エターナル・サンシャインのあらすじをネタバレ！名言・名セリフや評価まとめ

特定の記憶を削除するサービスを行っている会社に、忘れたい過去の記憶を消してもらうという物語のエターナル・サンシャイン。洋画コメディ映画でお馴染みのジム・キャリーと、同じく洋画界の定番ヒロイン、ケイト・ウィンスレットが織りなす不思議なラブロマンス映画です。

物語の流れが少し複雑になっていて、ラブストーリーが好きな人は勿論、頭を使う映画が見たいという人も楽しめる映画となっています。今回はそんなエターナル・サンシャインのあらすじ・ストーリー中の名言・見た人の評価をご紹介していきます。

エターナル・サンシャインは2004年に公開された、ミシェル・ゴンドリー氏が監督を務めるアメリカ映画作品です。ミシェル・ゴンドリー監督は主にミュージックビデオを制作することが多く、今までにはビョークやザ・ローリング・ストーンズなど大物ミュージシャンの作品を手掛けています。シンプルな映像にもかかわらず音楽にマッチしている作風が高く評価されています。

また脚本家兼プロデューサーとして「マルコビッチの穴」で有名な人気脚本家のチャーリー・カウフマンが参加しています。エターナル・サンシャインは記憶を軸に物語が展開されていますが、そのモチーフはアレキサンダー・ホープの詩から受け継いでいます。エターナル・サンシャインの重要組織、記憶を削除する仕事を請け負っているラクーナ社の窓口案内の女性も劇中で口にする言葉です。

そんな豪華制作者達から生み出されたエターナル・サンシャイン。米脚本家組合から偉大な脚本歴代ベスト101にも選ばれました。俳優陣から監督、脚本家に至るまで、エターナル・サンシャインは公開当時から期待の高い作品となっています。

記憶を題材にした作品のエターナル・サンシャイン。その本領はあらすじの流れに現れています。ストーリーはジム・キャリー演じる主人公ジョエルが恋人クレメンタインとの過去の記憶を巡るというものです。その順番は時系列通りではなく、新しいものと古いものが混ざりあっており、始めて見る時には複雑に感じることと思います。

そんなエターナル・サンシャインを初見の人にも分かりやすいように、時系列の順番を踏まえながらあらすじをネタバレを交えてご紹介していきます。これで映画を見れば、「なるほど！」とスッキリと見られるはず。それでは、エターナル・サンシャインのあらすじを冒頭から結末まで10個のブロックに分けて詳しくご紹介していきます。
 

ジョエルは、いつものように会社に出社しようと車に向かうと、自分の車の運転席のドアに傷がついていることに気が付きます。自分でつけた覚えのない傷に、隣に置いてある車の持ち主が犯人だろうと思い「（よくも）やったな！」と隣接していた車のワイパーに置手紙を挟んでいきました。

そうして駅につくと、いつもの通勤電車の列に並びます。しかし自分のいるホームとは別のモントーク行き電車の発車案内が駅の構内に響くと、何故か衝動的にそれに乗り込むのでした。会社をサボって行き着いたのはどこかの砂浜。2月の寒さに身を震わせながら浜辺で日記を書いたり、ひとり砂を掘ったりと悠々と過ぎていく時間。

そこへ一人の女性が波打ち際を歩いてきました。奇抜な青い髪とそれと同じくらい目を引く明るいオレンジのパーカーを着たクレメンタインと出会います。同じ喫茶店に入ったり、同じ電車に乗り込んだりと何かと気になる位置に出くわす二人。彼女は電車を待つホームでジョエルに存在感を示すかのように、手を振ったり視界に入るように動いたりと接触してきます。

