エクス・マキナの意味と由来は?美しい人工知能の結末は?【EX MACHINA】

『エクス・マキナ(EX MACHINA)』は2015年イギリスにて、2016年には日本でも公開されたSFスリラー映画ですが、そのタイトルには深い意味が込められています。ただ文字通りに読んでしまうなら『機械仕掛けの』となるのですが、どうやらそんな単純な話ではなく、人類と人工知能(AI)の未来について監督の想いが秘められています。今回はこの『エクス・マキナ(EX MACHINA)』の由来や考察を、ネタバレのあらすじとともに紹介していきます。

エクス・マキナの意味と由来は?美しい人工知能の結末は?【EX MACHINA】のイメージ

目次

  1. エクス・マキナ(EX MACHINA)の意味と由来を考察!結末も紹介!
  2. エクス・マキナはどんな映画? ※監督などの映画基本情報を紹介
  3. エクス・マキナのあらすじをネタバレ
  4. エクス・マキナの美しい人工知能の結末とは?
  5. エクス・マキナの意味と由来を考察!
  6. エクス・マキナの意味と由来まとめ!

エクス・マキナ(EX MACHINA)の意味と由来を考察!結末も紹介!

2015年1月にイギリスで公開され、日本では1年半遅れて2016年6月公開された『エクス・マキナ(EX MACHINA)』ですが、そのタイトルには重要な意味が隠されています。それは単に物語の伏線というだけの意味ではなく、人類の未来を占う転換期についての意味も含んでいます。そんな『エクス・マキナ(EX MACHINA)』の意味、由来について考察してまいります。

映画『エクス・マキナ』公式サイト

エクス・マキナはどんな映画? ※監督などの映画基本情報を紹介

『エクス・マキナ』はこんな映画!監督や基本情報など紹介

『エクス・マキナ(EX MACHINA)』は2015年のイギリス映画で、ブルーブックという検索エンジン大手の会社のプログラマーとして働く青年ケイレブが、社長ネイサンの別荘に招待され、人工知能(AI)が搭載された美しい女性ロボットに恋をするSFスリラーです。「人工知能(AI)と人間の禁断の恋」そして「人工知能(AI)が自分を作った主人を殺す」ことが主題の物語です。

監督は、あのレオナルド・ディカプリオが主演した「ザ・ビーチ」の原作者として名を馳せていたアレックス・ガーランドで、この『エクス・マキナ(EX MACHINA)』は初めて自身のオリジナル脚本で監督デビューした作品となります。英国のインディペンデント・フィルム・アワードの脚本賞、監督賞をダブル受賞したほか、同年のアカデミー脚本賞にもノミネートされました。

人工知能(AI)を搭載した美しい女性ロボットを演じるのはスウェーデンの女優のアリシア・ヴィキャンデルで、この『エクス・マキナ(EX MACHINA)』で多くの賞を受賞し注目を集めました。

また気弱なロボットであるエイヴァに心惹かれてしまう青年ケイレブをドーナル・グリーソンが、ケイレブが勤める大手検索エンジン会社の狂った社長ネイサンをオスカー・アイザックが演じています。有名なところで言うと、ドーナルもオスカーも「スター・ウォーズ」にて共演しており、メイキングでは二人仲良く登場しています。

もう一人の不遇の女性ロボットは日系イギリス人女優のソノヤ・ミズノです。こちらはこの『エクス・マキナ(EX MACHINA)』が映画初出演で、その後は『ハートビート』『ラ・ラ・ランド』など映画出演を増やしています。

エクス・マキナのあらすじをネタバレ

美しい女性ロボット・エイヴァとの出会い

大手検索エンジン会社のブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブが社長ネイサンの別荘に招待されるところから物語は始まります。専用ヘリコプターで向かった先は社会から隔絶された山奥で、社長ネイサンはそこで人工知能が搭載された人型ロボットを作っていたのです。ネイサンはケイレブに、開発中の人工知能に対してチューリング・テストを実施してほしいと依頼します。

ケイレブはそれを快く引き受けます。かくしてケイレブは、人工知能を搭載した女性ロボット「エイヴァ」と対面することになります。エイヴァは美しい女性の顔面と手首、足首だけが人工皮膚で覆われ、それ以外は中の機械が透けて見える状態でした。美しさと不気味さをを併せ持つエイヴァに、ケイレブを興味を持ち、惹かれて行くのです。
 

エイヴァの願い

翌日、ケイレブは別荘にいるもう一人の女性に対面します。アジア系の美しい彼女は「キョウコ」といい、英語が喋れないため秘密保持上都合が良いということで雇っている、とのことでした。そしてその日から、エイヴァとの面談テストが本格的に始まります。ケイレブはエイヴァが想像以上に人間らしい仕草や振る舞いをすることに驚きます。

