできないとお伝えしましたが、一方で森田さんの演技を褒めたたえる感想が特に目立ちました。確かに森田さんの演技は迫力があって、息をのんでしまうシーンが沢山あります。森田さんの演技力には定評がありますが、「ヒメアノ~ル」で見せた演技は大きな反響を呼び、洋画ファンや映画評論家にも印象深かったようです。
ヒメアノ~ル、もう何度も見てるのに見終わると一気に脱力する。
— かか (@kaka_yuria) February 18, 2017
ラストの血まみれの森田の笑顔と、高校時代の2人の後ろ姿を見て、なんで・・・と考え込んでしまう・・・
WOWOWさん、ありがとうございますm(_ _)m#WOWOW#ヒメアノ~ル
また、このような感想も多く見られます。見終えた人の心に大きな印象を与えるのが「ヒメアノ~ル」。ちなみにタイトルが映画の中盤に出てくる珍しいタイプの映画ですが、タイトルの前後で一気に雰囲気が変わるのが印象的です。そしてラストシーンでは過去に意識が戻った森田を見て、普通の人間だった森田を思い出させてくれる、より印象的な終わり方に感服するという感想が多いです。
ヒメアノ~ルの映画あらすじまとめ!
さて、ここまで映画「ヒメアノ~ル」のあらすじやネタバレ、漫画版との違い、見た人の様々な感想をご紹介してきました。前半は岡田と安藤が恋愛についてあれこれ繰り広げるギャグシーンが多くて笑えますが、後半は一気に森田のシリアスキラーな様子が描かれ背筋が凍ります。けれどもこの映画で伝えたいことは、そんな森田も生まれつきサイコパスだったわけではなく、純粋な普通の子どもだったときがあるということなんです。
この映画で考えてみてほしいこと
この映画は、日常に潜む恐怖を描いています。漫画版では森田は自分が生まれつき普通じゃないと自覚することでシリアルキラーになってしまいますが、監督の意向で映画版では森田が狂ってしまったのはいじめがきっかけになったことになっています。そして自暴自棄になった人間ほど欲望に忠実になるということを森田はこれでもかというほど見せてくれるのです。
この映画を観て、苦手だと思う方もいるでしょう。目をそむけてしまう方もいるかもしれません。でも、それだけではなく森田について少し考えてみてほしいです。深く考えずに面白半分でやったことで他人の人間性を変えてしまうかもしれないこと、誰しもが犯罪者になってしまう可能性があること、そして誰かがその人に救いの手を差し出せば間違いを犯さずに済む人間がいるかもしれないということを、この映画は伝えているのです。