そしてとうとう電内で彼女が声をかけてきます。ジョエルの前の席に移動し、身を乗り出して後部座席の彼と会話をしていると、行き先が一緒という事を知ります。どこかで会ったことがあるかと質問されますが、身に覚えがないジョエル。よく行く書店が彼女の職場という事を知り、きっとそこで見かけたのだろうと話は落ち着きます。ヘアカラーの話、クレメンタインの名前の話、色々な事を喋っていくうちに二人は打ち解けていました。

駅に着き車で自宅に向かう途中、ジョエルはクレメンタインの後ろ姿を見つけます。声をかけ家まで送っていく事を提案すると、クレメンタインも快諾して車に乗り込みます。送ってもらったお礼にと家に招かれたジョエルでしたが、なかなか会話が弾みません。「退屈な人生だから話のネタがない」と自嘲すると、「自分も不安はあるが、精一杯生きて自分の人生を一秒も無駄にしたくない」と彼女もまた自分の想いを吐露します。

お互い自分に無い魅力を感じた二人は、短い時間ながらも惹かれあいバレンタインデーに電話をすると約束しました。その晩家に帰りつき彼女に電話をかけます。嬉しそうに会話をする二人は「明日氷上の上でハネムーンをしよう」と約束をとりつけました。次の晩、約束通り二人は凍った川の上に。氷は厚く張ってるから大丈夫、と先へ進んでいってしまう彼女とは反対に、ジョエルは割れるのではないかと不安げに氷の上に立ちます。

「引き返そう」と戻ることを提案するジョエルにクレメンタインは手を差し伸べて引っ張っていきます。そして空が広く見える場所まで行くと二人は寝転がり、空を見上げながら星の話など他愛のない事で空気を共有するのでした。一晩そうして同じ時間を過ごした二人が帰路に着いたのは朝。クレメンタインを自宅まで送ったジョエルでしたが、車中で目を覚ました彼女にジョエルの家で寝てもいいかと尋ねられ了承しました。

それを嬉しそうに聞き、歯ブラシをとってくると言って車を出ていった彼女を待っていると、どこからか青年が現れ車越しに「大丈夫？」「困ったことはないか？」と脈絡のない質問を唐突に投げかけられます。ジョエルは対し訝し気な面持ちで「問題ない」とそれに返答します。ジョエルのそんな反応を確認すると、青年もまた釈然としない様子で立ち去っていきました。

ジョエルはある日、号泣しながら車を走らせていました。車内デッキにはひとつのカセットテープ。そして暫くすると幾分か落ち着きを取り戻し自宅に着きました。自宅のマンションに到着すると、一粒、強力な睡眠薬を水で流しこみます。ベッドに入る前に窓の外を眺めると、そこには怪しげな車が止まっていました。それを確認したジョエルは、睡眠薬の効果で立ち眩みを覚えながらベッドを目指すのでした。

ジョエルの部屋の電気が消えるのを確認すると、大型車の中から二人の男が姿を現します。車の後部席から何かの機会を運び出しジョエルの自宅に侵入した二人は、眠気に勝てずにリビングに突っ伏して眠りに入ってしまったジョエルの姿を確認しました。

一方そのころジョエルは夢の中。先ほどロビーで出会った隣人とのやり取りや、恋人のクレメンタインとの先日実際にあったやり取りを夢の中で再現していました。夢の中の彼女は、職場の書店に訪れたジョエルを知らない人を見るように接してきます。先日喧嘩をしてしまったお詫びの気持ちを込めたバレンタインのプレゼントを渡しにやって来たジョエルは愕然と彼女のその様子を眺めます。

そしてもう一つ驚いたこと。それは彼女が隣にいた見知らぬ男に向かって「ダーリン」と親し気に接していたことです。その様子に絶望した夢の中のジョエルは、友人の家へと夢の場面を変え、愚痴を吐き出します。その姿を哀れんだひとりの友人は彼女の事を忘れる良い機会だと助言します。そしてもう一人の知人も迷いながらもある封筒を彼に差し出しました。