しばらくして、面談テスト中に停電が起こり、エイヴァとケイレブの様子を撮影していたネイサンの監視カメラも停止します。そこでエイヴァは突如「ネイサンを信用できない、彼の言うことを信じてはいけない」といった旨の発言をします。

またその何日か後に、エイヴァはウィッグと衣服を着用してケイレブの前に現れます。そしてその人間らしい姿をしたロボットに、ケイレブは女性として心惹かれてしまいます。その時また停電が起きて、監視カメラが停止します。そこでエイヴァは、この停電は自分が起こしていること、そしてケイレブと二人で外の世界に行きたいということを訴えます。ケイレブは彼女の希望を叶えてあげたいと考え始めます。

エクス・マキナの美しい人工知能の結末とは?

ネイサンの秘密

「ケイレブと一緒に外の世界へ逃げたい」と訴えたその後、エイヴァはケイレブを誘惑するような仕草を取り始めて行きます。女性にあまり免疫のないケイレブは、そんなエイヴァにどんどん心を傾けていってしまいます。ケイレブはネイサンに「実は自分を誘惑するようにプログラミングされているのでは」と問い詰めるも、逆に「たかがロボットの誘惑に負けるなんて弱い証拠」とあしらわれてしまいます。

またネイサンは、「彼女はあくまで次のステップまでの繋ぎであり、役目を終えた後は初期化してしまう」と話し、ケイレブはショックを受けます。その後、ケイレブはふとしたことからネイサンのパソコンに保存されている動画を見つけます。そこではエイヴァ以前の女性ロボットたちがネイサンにより虐待を受け、最後には自らを破壊してしまうというものでした。

動画にはキョウコも映っていました。ケイレブはキョウコの部屋に駆けつけ問い詰めると、その部屋のクローゼットに、過去に動きを止めたロボットたちが保管されているのを見つけます。そしてキョウコは自分の皮膚の一部を剥がし、自身もロボットであることを告白します。ネイサンに対する不信感が頂点に達したケイレブは、ついに行動を起こします。ネイサンを泥酔させて鍵を盗み、エイヴァを脱走させる計画を立てるのです。

自由を求めて

エイヴァとの最期の面談の日、ネイサンはケイレブを呼び、実はエイヴァが停電を起こしていたこと、監視カメラが停止した状態でも別のカメラではしっかりと二人のやりとりを確認していたことを告げます。つまり、ケイレブが脱走を企てていたことも、ネイサンにはお見通しだったのです。そしてこのテストの本当の目的が、「ロボットのエイヴァが人間を誘惑し、施設から脱出できるかを試すものだった」ことを告げます。

ケイレブはうってつけでした。恋愛経験がほとんどなく、まじめで道義心もあり、性格もよい。そういう人を検索エンジンで見つけて、エイヴァに合わせてみたらどうなるかネイサンはそれを実験してみたかったのです。「もしかしたらここから出るために、君を利用するかも。愛したふりをして」とはネイサンの言葉ですが、まさにその通りになったわけで、ネイサンは非常に満足したことでしょう。

ロボットに誘惑されて心を奪われたケイレブをネイサンは小馬鹿にしてからかいますが、その時また停電が起き、その停電が解除されると、今度はネイサンが驚愕します。絶対に部屋から出ることのできないエイヴァが部屋の外に出ていたからです。実はケイレブはネイサンから鍵を奪っただけでなく、次に停電が起きた時に施設の全ドアロックが解除されるようハッキングしていたのです。ネイサンは怒り狂い、ケイレブを殴り気絶させます。

その後ネイサンはダンベルの芯の鉄棒を取り出し、エイヴァに襲いかかります。しかしとどめを刺そうとしたその瞬間、背後からキョウコにナイフを刺され、さらにその後エイヴァにも刺され、ネイサンは絶命します。その際にキョウコは壊れてしまいますが、エイヴァは晴れて自由となります。キョウコの部屋のクローゼットからロボットの部品を自身に装着し見た目が「女性」となったエイヴァは、そのまま施設の外へ足を踏み出します。

目を覚ましたケイレブは一緒に外に出ようとするも、部屋にロックがかけられ出ることができません。そしてエイヴァを必死に呼び止めるも、エイヴァはそれを無視して一人で行ってしまうのです。エイヴァはケイレブが乗ってきた専用ヘリコプターで施設を後にし、その後賑やかな街の中で人間に溶け込み生活していくのです。

エクス・マキナの意味と由来を考察!

『エクス・マキナ(EX MACHINA)』とは?