そこに記載されていた文字は「ラクーナ社」。この会社こそが記憶を消し去る技術を提供し、夢の外にいる現実のジョエルの記憶を今現在削除しようとしている男たちの正体でした。また、先ほどの夢に出てきた、先日のクレメンタインがジョエルの事を覚えがない様子で見ていたのは、彼女もまた喧嘩をしたジョエルに会う少し前に、この会社に記憶を消してもらったからなのでした。

恋人クレメンタインが記憶の中から自分の存在を消したことを知ったジョエルは、封筒に記載されていたラクーナ社に足を運びます。そこにはテキパキと仕事をこなすブロンドの女性が窓口を担当していました。彼女に促され受付表を記入し、ハワード・ミュージワック博士の元に通されたジョエルは、これはイタズラか何かなのかと質問を投げかけます。しかし、目の前の医師と先ほどの受付の女性にイタズラではないことを明言されます。

夢の中にいるジョエルはそれを知り、友人にクレメンタインが本当に記憶を消してしまった悲しみを打ち明けます。そして夢は、再度ラクーナ社に足を運び自身の中にあるクレメンタインの記憶も消してほしいと受診したシーンに移り変わります。自宅に戻ったジョエルは、ハワード博士に言われた通りクレメンタインに関する服や写真、思い出の品を全て袋に詰め、記憶を消す手術に向かって行動を始めるのでした。

後日ラクーナ社に出向いたジョエル。施術を受けた翌日にはその記憶に関することは全て忘れる事を説明され、自分の担当医になるスタン・フィンクを紹介してもらった後、問診を受けます。その時クレメンタインとの出会いを説明している際に後ろで白衣を着た若い青年が書類を落としてしまいました。

この青年こそが外の世界で今スタンと共に記憶を消す作業をしている男、そして物語の冒頭で車内にいたジョエルに声をかけ、書店でクレメンタインにダーリンと呼ばれていた人物、パトリックでした。彼は施術に来たクレメンタインを一目で気に入り、彼女の中からジョエルの記憶が消えた事をだしに、二人の重要な思い出に触れながら自分を気に入ってもらうように動いていました。

院内での施術が始まり、クレメンタインとの思い出の品を並べられていくと、しだいに目の前にノイズがかかり始めます。現実でも自宅のベッドで眠っているジョエルの頭には装置が取り付けられ、記憶を消すための手術が始まります。

夢の中を現実だと思っているジョエルは、今日体験したことの再現映像をデジャブだと受け止め、博士が言う言葉をそのままそっくり重ねて言えることを不思議に思います。一方現実ではパトリックとスタンが作業をしながら会話をしていました。スタンがパトリックの名前を呼ぶと、書店でクレメンタインがダーリンと呼んでいた男をパトリックとも言っていたことが記憶に残っていたのか、ジョエルは寝言で「パトリック」と口にしました。

クレメンタインの事を忘れるための施術が始まると、まずは彼女が記憶を消す前の直近の思い出が夢の中で蘇ります。酔って帰ってきた彼女はジョエルの車をぶつけたと悪びれもせずに言い放ちます。そこから口論となり、ジョエルは彼女を侮辱する言葉を口にしてしまい、それを聞いたクレメンタインは軽蔑した様な目を彼に向けて家を出て行ってしまいます。

言い過ぎたと反省しそれを追いかけるジョエルでしたが、彼女は足を止めず、その後ろ姿はどんどん小さくなっていきます。その頃記憶を消す作業を進めていたスタンは、受付のブロンド髪の同僚メアリーがここに来るとパトリックに話します。それなら自分も彼女を呼ぼうかふざけるパトリックですが、恋人のクレメンタインは記憶が無くなる前までは目の前の男ジョエルと付き合っていたことを知っているので冗談に終わります。

夢の中と気づいていないジョエルは、声が降ってくる空を見上げ不思議そうにしていました。パトリックはその彼女が現在施術中のジョエルの彼女であったこと、更には家で記憶を消す手術を行っている最中に一目ぼれし、彼女の下着をくすねてきた事などを暴露すると、その話を聞いたスタンは同僚の常軌を逸した行動に嫌悪を示します。それ以上その話を聞きたくない、というスタンの言葉に二人は作業に戻りました。

しかしその後もクレメンタインとの事を話す口を止めないパトリック。それをジョエルは夢の中で全て聞いていました。そんな中でも夢は続き、クレメンタインと険悪な空気になる夢がいくつも流れていきます。そこへ作業中の二人とメアリーが合流しました。

ジャンクなアルコールを飲んでいる二人に、メアリーは「ちゃんとしたお酒はないの？」と、ジョエルの家を手際よく漁り始めます。見事ウイスキーを見つけてきたメアリーは「忘れっぽい人は幸いである。ドジでもより良い結果を得るから。」というニーチェの言葉を乾杯の音頭に飲み始めます。

二人で寄り添って穏やかに寝ている夢。その中に目覚めたジョエル。しかし、いつもの悪い癖で消極的な事を言ってしまい「あなたに思想や情熱は無いの？」と彼女は激怒。そこへ再び現実の声が響きます。パトリックの「タンジェリン」という言葉にジョエルは強い反応を示します。それは彼女が記憶を消す前にしてた髪の色「タンジェリンオレンジ」、「クレメンタインタンジェリンと呼んで」と言っていた言葉と同じだったからです。

一方その頃、現実のクレメンタインはどこか情緒不安定になっており、電話越しにそれを察したパトリックは仕事を抜け出し恋人クレメンタインの元へ。二人きりになったスタンとメアリーは家の食べ物を好き勝手に食べ散らかしたり、ジョエルが寝ているベットに寝転がりマリファナを吸ったりと好き放題し始めます。クスリをきめてハイになり踊り始めたところでさっき出ていったパトリックからの電話が鳴ります。

パトリックは不安定になったクレメンタインが願う、チャールズ川が今すぐ見たいという言葉を叶えるため、ジョエルの家を出る時に持ってきた彼の私物のカバンを漁りチャールズ川の場所を探します。その際にジョエルがバレンタインのプレゼントに選んだ包みを見つけ、彼女に渡しました。

夢の中にいるジョエルは先程のタンジェリンという言葉を引き金に、今まで二人で過ごした幸せな記憶が次々と蘇ってきます。クレメンタインの気持ちを聞きながら共に寝た時のことや、川の氷上で寝転がって一緒に星を見たこと。一番幸せだった時間を思い出し、せめてこの記憶は消さないでくれと誰ともなしに叫びます。

今までの夢を振り返ってこれが記憶を消す施術中だという事を思い出したジョエルは、幸せだったころのクレメンタインの手を掴み、目に見えない削除の脅威から共に逃げることを選びました。次々と消されていく記憶の中で、自分の記憶や思い出を使い彼女を誘惑しているのがラクーナ社のパトリックという事を知り、ジョエルは怒りを露にします。

逃げても消そうと追いかけてくるのなら、見つからない場所へ隠れようと思いついたジョエルとクレメンタイン。彼女と出会う前のもっと昔の、子供の頃の記憶まで遡っていきます。4歳の時まで思い出を巻き戻し、クレメンタインは家に訪れたベビーシッターという設定になりました。

うまく削除の手から隠れることはできましたが、容姿だけでなく心まで徐々に巻き戻ってしまったジョエルは駄々をこね始めます。ほとほと困ったクレメンタインは昔ジョエルが自分の下着をチラ見した時に良い反応をしていたのを思い出し、スカートを捲り上げテーブルの下に隠れた子供姿のジョエルに見せつけますが、「オエッ」と言われただけで全く効果はありませんでした。