『エクス・マキナ(EX MACHINA)』と聞いてすぐに思い至るのが『デウス・エクス・マキナ(DEUS EX MACHINA)』でしょう。これはラテン語で「機械仕掛けの神」という意味になります。そもそもはギリシャ悲劇で多用された手法を指す言葉で、悲劇の終盤でもうどうにもならない状況の中、突如天から神様が現れ全て解決に導いてくれるというものです。

古代ギリシャではこれを表現するために、役者を機械で吊るして、本当に舞台の上から登場させたと言われています。このような展開を『デウス・エクス・マキナ(DEUS EX MACHINA)』と言うのです。

この映画『エクス・マキナ(EX MACHINA)』ですが、デウスを取っていますので単に『機械仕掛けの』という意味になっています。ただし古代ギリシャで言われていたいわゆる『どんでん返し』を、この『エクス・マキナ』が意識していないわけがありません。

あらすじでもお伝えした通りケイレブはエイヴァを助けるため一計を案じますが、実はその計画は完全にネイサンにバレており、その時点でネイサンとエイヴァはどうにもならない、救いのない展開に追い込まれてしまいます。しかしながら、最後には人工知能のロボットであるエイヴァとキョウコによって状況をひっくり返されてしまいます。これぞまさしく、『デウス・エクス・マキナ(DEUS EX MACHINA)』であると言えるでしょう。

AIが人類を超える時はもうすぐそこまで迫っている

人工知能(AI)は近年恐ろしいスピードで進化しています。一説には、シンギュラリティポイント、いわゆる技術特異点が、今後20〜30年のうちにくるのではとも言われています。技術特異点、それは人間と人工知能の能力が逆転する転換期のことです。そしてその時点を過ぎると、人工知能は自分自身を改良し、新しい人工知能を生み出して、自身の力だけで進歩していくことができるというのです。

もともと、『人は神を超えたのか』などといった論争もありますが、そもそも人工知能(AI)にとって人間は自分たちを生み出した神に近い存在とも言えるのではないでしょうか。その人間を超えることで人工知能が神に成り代わる、そんな未来は決して夢物語ではないとも言われています。

『エクス・マキナ(EX MACHINA)』とは、人工知能(AI)が人類を超える転換期

話を『エクス・マキナ』に戻しますが、ネイサンはエイヴァをはじめ、人工知能を搭載したロボットを製作しました。それはまさしく神の所業とも言えるでしょう。そしてそのネイサンが、完全にコントロールしていたと思っていたエイヴァに(正確にはエイヴァに虜にされていたケイレブに)出し抜かれ、殺されてしまいます。

エイヴァはネイサンの思惑を見越していました。その上でそれを利用し、人間の手によらない、人工知能である自分の手で自分のやりたいことをやりきったのです。それは一つの側面で言えば、人工知能が人間を超えた瞬間でもあります。

各面談テストの際に表示される『SESSION◯』は、ネイサンが殺された後にも続きます。それはこの物語が、ネイサン主導のものではなく、エイヴァの主観である、つまりエイヴァの物語であったという証拠です。先にも述べました通り、『デウス・エクス・マキナ(DEUS EX MACHINA)』は突然降ってくる神によるどんでん返しですが、まさしくこれは人工知能が人間を超え、神に成り代わる物語の『どんでん返し』でもあるのです。

最後になりますが、この『エクス・マキナ』の物語の後、街に放たれたエイヴァは今後どうするのでしょうか。決して衰えない美しさを持ち、男性の欲望を受け止める機能を持っていて、例えば享楽的に生きていこうと思えばいくらでもそうすることが可能です。しかし、ただそのためだけに生きるということもなかなか想像がつきません。

彼女が外に出てやりたかったことは劇中では語られません。単に外の世界を見てみたかっただけなのか、それとも本当に人類にとって代わる『デウス・エクス・マキナ(DEUS EX MACHINA)』を起こすのか…この世界の人類の半数が、既にロボットに入れ替わっていたとしても、何ら不思議ではない、そんな気を起こさせてくれるのです。

エクス・マキナの意味と由来まとめ!

『エクス・マキナ』のあらすじから『EX MACHINA」意味、由来についてまでを詳しく紹介してまいりました。人間味あふれる、しかしながら冷徹で残酷な人工知能(AI)搭載の女性ロボット・エイヴァとネイサン、そしてケイレブの物語は、今後の人工知能(AI)の進歩を人類がどう受け止めていくのかという、そのまま今後の人類と人工知能(AI)の在り方、将来について考えさせられるものでした。

もしまだ観ていない方がいらっしゃるようでしたら、ぜひともこの『エクス・マキナ』をご覧いただき、今後の人類の未来に想いを馳せてみるのも悪くないかもしれません。

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