二人がクレメンタインを隠そうとしたことで、記憶を消す作業が中止してしまい焦るスタン。マリファナでハイになったメアリーは支離滅裂な事を言いつつ、ハワード博士に来てもらうように提案します。自分の仕事だからと渋い顔をするスタンでしたが、緊急事態ということもあり仕方なく連絡を入れます。

夢の中ではジョエルが相変わらず子供返りをしており、不意に正気に戻る、を繰り返していました。一瞬正気に戻ったジョエルは、パトリックが自分と彼女の思い出を使って現実のクレメンタインに近づいていることを気に掛けます。しかしそんな心配をよそに、チャールズ川から帰る最中だった現実のクレメンタインとパトリックの間には、ロマンチックとは程遠い空気が流れていました。

ハワード博士を呼び出し身支度を整えた二人。メアリーが玄関まで博士を出迎えると、本来いるはずのない受付助手の姿に一瞬訝し気な顔をします。メアリーは「同僚たちがどんな仕事をしているのか気になった」と、言い訳を繕いますがハワードはそれについて深く追及はせずに作業の状況を確認します。ハワードが記憶の回路図に接触したことで、ジョエル達は見つかってしまい再び記憶を消されることから逃げることになりました。

この手術を辞めさせるためジョエルは夢の中のハワード博士に直々に会いに行きますが、それも失敗に終わります。再度子供の頃に経験した、人には言えないような隠したい過去、恥ずかしかったり残酷な記憶に飛び移ります。しかしそれでも必ず記憶は見つかってしまい場面を変えていきました。そしてしだいに初めて二人が出会った海辺の記憶に戻ることが増えてくるのでした。

現実では作業の疲れを感じたスタンが一息ついてくると、メアリーとハワードを残し外に出ます。二人きりになったところでメアリーは「引用はお好きですか？」とハワードに問いかけます。この部下との何気ない会話の中で出てきた、詩人アレキサンダー・ポープの「幸せとは清らかで無垢な心 忘却に沈みゆく世界 汚れ無き永久のドアの向こう 届いた祈りにかなわぬ願い」という名言にハワードは身をこわばらせます。

それを言い切るとハワードへと近づき唐突にキスをするメアリー。彼女はずっと前から上司であるハワード博士の事を愛していたのでした。そしてハワードはその気持ちに応えてしまいます。そこへ夜遅く出かけた夫の様子を不審に思ったハワード夫人が車で現れます。間が悪かったのか良かったのか、二人がキスをしているタイミングを目撃してしまうハワード夫人。

何も言わずに立ち去ろうとしましたが、スタンが夫人の存在を気づかせるために自分の車のクラクションを鳴らしたことで、情事を見られていたことに気づいたメアリーとハワードは慌てて表に飛び出してきました。車で立ち去ろうとする夫人に弁明をする二人でしたが、メアリーの「私が無理矢理たぶらかしたんです！」という言葉に夫人は「彼はあなたのもの。昔から。」と憮然とした表情を残して車を走らせていってしまうのでした。

その言葉を不思議そうな顔で聞いていたメアリーに、ハワードは真実を明かします。昔、自分とメアリーは不倫の関係にあったと。しかしそれを良くないことだと分かっていた二人はメアリーの中のハワードとの記憶を消して無かったことにしていたのでした。憧れのハワードと共にいた、そしてその時の記憶を抹消した。その事実に動揺し動けなくなったメアリーを見て、スタンは家まで送っていくと声をかけるのでした。

夢の中でクレメンタインの働く書店に赴いたジョエルは付き合う前の記憶を見ていました。「男は大抵私を美化して、私に期待したり依存したりするけど、私は安らぎに飢えてるただの女の子なの。理想を押し付けないで。」

そう気持ちを口にする彼女に「それでも君は僕を救ってくれる。そう思ってた」とジョエルは懺悔します。そして今度は違うと覚悟を見せたジョエルにクレメンタインは「私を覚えてて。頑張ってみて。やり直せるかも。」と期待を込めた眼差しを向けて消えます。

そしてその次の瞬間には初めて二人が出会った浜辺のシーンに移ります。この時の幸せだった記憶も遅かれ早かれ消されると悟った二人は、この夢の中でくらい最期を楽しもうと口にします。浜辺の少し登ったところにある誰かの別荘であろう家屋。昔にもそうしたように、二人はその中を探検します。その間も徐々に記憶が崩れ床には海水が侵食してきます。

当時、人の家の酒を漁ったりとクレメンタインの常識をものともしないその姿に魅力を感じながらも、安定志向のジョエルはその行動に危機感を感じ、彼女を置いて帰ってしまいました。しかしあの時一緒に残ればよかったと後悔していたジョエルは今回は一緒にその場に残り、崩れていく記憶の中のクレメンタインに「さよなら」を告げます。それを受け取った彼女は最期に「モントークで会いましょう」と言い残し、夢は終わるのでした。

記憶の削除が無事終わりハワードとスタンは撤収。そしてジョエルも目を覚ましエターナル・サンシャインのあらすじの冒頭に戻ります。傷のついた車、そしてモントーク行きの列車。それに乗り込みます。そして同じくその日の朝、自身の事実を知ったメアリーは退社の準備をしていました。出社してきたスタンに不倫の事は知らなかったのか尋ねます。彼はそれに対して、知らなかったけれどそうかもと思った事はあった、と。

その時の状況を聞かせてと言うメアリーに「ハワードの車に乗っていた。こっちに手を振って笑っていた。幸せそうに。その後は2人でいるとこは見ていない」と告白すると、メアリーはうつむきがちに目をそらし準備に戻るのでした。自身の車のトランクには、いくつもの患者の書類と、彼らの最期の記憶を詰め込んだカセットテープがありました。

ジョエルとクレメンタインが出会い、チャールズ川の夜を過ごした帰り。彼女が歯ブラシを持って車に戻ってきます。手には他にもいくつかの郵便。その中にラクーナ社からの封筒もありました。記憶を消したという記述と共に、最後に吹き込んだカセットテープも入っており、彼の車内でそれを流します。相手への不満がつらつらとスピーカーから流れ、記憶が全て消されてるジョエルは、身に覚えのない悪言に気分を害してしまいます。

最高の夜だったのが一変。覚えのないテープのせいで車から追い出されてしまったクレメンタインは、様子を伺いに来たパトリックを玄関前ではねのけ自室で泣き明かします。しかしテープの内容が気になった彼女はジョエルの自宅に足を運ぶのでした。初めて来たはずなのになぜか自分の事を知っているマンションの住人。そしてジョエルの部屋には、記憶を消す直前に彼が残した、自分に対しての刺さるような言葉が響いていました。

それを耳にしたクレメンタインは、さっきの封筒の中身を信じるしかありませんでした。ジョエルは彼女の姿を見つけ、その悪態をつくばかりのテープを止めに行こうとしますが、クレメンタインはおあいこだから聞かせてほしいと静止します。しかし彼女が記憶を消すきっかけになった言葉「彼女は誰とでも寝る」という言葉を聞いた瞬間、こらえることができなくなり、クレメンタインはさよならを告げ部屋をあとにしました。

しかしすぐさまその後ろ姿を追いかけ、廊下にいた彼女を呼び止めるジョエル。その場を立ち去ろうとする彼女にうまく言葉が出ず、「待ってくれ！とにかく待ってほしい。」と必死に懇願すると、彼女も分かった。と足を止めます。そして「私は安らぎに飢えてる普通の女の子なの。欠点だってある。」と続けます。

「またそのうち嫌になる。私は息ができなくなるし、あなたは辛抱できなくなる。その繰り返し」といずれ来るであろう未来を口にするクレメンタイン。そんな彼女の気持ちに「いいよ。」とジョエルは受け入れます。そんな真剣な眼差しを向けてくる彼を暫く見つめた後、「だよね。いいよね。」とクレメンタインは笑顔を彼に向け、二人は過去の自分たちを受け入れたのでした。

複雑なストーリーのエターナル・サンシャイン。あらすじ以外にも作中にいくつも散りばめられている名言が物語を盛り上げる要素の1つになっています。また登場人物が何気なく口にした言葉がエターナル・サンシャインという作品の印象として残る名言になっているものもあります。それでは、そんなエターナル・サンシャインの名言をいくつかご紹介していきます。

最初に紹介する名言は哲学者ニーチェの名言で、ジョエルが施術をされている時メアリーたちが酒を片手に乾杯をする際に言った言葉です。

吹き替え版では「忘れっぽい人は幸いである。ドジでもより良い結果を得るから。」とメアリーが訳しています。過去にしがみついて重りを背負いながら歩くよりも、何もない状況や気持ちから始めた方が素晴らしい結果をもたらすという意味となっています。

こちらは詩人アレキサンダー・ポープの名言。吹き替え版ではメアリーが好きな言葉として「幸せとは清らかで無垢な心 忘却に沈みゆく世界 汚れ無き永久のドアの向こう 届いた祈りにかなわぬ願い」と言葉にします。

この後メアリーは妻帯者であるハワードにキスをするのですが、結ばれることはできないと分かりつつも心に宿った感情はとても幸せなものだ。という事を表現した名言ととれます。また表題の意味としても使われています。

物語の最初にジョエルがクレメンタインの家に上がった際に会話があまりないことを彼女に指摘され、自分の生活をつまらないものだからネタがないと発言した際にクレメンタインが返答した名言。

保守的な考え方のジョエルとは正反対の考えを持つクレメンタインの信念が表れた名言の一つです。

次の言葉はジョエルが夢の中でクレメンタインの記憶を消されまいと逃げている時に、書店のシーンで口にした名言です。

最初は勝手に二人の記憶を消してしまったことに怒りを露にしていたジョエルでしたが、それは彼女を心から愛していたから。この名言には深い悲しみを感じていたからこその怒りだったと分かる、ジョエルの素直な気持ちが表れています。

最後に紹介するのはエターナル・サンシャイン最後のシーンで二人が交わした名言です。記憶を消す前に録音したお互いの嫌悪していた気持ちが詰まったカセットテープを聞いてしまい、いたたまれなくなってその場を逃げ出したクレメンタイン。

彼女を引き留めたジョエルに向かって一緒に居ることへの不安を吐き出した時の名言。正反対の二人ですが、それでもお互い惹かれあうことは記憶を消す前も消した後も変わりませんでした。

主人公ジョエル役にはマスクやイエスマンなど、洋画コメディでお馴染みのジム・キャリーが配役されました。エターナル・サンシャインではコメディシーンはあまりなく、真面目な役のジムキャリーを見ることができます。しかし、物語の後半で子供に戻ったジョエルを演じたシーンでは、いつもながらのコミカルな演技にさすがと言った評判が多く上がっています。

破天荒な恋人クレメンタイン。その役を演じたのはこちらもタイタニックのローズなど洋画界のヒロイン役で有名なケイト・ウィンスレット。実は彼女の髪の色はエターナル・サンシャインの劇中で青・オレンジ・赤・緑と4種類あり、作品の時系列を見る時に注目すると分かりやすくなっています。

「青」は記憶を消した後、「オレンジ」は恋愛が落ち着いてきてから記憶を消す時まで、「赤」は付き合う直前からお互いを愛しあってた時期、そして「緑」は初めてジョエルと出会ったときの色となっています。エターナル・サンシャインの中で青の髪色の愛称に廃墟という言葉が使われていたりと、他の髪色にも意味が含まれていると見た人からネタバレ考察されているポイントとなっています。

ちょっぴり変わり者なラクーナ社の助手役のひとりパトリック。彼の配役キャストはイライジャ・ウッドです。ロード・オブ・ザ・リングで主人公フロド役を務めてから一躍有名になりました。それ以前にも子役時代からバック・トゥ・ザ・フューチャーに脇役で出演するなど長い経歴を持ち、その演技力でエターナル・サンシャインの世界観を表現しています。

イライジャ・ウッドと同じく子役時代から女優として出演し、スパイダーマンのメリー役を演じるなど、数々の賞を受賞しているキルスティン・ダンスト。エターナル・サンシャインで演じたのは、名言の宝庫かつ魔性の女メアリーです。彼女もクレメンタインと似たところがあり、患者の家でマリファナを吸ったり既婚者のハワードにキスをしたりと衝動的な行動が見られますが、憎めないまっすぐな性格の持ち主です。

ラクーナ社のＴＯＰ、ハワード博士を演じたのはトム・ウィルキンソンです。バットマンビギンズの街を牛耳るボス・ファルコーニなど、重要どころを演じる事の多いトム・ウィルキンソンは、今回エターナル・サンシャインでも記憶を消すためのキーパーソンとなりました。長年俳優をしていることもあり包容力のある役も悪役の顔も見事演じ分けています。

ジョエルの担当医スタンのキャストはマーク・ラファロです。彼の持つ有名役ではアベンジャーズシリーズのハルクこと、ブルース・バナーがあります。他にもアイアンマン3や死ぬまでにしたい10のことの最後の恋人リー役もされています。エターナル・サンシャインではメアリーに恋心を抱く好青年を演じました。

あらすじ、名言をご紹介してきたところで、今回はエターナル・サンシャインを見た人の評価をネタバレでご紹介していきます。今回は高評価と低評価だった感想の2種類をそれぞれ2つネタバレでご紹介します。

物語のあらすじは勿論のこと、クレメンタインの個性的なファッションに惹かれた人も多かったようです。様々な色に変わる髪型に加え、服装もパーカーからセクシーなキャミソールまで着こなすクレメンタイン。彼女の内面を表すかのような服装に多くの高評価が寄せられています。

普段ギャグ役の多いジムキャリーですが、エターナルサンシャインではほとんどおふざけシーンは出てきません。あらすじでご紹介した子供時代に戻ったシーンではいつもの本領を発揮していますが、それ以外では人生を退屈に感じながら過ごす男性を演じています。普段のコメディ映画の演技とは一味違った役作りにさすが！と関心する評価を持つ映画ファンが続出しています。

あらすじを自分の経験と重ねたり、お互いに想っているのにいがみあってしまうジョエルとクレメンタインに感情移入をして切ない気分になるという評価が寄せられました。どことなく大人な雰囲気もある作品との評価もあるようです。エターナル・サンシャインを見る際には翌日の目の腫れにはご注意を！

エターナル・サンシャインはジョエルの記憶の中を辿るというあらすじの物語となっているので、構成が少し複雑になっています。1度目の視聴では内容がしっかりと把握できないという評価も多くあるようです。もし「このシーンはいつの時系列？」と迷ったときは、「エターナル・サンシャインのキャストを紹介！」でのケイト・ウィンスレット紹介で出た「髪の色」を確認してみると、あらすじが分かりやすくなるかもしれません。

今回ネタバレを交えてご紹介してきたエターナル・サンシャイン。主人公ジョエルの記憶の中を巡る、ファンタジー要素も含まれたラブロマンス作品となっています。時系列が複雑になっているので、ネタバレした後に再度見ると難しかったあらすじの筋道がしっかりと通るようになるという声もありました。

また見た人の評価は高い傾向にありGoogleユーザーからは93％という評価、またYahoo！映画でも5段階中の3.7との高評価がつけられています。あらすじから名言まで楽しめる様々な要素が詰まったエターナル・サンシャイン。ハンカチを片手に、次の日が休みか確認した後に是非鑑賞してみてはいかがでしょうか？